JP3025002B2 - Dna、ポリペプチド、抗体、およびそれらの用途 - Google Patents

Dna、ポリペプチド、抗体、およびそれらの用途

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JP3025002B2 JP2316100A JP31610090A JP3025002B2 JP 3025002 B2 JP3025002 B2 JP 3025002B2 JP 2316100 A JP2316100 A JP 2316100A JP 31610090 A JP31610090 A JP 31610090A JP 3025002 B2 JP3025002 B2 JP 3025002B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、治療薬、検査測定用試薬、精製用試薬とし
て有用なN−samタンパク質、その部分ペプチド、それ
らに対する抗体、およびそれらを製造するための技術に
関する。
従来の技術 生理活性物質が生体を構成している個々の細胞の増殖
や分化そして恒常性の維持などの機能を発揮するため
に、それぞれ細胞膜上に存在する個々の因子に特異的な
レセプターに結合し、これが最初のシグナルとなって情
報が細胞内へ伝達され、その目的を達成する。
この伝達系の一つとしてチロシン残基特異的タンパク
質キナーゼ(以下チロシンキナーゼと呼称することがあ
る)の関与する反応系が知られている。チロシンキナー
ゼは増殖因子のレセプターや癌遺伝子産物に特有にみら
れ、細胞の増殖制御に深く関わるものとして注目を集め
ている。
K−samはヒト末分化型胃癌細胞株KATO−IIIから増幅
している遺伝子として分離され、その遺伝子がコードす
る遺伝子産物は、細胞内ドメインと目される部分にチロ
シンキナーゼ活性を有し、この部分のアミノ酸配列がニ
ワトリbFGFレセプター(Cek−1)のそれと高い相同性
(84%)を示すことから、ヘパリン結合性成長因子(ヘ
パリンバインディンググロースファクター)(HBGF)フ
ァミリーの受容体タンパク質の1つであろうと推定され
ていた。
発明が解決すべき課題 上記のような癌遺伝子産物について更に研究を深める
べく、K−sam以外のチロシンキナーゼ活性を有する因
子を見出すことがこの分野での1つの課題であった。
課題を解決するための手段 本発明者らは、低分化型腺癌で発現しているK−sam
遺伝子をプローブとして、ヒトbFGFレセプター遺伝子で
ある新規なN−sam蛋白質の遺伝子のクローニングに成
功し、N−samタンパク質をコードする塩基配列を含む
組換えDNAを構築し、該DNAで形質転換された形質転換体
を培養することによりN−samタンパク質が生産される
ことを見出した。さらに、N−samタンパク質もしくは
その部分ペプチドを免疫原として抗体を作成したとこ
ろ、N−samタンパク質もしくはその部分ペプチドとの
結合性の高い抗体が得られ、免疫組織化学的・免疫化学
的測定法に付すと感度よくN−samタンパク質を検出・
定量でき、しかも該抗体を用いるとN−samタンパク質
を効率よく精製できることを見出し、これらに基づいて
さらに研究した結果、本発明を完成した。
本発明は、(1)癌遺伝子N−samの遺伝子産物;
(2)以下のアミノ酸配列(第1図)または第1番目の
Mを除いたアミノ酸配列からなる癌遺伝子N−samの遺
伝子産物: (3)(1)または(2)記載の遺伝子産物をコードす
る塩基配列を有する組換えDNA;(4)(3)記載の組換
えDNAを含むベクター;(5)(4)記載のベクターを
保持する形質転換体;(6)(5)記載の形質転換体を
培地に培養することを特徴とする(1)または(2)記
載の遺伝子産物の製造法;(7)(1)または(2)記
載の癌遺伝子N−samの遺伝子産物の部分ペプチド;
(8)(2)記載の癌遺伝子N−samの遺伝子産物のN
末端側から第1番目〜第374番目のアミノ酸配列のうち
の連続した13個以上のアミノ酸からなる部分ペプチドで
あって、該遺伝子産物のアミノ酸配列の第252〜257番目
のアミノ酸のうちの一つを含まない(7)記載の部分ペ
プチド;(9)(2)記載の癌遺伝子N−samの遺伝子
産物のN末端側から第1番目〜第374番目のアミノ酸配
列を含有する(7)記載のムテイン;(10)(1)1ま
たは(2)記載の遺伝子産物もしくは(7)、(8)ま
たは(9)記載の部分ペプチドに対する抗体;(11)
(1)または(2)記載の遺伝子産物もしくは(7)、
(8)または(9)記載の部分ペプチドとキャリア用蛋
白との複合体を免疫原として得られた(10)記載の抗
体;(12)(1)または(2)記載の遺伝子産物もしく
は(7)、(8)または(9)記載の部分ペプチドとキ
ャリア用蛋白との複合体を免疫原として免疫した動物か
ら抗体を採取することからなる、(10)記載の抗体の製
造法;(13)一種または抗原結合部を異にする複数種の
(10)記載の抗体を用いて検体における癌遺伝子N−sa
mの遺伝子産物を検出・定量することを特徴とする免疫
組織学的および免疫化学的測定法;および(14)(10)
記載の抗体を用いることを特徴とする(1)または
(2)記載の遺伝子産物の精製法、に関するものであ
る。
N−sam遺伝子は、K−sam遺伝子のチロシンキナーゼ
ドメインの遺伝子とハイブリダイズする遺伝子としてヒ
ト奇形腫細胞株NCC−ITのcDNAライブラリーからクロー
ニングされ、そのcDNAの塩基配列解析の結果、N−sam
遺伝子産物(以下N−samタンパク質と呼称することが
ある)はN末端にシグナルペプチドを有し、また中央部
に疎水性部分が存在することから細胞膜に位置するタン
パク質であり、また、その細胞内部分にはチロシンキナ
ーゼ活性を有するタンパク質が持つ共通配列を有してい
ることから、K−sam遺伝子産物と同様、受容体タンパ
ク質であろうと考えられた。
N−samタンパク質のチロシンキナーゼドメインのア
ミノ酸配列とニワトリbFGFレセプター(Cek−1)およ
びマウスFGFレセプターのチロシンキナーゼドメインの
アミノ酸配列の相同性は、それぞれ94%、99%と極めて
高く、それ以外の部分も、例えば細胞外ドメイン89%、
97%、膜貫通ドメイン87%、91%と、それぞれ非常に高
い相同性を示すことから、N−sam遺伝子はヒトbFGFの
レセプター遺伝子と考えられた。
リガンドであるbFGFは、ある条件下でトランスフォー
ミング活性を有することや、癌組織から分離された発癌
遺伝子であるint−2、hst−1、FGF−5、hst−2/FGF
−6等の癌遺伝子産物とアミノ酸レベルで高い相同性を
示すことから、bFGFは生体の正常な発達と恒常性維持に
重要な役割を担うのみならず、細胞癌化への関与も注目
されている。
したがってN−samタンパク質は、bFGFの関連する癌
の良いマーカーとなる可能性が高く、該タンパク質の抗
体を作成することができれば、癌およびbFGFが関連する
疾患の診断、受容体の解析さらには制癌剤としても期待
できる。また該タンパク質および該タンパク質の細胞外
ドメインのポリペプチドそのものも制癌剤として期待で
きる。
また酸性および塩基性FGFの標的細胞は筋原細胞、内
皮細胞、繊維芽細胞、上皮細胞、神経およびグリア細胞
を包含する中胚葉および神経外胚葉由来の細胞であっ
た。しかしながら驚くべきことにはN−sam mRNAはヒト
リンパ球様細胞で発現していることが今回見出された。
本発明のN−samタンパク質をコードする塩基配列
(第1図参照)を有するDNAを含有する発現型ベクター
は、例えば、(イ)N−samタンパク質をコードするRNA
を分離し、(ロ)該RNAから単鎖の相補DNA(cDNA)を、
次いで二重鎖DNAを合成し、(ハ)該相補DNAをファージ
またはプラスミドに組み込み、(ニ)得られた組換えフ
ァージまたはプラスミドで宿主を形質転換し、(ホ)得
られた形質転換体を培養後、形質転換体から適当な方
法、例えばDNAプローブを用いたコロニーハイブリダイ
ゼーション法により目的とするDNAを含有するプラスミ
ドを単離し、(ヘ)そのプラスミドから目的とするクロ
ーン化DNAを取り出し、(ト)該クローン化DNAをビーク
ル中のプロモーターの下流に連結することにより製造す
ることができる。
N−samタンパク質をコードするRNAは、種々のN−sa
mタンパク質産生細胞、例えばヒト奇形腫細胞株NCC−IT
から得ることができる。
N−samタンパク質からRNAを調製する方法としては、
グアニジンチオシアネート法[J.M.Chirgwinらバイオケ
ミストリー(Biochemistry),18,5294(1979)]など
が挙げられる。
このようにして得られたRNAを鋳型とし、逆転写酵素
を用いて、例えばCkayama,H.らの方法[モレキュラー・
セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.),,161
(1982)および同誌、,280(1983)]やGubler,U.とH
offman,B.J.の方法[ジーン(Gene),25,263(198
3)]に従いcDNAをプラスミドやファージに組み込む。
cDNAを組み込みプラスミドとしては、例えば大腸菌由
来のpBR322[Gene,,96(1977)]、pBR325[Gene,,
121(1978)]、pUC12[Gene,19,259(1982)]、pUC13
[Gene,19,259(1982)]、枯草菌有来のpUB110[バイ
オケミカル・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケ
ーション(Biochem.Biophys.Res.Commu.),112,678(1
983)]などが挙げられるが、その他のものであって
も、宿主内で複製保持されるものであれば、いずれをも
用いることができる。また、cDNAを組み込むファージベ
クターとしては、例えばλgt10[Young.R.and Daivis,
R.,プロシージングス・オブ・ナショナルア・アカデミ
ー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),8
0,1194(1983)]などが挙げられるが、その他のもので
あっても、宿主内で増殖できるものであればよい。
プラスミドにcDNAを組み込む方法としては、例えばMa
niatis,T.らモレキュラー・クローニング(Molecular C
loning),Cold Spring Harbor Laboraotry,p.239(198
5)に記載の方法などがあげられる。またファージ・ベ
クターにcDNAを組み込む方法としては、例べばHyunh,T.
V.らの方法[ディーエヌエー・クローニング(DNA clon
ing),ア・プラクティカル・アプローチ(A Practical
Approach),,49(1985)]などが挙げられる。この
ようにして得られたプラスミドやファージ・ベクター
は、適当な宿主例えば大腸菌などに導入する。
上記大腸菌の例としてはEscherichia coli K12DHI[P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,60,10(1968)]、JM103
[ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucl.Acids Re
s.),,309(1981)]、JA[ジャーナル・オブ・モレ
キュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.),120,517(19
78)]、HB101[J.Mol.Biol.,41,459(1969)]、C600
[ジェネティックス(Genetics),39,440(1954)]な
どが挙げられる。
上記枯草菌としては、例えばBacillus subtilis MI11
4[Gene,24,255(1983)]、207−21[ジャーナル・オ
ブ・バイオケミストリー(J.Biochem.),95,87(198
4)]などが挙げられる。
プラスミドで宿主を形質転換する方法としては、例え
ばManiatis,T.らMolecular Cloning,Cold Spring Harbo
r Laboraotry,p.249(1985)に記載のカルシウムクロラ
イド法あるいはカルシウムクロライド/ルビジウムクロ
ライド法などが挙げられる。また、ファージ・ベクター
はたとえば、増殖させた大腸菌にインビトロパッケージ
ング法を用いて導入することができる。
このようにして得られた形質転換体中から自体公知の
方法、例えばコロニー・ハイブリダイゼーション法[Ge
ne,10,63(1980)]、プラーク・ハイブリダイゼーショ
ン法[サイエンス(Science),196,180(1977)]およ
びDNA塩基配列決定法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,560
(1977);Nucl,Acids Res.,.309(1981)]を用い、
求めるクローンを選出する。
このようにして、クローン化されたN−samタンパク
質をコードする塩基配列を含有するDNAを有するベクタ
ーを保持する微生物が得られる。
次に、該微生物からプラスミドやファージ・ベクター
を単離するが、該単離法としては、アルカリ法[Birmbo
im,H.C.ら,Nlcl.Acids Res.,,1513(1979)]などが
挙げられる。
上記クローン化されたN−samタンパク質をコードす
る塩基配列を含有するDNAを有するプラスミドまたはフ
ァージ・ベクターは目的によりそのまま、または所望に
より制限酵素で消化して使用することができる。
クローン化された遺伝子は、発現に適したビークル
(ベクター)中のプロモーターの下流に連結して発現型
ベクターを得ることができる。
ベクターとしては、上記大腸菌由来のプラスミド
(例;pBR322、pBR325、pUC12、pUC13)、枯草菌由来プ
ラスミド(例;pUB110、pTB5、pCI94)、酵母由来プラス
ミド(例;pSH19、pSH15)、あるいはλファージなどの
バクテリオファージおよびレトロウイルス、ワクシニア
ウイルスなどの動物ウイルスなどが挙げられる。
該遺伝子はその5′末端に翻訳開始コドンとしてのAT
Gを有し、また3′末端には翻訳終止コドンとしてのTA
A、TGA、またはTAGを有していてもよい。さらに該遺伝
子を発現させるにはその上流にプロモーターを接続す
る。本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子
の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであ
ればいかなるものでもよい。
また、形質転換する際の宿主がエシェリヒア属菌であ
る場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプ
ロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7
プロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合
は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモ
ーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモータ
ー、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモー
ターなどが好ましい。とりわけ宿主がエシェリヒア属菌
でプロモーターがtrpプロモーターまたはT7プロモータ
ーであることが好ましい。
宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモー
ター、レトロウイルスのプロモーターなどが挙げられ、
とりわけSV40由来のプロモーターが好ましい。
このようにして構築されたDNAを含有するベクターを
用いて、形質転換体を製造する。
宿主としては、たとえばエシェリヒア属菌、バチルス
属菌、酵母、動物細胞などが挙げられる。
上記エシェリヒア属菌の例としては、エシェリヒア・
コリ(Escherichia coli)K12DH1[Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,60,160(1968)],M103[Nucleic Acids Researc
h ,309(1981)],JA221[Journal of Molecular Bio
logy,120,517(1978)],HB101[Journal of Molecular
Biology,41,459(1969)],C600[Genetics),39,440
(1954)]などが挙げられる。
上記バチルス属菌としては、たとえばバチルス・サチ
ルス(Bacillus subtilis)MI114[Gene,24,255(198
3)],207−21[ジャーナル・オブ・バイオケミストリ
ー(Journal of Biochemistry)95,87(1984)]などが
挙げられる。
上記酵母としては、たとえばサッカロマイセスセレビ
シアエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22R-、NA87−11
A、DKD−5Dなどが挙げられる。
動物細胞としては、株化したもの(cell line)が好
ましく、たとえばサル細胞COS−7[セル(cell),23,
157(1981)],Vero、チャイニーズハムスター細胞CH
O、マウスL細胞、ヒトFL細胞などが挙げられる。
上記エシェリヒア属菌を形質転換するには、たとえば
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972),ジーン,1
7,107(1982)などに記載の方法に従って行なわれる。
バチルス属菌を形質転換するには、たとえばモレキュ
ラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecu
lar & General Genetics),168,111(1979)などに記
載の方法に従って行なわれる。
酵母を形質転換するには、たとえばProc.Natl.Acad.S
ci.USA,75;1929(1978)に記載の方法に従って行なわれ
る。
動物細胞を形質転換するには、たとえばヴィロロジー
(Virology),52,456(1973)に記載の方法に従って行
なわれる。
このようにして、N−samタンパク質のcDNAを含有す
るベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転
換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体
培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必
要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられ
る。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリ
ン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえ
ばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカ
ー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイシ
ョ抽出液などの無機または有機物質、無機物としてはた
とえば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化
マグネシウムなどがあげられる。また、酵母エキス、ビ
タミン類、成長促進因子などを添加してもよい。
培地のpHは約6〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例え
ばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地[Miller,ジャ
ーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー
・ジェネティックス(Journal of Experiments in Mole
cular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Labor
atory,New York 1972)]が好ましい。ここに必要によ
りプロモーターを効率よく働かせるために、たとえば3
β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えること
ができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43
℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加え
ることができる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で
約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えるこ
ともできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地とし
ては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培
地[Bostian,K.L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,4505
(1980)]が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整す
るのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時
間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地
としては、MEM培地[Science,122,501(1952)],DMEM
培地[Virology,,396(1959)],RPMI1640培地[ジャ
ーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエ
ーション(The Journal of the American Medical Asso
ciation),199,519(1967)],199培地[プロシーディ
ング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロ
ジカル・メディスン(Proceeding of the Society for
the Biologcal Medical),73,1(1950)]などが挙げ
られる。これにさらに約5〜20%の胎児牛血清を添加し
ても良い。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通
常約30〜40℃、培養時間は約15〜60時間行い、必要に応
じて通気や撹拌を加える。
上記培養物からN−samタンパク質を分離精製するに
は、例えば下記の方法により行なうことができる。
N−samタンパク質を培養菌体あるいは細胞から抽出
するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細
胞を集め、これを塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤を
含む緩衝液に懸濁して菌体外に目的の蛋白を溶出させる
方法、フレンチプレス、超音波、リゾチームおよび(ま
たは)凍結融解によって菌体あるいは細胞を破壊したの
ち、遠心分離によりN−samタンパク質を得る方法など
が適宜用い得る。とりわけ、リゾチームと超音波処理を
併用する方法が好ましい。
上記上澄液から、N−samタンパク質を精製するに
は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行な
うことができる。これらの公知の分離、精製法として
は、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透
析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を
利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷
電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフ
ィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体
クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、
等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法など
が挙げられる。
この様にして得られた標品は透析、凍結乾燥を行い、
乾燥粉末とすることもできる。さらに、担体として血清
アルブミンなどを添加して保存することは、標品の容器
への吸着を防ぐことができ好適である。
このようにして、実質的に純粋な本発明の蛋白質が得
られる。本発明の実質的に純粋な本発明の蛋白質として
は、蛋白質含量として本発明の蛋白質を95%(w/w)以
上であるもの、さらに好ましくは本発明の蛋白質を98%
(w/w)以上であるものが挙げられる。
本発明の遺伝子組み換え技術によって得られた本発明
の蛋白質の一例として、例えば第1図におけるアミノ酸
配列で示されるポリペプチドを含有する蛋白質を挙げる
ことができる。該蛋白質はそのN末端にMetを有してい
てもよい。
かくして得られる本発明のN−samタンパク質あるい
はその一部、例えば細胞外ドメインを医薬として用いる
には、そのまま粉末として、または他の薬理学的に許容
されうる担体、賦形剤、希釈剤とともに医薬組成物
(例、注射剤、錠剤、カプセル剤、液剤、軟膏)とし
て、混血哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ハムス
ター、ウサギ、犬、ネコ)に対して非経口的または経口
的に安全に投与することができる。
注射剤の製剤化はたとえば生理食塩水またはブドウ糖
やその他の補助薬を含む水溶液を用い、常法に従って行
なわれる。錠剤、カプセル剤等の医薬組成物も常法に従
って調製しうる。
本発明のN−samタンパク質に結合性を示す抗体を得
るには、本発明で得られる遺伝子工学的手法によるN−
samタンパク質、また天然由来のN−samタンパク質でも
よく、あるいはまた、N−samタンパク質の部分ペプチ
ドでもよい。部分ペプチドとしては、癌遺伝子N−sam
の遺伝子産物のN末端側から第1番目〜第374番目のア
ミノ酸配列のうちの連続した13個以上のアミノ酸からな
る部分ペプチドであって、該遺伝子産物のアミノ酸配列
の第252〜257番目のアミノ酸のうちの一つを含まないも
のが挙げられる。N−samタンパク質の第1〜374番目の
アミノ酸配列が細胞外部分に相当し、この細胞外部分の
いずれかの部分がリガンドと結合性を示すと考えられ、
該部分のアミノ酸配列からなるペプチドがより好まし
い。該ペプチドは、キャリア蛋白との結合のためにその
C末端部もしくはN末端部にシステイン残基を付加した
ペプチドであってもよい。
本発明で用いられる部分ペプチドは、ペプチド合成の
公知の常套手段で製造し得る。そしてそれは、固相法、
液相法のいずれによってもよい。そのようなペプチド合
成の方法としては、例えば、“ザ ペプチズ(The Pept
ides)”、第1巻(1966)、Schroder and Lubke著、Ac
ademic Press,New York,U.S.A.,“ペプチド合成”、泉
屋ら著、丸善株式会社(1975)に記載の方法が挙げられ
る。
また、該部分ペプチドは、適当な酵素によりN−sam
タンパク質を切断することにより、製造してもよい。該
方法としては、例えば、“生化学実験講座1 タンパク
質の化学II"、日本生化学会編、東京化学同人(1976)
の255ページから332ページに記載の方法が挙げられる。
該部分ペプチドは、キャリア用蛋白と結合される。該
キャリア用蛋白としては、例えば、牛チログロブリン、
牛血清アルブミン、牛ガンマグロブリン、ヘモシアニン
などが挙げられる。
該部分ペプチドとキャリア用蛋白との結合には、公知
の常套手段を用いて実施し得る。結合に用いる試薬とし
ては、例えば、グルタールアルデヒド、水溶性カルボジ
イミドなどが挙げられる。ペプチドとキャリア用蛋白と
の使用比は、約1対1ないし約1対4が適当であり、反
応のpHは、中性付近、特に7.3前後が良好な結果を与え
る場合が多い。また、反応に要する時間は、約2〜6時
間が良い場合が多いが、特に、約3時間が適当である。
このようにして作製された複合物は、常套手段で約4℃
前後で水に対して透析し、凍結して保存しても良いし、
凍結乾燥して保存しても良い。
ポリクローナル抗体を製造するためには、以上のよう
にして製造した免疫原が、温血動物に接種される。上記
抗体の製造に用いられる温血動物としては、例えば、哺
乳温血動物(例、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ラット、マウ
ス、モルモット、ウマ、ブタ)、鳥類(例、ニワトリ、
ハト、アヒル、ガチョウ、ウズラ)などが挙げられる。
免疫原を、混血動物に接種する方法としては、動物に接
種する免疫原は、抗体産生をするに有効な量で良く、例
えば、ウサギに1回1mgを1mlの生理食塩水およびフロン
トの完全アジュバントで乳化して、背部ならびに後肢掌
皮下に4週間おきに5回接種すると抗体を産生させる場
合が多い。このようにして、温血動物中に形成された抗
体を採取する方法としては、例えばウサギでは、通常最
終接種後7日から12日の間に耳静脈から採取し、遠心分
離して血清として得られる。得られた抗血清は、通常、
多抗原ペプチドを保持させた担体を用いるアフィニティ
クロマトグラフィーで吸着した画分を回収することによ
りポリクローナル抗体を精製することが出来る。
また、ミルスタイン(Milstein)らの方法〔ネイチャ
ー(Nature)、第256巻(1975)、第495頁〕に記載の方
法と同様の方法により得られるモノクローナル抗体も利
用できる。即ち、該モノクローナル抗体は、免疫原のポ
リペプチドまたは蛋白複合体で哺乳動物を免疫し、取り
だした脾臓細胞と同種または異種のリンパ球様細胞とを
細胞融合によりハイブリドーマとし、これをクローン化
し、ここで得られたハイブリドーマを哺乳動物に接種
し、モノクローナル抗体を生成蓄積せしめ、これを採取
して製造される。
抗体分子は、IgGでもよく、または、そのフラクショ
ン{例、F(ab′)2,Fab′もしくはFab}であってもよ
い。なかでも、標識剤を直接結合させる抗体分子はFa
b′であることが好ましい。
このようにして得られた抗体は、N−samタンパク質
の免疫組織化学的・免疫化学的測定法における試薬とし
て用いることができる。
該N−samタンパク質の免疫組織化学的・免疫化学的
測定法によって、生体組織や体液中のN−samタンパク
質の検出・定量が可能となる。これにより、前述した如
く、例えば種々の組織や体液中のN−samタンパク質の
検出・定量することにより、癌の診断に役立つと考えら
れる。
免疫化学的測定法を行う場合、担体に保持する抗体
は、抗N−samタンパク質抗体が用いられる。
本発明の免疫化学的測定法において用いられる抗N−
samタンパク質抗体としては、N−samタンパク質に対し
て結合能を有するものであればいずれでもよい。
特に、N−samタンパク質またはその部分ペプチドと
キャリア用蛋白との複合体を免疫原として得られた抗体
が好ましい。
N−samタンパク質の測定方法において用いられる担
体上に保持された抗体における担体としては、例えば、
ゲル粒子(例、アガロースゲル〔例、セファロース4B、
セファロース6B、(ファルマシア・ファインケミカル社
(スウェーデン)製)〕、デキストランゲル〔例、セフ
ァデックスG−75、セファデックスG−100、セファデ
ックスG−200(ファルマシア・ファインケミカル社
(スウェーデン)製)〕、ポリアクリルアミドゲル
〔例、バイオゲルP−30、バイオゲルP−60、バイオゲ
ルP−100(バイオラッド・ラボラトリーズ社(米国)
製)〕、セルロース粒子〔例、アビセル(旭化成製)、
イオン交換セルロース(例、ジエチルアミノエチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース)〕、物質的吸着
剤〔例、ガラス(例、ガラス球、ガラスロッド、アミノ
アルキルガラス球、アミノアルキルガラスロッド)、シ
リコン片、ステンレス形樹脂(例、ポリスチレン球、ポ
リスチレン粒子)、イムノアッセイ用プレート(例、ヌ
ンク社(デンマーク)製)〕、イオン交換樹脂{例、弱
酸性イオン交換樹脂〔例、アンバーライトIRC−50(ロ
ーム・アンドハース社(米国)製)、ゼオカーブ226
(パームチット社(西ドイツ)製)、弱塩基性陰イオン
交換樹脂〔例、アンバーライトIR−4B、ダウエックス3
(ダウケミカル社(米国)製)〕}などが挙げられる。
抗体に抗体を保持させるには、公知の常套手段を応用
し得るが、例えば、“代謝”、第8巻(1971年)、第69
6頁に記載されているブロムシアン法、グルタールアル
デヒド法などが挙げられる。また、より簡便な方法とし
て物理的に抗体表面に吸着させてもよい。
標識剤を結合させた抗体における標識剤としては、放
射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが挙げら
れるが、酵素を用いるのが好ましい。酵素としては、安
定で比活性の大きなものが好ましく、ペルオキシダー
ゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダー
ゼ、グルコースオキシダーゼ等を用いることができる
が、ペルオキシダーゼが好ましい。ペルオキシダーゼと
しては、種々の起源のものを用いることができるが、そ
の例としてはたとえば西洋わさび、パイナップル、イチ
ジク、甘諸、ソラマメ、トウモロコシなどから得られる
ペルオキシダーゼが挙げられ、特に西洋わさびから抽出
されたホースラディッシュ ペルオキシダーゼ(horser
adish peroxidase)(HRP)が好ましい。
ペルオキシダーゼと抗体を結合するにあたり、抗体分
子としてのFab′のチオール基を利用するために、あら
かじめペルオキシダーゼにマレイミド基を導入したもの
を用いると好都合である。
マレイミド基をペルオキシダーゼに導入する方法とし
ては、ペルオキシダーゼのアミノ基を介してマレイミド
基を導入することができる。そのためには、N−サクシ
ニミジル−マレイミド−カルボキシレート誘導体を用い
ることができ、好ましくは、N−(γ−マレイミドブチ
ルオキシ)サクシイミド(GMBSと略称することもある)
などが良い。従って、マレイミド基とペルオキシダーゼ
との間に一定の基が入っていることとなってもよい。
GMBSをペルオキシダーゼに反応させるには、両者を、
pH約6ないし8の緩衝液中で約10ないし50℃の温度で約
10分ないし24時間反応させることによって行われる。該
緩衝液としては、たとえば、pH7.0の0.1Mリン酸緩衝液
などが挙げられる。このようにして得られたマレイミド
化ペルオキシダーゼは、たとえばゲルクロマトグラフィ
ーなどにより精製することができる。該ゲルクロマトグ
ラフィーを行う際に用いられる担体としては、例えば、
セファデックスG−25〔ファルマシア・ファインケミカ
ル社(スウェーデン)製〕、バイオゲルP−2〔バイオ
ラッド・ラボラトリーズ社(米国)製〕などが挙げられ
る。
マレイミド化ペルオキシダーゼと抗体分子との反応
は、両者を緩衝液中で約0℃ないし40℃の温度で、約1
ないし48時間反応させることにより行うことができる。
該緩衝液としては、例えば、pH6.0の5mMエチレンジアミ
ン四酢酸ナトリウム塩をふくむ0.1Mリン酸緩衝液などが
挙げられる。このようにして得られたペルオキシダーゼ
標識抗体は、たとえばゲルクロマトグラフィーなどによ
り精製することができる。該ゲルクロマトグラフィーを
行う際に用いられる担体としては、例えば、セファデッ
クスG−25〔ファルマシア・ファインケミカル社(スエ
ーデン)製〕、バイオゲルP−2〔バイオラッド・ラボ
ラトリーズ社(米国)製〕などが挙げられる。
さらに、ペルオキシダーゼにチオール基を導入し、マ
レイミド化された抗体分子と反応させてもよい。
ペルオキシダーゼ以外の酵素を抗体に直接結合させる
には、ペルオキシダーゼの場合に準じて行うことがで
き、また、自体公知のグルタルアルデヒド法、過ヨウ素
酸法、水溶性カルボジイミド法などが用いられる。
本発明の免疫化学的測定系における被検試料として
は、尿、血清、血漿、髄液等の体液、あるいは、動物細
胞や菌体の抽出液またはその培養上清が挙げられる。
本発明の免疫化学的測定方法の例として、標準剤がペ
ルオキシダーゼの場合について以下に具体的に説明する
が、ペルオキシダーゼに限定されるものではない。
まず、:担持に保持された抗体に、測定すべきN−
samタンパク質含有の分析対象物を加えて抗原抗体反応
を行った後、これに、前記で得られたペルオキシダーゼ
と抗N−samタンパク質抗体との結合物を加えて反応さ
せる。
この本測定系における被検試料としては、尿、血清、
血漿、髄液等の体液、あるいは、動物組織・細胞や菌体
の抽出液またはその培養上清が挙げられる。
:で得られた反応生成物にペルオキシダーゼの基
質を加え、生じた物質の吸光度もしくは蛍光強度を測定
することにより上記の反応生成物の酵素活性を知る。
:上記〜の操作を既知量のN−samタンパク質
の標準溶液に対してあらかじめ行い、N−samタンパク
質と吸光度もしくは蛍光強度との関係を標準曲線として
作成しておく。
:未知量のN−samタンパク質を含む分析対象物
(被検試料)について得られた吸光度もしくは蛍光強度
を標準曲線にあてはめ、分析対象物中のN−samタンパ
ク質の量を測定する。
免疫組織化学的検索を行う場合は、抗N−samタンパ
ク質抗体を上記のように直接ペルオキシダーゼで標識し
ても可能であるが、ビオチン化した該抗体を用いる直接
的あるいはビオチン化二次抗体を用いる間接的アビジン
−ビオチン複合体染色法〔ABC法、ジャーナル・オブ・
ヒストケミストリー・アンド・サイトケミストリー(J.
Hestochem.Cytochem.)29,577(1981)には、感度が高
く、また非特異的染色が少ないので有利に用いられる。
本発明の免疫組織化学的検索における被検材料として
は、動物細胞・組織や菌体などが挙げられる。
本発明のN−samタンパク質を、N−samタンパク質ま
たはその部分ペプチドとキャリア用蛋白との複合体を免
疫原として得られた抗体を用いて精製するには、該抗体
を用いてアフィニティーカラムクロマトグラフィーを行
うことにより行うことができる。
該アフィニティーカラムクロマトグラフィーは、たと
えば、該抗体を適切な担体にカップリングさせ、これを
カラムに充填し、N−samタンパク質を含む溶液をカラ
ムに通し吸着させ、次いで溶出させることにより行なう
ことができる。
該担体としては、たとえば、先に記載された担体と同
様のものが挙げられる。とりわけゲル粒子や各種合成樹
脂が好都合に用いられる。たとえば、CNBr−activated
sepharose 4B(ファルマシア・ファインケミカル社
製)、アフィゲル−10、アフィゲル15(バイオラッド・
ラボラトリーズ社製)などが挙げられる。
抗体を担体にカップリングさせるには、公知の常套手
段を応用し得るが、たとえば「代謝」、第8巻(1971
年)、第696頁に記載されているブロムシアン法、グル
タールアルデヒド法が挙げられる。また、水溶性カルボ
ジイミドを用いる方法、活性エステル法なども用いるこ
とができるが、より簡単な方法として物理的に担体表面
に吸着させてもよい。
このようにして得られた抗体カラムを用いて精製を行
なうには、抗体を結合させた担体を充てんした抗体カラ
ムに中性付近の緩衝液中のN−samタンパク質を吸着さ
せる。次にカラムを同じ緩衝液で洗浄したのち、特異的
に吸着させたN−samタンパク質を溶出させる。特異的
に吸収された抗体を溶出するには、たとえば、低pHもし
くは高pHの緩衝液、高濃度の塩を含有する緩衝液を用い
て行なわれる。
該低pHの緩衝液としては、たとえばpH2.3の0.17Mグリ
シン−塩酸緩衝液、pH1.8の0.1M第一クエン酸ナトリウ
ム−塩酸緩衝液などが挙げられる。
該高pH緩衝液としては、たとえばpH11のアンモニア
水、pH11.7の0.2Mホウ酸ナトリウム緩衝液などが挙げら
れる。
該高濃度の塩を含有する緩衝液としては、たとえば6M
グアニジン塩酸溶液、7M尿素溶液などが挙げられる。
上記の溶出は、バッチ法でもよく、またカラムを用い
る方法でもよい。
抗体の溶出液はたとえば透析して精製する。たとえば
低pHの緩衝液で溶出した時は、たとえば0.1M炭酸ナトリ
ウム緩衝液(pH10.5)、高pHの緩衝液で溶出した時は、
たとえば0.1Mクリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)で中性化
したのち、たとえば0.1%NaN3を含む0.02Mリン酸食塩緩
衝液(pH8.0)に対して透析する。また高濃度の塩を含
有する緩衝液で溶出した抗体液は直接に上記のリン酸食
塩緩衝液に透析して保存することもできる。また、上記
溶出液または透析液を凍結乾燥して得られた凍結乾燥標
品として保存することもできる。
このようにして精製されたN−samタンパク質は、極
めて高単位のものであり、N−samタンパク質は細胞増
殖因子の受容体と考えられるために、抗癌剤として用い
ることができる。
本発明明細書および図面において、塩基、アミノ酸、
化合物の残基、保護基、溶媒などを略号で表示する場
合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclatu
reによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づ
くものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し
光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL−
体を示すものとする。なお、上記略号は、それに相当す
る化合物のペプチド、結合を形成しうる残基を示す場合
もある。
DNA:デオキシリボ核酸 cDNA:相補的デオキシリボ核酸 A:アデニン T:チミン G:グアニン C:シトシン RNA:リボ核酸 mRNA:メッセンジャーリボ核酸 dATP:デオキシアデノシン三リン酸 dTTP:デオキシチミジン三リン酸 dGTP:デオキシグアノシン三リン酸 dCTP:デオキシシチジン三リン酸 ATP:アデノシン三リン酸 EDTA:エチレンジアミン四酢酸 SDS:ドデシル硫酸ナトリウム GlyまたはG:グリシン AlaまたはA:アラニン ValまたはV:バリン LeuまたはL:ロイシン IleまたはI:イソロイシン SerまたはS:セリン ThrまたはT:スレオニン CysまたはC:システイン MetまたはM:メチオニン GluまたはE:グルタミン酸 AspまたはD:アスパラギン酸 LysまたはK:リジン ArgまたはR:アルギニン HisまたはH:ヒスチジン PheまたはF:フェニールアラニン TyrまたはY:チロシン TrpまたはW:トリプトファン ProまたはP:プロリン AsnまたはN:アスパラギン GlnまたはQ:グルタミン Boc:t−ブチルオキシカルボニル MeBzl:4−メチルベンジル Bzl:ベンジル Obzl:ベンジルエステル CHO:ホルミル Cl−Z:2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z:2−ブロモベンジルオキシカルボニル Tos:p−トルエンスルホニル DNP:2、4−ジニトロフェニル −P:ペプチド固相合成用ポリスチレン樹脂 PAM:p−オキシメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂 AcOH:酢酸 なお、本発明のペプチドにおいては、そのアミノ酸配
列の一部が修飾(付加、除去、その他のアミノ酸への置
換など)されていてもよい。
実施例 以下に参考例、実施例をもって、本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明は、これらによってなんら限定さ
れるものではない。
実施例1 ヒト奇形腫細胞株NCC−IT mRNA由来のcDNA
ライブラリーの作製。
ヒト奇形腫細胞株NCC−ITよりRNAをグアニジンイソチ
オシアネート法[Chingwin,J.M.ら、Biochemistry,18,5
294(1979)]を用いて抽出した。このRNAよりポリ
(A)RNAをオリゴdTセルロースカラムクロマトグラフ
ィーにより精製した。[Aviv,H.とLeder,P.,Proc.Natl.
Acid.Sci.USA,69,1408(1972)]。
このポリ(A)RNAを鋳型としてcDNAをGubler.U.とHo
ffman,B.J.の方法[Gene,25,263(1983)]で精製し、
次にHuynh,T.V.らの方法[DNA Cloning:A Practical Ap
proach(IRL,Oxford),,49(1985)]にしたがって
上記のcDNAにEcoR Iリンカーを付加したのち、λgt10の
EcoR I部位にクローニングし、cDNAライブラリーを作製
した。
実施例2 N−sam cDNAを含むベクターの単離とその塩
基配列の決定。
大腸菌NM514に実施例1で得たλgt10のcDNAライブラ
リーを感染させたのち、Lブロスの軟寒天プレートにま
いた。プラークの出現を確認後、プラーク・ハイブリダ
イゼーション法[Benton,W.D.とDovis,R.W.,Science,19
6,180(1977)]で陽性クローニングN−sam4を選択し
た。このときプローブとして用いたk−sam cDNA SR0.
5は、K−sam7クローン(Hattori,Y.らProc.Natl.Acad.
Sci,87,5938,1990)においてSma I EcoR Iにより約0.5K
bpのDNAフラグメントとして切り出されるもので、K−s
am7クローンのヌクレオチド2071−2604に相当する。こ
れはK−sam蛋白質のチロシンキナーゼコード領域に相
当する。またDNA・RNAブロットにおいてK−sam cDNA・
mRNAとhigh stringency下でクロスハイブリダイズす
る。
N−sam4 cDNAは、核酸塩基配列より蛋白質コード領
域を含んでいたが翻訳開始部位ATGコドンを欠いてい
た。そこでN−sam cDNAの5′側を含むクローンを得る
ため、N−sam4の5′末端に近いオリゴヌクレオチドプ
ライマーGTTTGCCTAAGACCAGTCTGを用いて、NCC−IT細胞
よりcDNAライブラリーを作製した。このときの作製方法
は実施例1と同様である。スクリーニングの方法は、N
−sam4クローンと同様であるが、用いたプローブは、N
−sam4クローンの5′末端の制限酵素Acc Iで切り出さ
れる約0.2KbpのDNAフラグメントを用いた。スクリーニ
ングの結果1.7KbpのcDNAフラグメントを有するクロー
ン、5N−samを得、DNA塩基配列を決定した。その結果、
5N−samの3′末約500bpは、N−sam4の5′末約500bp
と完全に塩基配列が一致した。またRNAブロット法にお
いてN−sam4、5N−sam cDNAは、共にNCC−IT細胞にお
いて4.0kbのシグナルを呈することも確認した。
これら2つのクローンが保有するcDNAはK−samと一
部異なり、奇形腫細胞株NCC−IT細胞由来遺伝子である
ことからN−samと命名された。塩基配列およびそれか
ら推測されるアミノ酸配列を第1図に示した。
実施例3 (1)H−Glu−Ala−Leu−Glu−Glu−Arg−Pro−Ala−
Val−Met−Thr−Ser−Pro−Leu−Tyr−OH(N−samタン
パク質〔360−374〕,ペプチド(1))の合成 N−samタンパク質(360−374),ペプチドIの合成
は、自動ペプチド合成機430A(アプライドバイオシステ
ム社)を用いた固相合成法にて行なった。プログラムは
「スタンダード−1」を用いた。基本的な合成過程等
は、メリーフィールド アール ビー(Merrifield,R.
B.)(1969)アドバンス オブ エンザイモロジー(Ad
v.Enzymol.)32,221−296の方法に順じている。レジン
にはBoc−Tyr(Brz)−PAM−(0.5m mol/g)を用い、カ
ルボキシル末端から以下のアミノ酸を順次縮合した。Bo
c−アミノ酸としてBoc−Leu−OH,Boc−Pro−OH,Boc−Se
r−OH,Boc−Thr(Bzl)−OH,Boc−Met−OH,Boc−Val−O
H,Boc−Ala−OH,Boc−Pro−OH,Boc−Arg(Tos)−OH,Bo
c−Glu(Obzl)−OH,Boc−Glu(Obzl)−OH,Boc−Leu−
OH,Boc−Ala−OH,Boc−Glu(Obzl)−OHを用いた。アミ
ノ末端Gluまで合成した後ペプチドレジンを合成機から
取り出し、乾燥した。
ペプチドレジン1gに1.5mlのP−クレゾールおよび0.5
mlの1、2−エタンジオールを加え、さらに約8mlの液
体フッ化水素を加えて、0℃で2時間反応させた。反応
終了後、デシケーター中でフッ化水素を減圧除去し、0.
1%の2−メルカプトエタノールを含むジエチルエーテ
ルで、続いてジエチルエーテルで洗い、大部分の混在試
薬を除去した。ペプチドを10mlの3%酢酸で抽出し、ろ
過により抽出液中に混合しているレジンを除いた。
ろ液をセファデックス(Sephodex)G−25を用いるゲ
ルろ過により精製した。ゲルろ過条件は、カラムサイズ
2.8×60cm;検出波長230nm;溶媒3%酢酸;流速40ml/hr
であった。
ペプチドを含むフラクションを集めて凍結乾燥し、得
られた粉末標本について逆相高速液体クロマトグラフィ
ーによりさらに精製した。カラム、Nucleosil 5C18;4×
150mm;カラム温度、25℃;溶出溶媒A 0.1%トリフル
オロ酢酸−99.9%蒸留水%;溶出媒体B 0.1%トリフ
ルオロ酢酸−99.9%アセトニトリル;溶出プログラム、
0分(90%A+10%B)、25分(40%A+60%B);溶
出速度1ml/min、検出波長220nm。本条件下で保持時間約
17分に溶出された主ピーク画分を集めて、バイオラッド
AG1×8(AcOH型、1.8×5cm)カラムに通し、洗液を集
め、アセトニトリルを留去した後、凍結乾燥した。白色
粉末25mgを得た。得られたペプチドは、上記と同様の条
件における高速液体のクロマトグラフィーによる分析
で、保持時間17.0分で鋭い単ピークを与えた。
アミノ酸分析値 Thr0.97(1),Ser0.93(1),Glu3.02(3),Pro1.9
8(2),Ala2.09(2),Val1.00(1),Met1.01(1),
Leu2.06(2),Tyr0.99(1),Arg1.00(1)(2)H
−Thr−Thr−Asp−Lys−Glu−Met−Glu−Val−Leu−His
−Leu−Arg−Asn−Val−Ser−Phe−Glu−Asp−Ala−Gly
−OH(N−samタンパク質〔318−337〕,ペプチド(I
I))の合成 自動ペプチド合成機430Aを用い、Boc−Gly−PAM−P
(0.5m mol/g)より出発し、以下のアミノ酸を順次縮合
した。Boc−Ala−OH,Boc−Asp(OBzl)−OH,Boc−Glu−
(Obzl)−OH,Boc−Phe−OH,Boc−Ser−OH,Boc−Val−O
H,Boc−Asn−OH,Boc−Arg(Tos)−OH,Boc−Leu−OH,Bo
c−His(Tos)−OH,Boc−Leu−OH,Boc−Val−OH,Boc−G
lu(OBzl)−OH,Boc−Met−OH,Boc−Glu(OBzl)−OH,B
oc−Lys(Clz)−OH,Boc−Asp(OBzl)−OH,Boc−Thr
(Bzl)−OH,Boc−Thr(Bzl)−OH。アミノ末端Thrまで
合成した後ペプチドレジンを合成機から取り出し、乾燥
した。
ペプチドレジン1gに1.5mlのp−クレゾールおよび0.5
mlの1、2−エタンジチオールを加え、さらに約8mlの
液体フッ化水素を加えて、0℃で2時間反応させた。反
応終了後、デシケーター中でフッ化水素を減圧除去し、
0.1%の2−メルカプトエタノールを含むジエチルエー
テルで、続いてジエチルエーテルで洗い、大部分の混在
試薬を除去した。ペプチドを10mlの3%酢酸で抽出し、
ろ過により抽出液中に混合しているレジンを除いた。
ろ液をセファデックス(Sephadex)G−25を用いるゲ
ルろ過により精製した。ゲルろ過条件は、カラムサイズ
2.8×60cm;検出波長230nm;溶媒3%酢酸;流速40ml/hr
であった。
ペプチドを含むフラクションを集めて凍結乾燥し、得
られた粉末標本について逆相高速液体クロマトグラフィ
ーによりさらに精製した。カラムNucleosil 5C18;4×15
0mm;カラム温度25℃;溶出溶媒A0.1%トリフルオロ酢酸
−99.9%蒸留水;溶出溶媒B0.1%トリフルオロ酢酸−9
9.9%8アセトニトリル;溶出プログラム、0分(90%
A+10%B);25分(40%A+60%B);溶出速度1ml/m
in、検出波長220nm。本条件下で保持時間約16分に溶出
された主ピーク画分を集めて、バイオラッドAG1×8(A
cOH型、1.8×5cm)カラムに通し、洗液を集め、アセト
ニトリルを留去した後、凍結乾燥した。白色粉末25mgを
得た。得られたペプチドは、上記と同様の条件における
高速液体のクロマトグラフィーによる分析で、保持時間
16.5分で鋭い単ピークを与えた。
アミノ酸分析値 Asp2.95(3),Thr1.80(2),Ser0.91(1),Glu2.9
6(3),Gly0.98(1),Ala0.99(1),Val1.92(2),
Met0.96(1),Leu2.07(2),Phe1.00(1),Lys0.97
(1),His0.98(1),Arg0.98(1)。
実施例4 (1)H−Glu−Ala−Leu−Glu−Glu−Arg−Pro−Ala−
Val−Met−Thr−Ser−Pro−Tyr−OH〔ペプチド(I)〕
に対する抗体の製造 ペプチド(I)7mgおよび牛サイログロブリン(BTGと
略する)2/mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)2mlに溶解
し、1%グルタールアルデヒド水溶液を0.75ml加えて氷
冷下で30分撹拌後、室温で3時間撹拌を行なった。撹拌
終了後、4℃で透析(生理食塩水2×2)し、生理食
塩水にて10mlとして1mlずつ分注して凍結保存した。こ
のペプチド(I)−BTG縮合体溶液0.5mlに等量のフロイ
ンド完全アジュバントを加えてよく混合して乳剤を作製
し、これをウサギ両大腿部筋肉内、両後肢掌皮下および
背部皮下数ヶ所に接種した。3週後、ペプチド(I)−
BTG縮合体溶液0.5mlに等量のフロインド不完全アジュバ
ントを加え、よく混和して乳剤を作成し、同様に接種を
行なった。さらに3、6週後同様の追加免疫を行ない、
最終免疫の1週後採血し、抗血清を得た。
(2)H−Thr−Thr−Asp−Lys−Glu−Met−Glu−Val−
Leu−His−Leu−Arg−Asr−Val−Ser−Phe−Glu−Asp−
Ala−Gly−OH〔ペプチド(II)〕に対する抗体の製造。
ペプチド(II)7mgおよびBTG21mgを0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.2)2mlに溶解し、1%グルタールアルデヒド水溶
液を0.75ml加えて氷冷下で30分間撹拌後、室温で3時間
撹拌を行なった。撹拌終了後、4℃で透析(生理食塩水
2×2)し、生理食塩水にて10mlとして1mlずつ分注
して凍結保存した。このペプチド(II)−BTG縮合体溶
液0.5mlに等量のフロインド完全アジュバンドを加えて
よく混合して乳剤を作製し、これをウサギ両大腿部筋肉
内、両後肢掌皮下および背部皮下数ヶ所に接種した。3
週間、ペプチド(II)−BTG縮合体溶液0.5mlに等量のフ
ロインド不完全アジュバンドを加えよく混和して乳剤を
作製し、同様に接種を行なった。さらに3、6週後同様
の追加免疫を行ない、最終免疫の1週間後採血し、抗血
清を得た。
実施例5 実施例4で得られた抗血清の抗体価はそれぞれのペプ
チドをコートしたマイクロプレートを用いたELISA法で
検討した。すなわち、それぞれのペプチドを10μg/mlと
なるよう0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解し、96ウェル
イムノプレート(ヌンク社製、デンマーク)の各ウェル
に100μずつ分注して4℃で一夜放置することにより
コートした。0.15M NaClを含む0.01Mリン酸緩衝液(洗
浄後、pH7.3)で洗浄した後、1%BSAを含む0.02Mリン
酸緩衝液(pH7.0)を各ウェルに入れ用時まで冷所保存
した。以上のように調製したイムノプレートの各ウェル
に、実施例2で得られた抗血清を10倍段階希釈し、その
100μを注入し25℃で2時間反応させた。各ウェルを
洗浄液で洗った後、104倍に希釈したHRP(ホースラディ
ッシュペルオキシダーゼ)標識ヤギ抗ウサギIgG抗体
(カッペル社、米国)を100μ注入し、25℃で2時間
反応させた。各ウェルを洗浄液でよく洗った後、0.02%
過酸化水素と0.15%o−フェニレンジアミンを含むpH5.
5のクエン酸ナトリウム緩衝液を100μ加え25℃で15分
間反応させ、100μの4N−硫酸を加えることにより酵
素反応を停止させた。停止後、マイクロプレート用自動
比色計(MTP−32、コロナ社製)を用い、492nmにおける
吸光度を測定した。その結果、いずれのペプチドを免疫
した場合も接種した2匹のウサギの血中に抗体の存在を
認め、ペプチド(I)で10-5〜10-6(第2図)、ペプチ
ド(II)で10-4〜10-5(第3図)希釈まで、血清中に特
異抗体の存在を認めた。
実施例6 酸性および塩基性FGFの標的細胞は筋原細胞、内皮細
胞、繊維芽細胞、上皮細胞、神経およびグリア細胞を包
含する中胚葉および神経外胚葉由来の細胞であるといわ
れている。N−sam mRNAのヒトリンパ球様細胞での発現
の結果を次に示す。
N−sam mRNA転写物は、試験された4つの胸腺T細胞
白血病細胞株、CCRF−CEM、Jurkat,Molt3、RPMI8402の
全てにおいて;4つの成人T細胞白血病(ATL)細胞株の
内の1つのHUT102において;3つのB細胞系列の内の1つ
のU266において弱く;1つの非T非B急性リンパ球白血病
細胞株P30/OHKにおいてかすかに、発現した(第4
図)。N−sam mRNAが、4つの全ての非ATL T細胞株
で発現されたにもかかわらず、ATL細胞株ではたった1
つの細胞株でしか発現しなかった理由は不明である。N
−sam mRNAは肺癌細胞株、胃癌細胞株、食道癌細胞株お
よび繊維芽細胞株といった、種々の癌あるいは非癌細胞
においても又発現された。
第4図はリンパ球細胞におけるN−samのノーザンブ
ロット分析である。上記パネルは32P−標識ApAp0.5(N
−samに特異的なプローブ。3′側のApA I/AaA I 0.5kb
pフラグメント)に対するハイブリダイゼーションであ
り、下部パネルは試料に関するRNAの総量を比較するた
めに32P−標識βアクチンに対するハイブリダイゼーシ
ョンが包含されている。ここで示された細胞株(1〜13
レーン)からの総RNA(20μg)を電気泳動で分画し、
ニトロプラス(nitroplus)に移し、標識化プローブに
ハイブリダイズしたものを分析した。ハイブリダイゼー
ションは高ストリンゲンシー(high−stringency)条件
下で行なった。図中、各レーンは以下のとおりである。
非T非B急性リンパ球白血病細胞株(ALL)P30/OHK(レ
ーン1)。胸腺TALL;CCRF−CEM(レーン2)、Molt3
(レーン3)、Jurkat(レーン4)。成人T細胞白血病
(ATL);MT−2(レーン5)、OCH(レーン6)およびC
91/PL(レーン7)。BALL−1(レーン8)およびHL−6
0(レーン9)。ATL HUT102(レーン10)。多発性骨髄
腫U266(レーン11)。Burkitt lymphoma Raji(レーン1
2)。胸腺TALL RPMI−8402(レーン13)。NCC−IT(レ
ーン14)。
発明の効果 本発明で得られるN−samタンパク質はヒトbFGFのレ
セプターであると考えられ、該タンパク質、該タンパク
質の細胞外ドメイン、およびその部分ペプチド等の制癌
剤としての使用が考えられる。また、本発明で得られる
抗N−samペプチド抗体は、癌遺伝子N−samの遺伝子産
物を免疫組織化学的または免疫化学的測定法で検定、定
量する方法における試薬として、癌遺伝子N−sam遺伝
子産物の精製の試薬として、また癌診断剤として用いら
れる他、制癌剤としても有用であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明でクローニングされたN−sam cDNAの塩
基配列およびそれから推測されるアミノ酸配列を示した
図である。 第2図および第3図は本発明の癌遺伝子N−samの遺伝
子産物の部分ペプチドをウサギに免疫することによって
得られた抗体の抗体価を示すグラフである。 第4図は本発明のN−sam mRNAの発現を示す電気泳動図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07K 16/18 G01N 33/574 A C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/574 5/00 B (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 坂本 裕美 千葉県千葉市南花園2丁目2番24号 (72)発明者 吉田 輝彦 東京都練馬区光ケ丘7丁目7番5―603 号 (72)発明者 市森 有三 大阪府堺市浜寺元町5丁725番 (72)発明者 近藤 孝一 京都府相楽郡木津町兜台3丁目6番3号 (56)参考文献 Biochemical and B iophysical Researc h Communications,V ol.169,No.2(June 5, 1990),p.680〜685. (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/00 - 16/46 C12N 15/00 - 15/90 C12N 1/00 - 5/28 C12P 21/00 - 21/08 G01N 33/574 A61K 39/395 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) GenBank/DDBJ/EMBL

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下のアミノ酸配列または第1番目のMを
    除いたアミノ酸配列からなるタンパク質。
  2. 【請求項2】請求項1記載のタンパク質をコードする塩
    基配列を有する組換えDNA。
  3. 【請求項3】請求項2記載の組換えDNAを含むベクタ
    ー。
  4. 【請求項4】請求項3記載のベクターを保持する形質転
    換体。
  5. 【請求項5】請求項4記載の形質転換体を培地に培養す
    ることを特徴とする請求項1記載のタンパク質の製造
    法。
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Biochemical and Biophysical Research Communications,Vol.169,No.2(June 5,1990),p.680〜685.

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