JPH10237099A - 糖脂質糖鎖レプリカペプチド - Google Patents

糖脂質糖鎖レプリカペプチド

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JPH10237099A
JPH10237099A JP4231197A JP4231197A JPH10237099A JP H10237099 A JPH10237099 A JP H10237099A JP 4231197 A JP4231197 A JP 4231197A JP 4231197 A JP4231197 A JP 4231197A JP H10237099 A JPH10237099 A JP H10237099A
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JP
Japan
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peptide
glycolipid
sugar chain
phage
antibody against
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JP4231197A
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English (en)
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Takao Taki
孝雄 瀧
Masaru Ishikawa
大 石川
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IMMUNO JAPAN KK
Original Assignee
IMMUNO JAPAN KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、糖鎖をもつ糖脂質のうち、シアル
酸を含むスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドの一
つ、GD1αに対する抗体と特異的に反応するペプチド
ペプチドを提供する。 【解決手段】 本発明のペプチドは、以下のアミノ酸配
列: Phe Arg Ser Asp Val Arg Phe Trp His Trp Ser Thr Pr
o Phe Met; Val Arg Val Tyr Phe Gly Phe Gly Pro Pro Pro Tyr Ph
e Gly Gly; Trp His Trp Arg His Arg Ile Pro Leu Gln Leu Ala Al
a Gly Arg; Arg Tyr Trp Leu Tyr Gly Asp Pro Ala Ser Phe Pro Va
l Asn His;および Ala Arg Lys Tyr Gly Thr Arg Phe Gly Leu Ile Gly Gl
y Tyr Arg; を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖鎖をもつ糖脂質
のうち、シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質であるガング
リオシドの一つ、GD1αに対する抗体と特異的に反応
するペプチド及びその製造方法に関する。一つの態様に
おいて、本発明のペプチドを生物学的活性因子の受容体
分子と結合させることによって、対象となる生物学的活
性を仲介することができるリガンドを同定したり、その
特性を決定することが可能である。また、本発明は、転
移癌細胞の標的細胞への接着を妨げて癌の転移を抑制す
る医薬組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、糖鎖が細胞分化や細胞増殖調節等
において、生物学的に重要な役割を果たすとして注目さ
れている。しかしながら、糖鎖を化学合成するには特殊
な技術および経験を要する(Hasegawa,A.et al.,199
0,J.Carbohydr.Chem.,9,181-189;Hasegawa,A.e
t al.,1992,J.Carbohydr.Chem.,11,319-331)。
よって、糖鎖の生物学的機能を決定するためには、生理
活性物質を単離精製しなければならず、多量の原料及び
煩雑な操作が必要である。その原料を獲得するために一
般的に用いられている方法としては、生体から対象物質
を精製する方法があるが、生体から多量の生理活性物質
を調製することは困難である。一方、通常の蛋白質の場
合、発現系ベクターにcDNAを組込み、発現させる方
法が用いられるが、糖鎖を含む物質の場合には糖鎖を天
然の生理活性物質と同じ構造に発現させることは難し
い。
【0003】例えば、大腸菌(E.coli)の外膜蛋白質
LamBに遺伝子挿入することにより約60個までのアミノ酸
残基を有するハイブリッド蛋白質を提供することができ
(Charbit A., Molla A., Saurin W., and Hofnung,
M.1988, Gene, 70:181)、このような構造体は生ワク
チンとして利用されている。しかしながら、大腸菌を宿
主として用いるこの方法では、糖鎖構造を発現させるこ
とは不可能である。
【0004】蛋白質生物活性分子、及び低分子量分子の
同定、及び機能を明らかにするために現在用いられてい
る手法は、その対象物質に関する多大な知識を必要とす
る。従って、生物活性分子の同定を促進し、実用的な薬
剤を提供するために広い用途を有するその他の方法が熱
望されている。
【0005】このような状況下において、「エピトープ
ライブラリー」がランダムなペプチドをコードする合成
DNAを繊維状ファージベクターの中にクローン化する
ことにより所望のペプチドを生成する方法が提案された
(Parmley,S.F.and Smith,G.P. 1988, Gene, 73:
305-318)。該方法によれば、合成DNAをコート蛋白
質であるpIIIの遺伝子の中にクローン化すると、コー
ドされたペプチドはpIIIの機能に有意に干渉すること
なく、pIIIの一部となる可能性がある。また、組換え
バクテリオファージを使用した「ファージ法」(Scott,
J.K.and Smith,G.P.1990,Science 249,386-390,
Cwirla,S.E.et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,87,6378-6382, Devlin,J.J.et al.,199
0,Science,249,404-406)を使用して、非常に大きな
ペプチドライブラリーを構築できることが報告されてい
る。該方法においては種々のベクターが用いられうる。
合成DNAは好ましくはウイルスベクターに、より好ま
しくはバクテリオファージベクターにクローニングす
る。コードされたペプチドを発現するために好ましいベ
クターは例えばλgtシリーズ及び繊維状バクテリオフ
ァージベクター、特に好ましくはM13もしくはfdで
ある。このようなランダムペプチドを発現するファージ
は、抗体により認識されるエピトープを同定する手法お
よびライブラリーから抗体を用いてファージの精製を行
う手法を提供しうる(Parmley,S.F.and Smith,G.
P. 1988, Gene, 73:305-318)。しかしながら、現在ま
でに、この手法を用いることにより有用な生物学的活性
分子を提供したという報告はない。
【0006】また、生物学的活性分子を同定するための
組成物及びその製造法として、ランダムペプチドのライ
ブラリーの使用が開示されている(特表平5−507700
号)。該文献には、繊維状ファージの表層上でペプチド
を発現させ、1014種以上のランダムペプチドライブラリ
ーを作製する方法及び発現させた該ランダムペプチド配
列を含む蛋白質が記載されている。しかしながら、糖脂
質糖鎖の機能解明に役立つ物質に関しては、何ら記載さ
れていない。
【0007】糖鎖の生理学的機能を研究するために、そ
の構造に類似したペプチド(レプリカペプチド)を構築
し、糖鎖の代用として研究に用いることが有用な方法の
1つに挙げられる。このようなレプリカペプチドの配列
は、繊維状ファージディスプレイライブラリーからバイ
オパンニングにより(Parmley,S.F.and Smith,G.
P.,1988,Gene,73,305-318)抗体と反応したクロー
ンのDNAを抽出し、ヌクレオチド配列決定並びにアミ
ノ酸配列の推定により得ることができる。また、このよ
うにして得られた配列の一部を変更して、抗体と親和性
の高いペプチドを見いだすことも可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】糖鎖糖脂質の一つであ
るGD1αは、癌細胞が肝細胞に転移する際に癌細胞中
で増加しており、その糖鎖構造が細胞表面にも発現して
いることから、転移の接着分子として機能していること
が予測されている。従って、標的細胞において癌細胞と
結合する結合部位に予め他の物質を結合させることによ
り、癌細胞の転移を防ぐことができる。しかし、標的細
胞上の結合部位に選択的に結合する物質はこれまでのと
ころ見いだされていない。
【0009】
【課題を解決する手段】本発明は、糖脂質糖鎖に対する
抗体と特異的に反応し、グリコシダーゼの活性を調節す
るペプチドに関する。より特定すれば、本発明は、シア
ル酸を含むスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドの一
つ、GD1αに対する抗体と特異的に反応し、癌細胞が
標的細胞に接着および/または転移するのを阻害するペ
プチドに関する。
【0010】本発明者らは、大腸菌の繊維状ファージの
pIIIにアミノ酸をランダムに発現させたファージディ
スプレイペプチドライブラリー(Scott,J.K.and Smi
th,G.P.,1990,Science,249,386-390)から、糖脂
質に対する抗体と反応するペプチドを有するファージを
選別し、得られたファージの特定の部位のペプチドのア
ミノ酸配列を決定することにより、本発明を完成した。
【0011】本発明によれば、以下のアミノ酸配列: Phe Arg Ser Asp Val Arg Phe Trp His Trp Ser Thr Pr
o Phe Met(配列番号1); Val Arg Val Tyr Phe Gly Phe Gly Pro Pro Pro Tyr Ph
e Gly Gly(配列番号2); Trp His Trp Arg His Arg Ile Pro Leu Gln Leu Ala Al
a Gly Arg(配列番号3); Arg Tyr Trp Leu Tyr Gly Asp Pro Ala Ser Phe Pro Va
l Asn His(配列番号4);および Ala Arg Lys Tyr Gly Thr Arg Phe Gly Leu Ile Gly Gl
y Tyr Arg(配列番号5); を有するペプチドが提供される。
【0012】本発明者らは、本発明のペプチドが模倣し
た糖脂質は転移性癌細胞において発現しており、その糖
鎖構造は癌細胞が肝臓の標的細胞に接着する際に接着分
子として機能していることを明らかにした(Taki,T.e
t al.(投稿中))。また、本発明のペプチドが模倣し
た糖脂質は、神経機能や細胞の相互識別、分化、増殖、
老化等にも関与すると予測され、各種ホルモン等の受容
体機能も注目されている。本発明のペプチドは、糖脂質
の糖鎖構造を模倣したペプチドであり、患者に投与して
予め標的細胞の癌細胞に対する結合部位をマスクするこ
とにより、癌の転移を阻害することができ、即ち、癌の
転移を予防して治療効果を高めることができる。
【0013】一つの態様として、本発明の配列番号1〜
5のペプチドに加えて、薬効成分を有する別のペプチド
または蛋白質を共有結合させた、一本のポリペプチド鎖
からなる医薬組成物を提供する。また、本発明のペプチ
ドのN末端および/またはC末端に、ペプチドの生物学
的活性を阻害せず且つ毒性を示さないような不活性な配
列を連結して、ポリペプチドまたは蛋白質として用いる
ことができる。当業者には理解されるとおり、そのよう
な不活性配列の付加はペプチドに安定性をもたらしう
る。
【0014】別の態様において、本発明のペプチドを生
物学的活性因子の受容体分子と結合させることにより、
対象となる生物学的活性を仲介することができるリガン
ドを同定したり、その特性を決定することが可能であ
る。また、本発明のペプチドは、そのリガンドと結合す
る性質を利用して、医薬品を特定の部位に選択的に送達
するための医薬組成物及びその製造方法に関する。
【0015】医薬組成物は、あらゆる投与法、例えば、
経口投与および注射等の投与経路により用いることがで
き、その剤型としては錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロ
ップ、注射剤等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0016】本発明のペプチドは、化学合成、または遺
伝子工学的手法を用いた微生物及び細胞等における発現
などにより製造することができる。化学合成は、例えば
固相合成法のような一般に用いられているペプチド合成
方法で行うことができ、そして、遺伝子工学的手法とし
ては、メッセンジャーRNAから逆転写酵素を用いて目的
のアミノ酸配列をコードするcDNAを合成して発現ベクタ
ーに組み込み、適当な宿主細胞、例えば大腸菌等に遺伝
子を挿入して発現させる方法がある。また、本発明のペ
プチドのアミノ酸配列において、1またはそれ以上のア
ミノ酸を付加、欠失または置換することにより、医薬の
用途においてより適したペプチドをもたらしうる。その
ような例としては、ペプチドの安定化、副作用の軽減等
が挙げられる。そのような目的には、オリゴヌクレオチ
ドを用いた部位特異的変異導入(Zoller,M.et al.,1
982,Nucl.Acids Res.,10,6487-6500)およびカセッ
ト変異誘発(Wells,J.et al.,1985,Gene,34,315-
323)等を使用することができるが、これらに限定され
ない。
【0017】本明細書において用いられるポリペプチド
なる用語は、アミノ酸数約10〜約100のペプチドを意味
し、また蛋白質なる用語は、アミノ酸数約100以上のペ
プチドを意味し、糖鎖その他を有する複合蛋白質である
場合もある。
【0018】
【実施例】本発明は以下の実施例により詳細に説明され
る。これらの実施例は、本発明を例示するためのもので
あり、記載された特定の態様に本発明を限定するための
ものではない。
【0019】
【実施例1】GD1αのレプリカペプチドを含有するファージの選別 GD1αを認識するモノクローナル抗体を、Hirabayashi,
Y.et al.,1992,J.Biol.Chem.,267,12973-1297
8;Kohler,G.and Milstein,C.1975,Nature,256,
495-497の記載に従い製造し(マウスIgM型)、アビジン
化した。ストレプトアビジンを固相化したプラスチック
プレートにアビジン化したモノクローナル抗体を結合さ
せて、GD1αのモノクローナル抗体の固相化プレートを
作製した。このプレートにファージディスプレイペプチ
ドライブラリー(Scott,J.K.and Smith,G.P.,199
0,Science,249,386-390)溶液を100μl入れ、4℃で
一晩反応させた。ファージは、大腸菌繊維状ファージM
13を用いた。プレートを0.5Mトリス緩衝液(pH7.5)(TB
S)で洗浄した後、0.1Mグリシン緩衝液(pH2.2)を入れて
室温で10分間静置して、抗体と結合したファージを回収
し、1Mトリス緩衝液(pH9.1)を添加し、ファージ液を
中性に戻した。セントリコン TM30(アミコン製)でフ
ァージ液を濃縮して、液量を50〜100μlとした。尚、抗
体のアビジン化およびアビジン化抗体への固相への結合
は、Oldenburg,K.R.et al.,1992,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,189,5393-5397に記載されるとおりに行
った(以下の実施例も同様)。
【0020】
【実施例2】GD1αレプリカペプチドを有するファージライブラリー
の調製 TB培地(1.2%バクト−トリプトン(Bacto-trypton
e)、2.4%酵母抽出物、0.4%グリセロール、0.17M リ
ン酸二水素カリウム、0.72M リン酸一水素カリウム)中
で37℃において3時間培養した後、室温に30分静置した
大腸菌(K91-Kan(Parmley,S.F.and Smith,G.P.,
1988,Gene,73,305-318))を実施例1で得られたフ
ァージ液に滴下し、15分間感染させた。その後、予め37
℃に温めたNZY培地(1%NZアミンA、0.5%酵母
抽出物)20mlに感染させた大腸菌液を加え、37℃で30分
間振とう培養した後、テトラサイクリン20μlを添加し
て一晩振とう培養した。その後、増殖したファージをPE
G沈殿法を用いて回収した。再び先に述べたモノクロー
ナル抗体プレートと反応させた。バイオパンニングを3
回繰り返して、GD1αのモノクローナル抗体と反応する
ファージライブラリーを得た。
【0021】
【実施例3】ファージクローン液の調製 実施例2で得られたファージを、大腸菌(K91-Kan)に
感染増殖させ、PEG沈殿法を用いてファージを回収し
た。ファージの希釈液をNZY寒天培地に塗布して培養
し、生育したうちの1コロニーを新たなNZY培地に植
菌して増殖させて、ファージクローン液を得た。
【0022】
【実施例4】GD1αレプリカペプチドの配列の決定 実施例3で得られたファージクローン液から実施例2と
同様にファージを回収し、0.15M 塩化ナトリウム水溶液
630mlに溶解した。フェノール抽出法により10μgのDNA
を抽出した。DNAシークエンサー(Applied Biosystems
373A)を用いて、得られた任意の5クローンのDNAの塩
基配列を決定してアミノ酸配列を推定したところ、それ
ぞれ以下: Phe Arg Ser Asp Val Arg Phe Trp His Trp Ser Thr Pr
o Phe Met(配列番号1); Val Arg Val Tyr Phe Gly Phe Gly Pro Pro Pro Tyr Ph
e Gly Gly(配列番号2); Trp His Trp Arg His Arg Ile Pro Leu Gln Leu Ala Al
a Gly Arg(配列番号3); Arg Tyr Trp Leu Tyr Gly Asp Pro Ala Ser Phe Pro Va
l Asn His(配列番号4);および Ala Arg Lys Tyr Gly Thr Arg Phe Gly Leu Ile Gly Gl
y Tyr Arg(配列番号5); の配列を有した。
【0023】
【実施例5】配列番号1、配列番号2、配列番号3およ
び配列番号4のアミノ酸配列を有するペプチドを固相合
成法で化学合成し(泉屋信夫ら、合成ペプチドの基礎と
実験、1985年(丸善)を参照されたい)、それぞれ25mg
ずつのペプチドを得た。それぞれを、#GD01,#G
D02,#GD03および#GD04と命名した。
【0024】
【実施例6】実施例3で得られたGD1αレプリカペプチ
ド#GD01,#GD02,#GD03および#GD0
4を発現したファージクローン液を、実施例1で用いた
GD1αのモノクローナル抗体の固相化プレートにそれぞ
れ100μlずつ入れ、ファージと抗体を4℃で一晩反応さ
せた。ファージ液を除去後、結合したファージの量を一
次抗体として抗ファージ抗体、二次抗体としてペルオキ
シダーゼ標識抗体を用いたELISA法で測定した(Engval
l,E.,et al.,1971,Immunochemistry,8,871-87
4)。その結果、図1に示すとおり、ファージクローン
は固相化したGD1αのモノクローナル抗体と強い結合を
示した。
【0025】
【実施例7】実施例3で得られたGD1αレプリカペプチ
ド#GD01を発現したファージクローン液を、実施例
1で用いたGD1αのモノクローナル抗体と4℃で一晩反応
させた。対照として、GD1αのモノクローナル抗体のみ
を4℃に一晩おいた。1μg/mlのGD1α溶液をシリカゲ
ル薄層クロマトプレートにプロットし、0.08%ポリイソ
ブチルメタクリレートのヘキサン溶液にプレートを30秒
間浸した。ドライヤーで乾燥させた後、ファージクロー
ンとモノクローナル抗体の反応液または対照となるモノ
クローナル抗体を反応させ、室温に60分静置した。PBS
でプレートを洗浄し、ペルオキシダーゼ標識2次抗体反
応液を反応させた。再度、PBSで洗浄し、コニカイムノ
ステイン(コニカ製)で染色したところ、図2に示すと
おり、予めファージと反応させたモノクローナル抗体を
入れた場合には発色せず、対照は発色したことから、抗
原であるGD1αに対する抗体の結合がファージの添加に
より阻害されたことが確認された。
【0026】
【実施例8】マウス肝類洞内皮細胞(HSE細胞)株を予
め無血清培地中で培養したものに、実施例3のGD1αレ
プリカペプチド#GD01を発現したファージクローン
液1mlを加え、37℃で30分間反応させた。その結果、フ
ァージクローンはHSE細胞と結合し、該ペプチドを発現
したファージクローンが癌細胞の標的細胞であるHSE細
胞と接着することが確認された。
【0027】
【実施例9】肝臓に高転移性のマウス悪性リンパ種の一
種であるH10細胞株(1×105細胞)を100μlの無血清培
地に懸濁し、実施例3のGD1αレプリカペプチド#GD
01を発現したファージクローン液を添加した。対照は
該ファージクローン液を添加しないものとした。これを
HSE細胞株液を入れたプレートのウェルに添加し、37℃
で60分静置した。PBSで3回洗浄後、接着したH10細胞を
顕微鏡で観察したところ、ファージクローン液を入れた
場合のみ接着が阻害され、該ペプチドを発現したファー
ジクローンが癌細胞の転移を抑制した。
【0028】
【実施例10】実施例5のペプチド#GD01を、それ
ぞれ8μg/mlの濃度になるようにメタノールに溶解し、
段階希釈してシリカゲル薄層クロマトプレートにプロッ
トした。0.08%ポリイソブチルメタクリレートのヘキサ
ン溶液にプレートを30秒間浸し、ドライヤーで乾燥させ
た後、1μg/mlのGD1αのモノクローナル抗体溶液(1%B
SAを含むPBS)と反応させ、室温に60分間静置した。プ
レートをPBSで洗浄後、2次抗体(ペルオキシダーゼ標
識抗マウスIgM抗体)を反応させた。再度、PBSで洗浄
し、コニカイムノステインで染色したところ、ペプチド
濃度依存的に反応し、本発明の合成ペプチドがGD1αの
モノクローナル抗体と反応することが確認された。
【0029】
【実施例11】肝臓に高転移性の癌細胞であるH10細胞
株(1×105細胞)を100μlの無血清培地に懸濁し、実施
例5のペプチド#GD01,#GD02,#GD03お
よび#GD04をそれぞれ最終濃度が0.1mg/ml,0.5mg/
mlおよび2.5mg/mlとなるように加えた。対照はペプチド
を加えないものとした。これをHSE細胞株液を入れたプ
レートのウェルに添加し、37℃で60分静置した。PBSで
3回洗浄後、接着したH10細胞を顕微鏡で観察したとこ
ろ、図3のとおり、GD1αのレプリカペプチドを入れた
場合のみ接着が阻害され、本発明のペプチドが癌細胞の
転移を抑制した。
【0030】
【配列表】
【0031】配列番号:1 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列(#GD01) Phe Arg Ser Asp Val Arg Phe Trp His Trp Ser Thr Pro Phe Met 1 5 10 15
【0032】配列番号:2 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列(#GD02) Val Arg Val Tyr Phe Gly Phe Gly Pro Pro Pro Tyr Phe Gly Gly 1 5 10 15
【0033】配列番号:3 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列(#GD03) Trp His Trp Arg His Arg Ile Pro Leu Gln Leu Ala Ala Gly Arg 1 5 10 15
【0034】配列番号:4 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列(#GD04) Arg Tyr Trp Leu Tyr Gly Asp Pro Ala Ser Phe Pro Val Asn His 1 5 10 15
【0035】配列番号:5 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列(#GD05) Ala Arg Lys Tyr Gly Thr Arg Phe Gly Leu Ile Gly Gly Tyr Arg 1 5 10 15
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ファージ(配列番号1〜4)とGD1α
のモノクローナル抗体のELISAの結果を示す。φ1〜φ
4はぞれぞれ、#GD01〜#GD04を発現したファ
ージに相当する。
【図2】図2は、ペプチド(#GD01および#GD0
4)によるGD1αとモノクローナル抗体の結合阻害を示
す。GD1αは、Taki,T.et al.,1986,J.Biol.Che
m.,261,3075-3078に記載の方法により得たラット腹水
肝癌細胞(AH7974F細胞)単離物を示す。
【図3】図3は、ペプチド(配列番号1〜4)のH10細
胞とHSE細胞との接着阻害を示す。φ1P〜φ4Pはぞ
れぞれ、#GD01〜#GD04に相当する。φNPは
対照を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖脂質糖鎖に対する抗体と特異的に反応
    し、癌細胞が標的細胞に接着および/または転移するの
    を阻害するペプチド。
  2. 【請求項2】 癌細胞及び標的細胞がいずれもヒト由来
    である請求項1記載のペプチド。
  3. 【請求項3】 糖脂質がスフィンゴ糖脂質である請求項
    1記載のペプチド。
  4. 【請求項4】 糖脂質がガングリオシドである請求項1
    記載のペプチド。
  5. 【請求項5】 糖脂質がGD1αである請求項1記載のペ
    プチド。
  6. 【請求項6】 配列番号1のアミノ酸配列を有する、糖
    脂質糖鎖に対する抗体と特異的に反応するペプチド#G
    D01。
  7. 【請求項7】 配列番号2のアミノ酸配列を有する、糖
    脂質糖鎖に対する抗体と特異的に反応するペプチド#G
    D02。
  8. 【請求項8】 配列番号3のアミノ酸配列を有する、糖
    脂質糖鎖に対する抗体と特異的に反応するペプチド#G
    D03。
  9. 【請求項9】 配列番号4のアミノ酸配列を有する、糖
    脂質糖鎖に対する抗体と特異的に反応するペプチド#G
    D04。
  10. 【請求項10】 配列番号5のアミノ酸配列を有する、
    糖脂質糖鎖に対する抗体と特異的に反応するペプチド#
    GD05。
  11. 【請求項11】 糖脂質糖鎖に対する抗体と特異的に反
    応する活性が保たれる範囲で、1またはそれ以上のアミ
    ノ酸が付加、欠失または置換されている、請求項6ない
    し10のいずれか1項記載のペプチド。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし請求項11のいずれか
    1項記載のペプチドを化学合成法により製造する、ペプ
    チドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし請求項11のいずれか
    1項記載のペプチドをコードするDNAを遺伝子工学的手
    法により宿主生物に組込むことにより該ペプチドを宿主
    内で発現させることを特徴とする、ペプチドの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし請求項11のいずれか
    1項記載のペプチドを含むポリペプチド及び蛋白質。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし請求項11のいずれか
    1項記載のペプチドを含有する、癌の転移を抑制する医
    薬組成物。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の医薬組成物の製造方
    法。
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