JPH1023645A - 電力供給低圧引込線用ブァッファ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力供給低圧引込線の断線のみならず電柱や
家屋などの破損をも防止し得るブァッファを提供する。 【解決手段】 第一掛止具（２）にコイルバネ（４）を
圧縮して所望の張力を封じ込んだ状態で位置させるとと
もに第二掛止具（３）をも該コイルバネ（４）に係合さ
せた電力供給低圧引込線用ブァッファ（１）であり、ま
た、前記ブァッファ（１）におけるコイルバネ（４）を
ケース（６）で包囲した電力供給低圧引込線用ブァッフ
ァ（５）である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する分野】本発明は、電力供給低圧引込線の
端部に備えた留め具と電柱及び家屋に設置された支持具
のいずれか一方との間に適用し、該低圧引込線自体に加
わる地震・雪屁脱落などによる所望以上の異常荷重によ
り発生する張力を自動的に調整し、また、低圧引込線へ
の着雪や異常な気温低下・風圧などにより電柱と家屋間
に加わる所望以上の異常荷重をも自動的に調整するブァ
ッファに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来における電力供給低圧引込線用ブァ
ッファは、太さ・条数・径間等を異にする多様な低圧引
込線に対して一種類で賄われており、該電力供給低圧引
込線用ブァッファの通常の適用例として示した添付図９
に基づいてブァッファの必要性を述べると、電柱（ホ）
から家屋（ニ）への電力供給低圧引込線（ハ）は、電柱
（ホ）側に取付けたバンド（ト）と留め具（ロ）の間、
又は家屋（ニ）側に取付けたボルト（ヘ）と留め具
（ロ）の間のいずれか一方の間にブァッファ（イ）を介
在させたうえで設置されるのが一般的で、異常荷重が発
生した際、電柱（ホ）側または家屋（ニ）側に連結され
たブァッファ（イ）により、該引込線（ハ）の断線事故
防止が図られている。また、ブァッファ（イ）は駆動部
が外部露出型であるため、降雪地域では雪・氷などの影
響を受け張力調整の正常動作を疎外することがある。

【０００３】従来から適用されてきたブァッファの一例
として添付した図１０に示すような構造のもの（Ａ）が
あり、これはコイルバネ（ｄ）を自由長さ状態にて適用
する形式のものであって、駆動源としての役割を担って
いるコイルバネ（ｄ）には、２個の掛止具（ｂ）（ｃ）
の各々が互いに対向して嵌挿係止されたままであり、し
かも、前記両掛止具（ｂ）（ｃ）における軸部（ｂ１）
（ｃ１）の長さが前記コイルバネ（ｄ）の自由長さより
も大に形成されていることから、電力供給低圧引込線の
太さ・条数・径間等の条件に合致せず、該コイルバネ
（ｄ）の伸縮範囲が限定的となり張力調整機能幅を小さ
くしてしまうのが実情である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の構造を有する従
来のブァッファ（図１０参照）にあっては、駆動源であ
るコイルバネを自由長さ状態にて適用する形式のため、
電力供給低圧引込線の太さ・条数・径間等により所望の
張力が異なり、張力調整機能が限定され所期の目的を疎
外することがある。また、弱い異常荷重が加わった際で
も鋭敏に反応して低圧引込線やブァッファ等に不要な繰
り返し荷重を生起させ、断線・家屋破損等の事故を招い
ており、本発明は、このような欠点を解消すべく弱い異
常荷重が加わる際に発生する不要な繰り返し荷重の抑制
を図り、かつ、耐久性に富んだ小嵩な電力供給低圧引込
線用ブァッファを提供し、更に、降雪地帯や低温地帯に
おいてもブァッファの保有する本来の機能を発揮し得る
電力供給低圧引込線用ブァッファをも提供するものであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のブァッファは、
圧縮して所望の張力を封じ込むとともに異常荷重により
電力供給低圧引込線に加わる張力を調整可能な圧縮幅が
確保される状態を呈するようにコイルバネを第一掛止具
に位置させた構成となし、かつ、駆動部であるコイルバ
ネを筒状体のケースにより包囲するように構成してい
る。

【０００６】本発明の具体的解決手段は以下の通りであ
る。

【０００７】（１） コイルバネ（４）が圧縮され所望
の張力を封じ込んだ状態で第一掛止具（２）に位置決め
され、かつ、第二掛止具（３）が前記第一掛止具（２）
に対向するように前記コイルバネ（４）に挿通係止され
て形成され、電柱又は家屋に設置された支持具のいずれ
か一方と電力供給低圧引込線の端部に備えられた留め具
との間に適用して該電力供給低圧引込線に加わる所望以
上の異常荷重による張力を調整するようにしたことを特
徴とする電力供給低圧引込線用ブァッファ。

【０００８】（２） 第一掛止具（２）は、一対の軸部
（２１、２１）の各々の一端を外方に折り曲げて折曲部
（２２、２２）となし、該軸部（２１、２１）の他端を
連通させて係止部（２３）となし、更に、前記係止部
（２３）と前記軸部（２１、２１）間には外方に屈曲さ
せて一対の肩部（２４、２４）となし、前記の係止部
（２３）と肩部（２４、２４）との間にコイルバネ
（４）を、圧縮され所望の張力を封じ込んだ状態で位置
決めするように構成されたことを特徴とする上記（１）
記載の電力供給低圧引込線用ブァッファ。

【０００９】（３） 第二掛止具（３）は、一対の軸部
（３１、３１）の各々の一端を折り曲げて折曲部（３
２、３２）となし、他端を連通して係止部（３３）とな
したことを特徴とする上記（１）又は（２）記載の電力
供給低圧引込線用ブァッファ。

【００１０】（４） 第二掛止具（３）の折曲部（３
２、３２）を、嵌入したコイルバネ（４）と確実な把持
係合がなし得るように構成したことを特徴とする上記
（１）、（２）又は（３）記載の電力供給低圧引込線用
ブァッファ。

【００１１】（５） 第一掛止具（２）における折曲部
（２２、２２）と肩部（２４、２４）間に圧縮され張力
を封じ込んだ状態のコイルバネ（４）が位置され、か
つ、第二掛止具（３）が前記コイルバネ（４）に嵌挿係
止して前記第一掛止具（２）に対向するように位置され
る構造である電力供給低圧引込線用ブァッファ（１）
と、中央部に長孔（６７）を有する底蓋（６２）が形成
された筒体（６１）および該筒体（６１）に係脱自在で
あり中央部に長孔（６９）を有する上蓋（６３）とから
なるケース（６）とを備え、前記ブァッファ（１）にお
ける第一掛止具（２）の軸部（２１、２１）および第二
掛止具（３）の軸部（３１、３１）が前記ケース（６）
における底蓋（６２）および上蓋（６３）の夫々の長孔
（６７、６９）に嵌挿するように対応させ、上記ブァッ
ファ（１）におけるコイルバネ（４）を上記ケース
（６）により包囲し、降雪地帯・低温地帯等において該
ブァッファ（１）の保有する機能を低下させないように
構成したことを特徴とする電力供給低圧引込線用ブァッ
ファ。

【００１２】

【発明の実施の形態】上記本発明のブァッファは、電柱
側又は家屋側と電力供給低圧引込線との間に連結されて
おり、予め圧縮により封じ込められた張力よりも大なる
異常荷重が発生してから作動するコイルバネにより、弱
風・弱い地震・低温による張力・着雪等下での異常荷重
による不要な繰り返し荷重を抑制し、又、コイルバネを
ケースで包囲し積雪・氷結等によるコイルバネの保有す
る機能の低下を防護する。

【００１３】以下、本発明の実施の形態を具体的な実施
例に基づいて説明する。添付図１は本発明のブァッファ
（１）の全体構造を示し、図２は第一掛止具（２）を示
すものであって、一対の軸部（２１、２１）の一端を外
方への折曲部（２２、２２）となし、他端は屈曲して形
成した一対の肩部（２４、２４）を介して連通した係止
部（２３）となした形状を備えており、図３は第二掛止
具（３）を示すもので、一対の軸部（３１、３１）の一
端を外方への折曲部（３２、３２）となし、他端を連通
して係止部（３３）となした形状を備えおり、図４はブ
ァッファの駆動源であるコイルバネ（４）の自由長さ状
態を示している。

【００１４】前記図１に示した本発明のブァッファ
（１）は、前記の図２・図３・図４に示した第一および
第二掛止具（２）・（３）とコイルバネ（４）を組合せ
ることにより形成されるものであって、この組合せ作業
は、先ず、第一掛止具（２）にこれ自体の保有する復元
力に抗した押圧力を付与して両折曲部（２２、２２）の
間隔を狭めておき、該両折曲部（２２、２２）端から自
由長さ状態のコイルバネ（４）を嵌挿しつつ該押圧力を
解放し、該コイルバネ（４）端が前記第一掛止具（２）
の両肩部（２４）に達した後、該コイルバネ（４）の他
端を該両折曲部（２２、２２）が通過するまで圧縮する
と該両折曲部（２２、２２）が初期状態に自動的に復帰
し、該コイルバネ（４）への圧縮力を解放するとその端
部が該両折曲部（２２、２２）に係止され、該コイルバ
ネ（４）は所望の張力が封じ込められた状態を呈する。
次いで、前記の第一掛止具（２）およびコイルバネ
（４）とからなる組合せ体に第二掛止具（３）を組合せ
るには、該第二掛止具（３）の係止部（３３）を該第一
掛止具（２）の肩部（２４、２４）側に位置する該コイ
ルバネ（４）端から挿入し、該コイルバネ（４）端に該
係止部（３３）を係止すれば完成する。

【００１５】なお、前記第二掛止具（３）における折曲
部（３２、３２）の他の変形例を図１１に示しており、
折り曲げた内面の一部に突出形状を備え、前記折曲部
（３２、３２）内にコイルバネ（４）が嵌入し連結され
た後は簡単には外れないように構成している。

【００１６】上述した本発明のブァッファ（１）の電力
供給低圧引込線への適用は、該低圧引込線を支持する留
め具の端側に第一掛止具（２）の係止部（２３）を、ま
た、第二掛止具（３）の係止部（３３）を、夫々連結す
ればよく、引込終了後には圧縮して張力が封じ込められ
ているコイルバネ（４）により小さな風圧や弱い地震な
どによる異常荷重の影響を軽減する。なお、膨出部（３
２１）付きの折曲部（３２、３２）を持つ第二掛止具
（３）が採用された場合は高所作業時でもブァッファ
（１）から該第二掛止具（３）が容易には離脱すること
が無い。

【００１７】次に、降雪地・低温地帯に適する本発明の
ブァッファ（５）について述べると、添付した図５はそ
の全体を表しており、上述の図１で示したブァッファ
（１）におけるコイルバネ（４）が金属性のケース
（６）により包囲された状態を呈している。該ケース
（６）は筒体（６１）とその両端部に結合される底蓋
（６２）および上蓋（６３）とから形成されており、図
６に示すように、筒体（６１）にはその一端側に底蓋
（６２）が結合固定されかつ、その他端側には上蓋（６
３）が着脱自在に結合可能なＬ字型孔（６４、６４）を
備えており、該底蓋（６２）はその側面から視た図７に
示すとおり横断状の凹溝（６６）が形成されると共にこ
の中央部に長孔（６７）が穿たれた形状であり、他方、
側面図である図８に示した上蓋（６３）には、中央部に
長孔（６９）が、また、その内周面に係合突起（６５）
が各々形成されている。

【００１８】上述の図１に示すブァッファ（１）とケー
ス（６）との組合せは、先ず、筒体（６１）に一体結合
した底蓋（６２）の長孔（６７）から第一掛止具（２）
の軸部（２１、２１）を折曲部（２２、２２）により挿
通して第一掛け止め具（２）の肩部（２４、２４）が該
底蓋（６２）の凹溝（６６）内に位置するようにし、次
いで、予め第二掛止具（３）が挿通係止してある自由長
さ状態のコイルバネ（４）を、前記の折曲部（２２、２
２）を介して嵌挿しその間隔が狭められた状態で通過す
るまで圧縮すると該折曲部（２２、２２）が該コイルバ
ネ（４）との係止位置に自動的に復帰するため、該コイ
ルバネ（４）は前記の圧縮力が解放されるとそれ自体の
保有する復元力で該折曲部（２２、２２）に係止して所
望の張力が封じ込められた状態に位置する。そして、最
終的には第二掛止部（３）の係止部（３３）を既設の長
孔（６９）に挿通しながら上蓋（６３）を筒体（６１）
の解放端部に結合して完成する。このように組合わせら
れたケース（６）は駆動部であるコイルバネ（４）を包
囲して自然界の悪影響を防止するものである。

【００１９】

【発明の効果】以上のとおりの構造である本発明のブァ
ッファは、弱い風圧や弱い地震などによる異常荷重が加
わる際に発生する不要な繰り返し荷重の抑制を図り耐用
命数が長く小嵩で高所作業に最適な電力供給引込線用ブ
ァッファであることから電柱や家屋などの破損を極力防
止し得るものであり、かつ、ケースでコイルバネを包囲
したことにより降雪地帯や低温地域に実施してもコイル
バネは故障することなく本来保有する機能を発揮し得、
日本の全域での使用が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電力供給用ブァッファの図である。

【図２】第一掛止具を示す図である。

【図３】第二掛止具を示す図である。

【図４】自由長さ状態を呈するコイルバネの図である。

【図５】本発明の他の電力供給引込線用ブァッファの図
である。

【図６】ケースの一部である筒体および底蓋の図であ
る。

【図７】ケースの一部である底蓋の側面図である。

【図８】ケースの一部である上蓋の側面図である。

【図９】電力供給低圧引込線の通常の引き込み態様を示
す図である。

【図１０】従来のブァッファを示すものでコイルバネが
自由長さ状態のままに組み込まれている図である。

【図１１】本発明のブァッファに適用される第二掛止具
の他の例の図である。

【符号の説明】

１ 本発明の電力供給低圧引込線用ブァッファ ２ 第一掛止具 ３ 第二掛止具 ４ コイルバネ ５ ケースでコイルバネを包囲した本発明のブァッファ ６ ケース

フロントページの続き (72)発明者 阿部 敏夫 北海道釧路市幸町８丁目１番地 北海道電 力株式会社釧路支店 (72)発明者 本間 宏 北海道釧路市幸町８丁目１番地 北海道電 力株式会社釧路支店

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コイルバネ（４）が圧縮され所望の張力
   を封じ込んだ状態で第一掛止具（２）に位置決めされ、
   かつ、第二掛止具（３）が前記第一掛止具（２）に対向
   するように前記コイルバネ（４）に挿通係止されて形成
   され、電柱または家屋に設置された支持具のいずれか一
   方と電力供給低圧引込線の端部に備えられた留め具との
   間に適用して該電力供給低圧引込線に加わる所望以上の
   異常荷重による張力を調整するようにしたことを特徴と
   する電力供給低圧引込線用ブァッファ。
2. 【請求項２】 第一掛止具（２）は、一対の軸部（２
   １、２１）の各々の一端を外方に折り曲げて折曲部（２
   ２、２２）となし、該軸部（２１、２１）の他端を連通
   させて係止部（２３）となし、更に、前記係止部（２
   ３）と前記軸部（２１、２１）間には外方に屈曲させて
   一対の肩部（２４、２４）となし、前記の係止部（２
   ３）と肩部（２４、２４）との間にコイルバネ（４）
   を、圧縮され所望の張力を封じ込んだ状態で位置決めす
   るように構成されたことを特徴とする請求項１記載の電
   力供給低圧引込線用ブァッファ。
3. 【請求項３】 第二掛止具（３）は、一対の軸部（３
   １、３１）の各々の一端を折り曲げて折曲部（３２、３
   ２）となし、他端を連通して係止部（３３）となしたこ
   とを特徴とする請求項１又は２記載の電力供給低圧引込
   線用ブァッファ。
4. 【請求項４】 第二掛止具（３）の折曲部（３２、３
   ２）を、嵌入したコイルバネ（４）と確実な把持係合が
   なし得るように構成したことを特徴とする請求項１、２
   又は３記載の電力供給低圧引込線用ブァッファ。
5. 【請求項５】 第一掛止具（２）における折曲部（２
   ２、２２）と肩部（２４、２４）間に圧縮され張力を封
   じ込んだ状態のコイルバネ（４）が位置され、かつ、第
   二掛止具（３）が前記コイルバネ（４）に嵌挿係止して
   前記第一掛止具（２）に対向するように位置される構造
   である電力供給低圧引込線用ブァッファ（１）と、中央
   部に長孔（６７）を有する底蓋（６２）が形成された筒
   体（６１）および該筒体（（６１））に係脱自在であり
   中央部に長孔（６９）を有する上蓋（６３）とからなる
   ケース（６）とを備え、前記ブァッファ（１）における
   第一掛止具（２）の軸部（２１、２１）および第二掛止
   具（３）の軸部（３１、３１）が前記ケース（６）にお
   ける底蓋（６２）および上蓋（６３）の夫々の長孔（６
   ７）（６９）に嵌挿するように対応させ、上記ブァッフ
   ァ（１）におけるコイルバネ（４）を上記ケース（６）
   により包囲し、降雪地帯・低温地帯等において該ブァッ
   ファ（１）の保有する機能を低下させないように構成し
   たことを特徴とする電力供給低圧引込線用ブァッファ。