JPH10239129A - 感熱式フローセンサ - Google Patents

感熱式フローセンサ

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Publication number
JPH10239129A
JPH10239129A JP9046387A JP4638797A JPH10239129A JP H10239129 A JPH10239129 A JP H10239129A JP 9046387 A JP9046387 A JP 9046387A JP 4638797 A JP4638797 A JP 4638797A JP H10239129 A JPH10239129 A JP H10239129A
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JP
Japan
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temperature
heating element
flow sensor
output voltage
downstream
Prior art date
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Pending
Application number
JP9046387A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinobu Nakayama
義宣 中山
Hiroyuki Horiguchi
浩幸 堀口
Shinichi Suzuki
伸一 鈴木
Shinji Hirano
真司 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Seiki Co Ltd
Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Seiki Co Ltd
Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Seiki Co Ltd, Ricoh Elemex Corp, Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2発熱体方式に関して、その環境温度を考慮
したときの影響を踏まえて、現実に作製した場合のフロ
ーセンサの仕様を満たすための許容誤差を明かにし、実
際に使用できる感熱式フローセンサを提供する。 【解決手段】 上流側発熱体5u、下流側発熱体5dの
各々の基準温度時の抵抗値をRhu0 ,Rhd0 ,これらの
発熱体5u,5dの温度係数の平均値をα,発熱体5
u,5d単体の出力電圧オフセットを含む流量零時の出
力電圧に対する環境温度Tが変化したときの出力電圧の
変化の割合をmとしたとき、 |(Rhd0 /Rhu0 )−1|≦ m/Tα なる関係を満たすようにすることで、上流側発熱体5u
と下流側発熱体5dとの抵抗値に誤差があり、環境温度
に変化があっても、センサ出力が許容範囲内に収まるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の流れにより
冷却される上流側及び下流側の2つの発熱体の電圧変化
等を利用して流量を測定するガスメータ、マスフローセ
ンサ等に適用される感熱式フローセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フルイディック流体素子を用いた
流量計が従来の積分型の膜式メータに代わる次世代のガ
スメータとして盛んに研究されている。しかしながら、
フルイディック流体素子は、150〔L/H〕(“L”
はリットルを示す;以下同じ)以下の低流量は測定でき
ないので、低流量域測定用流量計としてマイクロブリッ
ジ上に流体に晒される発熱体を配した感熱式フローセン
サが用いられている。
【0003】このような感熱式フローセンサとして、例
えば、特公平6−25684号公報に示されるように流
体の流れの上流側に位置する上流側発熱体と下流側に位
置する下流側発熱体との2つの発熱体を備えた2発熱体
方式としたものがある。より具体的には、シリコンなど
の基板に形成した橋上に上流側発熱体と下流側発熱体と
を薄膜形成し、これらの発熱体の温度を一定にて駆動す
る定温度駆動方式、或いは、これらの発熱体に一定電流
を流して駆動する定電流駆動方式にて動作させた場合の
出力電圧を監視することにより流速ないしは流量を測定
するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような2発熱体方
式にあっては、その駆動方式を問わず、流体(ガス)の
流速に対応して得られる出力信号の温度特性を少なくす
るため、抵抗値及び温度係数が、上流側発熱体と下流側
発熱体とで一致していることが望ましく、現に特公平6
−25684号公報等にあっても両者の特性が一致して
いることを前提としているものと思われる。これは、ガ
スメータ等にあっては、−25℃〜75℃といった広範
囲の使用温度範囲が仕様として設定されているので重要
である。
【0005】ところが、この種の感熱式フローセンサを
実際に作製する上で、上流側発熱体と下流側発熱体とに
関してその特性を全く同一にすることは極めて困難であ
り、少なからず差異を生じてしまう。
【0006】この点、前述した特公平6−25684号
公報にあっては2つの発熱体間の特性の差についての言
及がないため、現実に作製した場合には、ガスメータ等
として要求される仕様を満たさなくなってしまうおそれ
があり、使用不可能となってしまう場合も多々ある。
【0007】そこで、本発明は、2発熱体方式に関し
て、その環境温度を考慮したときの影響を踏まえて、現
実に作製した場合のフローセンサの仕様を満たすための
許容誤差を明かにし、実際に使用できる感熱式フローセ
ンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
流体の流れの上流側に位置する上流側発熱体と下流側に
位置する下流側発熱体との2つの発熱体を有する感熱式
フローセンサにおいて、上流側発熱体の基準温度時の抵
抗値をRhu0 ,下流側発熱体の基準温度時の抵抗値をR
hd0 ,これらの発熱体の温度係数の平均値をα,発熱体
単体の出力電圧オフセットを含む流量零時の出力電圧に
対する環境温度T(ただし、環境温度Tは基準温度に対
するフローセンサの使用温度範囲を意味する)が変化し
たときの出力電圧の変化の割合をmとしたとき、 |(Rhd0 /Rhu0 )−1| ≦ m/Tα なる関係を満たすようにした。従って、上流側発熱体と
下流側発熱体との抵抗値に誤差があり、環境温度に変化
があっても、センサ出力が許容範囲内に収まる感熱式フ
ローセンサとなる。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の感
熱式フローセンサにおいて、Rhd0/Rhu0 の値の1か
らのずれを、±0.08以下の範囲とした。従って、具
体的に−25〜75〔℃〕の範囲で変化する環境温度範
囲であっても、発熱体として現実に使える金属である温
度係数が0.0025〜0.0065〔/K〕の範囲
で、センサ出力が許容範囲である1〔%〕に収まる抵抗
値を持つ発熱体を有する感熱式フローセンサとなる。
【0010】請求項3記載の発明は、流体の流れの上流
側に位置する上流側発熱体と下流側に位置する下流側発
熱体との2つの発熱体を有する感熱式フローセンサにお
いて、上流側発熱体の基準温度時の温度係数をαu ,下
流側発熱体の基準温度時の温度係数をαd ,これらの発
熱体の温度係数の平均値をα,発熱体単体の出力電圧オ
フセットを含む流量零時の出力電圧に対する環境温度T
(ただし、環境温度Tは基準温度に対するフローセンサ
の使用温度範囲を意味する)が変化したときの出力電圧
の変化の割合をmとしたとき、 |(αd /αu )−1| ≦ m/Tα なる関係を満たすようにした。従って、従って、上流側
発熱体と下流側発熱体との温度係数に誤差があり、環境
温度に変化があっても、センサ出力が許容範囲内に収ま
る感熱式フローセンサとなる。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項3記載の感
熱式フローセンサにおいて、αd /αu の値の1からの
ずれを、±0.08以下の範囲とした。従って、具体的
に−25〜75〔℃〕の範囲で変化する環境温度範囲で
あっても、発熱体として現実に使える金属である温度係
数が0.0025〜0.0065〔/K〕の範囲で、セ
ンサ出力が許容範囲である1〔%〕に収まる温度係数の
発熱体を有する感熱式フローセンサとなる。
【0012】請求項5記載の発明は、流体の流れの上流
側に位置する上流側発熱体と下流側に位置する下流側発
熱体との2つの発熱体を有する感熱式フローセンサにお
いて、基準温度時の抵抗値をRhu0 ,下流側発熱体の基
準温度時の抵抗値をRhd0 ,上流側発熱体の温度係数を
αu ,下流側発熱体の温度係数をαd ,これらの発熱体
の抵抗値の平均値をRh0,これらの発熱体の温度係数の
平均値をα,発熱体単体の出力電圧オフセットを含む流
量零時の出力電圧に対する環境温度T(ただし、環境温
度Tは基準温度に対するフローセンサの使用温度範囲を
意味する)が変化したときの出力電圧の変化の割合をm
としたとき、m/Tαの値が3×m/Tα以下であるこ
とを条件に、 |αuhu0 −αdhd0 | ≦ mRh0/T なる関係を満たすようにした。従って、上流側発熱体と
下流側発熱体との抵抗値及び温度係数に誤差があり、環
境温度に変化があっても、センサ出力が許容範囲内に収
まる感熱式フローセンサとなる。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項5記載の感
熱式フローセンサにおいて、m/Tα≦0.24とした
とき、mRh0/T=0.11〔Ω/K〕である。従っ
て、具体的に−25〜75〔℃〕の範囲で変化する環境
温度範囲であっても、発熱体として現実に使える金属で
ある温度係数が0.0025〜0.0065〔/K〕の
範囲で、センサ出力が許容範囲である1〔%〕に収まる
抵抗値及び温度係数の発熱体を有する感熱式フローセン
サとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を図面に基
づいて説明する。まず、本実施の形態に用いられる感熱
式フローセンサの一例を図1に示す。この感熱式フロー
センサ1は、例えばシリコン基板2の中央部に流れの方
向に沿った堀3をエッチング形成し、この堀3により残
るように形成された橋4上に2つの発熱体5を薄膜抵抗
体で形成したものである。従って、これらの発熱体5は
流体の流れ中に晒される。これらの発熱体5の内、一方
が矢印で示す流体の流れの上流側に位置する上流側発熱
体5uとされ、他方が流れの下流側に位置する下流側発
熱体5dとされている。また、これらの上流側発熱体5
u及び下流側発熱体5dの熱的影響を受けない位置、例
えば、上流側の隅部には環境温度を測定する測温抵抗体
6が薄膜形成されている。この感熱式フローセンサ1
は、本実施の形態では、ガスメータ用に適用されてい
る。
【0015】このような感熱式フローセンサ1におい
て、上流側発熱体5uの抵抗値Rhu、下流側発熱体5d
の抵抗値Rhdの温度特性は、各々 Rhu=Rhu0 ×{1+αu ×(tu +T)} ……………………(1) Rhd=Rhd0 ×{1+αd ×(td +T)} ……………………(2) で示される。ここに、Rhu0 ,Rhd0 は基準温度〔℃〕
(特に断わらない限り、25〔℃〕とする)時の発熱体
5u,5dの各々の抵抗値、αu ,αd は基準温度時の
発熱体5u,5dの各々の温度係数〔/K〕、tu ,t
d は2発熱体方式の発熱体駆動による発熱体5u,5d
の各々の温度、Tは環境温度(基準温度に対する温度
差)とする。
【0016】環境温度が基準温度(T=0)の時の2発
熱体方式の感熱式フローセンサ1の出力を、上下流の発
熱体5u,5dの各々の出力電圧Vhu,Vhdの差電圧V
hud(=Vhu−Vhd)とする。すると、基準温度から環
境温度がTに変化した後の発熱体5u,5dの各々の出
力電圧をVhu′,Vhd′とすると、差電圧Vhud は Vhud′=Vhu′−Vhd′=(Vhu−Vhd )+(ΔVhu−ΔVhd ) ………(3) であるので、差電圧Vhud′ 中の環境温度Tによる変動
分ΔVhud は ΔVhud =ΔVhu−ΔVhd ………………………………………(4) となる。
【0017】この変動分ΔVhud は、環境温度Tによる
上流側発熱体5uの電圧降下ΔVhuと下流側発熱体5d
の電圧降下ΔVhdの変化の仕方の異なる成分を表してい
る。(4)式に示す電圧は駆動電流Ih (上下流の発熱体
5u,5dについて同じとする)による電圧降下ΔV
hud =ΔRhud ×Ih と、(1)(2)式を使うと、抵抗値
の変動分ΔRhud は概ね ΔVhud ∝ΔRhud =(Rhu0 −Rhd0 )+(Rhu0×αu×tu−Rhd0×αd×td ) +(Rhu0×αu−Rhd0×αd )×T …………………………………………(5) となる。
【0018】この(5)式において、第1項の(Rhu0
hd0 )は感熱式フローセンサ1の初期状態において調
整が容易な項である。第2項の(Rhu0×αu×tu−R
hd0×αd×td )は駆動温度tu ,td の差による出力
電圧の変化分で、定電流駆動の場合は、流量Qの変化に
よる感度寄与部分を表し、上下流の発熱体5u,5dの
抵抗値及び温度係数が異なれば、感度などに影響のある
項であるが、駆動温度によって調整可能な項である。従
って、第3項の(Rhu0×αu−Rhd0×αd )×Tが2つ
の発熱体5u,5d間で特性の違いがあった場合に環境
温度Tが変化することによって差電圧Vhud に影響を及
ぼす項である。
【0019】そこで、この第3項について詳細に検討す
る。いま、流量零時(Q=0)の各電圧を用いて出力電
圧の変化の割合mを m=ΔVhud(0) /〔{Vhu(0)+Vhd(0)}/2〕 …………………(6) と定義する。ここに、ΔVhud(Q) は流量Qの時の2つ
の発熱体5u,5dの出力電圧の差の、基準温度からT
〔℃〕だけ環境温度が変化したときの変化分を示し、V
hu(Q),Vhd(Q)は流量Qの時の2つの発熱体5u,5
dの基準温度からT〔℃〕だけ環境温度が変化したとき
の変化分を示す。
【0020】この割合mに関して図2を参照してさらに
説明する。図2は感熱式フローセンサ1の流量に対する
出力信号の例を示すもので、環境温度Tが基準温度の時
の上流側発熱体5uの出力電圧Vhu及び下流側発熱体5
dの出力電圧Vhdは、単独では、流量0〔L/H〕のと
きにオフセットAを持っている(もっとも、1.00に
規格化しており、一致しているように図示しているが、
無調整のときは、これらのオフセットも僅かに異なって
いるので、計算に使用するときのオフセットは上下流の
これらの値の平均値とした)。環境温度がT′となった
ときのこれらの特性は、図2(a)中に破線で示す
V′hu,V′hdとなる。VhuとVhdとの差をとったとき
の差電圧Vhud はオフセット電圧が上下流の発熱体5
u,5dで殆ど同じであるので、流量零時のVhud は図
2(b)に示すようにほぼ零となる。このとき、上下流の
発熱体5u,5dの抵抗値や温度係数が異なることで、
環境温度Tの影響を受け、図2(b)中に破線で示すよう
に差電圧V′hud が変化する。このときの差電圧V
hud ,V′hud の傾きの変化は、流量が0〜200〔L
/H〕で広範囲に変化しても通常の差Bに比べて小さ
い。この差(変化量B)のオフセットAに対する値を上
記(6)式で定義したmとするものである。
【0021】また、(5)式に関して、第3項の環境温度
に依存する項のみを抽出しΔRhudとすると、差電圧V
hud をとる前の抵抗値から、Rh =(Rhu+Rhd)/2
を得る。(6)式からこれらの比はmと等しく、 m=ΔRhud /Rh ≒(Rhu0αu−Rhd0αd )×T/Rh0 ≒(αT)×〔{1−(Rhd0αd /Rhu0αu )}/{1+(Rhd0 /Rhu0 )}〕 ……………………………………(7) で表される。ここに、α≒αu ,αd である。また、実
用上、(7)式を利用しやすくするため、基準温度時の抵
抗値Rhu0 ,Rhd0 の平均値Rh0を抵抗値Rhu,Rhd
平均値Rh の代わりに用いた(抵抗値の差をとっている
分子に比べ、分母のこの近似による影響は、環境温度の
変化に対して小さい。もちろん、抵抗値Rhu,Rhdとし
て(1)(2)式等から得られる実測値をそのまま用いても
よい)。
【0022】いま、αu =αd =αが成立しており、誤
差の原因が発熱体5u,5dの抵抗値にあるとすると、
(6)式の関係から、出力電圧のRhu,Rhdの比の1から
のずれは、m/α≪Tを使うと、 |(Rhd /Rhu )−1|≦(m/α)/{T+(m/α)}≒m/Tα ……………………………………(8) として表される。
【0023】また、発熱体5u,5dの温度係数のみが
出力電圧の誤差に寄与している場合には、Rh =Rhu0
=Rhd0 として、同様に、(7)式の第2項を展開して |(αd /αu )−1|≦m/Tα ……………………………………(9) が得られる。
【0024】この他、発熱体5u,5dの抵抗値や温度
係数が同時に満たせばよい条件として、(6)式より、 m=ΔRhud /Rh ≒(Rhu0αu−Rhd0αd )×T/Rh0 ………………………………(10) となる。
【0025】従って、Rhu0αu−Rhd0αd=0であれ
ば、前述した条件を満たさなくても、環境温度Tの影響
を受けにくいものとすることができる。ただし、(8)式
や(9)式の条件を大きく外れるような場合には、影響を
受けるようになってくるので、これらの条件の3倍程度
(=3×m/Tα)以下に抑えておく必要がある。これ
は(5)式の第3項の調整を(10)式によって可能とするに
は、発熱体u,5d間の抵抗値の比と温度係数の比とが
同じ程度であることが必要であり、従って、(8)式や
(9)式のような個別の許容差に余裕ができるもののの無
制限に広げられるわけでない。即ち、温度係数αの効果
のない調整は可能であるが、第1項のオフセットも大き
くなり、悪影響を及ぼす。
【0026】完全に零にならない場合の感度への誤差の
評価は、(10)式の分母の値にも依存する発熱体5u,5
dの大きさが寄与する。そこで、(8)式及び(9)式にお
いて、右辺の値が(10)式と同時に3×m/Tα以下であ
ることを条件に、 (Rhu0αu−Rhd0αd )/αRh0≦m/Tα 又は、 |αuhu0 −αdhd0 |≦mRh0/T〔Ω/K〕 ………………………………………………(11) で表現できる。
【0027】以下、実際の数値を代入して考察する。い
ま、全測定範囲(例えば、0〜200〔L/H〕)の流
量を振ったときの出力の変化の全体を“感度”と呼ぶこ
とにすると、ガスメータのための出力信号は2つの発熱
体5u,5dの出力信号(出力電圧)の差をとっている
ので、ガスメータ仕様の器差は感度に対する許容誤差を
意味するが、発熱体5u,5dを個々に駆動するための
バイアス成分を含めてその割合を求めると、バイアスに
よるオフセット分は、感度の2〜10倍程度あるので、
バイアスによるオフセット全体に対する許容誤差は、仕
様などに示される器差の1/2〜1/10程度である
(1/2以上広い範囲で使用する設計では、エクスポー
ネンシャル状に冷める発熱体5u,5dの感度の低下が
著しく、また、非線形性も非常に大きくなって使いにく
い。逆に、狭すぎると、感度をとりにくい)。例えば、
ガスメータの測定範囲を0〜200〔L/H〕とすると
き、最低でも2〔L/H〕を分解できるようにしたいの
で、ガスメータの仕様として、出力信号のフルスケール
(図2(b)中のF)に対して1〔%〕以下の許容幅(1
〔%〕の器差)が必要である。仕様1〔%〕であれば、
バイアス分を含めると、0.1〜0.5〔%〕となる。
これをmとし、ここでは(8)式中で最悪値を与えるmと
してm=1〔%〕×0.5=0.005とする。
【0028】環境温度Tに対するガスメータの仕様範囲
を−25〜75〔℃〕とすると、これは基準温度25
〔℃〕に対しT=±50〔℃〕となる。同じく使用範囲
が0〜50〔℃〕あれば、基準温度25〔℃〕に対しT
=±25〔℃〕となる。(8)〜(10)式の右辺が最も大き
くなる最悪条件を与えるTはT=25〔℃〕である(±
の値が同じでない場合には、小さいほうの値をとる)。
【0029】温度係数αは、発熱体5u,5dを形成す
る金属によって異なるが、純金属では白金がα=0.0
039〔/K〕(バルクの場合)、スパッタリング法な
どに作製した薄膜の場合には条件により変化して0.0
025〜0.0035〔/K〕であり、ニッケルの場合
にはα=0.006〜0.0065〔/K〕(バルクの
場合)、銅の場合にはα=0.0043〔/K〕(バル
クの場合)である。そこで、これらの数値を考慮し、温
度係数αの値の幅を、0.0025〜0.0065〔/
K〕なる範囲とすると、(8)〜(10)式の右辺が最も大き
くなる最悪条件を与えるαはα=0.0025〔/K〕
となる。
【0030】すると、(8)〜(10)式の具体的内容は、 |(Rhd /Rhu )−1|≦0.08 …………………………(12) |(αd /αu )−1| ≦0.08 …………………………(13) |(αuhu0−αdhd0)/αRh0|≦0.08 ……………(14) となる。ただし、(14)式は(8)(9)式の右辺の値が0.
24(=3×0.08)以下の条件を満たしていること
が必要である。
【0031】ここに、感熱式フローセンサ1に使用する
発熱体5u,5dの抵抗値は、通常は、大きいほどよい
が、フローセンサのチップサイズや電源電圧の許容範
囲、パターン幅を細く(或いは、薄く)することができ
る限界による制約があり、最大でも2〔kΩ〕位、低い
ほうに関しては構成によっては100〔Ω〕程度のもの
を使うことになる(電池の容量を考えると、2つの発熱
体5u,5dで合計3〔mA〕程度としたいので、電源
電圧を5〔V〕とすると、Rh =5〔V〕/3〔mA〕
≒1.67〔kΩ〕となる。抵抗値Rh の最悪値を与え
る条件の0.0065〔/K〕(ニッケルのバルク値を
参考とした)を使うものとすれば、(14)式は |αuhu0−αdhd0|≦0.11〔Ω/K〕 ……………(14′) となる。これは、T=±25〔℃〕で計算したので、上
下流の発熱体5u,5dの基準温度時の抵抗値に対して
変化の差にして、0.11×(±25〔℃〕)=±2.
75〔Ω〕以下でなければならないことを示している。
【0032】従って、(5)式の第2項を回路の動作の初
期段階でtu ,td 間の比を調整することで、抵抗値R
hu0 ,Rhd0 の値や温度係数αu ,αd の値の作製誤差
を補償することができる。定電流駆動方式では、電流値
を発熱体5u,5dで微調整すればよい。また、定温度
駆動方式であれば、直接駆動時の温度の調整で実現でき
る。定電圧駆動方式であれば、駆動電圧を微調整すれば
よい。
【0033】ちなみに、白金抵抗体は通常の白金線など
のようなバルクの場合には、例えばIS規格の白金抵抗
温度センサ(Pt100)などでもわかるように約0.
39〔Ω/K〕(α=0.0039相当)である(ただ
し、基準温度は0〔℃〕である)。しかし、図1に示し
たような半導体プロセスを利用してスパッタリング法な
どで成膜した白金の場合には、必ずしもこのような値に
はならず、実測値でも、0.25〜0.35〔Ω/K〕
(α=0.0025〜0.0035相当)(ただし、基
準温度は25〔℃〕とした)になっている。また、温度
の1次の項以外の非線形の項による(1)式や(2)式
からのずれは、25±50〔℃〕程度の温度範囲では、
100〔Ω〕の抵抗値に対して高々0.1〔Ω〕程度の
誤差となる。従って、(1)式や(2)式で示したような式
によって十分な精度が得られる。
【0034】なお、本実施の形態では、2発熱体方式と
して、図1に例示したような構造の感熱式フローセンサ
1に適用したが、これに限られない。即ち、図1の感熱
式フローセンサ1では同一の橋4の上に上下流の発熱体
5u,5dが形成されているが、例えば、図3に示すよ
うに発熱体5u,5d間を熱的に絶縁するように橋4に
スリット7を形成したものでもよい(実質的に、スリッ
ト7により2本の橋が独立して平行に形成されているこ
とになる)。もっとも、図1や図3に示すように橋4や
発熱体5u,5dを接近させて平行的に形成するものに
も限らず、例えば、図4に示すように、橋4a,4bを
T字状に交差させて形成し、橋4a側に上流側発熱体5
uを形成し、橋4b側に下流側発熱体5dを形成するこ
とで、発熱体5u,5d同士が直交的となるようにして
もよい。要は、発熱体5u,5dの特性の同一性が要求
される方式であればよい。
【0035】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、上流側発
熱体の基準温度時の抵抗値をRhu0 ,下流側発熱体の基
準温度時の抵抗値をRhd0 ,これらの発熱体の温度係数
の平均値をα,発熱体単体の出力電圧オフセットを含む
流量零時の出力電圧に対する環境温度Tが変化したとき
の出力電圧の変化の割合をmとしたとき、 |(Rhd0 /Rhu0 )−1| ≦ m/Tα なる関係を満たすようにしたので、上流側発熱体と下流
側発熱体との抵抗値に誤差があり、環境温度に変化があ
っても、センサ出力が許容範囲内に収まる感熱式フロー
センサを提供することができる。
【0036】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の感熱式フローセンサにおいて、Rhd0 /Rhu0 の値
の1からのずれを、±0.08以下の範囲としたので、
具体的に−25〜75〔℃〕の範囲で変化する環境温度
範囲であっても、発熱体として現実に使える金属である
温度係数が0.0025〜0.0065〔/K〕の範囲
で、センサ出力が許容範囲である1〔%〕に収まる抵抗
値を持つ発熱体を有する感熱式フローセンサを提供する
ことができる。
【0037】請求項3記載の発明によれば、上流側発熱
体の基準温度時の温度係数をαu ,下流側発熱体の基準
温度時の温度係数をαd ,これらの発熱体の温度係数の
平均値をα,発熱体単体の出力電圧オフセットを含む流
量零時の出力電圧に対する環境温度Tが変化したときの
出力電圧の変化の割合をmとしたとき、 |(αd /αu )−1| ≦ m/Tα なる関係を満たすようにしたので、上流側発熱体と下流
側発熱体との温度係数に誤差があり、環境温度に変化が
あっても、センサ出力が許容範囲内に収まる感熱式フロ
ーセンサを提供することができる。
【0038】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の感熱式フローセンサにおいて、αd /αu の値の1
からのずれを、±0.08以下の範囲としたので、具体
的に−25〜75〔℃〕の範囲で変化する環境温度範囲
であっても、発熱体として現実に使える金属である温度
係数が0.0025〜0.0065〔/K〕の範囲で、
センサ出力が許容範囲である1〔%〕に収まる温度係数
の発熱体を有する感熱式フローセンサを提供することが
できる。
【0039】請求項5記載の発明によれば、基準温度時
の抵抗値をRhu0 ,下流側発熱体の基準温度時の抵抗値
をRhd0 ,上流側発熱体の温度係数をαu ,下流側発熱
体の温度係数をαd ,これらの発熱体の抵抗値の平均値
をRh0,これらの発熱体の温度係数の平均値をα,発熱
体単体の出力電圧オフセットを含む流量零時の出力電圧
に対する環境温度Tが変化したときの出力電圧の変化の
割合をmとしたとき、m/Tαの値が3×m/Tα以下
であることを条件に、 |αuhu0 −αdhd0 | ≦ mRh0/T なる関係を満たすようにしたので、上流側発熱体と下流
側発熱体との抵抗値及び温度係数に誤差があり、環境温
度に変化があっても、センサ出力が許容範囲内に収まる
感熱式フローセンサを提供することができる。
【0040】請求項6記載の発明によれば、請求項5記
載の感熱式フローセンサにおいて、m/Tα≦0.24
としたとき、mRh0/T=0.11〔Ω/K〕としたの
で、具体的に−25〜75〔℃〕の範囲で変化する環境
温度範囲であっても、発熱体として現実に使える金属で
ある温度係数が0.0025〜0.0065〔/K〕の
範囲で、センサ出力が許容範囲である1〔%〕に収まる
抵抗値及び温度係数の発熱体を有する感熱式フローセン
サを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す感熱式フローセン
サの概略平面図である。
【図2】(a)は流量と各発熱体の出力電圧値との関係を
示す特性図、(b)は流量と差電圧との関係を示す特性図
である。
【図3】感熱式フローセンサの変形例構造を示す概略平
面図である。
【図4】感熱式フローセンサの他の変形例構造を示す概
略平面図である。
【符号の説明】
5u,5d 発熱体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀口 浩幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 鈴木 伸一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 平野 真司 愛知県名古屋市中区錦2丁目2番13号 リ コーエレメックス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体の流れの上流側に位置する上流側発
    熱体と下流側に位置する下流側発熱体との2つの発熱体
    を有する感熱式フローセンサにおいて、 上流側発熱体の基準温度時の抵抗値をRhu0 ,下流側発
    熱体の基準温度時の抵抗値をRhd0 ,これらの発熱体の
    温度係数の平均値をα,発熱体単体の出力電圧オフセッ
    トを含む流量零時の出力電圧に対する環境温度T(ただ
    し、環境温度Tは基準温度に対するフローセンサの使用
    温度範囲を意味する)が変化したときの出力電圧の変化
    の割合をmとしたとき、 |(Rhd0 /Rhu0 )−1| ≦ m/Tα なる関係を満たすようにしたことを特徴とする感熱式フ
    ローセンサ。
  2. 【請求項2】 Rhd0 /Rhu0 の値の1からのずれを、
    ±0.08以下の範囲としたことを特徴とする請求項1
    記載の感熱式フローセンサ。
  3. 【請求項3】 流体の流れの上流側に位置する上流側発
    熱体と下流側に位置する下流側発熱体との2つの発熱体
    を有する感熱式フローセンサにおいて、 上流側発熱体の基準温度時の温度係数をαu ,下流側発
    熱体の基準温度時の温度係数をαd ,これらの発熱体の
    温度係数の平均値をα,発熱体単体の出力電圧オフセッ
    トを含む流量零時の出力電圧に対する環境温度T(ただ
    し、環境温度Tは基準温度に対するフローセンサの使用
    温度範囲を意味する)が変化したときの出力電圧の変化
    の割合をmとしたとき、 |(αd /αu )−1| ≦ m/Tα なる関係を満たすようにしたことを特徴とする感熱式フ
    ローセンサ。
  4. 【請求項4】 αd /αu の値の1からのずれを、±
    0.08以下の範囲としたことを特徴とする請求項3記
    載の感熱式フローセンサ。
  5. 【請求項5】 流体の流れの上流側に位置する上流側発
    熱体と下流側に位置する下流側発熱体との2つの発熱体
    を有する感熱式フローセンサにおいて、 基準温度時の抵抗値をRhu0 ,下流側発熱体の基準温度
    時の抵抗値をRhd0 ,上流側発熱体の温度係数をαu
    下流側発熱体の温度係数をαd ,これらの発熱体の抵抗
    値の平均値をRh0,これらの発熱体の温度係数の平均値
    をα,発熱体単体の出力電圧オフセットを含む流量零時
    の出力電圧に対する環境温度T(ただし、環境温度Tは
    基準温度に対するフローセンサの使用温度範囲を意味す
    る)が変化したときの出力電圧の変化の割合をmとした
    とき、m/Tαの値が3×m/Tα以下であることを条
    件に、 |αuhu0 −αdhd0 | ≦ mRh0/T なる関係を満たすようにしたことを特徴とする感熱式フ
    ローセンサ。
  6. 【請求項6】 m/Tα≦0.24としたとき、mRh0
    /T=0.11〔Ω/K〕であることを特徴とする請求
    項5記載の感熱式フローセンサ。
JP9046387A 1997-02-28 1997-02-28 感熱式フローセンサ Pending JPH10239129A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004340964A (ja) * 2003-05-13 2004-12-02 Berkin Bv 質量流量計

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004340964A (ja) * 2003-05-13 2004-12-02 Berkin Bv 質量流量計
JP4709499B2 (ja) * 2003-05-13 2011-06-22 ベルキン ビーブイ 熱式の質量流量計

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