JPH10236909A - 稲いもち病の予防方法及び稲いもち病予防用組成物 - Google Patents

稲いもち病の予防方法及び稲いもち病予防用組成物

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JPH10236909A
JPH10236909A JP4420697A JP4420697A JPH10236909A JP H10236909 A JPH10236909 A JP H10236909A JP 4420697 A JP4420697 A JP 4420697A JP 4420697 A JP4420697 A JP 4420697A JP H10236909 A JPH10236909 A JP H10236909A
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methionine
rice
rice blast
blast
solution
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Hiroshi Kawai
博 河合
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物自身が生合成する抗菌物質のファイトア
レキシンの発生を促すことによって、いもち病原菌(Py
ricularia oryzae)抵抗性を高め、環境にやさしく、低
コストで、しかも安全である稲いもち病の防除方法及び
稲いもち病予防用組成物を提供すること。 【解決手段】 稲いもち病の防除を目的として、稲にメ
チオニンを施用しファイトアレキシン(Phytoalexin )
を発生させることを特徴とする稲いもち病の予防方法お
よびメチオニンを有効成分として含むことを特徴とする
稲いもち病予防用組成物により課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、稲いもち病の防除
方法および稲いもち病予防用組成物に関するものであ
り、さらに詳しくはメチオニンを稲の地上部などに散布
することによって、ファイトアレキシンの発生を促し、
いもち病原菌(Pyricularia oryzae)の増殖を抑えるこ
とができるメチオニンの使用方法およびメチオニンを有
効成分として含む稲いもち病予防用組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来農地では、初夏から秋にかけて稲の
茎葉や穂に発生し収量低下をもたらす稲いもち病に対
し、多くの殺菌剤が予防的、治療的に使用されてきた
が、このような農薬の多用は農地生態系の単純化をもた
らし、多くの病原菌を根絶する一方で、かえって薬剤抵
抗性病原菌の異常発生などの事態を招来し、さらに悪循
環を繰り返しているのが現状である。
【0003】稲におけるファイトアレキシンは通常いも
ち病原菌に感染してはじめて稲自身が生合成する抗菌性
物質で、稲の動的抵抗性物質として知られている。この
動的抵抗性を利用し稲いもち病を防除する方法に、従
来、ボルドー液(Cu)、有機水銀剤などの重金属系の
殺菌剤が使用されてきたが、時として作物に薬害を生じ
たり、人畜や有用生物に害をもたらすことがあった。
【0004】このような状況を踏まえ、現在、地球環境
にやさしい、持続可能な農業技術の確立が急がれてお
り、農薬や化学肥料を使わない有機農業の研究が行われ
てきてはいるが、従来の農業技術に比べるとかなり費用
が高く、収量においても減収になってしまうという欠点
があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、いも
ち病原菌に感染しなくても植物自身が生合成する抗菌物
質のファイトアレキシンの発生を促すことによって、い
もち病原菌(Pyricularia oryzae)抵抗性を高めること
ができる、環境にやさしく、低コストで、しかも安全で
ある稲いもち病の防除方法および稲いもち病予防用組成
物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる問題
について鋭意研究した結果、メチオニンで稲を処理する
ことにより、いもち病原菌抵抗性を高めることができる
ことを見いだし本発明をなすに至った。
【0007】すなわち、本発明の請求項1の発明は、稲
いもち病防除を目的として、稲にメチオニンを施用しフ
ァイトアレキシン(Phytoalexin)を発生さ
せることを特徴とする稲いもち病の予防方法である。
【0008】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の稲いもち病の予防方法において、メチオニンの濃度
を、0.001〜10%(W/V)に水で希釈して稲に
適用することを特徴とする。
【0009】本発明の請求項3の発明は、請求項1ある
いは請求項2記載の稲いもち病の予防方法において、メ
チオニンを稲の地上部に散布することを特徴とする。
【0010】本発明の請求項4の発明は、請求項1ある
いは請求項2記載の稲いもち病の予防方法において、メ
チオニンを土壌に混和することを特徴とする。
【0011】本発明の請求項5の発明は、メチオニンを
有効成分として含むことを特徴とする稲いもち病予防用
組成物である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において用いるメチオニン
は特に限定されるものではなく、L−メチオニン、DL
−メチオニン、D−メチオニンのいずれを使用してもよ
いが、DL−メチオニンを使用することが最も低コスト
となるので好ましい。メチオニンの添加量は稲植物の種
類、施用方法によっても異なり、適宜選定して決められ
る。
【0013】しかしメチオニンは、通常、0.001〜
10%(W/V)に調製して使用することが好ましく、
さらに好ましくは0.01〜1%(W/V)、特に好ま
しくはおよそ0.1%(W/V)に水で調製して使用す
る。10%(W/V)を超えると植物に対して褐変、黄
化の症状が発生するので好ましくない。また、0.00
1%(W/V)未満では効果が顕著ではなくなるので好
ましくない。
【0014】本発明のメチオニンを有効成分として含む
稲いもち病予防用組成物の好ましい一実施態様であるメ
チオニンを含む水溶液には、メチオニンの作用を妨げな
い範囲でメチオニン以外の肥料、抗菌剤、殺虫剤、植物
生育調節剤、粘度調整剤、界面活性剤などの成分を配合
することができる。
【0015】また施用方法としては、育苗期、本田移植
後どちらでも地上部に散布、地下部に灌注ともに効果が
ある。本田では、土壌に直接混和して使用することも可
能である。
【0016】施用間隔としては、通常3〜14日おきに
定期的に施用するのが望ましいが、生育ステージ、品
種、生育状況によっては、毎日施用することも間隔をあ
けて施用することも可能である。
【0017】施用量としては、育苗期では育苗箱当たり
前記メチオニンを含む水溶液を10〜2000ミリリッ
トル施用するのが好ましく、さらに好ましくは100〜
1000ミリリットル、特に好ましくは300〜800
ミリリットル施用する。10ミリリットル未満では効果
が顕著で無くなるので好ましくない。2000ミリリッ
トルを超えて施用すると苗に過湿の影響が出やすくなる
ので好ましくない。本田散布では、10a当たり1〜5
00リットル、好ましくは10〜300リットル、さら
に好ましくは50〜200リットル施用する。
【0018】最も好ましい施用方法として、育苗期は
1.5葉期から5日おきにおよそ500ミリリットル、
本田移植後は10日おきにおよそ100リットル施用す
る方法が挙げられる。
【0019】
【作用】メチオニンを稲に散布するなどして処理するこ
とにより、植物自身が生合成する抗菌物質のファイトア
レキシンの発生を促すことによって、いもち病原菌(Py
ricularia oryzae)抵抗性を高めることが可能となる。
【0020】
【実施例】以下本発明を実施例により、具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例によって限定されるもので
はない。
【0021】(実施例1)DL−メチオニン(和光純薬
工業株式会社製)を蒸留水で0.1%(W/V)に調整
し、本発明の稲いもち病予防用組成物のメチオニン溶液
M1を作った。
【0022】(試験1)メチオニンが稲のファイトアレ
キシンのひとつであるサクラネチン(Sakuranetin )の
発生に及ぼす影響について試験を行った。 (材料及び試験方法)供試品種は、日本晴を用い、ペー
パーポットに化成肥料(N:P:K=10:6:8)1
4gを混和した土壌で3.5齢まで生育させ、1/50
00aワグネルポットに3本植えとした。基肥として化
成肥料(N:P:K=10:6:8)7gを全層施肥
し、温室内にて6葉期まで栽培した稲の第5葉を実験材
料とした。第5葉は20cmで切りそろえ、葉の中心部
に10mm間隔で直径1mmの傷をつけ、プラスチック
容器中に蒸留水で湿らせたキムワイプを敷いて、その上
に葉表を上にして置いた。その後、葉面の1mmの傷の
上にメチオニン溶液M1を傷当たり25マイクロリット
ルのせ、容器に透明な蓋をし、25℃明条件下で60時
間、インキュベートした。
【0023】また、対照区として同じく蒸留水を25マ
イクロリットルのせた区を設けた。60時間後に、葉面
に残った試験液と、傷を中心に直径3mmにコルクボー
ラーで打ち抜いた葉を熱70%メタノール抽出を行い、
減圧濃縮した後、水相を取り出し、さらにジエチルエー
テル抽出を行い、エーテル相を取り出し濃縮乾固した。
その後サクラネチンの測定は順相TLC(ベンゼン:酢
酸エチル:ギ酸=10:1:1)を通し、酢酸エチル溶
出したものを濃縮乾固し、逆相HPLC(0.2Nギ酸
を含むメタノール:溶媒A=6:4、溶媒A;NaNO
3 2g、H2SO4 0.05g/H2 O1000ミリリ
ットル)にて測定を行った。なおモミラクトンAは、B
ONDELUT C18を通し80%メタノール溶出を
行ったものをGC−MS/SIMにて測定した。
【0024】(試験1の結果及び考察)試験1における
各区のサクラネチン、モミラクトンAの発生量を測定し
た結果を表1に示した。サクラネチンの構造式を次式
(1)に示す。モミラクトンAの構造式を次式(2)に
示す。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】
【表1】
【0028】表1に示したように、対照区はサクラネチ
ン、モミラクトンA共に検出されなかったのに対し、メ
チオニン溶液M1処理区はサクラネチンで傷当たり55
8.10ng/spot、モミラクトンAで傷当たり1
88.23ng/spotと、メチオニン溶液M1を処
理することで抗菌活性が著しく増大した。
【0029】図1に、稲植物のいもち病菌に対する動的
防御機構を示す。一般に稲のファイトアレキシンである
サクラネチン、モミラクトンAは、稲いもち病菌に対す
る動的防御物質として知られており、いもち病菌の進入
を防ぐ重要な役割を果たしている。また、サクラネチ
ン、モミラクトンAのいもち病菌胞子発芽に対するED
50値(発芽阻止率50%)は、ともに15ppmであ
り、極めて強い抗菌作用が知られている。本試験の結果
は、メチオニン溶液M1の処理が稲いもち病防除に利用
できることを示唆するものである。
【0030】(試験2)メチオニン溶液M1の葉面散布
が稲いもち病(Pyricularia oryzae)の発現に及ぼす影
響について試験を行った。
【0031】(材料及び試験方法)供試品種は、コシヒ
カリを用い、ペーパーポットに化成肥料(N:P:K=
10:6:8)14gを混和した土壌で3.5齢まで生
育させ、1/5000aワグネルポットに3本植えとし
た。基肥として化成肥料(N:P:K=10:6:8)
7gを全層施肥し、温室内にて8葉期まで栽培したもの
を試験に供した。前処理としてメチオニン溶液M1を蒸
留水にて10倍に希釈し、ポット当たり100ミリリッ
トル茎葉散布した。また、対照区として蒸留水を同じく
100ミリリットル茎葉散布した。前処理から24時間
後、地上部全面にいもち菌を接種し、接種から2週間後
葉に発生した病斑の葉面1cm2 当たりの壊死部、崩壊
部の合計を面積比で評価した。評価はまず葉面積計にて
全ての葉面積を測定した後、病斑部を顕微鏡で画像解析
装置に取り込み測定した。各区の試験結果を表2に示し
た。
【0032】
【表2】
【0033】(試験2の結果及び考察)表2から判るよ
うに、対照区においては壊死率が18.3%であるのに
対し、メチオニン溶液M1処理区は4.5%と約4分の
1の値を示した。メチオニン溶液M1の処理がファイト
アレキシンの発生を促し菌の進入を防いで耐病性を高め
た結果である。
【0034】
【発明の効果】本発明は、植物自身の抗菌性物質である
ファイトアレキシンの発生を促すことによって、植物が
本来持っている病害抵抗性を高め、環境にやさしく、低
コストで、しかも安全である稲いもち病の予防方法に関
するものであり、本発明の組成物を用いた本発明の予防
方法により、稲の収量低下を引き起こすいもち病の害を
低減することが可能であり、結果として収量の増加を促
すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 稲植物のいもち病菌に対する動的防御機構を
示す説明図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 稲いもち病防除を目的として、稲にメチ
    オニンを施用しファイトアレキシン(Phytoale
    xin)を発生させることを特徴とする稲いもち病の予
    防方法。
  2. 【請求項2】 メチオニンの濃度を、0.001〜10
    %(W/V)に水で希釈して稲に適用することを特徴と
    する請求項1記載の稲いもち病の予防方法。
  3. 【請求項3】 メチオニンを稲の地上部に散布すること
    を特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の稲いもち
    病の予防方法。
  4. 【請求項4】 メチオニンを土壌に混和することを特徴
    とする請求項1あるいは請求項2記載の稲いもち病の予
    防方法。
  5. 【請求項5】 メチオニンを有効成分として含むことを
    特徴とする稲いもち病予防用組成物。
JP4420697A 1997-02-27 1997-02-27 稲いもち病の予防方法及び稲いもち病予防用組成物 Pending JPH10236909A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000016622A1 (fr) * 1998-09-22 2000-03-30 Hiroshi Kawai Compositions permettant de prevenir les maladies des plantes, et utilisation de ces compositions
WO2004064521A1 (ja) * 2003-01-17 2004-08-05 Meiji Seika Kaisha Ltd. 植物病害防除剤およびその剤を用いた植物病害防除法
WO2012046758A1 (ja) * 2010-10-07 2012-04-12 味の素株式会社 イネ科植物病害抵抗性増強剤およびそれを用いたイネ科植物の病害防除法

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