JPH10236175A - 縦置きトランスファ - Google Patents

縦置きトランスファ

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JPH10236175A
JPH10236175A JP4444797A JP4444797A JPH10236175A JP H10236175 A JPH10236175 A JP H10236175A JP 4444797 A JP4444797 A JP 4444797A JP 4444797 A JP4444797 A JP 4444797A JP H10236175 A JPH10236175 A JP H10236175A
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JP
Japan
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torque
differential
wheels
wheel side
center
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JP4444797A
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Masao Teraoka
正夫 寺岡
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GKN Driveline Japan Ltd
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Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前後輪のトルク配分比を大きくして車両のス
テアリング特性を充分に改善すると共に、設計自由度を
高める。 【解決手段】 エンジンの駆動力を前輪側と後輪側とに
分配する縦置きのセンタ−デフ5と、前輪の配分トルク
を前輪側出力部材7に伝達する第1のチェ−ン伝動機構
11と、後輪の配分トルクを後輪側に伝達する後輪側出
力部材9に連結された第2のチェ−ン伝動機構13と、
各チェ−ン伝動機構11、13の従動側スプロケット2
9、35を連結する摩擦クラッチ15と、摩擦クラッチ
15を締結するアクチュエ−タ17とを備え、前輪と後
輪とのトルク配分比が所定値になるようにチェ−ン伝動
機構11、13の変速比を調整した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、四輪駆動(4W
D)車において、回転中心軸を車両の進行方向に配置し
た縦置きのトランスファに関する。
【0002】
【従来の技術】特開平7−186754号公報に図4の
ようなトランスファ201が記載されている。
【0003】このトランスファ201は回転中心軸を車
両の進行方向に配置した縦置きのトランスファであり、
プラネタリ−ギヤ式のセンタ−デフ203、多板クラッ
チ205、チェ−ン伝動機構207などを備えている。
入力軸209からセンタ−デフ203に入力したエンジ
ンの駆動力は、後輪側出力軸211を介して後輪側に伝
達され、チェ−ン伝動機構207と前輪側出力軸213
とを介して前輪側に伝達される。
【0004】多板クラッチ205はエンジン駆動力の入
力側と前輪の出力側との間に配置されており、四輪駆動
状態では、多板クラッチ205の滑りを調整することに
よって前輪側への配分トルク、すなわち、前輪と後輪に
対するトルク配分比を変えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、トランスファ
201は前輪側への配分比調整が、上記のように、多板
クラッチ205だけによって行われるように構成されて
おり、その上、多板クラッチ205によるトルク伝達は
高速回転側から低速回転側の方向にしか行われないか
ら、後輪が前輪より高速で回転する状態でないとトルク
が前輪側に移動しない。
【0006】又、前輪が後輪より高速で回転する旋回走
行時は、後輪によって前輪が制動されることになるが、
この制動トルクの方向はエンジンの駆動トルクと反対向
きであるから、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が発生
して車体の挙動が不安定になる恐れがある。
【0007】又、悪路などで後輪が空転した場合は、多
板クラッチ205を介して前輪が駆動され、走破性が向
上する。
【0008】しかし、直進走行時は前後輪間に差動が発
生しにくいから、上記の理由で多板クラッチ205によ
る前輪側へのトルク伝達は起こらず、車両は実質的に後
輪駆動状態で走行する。
【0009】このように、トランスファ201では、前
輪が制動されるか駆動されるかが車両の走行条件だけで
決まってしまうから、前輪へトルクを配分するか否かを
自由に選択することは不可能であり、その上、上記のよ
うに、前輪側へ配分されるトルクの最大値が、前輪が後
輪より低速で回転するという条件で限定されるから、前
輪側への配分トルクを任意に調整することも不可能であ
り、前後輪のトルク配分比を充分に大きくすることがで
きない。
【0010】これらの理由で、トランスファ201で
は、前後輪のトルク配分を電子制御で行うトランスファ
のような大きなトルク配分比が得られず、車両の操縦性
や安定性などを充分に改善できない。
【0011】更に、トランスファ201のように縦置き
のトランスファでは、同軸配置されたセンタ−デフ20
3と後輪側出力軸211などとこれらと平行に配置され
た前輪側出力軸213の位置関係や軸間距離などが車室
のフロアや車体のフレ−ムなどによって規制され、これ
らの規制によって縦置きトランスファは配置箇所、大き
さ、形状などに大きな制約を受ける。その上、これらの
制約は車種によって大きく異なるから、縦置きのトラン
スファは設計上の自由度が低く、異なった車種に1機種
で広く適用することができない。
【0012】従って、これらの規制に対する順応性が高
く、設計自由度が大きい縦置きトランスファが望まれて
いる。
【0013】そこで、この発明は、センタ−デフ固有の
トルク配分特性に制約されずに前後輪のトルク配分比を
大きくし、更に、このトルク配分比を自在に調整して車
両の操縦性や安定性などを充分に向上させることができ
ると共に、設計自由度の高い縦置きトランスファの提供
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、エン
ジンの駆動力を前輪側と後輪側とに分配すると共に、回
転中心が車両の進行方向に配置されたセンタ−デフと、
前輪の配分トルクを前輪側出力部材に伝達する第1のチ
ェ−ン伝動機構と、後輪の配分トルクを後輪側に伝達す
る後輪側出力部材と、後輪側出力部材又はデフケ−スに
連結された第2のチェ−ン伝動機構と、各チェ−ン伝動
機構の従動側スプロケットを連結する摩擦クラッチと、
この摩擦クラッチを締結するアクチュエ−タとを備え、
前輪と後輪とのトルク配分比が所定値になるように、セ
ンタ−デフのトルク配分比に応じて、前記各チェ−ン伝
動機構の変速比を調整したことを特徴とする縦置きトラ
ンスファである。
【0015】この縦置きトランスファにおいて、摩擦ク
ラッチを開放すると前輪は第1の伝達経路だけを介して
駆動される。又、摩擦クラッチを連結すると、第2の伝
達経路を介して前輪側と後輪側との間でトルクが移動す
る。
【0016】このように、この発明の縦置きトランスフ
ァでは、前輪側のトルク伝達経路を、第1のチェ−ン伝
動機構を経由する第1の伝達経路と、第2のチェ−ン伝
動機構と摩擦クラッチとを経由する第2の伝達経路との
2系統が設けられていると共に、前輪と後輪とのトルク
配分比が所定の値になるように各チェ−ン伝動機構の変
速比が調整されている。
【0017】ここで、前輪が後輪より高速で回転するよ
うに各チェ−ン伝動機構の変速比を調整すれば、第2の
伝達経路を介して前輪から後輪へトルクが流れ後輪側の
配分トルクが増加し、後輪が前輪より高速で回転するよ
うに各チェ−ン伝動機構の変速比を調整すれば、第2の
伝達経路を介して後輪から前輪へトルクが流れ前輪側の
配分トルクが増加する。
【0018】こうして、センタ−デフ固有のトルク配分
比に制約されずに、前輪と後輪のトルク配分比を任意に
選択することが可能であり、例えば、従来例と異なっ
て、前輪側の配分トルクを後輪側より大きくすることが
できる。
【0019】更に、第2の伝達経路を介して前輪又は後
輪に配分されるトルクの大きさは、摩擦クラッチを適度
に滑らせることによって制御できるから、車両のステア
リング特性を走行条件に応じてアンダ−ステアとオ−バ
−ステアの間で自在に調整し、車両の操縦性や安定性な
どを充分に向上させることができる。
【0020】又、摩擦クラッチが開放された状態でも、
第1チェ−ン伝動機構の変速比を調整することによっ
て、センタ−デフのトルク配分比に制約されずに、前輪
への配分トルクを変えることが可能であり、走行性や操
縦性のようにセンタ−デフ固有のトルク配分比によって
決まる車両の基本的なステアリング特性を調整すること
ができる。
【0021】又、旋回走行時のように、タイトコ−ナ−
ブレ−キング現象が発生し易い条件下でも、センタ−デ
フ固有のトルク配分特性によって前輪側に後輪側より大
きいトルクが配分される構成では、摩擦クラッチが開放
されていても、前輪が後輪によって制動されることはな
い。
【0022】又、センタ−デフ固有のトルク配分特性に
よって後輪側に前輪側より大きいトルクが配分される構
成では、摩擦クラッチを連結すれば、第2の伝達経路を
介して前輪側にトルクが送られるから、この場合も、前
輪が後輪によって制動されることはない。
【0023】このように、従来例と異なって、いずれの
場合も前輪が後輪によって制動されることがなく、従っ
て、前輪にはエンジンの駆動トルクと反対向きの制動ト
ルクが掛からないから、タイトコ−ナ−ブレ−キング現
象が防止され、車体の挙動が安定する。
【0024】又、チェ−ン伝動機構を用いた構成は、チ
ェ−ンの長さ調整によって駆動側スプロケットと従動側
スプロケットの軸間距離を変えることが容易であるか
ら、車両のフロアやフレ−ムなどによって規制される配
置箇所、大きさ、形状などの制約に対して高い順応性を
示す。
【0025】こうして得られた大きな設計自由度によっ
て、この発明の縦置きトランスファは、1機種で異なっ
た車種に広く適用可能であり、従って、極めて低コスト
に実施できる。
【0026】請求項2の発明は、請求項1記載の縦置き
トランスファであって、前輪側出力部材がセンタ−デフ
と平行に配置され、後輪側出力部材がセンタ−デフと同
軸に配置されると共に、各チェ−ン伝動機構の従動側ス
プロケットと摩擦クラッチとが前輪側出力部材と同軸に
配置されたことを特徴とし、請求項1の構成と同等の効
果を得る。
【0027】これは、同軸配置されたセンタ−デフ及び
後輪側出力部材と、同軸配置された前輪側出力部材及び
摩擦クラッチとを、互いに平行配置し、これらを各チェ
−ン伝動機構で連結した構成であり、チェ−ンの長さ調
整によってセンタ−デフ側と前輪側出力部材との軸間距
離を容易に変えることができるから、車両のフロアやフ
レ−ムによる制約に対して配置箇所、大きさ、形状など
の点で高い順応性を持ち、大きな設計自由度が得られ、
低コストで異なった車種に広く適用可能である。
【0028】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
記載の縦置きトランスファであって、センタ−デフが、
前輪と後輪とに不均等なトルクを配分する不等トルク配
分型であることを特徴とし、請求項1又は請求項2の構
成と同等の効果を得る。
【0029】これに加えて、不等トルク配分型センタ−
デフのトルク配分比と逆のトルク配分比になるように、
各チェ−ン伝動機構の変速比を調整すれば、センタ−デ
フのトルク配分比に応じたトルク配分比(摩擦クラッチ
の開放時)から逆のトルク配分比(摩擦クラッチの連結
時)まで極めて広い範囲でトルク配分比を調整すること
が可能になる。
【0030】従って、車両の操縦性や安定性などを走行
条件に応じて大幅に向上させることができる。
【0031】請求項4の発明は、請求項3記載の縦置き
トランスファであって、センタ−デフが、プラネタリ−
ギヤ式の差動機構であることを特徴とし、請求項3の構
成と同等の効果を得る。
【0032】これに加えて、センタ−デフにプラネタリ
−ギヤ式差動機構を用いたことにより、縦置きトランス
ファをコンパクトに構成することができる。
【0033】請求項5の発明は、請求項4記載の縦置き
トランスファであって、プラネタリ−ギヤ式差動機構の
ピニオンキャリヤをエンジン側に、インタ−ナルギヤを
前輪側に、サンギヤを後輪側にそれぞれ連結したことを
特徴とし、請求項4の構成と同等の効果を得る。
【0034】これに加えて、不等トルク配分型のプラネ
タリ−ギヤ式差動機構では、インタ−ナルギヤを前輪側
に連結し、サンギヤを後輪側に連結すると、前輪の配分
トルクが後輪より大きくなる。
【0035】このように、前輪の配分トルクが後輪より
大きい基本的な構成では、車両のステアリング特性はア
ンダ−ステア側になり、直進走行時に優れた直進性(安
定性)が得られる。
【0036】これと反対に、前輪の配分トルクを後輪よ
り小さくすると、ステアリング特性はオ−バ−ステア気
味になり、直進走行と旋回走行とに係わらず車両の操縦
性が向上する。
【0037】そこで、請求項5の構成では、各チェ−ン
伝動機構の変速比を、センタ−デフの基本的なトルク配
分比と逆のトルク配分比になるように調整することによ
って、前輪側の配分トルクが大きいトルク配分比(摩擦
クラッチの開放時)から後輪側の配分トルクが大きい逆
のトルク配分比(摩擦クラッチの連結時)まで極めて広
い範囲でトルク配分比を調整することができる。
【0038】従って、摩擦クラッチを開放しておけば、
前輪側の配分トルクが大きいトルク配分比によって優れ
た直進性(安定性)が得られ、旋回走行時などでアンダ
−ステアが現れたときは、摩擦クラッチを連結すれば、
前輪側からトルクが流れて後輪側の配分トルクが大きく
なり、ステアリング特性がオ−バ−ステア側に移行して
操縦性が向上する。
【0039】このとき、摩擦クラッチを滑らせて後輪側
への配分トルクを制御すれば、車両のステアリング特性
がアンダ−ステアとオ−バ−ステアの間で調整され、車
両の操縦性や安定性などを走行条件に応じて充分に向上
させることができる。
【0040】又、摩擦クラッチが開放されていても、セ
ンタ−デフによって前輪側に後輪側より大きいトルクが
配分されるから、旋回走行時のように、タイトコ−ナ−
ブレ−キング現象が発生し易い条件下でも、前輪が後輪
によって制動されることはない。
【0041】このように、従来例と異なって、エンジン
の駆動トルクと反対向きの制動トルクが前輪に掛からな
いから、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が防止され、
車体の挙動が安定する。
【0042】請求項6の発明は、請求項4記載の縦置き
トランスファであって、プラネタリ−ギヤ式差動機構の
ピニオンキャリヤをエンジン側に、サンギヤを前輪側
に、インタ−ナルギヤを後輪側にそれぞれ連結したこと
を特徴とし、請求項4の構成と同等の効果を得る。
【0043】これに加えて、プラネタリ−ギヤ式差動機
構のインタ−ナルギヤを後輪側に連結し、サンギヤを前
輪側に連結した請求項6の構成は、請求項5の構成と反
対に、前輪の配分トルクを後輪より小さくして車両の操
縦性を向上させた構成であり、各チェ−ン伝動機構の変
速比調整によって、後輪の配分トルクが大きいトルク配
分比(摩擦クラッチの開放時)から前輪の配分トルクが
大きい逆のトルク配分比まで(摩擦クラッチの連結時)
極めて広い範囲でトルク配分比を調整することができ
る。
【0044】従って、摩擦クラッチを開放しておけば後
輪側の配分トルクが大きい基本的な特性によって優れた
操縦性が得られ、旋回走行時などでオ−バ−ステアが現
れたときは、摩擦クラッチを連結すれば、後輪側からト
ルクが流れて前輪側の配分トルクが大きくなり、ステア
リング特性がアンダ−ステア側に移行して安定性が向上
する。
【0045】このとき、摩擦クラッチを滑らせて前輪側
への配分トルクを制御し、車両のステアリング特性を走
行条件に応じてアンダ−ステアとオ−バ−ステアの間で
調整すれば、車両の操縦性や安定性などを充分に向上さ
せることができる。
【0046】又、センタ−デフ固有のトルク配分特性に
よって後輪側に前輪側より大きいトルクが配分される構
成では、旋回走行時のように、タイトコ−ナ−ブレ−キ
ング現象が発生し易い条件下でも、摩擦クラッチを連結
すれば、第2の伝達経路を介して前輪側にトルクが送ら
れるから、前輪が後輪によって制動されることはない。
【0047】このように、従来例と異なって、エンジン
の駆動トルクと反対向きの制動トルクが前輪に掛からな
いから、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が防止され、
車体の挙動が安定する。
【0048】請求項7の発明は、請求項1又は請求項2
記載の縦置きトランスファであって、センタ−デフが、
前輪と後輪とに均等なトルクを配分する等トルク配分型
であることを特徴とし、請求項1又は請求項2の構成と
同等の効果を得る。
【0049】これに加えて、等トルク配分型のセンタ−
デフによって前輪と後輪に均等なトルクが配分されるか
ら、車両は直進安定性と操縦性のいずれにも偏らない中
庸のステアリング特性が与えられる。
【0050】そこで、各チェ−ン伝動機構の変速比を、
後輪に大きなトルクが配分されるように調整すれば、摩
擦クラッチの連結と共に車両の操縦性が向上し、前輪に
大きなトルクが配分されるように調整すれば、摩擦クラ
ッチの連結と共に直進安定性が向上する。
【0051】こうして、車両のステアリング特性を選択
することができる。
【0052】又、摩擦クラッチを滑らせて前輪側又は後
輪側への配分トルクを制御し、車両のステアリング特性
を走行条件に応じてアンダ−ステアとオ−バ−ステアの
間で調整すれば、操縦性や安定性などを充分に向上させ
ることができる。
【0053】又、等トルク配分型のセンタ−デフを用い
ても、不等トルク配分型のセンタ−デフを用いた場合と
同様に、前後輪間のトルク配分比を広い範囲で調整する
ことが可能である。
【0054】又、旋回走行時のように、タイトコ−ナ−
ブレ−キング現象が発生し易い条件下でも、前輪側にト
ルクを送れば、従来例と異なり、前輪が後輪によって制
動されることがないから、タイトコ−ナ−ブレ−キング
現象が防止され、車体の挙動が安定する。
【0055】請求項8の発明は、請求項7記載の縦置き
トランスファであって、センタ−デフが、前輪側サイド
ギヤと後輪側サイドギヤの歯数が等しいベベルギヤ式の
差動機構であることを特徴とする。
【0056】この構成は、センタ−デフに、前輪側サイ
ドギヤと後輪側サイドギヤの歯数が等しい等トルク配分
型のベベルギヤ式差動機構を用いたものであり、従っ
て、請求項7の構成と同等の効果を得る。
【0057】請求項9の発明は、請求項7又は請求項8
記載の縦置きトランスファであって、第2のチェ−ン伝
動機構がデフケ−スに連結されたことを特徴とし、請求
項7又は請求項8の構成と同等の効果を得る。
【0058】これに加えて、等トルク配分型のセンタ−
デフでは、前輪と後輪の各配分トルクの倍のトルクがデ
フケ−スに掛かるから、第2のチェ−ン伝動機構をデフ
ケ−スに連結したことにより、前後輪間のトルク配分比
をそれだけ大きくすることが可能である。
【0059】又、このトルク配分比を小さく抑えれば、
各チェ−ン伝動機構の変速比をそれだけ小さくすること
が可能になるから、スプロケットを小径にして、縦置き
トランスファを小型にすることができる。
【0060】
【発明の実施の形態】図1により本発明の第1実施形態
を説明する。第1実施形態は請求項1、2、3、4、5
の特徴を備えている。図1はこの実施形態の縦置きトラ
ンスファ1を示しており、図1の上方はトランスファ1
が用いられた四輪駆動車の前方に相当する。又、符号が
与えられていない部材等は図示されていない。
【0061】この四輪駆動車の動力系は、エンジン、ト
ランスミッション、トランスファ1、前輪側のプロペラ
シャフト、フロントデフ(前輪側のデファレンシャル装
置)、左右の前車軸、左右の前輪、後輪側のプロペラシ
ャフト、リヤデフ(後輪側のデファレンシャル装置)、
左右の後車軸、左右の後輪などから構成されている。
【0062】エンジンの駆動力はトランスミッションか
らトランスファ1に伝達され、トランスファ1から前輪
と後輪の各プロペラシャフトを介してそれぞれフロント
デフとリヤデフとに伝達され、更に、フロントデフから
左右の前輪に分配され、リヤデフから左右の後輪に分配
される。
【0063】図1のように、トランスファ1は、入力軸
3、センタ−デフ5、前輪側の出力軸7(出力部材)、
後輪側の出力軸9(出力部材)、第1のチェ−ン伝動機
構11、第2のチェ−ン伝動機構13、多板クラッチ1
5(摩擦クラッチ)、油圧アクチュエ−タ17(アクチ
ュエ−タ)などを備えている。これらはトランスファケ
−スの内部に配置されており、このトランスファケ−ス
にはオイル溜りが設けられている。
【0064】センタ−デフ5は前輪と後輪とに不均等な
トルクを配分する不等トルク配分型のプラネタリ−ギヤ
式差動機構であり、インタ−ナルギヤ19と、ピニオン
ギヤ21及びピニオンキャリヤ23と、サンギヤ25な
どから構成されている。
【0065】第1のチェ−ン伝動機構11は駆動側のス
プロケット27及び従動側のスプロケット29とこれら
を連結するハイボチェ−ン31とから構成され、第2の
チェ−ン伝動機構13は駆動側のスプロケット33及び
従動側のスプロケット35とこれらを連結するハイボチ
ェ−ン37とから構成されている。
【0066】入力軸3はピニオンキャリヤ23に連結さ
れており、更に、トランスミッションの出力側に連結さ
れ、エンジンの駆動力によって回転駆動される。
【0067】前輪側の出力軸7はセンタ−デフ5と平行
に配置されており、第1チェ−ン伝動機構11の従動側
スプロケット29は前輪側出力軸7に固定されている。
又、駆動側スプロケット27はインタ−ナルギヤ19に
連結されている。
【0068】後輪側の出力軸9はセンタ−デフ5と同軸
に配置されており、サンギヤ25に連結されている。第
2チェ−ン伝動機構13の駆動側スプロケット33は後
輪側出力軸9に固定されており、従動側スプロケット3
5は前輪側出力軸7と同軸に配置されている。
【0069】又、多板クラッチ15と油圧アクチュエ−
タ17も前輪側出力軸7と同軸に配置されている。
【0070】多板クラッチ15のクラッチハウジング3
9とクラッチハブ41にはそれぞれ外側のクラッチ板4
3と内側のクラッチ板45が移動可能に係合している。
クラッチハウジング39は前輪側出力軸7に固定されて
おり、クラッチハブ41は前輪側出力軸7と相対回転自
在に配置され、第2チェ−ン伝動機構13の従動側スプ
ロケット35に連結されている。
【0071】油圧アクチュエ−タ17はエンジン駆動の
オイルポンプから油圧を受けて作動し、クラッチ板4
3、45を押圧して多板クラッチ15を締結する。
【0072】このように、前輪側のトルク伝達経路は、
第1チェ−ン伝動機構11を経由する第1の伝達経路
と、第2チェ−ン伝動機構13と多板クラッチ15とを
経由する第2の伝達経路との2系統が設けられている。
【0073】多板クラッチ15は第2伝達経路を開閉
し、第2伝達経路が開放されると、第1伝達経路を介し
て前輪側に駆動力が伝達され、多板クラッチ15を連結
すると、第1と第2の両伝達経路を介して前輪側に駆動
力が伝達され、又、第1と第2の伝達経路を介して前輪
側と後輪側との間でトルクが移動する。
【0074】又、センタ−デフ5は、前輪側をインタ−
ナルギヤ19に連結し後輪側をサンギヤ25に連結した
から、多板クラッチ15が開放され第1の伝達経路だけ
が駆動力を伝達する状態では、前後輪のトルク配分比
は、前輪側に後輪側より大きいトルクが伝達されるトル
ク配分比になっている。
【0075】更に、第1チェ−ン伝動機構11の各スプ
ロケット27、29の歯数比(変速比)と、第2チェ−
ン伝動機構13の各スプロケット33、35の歯数比
(変速比)は、多板クラッチ15が連結され第1と第2
の各伝達経路を介して駆動力が伝達される状態で、前輪
側が後輪側より高速回転するように調整されている。
【0076】各チェ−ン伝動機構11、13のハイボチ
ェ−ン31、37はトランスファケ−スのオイル溜りか
らオイルを跳ね上げて、各スプロケット27、29,3
3、35との噛み合い部や、センタ−デフ5の各ギヤの
噛み合い部や、多板クラッチ15の摺動部などを潤滑す
る。
【0077】こうして、縦置きトランスファ1が構成さ
れている。
【0078】上記のように、前輪の配分トルクが後輪よ
り大きいと、車両は直進走行時の直進性(安定性)がよ
く、後輪の配分トルクを大きくすると、直進走行時と旋
回走行時共に車両の操縦性が向上する。
【0079】トランスファ1では、各チェ−ン伝動機構
11、13の変速比を、前輪の配分トルクが後輪より大
きい基本的なトルク配分比と逆のトルク配分比になるよ
うに調整したから、前輪側の配分トルクが大きいトルク
配分比(多板クラッチ15の開放時)から後輪側の配分
トルクが大きい逆のトルク配分比(多板クラッチ15の
連結時)まで極めて広い範囲でトルク配分比を調整する
ことができる。
【0080】従って、多板クラッチ15を開放しておけ
ば、前輪側の配分トルクが大きいトルク配分比によって
優れた直進性(安定性)が得られ、旋回走行時などでア
ンダ−ステアが現れたときは、多板クラッチ15を連結
すれば、前輪が後輪より高速で回転し、矢印47のよう
に、前輪側から後輪側にトルクが流れて後輪側の配分ト
ルクが大きくなり、ステアリング特性がオ−バ−ステア
側に移行して操縦性が改善される。
【0081】更に、多板クラッチ15を適度に滑らせれ
ば後輪に配分されるトルクの大きさを制御できるから、
ステアリング特性を車両の走行条件に応じてアンダ−ス
テア状態とオ−バ−ステア状態の間で調整し、操縦性や
安定性などを最も効果的に向上させることができる。
【0082】又、第1チェ−ン伝動機構11の変速比を
調整することによって前輪への配分トルクを変えること
が可能であり、走行性や操縦性のようにセンタ−デフ5
固有のトルク配分特性によって決まる車両の基本的なス
テアリング特性を調整することも可能である。
【0083】又、多板クラッチ15が開放されていて
も、センタ−デフ5によって前輪側に後輪側より大きい
トルクが配分されるから、旋回走行時のように、タイト
コ−ナ−ブレ−キング現象が発生し易い条件下でも、前
輪が後輪によって制動されることはない。
【0084】このように、従来例と異なって、エンジン
の駆動トルクと反対向きの制動トルクが前輪に掛からな
いから、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が防止され、
車体の挙動が安定する。
【0085】又、チェ−ン伝動機構11、13を用いて
センタ−デフ5側と前輪側出力軸7とを連結した構成
は、ハイボチェ−ン31、37の長さ調整によって各ス
プロケット27、29,33、35の軸間距離(センタ
−デフ5と出力軸7の軸間距離)を容易に変えることが
できる。
【0086】従って、トランスファ1は車両のフロアや
フレ−ムによって配置箇所や大きさや形状などに与えら
れる規制に対して高い順応性を持ち、こうして得た大き
な設計自由度によって、1機種で異なった車種に広く適
用可能であり、極めて低コストに実施できる。
【0087】又、センタ−デフ5をプラネタリ−ギヤ式
の差動機構にしたことによって、トランスファ1はコン
パクトに構成されている。
【0088】次に、図2により本発明の第2実施形態を
説明する。第2実施形態は請求項1、2、3、4、6の
特徴を備えている。図2はこの実施形態の縦置きトラン
スファ49を示しており、図2の上方はトランスファ4
9が用いられた四輪駆動車の前方に相当する。又、符号
が与えられていない部材等は図示されていない。
【0089】なお、第2実施形態の説明と図2におい
て、第1実施形態と同機能の部材には同一の符号を与え
て引用し、これら同機能部材の重複説明は省く。
【0090】図2のように、トランスファ49は、入力
軸3、センタ−デフ5、前輪側出力軸7、後輪側出力軸
9、第1のチェ−ン伝動機構51、第2のチェ−ン伝動
機構53、多板クラッチ15、油圧アクチュエ−タ17
などを備えている。
【0091】第1のチェ−ン伝動機構51は駆動側スプ
ロケット55及び従動側スプロケット57とこれらを連
結するハイボチェ−ン59とから構成され、第2のチェ
−ン伝動機構53は駆動側スプロケット61及び従動側
スプロケット63とこれらを連結するハイボチェ−ン6
5とから構成されている。
【0092】入力軸3はピニオンキャリヤ23に連結さ
れ、後輪側出力軸9はインタ−ナルギヤ19に連結され
ている。第1チェ−ン伝動機構51の駆動側スプロケッ
ト55はサンギヤ25に連結され、従動側スプロケット
57は前輪側出力軸7に固定されている。又、第2チェ
−ン伝動機構53の駆動側スプロケット61は後輪側出
力軸9に固定され、従動側スプロケット63は前輪側出
力軸7と同軸に配置されている。
【0093】多板クラッチ15のクラッチハウジング3
9は前輪側出力軸7に固定されており、クラッチハブ4
1は前輪側出力軸7と相対回転自在に配置され、第2チ
ェ−ン伝動機構53の従動側スプロケット63に連結さ
れている。
【0094】このように、前輪側のトルク伝達経路は、
第1チェ−ン伝動機構51を経由する第1の伝達経路
と、第2チェ−ン伝動機構53と多板クラッチ15とを
経由する第2の伝達経路との2系統が設けられている。
【0095】多板クラッチ15によって第2伝達経路を
開放すると、第1伝達経路を介して前輪側に駆動力が伝
達され、多板クラッチ15を連結すると第1と第2の伝
達経路を介して前輪側に駆動力が伝達され、又、第1と
第2の伝達経路を介して前輪側と後輪側との間でトルク
が移動する。
【0096】又、センタ−デフ5は、前輪側をサンギヤ
25に連結し後輪側をインタ−ナルギヤ19に連結した
から、多板クラッチ15が開放され第1の伝達経路だけ
が駆動力を伝達する状態では、前後輪のトルク配分比
は、前輪側より大きいトルクが後輪側に伝達されるトル
ク配分比になっている。
【0097】更に、第1チェ−ン伝動機構51の各スプ
ロケット55、57の歯数比(変速比)と、第2チェ−
ン伝動機構53の各スプロケット61、63の歯数比
(変速比)は、多板クラッチ15が連結され第1と第2
の各伝達経路を介して駆動力が伝達される状態で、後輪
側が前輪側より高速回転するように調整されている。
【0098】こうして、縦置きトランスファ49が構成
されている。
【0099】上記のように、後輪の配分トルクが前輪よ
り大きいと、直進走行時と旋回走行時共に優れた操縦性
が得られ、前輪の配分トルクを大きくすると、直進性安
定性が向上する。
【0100】トランスファ49では、各チェ−ン伝動機
構51、53の変速比を、後輪の配分トルクが前輪より
大きい基本的なトルク配分比と逆のトルク配分比になる
ように調整したから、後輪側の配分トルクが大きいトル
ク配分比(多板クラッチ15の開放時)から前輪側の配
分トルクが大きい逆のトルク配分比(多板クラッチ15
の連結時)まで極めて広い範囲でトルク配分比を調整す
ることができる。
【0101】従って、多板クラッチ15を開放しておけ
ば、後輪側に大きなトルクが配分されるトルク配分比に
よって優れた操縦性が得られ、旋回走行時などでオ−バ
−ステアが現れたときは、多板クラッチ15を連結すれ
ば、後輪が前輪より高速で回転し、矢印67のように、
後輪側から前輪側にトルクが流れて前輪側の配分トルク
が大きくなり、ステアリング特性がアンダ−ステア側に
移行して安定性が向上する。
【0102】更に、多板クラッチ15を滑らせて前輪側
の配分トルクを制御し、ステアリング特性を車両の走行
条件に応じてアンダ−ステアとオ−バ−ステアの間で調
整すれば、操縦性や安定性などを最も効果的に向上させ
ることができる。
【0103】又、第1チェ−ン伝動機構51の変速比を
調整すれば、前輪への配分トルクを変えることが可能で
あり、走行性や操縦性のようにセンタ−デフ5固有のト
ルク配分特性によって決まる車両の基本的なステアリン
グ特性を調整することも可能である。
【0104】又、センタ−デフ5によって後輪側に前輪
側より大きいトルクが配分される構成でも、旋回走行時
のように、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が発生し易
い場合は、多板クラッチ15を連結すれば、チェ−ン伝
動機構53と多板クラッチ15とを介して前輪側にトル
クが送られるから、前輪が後輪によって制動されること
はない。
【0105】従って、従来例と異なり、エンジンの駆動
トルクと反対向きの制動トルクが前輪に掛からず、タイ
トコ−ナ−ブレ−キング現象が防止されるから、車体の
挙動が安定する。
【0106】又、チェ−ン伝動機構51、53を用いた
構成は、ハイボチェ−ン59、65の長さ調整によって
各スプロケット55、57,61、53の軸間距離(セ
ンタ−デフ5と出力軸7の軸間距離)を容易に変えるこ
とができる。
【0107】従って、トランスファ49は車両のフロア
やフレ−ムによって配置箇所や大きさや形状などに与え
られる規制に対して高い順応性を持ち、こうして得た大
きな設計自由度によって、1機種で異なった車種に広く
適用可能であり、極めて低コストに実施できる。
【0108】又、センタ−デフ5をプラネタリ−ギヤ式
の差動機構にしたことによって、トランスファ49はコ
ンパクトに構成されている。
【0109】次に、図3により本発明の第3実施形態を
説明する。第3実施形態は請求項1、2、7、8、9の
特徴を備えている。図3はこの実施形態の縦置きトラン
スファ69を示しており、図3の上方はトランスファ6
9が用いられた四輪駆動車の前方に相当する。又、符号
が与えられていない部材等は図示されていない。
【0110】なお、第3実施形態の説明と図3におい
て、第1、2実施形態と同機能の部材には同一の符号を
与えて引用し、これら同機能部材の重複説明は省く。
【0111】図3のように、トランスファ69は、入力
軸3、センタ−デフ71、前輪側出力軸7、後輪側出力
軸9、第1のチェ−ン伝動機構73、第2のチェ−ン伝
動機構75、多板クラッチ15、油圧アクチュエ−タ1
7などを備えている。これらはオイル溜りが設けられた
トランスファケ−スの内部に配置されている。
【0112】センタ−デフ71はベベルギヤ式の差動機
構であり、デフケ−ス77、デフケ−ス77に固定され
たピニオンシャフト79、ピニオンシャフト79上に回
転自在に支承されたピニオンギヤ81、前輪側サイドギ
ヤ83、後輪側サイドギヤ85などから構成されてい
る。
【0113】各サイドギヤ83、85の歯数は等しく、
従って、センタ−デフ71は前輪と後輪に等しいトルク
を配分する等トルク配分型である。
【0114】第1のチェ−ン伝動機構73は駆動側スプ
ロケット87及び従動側スプロケット89とこれらを連
結するハイボチェ−ン91とから構成され、第2のチェ
−ン伝動機構75は駆動側スプロケット93及び従動側
スプロケット95とこれらを連結するハイボチェ−ン9
7とから構成されている。
【0115】入力軸3はピニオンシャフト79に連結さ
れており、更に、トランスミッションの出力側に連結さ
れ、エンジンの駆動力によって回転駆動される。
【0116】前輪側出力軸7はセンタ−デフ71と平行
に配置されている。又、第1チェ−ン伝動機構73の従
動側スプロケット89は前輪側出力軸7に固定されてお
り、駆動側スプロケット87は前輪側のサイドギヤ83
に連結されている。
【0117】後輪側出力軸9はセンタ−デフ71と同軸
に配置され、後輪側のサイドギヤ85に連結されてい
る。又、第2チェ−ン伝動機構75の駆動側スプロケッ
ト93はデフケ−ス77に連結されており、従動側スプ
ロケット95は前輪側出力軸7と同軸に配置されてい
る。
【0118】多板クラッチ15のクラッチハウジング3
9は前輪側出力軸7に固定されており、クラッチハブ4
1は前輪側出力軸7と相対回転自在に配置され、第2チ
ェ−ン伝動機構75の従動側スプロケット95に連結さ
れている。
【0119】このように、前輪側のトルク伝達経路は、
第1チェ−ン伝動機構73を経由する第1の伝達経路
と、第2チェ−ン伝動機構75と多板クラッチ15とを
経由する第2の伝達経路との2系統が設けられている。
【0120】多板クラッチ15によって第2伝達経路を
開放すると、第1伝達経路を介して前輪側に駆動力が伝
達され、多板クラッチ15を連結すると第1と第2の伝
達経路を介して前輪側に駆動力が伝達され、又、第1と
第2の伝達経路を介して前輪側と後輪側との間でトルク
が移動する。
【0121】上記のように、前輪側と後輪側の各サイド
ギヤ83、85の歯数が等しいから、トランスファ69
は、多板クラッチ15が開放され第1の伝達経路だけが
駆動力を伝達する状態では、前後輪に等しいトルクが伝
達されるトルク配分比になっている。
【0122】又、第1チェ−ン伝動機構73の各スプロ
ケット87、89の歯数比(変速比)と、第2チェ−ン
伝動機構75の各スプロケット93、95の歯数比(変
速比)は、多板クラッチ15が連結され第1と第2の各
伝達経路を介して駆動力が伝達される状態で、前輪側が
後輪側より高速回転し、矢印99のように、後輪側への
配分トルクが増加するように調整されている。
【0123】こうして、縦置きトランスファ69が構成
されている。
【0124】トランスファ69は、上記のように、等ト
ルク配分型のセンタ−デフ71を用いたことによって前
輪と後輪に均等なトルクが配分されるから、車両には基
本的に直進安定性と操縦性のいずれにも偏らない中庸の
ステアリング特性が与えられている。更に、各チェ−ン
伝動機構73、75の変速比を、前輪側から後輪側にト
ルクが流れるように調整してある。
【0125】従って、多板クラッチ15を開放しておけ
ば、前後輪への等しいトルク配分比によって適度な操縦
性と直進性(安定性)とが得られ、旋回走行時などでア
ンダ−ステアが現れたときは、多板クラッチ15を連結
すれば、後輪側への配分トルクが大きくなり、ステアリ
ング特性がオ−バ−ステア側に移行して操縦性が改善さ
れる。
【0126】更に、多板クラッチ15を適度に滑らせて
後輪側への配分トルクを制御し、ステアリング特性を車
両の走行条件に応じてアンダ−ステアとオ−バ−ステア
の間で調整すれば、操縦性や安定性などを最も効果的に
向上させることができる。
【0127】又、第1チェ−ン伝動機構73の変速比を
調整すれば、前輪への配分トルクを変えることが可能で
あり、走行性や操縦性のようにセンタ−デフ71固有の
トルク配分特性によって決まる車両の基本的なステアリ
ング特性を調整することも可能である。
【0128】又、旋回走行時のように、タイトコ−ナ−
ブレ−キング現象が発生し易い条件下でも、多板クラッ
チ15を連結すれば、上記のように、前輪側は後輪側よ
り高速で駆動されるから、従来例と異なって、前輪が後
輪によって制動されることがない。
【0129】従って、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象
が防止され、車体の挙動が安定する。
【0130】又、チェ−ン伝動機構73、75を用いた
構成は、ハイボチェ−ン91、97の長さ調整によって
各スプロケット87、89,93、95の軸間距離(セ
ンタ−デフ71と出力軸7の軸間距離)を容易に変える
ことができる。
【0131】従って、トランスファ69は車両のフロア
やフレ−ムによって配置箇所や大きさや形状などに与え
られる規制に対して高い順応性を持ち、こうして得た大
きな設計自由度によって、1機種で異なった車種に広く
適用可能であり、極めて低コストに実施できる。
【0132】又、等トルク配分型のセンタ−デフ71を
用いたことによって車両に中庸のステアリング特性を与
えることができる上に、等トルク配分型のセンタ−デフ
71を用いても、上記のように、不等トルク配分型のセ
ンタ−デフを用いた場合と同様に、前後輪間のトルク配
分比を広い範囲で調整することができて有利である。
【0133】これに加えて、等トルク配分型のセンタ−
デフ71では、前輪と後輪への各配分トルクの倍のトル
クがデフケ−ス77に掛かるから、第2のチェ−ン伝動
機構75をデフケ−ス77に連結したことによって、前
後輪間のトルク配分比がそれだけ大きくなっている。
【0134】又、このトルク配分比を小さく抑えれば、
各チェ−ン伝動機構73、75の変速比をそれだけ小さ
くすることが可能になるから、各スプロケット87、8
9,93、95を小径にし、トランスファ69を小型に
することができる。
【0135】なお、センタ−デフにプラネタリ−ギヤ式
差動機構を用いた場合、第1及び第2実施形態と異なっ
て、例えば、インタ−ナルギヤをエンジン側に連結し、
ピニオンキャリヤとサンギヤの一方を前輪側に連結し、
他方を後輪側に連結してもよい。
【0136】又、不等トルク配分型のセンタ−デフは、
プラネタリ−ギヤ式の差動機構に限らず、例えば、互い
に歯数の異なるサイドギヤを用いたベベルギヤ式の差動
機構でもよい。
【0137】又、摩擦クラッチは、多板クラッチに限ら
ず、例えば、円錐クラッチでもよい。
【0138】
【発明の効果】請求項1の縦置きトランスファでは、第
1のチェ−ン伝動機構を経由する第1伝達経路と、第2
のチェ−ン伝動機構と摩擦クラッチとを経由する第2伝
達経路との2通りの前輪側トルク伝達経路を設けると共
に、前輪と後輪とのトルク配分比が所定値になるように
各チェ−ン伝動機構の変速比を調整したことにより、セ
ンタ−デフ固有のトルク配分比に制約されずに、前後輪
のトルク配分比を極めて広い範囲で調整することが可能
になり、更に、摩擦クラッチを適度に滑らせることによ
って車両のステアリング特性をアンダ−ステアとオ−バ
−ステアの間で自在に調整し、車両の操縦性や安定性な
どを充分に向上させることができる。
【0139】又、旋回走行時でも、エンジンの駆動トル
クと反対向きの制動トルクが前輪に掛からないから、タ
イトコ−ナ−ブレ−キング現象が防止され、車体の挙動
が安定する。
【0140】又、チェ−ンの長さ調整によって駆動側ス
プロケットと従動側スプロケットの軸間距離を容易に変
えることができるから、この発明の縦置きトランスファ
は車両のフロアやフレ−ムによる規制に対して高い順応
性を示し、こうして得られた大きな設計自由度により、
1機種で異なった車種に広く適用可能になり、極めて低
コストに実施できる。
【0141】請求項2の発明は、請求項1の構成と同等
の効果を得る。
【0142】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
の構成と同等の効果を得ると共に、各チェ−ン伝動機構
の変速比を、不等トルク配分型センタ−デフと逆のトル
ク配分比になるように調整することによって、トルク配
分比をセンタ−デフのトルク配分比から逆のトルク配分
比まで極めて広い範囲で調整することが可能になり、車
両の操縦性や安定性などを充分に向上させることができ
る。
【0143】請求項4の発明は、請求項3の構成と同等
の効果を得ると共に、センタ−デフにプラネタリ−ギヤ
式差動機構を用いたことによって縦置きトランスファが
コンパクトに構成される。
【0144】請求項5の発明は、請求項4の構成と同等
の効果を得ると共に、プラネタリ−ギヤ式差動機構のイ
ンタ−ナルギヤを前輪側に連結しサンギヤを後輪側に連
結したから、摩擦クラッチを開放すれば優れた直進性
(安定性)が得られ、旋回走行時などでアンダ−ステア
が現れたときは、摩擦クラッチを連結すればステアリン
グ特性がオ−バ−ステア側に移行して操縦性が向上する
と共に、摩擦クラッチの滑りによってステアリング特性
を調整可能であり、車両の操縦性や安定性などを充分に
向上させることができる。
【0145】又、センタ−デフによって前輪側に後輪側
より大きいトルクが配分され、旋回走行時でも、エンジ
ンの駆動トルクと反対向きの制動トルクが前輪に掛から
ないから、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が防止さ
れ、車体の挙動が安定する。
【0146】請求項6の発明は、請求項4の構成と同等
の効果を得ると共に、プラネタリ−ギヤ式差動機構のサ
ンギヤを前輪側に連結しインタ−ナルギヤを後輪側に連
結したから、摩擦クラッチを開放すれば優れた操縦性が
得られ、旋回走行時などでオ−バ−ステアが現れたとき
は、摩擦クラッチを連結すればステアリング特性がアン
ダ−ステア側に移行して安定性が向上すると共に、摩擦
クラッチの滑りによってステアリング特性を調整可能で
あり、車両の操縦性や安定性などを充分に向上させるこ
とができる。
【0147】又、旋回走行時のように、タイトコ−ナ−
ブレ−キング現象が発生し易い条件下でも、前輪側にト
ルクを送れば、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が防止
され、車体の挙動が安定する。
【0148】請求項7の発明は、請求項1又は請求項2
の構成と同等の効果を得ると共に、等トルク配分型のセ
ンタ−デフを用いたことによって、直進安定性と操縦性
のいずれにも偏らない中庸のステアリング特性を車両に
与えることができると共に、各チェ−ン伝動機構の変速
比を、後輪に大きなトルクが配分されるように調整すれ
ば車両の操縦性が向上し、前輪に大きなトルクが配分さ
れるように調整すれば直進性(安定性)が向上する。こ
のように、車両のステアリング特性を選択できる。
【0149】又、摩擦クラッチを適度に滑らせることに
よって車両のステアリング特性をアンダ−ステアとオ−
バ−ステアの間で自在に調整し、車両の操縦性や安定性
などを充分に向上させることができる。
【0150】又、等トルク配分型のセンタ−デフを用い
ても、不等トルク配分型のセンタ−デフを用いた場合と
同様に、前後輪間のトルク配分比を広い範囲で調整する
ことが可能である。
【0151】又、旋回走行時でも、前輪側にトルクを送
れば、タイトコ−ナ−ブレ−キング現象が防止され、車
体の挙動が安定する。
【0152】請求項8の発明は、前輪側と後輪側の各サ
イドギヤの歯数を等しくした等トルク配分型のベベルギ
ヤ式差動機構をセンタ−デフに用いて請求項7の構成と
同等の効果を得る。
【0153】請求項9の発明は、請求項7又は請求項8
の構成と同等の効果を得ると共に、前輪と後輪への各配
分トルクの倍のトルクが掛かるデフケ−スに第2のチェ
−ン伝動機構を連結したことにより、前後輪間のトルク
配分比をそれだけ大きくすることが可能である。
【0154】又、このトルク配分比を小さく抑えれば、
各チェ−ン伝動機構の変速比をそれだけ小さくすること
が可能になり、スプロケットを小径にし、縦置きトラン
スファを小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すスケルトン機構図
である。
【図2】本発明の第2実施形態を示すスケルトン機構図
である。
【図3】本発明の第3実施形態を示すスケルトン機構図
である。
【図4】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1、49、69 縦置きトランスファ 5 センタ−デフ(プラネタリ−ギヤ式差動機構:不等
トルク配分型) 7 前輪側出力軸(前輪側出力部材) 9 後輪側出力軸(後輪側出力部材) 11、51、73 第1のチェ−ン伝動機構 13、53、75 第2のチェ−ン伝動機構 15 多板クラッチ(摩擦クラッチ) 17 油圧アクチュエ−タ(アクチュエ−タ) 19 インタ−ナルギヤ 23 ピニオンキャリヤ 25 サンギヤ 29、35、57、63、89、95 従動側スプロケ
ット 71 センタ−デフ(ベベルギヤ式差動機構:等トルク
配分型) 77 ベベルギヤ式差動機構のデフケ−ス 83、85 歯数の等しいサイドギヤ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動力を前輪側と後輪側とに
    分配すると共に、回転中心が車両の進行方向に配置され
    たセンタ−デフと、前輪の配分トルクを前輪側出力部材
    に伝達する第1のチェ−ン伝動機構と、後輪の配分トル
    クを後輪側に伝達する後輪側出力部材と、後輪側出力部
    材又はデフケ−スに連結された第2のチェ−ン伝動機構
    と、各チェ−ン伝動機構の従動側スプロケットを連結す
    る摩擦クラッチと、この摩擦クラッチを締結するアクチ
    ュエ−タとを備え、前輪と後輪とのトルク配分比が所定
    値になるように、センタ−デフのトルク配分比に応じ
    て、前記各チェ−ン伝動機構の変速比を調整したことを
    特徴とする縦置きトランスファ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、前輪側出
    力部材がセンタ−デフと平行に配置され、後輪側出力部
    材がセンタ−デフと同軸に配置されると共に、各チェ−
    ン伝動機構の従動側スプロケットと摩擦クラッチとが前
    輪側出力部材と同軸に配置されたことを特徴とする縦置
    きトランスファ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、センタ−デフが、前輪と後輪とに不均等なトルクを
    配分する不等トルク配分型であることを特徴とする縦置
    きトランスファ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発明であって、センタ−
    デフが、プラネタリ−ギヤ式の差動機構であることを特
    徴とする縦置きトランスファ。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の発明であって、プラネタ
    リ−ギヤ式差動機構のピニオンキャリヤをエンジン側
    に、インタ−ナルギヤを前輪側に、サンギヤを後輪側に
    それぞれ連結したことを特徴とする縦置きトランスフ
    ァ。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の発明であって、プラネタ
    リ−ギヤ式差動機構のピニオンキャリヤをエンジン側
    に、サンギヤを前輪側に、インタ−ナルギヤを後輪側に
    それぞれ連結したことを特徴とする縦置きトランスフ
    ァ。
  7. 【請求項7】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、センタ−デフが、前輪と後輪とに均等なトルクを配
    分する等トルク配分型であることを特徴とする縦置きト
    ランスファ。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の発明であって、センタ−
    デフが、前輪側サイドギヤと後輪側サイドギヤの歯数が
    等しいベベルギヤ式の差動機構であることを特徴とする
    縦置きトランスファ。
  9. 【請求項9】 請求項7又は請求項8記載の発明であっ
    て、第2のチェ−ン伝動機構がデフケ−スに連結された
    ことを特徴とする縦置きトランスファ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108411379A (zh) * 2018-05-20 2018-08-17 咸宁职业技术学院 一种苎麻纤维加工机的多向输出传动箱

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