JPH10235788A - 耐薬品性に優れた塗装金属板 - Google Patents

耐薬品性に優れた塗装金属板

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JPH10235788A
JPH10235788A JP3782097A JP3782097A JPH10235788A JP H10235788 A JPH10235788 A JP H10235788A JP 3782097 A JP3782097 A JP 3782097A JP 3782097 A JP3782097 A JP 3782097A JP H10235788 A JPH10235788 A JP H10235788A
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JP
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resin
coating
film layer
layer
film
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JP3782097A
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English (en)
Inventor
Katsuji Kawanishi
勝次 川西
Akito Sakota
章人 迫田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硝酸水溶液に曝されても変色やブリスターの
発生のない高度の耐薬品性を備え、トンネル内装板に適
した塗装金属板を提供する。 【解決手段】 化成処理した金属板の表面に、下塗り皮
膜層、中塗り皮膜層、および上塗り皮膜層からなる合計
膜厚36μm以上の樹脂塗膜を有し、下塗り皮膜層がエポ
キシ系樹脂皮膜であり、中塗り皮膜層が、主剤としてガ
ラス転移温度70〜110 ℃のアクリル樹脂を50〜99wt%、
ブロックイソシアネート化合物を1〜55wt%含有する塗
料から形成され、上塗り皮膜層が、主剤として活性水素
を有する有機樹脂 (例、シロキサン樹脂) 50〜99wt%、
架橋剤としてブロックイソシアネート化合物を1〜55wt
%含有する塗料から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル内装板、
家屋やビルの外壁材、レンジフードの壁板、流し台の壁
板など、自動車の排気ガスや酸性雨あるいは薬品等にさ
らされる厳しい環境で使用される塗装金属板 (プレコー
トメタル) に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル内装板やビルの外壁等には従来
よりタイルやホーロー等の窯業系材料が使用されてきた
が、施工のし易さやコスト的に安価であることから、塗
装金属板を適用するケースが増えつつある。しかし、ト
ンネル内では自動車の排気ガスに含まれるNOx やSO
x により硫酸や硝酸が大量に発生して、トンネル内で濃
縮する。このような厳しい腐食性環境では、従来の塗装
金属板では、塗装面が変色し、時にはブリスター (塗膜
ふくれ) が発生することが問題となっていた。
【0003】特開平7−313929号公報には、線状ポリエ
ステルまたはエポキシ変性ポリエステル樹脂系の下塗り
塗膜層3〜15μmと、アクリルポリマーとシロキサンポ
リマーと架橋剤としてブロックイソシアネートおよび/
またはメラミン樹脂とを含有する塗料から形成された上
塗り塗膜層8〜20μm (従って、合計塗膜厚は11〜35μ
m) とからなる樹脂塗膜を持つ塗装金属板が開示されて
いる。
【0004】この塗装金属板は、その実施例に示される
ように、メタノール、水酸化ナトリウム水溶液、および
硫酸水溶液による耐薬品性試験においてブリスターや変
色を生じないといった耐薬品性を示す。しかし、非酸化
性の硫酸より腐食性の強い酸化性の硝酸水溶液に対する
耐薬品性は試験されていない。トンネル内ではNOx
由来する硝酸が大量に発生するため、上記公報に開示さ
れている塗装金属板ではトンネル内といった厳しい腐食
性環境には耐えられないと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、硫酸
のみならず硝酸の水溶液に曝されても変色やブリスター
の発生のない高度の耐薬品性を備え、トンネル内といっ
た厳しい腐食性環境下でも使用できる塗装金属板を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板の少な
くとも片面に、化成処理が施された上に、下塗り皮膜
層、中塗り皮膜層、および上塗り皮膜層からなる合計膜
厚36μm以上の樹脂塗膜を有し、下塗り皮膜層がエポキ
シ系樹脂皮膜であり、中塗り皮膜層と上塗り皮膜層がい
ずれも、樹脂成分中に架橋剤としてブロックイソシアネ
ート化合物を1〜50wt%含有する塗料から形成されたこ
とを特徴とする、耐薬品性に優れた塗装金属板である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の塗装金属板は、母材金属
板の少なくとも片面において、下地の化成処理層の上
に、下塗り皮膜層、中塗り皮膜層、上塗り皮膜層という
3層構造で、合計膜厚が36μm以上の樹脂塗膜を有す
る。樹脂塗膜の合計膜厚を36μm以上とすることによ
り、硫酸や硝酸が大量に発生する厳しい腐食性環境にな
るトンネル内においても、塗膜の変色やブリスターを防
止することが可能となる。樹脂塗膜の合計膜厚が36μm
より小さいと、硝酸に曝された場合に、金属板表面に腐
食が生じやすくなり、ブリスターが発生する。
【0008】樹脂塗膜の合計膜厚は望ましくは36〜50μ
mである。50μmより厚くしてもよいが、性能はそれ以
上向上せず、コスト高になる。膜厚が36μm以上の樹脂
塗膜をロールコーター等により連続生産で効率よく作製
するには、塗装の仕上がり外観や焼付時のワキ等から一
度には厚く塗装することができないために、3層以上の
多層皮膜化することが必要となる。そのため、本発明
は、上記のように下塗り皮膜層、中塗り皮膜層、上塗り
皮膜層という3層構造の樹脂塗膜とする。いずれかの樹
脂皮膜層、例えば中塗り皮膜層を2層以上にして、樹脂
塗膜を4層以上にすることもできる。しかし、3層構造
の樹脂塗膜で本発明に必要な耐薬品性を十分に確保する
ことができるので、工程数を増やさないように3層構造
の樹脂塗膜で十分である。
【0009】下塗り皮膜層 (プライマー層) は、エポキ
シ系樹脂皮膜 (即ち、エポキシ樹脂を主成分とする樹脂
塗料から形成された皮膜) とする。エポキシ樹脂は、架
橋密度が高く、緻密な樹脂皮膜を形成できるので、硝酸
や硫酸に曝された時に損傷を受けにくく、塗装金属板の
ブリスター防止に有効である。代わりにポリエステル
系、アクリル系などの他の下塗り塗料 (プライマー) を
使用すると、耐薬品性が低下する。
【0010】エポキシ樹脂は、通常のビスフェノールA
型エポキシ樹脂でよいが、他のエポキシ樹脂も使用でき
る。また、エポキシアクリレート樹脂といったエポキシ
変性樹脂もエポキシ樹脂として使用できる。エポキシ系
下塗り塗料は、エポキシ樹脂と硬化剤、さらには必要に
応じて溶媒、硬化促進剤などの添加剤を含有する。下塗
り塗料に用いるエポキシ硬化剤としてはメラミン樹脂が
好ましい。下塗り皮膜層の膜厚は通常は5〜15μm程度
である。
【0011】中塗り皮膜層と上塗り皮膜層は、いずれ
も、樹脂成分中に架橋剤としてブロックイソシアネート
化合物を1〜50wt%含有する熱硬化性性樹脂塗料から形
成する。ブロックイソシアネート化合物により架橋させ
た樹脂皮膜は、架橋反応で生成したウレタン結合が硝酸
や硫酸に対して非常に強いため、塗膜のブリスターや変
色の防止に有効である。
【0012】中塗りと上塗りのいずれの皮膜層でも、樹
脂成分中のブロックイソシアネート化合物の割合が1wt
%より少ないと、ウレタン結合による架橋が少なく、塗
膜の耐薬品性が不十分となる。一方、樹脂成分中のブロ
ックイソシアネート化合物の割合が50wt%を超えても、
膜特性のそれ以上の向上はなく、コスト高になるだけで
ある。樹脂成分中のブロックイソシアネート化合物の割
合は望ましくは10〜25wt%である。
【0013】中塗り皮膜および上塗り皮膜において架橋
剤として使用するブロックイソシアネート化合物の種類
は特に限定されない。基本の(ブロックする前の)イソ
シアネート化合物としては、トリレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート等の2以上のイソシアネート基
を有する芳香族ポリイソシアネート、これらのポリイソ
シアネート中に含まれる芳香環の一部または全部を水素
化した脂肪族ポリイソシアネートが例示されるが、これ
ら以外のポリイソシアネート化合物も使用できる。
【0014】ブロックイソシアネート化合物においてイ
ソシアネート基のブロックに用いるブロック剤の種類も
特に限定されず、フェノール、マロン酸ジエステル、ア
セト酢酸エチル、アセチルアセトン、ε−カプロラクタ
ム、メチルエチルケトンオキシム等、従来より使用され
てきた任意のものでよい。塗膜の焼付け温度でブロック
剤が解離するように適当なブロック剤を選択すればよ
い。
【0015】ブロックイソシアネート化合物は、そのま
ま(単量体)では、揮発性が高く、毒性が強くなる場合
があるので、周知のように、プレポリマー、トリメチロ
ールプロパン等によるアダクト体、イソシアヌレート
体、及びビウレット体等の樹脂化形態で使用してもよ
い。本発明で用いるブロックイソシアネート化合物と
は、このような樹脂化形態のものも包含する意味であ
る。
【0016】中塗り皮膜層の主剤樹脂は、焼付け時にブ
ロックイソシアネートから遊離したイソシアネート基と
反応しうる活性水素を持つ任意の有機樹脂でよく、例え
ば、上塗り皮膜層について列挙した各種の樹脂を適用す
ることができる。
【0017】しかし、比較的硬いエポキシ系の下塗り皮
膜層との適合性やその他の性能バランスを考慮すると、
中塗り皮膜層は、樹脂成分中に主剤樹脂としてガラス転
移温度70〜110 ℃のアクリル系樹脂を50〜99wt%含む塗
料から形成した樹脂皮膜であることが望ましい。この塗
料の樹脂成分の残りは、その全量が架橋剤であるブロッ
クイソシアネートであってもよく、或いは別の樹脂をさ
らに含有していてもよい。アクリル系樹脂は、アルキル
アクリレートおよび/またはメタクリレートを主成分と
し、他のアクリル系化合物 (例、アクリル酸) やビニル
モノマーを含有していてもよいモノマー混合物をラジカ
ル重合させることにより調製できる。
【0018】中塗り皮膜層において、アクリル系樹脂の
ガラス転移温度が70℃未満であると、最終的に得られる
3層構造の塗膜の硬度が低下する傾向があり、ガラス転
移温度が110 ℃を超えると塗膜の可撓性が低下する傾向
がある。樹脂成分中のアクリル系樹脂の割合が50wt%未
満であると塗膜の硬度がやや低下し、99wt%を越えると
架橋剤のブロックイソシアネート化合物の割合が1wt%
未満になるため、塗膜の耐薬品性が低下する上、塗膜の
可撓性もやや低下する。
【0019】中塗り塗料は、上記主剤樹脂とブロックイ
ソシアネート化合物とを含む樹脂成分と溶媒以外に、塗
料に一般に添加される各種の添加剤から選んだ1種もし
くは2種以上を含有していてもよい。この塗料は、樹脂
成分を有機溶媒に溶解させた有機系塗料でも、或いは樹
脂成分を水に分散させたエマルジョン型の水系塗料でも
よい。中塗り塗料は通常は顔料を含有するが、顔料を含
有しないクリアー塗料であってもよい。中塗り皮膜層の
膜厚は、樹脂塗膜の合計膜厚が36μm以上になるよう
に、下塗り皮膜層および上塗り皮膜層の膜厚に応じて決
定すればよいが、通常は10〜30μmの範囲内が望まし
い。
【0020】上塗り皮膜層の主剤樹脂は、焼付け時にブ
ロックイソシアネートから遊離したイソシアネート基と
反応しうる活性水素を持つ任意の有機樹脂でよい。この
ような樹脂の例としては、ポリエステル系樹脂、エポキ
シ系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、シリコ
ーン系樹脂、シリコンポリエステル系樹脂等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0021】この主剤樹脂は、上塗り塗料の樹脂成分中
に50〜99wt%の割合で存在させ、樹脂成分の残りはブロ
ックイソシアネート化合物だけでも、さらに他の樹脂を
含んでいてもよい。活性水素を持つ有機樹脂の樹脂成分
中の割合が50wt%未満であると塗膜の硬度がやや低下
し、99wt%を越えると架橋剤のブロックイソシアネート
化合物の割合が1wt%未満になるため、塗膜の耐薬品性
が低下する上、塗膜の可撓性もやや低下する。
【0022】上塗り塗料も有機系塗料と水系塗料のいず
れでもよい。上塗り塗料は、活性水素を持つ有機樹脂と
ブロックイソシアネート化合物とを含む樹脂成分と溶媒
以外に、塗装金属板に所定の色調を付与するように顔料
を含有するのが普通である。この場合の上塗り皮膜層の
膜厚は通常は5〜15μm程度である。但し、中塗り皮膜
層が顔料を含有し、かつ膜厚が比較的厚い場合には、上
塗り皮膜層を比較的薄いクリアー皮膜層とすることもで
きる。本発明の塗装金属板をトンネル内装板用に使用す
る場合には、塗膜が白色ないし白色に近い淡色であるこ
とが、トンネル内の照明や自動車のライトの反射性が高
く、ドライバーの安全性確保の面から好ましい。
【0023】塗装母材である金属板の種類も特に限定さ
れず、鋼板、亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき
鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板等、
使用環境や許容されるコストに応じて適宜選択すればよ
い。トンネル内といった腐食性の強い環境に対しては、
ステンレス鋼板、特にフェライト系ステンレス鋼板が、
耐食性が高く、比較的安価であるので、最も適してい
る。
【0024】金属板と下塗り皮膜層の間には、塗膜密着
性を向上させるために、クロメート処理、りん酸亜鉛処
理等の化成処理を施す。クロメート処理とりん酸亜鉛処
理の両方を施すことも可能であるが、通常は一方だけで
十分である。処理方法や付着量は従来と同様でよい。
【0025】本発明の塗装金属板は、金属板に化成処理
を施した後、その上に、下塗り塗料の塗装、焼付けによ
る下塗り皮膜層の形成、中塗り塗料の塗装、焼付けによ
る中塗り皮膜層の形成、上塗り塗料の塗装、焼付けによ
る上塗り皮膜層の形成、という工程順で製造することが
できる。焼付けは、必ずしも各塗料の塗布ごとに実施す
る必要はなく、状況が許せば2層または3層をまとめて
焼付けすることもできる。焼付け温度は、下塗り皮膜層
では 180〜250 ℃の範囲内が好ましく、中塗りおよび上
塗り皮膜層では、ブロックイソシアネートの解離温度に
応じて設定すればよいが、通常は 200〜300 ℃の範囲内
であろう。
【0026】本発明の塗装金属板は、帯状の金属板に対
して連続的に化成処理および塗装を行うことにより製造
することが製造効率上は好ましいが、板状の金属板また
は所定形状に成形された後の金属板に対して化成処理と
塗装または塗装のみを実施することもできる。塗装は金
属板の外面側(腐食性環境に曝される側)のみに行うの
が普通であるが、金属板の両面とも本発明に従った塗膜
を有していてもよい。片面塗装の場合、反対側の面は、
母材金属板の耐食性に応じて、裸のままでも、適当な防
食処理(例、めっき、化成処理、および/もしくは本発
明とは異なる塗装、例えば、薄膜のサービスコート)を
施してもよい。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明は実施例により何ら限定されるものではな
い。以下の製造例および実施例において、部は特に指定
しない限り重量部である。
【0028】(製造例1)中塗り塗料用のアクリル系樹脂の製造 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロート及び窒素ガス
導入管を備えた4つ口フラスコに、窒素ガス気流下でソ
ルベッソNo.100を20部、n−ブタノールを10部仕込み、
攪拌下で加熱還流させながら2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート9.7部、メタクリル酸0.5 部、t−ブチルメ
タクリレート30.3部、イソボルニルメタクリレート13.5
部及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト1.0 部からなるモノマーおよび重合開始剤の混合物を
24時間かけて滴下ロートより等速滴下した。
【0029】滴下終了後、反応混合物を還流下で2時間
保持した後、ソルベッソNo.100を15部加えて冷却した
後、200 メッシュ金網にて濾過を行うことによって、加
熱残分55.0%、ガラス転移温度108 ℃、水酸基価78のア
クリル系樹脂溶液を得た。
【0030】中塗り塗料の製造 上記アクリル系樹脂溶液100 部をブチルセロソルブ20部
と混合し、次いで二酸化チタン50部を加えて均一に混合
した後、アトリションミルを用いて粒度10μm以下に分
散した。さらに、上記アクリル系樹脂溶液30部とブロッ
クイソシアネート化合物 (三井東圧化学製オレスターNP
1060PB、不揮発分44.7wt%) 40部とを加えて、粘度をフ
ォードカップNo.4で120 秒 (25℃) に調整して、中塗り
塗料を作製した。この塗料の樹脂成分中のブロックイソ
シアネート化合物の割合は20wt%であった。
【0031】(製造例2)上塗り塗料用シロキサン系樹脂の製造 メチルトリメトキシシラン2720g、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン 256g、脱イオン水1134
g、60%硫酸2g、ハイドロキノン1gの混合物を80℃
で5時間反応させて、ポリシロキサンオリゴマーを得
た。このオリゴマーは数平均分子量が2000であり、1分
子当たり4個の水酸基を有していた。
【0032】このオリゴマー300 gと、スチレン100
g、メチルメタクリレート100 g、n−ブチルアクリレ
ート500 g、アゾビスイソブチロニトリル20gからなる
単量体混合物とを、両者の合計量と同量のキシレン中に
120 ℃で滴下し、同温度に2時間加熱して重合させた。
得られたシロキサン系樹脂の数平均分子量は20,000であ
り、樹脂固形分は50%であった。
【0033】上塗り塗料の製造 上記シロキサン系樹脂60部を、アクリル系樹脂 (大日本
インキ化学製、アクリディックA-304) 40部およびブチ
ルセロソルブ30部と混合し、次いで二酸化チタン70部を
加えて均一に混合した後、アトリションミルを用いて粒
度10μm以下に分散した。この樹脂液中のシロキサン系
樹脂/アクリル系樹脂の割合は60/40であった。さら
に、ブロックイソシアネート化合物 (製造例1と同じも
の) を40部加え、粘度をフォードカップNo.4で80秒 (25
℃) に調整して、上塗り塗料を作製した。この塗料の樹
脂成分中のブロックイソシアネート化合物の割合は約20
wt%であった。
【0034】(実施例1〜10および比較例1〜6)塗装母
材には、表1に示す組成の0.8 mm厚さのフェライト系ス
テンレス鋼板を用いて、その片面にクロメート処理 (Cr
付着量30 mg/m2) を施した。
【0035】
【表1】
【0036】母材のクロメート処理した表面上にエポキ
シ樹脂系下塗り塗料 (日本油脂製、プレカラープライマ
ーP32)をバーコーターを用いて塗装した後、200 ℃×60
秒で焼付けし、製造例1で作製した中塗り塗料をバーコ
ーターを用いて塗装した後、250 ℃×80秒で焼付けし、
製造例2で作製した上塗り塗料をバーコーターを用いて
塗装した後、300 ℃×80秒で焼付けし、クロメート皮膜
上に3層構造の樹脂皮膜を有する塗装ステンレス鋼板を
得た。各樹脂皮膜層の膜厚は表2に示す通りであった。
【0037】比較のために、比較例1では下塗り皮膜層
にポリエステル系樹脂を、比較例2ではアクリル系樹脂
を使用した。ポリエステル系樹脂の下塗り塗料として
は、ポリエステルポリオール (三井東圧化学製、アルマ
テックスP647BC) 530 部にブロックイソシアネート化合
物 (上記製造例1と同じ) 145 部を加えて、粘度をフォ
ードカップNo.4で120 秒(25 ℃) に調整したものを使用
した。アクリル系樹脂の下塗り塗料としては、アクリル
ポリオール (大日本インキ化学工業製、アクリディック
A-304) 530 部にブロックイソシアネート化合物 (上記
製造例1と同じ)169 部を加えて、粘度をフォードカッ
プNo.4で120 秒 (25℃) に調整したものを使用した。
【0038】得られた塗装ステンレス鋼板について、0.
5 %硫酸水溶液と0.5 %硝酸水溶液とを用いて耐薬品性
試験を行った。各酸水溶液を塗装ステンレス鋼板の塗膜
上に1滴滴下した後、常温で24時間放置した。その後、
目視でブリスターの発生を観察し、ブリスターの発生の
無いものについて、色差計で酸水溶液の滴下前後におけ
るΔEを測定し、下記基準にて評価した。これらの試験
結果も表2に併せて示す。
【0039】 ◎:ΔE<1.0 ○:1.0 ≦ΔE<1.5 △:1.5 ≦ΔE<2.5 ×:2.5 ≦ΔE
【0040】
【表2】
【0041】表2からわかるように、本発明に従った実
施例1〜10では良好な耐薬品性が得られている。これに
対し、比較例1および2では、下塗り皮膜層がエポキシ
系樹脂ではなかったため、0.5 %硝酸水溶液ではブリス
ターが発生した。比較例3および4では、合計膜厚が36
μmより小さいため、ブリスターの発生もしくはΔEが
大きくなった。比較例5および6では、ブロックイソシ
アネート化合物の含有量が少ないために0.5 %硝酸溶液
でΔEが大きくなった。
【0042】(実施例11〜17)製造例1と同様にして、中
塗り塗料用のアクリル系樹脂1および2を製造した。得
られたアクリル系樹脂のガラス転移温度は、アクリル系
樹脂1が70℃、アクリル系樹脂2が107 ℃であった。こ
れらのアクリル系樹脂を用いて、製造例1と同様にブロ
ックイソシアネート化合物を配合することによって、中
塗り塗料を作製した。
【0043】中塗り塗料を上記のアクリル系樹脂1また
は2を主剤樹脂とする塗料に代えた以外は、実施例1〜
10と同様にして、塗装ステンレス鋼板を作製した。但
し、下塗り皮膜層の膜厚は10μmの一定にし、中塗り皮
膜層と上塗り皮膜層の膜厚は表3に示す通りであった。
クロメート処理の付着量、塗装方法、焼付け条件はいず
れも上記実施例と同様であった。
【0044】得られた塗装ステンレス鋼板の耐薬品性
を、1.0 %硝酸水溶液を用いて実施例1〜10と同様に試
験した。試験結果も表3に併せて示す。
【0045】
【表3】
【0046】表3より、中塗り塗料に主剤としてガラス
転移温度70〜110 ℃のアクリル樹脂を50〜99wt%、架橋
剤としてブロックイソシアネート化合物を1〜55wt%含
有し、上塗り塗料に主剤として活性水素を有する有機樹
脂50〜99wt%、架橋剤としてブロックイソシアネート化
合物を1〜55wt%含有する、本発明にかかる塗装ステン
レス鋼板では、塗膜を、実施例1〜10の耐薬品性試験で
用いたのより高濃度の1.0 wt%硝酸水溶液に曝しても、
ブリスターが発生せず、かつ塗膜の色変化も少なく、良
好な耐薬品性を有していることが確認できた。
【0047】
【発明の効果】本発明の塗装金属板は、非常に厳しい腐
食性環境でも使用することができる優れた耐薬品性を備
えており、施工が容易で、コスト的にも安価なトンネル
内装板、家屋・ビルの外壁材などとしで有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の少なくとも片面に、化成処理が
    施された上に、下塗り皮膜層、中塗り皮膜層、および上
    塗り皮膜層からなる合計膜厚36μm以上の樹脂塗膜を有
    し、下塗り皮膜層がエポキシ系樹脂皮膜であり、中塗り
    皮膜層と上塗り皮膜層がいずれも、樹脂成分中に架橋剤
    としてブロックイソシアネート化合物を1〜50wt%含有
    する熱硬化性樹脂塗料から形成されたことを特徴とす
    る、耐薬品性に優れた塗装金属板。
  2. 【請求項2】 中塗り皮膜層が樹脂成分中にガラス転移
    温度70〜110 ℃のアクリル系樹脂50〜99wt%を含む塗料
    から形成され、上塗り皮膜層が樹脂成分中に活性水素を
    有する有機樹脂50〜99wt%を含む塗料から形成された、
    請求項1記載の塗装金属板。
JP3782097A 1997-02-21 1997-02-21 耐薬品性に優れた塗装金属板 Withdrawn JPH10235788A (ja)

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GR1004058B (el) * 2001-05-31 2002-11-15 Φωτοπολυμερικα υλικα με βιοσυμβατες λιθογραφικες απαιτησεις καταλληλα για σχηματοποιηση επιστρωσεων πολλαπλων βioμοριων
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