JPH10238367A - エネルギ貯蔵型ガスタービン発電システム - Google Patents

エネルギ貯蔵型ガスタービン発電システム

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JPH10238367A
JPH10238367A JP9038816A JP3881697A JPH10238367A JP H10238367 A JPH10238367 A JP H10238367A JP 9038816 A JP9038816 A JP 9038816A JP 3881697 A JP3881697 A JP 3881697A JP H10238367 A JPH10238367 A JP H10238367A
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air
temperature
heat
cold
tank
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JP9038816A
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Hidefumi Araki
秀文 荒木
Koichi Chino
耕一 千野
Harumi Wakana
晴美 若菜
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02E60/16Mechanical energy storage, e.g. flywheels or pressurised fluids

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  • Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)
  • Separation By Low-Temperature Treatments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】夏場や真冬における電力必要量のピークに容易
に対応できるエネルギ貯蔵型ガスタービン発電システム
を得る。 【解決手段】夜間、余剰電力と蓄冷機構が保有している
冷熱を利用して液体空気を製造して貯蔵し、昼間、貯蔵
した液体空気を加圧して蓄冷機構に冷熱を付与しながら
燃焼器5に供給するとともに、燃料の液化天然ガスの潜
熱および顕熱を高温側の熱源として構成されるヒートポ
ンプ300を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエネルギ貯蔵型ガス
タービン発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】電気の必要量は昼間と夜間で大きく異な
るので、従来より水力発電所とコンバインドサイクル発
電所は昼間のみ運転しており、更に揚水発電所のように
夜間電力を用いてポンプを駆動し水を高い貯蔵池に移送
して位置エネルギとして貯蔵し、それを昼間に流下させ
て発電することで電気の需要と供給をバランスさせてき
た。最近、家庭用エアコン等が普及したために電気の最
大需要量と最低需要量の比が年々大きくなり、特に季節
による需要の違いが増大している。最大需要の必要時期
が真夏の10日ほどと短く、このためだけに大型の発電
設備を設けるのは経済的に引き合わなくなってきてい
る。しかし、大規模な揚水発電時の建設場所が国内に少
なくなっており、大容量のエネルギ貯蔵方式を必要とし
ている。
【0003】この対策として、エネルギ貯蔵効率が高い
種々の電池システムの研究が進められているが、設置面
積当たりのエネルギ貯蔵量が少なく、大規模な電力量の
調整が可能にはなっていない。また、特開平4−132837
号「ガスタービン発電機」や特開平4−191419 号公報
「液体空気ガスタービン」において夜間電力を用いて液
体空気を製造しこれを常圧で貯蔵し、昼間にこの液体空
気をポンプで加圧してタービンの燃焼器に供給すること
で、コンプレッサの動力を削減して発電量を増大させる
エネルギ貯蔵方式が提案されている。これらの液体空気
利用方式はエネルギの貯蔵密度は高い利点はあるが、−
190℃の液体空気を製造するのに必要なエネルギが大
きく、エネルギの貯蔵効率としては約20%ほどしかな
いために実際に使用されてはいない。
【0004】エネルギ貯蔵効率を向上させるアイデアと
して英国Newcastel 大学のE.M.Smithが提案したのが
図3の方式である(E. M. Smith:Storage of Electric
alEnergy using Supercritical Liquid Air:Heat and
Fluid Flow Vol.7,No.2,pp.95−104(19
77))。夜間等の余剰電力を用いて、大気圧の空気を
圧縮機301により49気圧まで圧縮し、775℃まで
昇温する。この高圧空気を、予め冷却されているステン
レス製の蓄熱槽302に通して−188℃まで冷却し、
ジュール・トムソン弁305により減圧すると、92.
5% が液化される。液化できなかった空気は液化装置
303で液化する。電力が必要な時には、貯蔵タンク3
17に貯蔵した液体空気を80気圧まで加圧し、蓄熱槽
302に冷熱を与えることにより空気を725℃まで加
熱してから、タービン304で膨張させ、タービンを回
転させて電力を得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】Smith が提案した方式
は、液体空気によるエネルギ貯蔵の新しい概念を提示し
ているが、著者も要約で述べているように、出入口で1
000℃の温度差があり、かつ可逆的に熱交換が可能な
蓄熱槽2の開発が難しく、実用化はされていない。
【0006】第一に、高圧空気の比熱が温度とともに大
きく変化するため、液化時と蓄冷時に同等の熱量を交換
する熱交換器を実現することが難しい。具体的には、高
圧の空気は、例えば50気圧の場合は、図4に示すよう
に−130℃近くに比熱の急激なピークがあり、この近
くの温度からさらに低温に空気を冷却するためには、−
130℃よりも低温の蓄冷媒体が、大量に必要となる。
ところが、液体空気を加圧・昇温する際に得られる冷熱
も、やはり−130℃近くに比熱の急激なピークがあ
り、それより低温の領域の熱容量は小さいため、大量の
蓄冷媒体を−130℃より低温に冷却するだけの高品位な
冷熱を持っていない。従って、液化時と蓄冷時に同等の
熱量を交換することが難しい。
【0007】第二に、外部からの熱侵入により、空気を
液化するために保有する蓄冷媒体の冷熱が次第に足りな
くなるという課題がある。
【0008】第三に、前述の公知例では、プラントの建
設直後や定期検査直後等、システムが常温にある状態か
ら液化運転あるいは蓄冷運転を開始するための最初の冷
熱を得る手段が考慮されていないという課題がある。
【0009】本発明は、空気を液化するために必要な冷
熱を液体空気の昇温時に蓄冷機構に貯蔵して再利用する
方式に加え、蓄冷機構の外部の補助冷熱源を利用するこ
とにより、蓄冷機構の熱交換器の内部温度差に起因する
熱交換量の損失や外部からの入熱の課題を解決して、夏
場や真冬における電力必要量のピークに容易に対応でき
るエネルギ貯蔵型ガスタービン発電システムを実現する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧縮機と燃焼
器,タービンで構成されるガスタービン発電システム
で、電力需要が低下した時に、余剰電力と蓄冷機構が保
有している冷熱を利用して液体空気を製造してタンク内
に貯蔵し、電気需要が増大した時には、貯蔵した液体空
気を加圧して蓄冷機構に冷熱を付与しながら昇温して燃
焼器に供給するエネルギ貯蔵システムにおいて、エネル
ギ貯蔵システムの外部の補助冷熱源から蓄冷機構に冷熱
を伝達する機構を備えたことを特徴とする。
【0011】高圧空気の比熱が温度とともに大きく変化
するため液化時と蓄冷時に同等の熱量を交換する熱交換
器を実現することが難しいという課題は、外部の補助冷
熱源から必要な冷熱を供給することにより解決できる。
【0012】外部からの熱侵入により、空気を液化する
ために保有する冷熱が次第に足りなくなるという課題
も、外部の補助冷熱源から蓄冷機構に冷熱を供給するこ
とにより解決できる。
【0013】この補助冷熱源として、液化天然ガスの潜
熱および顕熱を利用できる熱交換器を備えた場合は、た
とえば、液化天然ガスを5気圧に加圧した場合、ガスの
主成分であるメタンの沸点温度は約−138℃であり、
この近くで大量の潜熱を吸収できるため、−130℃よ
りも低温の蓄冷媒体を大量に必要とする場合に特に有効
である。
【0014】さらに、補助冷熱源として液化天然ガスの
潜熱および顕熱を高温側の熱源として構成されるヒート
ポンプ式熱交換器を備えれば、大気圧の液化天然ガスの
ガスの主成分であるメタンの沸点温度約−162℃より
も低温の冷熱を生成することができるため、プラントの
建設直後や定期検査直後等、システムが常温にある状態
から液化運転あるいは蓄冷運転を開始するための最初の
冷熱を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施例1)図2に本発明の請求項1と請求項2に対応
したエネルギ貯蔵型ガスタービン発電システムの一実施
例を示す。本発明の主要な構成要素は、同一の駆動軸上
に配置された圧縮機51,52,53,圧縮機の軸と継
手装置61を介して連結される軸上に配置される発電電
動機8,発電電動機8の軸と継手装置62を介して連結
される同一軸上に配置されるガスタービン7と蒸気ター
ビン11,空気と燃料を燃焼させる燃焼器5,ガスター
ビン7の排気ガスの熱を回収する排熱回収ボイラ9,蒸
気タービンからの蒸気を復水する復水器10,復水を排
熱回収ボイラ9に供給するポンプ12,圧縮機51の排
出する空気を冷却する中間冷却器65,圧縮機52の排
出する空気を冷却する中間冷却器66,蓄冷温度範囲に
応じて選定された蓄冷媒体を貯蔵する低温タンク70,
71,72,73および高温タンク75,76,77,
78,低温タンク内部と高温タンク内部の間で蓄冷媒体
を移動させる冷媒移送ポンプ80,81,82,83,
低温タンクあるいは高温タンクから移送された蓄冷媒体
と、高圧空気とが熱交換可能な向流式熱交換器90,9
1,92,93,低温タンクあるいは高温タンクから移
送された蓄冷媒体と、気体とが熱交換可能な向流式熱交
換器95,96,97,98,膨張弁32,気液分離器
33,液体空気貯蔵タンク17,高圧ポンプ13,低圧
ポンプ14,向流式熱交換器90,91,92,93を
接続する高圧配管20,向流式熱交換器95,96,9
7,98を接続する低圧配管21である。
【0016】本実施例の特徴とする主要な構成要素は、
液化天然ガスの貯蔵タンク43と低圧配管21を接続す
る天然ガス配管40,天然ガス配管40により貯蔵タン
ク43から向流式熱交換器97の向きに液化天然ガスを
移送する液化天然ガス移送ポンプ41,向流式熱交換器
97,96,95によって順次加熱された天然ガスを海
水等により加熱可能な熱交換器50,熱交換器50によ
り加熱された天然ガスを燃焼器5に供給するための燃料
配管44,燃料配管44の天然ガスを燃焼器に供給可能
な圧力まで加圧する天然ガス加圧ポンプ42,熱交換器
50によって加熱された天然ガスを外部へ供給するため
の天然ガス移送管46,熱交換器50によって加熱され
た気体空気を外部へ排出するための空気排出管45であ
る。
【0017】図を用いて本実施例の動作を説明する。
【0018】本実施例では、電力需要が少ない夜間等の
空気液化運転と、液体空気の生成も消費もせずに発電す
る通常運転と、電力需要が特に多い時間等により多くの
発電をするための液体空気消費運転の3種類の運転状態
を想定する。
【0019】まず、電力需要が少ない夜間等の、空気液
化運転について説明する。
【0020】継手装置61を連結状態とし、継手装置6
2を非連結状態として、発電電動機8と圧縮機51〜圧
縮機53を連結する。余剰電力などを利用し、発電電動
機8を回転させ、圧縮機51〜圧縮機53を作動させ
る。圧縮機51では、大気より吸引する空気を5気圧程
度まで昇圧すると、空気の温度は490℃まで上昇す
る。このような高温の空気は密度が小さく、圧縮するた
めの動力が大きいので、中間冷却器65で海水などと熱
交換し、空気の温度を35℃程度まで冷却する。この空
気を圧縮機52で20気圧程度まで昇圧すると、空気の
温度は200℃まで上昇する。この空気を中間冷却器6
6で海水などと熱交換させ、空気の温度を60℃程度ま
で冷却する。さらにこの空気を圧縮機53で50気圧程
度まで昇圧すると、空気の温度は175℃まで上昇す
る。
【0021】この高温高圧の空気を、高圧配管20によ
り向流式熱交換器90に供給し、低温タンク70に貯蔵
されている温度20℃の水等の冷却媒体と熱交換させ
る。このためには弁153と弁120は開状態とし、弁
105は閉状態とする。この時、冷媒移送ポンプ80の
出力または弁180の開度を調整して配管270を流れ
る冷却媒体の流量を制御することにより、50℃の水が
高温タンク75に移送され、高圧空気は35℃程度まで
冷却される。低温タンクに貯蔵されている冷却媒体は、
下流側にある膨張弁32で液化しなかった低温空気の冷
熱と、後述する液体空気消費運転時の低温高圧空気の冷
熱と、後述する通常運転時および液体空気消費運転時の
液化天然ガスの冷熱により冷却したものである。
【0022】この35℃程度まで冷却された高圧の空気
を、高圧配管20により向流式熱交換器91に供給し、
低温タンク71に貯蔵されている温度−90℃のエタノ
ール等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に冷媒
移送ポンプ81の流量を制御することにより、20℃の
エタノール等が高温タンク76に移送され、高圧空気は
−80℃程度まで冷却される。低温タンクに貯蔵されて
いる冷却媒体は、下流側にある膨張弁32で液化しなか
った低温空気の冷熱と、後述する液体空気消費運転時の
低温高圧空気の冷熱と、後述する通常運転時および液体
空気消費運転時の液化天然ガスの冷熱により冷却したも
のである。
【0023】さらにこの−80℃程度まで冷却された高
圧の空気を、高圧配管20により向流式熱交換器92に
供給し、低温タンク72に貯蔵されている温度−157
℃のエタン等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様
に冷媒移送ポンプ82の流量を制御することにより、−
90℃のエタン等が高温タンク77に移送され、高圧空
気は−150℃程度まで冷却される。低温タンクに貯蔵
されている冷却媒体は、下流側にある膨張弁32で液化
しなかった低温空気の冷熱と、後述する液体空気消費運
転時の低温高圧空気の冷熱と、後述する通常運転時およ
び液体空気消費運転時の液化天然ガスの冷熱により冷却
したものである。
【0024】さらにこの−150℃程度まで冷却された
高圧の空気を、高圧配管20により向流式熱交換器93
に供給し、低温タンク73に貯蔵されている温度−18
0℃のメタン等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同
様に冷媒移送ポンプ83の流量を制御することにより、
−164℃のメタン等が高温タンク78に移送され、高
圧空気は−169℃程度まで冷却される。低温タンクに
貯蔵されている冷却媒体は、下流側にある膨張弁32で
液化しなかった低温空気の冷熱と、後述する液体空気消
費運転時の低温高圧空気の冷熱により冷却したものであ
る。
【0025】弁193を開状態、弁113を閉状態とし
て、この−169℃程度まで冷却された高圧の空気を膨
張弁32により、気液分離器33に放出し大気圧近くに
減圧すると、ジュール・トムソン効果により約74%が
液化し、残りは−191℃の気体空気となる。この液化
した空気は、弁133を開状態,弁117を閉状態とす
ることにより液体空気貯蔵タンク17に導き貯蔵する。
【0026】このように、電力需要が少ない夜間等の、
空気液化運転時には、高温高圧の空気が液化される代わ
りに、低温タンク70,71,72,73に貯蔵されて
いた冷却媒体が加熱されて高温タンク75,76,7
7,78に移動する。この動作を繰り返し継続するため
には、次回の空気液化運転時までに同量以上の冷却媒体
を高温タンク75,76,77,78から低温タンク7
0,71,72,73に移動させる必要がある。そのた
めには、冷熱は可能な限り回収する必要があり、液化運
転時の副生成物である低温空気の冷熱を利用して、冷却
媒体を高温タンク75,76,77,78から低温タン
ク70,71,72,73に移動させる。膨張弁32で
気体となった−191℃の空気は、低圧ポンプ14によ
り移送に必要なだけ加圧し、低圧配管21により向流式
熱交換器98に供給し、高温タンク78に貯蔵されてい
る温度−164℃のメタン等の冷却媒体と熱交換させ
る。この時、冷媒移送ポンプ88の出力または弁188
の開度を調整して配管278を流れる冷却媒体の流量を
制御することにより、−180℃のメタン等が低温タン
ク73に移送され、空気は−170℃程度まで加熱され
る。この熱交換により、液化に使用した冷却媒体の15
%が低温タンクに戻される。
【0027】この−170℃の空気は、弁198を開状
態,弁141を閉状態として、向流式熱交換器97に導
き、高温タンク77に貯蔵されている温度−90℃のエ
タン等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に冷媒
移送ポンプ87の流量を制御することにより、−157
℃のエタン等が低温タンク72に移送され、空気は−9
5℃程度まで加熱される。この熱交換により、液化に使
用した冷却媒体の10%が低温タンクに戻される。
【0028】この−95℃の空気は、向流式熱交換器9
6で、高温タンク76に貯蔵されている温度20℃のエ
タノール等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に
冷媒移送ポンプ86の流量を制御することにより、−9
0℃のエタノール等が低温タンク71に移送され、空気
は−44℃程度まで加熱される。この熱交換により、液
化に使用した冷却媒体の10%が低温タンクに戻され
る。
【0029】この−44℃の空気は、向流式熱交換器9
5で、高温タンク75に貯蔵されている温度50℃の水
等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に冷媒移送
ポンプ85の流量を制御することにより、20℃の水等
が低温タンク70に移送され、空気は1℃程度まで加熱
される。この熱交換により、液化に使用した冷却媒体の
25%が低温タンクに戻される。
【0030】次に、熱交換器50によって海水などと熱
交換を行い、空気は大気への排出に適した常温程度に調
整される。低圧配管21は、燃料配管44,天然ガス移
送管46,空気排出管45に分岐するが、弁145を開
状態とし、弁121と弁146を閉状態とすることによ
り、常温の空気は空気排出管45を通って外部に排出す
る。
【0031】次に、液体空気の生成も消費もせずに発電
する通常運転の動作について説明する。継手装置61を
連結状態とし、継手装置62も連結状態として、発電電
動機8と圧縮機51〜圧縮機53およびガスタービン7
と蒸気タービン11を連結する。起動時には、外部電力
により発電電動機8を回転させ、圧縮機51〜圧縮機5
3を作動させる。圧縮機51では、大気より吸引する空
気を5気圧程度まで昇圧すると、空気の温度は490℃
まで上昇する。このような高温の空気は密度が小さく、
圧縮するための動力が大きいので、中間冷却器65で海
水などと熱交換し、空気の温度を35℃程度まで冷却す
る。この空気を圧縮機52で20気圧程度まで昇圧する
と、空気の温度は200℃まで上昇する。この空気を中
間冷却器66で海水などと熱交換させ、空気の温度を6
0℃程度まで冷却する。さらにこの空気を圧縮機53で
50気圧程度まで昇圧すると、空気の温度は175℃ま
で上昇する。この高温高圧の空気を、弁153と弁10
5は開状態と、弁120は閉状態とすることにより燃焼
器5に導く。
【0032】燃焼器5で燃焼反応を起こすには、燃料の
供給が必要であるが、以下に本実施例の特徴である液化
天然ガスの冷熱を補助冷熱源として用いる場合の動作を
説明する。燃焼器での燃焼に必要な天然ガスの質量は、
燃焼器に供給する空気の質量の3%程度と微量なので、
補助冷熱源として液化天然ガスの冷熱を用いる目的で
は、通常運転時にも冷熱を回収するのが望ましい。
【0033】燃料として用いる天然ガスは、液化天然ガ
スの貯蔵タンク43から、天然ガス配管40を経由して
液化天然ガス移送ポンプ41によって、向流式熱交換器
97に移送する。そのためには弁141を開状態,弁1
98を閉状態とする。ポンプによる移送圧力を高くする
と、液化天然ガスの主成分であるメタンの沸点温度が高
くなり、気化する際に吸収する蒸発潜熱の品位が悪化す
る。例えば、既存のガスタービン発電プラント等に用い
られる液化天然ガスの供給方式では、液化天然ガスを低
温の状態で超臨界圧力に加圧してしまうので、比較的高
温の冷熱しか得られない。本実施例では、より低温で大
量の冷熱を得るために、液化天然ガス移送ポンプ41の
出力または弁141の開度を調整し、液化天然ガスを2
気圧程度まで加圧する。この点が本発明の特徴であり、
この場合の液化天然ガスの沸点温度は約−153℃であ
るため、最も冷熱を多く必要とする−130℃近くの冷
却媒体を冷却するために有効利用できる。
【0034】2気圧まで加圧されて温度が−160℃程
度の液化天然ガスは、向流式熱交換器97で、高温タン
ク77に貯蔵されている温度−90℃のエタン等の冷却
媒体と熱交換させる。この時、冷媒移送ポンプ87の出
力または弁187の開度を調整して配管277を移送さ
れる冷却媒体の流量を制御することにより、−157℃
のエタン等が低温タンク72に移送されるようにする。
すると、液化天然ガスの大部分が気化し、温度が−15
3℃程度の気液混合状態で向流式熱交換器96に供給さ
れる。この熱交換により、同じ時間だけの空気液化運転
に必要な冷却媒体の7.5% が低温タンクに戻される。
この通常運転状態の時間が長い場合、高温タンク77の
冷却媒体が全て低温タンク72に移送される場合が想定
される。その場合は、配管272と冷媒移送ポンプ82
を利用して低温タンク72から高温タンク77の側に冷
却媒体を移送し、低温タンク72の冷却媒体を再度循環
させて冷却する。この循環により、外部から入熱があっ
た場合にも低温タンク72の冷却媒体を所定の温度に保
持できる。
【0035】この−153℃程度の気液混合状態の天然
ガスは、向流式熱交換器96で、高温タンク76に貯蔵
されている温度20℃のエタノール等の冷却媒体と熱交
換させる。この時、同様に冷媒移送ポンプ86の流量を
制御することにより、−90℃のエタノール等が低温タ
ンク71に移送されるようにすると、天然ガスは全量気
化し、−13℃程度となる。この熱交換により、同じ時
間だけの空気液化運転に必要な冷却媒体の7.5% が低
温タンクに戻される。高温タンクの冷却媒体が全て低温
タンクに移送された場合の動作は、前段と同様である。
【0036】この−13℃程度の気体状態の天然ガス
は、向流式熱交換器95で、高温タンク75に貯蔵され
ている温度50℃の水等の冷却媒体と熱交換させる。こ
の時、同様に冷媒移送ポンプ85の流量を制御すること
により、20℃の水等が低温タンク70に移送され、天
然ガスは23℃程度まで加熱される。この熱交換によ
り、同じ時間だけの空気液化運転に必要な冷却媒体の5
%が低温タンクに戻される。高温タンクの冷却媒体が全
て低温タンクに移送された場合の動作は、前段と同様で
ある。
【0037】さて、通常運転状態の時間が長く、高温タ
ンクの冷却媒体が全て低温タンクへ移送された場合は、
低温タンクと高温タンク間を冷却媒体が循環するため、
熱交換器内の冷却媒体の温度が時間とともに低下し、天
然ガスが予定の温度まで加熱できない場合がある。その
場合は、熱交換器50によって天然ガスを海水あるいは
ガスタービン7の排熱などと熱交換させ、予定の温度
(本実施例では23℃程度)に加熱する。弁121を開
状態とし、弁145と弁146を閉状態とすることによ
り、加熱された天然ガスは燃料配管44の天然ガス加圧
ポンプ42によって加圧され、燃焼器5に供給される。
【0038】燃焼器5では、圧縮機53から供給される
高圧の空気とこの天然ガスを燃焼させ、高温,高圧の燃
焼ガスが得られる。この燃焼ガスをガスタービン7で膨
張させ、その過程で得られる回転エネルギにより発電電
動機8の回転軸の駆動力を増加させ、電気回路(図示せ
ず)の切り替えによって発電電動機8を電動機ではなく
発電機として機能させ、電力を発生させる。但し、ガス
タービンの駆動力の約半分は圧縮機51〜圧縮機53の
駆動力として消費され、ガスタービンの駆動力を電力に
変換できる割合は50%以下程度である。ガスタービン
7の排気ガスは600℃近い高温なので、これを排熱回
収ボイラ9に導き高圧の水と熱交換させて、100℃近
くまで冷却して煙突(図示せず)から大気に放出する。
この排熱回収ボイラ9における熱交換で発生した高温・
高圧の蒸気は、復水器10との圧力差を利用して蒸気タ
ービン11を駆動することにより、発電電動機8の回転
軸の駆動力は高まり、発電電力は増加する。燃焼器5で
空気に与えられた熱エネルギは、それぞれの温度領域に
適したガスタービン7と蒸気タービン11により電気エ
ネルギに変換されるため、ガスタービン単体の発電シス
テムよりも高い発電効率になる。同時に、この通常運転
状態では、液化天然ガスの冷熱により、空気液化運転に
必要な冷却媒体の5〜7.5% の質量を高温タンク7
5,76,77から低温タンク70,71,72に冷却
して移動させる効果が得られる。
【0039】次に、昼間等、電力需要要特に多い時間等
により多くの発電をするための液体空気消費運転の動作
について説明する。継手装置61を非連結状態とし、継
手装置62を連結状態として、発電電動機8とガスター
ビン7および蒸気タービン11を連結する。液体空気貯
蔵タンク17で貯蔵されていた空気を弁117を開状態
にして導いてポンプ13で圧縮し、約50気圧に加圧す
る。液体の圧縮に必要な動力は気体の圧縮動力と比較す
れば高々数%なので、圧縮機51〜圧縮機53を使って
空気を圧縮した場合と比較して、非常に小さな動力で圧
縮できる。空気を昇温するために、弁113を開状態,
弁193を閉状態として高圧配管20により向流式熱交
換器93に供給し、高温タンク78に貯蔵されている温
度−164℃のメタン等の冷却媒体と熱交換させる。こ
の時、冷媒移送ポンプ83の出力または弁183の開度
を調整して配管273を移送する冷却媒体の流量を制御
することにより、−180℃のメタン等が低温タンク7
3に移送され、空気は−172℃程度まで加熱される。
液化された空気を全量使用した場合、この熱交換によ
り、液化に使用した冷却媒体の85%が低温タンクに戻
される。
【0040】この−172℃の高圧空気は、向流式熱交
換器92で、高温タンク77に貯蔵されている温度−9
0℃のエタン等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同
様に冷媒移送ポンプ82の流量を制御することにより、
−157℃のエタン等が低温タンク72に移送され、空
気は−110℃程度まで加熱される。この熱交換によ
り、液化に使用した冷却媒体の75%が低温タンクに戻
される。
【0041】この−110℃の高圧空気は、向流式熱交
換器91で、高温タンク76に貯蔵されている温度20
℃のエタノール等の冷却媒体と熱交換させる。この時、
同様に冷媒移送ポンプ81の流量を制御することによ
り、−90℃のエタノール等が低温タンク71に移送さ
れ、空気は−4℃程度まで加熱される。この熱交換によ
り、液化に使用した冷却媒体の75%が低温タンクに戻
される。
【0042】この−4℃の高圧空気は、向流式熱交換器
90で、高温タンク75に貯蔵されている温度50℃の
水等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に冷媒移
送ポンプ80の流量を制御することにより、20℃の水
等が低温タンク70に移送され、空気は35℃程度まで
加熱される。この熱交換により、液化に使用した冷却媒
体の65%が低温タンクに戻される。
【0043】弁120と弁105を開状態とし、弁15
3を閉状態とすることにより、35℃まで加熱された高
圧空気を燃焼器5に供給する。液化貯蔵された空気の合
計質量は、圧縮機51〜圧縮機53で圧縮した空気の合
計質量に空気の液化率を乗じたものなので、供給する瞬
間流量が圧縮機51〜圧縮機53の瞬間流量と同一の場
合は、液体空気消費運転が可能な時間は液化率に比例す
る。液体空気消費運転が可能な時間を増加させたい場合
は、空気液化運転の際の圧縮機51〜圧縮機53の瞬間
流量を、通常運転のときよりも大きく設定して運転すれ
ばよい。
【0044】燃料として用いる天然ガスの冷熱を利用し
て、高温タンク75,76,77の冷却媒体を必要な温
度まで冷却し、低温タンク70,71,72に戻す動作
は、本実施例の前記通常運転の場合と同様である。
【0045】燃焼器5では、高圧配管20から供給され
る高圧の空気とこの天然ガスを燃焼させ、高温,高圧の
燃焼ガスが得られる。この燃焼ガスをガスタービン7で
膨張させ、その過程で得られる回転エネルギにより発電
電動機8を駆動して、電力を発生させる。前述の通常運
転時と大きく異なるのは、ガスタービンによる駆動力が
圧縮機51〜圧縮機53で消費されることがないため、
前述の通常運転時と比較して約2倍の電力を発生するこ
とが可能となる。
【0046】ガスタービン7の排気ガスを排熱回収ボイ
ラ9に導き発電電力を増加させる動作も前述の通常運転
時と同一である。この液体空気消費運転でも、液化天然
ガスの冷熱により、空気液化運転に必要な冷却媒体の5
〜7.5% の質量を高温タンク75,76,77から低
温タンク70,71,72に冷却して移動させる効果が
得られる。
【0047】本実施例では、空気液化運転の2倍の時間
だけ、通常運転または液体空気消費運転を実施すれば、
燃焼器5に供給するのに必要な質量の液化天然ガスの冷
熱の作用により、空気液化に必要な冷却媒体が確保でき
るよう、貯蔵温度などを設定した。空気液化運転時の熱
交換器内での加熱側と冷却側の温度差は、5℃以上と余
裕を持って設定してあり、外部からの入熱があっても蓄
冷媒体の温度が上昇しても、所定の温度に空気を冷却
し、液化できる。冷却空気液化運転の時間が短かく、通
常運転の時間が長い場合や、天然ガス移送管46を利用
して、都市ガスの供給用など外部で利用される天然ガス
の冷熱だけを利用できる場合には、冷熱の分配方法に余
裕ができ、必要な冷却媒体の質量を減らすことが可能と
なる。しかし、このままの構成でも最大8時間の高出力
運転が可能となる。
【0048】また、本実施例では向流式熱交換器と冷熱
を貯蔵するタンクの構成は4段の場合を示したが、熱交
換器の段数を増加すれば増加するほど、冷熱の回収率が
増加し、液化天然ガスの補助的な冷熱の必要量が減少
し、理論的には最大12時間の高出力運転が可能とな
る。
【0049】蓄冷媒体として、本方式のような液体では
なく、石や金属,セラミック等の固体を用いて、直接接
触により蓄冷方式も考えられる。その場合には、蓄冷媒
体を流動させる代わりに、弁の切り替え等によって高圧
空気の流路等を時間とともに変更して、全ての蓄冷媒体
に伝熱を図る必要がある。
【0050】(実施例2)図1を用いて、本発明の別の
実施例を説明する。本実施例は、本発明の請求項1〜請
求項3に対応するものである。また、本実施例は、図2
を用いて説明した実施例の応用例となっており、図2の
場合と異なる点について重点的に説明する。
【0051】本実施例の特徴となる主要な構成要素は、
圧縮機351,向流式熱交換器397,膨張タービン30
7,向流式熱交換器398,電動機308から構成され
るヒートポンプ300と、液化天然ガスの貯蔵タンク4
3から導かれた天然ガス配管40,天然ガス配管40に
より貯蔵タンク43から液化天然ガスを加圧して移送す
る液化天然ガス移送ポンプ41,天然ガス配管40から
分岐し、弁141を介して向流式熱交換器97に天然ガ
スを移送可能な配管140,同じく天然ガス配管40か
ら分岐し、弁341と向流式熱交換器397を介して向
流式熱交換器96に天然ガスを移送可能な配管340,
高温タンク78からポンプ388と弁488と向流式熱
交換器398を経由して低温タンク73に蓄冷媒体を移
送可能な配管378である。ヒートポンプとは、低温側
の熱だめから熱を奪い高温側の熱だめに熱を移動させる
機構であり、本実施例では向流式熱交換器397によっ
て液化天然ガスの冷熱を奪い、向流式熱交換器398に
よってメタンなどの蓄冷媒体を冷却する。ヒートポンプ
300の作動流体として圧縮機351と膨張タービン3
07を流動する流体は、この温度および圧力範囲で気体
として存在可能な、水素などを用いる。
【0052】図を用いて本実施例の動作を説明する。
【0053】本実施例では、電力需要が少ない夜間等の
空気液化運転と、液体空気の生成も消費もせずに発電す
る通常運転と、電力需要が特に多い時間等により多くの
発電をするための液体空気消費運転の3種類の運転状態
を想定する。
【0054】まず、電力需要が少ない夜間等の、空気液
化運転について説明する。圧縮機51〜53,継手装置
61〜62,弁153,弁105,弁120,向流式熱
交換器90〜92,低温タンク70〜72,高温タンク
75〜77の動作は、図2を用いて説明した実施例の空
気液化運転の動作と同一である。
【0055】向流式熱交換器92で−150℃程度まで
冷却された高圧の空気は、高圧配管20により向流式熱
交換器93に導かれ、低温タンク73に貯蔵されている
温度−180℃のメタン等の冷却媒体と熱交換させる。
この時、冷媒移送ポンプ83の流量を制御することによ
り、−164℃のメタン等が高温タンク78に移送さ
れ、高圧空気は−174℃程度まで冷却される。図2を
用いて説明した実施例では、高圧空気は−169℃程度
まで冷却した。本実施例では、ヒートポンプ300の向流
式熱交換器398により高温タンク78の冷却媒体を冷
却できるため、向流式熱交換器93に供給できる冷却媒
体の質量が多くなり、高圧空気をより低温に冷却するこ
とが可能となる。
【0056】弁193を開状態,弁113を閉状態とし
て、この−174℃程度まで冷却された高圧の空気を膨
張弁32により、気液分離器33に放出し大気圧近くに
減圧すると、ジュール・トムソン効果により約79%が
液化し、残りは−191℃の気体空気となる。本実施例
では、ヒートポンプ300の効果により向流式熱交換器
93での空気冷却温度を5℃程度低く設定したため、空
気の液化率が5%大きくなった。
【0057】液化せずに気体となった低温空気の動作
は、定性的には図2の実施例と同一であるが、空気の液
化率の向上により流量が減少したため、温度変化がやや
異なる。−191℃の空気は、低圧ポンプ14により移
送に必要なだけ加圧し、低圧配管21により向流式熱交
換器98に供給し、高温タンク78に貯蔵されている温
度−164℃のメタン等の冷却媒体と熱交換させる。こ
の時、冷媒移送ポンプ88の出力または弁188の開度
を調整して配管278を流れる冷却媒体の流量を制御す
ることにより、−180℃のメタン等が低温タンク73
に移送され、空気は−181℃程度まで加熱される。こ
の熱交換により、液化に使用した冷却媒体の5%が低温
タンクに戻される。
【0058】この−181℃の空気は、弁198を開状
態,弁141を閉状態として、向流式熱交換器97に導
き、高温タンク77に貯蔵されている温度−90℃のエ
タン等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に冷媒
移送ポンプ87の流量を制御することにより、−157
℃のエタン等が低温タンク72に移送され、空気は−1
16℃程度まで加熱される。この熱交換により、液化に
使用した冷却媒体の7%が低温タンクに戻される。
【0059】この−116℃の空気は、向流式熱交換器
96で、高温タンク76に貯蔵されている温度20℃の
エタノール等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様
に冷媒移送ポンプ86の流量を制御することにより、−
90℃のエタノール等が低温タンク71に移送され、空
気は−23℃程度まで加熱される。この熱交換により、
液化に使用した冷却媒体の15%が低温タンクに戻され
る。
【0060】この−23℃の空気は、向流式熱交換器9
5で、高温タンク75に貯蔵されている温度50℃の水
等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に冷媒移送
ポンプ85の流量を制御することにより、20℃の水等
が低温タンク70に移送され、空気は0℃程度まで加熱
される。この熱交換により、液化に使用した冷却媒体の
10%が低温タンクに戻される。
【0061】次に、熱交換器50によって海水などと熱
交換を行い、空気は大気への排出に適した常温程度に調
整される。弁145を開状態とし、弁121と弁146
を閉状態とすることにより、常温の空気は空気排出管4
5を通って外部に排出する。次に、液体空気の生成も消
費もせずに発電する通常運転の動作について説明する。
継手装置61〜62,発電電動機8,圧縮機51〜53
の動作は、図2を用いて説明した実施例の通常運転の動
作と同一である。
【0062】燃料として用いる天然ガスは、液化天然ガ
スの貯蔵タンク73から、天然ガス配管40を経由して
液化天然ガス移送ポンプ41によって移送する。弁14
1と弁341の開度を調整し、全流量の50%が向流式
熱交換器97へ流れ、全流量の50%が向流式熱交換器
397へ流れるようにする。本実施例でも、前記実施例
と同様に、より低温で大量の冷熱を得るために、液化天
然ガス移送ポンプ41の出力または弁141,弁341
の開度を調整し、液化天然を2気圧程度まで加圧する。
【0063】まず、向流式熱交換器397へ供給された
温度−160℃の液化天然ガスは、ヒートポンプ300
の向流式熱交換器397で温度−124℃,圧力3.5
気圧の水素と熱交換し、水素は−153℃に冷却され、
液化天然ガスは気化した後、−136℃に加熱される。
−153℃に冷却された水素は、膨張タービン307で
1気圧まで膨張すると、温度は−194℃まで低下す
る。この−194℃の水素を、向流式熱交換器398に
より高温タンク78に貯蔵されている温度−164℃のメ
タン等の冷却媒体と熱交換させる。この時、弁488の
調整などにより冷媒移送ポンプ388の流量を制御する
ことにより、−180℃のメタン等が低温タンク73に
移送されるようにすると、水素ガスは−173℃程度と
なる。1気圧で−173℃の水素ガスを圧縮機351に
より3.5 気圧まで圧縮すると、温度は−124℃まで
上昇する。この水素は、再び前述の向流式熱交換器39
7で冷却され、ヒートポンプ300の動作は継続する。
圧縮機351を駆動するために必要な動力は、主に膨張
タービン307の駆動力でまかなっているが、不足分は
電動機308の駆動力を使用する。ヒートポンプ300
の向流式熱交換器398における冷却作用により、同じ時
間だけの空気液化運転に必要な冷却媒体の10%が冷却
されて低温タンクに戻される。高温タンク78の冷却媒
体が全て低温タンク73に移送された場合の動作は、前
記実施例と同様に配管273と冷媒移送ポンプ83を利
用して低温タンク73から高温タンク78の側に冷却媒
体を移送し、低温タンク73の冷却媒体を再度循環させ
て冷却する。この循環により、外部から入熱があった場
合にも最も低温な低温タンク73の冷却媒体を所定の温
度に保持できる。
【0064】一方、配管140により向流式熱交換器9
7に導かれた−160℃程度の液化天然ガスは、向流式
熱交換器97で、高温タンク77に貯蔵されている温度
−90℃のエタン等の冷却媒体と熱交換させる。この
時、冷媒移送ポンプ87の出力または弁187の開度を
調整して配管277を移送される冷却媒体の流量を制御
することにより、−157℃のエタン等が低温タンク7
2に移送されるようにする。すると、液化天然ガスの大
部分が気化し、温度が−153℃程度の気液混合状態で
向流式熱交換器96に供給される。この熱交換により、
同じ時間だけの空気液化運転に必要な冷却媒体の4%が
低温タンクに戻される。
【0065】向流式熱交換器96には、向流式熱交換器
97から移送された−153℃程度の気液混合状態の天
然ガスと、ヒートポンプ300の向流式熱交換器397
で加熱された−136℃の天然ガスが混合して、−14
4℃の天然ガスが流入する。この−144℃の天然ガス
は、向流式熱交換器96で、高温タンク76に貯蔵され
ている温度20℃のエタノール等の冷却媒体と熱交換さ
せる。この時、同様に冷媒移送ポンプ86の流量を制御
することにより、−90℃のエタノール等が低温タンク
71に移送されるようにすると、天然ガスは9℃程度ま
で加熱される。この熱交換により、同じ時間だけの空気
液化運転に必要な冷却媒体の7.5% が低温タンクに戻
される。高温タンクの冷却媒体が全て低温タンクに移送
された場合の動作は、前段と同様である。
【0066】この9℃程度の気体状態の天然ガスは、向
流式熱交換器95で、高温タンク75に貯蔵されている
温度50℃の水等の冷却媒体と熱交換させる。この時、
同様に冷媒移送ポンプ85の流量を制御することによ
り、20℃の水等が低温タンク70に移送され、天然ガ
スは45℃程度まで加熱される。この熱交換により、同
じ時間だけの空気液化運転に必要な冷却媒体の5%が低
温タンクに戻される。高温タンクの冷却媒体が全て低温
タンクに移送された場合の動作は、前段と同様である。
【0067】前述の公知例と同様に、熱交換器50によ
って天然ガスを海水あるいはガスタービン7の排熱など
と熱交換させ、必要な温度に加熱する。弁121を開状
態とし、弁145と弁146を閉状態とすることによ
り、加熱された天然ガスは燃料配管44の天然ガス加圧
ポンプ42によって加圧され、燃焼器5に供給される。
燃焼器5での燃焼動作は、実施例と同様である。この通
常運転状態では、液化天然ガスの冷熱により、空気液化
運転に必要な冷却媒体の4〜10%の質量を高温タンク
75,76,77,78から低温タンク70,71,7
2,73に冷却して移動させる効果が得られる。
【0068】次に、昼間等、電力需要が特に多い時間等
により多くの発電をするための液体空気消費運転の動作
について説明する。継手装置61,62,弁117,ポ
ンプ13,弁113,弁193の動作は、実施例の液体
空気消費運転と同様である。約50気圧に加圧した低温
高圧の超臨界空気を向流式熱交換器93に供給し、高温
タンク78に貯蔵されている温度−164℃のメタン等
の冷却媒体と熱交換させる。この時、冷媒移送ポンプ8
3の出力または弁183の開度を調整して配管273を
移送する冷却媒体の流量を制御することにより、−18
0℃のメタン等が低温タンク73に移送され、空気は−
171℃程度まで加熱される。液化された空気を全量使
用した場合、この熱交換により、液化に使用した冷却媒
体の75%が低温タンクに戻される。
【0069】この−171℃の高圧空気は、向流式熱交
換器92で、高温タンク77に貯蔵されている温度−9
0℃のエタン等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同
様に冷媒移送ポンプ82の流量を制御することにより、
−157℃のエタン等が低温タンク72に移送され、空
気は−102℃程度まで加熱される。この熱交換によ
り、液化に使用した冷却媒体の85%が低温タンクに戻
される。
【0070】この−102℃の高圧空気は、向流式熱交
換器91で、高温タンク76に貯蔵されている温度20
℃のエタノール等の冷却媒体と熱交換させる。この時、
同様に冷媒移送ポンプ81の流量を制御することによ
り、−90℃のエタノール等が低温タンク71に移送さ
れ、空気は8℃程度まで加熱される。この熱交換によ
り、液化に使用した冷却媒体の70%が低温タンクに戻
される。
【0071】この8℃の高圧空気は、向流式熱交換器9
0で、高温タンク75に貯蔵されている温度50℃の水
等の冷却媒体と熱交換させる。この時、同様に冷媒移送
ポンプ80の流量を制御することにより、20℃の水等
が低温タンク70に移送され、空気は37℃程度まで加
熱される。この熱交換により、液化に使用した冷却媒体
の80%が低温タンクに戻される。
【0072】弁120と弁105を開状態とし、弁15
3を閉状態とすることにより、37℃まで加熱された高
圧空気を燃焼器5に供給する。燃料として用いる天然ガ
スの供給動作,燃焼から発電の動作は、本実施例の通常
運転と全く同一である。この液体空気消費運転では、液
化天然ガスの冷熱により、空気液化運転に必要な冷却媒
体の4〜10%の質量を高温タンク75,76,77,
78から低温タンク70,71,72,73に冷却して
移動させる効果が得られる。
【0073】さらに、本実施例では、液化天然ガスなど
の外部の冷熱により、空気の液化運転に必要な冷却媒体
の全てを冷却することが可能であり、プラントの建設直
後や定期検査直後等、システムが常温にある状態から液
化運転あるいは蓄冷運転を開始するための最初の冷熱を
得ることができる。
【0074】
【発明の効果】蓄冷機構の熱交換器の内部温度差に起因
する熱交換量の損失や外部からの入熱の課題を解決し
て、夏場や真冬における電力必要量のピークに容易に対
応できるエネルギ貯蔵型ガスタービン発電システムを実
現することができる。
【0075】さらに、プラントの建設直後や定期検査直
後等、システムが常温にある状態から液化運転あるいは
蓄冷運転を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のシステムの系統図。
【図2】本発明の一実施例のシステムの系統図。
【図3】比較のシステムのブロック図。
【図4】50気圧の空気の定圧比熱の特性図。
【符号の説明】
5…燃焼器、7…ガスタービン、8…発電電動機、9…
排熱回収ボイラ、10…復水器、11…蒸気タービン、
12…ポンプ、13…高圧ポンプ、14…低圧ポンプ、
17…液体空気貯蔵タンク、43…貯蔵タンク、50…
熱交換器、51,52,53,351…圧縮機、90,
91,92,93,95,96,97,98,397,
398…向流式熱交換器、70,71,72,73…低
温タンク、75,76,77,78…高温タンク、30
0…ヒートポンプ、307…膨張タービン、308…電
動機。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧縮機と燃焼器,タービンで構成されるガ
    スタービン発電システムで、電力需要が低下した時に、
    余剰電力と蓄冷機構が保有している冷熱を利用して液体
    空気を製造してタンク内に貯蔵し、電気需要が増大した
    時には、貯蔵した液体空気を加圧して上記蓄冷機構に冷
    熱を付与しながら昇温して燃焼器に供給するエネルギ貯
    蔵システムにおいて、上記エネルギ貯蔵システムの外部
    の補助冷熱源から上記蓄冷機構に冷熱を伝達する機構を
    備えたことを特徴とするエネルギ貯蔵型ガスタービン発
    電システム。
  2. 【請求項2】請求項1において、上記補助冷熱源として
    液化天然ガスの潜熱および顕熱を利用できる熱交換器を
    備えたエネルギ貯蔵型ガスタービン発電システム。
  3. 【請求項3】請求項1において、上記補助冷熱源として
    液化天然ガスの潜熱および顕熱を高温側の熱源として構
    成されるヒートポンプ式熱交換器を備えたエネルギ貯蔵
    型ガスタービン発電システム。
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