JPH10234525A - マット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸縮折曲げ自在で断熱保温性や肌触りにも優
れ、介護用ベッドなど可動式の上手部や下手部を有する
ベッドに好適なマットを提供する。 【解決手段】 背もたれ部２と下半身部３の二つの部分
に分割されたクッション材４、５と、該クッション材を
被覆するカバー材６とからなり、該カバー材６に伸縮性
を有する編布を用いることによって、背もたれ部２と下
半身部３の間の境界部６で伸縮折曲げ自在に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、折曲げ伸縮自在で
断熱保温性や肌触りにも優れたマットに関するものであ
り、特に介護用ベッドなど可動式の上手部や下手部を有
するベッドに好ましく用いることができるマットに係わ
る。

【０００２】

【従来の技術】ベッドの上に敷かれるマットは、基本的
に肌触りのよさや保温性が求められるものであり、スプ
リング、発泡体からなるクッションなどの様々な弾性体
を布地で被覆した構成からなっている。また、近年では
介護用途等を主にして、ベッドの寝台部が人の上半身を
支える上手部と下半身を支える下手部に分割されてお
り、上手部が下端付近を中心として旋回上昇・下降する
機能を有するベッドがある。

【０００３】これは、上手部が旋回上昇することによっ
て寝ている人を起き上がらせることができ、そのままベ
ッドで食事、読書、テレビ視聴などをすることができる
機能を持っている。また、寝たきりの人などの床擦れ防
止のために体勢を変えるということを行えるようになっ
ている。

【０００４】また、このような可動式の上手部をもつベ
ッドの問題として、上手部の上昇・下降を繰り返し行う
ことによって、身体の位置が徐々にベッドの足元の方向
にずれていくということがある。それは上手部が上昇し
上半身が起きるときに、僅かながら身体がベッドの足元
の方向に押されて移動し、上手部が下降して再び寝ると
きには、その位置のままになってしまうことから起きて
いる現象である。

【０００５】そのような問題を解消するために、上手部
が上昇する際に、同時に下半身を支える下手部が上手部
から離れる方向にスライドし、下降する際には下手部が
上手部に近づく方向にスライドすることによって下半身
をベッドの頭の方向へ移動させ、身体が徐々にベッドの
足元の方向へずれていくのを防止する機能を持ったベッ
ドも提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のようなベッドに
適用するマットに求められる性能としては、より肌触り
性に優れるものであること、保温性に優れていることな
どが挙げられる。そして、可動式の背もたれ部をもつベ
ッドに適用する場合は特に、上手部と下手部の間の分割
部において、マットも折曲げ自在に構成されていること
が求められる。

【０００７】また、身体のずれを防止するために下手部
が上手部から離れたり近づいたりする機能を持つベッド
の場合には、折曲げ性に加えて少なくともカバー材には
ある程度以上の伸縮性も要求されることになる。マット
自身を人の上半身を支える背もたれ部と下半身を支える
下半身部の二つに分けてしまうと伸縮性を持たせる必要
はなくなるが、外観が悪くしないようにということと、
その上に寝ている人に違和感を感じさせないためには、
クッション材は分割してもカバー材を連結しているもの
のほうがよく、そのためにもカバー材の伸縮性は必要な
性能となる。

【０００８】そこで、本発明では、折曲げ伸縮自在で断
熱保温性や肌触りにも優れたマットに関するものであ
り、特に介護用ベッドなど可動式の上手部や下手部を有
するベッドに好ましく用いることができるマットの提供
を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために請求項１では、少なくとも人の上半身を
支える背もたれ部と下半身を支える下半身部の二つの部
分にそれぞれ配置されたクッション材と、該クッション
材を被覆するとともに背もたれ部と下半身部を連結した
カバー材とからなり、該カバー材に伸縮性を有する編布
を用いることによって、背もたれ部と下手部の間の境界
部で伸縮・折曲げ自在に構成したことを特徴とするマッ
トであり、肌触りの良さと伸縮性を有するマットを得る
ことができる。

【００１０】また請求項２では、カバー材の編布の裏側
には独立気泡の発泡体シートを積層した構成としている
ので断熱効果を有しており、保温性に優れたマットを得
ることができる。

【００１１】請求項３では、発泡体シートの厚みが１．
５〜３ｍｍの範囲ですることによって、保温性を有する
とともに、発泡体シートの厚みをカバー材の伸縮性や折
曲げ性を阻害しない範囲としている。

【００１２】請求項４では、寝台部が人の上半身を支え
る上手部と下半身を支える下手部に分割されており、上
手部が下端付近を中心に旋回上昇・下降するベッドに用
いるマットにおいて、少なくとも人の上半身を支える背
もたれ部と下半身を支える下半身部の二つの部分にそれ
ぞれ配置されたクッション材と、該クッション材を被覆
するとともに背もたれ部と下半身部を連結したカバー材
とからなり、該カバー材に伸縮性を有する編布を用い、
ベッドの分割部とマットの境界部の位置を合わせて配置
することによって、ベッドの動きに合わせてマットも伸
縮・折曲げ自在に動くよう構成したことを特徴としてお
り、良好な折曲げ性や、保温性、外観のよさ、そして使
用する人に違和感を感じさせたくない用途において、そ
れぞれの要求を満たすことのできるマットを提供するこ
とができる。

【００１３】請求項５では、ベッドの下手部が、上手部
の旋回上昇の際に、上手部から離れる方向にスライド
し、上手部の旋回下降の際に、上手部に近づく方向にス
ライドするよう構成されたベッドのような、クッション
材の分割部分において伸縮性を必要な用途において、必
要な伸縮性を有するマットを提供することができる。

【００１４】請求項６では、カバー材である編布の裏側
に独立気泡の発泡体シートを積層しており、ベッドに用
いるマットにおいて、断熱効果を有しており、保温性に
優れたマットを提供することができる。

【００１５】請求項７では、発泡体シートの厚みが１．
５〜３ｍｍの範囲としており、ベッドに用いるマットに
おいて、保温性を有するとともに、発泡体シートの厚み
をカバー材の伸縮性や折曲げ性を阻害しない範囲として
いる。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１は本発明のマット１の背もた
れ部２を上昇させたところの斜視図であり、図２は図１
のＡ−Ａ断面図である。

【００１７】本発明のマット１は、背もたれ部２と下半
身部３からなり、それぞれの部分にクッション材４、５
を配置している。そして、そのクッション材４、５をカ
バー材６で被覆しており、背もたれ部２と下半身部３の
間である境界部７はカバー材６で仕切られるとともに連
結されている。

【００１８】クッション材４、５は、マット１にクッシ
ョン効果を与えるものであり、ポリウレタン、ポリオレ
フィン系、ポリエチレン、塩化ビニルなどの発泡体やエ
ア（空気入り）クッション、ウォーター（水入り）クッ
ション、上記熱可塑性エラストマーからなる流動性を有
するゲル状クッションあるいはシリコーンゴムからなる
クッションなどを用いることができ、例えば樹脂などの
発泡体を用いる場合は、用途に応じて硬度が１０〜２０
ｋｇ（Ｃスケール）、密度が２０〜８０ｋｇ／ｍ³ の範
囲のものを用いることができるが、身体が沈み込んでし
まわないようにする必要があるときには硬度は１５ｋｇ
（Ｃスケール）以上とする。

【００１９】また、表面の形状やパターンも限定される
ものではなく、多数突起形状や縦波形状、横波形状など
様々な形態を採ることができる。介護用ベッドなどでは
被介護者の寝返り動作を補助したり、ベッドから車椅子
やキャスター付きベッドへの移動のためにマット１を縦
折りにする必要がある場合には、縦波形状にするなど用
途に応じた形状にすればよい。

【００２０】カバー材６は、マット１の表面に肌触りの
良さを与えるものであり、伸縮性を有する編布からなっ
ている。また、編布の裏側に発泡体シート８を積層した
り、編布を二重にしてその間に発泡体シート８を積層介
在することによってマット１の表面で感じる肌触り性や
断熱による保温性を向上させることができる。クッショ
ン材４、５も発泡体からなっているが、クッション材に
は身体を支えて沈み込みすぎないようにすると同時に、
寝台部１２の突起物から内部のクッション材４、５を保
護する機能などを付与するためにある程度の硬さが必要
となり、また、伸縮性を阻害しない程度の硬度に抑える
必要があるので、編布の裏面にはクッション材より柔ら
かい、硬度が１０〜２０ｋｇ（Ｃスケール）程度の発泡
体シート８を用いて肌触り性を良くする性能を付与する
ことが好ましい。

【００２１】発泡体シート８としては、クロロプレンゴ
ム（ＣＲ）、天然ゴム（ＮＲ）などのゴムを発泡させた
ものやポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリエチレン（Ｐ
Ｅ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリスチレン（Ｐ
Ｓ）、の樹脂を発泡させたものが用いられ、発泡倍率は
体積比で５〜１０倍程度より好ましくは７〜８倍程度が
適当である。

【００２２】そして、発泡体シート８の厚みは断熱保温
性や折曲げ性、伸縮性を考慮して好適な範囲を採択する
必要がある。その範囲は、１．５〜３ｍｍの範囲で用い
ることが好ましく、１．５ｍｍ未満であると断熱保温性
が不足し、３ｍｍを越えても断熱保温性はあまり向上せ
ず、逆に伸縮性を阻害することになるので好ましくな
い。

【００２３】また、カバー材６である編布は、直接人の
肌に触れる部分であることから、できるだけ肌触りのよ
い素材であることが好ましく、また、下半身を支える下
手部が上半身を支える上手部から離れたり近づいたりす
る機能を有するベッドに用いる場合は好ましくは５０％
以上の伸縮性を有することが好ましく、ポリアミド繊
維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエステル繊維から
なるジャージィと呼ばれる生地などの丸編布が好適に用
いられる。

【００２４】図４に示すのは、本発明のマットを用いる
介護用ベッドの例を示したものである。この介護用ベッ
ド１０はベッド枠１１とベッド枠１１内に配置された寝
台部１２からなり、寝台部１２は人の上半身を支える上
手部１３と下半身を支える下手部１４の二つの部材に分
割されている。

【００２５】そして上手部１３は、下端付近を中心とし
て旋回可能に固定されているとともに、モーター１５に
連結したアーム１６が取り付けられており、コントロー
ル部１７を操作することによってモーター１５が作動
し、上手部１３が上昇して背上げ動作を行うことができ
る。また、下手部１４も上手部の動作に連動しており、
上手部１３が上昇し背上げ動作を行うと同時に、上手部
１３から離れる方向にスライドするようになっている。

【００２６】以上の動作によって、介護用ベッド１０の
上に寝ている人は背上げされて起き上がった状態になる
ことができる。また、それぞれ上手部１３と下手部１４
がコントロール部１７を操作することによって上記の逆
の動作も行えるようになっている。

【００２７】このような動きをする介護用ベッド１０は
上手部１３が下降する際に下手部１４が上手部１３に近
づく動作をすることによって、下半身がベッドの頭の方
向に押されて、身体がベッドの足元の方向へずれるのを
防止することができる機能を持っている。

【００２８】上記のような介護用ベッド１０に用いるマ
ット１は、下手部１４に置かれた下半身部３は下手部１
４の動きに合わせて移動する必要があり、上手部１３が
上昇したときに背もたれ部２から離れる方向に移動する
ことになるが、カバー材６として伸縮性に優れる編布を
用いているので、マット１の境界部５は伸縮折曲げ自在
であり、上手部１３と下手部１４の動きに追随すること
ができる。また、カバー材６は背もたれ部３と下半身部
４の間で連結されているので、上手部１３と下手部１４
の間の分割部に隙間を開けることもないので、外観的に
もよく、寝ている人にとってもそれほど身体に違和感を
感じることがないという利点もある。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、本発明の請求項１では、
クッション材を被覆するカバー材に伸縮性を有する編布
を用いているので人の上半身を支える背もたれ部と人の
下半身を支える下半身部の間の境界部で伸縮・折曲げ自
在に構成したことを特徴とするマットであり、肌触りの
良さと伸縮性を有するマットを得ることができる。

【００３０】また請求項２では、独立気泡の発泡体シー
トの積層によって断熱効果を有しており、保温性に優れ
たマットを得ることができる。請求項３では、発泡体シ
ートの厚みが１．５〜３ｍｍの範囲ですることによっ
て、保温性を有するとともに、発泡体シートの厚みをカ
バー材の伸縮性や折曲げ性を阻害しない。

【００３１】請求項４では、介護用ベッド等で上手部が
下端付近を中心に旋回上昇・下降するベッドに用いるマ
ットにおいて、クッション材と、該クッション材を被覆
するカバー材とからなり、該カバー材に伸縮性を有する
編布を用い、ベッドの分割部にマットの境界部を配置す
ることによって、ベッドの動きに合わせてマットも伸縮
折曲げ自在に動くよう構成したことを特徴としており、
良好な折曲げ性や、保温性、外観のよさ、そして使用す
る人に違和感を感じさせたくない用途において、それぞ
れの要求を満たすことのできるマットを提供することが
できる。

【００３２】請求項５では、ベッドの下手部が、上手部
の旋回上昇の際に、上手部から離れる方向にスライド
し、上手部の旋回下降の際に、上手部に近づく方向にス
ライドするよう構成されたベッドのような、背もたれ部
と下半身部の境界部において伸縮性を必要な用途におい
ても良好に用いることができる。

【００３３】請求項６では、カバー材であるの編布の裏
側に独立気泡の発泡体シートを積層しており、ベッドに
用いるマットにおいて、断熱効果を有しており、保温性
に優れたマットを提供することができる。請求項７で
は、発泡体シートの厚みが１．５〜３ｍｍの範囲として
おり、ベッドに用いるマットにおいて、保温性を有する
とともに、発泡体シートの厚みをカバー材の伸縮性や折
曲げ性を阻害しないという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のマットを折り曲げたところを斜視図で
ある。

【図２】図１におけるＡ−Ａ断面図である。

【図３】図２におけるＢ部拡大図である。

【図４】本発明のマットを適用する介護用ベッドの斜視
図である。

【符号の説明】

１ マット ２ 背もたれ部 ３ 下半身部 ４ クッション材 ５ クッション材 ６ カバー材 ７ 境界部 ８ 発泡体シート １０ 介護用ベッド １１ ベッド枠 １２ 寝台部 １３ 上手部 １４ 下手部 １５ モーター １６ アーム

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも人の上半身を支える背もたれ
   部と下半身を支える下半身部の二つの部分にそれぞれ配
   置されたクッション材と、該クッション材を被覆すると
   ともに背もたれ部と下半身部を連結したカバー材とから
   なり、該カバー材に伸縮性を有する編布を用いることに
   よって、背もたれ部と下手部の間の境界部で伸縮・折曲
   げ自在に構成したことを特徴とするマット。
2. 【請求項２】 カバー材である編布の裏側に独立気泡の
   発泡体シートを積層した請求項１記載のマット。
3. 【請求項３】 発泡体シートの厚みが１．５〜３ｍｍの
   範囲である請求項２記載のマット。
4. 【請求項４】 寝台部が人の上半身を支える上手部と下
   半身を支える下手部に分割されており、上手部が下端付
   近を中心に旋回上昇・下降するベッドに用いるマットに
   おいて、少なくとも人の上半身を支える背もたれ部と下
   半身を支える下半身部の二つの部分にそれぞれ配置され
   たクッション材と、該クッション材を被覆するとともに
   背もたれ部と下半身部を連結したカバー材とからなり、
   該カバー材に伸縮性を有する編布を用い、ベッドの分割
   部とマットの境界部の位置を合わせて配置することによ
   って、ベッドの動きに合わせてマットも伸縮・折曲げ自
   在に動くよう構成したことを特徴とするマット。
5. 【請求項５】 ベッドの下手部が、上手部の旋回上昇の
   際に、上手部から離れる方向にスライドし、上手部の旋
   回下降の際に、上手部に近づく方向にスライドするよう
   構成されたベッドに用いる請求項４記載のマット。
6. 【請求項６】 カバー材である編布の裏側に独立気泡の
   発泡体シートを積層した請求項４または５に記載のマッ
   ト。
7. 【請求項７】 発泡体シートの厚みが１．５〜３ｍｍの
   範囲である請求項６記載のマット。