JP2013189485A - 耐候性コーティング組成物の製造方法及び着色防止方法並びに被覆物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、オルトカルボン酸エステル(D)、3級アミン又はその有機酸塩(E)を含有してなり、下記の工程[1]又は[2]を含む耐候性コーティング組成物の製造方法。[1](I)(E)を除く1つ以上を含むコーティング前駆体を調製する工程、(II)前記コーティング前駆体に(E)を添加する工程。[2](III)(A)、又はこれと(D)を除く1つ以上を含むコーティング前駆体を調製する工程、(IV)前記コーティング前駆体に水を加えて部分加水分解を行う工程、(V)前記コーティング前駆体加水分解物に、(D)を添加する工程。
【選択図】なし
Description
しかし、当該プライマー組成物は、塗布、硬化時の環境温度あるいは湿度によって、長期耐候性試験でクラック及び剥離といったプライマーとしての性能再現性が低下することが判明し、更なる改良が必要であった。
しかし、当該プライマー組成物は、オルトギ酸エチルなどのオルトカルボン酸エステルを添加することで、強く着色し、プライマー塗膜を厚くした場合、当該塗膜が着色するという欠点があった。
〔1〕
(I)前記(E)成分を除く1つ以上の成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(II)前記(I)の工程で得られたコーティング前駆体に前記(E)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(II)工程の後で添加する。
〔2〕
(III)前記(A)成分単独、又は前記(D)成分を除く1つ以上の成分及び(A)成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(IV)前記(III)の工程で得られたコーティング前駆体に水を加えて部分加水分解を行う工程、
(V)前記(IV)の工程で得られたコーティング前駆体部分加水分解物に、前記(D)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(V)工程の後で添加する。
その結果、組成物構成成分として、加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、及びオルトカルボン酸エステル(D)を含むコーティング組成物は、ビニル系重合体(A)の加水分解性シリル基及び/又はSiOH基同士のシロキサン架橋、また前記ビニル系重合体(A)の加水分解性シリル基及び/又はSiOH基と前記シリカ微粒子(B)表面のSiOH基との間のシロキサン架橋により形成される緻密な3次元架橋ネットワーク、及び前記シリカ微粒子(B)自身の低膨張性の作用により、線膨張係数が低くなり、温度差による膨張・収縮が従来のコーティング被膜よりも小さくなる。従って、このコーティング被膜表面に被覆するケイ素酸化物含有硬質被膜には、長期にわたって、クラックや剥離が発生しない。
また前記ビニル系重合体(A)は、有機系紫外線吸収性基が側鎖に結合しており、かつ、該コーティング組成物からなる被膜内にて架橋するため、紫外線吸収性基が被膜中で固定されることにより、紫外線吸収性基の被膜表面への移行が極めて起こり難くなり、外観の白化現象や密着性の低下がなくなる点、水、溶剤等への溶出・流出がなく経時による紫外線吸収効果の低下が少ない点、高温で熱硬化処理を行っても被膜から紫外線吸収性基が揮散しない点から、大幅に耐候性が向上し、しかも長期にわたりその機能が維持される。
更にコーティング組成物を保存した場合、オルトカルボン酸エステル(D)の効果により組成物中の水分が除去され、保存安定性が格段に向上するという利点がある一方、組成物が強く着色するという欠点も併せ持っていたが、この組成物に3級アミン又はその有機酸塩(E)を添加することで、着色の問題を解決するに至った。
〔1〕
以下の(A)〜(E)成分を含有してなり、下記の工程(I)、(II)を含むことを特徴とする耐候性コーティング組成物の製造方法。
加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、
有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、
カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、
オルトカルボン酸エステル(D)、
3級アミン又はその有機酸塩(E)、
(I)前記(E)成分を除く1つ以上の成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(II)前記(I)の工程で得られたコーティング前駆体に前記(E)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(II)工程の後で添加する。
〔2〕
以下の(A)〜(E)成分を含有してなり、下記の工程(III)〜(V)を含むことを特徴とする耐候性コーティング組成物の製造方法。
加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、
有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、
カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、
オルトカルボン酸エステル(D)、
3級アミン又はその有機酸塩(E)、
(III)前記(A)成分単独、又は前記(D)成分を除く1つ以上の成分及び(A)成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(IV)前記(III)の工程で得られたコーティング前駆体に水を加えて部分加水分解を行う工程、
(V)前記(IV)の工程で得られたコーティング前駆体部分加水分解物に、前記(D)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(V)工程の後で添加する。
〔3〕
加水分解に使用する水の量が、ビニル系重合体(A)中の加水分解性シリル基の加水分解性基1モルに対して、5モル未満であることを特徴とする〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕
オルトカルボン酸エステル(D)が、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル及びオルト酢酸エチルから選ばれる少なくとも1種である〔1〕、〔2〕又は〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕
カルボニル基を含有する有機溶剤(C)が、炭素数3〜10のケトン及びカルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕
3級アミン又はその有機酸塩(E)が、トリブチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5及びそれらのカルボン酸塩から選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕
加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)が、加水分解性シリル基がC−Si結合を介して結合したビニル系単量体(a−1)、有機系紫外線吸収性基を有するビニル系単量体(a−2)、エポキシ基含有のビニル系単量体(a−3−i)、及び共重合可能な他の単量体(a−3−ii)からなる単量体成分を共重合して得られるビニル系重合体であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕
加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、及びオルトカルボン酸エステル(D)を含有してなる耐候性コーティング組成物の着色を防止する方法であって、該組成物に3級アミン又はその有機酸塩(E)を添加してなることを特徴とする耐候性コーティング組成物の着色防止方法。
〔9〕
オルトカルボン酸エステル(D)が、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル及びオルト酢酸エチルから選ばれる少なくとも1種である〔8〕に記載の着色防止方法。
〔10〕
カルボニル基を含有する有機溶剤(C)が、炭素数3〜10のケトン及びカルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である〔8〕又は〔9〕に記載の着色防止方法。
〔11〕
3級アミン又はその有機酸塩(E)が、トリブチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5及びそれらのカルボン酸塩から選ばれる少なくとも1種である〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載の着色防止方法。
〔12〕
加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)が、加水分解性シリル基がC−Si結合を介して結合したビニル系単量体(a−1)、有機系紫外線吸収性基を有するビニル系単量体(a−2)、エポキシ基含有のビニル系単量体(a−3−i)、及び共重合可能な他の単量体(a−3−ii)からなる単量体成分を共重合して得られるビニル系重合体であることを特徴とする〔8〕〜〔11〕のいずれかに記載の着色防止方法。
〔13〕
基材に、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法により製造されたコーティング組成物を塗布、硬化させてなる被膜の表面に、ケイ素酸化物含有硬質被膜を積層してなることを特徴とする被覆物品。
〔14〕
ケイ素酸化物含有硬質被膜が、下記一般式(1)
(R7)mSi(OR8)4-m (1)
(式中、R7は炭素数1〜10の1価の有機基、R8は水素原子又は1価の有機基を示し、mは0,1又は2である。)
で示されるオルガノオキシシランの1種類以上の加水分解物又は共加水分解物と、シリカ微粒子とを含むハードコーティング組成物から形成されることを特徴とする〔13〕に記載の被覆物品。
本発明のコーティング組成物により被膜を施されたプラスチック物品、特にポリカーボネート樹脂は、優れた透明性、耐候性を付与することができ、更に該被膜上にケイ素酸化物含有硬質被膜を積層することで、耐擦傷性、耐薬品性も併せて付与可能なため、車両、飛行機など運送機の窓、風防、建物の窓、道路の遮音壁等屋外で使用される用途に好適なものである。
(A)加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体、
(B)有機溶剤に分散したシリカ微粒子、
(C)カルボニル基を含有する有機溶剤、
(D)オルトカルボン酸エステル、
(E)3級アミン又はその有機酸塩。
〔1〕
(I)前記(E)成分を除く1つ以上の成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(II)前記(I)の工程で得られたコーティング前駆体に前記(E)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(II)工程の後で添加する。
〔2〕
(III)前記(A)成分単独、又は前記(A)成分と前記(D)成分を除く1つ以上の成分とを含むコーティング前駆体を調製する工程、
(IV)前記(III)の工程で得られたコーティング前駆体に水を加えて部分加水分解を行う工程、
(V)前記(IV)の工程で得られたコーティング前駆体部分加水分解物に、前記(D)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(V)工程の後で添加する。
R2で示される直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、ブチレン基、オクチレン基、デシレン基等を挙げることができる。
更に、上記紫外線吸収性ビニル系単量体は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位数は例えば2〜20)、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(プロピレングリコール単位数は例えば2〜20)等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位数は例えば2〜20)、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(プロピレングリコール単位数は例えば2〜20)等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位数は例えば2〜20)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレングリコール単位数は例えば2〜20)等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステル類;
コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、コハク酸ジ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、アジピン酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、アジピン酸ジ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸ジ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]等の非重合性多塩基酸と(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとの(ポリ)エステル類;
(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(N−メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(N−エチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸4−(N,N−ジメチルアミノ)ブチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。
(メタ)アクリルアミドの誘導体の具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
アルキルビニルエステルの具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等を挙げることができる。
スチレン及びその誘導体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
共重合可能な他の単量体(a−3)は、前記単量体を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。更に、(a−3−i)及び(a−3−ii)を混合して使用することがより好ましい。
また中でも(a−3−i)の使用量は、共重合組成で0〜20質量%、特に1〜10質量%の範囲が好ましい。(a−3−i)が多すぎると、経時でのエポキシ基の架橋による増粘が顕著になり、組成物とした際の保存安定性が低下する場合がある。
シリカ微粒子(B)は、有機溶剤に分散していれば特に制限はない。ここで、シリカ微粒子(B)は、粒子表面にSiOH基を有するため、組成物の硬化被膜形成時に(A)成分のビニル系重合体の加水分解性シリル基及び/又は該加水分解性シリル基が加水分解されたSiOH基との間でシロキサン架橋することにより、前記ビニル系重合体(A)の加水分解性シリル基及び/又はSiOH基と前記シリカ微粒子(B)表面のSiOH基との間のシロキサン架橋による有機−無機複合体を生成する。その結果、線膨張係数は低下する。
更に、前記有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(A)を予め加水分解すると、コーティング組成物は経時で増粘・ゲル化が顕著になるが、オルトカルボン酸エステル(D)を添加することで、増粘・ゲル化することなく、長期の保存安定性を確保することができる。
(E)成分の例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの対称型3級アミン類;
イソブチルジメチルアミン、t−ブチルジメチルアミン、オクチルジメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミンなどの非対称型3級アミン類;
ピリジン、N−メチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)などの環状3級アミン類;
上記3級アミンのギ酸塩、酢酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、オルソフタル酸塩などの3級アミンの有機酸塩類などを挙げることができ、3級アミンの有機酸塩類の中でも、トリエチルアミンやトリブチルアミンのギ酸塩や酢酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5のギ酸塩、酢酸塩、オクチル酸塩などの3級アミンの有機酸塩が好ましい。
(E)成分である3級アミン又はその有機酸塩としては、トリブチルアミン、ピリジン、DBU、DBN、及びそれらのカルボン酸塩が好ましく、特にはDBU、DBN、及びそれらのカルボン酸塩が好ましい。
本発明のコーティング組成物には、熱可塑性ビニル系樹脂を配合してもよい。配合することで、コーティング組成物を硬化させた被膜に可撓性を付与することができると共に、該コーティング被膜が受ける環境温度変化、特に比較的高温領域での相変化や軟化現象を抑えることができ、コーティング被膜内部、及び積層する場合の上層被膜との界面での歪みを抑制でき、結果として上層であるケイ素酸化物含有硬質被膜のクラックを防止できること、更にコーティング被膜自身に耐熱性、耐水性を付与できる。
ここで、熱可塑性ビニル系樹脂として、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル等を(共)重合したアクリル樹脂、ポリカーボネート系、ポリエステル系のウレタンをグラフト変性したアクリル樹脂等を例示することができる。
(I)前記(E)成分を除く1つ以上の成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(II)前記(I)の工程で得られたコーティング前駆体に前記(E)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(II)工程の後で添加する。
コーティング前駆体の調製方法としては、(E)成分を除く1つ以上の成分を同時又は任意の順番に混合・撹拌する。撹拌は、公知の方法で行えばよいが、0〜120℃、特に20〜80℃で行うことが好ましく、時間は、均一となる十分な時間であればよいが、通常5分〜24時間、特には10分〜10時間である。
残りの成分がある場合は、次いで残りの成分を添加することにより、本発明の耐候性コーティング組成物を得ることができる。
(III)前記(A)成分単独、又は前記(A)成分と前記(D)成分を除く1つ以上の成分とを含むコーティング前駆体を調製する工程、
(IV)前記(III)の工程で得られたコーティング前駆体に水を加えて部分加水分解を行う工程、
(V)前記(IV)の工程で得られたコーティング前駆体部分加水分解物に、前記(D)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(V)工程の後で添加する。
具体的には、前記加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)を単独で加水分解し、ビニル系重合体(A)中の加水分解性シリル基をSiOH基に変換、又は前記加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)と有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)とカルボニル基を含有する有機溶剤(C)とを、より好ましくはビニル系重合体(A)とカルボニル基を含有する有機溶剤(C)とを混合してコーティング前駆体を調製し、これを加水分解して該コーティング前駆体中の加水分解性シリル基をSiOH基に変換する。これにより、本発明のコーティング組成物を硬化させる際に架橋が進行し易くなり、コーティング層の線膨張係数がより低下するので好ましい。
上記加水分解による加水分解率としては、0〜95%であることが好ましく、より好ましくは0〜80%である。
また、その測定方法は、例えば13C−NMR分析において、50.0〜50.5ppmに観測されるメトキシシリル基由来のピークと49.0〜49.5ppmに観測される加水分解で生じるメタノールに由来するピークの積分値を用いて、下記式より算出することができる。
加水分解率(%)=〔メタノール由来ピークの積分値/(メタノール由来ピークの積分値
+メトキシシリル基由来ピークの積分値)〕×100
加水分解性基がメトキシ基でない場合もこれに準じて求めることができる。
本発明の耐候性コーティング組成物は、通常、上述したいずれかの溶剤で希釈され、コーティング組成物の有効成分濃度が5〜20質量%の溶液として使用されることが好ましい。
上記溶剤を加熱により蒸発させる場合、常温〜基材の耐熱温度までの範囲、特に50〜140℃で1分〜3時間、特に5分〜2時間加熱することが好ましい。
また、塗布方法は特に限定されないが、ロールコート、ディップコート、フローコート、バーコート、スプレーコート、スピンコートなどにより行うことができる。
(R7)mSi(OR8)4-m (1)
(式中、R7は炭素数1〜10の1価の有機基、R8は水素原子又は1価の有機基を示し、mは0,1又は2である。)
で示されるオルガノオキシシランの1種類以上の加水分解物又は共加水分解物を塗布し、加熱硬化することで、硬質被膜を得る方法により得られたケイ素酸化物含有硬質被膜が好ましい。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリプロポキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシ又はトリアシルオキシシラン類、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ(2−メトキシエトキシ)シラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジイソプロペノキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、γ−プロピルメチルジメトキシシラン、γ−プロピルメチルジエトキシシラン、γ−プロピルメチルジプロポキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−シアノエチルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン又はジアシルオキシシラン類、
更に、テトラアルコキシシラン類の例として、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート及びt−ブチルシリケート等、
ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)デカン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリルオキシジメチルシリル)ベンゼン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン等のビスシラン化合物を挙げることができる。
更に、上記シラン化合物の(共)加水分解物の硬化触媒として、第四級アンモニウム塩、有機酸のアルカリ金属塩、アルミニウム、チタン、クロム及び鉄等のアルコキシドやキレート、過塩素酸塩、酸無水物、ポリアミン、ルイス酸等を触媒量添加してもよい。
なお、塗布方法は特に限定されないが、ロールコート、ディップコート、フローコート、バーコート、スプレーコート、スピンコートなどにより行うことができる。
加水分解率(%)=〔メタノール由来ピークの積分値/(メタノール由来ピークの積分値
+メトキシシリル基由来ピークの積分値)〕×100
[合成例1]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、溶剤としてジアセトンアルコール152gを仕込み、窒素気流下にて80℃に加熱した。ここに予め調製しておいた単量体混合溶液(2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93、大塚化学(株)製)81g、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを90g、メチルメタクリレート256.5g、グリシジルメタクリレート22.5g、ジアセトンアルコール350g)を混合したもののうち240g、及び予め調製しておいた重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2.3gをジアセトンアルコール177.7gに溶解した溶液のうち54gを順次投入した。80℃で30分反応させた後、残りの単量体混合溶液と残りの重合開始剤溶液を同時に80〜90℃で1.5時間かけて滴下した。更に80〜90℃で5時間撹拌した。
得られたトリメトキシシリル基及び有機系紫外線吸収性基が側鎖に結合したビニル系重合体の粘度は6,120mPa・s、またその共重合体中の紫外線吸収性単量体の含有量は18%、トリメトキシシリル基がC−Si結合を介して側鎖に結合したビニル系単量体量は20%であった。また、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析による重量平均分子量は66,200であった。このようにして得られたビニル系重合体(固形分濃度約40%のジアセトンアルコール溶液)をA−1とする。
表1に示した組成で、合成例1と同様にして、ビニル系重合体A−2、RA−1を得た。
MPTMS :γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
RUVA−1:2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチル)フェニル
]−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93、大塚化学(株)製)
RUVA−2:2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン(B P−1A、大阪有機化学工業(株)製)
GMA :グリシジルメタクリレート
MMA :メチルメタクリレート
[合成例3]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、メチルトリメトキシシラン338gを仕込み、撹拌しながら20℃に維持し、ここに水分散コロイダルシリカ(スノーテックスO(平均粒子径15〜20nm)、日産化学工業(株)製、SiO220%含有品)98g、0.25Nの酢酸水溶液230gを添加して3時間撹拌した。更に、60℃にて3時間撹拌後、シクロヘキサノン300gを添加し、常圧にて副生メタノールを留去した。次いでイソプロパノール300g、0.25%テトラブチルアンモニウムヒドロキシドのイソプロパノール溶液134g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーンKP−341(信越化学工業(株)製)0.5gを添加し、更に不揮発分(JIS K 6833)が20%となるようにイソプロパノールで調整した。こうして得られたコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物の粘度は4.3mm2/s、GPC分析による重量平均分子量は2,300であった。このものをコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物HC−1とする。
[実施例1]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体A−1(固形分濃度約40%のジアセトンアルコール溶液)を400g[固形分160g、固形分換算で100部とする]、有機溶剤に分散したシリカ微粒子としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに分散したコロイダルシリカ(PMA−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)133g[固形分換算25部]、ジアセトンアルコールを100g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gを仕込み、25℃に維持しながらよく撹拌した。得られたコーティング前駆体のカールフィッシャー滴定法による水分量は、1,152ppmであった。ここにオルトギ酸エチルを67g[水分1モルに対し8.8モル]添加した後、よく撹拌した。コーティング前駆体の色調は、オルトギ酸エチル添加前は淡黄色であったが、オルトギ酸エチル添加後は、徐々に濃紫色へと着色した。この着色したコーティング前駆体に、トリブチルアミンを0.5g[有効成分換算0.3部]添加、コーティング組成物P−1を得た。この際、濃紫色が淡黄色へと変化した(図1)。
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体A−2(固形分濃度約40%のジアセトンアルコール溶液)を350g[固形分140g、固形分換算で100部とする]、ジアセトンアルコール100g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100g、及びオルトギ酸エチル50g[実施例1と同様、水分量1,152ppmを含むと仮定して、水分1モルに対して6.6モル]を仕込み、25℃に維持しながらよく撹拌した。得られたコーティング前駆体の色調は淡黄色であった。更に、トリブチルアミン0.1g[有効成分換算0.07部]を添加し、25℃にて30分間撹拌した後、有機溶剤に分散したシリカ微粒子としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに分散したコロイダルシリカ(PMA−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)200g[固形分60g、固形分換算42.9部]を添加、よく撹拌した後に淡黄色のコーティング組成物P−2を得た。
こうして得られたコーティング組成物P−2の粘度は67mm2/s、不揮発分(JIS K 6833)は24.8%、水分量は52ppm、13C−NMR分析による加水分解率は0%であった。
またコーティング組成物P−2を室温で1日保存した後に、表面を清浄化した厚さ5mm、150mm×150mmのポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)にフローコーティング法にて、それぞれ塗布し、120℃にて60分間硬化させ、厚さ10.7μmの被膜を得た。このようにして得られた塗膜を試験片とし、各種物性評価の結果を表2に示した。
実施例2と同様な操作を行い、表2,3に示した組成(固形分換算)を用いてコーティング組成物及び厚さ6〜7μmの被膜を有する試験片を得た。またコーティング組成物及び試験片を用いた各種物性評価の結果も表2,3に示した。
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体A−2を350g[固形分140g、固形分換算で100部とする]、ジアセトンアルコール100g、プロピレンアルコールモノメチルエーテルアセテート100g、及び有機溶剤に分散したシリカ微粒子としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに分散したコロイダルシリカ(PMA−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)200g[固形分60g、固形分換算42.9部]を仕込み、25℃でよく撹拌した。これに脱イオン水4.5g[A−2中のメトキシシリル基1モルに対して0.5モル]を加え、60℃で6時間撹拌した。室温まで冷却後、脱水剤としてオルトギ酸エチル111g[脱イオン水1モルに対して3モル]を加え、撹拌しながらトリブチルアミン0.1g[有効成分換算0.07部]を添加し、更に25℃で3時間撹拌して淡黄色のコーティング組成物P−6を得た。
こうして得られたコーティング組成物P−6の粘度は、103mm2/s、不揮発分(JIS K 6833)は25.3%、水分量668ppm、13C−NMR分析による加水分解率は17%であった。
またコーティング組成物P−6を用い、実施例2と同様な方法でポリカーボネート樹脂板に塗布、硬化させ、厚さ12.6μmの被膜を得た。このようにして得られた塗膜を試験片とし、各種物性評価の結果を表2に示した。
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体A−1を477.7g[固形分191g、固形分換算で100部とする]、ジアセトンアルコール827.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート187.4g、オルト酢酸エチル138.1g[水分量を1,200ppm含むと仮定して、水分1モルに対して8.7モル]を仕込み、25℃にてよく撹拌しながらDBUオクチル酸塩0.2g[有効成分換算0.1部]を添加し、25℃にて30分間撹拌後、有機溶剤に分散したシリカ微粒子としてプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したコロイダルシリカ(PGM−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)112.4g[固形分換算17.6部]を加え、25℃にて30分間撹拌した。その後、不揮発分(JIS K 6833)が12%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで固形分を調整し、淡黄色のコーティング組成物P−7を得た。
こうして得られたコーティング組成物P−7の粘度は25.7mm2/s、水分量は83ppm、13C−NMR分析による加水分解率は0%であった。
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体A−1を477.7g[固形分191g、固形分換算で100部とする]、ジアセトンアルコール827.3gを仕込み、25℃に維持しながらよく撹拌した。ここに脱イオン水5.6g[A−1中のメトキシシリル基1モルに対して0.7モル]を加え、80℃に保ちながら5時間撹拌した。室温まで冷却後、有機溶剤に分散したシリカ微粒子としてプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散したコロイダルシリカ(PGM−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)112.4g[固形分換算17.6部]、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート187.4gを仕込み、25℃に維持しながら10時間撹拌した。その後、脱水剤としてオルトギ酸エチル138.1g[脱イオン水1モルに対して3モル]を加え、25℃で撹拌しながらDBUオクチル酸塩0.2g[有効成分換算0.1部]を添加し、更に25℃にて3時間撹拌後、不揮発分(JIS K 6833)が12%となるようにジアセトンアルコールで固形分を調整し、淡黄色のコーティング組成物P−8を得た。
こうして得られたコーティング組成物P−8の粘度は30.7mm2/s、水分量は438ppm、13C−NMR分析による加水分解率は25%であった。
実施例2及び4で得られたコーティング組成物P−2及びP−4を用いて、それぞれ不揮発分(JIS K 6833)が12%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで固形分を調整した後、実施例7と同様に、コーティング積層被膜を得た(実施例9のコーティング硬化被膜厚さ:6.6μm、上層硬化被膜厚さ:2.7μm、実施例10のコーティング硬化被膜厚さ:6.8μm、上層硬化被膜厚さ:2.7μm)。このようにして得た被膜の物性を表4に示した。
比較例1及び6で得られたコーティング組成物PR−1及びPR−6を用いて、それぞれ不揮発分(JIS K 6833)が12%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで固形分を調整した後、実施例7と同様に、コーティング積層被膜を得た(比較例7のコーティング硬化被膜厚さ:6.4μm、上層硬化被膜厚さ:2.8μm、比較例8のコーティング硬化被膜厚さ:7.0μm、上層硬化被膜厚さ:2.6μm)。このようにして得た被膜の物性を表5に示した。
<(B)有機溶剤に分散したシリカ微粒子>
B−1 :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに分散したコロイダ
ルシリカ(PMA−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm
、日産化学工業(株)製)
DBUオクチル酸塩:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7とオクチル
酸との塩
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
Tinuvin400:ヒドロキシフェニルトリアジン(Ciba製)
Tinuvin770:ビス(2,2,6,6)テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ
ート(2級アミンタイプの光安定剤、Ciba製)
UVA−1 :酸化亜鉛微粒子の15%アルコール系溶剤分散液(ZNAP15WT%、
シーアイ化成(株)製)
UVA−2 :2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(シーソーブ10
6、シプロ化成(株)製)
評価は、本発明のコーティング組成物及びその硬化被膜単独(実施例2〜6、比較例1〜6)、並びに該硬化被膜の上にコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物を硬化・積層させた積層膜(実施例7〜10、比較例7、8)について各種評価を行った。
[保存安定性]
○:2週間後の粘度と初期粘度との差が20mm2/s未満
△:2週間後の粘度と初期粘度との差が20mm2/s以上50mm2/s未満
×:2週間後の粘度と初期粘度との差が50mm2/s以上
[耐候塗膜クラック]
耐候性試験後の塗膜外観を下記の基準で評価した。
○:異常なし
△:僅かにクラックあり
×:塗膜全体にクラックあり
[耐候塗膜剥離]
耐候性試験後の塗膜の剥離状態を下記の基準で評価した。
○ :異常なし
△1:コロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物層とコーティング組成物層との間で一部剥離
△2:コーティング組成物層と基材との間で一部剥離
×1:コロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物層とコーティング組成物層との間で全面剥離
×2:コーティング組成物層と基材との間で全面剥離
一方、比較例1では、3級アミン又はその有機酸塩(E)を使用せず、また比較例2〜5では、(E)の代わりに各種の窒素原子含有の添加剤を使用した。その結果、(E)不使用(比較例1)や添加剤として、アミンではないN,N−ジメチルホルムアミド(比較例3)、Tinuvin400(トリアジン、比較例4)では、得られたコーティング組成物の色調は濃紫色と強く着色し、コーティング被膜も薄黄色と着色した。また、(E)の代わりに1級もしくは2級アミン添加剤を使用した比較例2(t−ブチルアミン、1級アミン)や比較例5[Tinuvin770(2級アミン型光安定剤)]では、コーティング組成物の着色は防止できたものの、粘度変化が大きく、保存安定性に欠けることが判った。
また比較例6では、ビニル系重合体(A)として、有機系紫外線吸収性基の単位(a−2)を含まないRA−1を用いているため、組成物PR−6は着色せず、粘度変化も小さかったが、耐候性試験で早期に剥離が見られた。
Claims (14)
- 以下の(A)〜(E)成分を含有してなり、下記の工程(I)、(II)を含むことを特徴とする耐候性コーティング組成物の製造方法。
加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、
有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、
カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、
オルトカルボン酸エステル(D)、
3級アミン又はその有機酸塩(E)、
(I)前記(E)成分を除く1つ以上の成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(II)前記(I)の工程で得られたコーティング前駆体に前記(E)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(II)工程の後で添加する。 - 以下の(A)〜(E)成分を含有してなり、下記の工程(III)〜(V)を含むことを特徴とする耐候性コーティング組成物の製造方法。
加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、
有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、
カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、
オルトカルボン酸エステル(D)、
3級アミン又はその有機酸塩(E)、
(III)前記(A)成分単独、又は前記(D)成分を除く1つ以上の成分及び(A)成分を含むコーティング前駆体を調製する工程、
(IV)前記(III)の工程で得られたコーティング前駆体に水を加えて部分加水分解を行う工程、
(V)前記(IV)の工程で得られたコーティング前駆体部分加水分解物に、前記(D)成分を添加する工程。
但し、前記工程において未添加成分がある場合は、(V)工程の後で添加する。 - 加水分解に使用する水の量が、ビニル系重合体(A)中の加水分解性シリル基の加水分解性基1モルに対して、5モル未満であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
- オルトカルボン酸エステル(D)が、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル及びオルト酢酸エチルから選ばれる少なくとも1種である請求項1、2又は3に記載の製造方法。
- カルボニル基を含有する有機溶剤(C)が、炭素数3〜10のケトン及びカルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 3級アミン又はその有機酸塩(E)が、トリブチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5及びそれらのカルボン酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)が、加水分解性シリル基がC−Si結合を介して結合したビニル系単量体(a−1)、有機系紫外線吸収性基を有するビニル系単量体(a−2)、エポキシ基含有のビニル系単量体(a−3−i)、及び共重合可能な他の単量体(a−3−ii)からなる単量体成分を共重合して得られるビニル系重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)、有機溶剤に分散したシリカ微粒子(B)、カルボニル基を含有する有機溶剤(C)、及びオルトカルボン酸エステル(D)を含有してなる耐候性コーティング組成物の着色を防止する方法であって、該組成物に3級アミン又はその有機酸塩(E)を添加してなることを特徴とする耐候性コーティング組成物の着色防止方法。
- オルトカルボン酸エステル(D)が、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル及びオルト酢酸エチルから選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の着色防止方法。
- カルボニル基を含有する有機溶剤(C)が、炭素数3〜10のケトン及びカルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項8又は9に記載の着色防止方法。
- 3級アミン又はその有機酸塩(E)が、トリブチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5及びそれらのカルボン酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項8〜10のいずれか1項に記載の着色防止方法。
- 加水分解性シリル基及び有機系紫外線吸収性基がそれぞれ側鎖に結合したビニル系重合体(A)が、加水分解性シリル基がC−Si結合を介して結合したビニル系単量体(a−1)、有機系紫外線吸収性基を有するビニル系単量体(a−2)、エポキシ基含有のビニル系単量体(a−3−i)、及び共重合可能な他の単量体(a−3−ii)からなる単量体成分を共重合して得られるビニル系重合体であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の着色防止方法。
- 基材に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造されたコーティング組成物を塗布、硬化させてなる被膜の表面に、ケイ素酸化物含有硬質被膜を積層してなることを特徴とする被覆物品。
- ケイ素酸化物含有硬質被膜が、下記一般式(1)
(R7)mSi(OR8)4-m (1)
(式中、R7は炭素数1〜10の1価の有機基、R8は水素原子又は1価の有機基を示し、mは0,1又は2である。)
で示されるオルガノオキシシランの1種類以上の加水分解物又は共加水分解物と、シリカ微粒子とを含むハードコーティング組成物から形成されることを特徴とする請求項13に記載の被覆物品。
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JP5637161B2 (ja) | 2014-12-10 |
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