JPH1024518A - ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム - Google Patents

ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム

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JPH1024518A
JPH1024518A JP18045796A JP18045796A JPH1024518A JP H1024518 A JPH1024518 A JP H1024518A JP 18045796 A JP18045796 A JP 18045796A JP 18045796 A JP18045796 A JP 18045796A JP H1024518 A JPH1024518 A JP H1024518A
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Japan
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film
δhm
gas barrier
δhc
polylactic acid
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JP18045796A
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Jun Takagi
潤 高木
Toshiyuki Aritake
利行 有竹
Shigenori Terada
滋憲 寺田
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Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性と透明性とを有し、さらに、機
械特性を有するポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム
を提供することにある。 【解決手段】 面配向度Δpが3.0×10−3〜30
×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量Δ
Hmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHc
との差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および
{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.75以上である
ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、前記
ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくとも一
方の面に、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒
化物の層が設けられていることを特徴とするポリ乳酸系
生分解性ガスバリアフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】食品包装等に好適なガスバリ
ア性を有する生分解性のフィルムを提供する。
【0002】
【従来の技術】食品包装、電子材料、医用材料包装等の
用途においては、大気中の水蒸気や酸素、あるいは、そ
の他の気体が内容物を変成させることを防ぐために、気
体透過率が小さいガスバリア性のフィルムが用いられ
る。
【0003】ガスバリア性のフィルムとしては、ポリア
ミドやエチレンポリビニルアルコール共重合体の積層フ
ィルム、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
プロピレン等に金属、特に、アルミニウムを真空蒸着し
たフィルムが様々な分野で使用されている。また、アル
ミニウムは不透明であり、内容物を透視する必要がある
場合には、酸化ケイ素等の無機酸化物を真空蒸着したフ
ィルムが提案されている。
【0004】一方、近年環境問題の高まりから、これら
フィルム製品に限らずプラスチック加工品全般に対し
て、自然環境中に棄却された場合、経済的に分解・消去
し、最終的に自然環境に悪影響を及ぼさないことが求め
られている。
【0005】従来のプラスチックフィルム製品は、自然
環境中で長期に渡って安定であり、しかも高比重が小さ
いため、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然
の景観や野生生物の正確環境を損なうといった問題点が
指摘されていた。
【0006】そこで、今日注目を集めているのが、生分
解性プラスチック材料である。生分解性プラスチック
は、土壌中や水中で、加水分解や生分解により、徐々に
崩壊・分解が進行し、最終的には微生物の作用により無
害な分解物となることが知られている。
【0007】実用化され始めている生分解性プラスチッ
クは脂肪族ポリエステル、変成ポリビニルアルコール、
セルロースエステル化合物、デンプン変成体およびこれ
らのブレンド体に大別される。
【0008】脂肪族ポリエステルとしては、微生物産出
系重合体としてポリ(ヒドロキシ酪酸/吉草酸)が、合
成系重合体としてポリカプロラクトンや脂肪族ジカルボ
ン酸と脂肪族ジオールの縮合体が、そして、半合成系重
合体としてポリ乳酸系重合体が、それぞれ代表的に知ら
れている。
【0009】これらの生分解性プラスチックは各々に固
有の特徴を有し、これらに応じた用途展開が考えられる
が、この中でも、ポリ乳酸系重合体は、他の生分解性プ
ラスチックと比較して、透明性・剛性・耐熱性・加工性
等が秀でていることから、従来硬質PVCやPETが使
用されてきた硬質透明フィルム用途への展開が図られよ
うとしている。
【0010】ところが、ポリ乳酸系重合体を初めとする
生分解性プラスチックから作られたフィルムはガスバリ
ア性が乏しく、広い分野に普及する上での実用上の大き
な障害となっていた。そこで、特開平6−8370号に
は、ガスバリア性のポリ乳酸フィルムが開示されている
が、この技術では、ポリ乳酸フィルムの大きな長所であ
る透明性について検討されていない。また、フィルムの
機械物性も十分ではなく、用途は限定される。
【0011】一方、PETフィルムやOPPフィルム等
の汎用プラスチックフィルムにおいては、例えば特開平
4−337067号、特開平4−353531号に、透
明性を維持したままガスバリア性フィルムを得る方法が
開示されているが、これらの方法では、工程で発生する
熱のためにフィルムの変形や溶融が発生し、ポリ乳酸フ
ィルムを始めとする生分解性フィルムに適用することは
不可能であった。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】上述したように、従
来知られている技術ではガスバリア性を備え、さらに、
透明性を有しているポリ乳酸系フィルムは提供されてい
ない。そこで、本発明の目的はガスバリア性と透明性と
を有し、さらに、機械特性を有するポリ乳酸系生分解性
ガスバリアフィルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の本旨は、面配向
度Δpが3.0×10−3〜30×10−3、フィルム
を昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化
により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔH
c)が20J/g以上および{(ΔHm−ΔHc)/Δ
Hm}が0.75以上であるポリ乳酸系生分解性ガスバ
リアフィルムであって、前記ポリ乳酸系生分解性ガスバ
リアフィルムの少なくとも一方の面に、無機酸化物、無
機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられている
ことを特徴とするポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィル
ムである。異なる本発明の要旨は、面配向度Δpが3.
0×10−3〜30×10−3、フィルムを昇温したと
きの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生す
る結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が20J
/g以上および{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.
75以上であるポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム
であって、前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルム
の少なくとも一方の面に、ケイ素酸化物SiO(X:
1.5〜2)の層が設けられていることを特徴とするポ
リ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリ乳酸系重
合体とは、ポリ乳酸または乳酸と他のヒドロキシカルボ
ン酸との共重合体、もしくはこれらの組成物であり、本
発明の効果を阻害しない範囲で他の高分子材料が混入さ
れても構わない。また、成形加工性、シートや加工品の
物性を調整する目的で、可塑剤、滑剤、無機フイラー、
紫外線吸収剤などの添加剤、改質剤を添加することも可
能である。
【0015】乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸が挙げ
られ、他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール
酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒ
ドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキ
シカプロン酸などが代表的に挙げられる。
【0016】これらの重合法としては、縮合重合法、開
環重合法など、公知のいずれの方法を採用することも可
能であり、さらには、分子量増大を目的として少量の鎖
延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ
化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わ
ない。重合体の重量平均分子量としては、50,000
から1000,000の範囲が好ましく、かかる範囲を
下まわると実用物性がほとんど発現されないなどの問題
を生じる。また上まわる場合には、溶融粘度が高くなり
すぎ成形加工性に劣る。
【0017】いずれの場合においても、ポリ乳酸系重合
体が本来的に有する脆性を大幅に改良し、そのフィルム
強度をより向上させるために、ポリ乳酸系フィルムの面
配向度Δpを3.0×10−3〜30×10−3に調整
することが重要である。また、後述する熱処理(熱固
定)の効果を発現させ、フィルムに熱寸法安定性を付与
する上でも、大きな意味を持つ。
【0018】ΔPは、フィルムの厚み方向に対する面方
向の配向度を表わし、通常直交3軸方向の屈折率を測定
し以下の式で算出される。
【0019】 ΔP={(γ+β)/2}−α (α<β<γ) ここで、γ、βがフィルム面に平行な直交2軸の屈折
率、αはフィルム厚さ方向の屈折率である。
【0020】ΔPは結晶化度や結晶配向にも依存する
が、大きくはフィルム面内の分子配向に依存する。つま
りフィルム面内、特にフィルムの流れ方向および/また
はそれと直交する方向の1または2方向に対し、分子配
向を増大させることにより、無配向シート・フィルムで
は1.0×10−3以下であるΔPを本発明で規定する
3.0×10−3以上に増大させることができる。
【0021】ΔPを増大させる方法としては、既知のあ
らゆるフィルム延伸法に加え、電場や磁場を利用した分
子配向法を採用することもできる。
【0022】通常は、Tダイ・Iダイ・丸ダイ等から溶
融押し出ししたシート状物または円筒状物を冷却キャス
トロールや水、圧空等により急冷し非晶質に近い状態で
固化させた後、ロール法・テンター法・チューブラー法
等により一軸または二軸に延伸する方法が、工業的に望
ましく採用される。
【0023】延伸条件としては、延伸温度50〜100
℃、延伸倍率1.5倍〜5倍、延伸速度100%/分〜
10000%/分が一般的ではあるが、この適正範囲は
重合体の組成や、未延伸シートの熱履歴によって異なっ
てくるので、ΔPの値を見ながら適宜決められる。
【0024】こうして延伸されたポリ乳酸系フィルム
は、本来的に有する脆性が大幅に改良され、機械強度が
向上している。得られた延伸フィルムは熱収縮性のフィ
ルムである。
【0025】ところが、上記フィルムにガスバリア性を
付与するために、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機
酸化窒化物の層を設けると、その際に発生する熱でフィ
ルムが収縮してしまい、均一な無機層を得ることができ
ない。さらには、フィルムがたわみ、フィルムそのもの
が得ることができないことがある。
【0026】ポリ乳酸系フィルムに熱寸法安定性を付与
するためには、面配向度Δpが3.0×10−3〜30
×10−3のフィルムを昇温したときの結晶融解熱量Δ
Hmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHc
との差(ΔHm−ΔHc)を20J/g以上かつ{(Δ
Hm−ΔHc)/ΔHm}を0.75以上に制御するこ
とが重要である。
【0027】すなわち、これらの条件を下回る場合は、
フィルムの熱寸法安定性が不良であり、無機酸化物、無
機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層を設ける工程で発
生する熱により収縮してしまい、ガスバリア性フィルム
を得ることができない。かかる条件を上回れば、熱寸法
安定性が良好となり、実用上支障がなくなる。
【0028】ΔHm、ΔHcは、フィルムサンプルの示
差走査熱量測定(DSC)により求められるもので、Δ
Hmは昇温速度10℃/分で昇温したときの全結晶を融
解させるのに必要な熱量であって、重合体の結晶融点付
近に現れる結晶融解による吸熱ピークの面積から求めら
れる。またΔHcは、昇温過程で生じる結晶化の際に発
生する発熱ピークの面積から求められる。
【0029】ΔHmは、主に重合体そのものの結晶性に
依存し、結晶性が大きい重合体では大きな値を取る。ち
なみに共重合体のないL−乳酸またはD−乳酸の完全ホ
モポリマーでは、60J/g以上であり、これら2種の
乳酸の共重合体ではその組成比によりΔHmは変化す
る。ΔHcは、重合体の結晶性に対するその時のフィル
ムの結晶化度に関係する指標であり、ΔHcが大きいと
きには、昇温過程でフィルムの結晶化が進行する。すな
わち重合体が有する結晶性を基準にフィルムの結晶化度
が相対的に低かったことを表す。逆に、ΔHcが小さい
時は、重合体が有する結晶性を基準にフィルムの結晶化
度が相対的に高かったことを表す。
【0030】すなわち、(ΔHm−ΔHc)を増大させ
るための1つの方向は、結晶性が高い重合体を原料に、
結晶化度の比較的高いフィルムをつくることである。フ
ィルムの結晶化度は、重合体の組成に少なからず依存
し、重合体そのもののΔHmを20J/g以上にするに
は、L−乳酸とD−乳酸から共重合体を作るケースにお
いては、その組成比を100:0〜94:6の範囲内ま
たは0:100〜6:94の範囲内に調製することが好
ましい。また、ΔHcを低下させるためには、すなわち
フィルムの結晶化度を高めるためにはフィルムの成形加
工条件を選定する必要がある。
【0031】成形加工工程、特にテンター法2軸延伸に
おいてフィルムの結晶化度を上げるためには、延伸倍率
を上げ配向結晶化を促進する、延伸後に結晶化温度以上
の雰囲気で熱処理するなどの方法が有用である。なお、
ΔPが大きいほど結晶化温度が低下する傾向があり、本
発明の場合には鋭意検討した結果少なくとも70℃以上
で、好適には90℃〜170℃の範囲で3秒以上熱処理
することで熱寸法安定性が付与できる。この範囲内で熱
処理温度が高いほど、また熱処理時間が長いほど熱寸法
安定性は向上する。
【0032】フィルムの厚みは特に限定されないが、用
途に応じて、5μm〜1mmの範囲で選択される。
【0033】本発明では、得られたポリ乳酸系フィルム
の少なくとも片面に、無機酸化物、無機窒化物あるいは
無機酸化窒化物の層を設けることにより、ガスバリア性
を付与する。具体的には、Si、Al、Ti、Zr、T
a、NbまたはSn等の酸化物、窒化物あるいは酸化窒
化物等が好適である。
【0034】上記無機物のうち価格が安価なことから好
んで使用されるのは、組成式SiOで表わされるケイ
素酸化物である。SiOにおいて、Xが1.5未満で
はフィルムが黄色から茶色に着色し、光線透過率が低下
する。また、Xが2.0を上回る場合には耐ゲルボ性、
すなわちガスバリアの屈曲の耐久性が低下する。すなわ
ちSiOにおいて、Xが1.5〜2.0の範囲にある
とガスバリア性に加えて、光線透過率と耐ゲルボ性も改
善される。
【0035】層の形成方法としては、蒸着法・スパッタ
ー法・イオンプレーティング法・化学気相成長(CV
D)法・ゾルゲル法を挙げることができる。このうち、
経済上最も好ましいのは蒸着法であり、工程で熱が発生
しにくいのは化学気相成長(CVD)法とゾルゲル法で
ある。本発明のポリ乳酸系フィルムを用いれば、いずれ
の方法でも層を設けることが可能である。
【0036】無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化
窒化物層の化学組成の制御は、形成方法や装置により異
なるが、蒸着物質やターゲット物質の選択、さらには雰
囲気気体の種類と量により、決定される。
【0037】例えば蒸着法で、SiO層を持つポリ乳
酸系フィルムを得るには、真空チャンバー中で、所定の
割合でSiOとSiOを混合したるつぼを熱線加熱・
アーク蒸発・レーザー加熱・高周波加熱・電子ビーム加
熱等の方法により加熱し、るつぼ上にフィルムを置く。
必要に応じ、真空チャンバー中に巻き出し・巻き取り機
を設置し、フィルムを連続で処理できるようにすること
もできる。
【0038】また、例えばスパッター法で、SiO
を持つポリ乳酸系フィルムを得るには、ターゲット物質
としてSiを用い、真空チャンバー中のスパッターガス
中の酸素濃度を調整する。また、窒素、酸素と窒素の混
合ガスを用いれば、それぞれ窒化物、酸化窒化物を得る
ことができる。さらには、バイアススパッター・マグネ
トロンスパッター・イオンビームスパッター方式を用い
ると、より純度の高い層を得ることができる。
【0039】無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化
窒化物層の層厚は、化学組成により異なるが、5〜20
0nmの範囲が好適である。5nm未満では、ガスバリ
ア性不十分になり、逆に200nmを超えると屈曲破壊
を起こしやすくなり、耐ゲルボ性が低下する。
【0040】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらにより本発明
は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示
す測定値は次に示すような条件で測定を行い、算出し
た。
【0041】(1)ΔP アッベ屈折計によって直交3軸方向の屈折率(α、β、
γ)を測定し、次式で算出した。
【0042】 ΔP={(γ+β)/2}−α (α<β<γ) γ:フィルム面内の最大屈折率 β:それに直交するフィルム面内方向の屈折率 α:フィルム厚さ方向の屈折率 なお、本発明においては、ΔPはポリ乳酸系重合体フィ
ルムについて規定するものであるので、共押出などによ
り積層後、延伸・熱処理された場合には、必要に応じ、
ポリ乳酸系重合体フィルム層以外のフィルム層を除去
し、ポリ乳酸系重合体フィルムについて測定する。
【0043】(2)熱分析 示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー製)を用
い、原料ペレット、もしくはポリ乳酸系フィルム層のフ
ィルムサンプル10mgをJIS−K7122に基づ
き、昇温速度10℃/分で昇温した時のサーモグラムか
ら、結晶融解熱量ΔHm・結晶化熱量ΔHcを求め、
(ΔHm−ΔHc),{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}
の値を算出した。
【0044】(3)光線透過率 反射・透過率計HR−100(村上色彩技術研究所
(株)製)を用い、JIS−K7105に基づいて測定
した。
【0045】(4)ガスバリア性(酸素透過率・水蒸気
透過率) 酸素透過率は、ガス透過測定装置M−C3((株)東洋
精機製)を用い、JIS−Z0208に準拠して、23
℃,0%RHで測定した。単位はcc/m・24h・
atmである。水蒸気透過率はパーマトランW3/31
(モダンコントロールズ社製)を用い、JIS−K71
26に準拠して、40℃・90%で測定した。単位は、
g/m・24h・atmである。
【0046】(5)耐ゲルボ性 ゲルボフレックステスター(理学工業(株)製)を用
い、MIL−B131Hに準拠して、20℃,65%R
Hの雰囲気下、40往復/minの速度で試験を行った
後、酸素透過率を上述した方法を同様な方法で測定し
た。
【0047】(実施例1)重量平均分子量20万のポリ
L−乳酸((株)島津製作所製ラクティ1012)を6
0mmφ単軸押出機でTダイ押出した後、キャストロー
ルで急冷してシートを得た。このシートを三菱重工業
(株)製フィルムテンターを用い、70℃で2.5倍縦
延伸、70℃で2.5倍横延伸をした後、120℃で3
0秒熱処理(熱固定)を行い、厚み20μmのポリ乳酸
フィルムを得た。得られたフィルムのΔpは14.8、
(ΔHm−ΔHc)は45J/g、{(ΔHm−ΔH
c)/ΔHm}は0.90であった。
【0048】電子ビーム加熱方式真空蒸着機(レイボル
ド社製)を用いて、SiO:SiO=1:2混合物を
原料とし、真空度5×10−5の空気雰囲気下で、連続
的に蒸着処理した。尚、SiO層は片面にのみ設けた。
処理中フィルムにトラブルが発生することなく、厚み5
00AのSiO1.8層を形成することができた。得ら
れた試料の光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率を測
定して表1に示した。さらに、耐ゲルボ性については表
2に示した。
【0049】(実施例2〜4)実施例1で使用したポリ
乳酸系フィルムに、高周波スパッタリング装置ILC−
3104(日電アネルバ(株)製)を用いターゲット物
質とスパッターガスを選択して、表1に示す化学組成を
有する層を片面に設けた実施例2〜4の試料を得た。得
られた試料の光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率を
測定して表1に示した。
【0050】(比較例1)熱処理を行わない以外は実施
例1と同様の方法で、厚み20μmのポリ乳酸系フィル
ムを得た。得られたフィルムのΔpは10.5、(ΔH
m−ΔHc)は35J/g、{(ΔHm−ΔHc)/Δ
Hm}は0.69であった。前記フィルムを実施例1と
同様の方法で、蒸着処理したところ工程中でフィルムが
収縮して、無機酸化物の層を形成することができなかっ
た。
【0051】(比較例2)実施例1と同様の方法で、延
伸工程なしにTダイ押出するのみで、厚み20μmのポ
リ乳酸系フィルムを得た。このフィルムのΔpは、0.
1、(ΔHm−ΔHc)は10J/g、{(ΔHm−Δ
Hc)/ΔHm}は0.17であった。このフィルムを
実施例1と同様の方法で、蒸着処理したところ工程中で
フィルムが柔軟化してシワを発生し、無機酸化物の層を
形成することができなかった。
【0052】(比較例3)実施例1で使用したポリ乳酸
系フィルムの光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率を
測定して表1に示した。
【0053】(実施例5〜7)実施例1で得られたポリ
乳酸系フィルムを用い蒸着処理するにあたり、SiO:
SiOの混合比と真空チャンバー中の酸素濃度を変化
させることにより、形成されるSiO層のXを変化さ
せ、表2に示す組成を有する層を片面に有する実施例5
〜7の試料を得た。各試料の光線透過率、酸素透過率、
水蒸気透過率、耐ゲルボ性について表2に示した。
【0054】
【表1】
【表2】 表1より明らかなように、Δp、(ΔHm−ΔHc)お
よび{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が本発明の範囲内
にあり、ポリ乳酸系生分解性フィルムの少なくとも一方
の面に、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化
物の層が設けられている実施例1〜4のフィルムは光線
透過率、酸素透過率、水蒸気透過率ともに優れたポリ乳
酸系生分解性ガスバリアフィルムである。
【0055】一方、Δp、(ΔHm−ΔHc)および
{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が本発明の範囲外であ
る比較例1,2は蒸着中にフィルムが収縮あるいはシワ
が生じて、無機酸化物の層を形成することができなかっ
た。Δp、(ΔHm−ΔHc)および{(ΔHm−ΔH
c)/ΔHm}が本発明の範囲内にあるが、無機酸化
物、無機窒化物あるいは無機酸化窒化物の層が設けられ
ていない比較例3は酸素透過率、水蒸気透過率が高くガ
スバリア性を有していない。
【0056】表2にはSiO層のXの値を変化してい
る。実施例1,6のフィルムようにX=1.5〜2の範
囲では、光線透過率、酸素透過率、水蒸気透過率さらに
耐ゲルボ性も優れたポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィ
ルムである。
【0057】一方、X=1.3の実施例5はガスバリア
性、耐ゲルボ性が優れているが、光線透過率が若干劣る
ため、極めて高い透明性が必要とされる仕様には適して
いない。また、X=2.2の実施例7はガスバリア性、
光線透過率が優れているが、耐ゲルボ性が若干劣るた
め、が必要とされる仕様には適さない。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればガ
スバリア性を有するポリ乳酸系生分解性フィルムを得る
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面配向度Δpが3.0×10−3〜30
    ×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量Δ
    Hmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHc
    との差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および
    {(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.75以上である
    ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、 前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくと
    も一方の面に、無機酸化物、無機窒化物あるいは無機酸
    化窒化物の層が設けられていることを特徴とするポリ乳
    酸系生分解性ガスバリアフィルム。
  2. 【請求項2】 面配向度Δpが3.0×10−3〜30
    ×10−3、フィルムを昇温したときの結晶融解熱量Δ
    Hmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHc
    との差(ΔHm−ΔHc)が20J/g以上および
    {(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.75以上である
    ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムであって、 前記ポリ乳酸系生分解性ガスバリアフィルムの少なくと
    も一方の面に、ケイ素酸化物SiO(X:1.5〜
    2)の層が設けられていることを特徴とするポリ乳酸系
    生分解性ガスバリアフィルム。
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