JP2000109500A - ヒト尿由来細胞接着糖蛋白質、その製造方法およびそれを 含有する医薬品 - Google Patents

ヒト尿由来細胞接着糖蛋白質、その製造方法およびそれを 含有する医薬品

Info

Publication number
JP2000109500A
JP2000109500A JP10293078A JP29307898A JP2000109500A JP 2000109500 A JP2000109500 A JP 2000109500A JP 10293078 A JP10293078 A JP 10293078A JP 29307898 A JP29307898 A JP 29307898A JP 2000109500 A JP2000109500 A JP 2000109500A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stands
acid
amino acid
cell
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10293078A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3103531B2 (ja
Inventor
Nobuya Yanagiuchi
延也 柳内
Daikan Kyu
邱大乾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KINRYU SEIGI YUGENKOSHI
Original Assignee
KINRYU SEIGI YUGENKOSHI
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KINRYU SEIGI YUGENKOSHI filed Critical KINRYU SEIGI YUGENKOSHI
Priority to JP10293078A priority Critical patent/JP3103531B2/ja
Publication of JP2000109500A publication Critical patent/JP2000109500A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3103531B2 publication Critical patent/JP3103531B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、リンパ球ホーミング受容体の1つで
ある細胞接着糖蛋白質(国際細胞膜分化抗原分類CD4
4と称される)に関するものである。 【解決手段】本発明はヒト尿に由来する可溶性CD44
とその取得方法ならびにそれを細胞表面に存在する膜貫
通型受容体CD44のアナログとしてリンパ球のホーミ
ング、活性化、癌細胞の転移を抑制する新規な疾病治療
剤を創製することに関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトの尿中に発見
された細胞接着糖蛋白質、すなわち可溶性リンパ球ホー
ミング受容体から高い純度で精製回収し、抗炎症、免疫
抑制並びに癌転移抑制を目的とする医薬品製剤の創製に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、抗炎症、免疫抑制などを目的とし
て化学合成医薬品、酵素阻害剤、抗生物質などが使用さ
れているが、これらは炎症や免疫反応をつかさどる白血
球機能を抑制、阻害したり、これら細胞あるいは組織か
ら遊離してくる酵素を阻害する作用を有するものであっ
た。一方、近年、炎症反応や免疫反応が白血球と組織あ
るいは組織を構成する細胞との細胞接着により機能して
いることが解明され、その細胞接着に不可欠な多種多様
な細胞接着分子(Cellular Adhesion Molecule)が発
見、報告されるに至り、これらの細胞接着分子は、従来
の薬剤とはその作用機序が全く異なる抗炎症、免疫抑
制、癌細胞転移抑制を目的とする医薬品として利用が期
待されて来た。しかしながら、現在、これらの細胞接着
分子は細胞表面や組織に極めて微量に存在するものであ
り、大量に入手することは極めて困難で、遺伝子組み替
え技術による応用しか期待できない。細胞接着分子の中
でも、生体内でのあらゆる免疫反応に深く関与するリン
パ球の細胞接着分子は免疫機能そのものを調節する重要
なものである。その内の一つとして、リンパ球を特定の
リンパ組織に接着させたり、生体を循環した後、再度同
じ組織、細胞に接着させるためのリンパ球ホーミング受
容体(Lymphocyte Homing Receptor,LHRと略記)が知ら
れているが、これは特定の細胞、組織に存在する接着リ
ガンドに対する受容体で、このリガンドと受容体が結合
することによって細胞相互の接着が起こり、情報の伝達
や細胞相互作用が発見される。細胞接着分子はこの受容
体とリガンドを指し、近年、その構造及び機能が解明さ
れて来ている。本発明は、リンパ球ホーミング受容体の
1つである細胞接着糖蛋白質(国際細胞膜分化抗原分類
CD44と称される)に関するものである。
【0003】CD44はすべての成熟リンパ球の細胞表
面に発見され(L.A. Goldestein etal.Cell 56:1063-10
72,1989)、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、コラー
ゲンI型およびVI型、コンドロイチン硫酸含有糖鎖をリ
ガンドとする細胞受容体であり、細胞外領域、細胞膜貫
通領域および細胞内領域を有する分子量約9万の糖蛋白
質であるが、細胞外の膜近傍部分に挿入が起こったり、
プロテオグリカンが付加されて分子量20万以上になっ
たものも知られている。また、CD44はリンパ球だけ
に発見されているのではなく、ある特定の癌細胞にも発
見されていることが知られているが(T.St.John et al.
Cell 60:45-52,1990)、その機能に関してリンパ球の
場合には粘膜型リンパ組織中の高内皮細静脈へのリンパ
球の結合を司り、リンパ球のホーミングを調節する機能
とT―リンパ球の活性化の機能が知られている。また、
癌細胞に発現するCD44は大腸癌や膵臓癌などにおい
てその転移能と相関しており、これらの癌細胞が血管を
経由して転移する時その組織に対する接着分子としての
機能を有していると推定されている。これらのことか
ら、ヒアルロン酸、コラーゲンフィブロネクチンなどが
存在する結合組織、関節組織における炎症や移植臓器の
拒絶反応などにおいて、活性化リンパ球が集積してくる
現象は細胞接着分子、特にCD44が関わっていると推
定され、CD44の機能を調節方法がこれら疾病の予
防、治療に極めて高い効果をもたらすものと考えられて
いる。事実、動物実験でCD44に対する抗体を投与し
てCD44の機能を阻害すると、炎症組織へのリンパ球
の集積やリンパ球の活性化が抑えられ、また癌細胞の場
合にはその転移が抑制されて延命効果が発揮されること
が報告されている。(S:eber et al. Int.J.Cancer 46:
919-927,1990, B.F.Haynes etal. Arthritis Rheum.
34:1434-1443,1991, U.Gunther et al. Cell 65:13-
24,1991)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】CD44は細胞外にリ
ガンド結合領域を持ち、細胞内にプロテインCキナーゼ
PCK)の基質となるセリン残基を有する細胞接着受容体
であり、ヒアルロン酸などのリガンドと結合することに
よってそのシグナルが細胞内へ伝達されリンパ球の機能
が活性化されたり、細胞形体に変化を発生させる。各種
疾病の原因となる活性化リンパ球の集積を抑えたり、癌
細胞の転移を抑制するためには、このCD44に対する
特異的抗体を投与して細胞表面にあるCD44のガンド
との結合を阻害することが望まれる。しかしながら人体
に投与できる抗体はヒト由来のもの以外は医療用として
使用することは望ましくなく、かつヒト由来の抗CD4
4抗体を作成するのはほとんど不可能である。一方、C
D44が細胞膜の外側で切断されたものを可溶性CD4
4と呼び、これまでヒトの血清(M.G.Lucas et al. Blo
od 73:596-600,1989)、関節や腱組織の滑液(B.F.Hayn
es et al. ArthritisRheum.34:1434-1443,1991)中に存
在することが知られて来た。リガンドとの結合能を保存
している可溶性CD44は、細胞表面に細胞接着リガン
ド受容体として存在するCD44の競合体としてその機
能を抑制する作用が期待され、事実、動物の可溶性CD
44を投与する実験で癌細胞の転移を抑制することが報
告されている。しかしながら、ヒト由来の可溶性CD4
4はこれまで血液および滑液中にしか発見されておら
ず、そのリガンドとの結合能については不明であり、実
用に供することが出来なかった。ヒト由来可溶性CD4
4を実用化するためには、遺伝子組み替え技術によるC
D44蛋白質の生産が可能である。しかしながら、接着
分子としてのCD44のリガンドとの結合能はCD44
蛋白質に含有される糖鎖も極めて重要であり、糖鎖を欠
損したCD44蛋白質はリガンドとの結合能を弱め、安
定性も悪化するが、遺伝子組み替え技術では目的の蛋白
質にヒト由来と同様の糖鎖を結合させる技術はまだ完成
しておらず、またCD44を糖鎖ごと完全にヒト細胞で
生産させる技術は開発されていない。さらに、異種動物
の細胞や昆虫細胞で生産させたCD44分子は、糖鎖を
有してヒト由来の可溶性CD44と同等のリガンド結合
能を有していたとしても、ヒトに対する抗原性の問題は
否定できず、医療用医薬品としては課題を残すものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、医療用医
薬品として実用可能な可溶性CD44について、ヒト尿
中でその検索を行ったところ、ヒト尿中には比較的多量
にリガンド結合能を保存した可溶性CD44が存在して
いることを発見し、尿中より効率よく、かつ医薬品とし
て十分に実用できる品質を備えた純度で製造する方法の
開発に成功し、本発明を完成するに至った。そして、本
発明により取得される可溶性CD44はヒト生体内に存
在するCD44をのものに由来する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明はヒト尿に由来する可溶性
CD44とその取得方法ならびにそれを細胞表面に存在
する膜貫通型受容体CD44のアナログとしてリンパ球
のホーミング、活性化、癌細胞の転移を抑制する新規な
疾病治療剤を創製することに関するものである。本発明
物質の典型的な製造方法は新鮮なヒトの尿を収集し、活
性化した吸着体、例えばシリカゲル、カオリンなどのケ
イ素系吸着剤、イオン交換樹脂などと接触・混合して吸
着させ、アルカリ溶液または適当な塩溶液で吸着体から
溶出させて濃縮し、pH6.5〜7.5にした後、尿中
に含まれる各種消化酵素を不活性化するために1〜5m
Mのエチレンジアミンテトラアセテート塩(EDTA)
を加えて55〜70℃、1時間以内の加熱処理を行い、
次いで陰イオン交換体、例えばDEAE−セルロース、
QAE−セルロース、或いは疎水性親和体など、また、
フェニールーセファロース、或いはフィブロネクチンを
リガンドとするアフィニティー担体などを用いるクロマ
トグラフィーを行って狭雑する物質と分離混入する恐れ
のある各種病原性ウィルソを死滅させるために60±5
℃、10時間以上の加熱処理を行い、更に必要に応じて
ゲルろ過クロマトグラフィーを行って本発明物質を完全
に純化した状態で取得することが出来る。上述の方法で
取得された本発明物質について、その物理化学的性質を
試験した結果は次の通りである。
【0007】(a)細胞外マトリックス物質との結合能 本発明物質をシアノ化ホウ素酸によりフォルミルーセロ
ファイン(チッソ製)に結合させて(10mg/g)、
本発明物質を固定した担体を作成し、ヒアルロン酸、フ
ィブロネクチン、コラーゲンI型およびVI型との結合性
を試験した。ヒアルロン酸、フィブロネクチン、コラー
ゲンI型およびVI型(いずれもシグマ社製)を10〜5
0μg/mlの濃度で緩衝化生理食塩液に溶解し、本発
明物質をリガンドとするフォルミルーセルロファイン
0.5gを加えて25℃,1〜4時間緩徐な攪拌混合を
行った後、遠心分離してフォルミルーセルロファインを
除去し、上清中の各物質の濃度を測定して本発明物質と
の結合量を測定した。ヒアルロン酸はそれを構成してい
るグルクロン酸のカルバゾール法で、フィブロネクチン
とコラーゲンは蛋白質としてローリー法により定量し
た。また、この対照として不活化フォルミルーセルロフ
ァインを同様に反応させ、各物質との結合量を測定し
た。
【表1】 (b)アミノ酸組成 本発明物質2mgを酸加水分解して、アミノ酸自動分析
装置(ベックマン社製)によりアミノ酸組成を測定し
た。なお、本発明物質について各種糖類の呈色反応、す
なわち中性糖についてはフェノール硫酸法、アミノ糖に
ついては酸加水分解処理してエルソンーモルガン法、シ
アル酸については同じく酸加水分解処理してワーレン法
により試験したところいずれも陽性であった。
【表2】 (c)分子量 10−20%濃度匂配ポリアクリルアミドゲル(第一化
学製)を用いて、ラエムリの方法に準ずるSDS電気泳
動法により分子量を測定した。分子量マーカーにはバイ
オラド 社製のLow Molecularマーカーを使用した。非
還元条件でのSDS電気泳動法で測定すると分子量は9
2,000± 5,000、60,000±5,000及び46,000±5,000に測
定された。 (d)等電点 pH3.0〜7.0の両性担体を含む4%ポリアクリル
アミドゲル(テフコ社製)を用いる等電点電気泳動法に
より本発明物質の等電点を測定した。すなわち、100
Vで30分間、200Vで30分間、500Vで60分
間通電し、泳動後、クマーシー染色液で染色した。等電
点マーカーにはバイオラド社製のものを用いた。本発明
物質の等電点は糖蛋白質に特有の等電点アイソマーとし
て測定され、pH3.5から4.5の範囲に複数のバン
ドとして測定された。 (e)N−末端アミノ酸配列 本発明物質を気相ペプチドシーチンサー装置(アプライ
ドバイオシステム社製)でN末端アミノ酸配列を解析し
た。N−末端から34番目のアミノ酸配列は次の通りで
あり、これはリンパ球細胞膜に存在するCD44のN−
末端アミノ酸配列(G. V. Screaton et al. Proc.Natl.
Acad. Sci. USA. 89:12160-12164,1992年)と全く同一
であった。Gln-Ile-Asp-Leu-Asn-Ile-Thr-Cys-Arg-Phe-
Ala-Gly-VaL-Phe-His-Val-Glu-Lys-Asn-Gly-Arg-Tyr-Se
r-Ile-Ser-Arg-Thr-Glu-Ala-Ala-Asp-Leu-Cys-Lys-34 但し、Glnはグルタミン、Ileはイソロイシン、Aspはア
スパラギン酸、Leuはロイシン、Asnはアスパラギン、Th
rはスレオニン、Cysはシスチン、Argはアルギニン、Phe
はフェニールアラニン、Glyはグリシン、Valはバリン、
Hisはヒスチジン、Lysはリジン、Tyrはチロシン、Serは
セリン、Gluはグルタミン酸を表す。リンポ球細胞膜C
D44の蛋白質は共通構造としてアミノ酸数203個の
あとにアミノ酸数43個から380個の挿入部分が更に
膜近傍、膜貫通、細胞内構造部分に60個のアミノ酸が
あり、挿入部分を除くとおよそ270個のアミノ酸から
構造されており、糖鎖を含む分子量が約90,000であるこ
とが知られている。本発明物質についてトリプシン、リ
ジルエンドペプチダーゼなどの酵素で分解して内部構造
を解析すると、これまで報告されている挿入変異体ペプ
チドは検出されず、また膜貫通部分および細胞内ペプチ
ドも検出されなかった。また、リンパ球細胞膜CD44
蛋白質の143番目のスレオニンから170番目のセリ
ンまでのペプチドは確認されたが、この部分に糖鎖結合
部位が集中しており、C−末端アミノ酸は確認されなか
った。しかし、本発明物質の蛋白質は少なくとも150
個以上200個の未満のアミノ酸から成り、糖鎖を含め
た分子量が51,000±5,000のものであることが判明し
た。なお、N−末端配列部分である5番目のアスパラギ
ンは未処理では確認できず、N−グリカナーゼで糖鎖除
去処理を行うことによってアスパラギン酸として確認さ
れる。以上のことから、本発明物質の可溶性CD44は
造血系型(Hematopoietic form)の基本構造を保持して
いる。 (f)熱安定性 本発明物質の熱安定性、pH安定性を調べるために、フ
ィブロネクチンをフォルミルーセルロファインに固定化
し、本発明物質のフィブロネクチンとの結合能を指標と
して試験した。本発明物質1%水溶液を60℃、10時
間加熱しても、フィブロネクチンとの結合能は消失され
なかった。
【表3】 (g)pH安定性 各pHの溶液に本発明物質を10mg/mlの濃度に溶
解し、室温で4時間放置した後、50μg/mlに希釈
しフィブロネクチンに対する結合能を測定して試験し
た。なお、各pHでの結合能をpH7.0の結合能を1
00%としてそれに対する比率で示したが、いずれのp
Hについても、著しい結合能の低下は見られなかった。
【表4】
【0008】本発明物質の可溶性 CD44としての生
物学的作用をin vitroで試験した結果は次の通
りである。 (a)活性化リンパ球のヒアルロン酸への結合に対する
阻害作用 健康人の末梢から採取したりリンパ球をフォルボルエス
テル(PMA)で活性化し、エポキシ化法によりヒアル
ロン酸を5mg/mlの濃度に結合させたセルロースビ
ーズとともに培養すると、直径40μの球状ビーズ1個
あたり1〜5個のリンパ球が結合する。この液へ本発明
物質を添加して、ヒトの活性化リンパ球とヒアルロン酸
との結合に対する阻害作用を試験した。5%牛胎児血清
を含むRPMI-1640培地に活性化リンパ球5x104個/ウエ
ル、ヒアルロン酸結合セルロースビーズ(チッソ製、セ
ルロファイン)2μ1とともに各濃度の本発明物質を添
加し、37℃、1時間培養した後、顕微鏡視野下にリン
パ球を結合したセルロースビーズの割合を測定した。な
お、対照にはヒアルロン酸を結合させないセルロースビ
ーズを用いた。表5に示すとおり、本発明物質は用量依
存的に活性化リンパ球のヒアルロン酸への結合を阻害し
た。
【表5】 (b)活性化リンパ球のフィブロネクチンおよびコラー
ゲンI型への結合に対する阻害作用 フィブロネクチンまたはコラーゲンをコートしたポリス
チレン製マイクプレートで、PMA活性化ヒトリンパ球
を培養すると、マイクロプレート表面にリンパ球が接着
する現象を観察することが出来るが、この培養液へ本発
明物質を添加して、活性化ヒトリンパ球のフィブロネク
チンおよびコラーゲンI型への結合阻害作用を試験し
た。1ウエルあたりフィブロネクチンまたはコラーゲン
I型(いずれもシグマ社製)を100μgコーティング
し、5%牛胎児血清を含むRPMI-1640培地に活性化リン
パ球5x104/ウエルにまいて、各添加量の本発明物質と
ともに37℃、18時間培養し、培養後、マイクロタイ
ターを培地で洗浄して1ウエル当たり10個以上のリン
パ球が結合しているものを陽性として、12ウエル当た
りの陽性ウエルの比率を求めた。その結果、本発明物質
は活性化リンパ球のフィブロネクチンおよびコラーゲン
I型に対する結合を阻害した。
【表6】 (c)ヒト癌細胞のヒアルロン酸、フィブロネクチンお
よびコラーゲンI型への結合に対する阻害作用 上記のヒアルロン酸結合ビース、フィブロネクチンまた
はコラーゲンI型コーティングマイクロプレートを用い
て、ヒトのリンパ性白血病細胞株、MOLT−4のこれ
ら接着分子との結合能に対する本発明物質の阻害作用を
試験した。その結果、MOLT−4株と各種接着分子と
の結合は本発明物質の添加により阻害された。なお、M
OLT−4株はリンパ球と同様にPMAで活性化して膜
結合CD44数を増加させ、5%牛胎児血清を含むRPMI
-1640培地に1ウエルあたり2x104個布した。
【表7】
【0009】(実施例1)健康人の尿500Lをカオリ
ン20kgと混合攪拌し、生理食塩液でカオリンを洗浄
してから、1%アンモニア溶液で溶出させ、4NNaO
Hで中和した後、EDTAを最終濃度2mMになるよう
に加え、60℃、60分間加熱処理した。加熱処理後、
加熱溶液へ硫酸アンモニウムを最終濃度1.5Mになる
ように加えて、あらかじめ1.5M硫酸ナトリウムで平
衡化したフェニルーセファロース(ファルマシア社製、
Fast Flow)カラムへ通液して本発明物質を該フェニル
ーセファロースへ吸着させ、1.5M硫酸ナトリウム溶
液で十分洗浄したあと、0.5M硫酸ナトリウム溶液で
溶出させ、限外ろ過膜(グレース社製造H10P1)で
濃縮・脱塩を行った。次に、松本らの方法に従い(I.Ma
tsumoto et al. J. Biochem. 85:1091-1098,1979)エ
ポキシ活性化セロファインにヒアルロン酸を20mg/
mlに結合させたアフィニティーカラムにかけ、生理食
塩水でカラムを十分に洗浄した後0.1Mグリシン緩衝
液(pH3.0)で本発明物質を溶出させた。これをパ
イロジェンを完全に除去したゲルろ過(セファクリルS
−300、ファルマシア社製)にかけ、本発明物質約8
0mgを取得した。本発明物質を無菌ろ過した後、ガラ
スバイアルに20mg/ml濃度で充填し、60℃、1
0時間加熱処理を行った後、pH調整のために0.02
M濃度のリン酸ナトリウム、溶解補助剤として本発明物
質20mgあたり5mgのマンニトールを添加し、凍結
乾燥して本発明物質製剤を調整した。
【0010】(実施例2)健康人の尿500Lを限外ろ
過膜(グレース社製造、H10P30)で濃縮・脱塩し
てあらかじめ0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH
7.0、と平衡化してDEAE−セルローズと攪拌混合
し、本発明物質を吸着させ、その後0.4M食塩溶液で
溶出させた液を、フォルミルーセルロファイン(チッソ
社製)にウサギ抗ヒトCD44抗体を15mg/mlに
結合させたアフィニティーカラムにかけ、0.4M食塩
溶液で十分にカラムを洗浄したのち、0.2M酢酸緩衝
液(pH2.5)溶液で本発明物質をカラムから溶出さ
せた。次に、限外ろ過膜(グレース社製、H10P1)
で脱塩・濃縮して本発明を20mg/ml以上になるよ
うに調整し、60℃、10時間加熱処理した。加熱処理
後、1.5Mの硫酸ナトリウムを添加して、あらかじめ
同濃度の硫酸ナトリウムで平衡化したフェニルーセファ
ロース(ファルマシア社製)カラムへかけ、十分にカラ
ムを洗浄した後、0.6Mの硫酸ナトリウムに本発明物
質を溶出して混入の恐れのあるウサギ抗ヒトCD44抗
体を完全に除去し、実施例1と同様にパイロジェン除去
ゲルろ過カラムにかけて本発明物質を、約75mg取得
した。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で取得された本発明物質をTSK30
00SWゲルろ過カラム(トーソ製)にかけ、各分画を
非還元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で分析
した像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 1/18 A61K 37/02 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA07 BA02 BA05 CA18 CA39 DA40 ZB082 ZB112 ZB262 4C087 AA01 AA02 BB40 CA16 ZB08 ZB11 ZB26 4H045 AA30 BA10 BA53 CA44 DA01 EA22 EA51 GA10 GA22 GA26 HA05 HA06 HA14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒアルロン酸、フィブロネクチン、コラー
    ゲンI型およびVI型と結合する結合能の性質を有し、各
    種の糖類呈色反応、すなわち、フェノール硫酸法(中性
    糖)、エルソンーモルガン法(アミノ糖)、ワーレン法
    (シアル酸)でいずれも陽性を示し、アミノ酸組成を有
    する糖蛋白質(数値はモル%を表す)は下の様であり、 アラニン 6.6±1.2 システイン 3.6±0.8 アスパラギン酸(アスパラギンを含む) 14.5±2.5 グルタミン酸(グルタミンを含む) 8.4±1.2 フェニールアラニン 4.2±1.0 グリシン 6.0±1.1 ヒスチジン 1.8±0.6 イソロイシン 7.8±1.4 リジン 2.4±0.6 ロイシン 3.6±0.8 メチオニン 1.2±0.8 プロリン 5.8±1.2 アルギニン 5.2±1.3 セリン 9.0±3.6 スレオニン 9.6±2.2 バリン 5.4±1.0 チロシン 4.8±1.2 非還元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測
    定した時 92,000±5,000、60,000±5,000から及び46,00
    0±5,000分子量を示し、ポリアクリルアミドゲル等電点
    電気泳動法で測定したとき 4.0± 0.5 の範囲を示し、
    蛋白質を構成するアミノ酸の数は少なくとも150残基
    以上から成り、 そのN−末端から34番目のアミノ酸
    配列は次の通りであり、5番目のアスパラギンには糖鎖
    が結合し、 Gln-Ile-Asp-Leu-Asn-Ile-Thr-Cys-Arg-Phe-Ala-Gly-Va
    L-Phe-His-Val-Glu-Lys-Asn-Gly-Arg-Tyr-Ser-Ile-Ser-
    Arg-Thr-Glu-Ala-Ala-Asp-Leu-Cys-Lys-34 但し、Glnはグルタミン、Ileはイソロイシン、Aspはア
    スパラギン酸、 Leuはロイシン、Asnはアスパラギン、Thrはスレオニ
    ン、Cysはシスチン、Argはアルギニン、Pheはフェニー
    ルアラニン、Glyはグリシン、 Valはバリン、Hisはヒスチジン、Lysはリジン、Tyrはチ
    ロシン、Serはセリン、Gluはグルタミン酸を表し、 60℃、10時間の加熱で安定する熱安定性を有し(1
    %水溶液)、pH2〜10の範囲のpH安定性がある物
    理化学的性質を有するヒト尿由来細胞接着蛋白質。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のヒト尿由来糖蛋白質を有
    効成分として含有する抗炎症、免疫抑制および癌転移抑
    制を目的とする医薬品製剤。
  3. 【請求項3】ヒトの新鮮尿をpH6.5〜7.5に調整し、ケ
    イ酸含有吸着体或いはイオン交換体と接触させて特許請
    求の範囲第1項の成分を吸着させ、ついでアルカリ溶液
    または2〜0.5モルの塩溶液で溶出させて濃縮し、1
    〜5mMのエチレンジアミンテトラアセテート塩(ED
    TA)存在下に55〜75℃、1時間以内の加熱処理
    後、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性親和体ク
    ロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、フィ
    ブロネクチン或いは抗ヒトCD44抗体などをリガンド
    とするアフィニティークロマトグラフィーのうち1つま
    たはこれらの組み合わせを特徴とする請求項1に記載の
    ヒト尿由来糖蛋白質の製造方法。
JP10293078A 1998-09-30 1998-09-30 ヒト尿由来細胞接着糖蛋白質及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3103531B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10293078A JP3103531B2 (ja) 1998-09-30 1998-09-30 ヒト尿由来細胞接着糖蛋白質及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10293078A JP3103531B2 (ja) 1998-09-30 1998-09-30 ヒト尿由来細胞接着糖蛋白質及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000109500A true JP2000109500A (ja) 2000-04-18
JP3103531B2 JP3103531B2 (ja) 2000-10-30

Family

ID=17790171

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10293078A Expired - Fee Related JP3103531B2 (ja) 1998-09-30 1998-09-30 ヒト尿由来細胞接着糖蛋白質及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3103531B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9200039B2 (en) 2013-03-15 2015-12-01 Symic Ip, Llc Extracellular matrix-binding synthetic peptidoglycans
US9217016B2 (en) 2011-05-24 2015-12-22 Symic Ip, Llc Hyaluronic acid-binding synthetic peptidoglycans, preparation, and methods of use
US9512192B2 (en) 2008-03-27 2016-12-06 Purdue Research Foundation Collagen-binding synthetic peptidoglycans, preparation, and methods of use
US10772931B2 (en) 2014-04-25 2020-09-15 Purdue Research Foundation Collagen binding synthetic peptidoglycans for treatment of endothelial dysfunction
US11529424B2 (en) 2017-07-07 2022-12-20 Symic Holdings, Inc. Synthetic bioconjugates

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06243758A (ja) * 1993-02-12 1994-09-02 Japan Aviation Electron Ind Ltd フィルム状パネルスイッチ

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9512192B2 (en) 2008-03-27 2016-12-06 Purdue Research Foundation Collagen-binding synthetic peptidoglycans, preparation, and methods of use
US10689425B2 (en) 2008-03-27 2020-06-23 Purdue Research Foundation Collagen-binding synthetic peptidoglycans, preparation, and methods of use
US9217016B2 (en) 2011-05-24 2015-12-22 Symic Ip, Llc Hyaluronic acid-binding synthetic peptidoglycans, preparation, and methods of use
US9200039B2 (en) 2013-03-15 2015-12-01 Symic Ip, Llc Extracellular matrix-binding synthetic peptidoglycans
US9872887B2 (en) 2013-03-15 2018-01-23 Purdue Research Foundation Extracellular matrix-binding synthetic peptidoglycans
US10772931B2 (en) 2014-04-25 2020-09-15 Purdue Research Foundation Collagen binding synthetic peptidoglycans for treatment of endothelial dysfunction
US11529424B2 (en) 2017-07-07 2022-12-20 Symic Holdings, Inc. Synthetic bioconjugates

Also Published As

Publication number Publication date
JP3103531B2 (ja) 2000-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Miller et al. Cleavage of type II and III collagens with mammalian collagenase: site of cleavage and primary structure at the amino-terminal portion of the smaller fragment released from both collagens
CA1241641A (en) Osteogenic factors
Thomas et al. Brain fibroblast growth factor: nonidentity with myelin basic protein fragments.
DiCESARE et al. Cartilage oligomeric matrix protein and thrombospondin 1: purification from articular cartilage, electron microscopic structure, and chondrocyte binding
JPH04505014A (ja) 新規の蛋白質及びその製法
JP2939557B2 (ja) フォン・ウィレブラント因子の52/48kDaポリペプチドフラグメントから誘導可能なペプチド
PT94754B (pt) Processo de obtencao de inibidor de factor de necrose tumoral e de isolamento de genes que codificam o referido inibidor
JPH06505983A (ja) 創傷治癒の促進方法および促進薬
MX9706049A (es) Adresinas vasculares mucosas y sus usos.
EP0278781B1 (en) Peptides with laminin activity
JPH0662677B2 (ja) アンギオゲニン活性を有する精製蛋白及びその製造方法
Campistol et al. Polymerization of normal and intact β2-microglobulin as the amyloidogenic protein in dialysis-amyloidosis
JP3103531B2 (ja) ヒト尿由来細胞接着糖蛋白質及びその製造方法
JPS6178799A (ja) 蛋白質の相互分離方法
AU730367B2 (en) Water-soluble peptides
JP2561113B2 (ja) 細胞接着活性ポリペプチド
CA2005154A1 (en) Method for purifying fibroblast growth factor protein
AU601168B2 (en) Novel cell growth regulatory factor
JPH02152990A (ja) 細胞接着活性ポリペプチド
JP2673659B2 (ja) ペプチド
JPH05271291A (ja) 機能性ポリペプチド
JPH0782172A (ja) 創傷治療剤
US5071956A (en) Protein with vascular activity derived from monocytes and its analogues, a process for its extraction and their uses for therapeutic purposes and for the preparation of antibodies
CA2191321A1 (en) Gene coding for modified bone morphogenic protein receptor
JPH07267992A (ja) 新規なタンパク質phbp−70

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees