JPH10234407A - スキー靴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はスキー靴に関し、スポイラーによっ
て踵から脹脛に亘る広い領域を保持する際に、スポイラ
ーの保持力の部分的な微調節を可能としたスキー靴を提
供することを目的とする。 【解決手段】 請求項１に係る発明は、スキーヤーの踵
から脹脛に亘る領域を締め付け保持するスポイラーをア
ウタシェルの後方内側面に装着したスキー靴に於て、上
記スポイラーとアウタシェルの少なくとも何れか一方
に、当該スポイラーとアウタシェルとの間隔を調節する
調節手段を複数設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、踵から脹脛に亘る
領域を保持するスポイラーを装着したスキー靴に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年のスキー靴は、硬質で強靱なポリウ
レタン等の樹脂で成形されたアウタシェルと、足を隙間
なく密着状態に保持するために当該アウタシェル内に装
着されたインナーブーツとで構成されている。そして、
足を保持してスキー操作性を良好なものとするため、フ
ロントエントリー式のスキー靴にあっては、インナーブ
ーツの足首部や甲部領域に対応するアウタシェルの各部
を複数の緊締装置で締め付けて足とスキー靴との一体感
を図り、又、リヤエントリー式のスキー靴では、リヤカ
フの背面側に設けた緊締レバーの操作でフロントカフと
リヤカフの上部を締め付けて足の緊締保持を図ってい
る。

【０００３】ところで、従来、多くの上級者用のスキー
靴には、スキーヤーの踵から脹脛に亘る領域を保持して
足の後方への動きを規制するスポイラーが装着されてい
る。そして、通常、スキーヤーは斯かるスポイラーとイ
ンナーブーツとの間にパッドを別途装着して保持力を微
調節しているが、特開昭６３−２６４００１号公報に
は、図８乃至図１０に示すようにスポイラーの保持力を
調節する調節装置を設けたスキー靴が開示されている。

【０００４】このスキー靴１は、シェル本体を兼ねるフ
ロントカフ３に傾動可能に軸着されたリヤカフ５の内面
に、リヤカフ５よりやや軟質の樹脂で成形されたスポイ
ラー７の上端部と下端部を夫々一体的に連結して、当該
スポイラー７とリヤカフ５との間に調節装置９を組み込
んだもので、調節装着９は図１０に示すように逆ピッチ
でねじ切りが施された２つの担持部１１，１３を有する
１本のビス１５と、各担持部１１，１３に夫々螺着され
てリヤカフ５とスポイラー７とで回転不能に固定された
２つのナット１７，１９からなり、ビス１５はリヤカフ
５を貫通した構造となっている。

【０００５】そして、ナット１７，１９が互いに接近す
る方向へビス１５を回転操作すると、スポイラー７が矢
印方向へ変形して保持力が強まるようになっている。
尚、図中、２１はフロントカフ３やスポイラー７に取り
付けられたパッドである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上記スキー
靴１は、１本のビス１５に螺着したナット１７，１９が
スポイラー７の上下方向の略中央に配置されているた
め、保持力の部分的な微調節ができず、又、脹脛から踵
に亘る足の形状はスキーヤー毎に異なるため、例えば脹
脛が太く足首の細いスキーヤーが使用した時、脹脛が圧
迫されて足首が締まらなかったり、又、スキーヤーが後
傾したとき、ナット１７，１９で保持された部位のスポ
イラー７が足を保持するものの、その他の部位が変形し
てしまうため、ナット１７，１９で保持されている部位
に痛みを感じる等の不具合が指摘されていた。

【０００７】本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもの
で、スポイラーによって踵から脹脛に亘る広い領域を保
持する際に、スポイラーの保持力の部分的な微調節を可
能としたスキー靴を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、請求項１に係る発明は、スキーヤーの踵から脹脛に
亘る領域を締め付け保持するスポイラーをアウタシェル
の後方内側面に装着したスキー靴に於て、上記スポイラ
ーとアウタシェルの少なくとも何れか一方に、当該スポ
イラーとアウタシェルとの間隔を調節する調節手段を複
数設けたことを特徴とする。

【０００９】そして、請求項２に係る発明は、請求項１
記載のスキー靴に於て、調節手段を、アウタシェルの後
方内側面又はこれに対向するスポイラーの外側面に設け
られた複数の係止部と、当該各係止部に夫々着脱自在に
アウタシェルとスポイラー間に横架される形状の異なる
複数の板状部材とで構成したものであり、請求項３に係
る発明は、請求項１記載のスキー靴に於て、調節手段
を、アウタシェル又はスポイラーに軸方向へ移動不能に
挿着された複数のスクリューと、各スクリューに対応し
てスポイラーの外側面又はアウタシェルの後方内側面に
形成され、当該各スクリューの軸部が螺着する複数の螺
着部とで構成したことを特徴としている。

【００１０】（作用）請求項１に係る発明によれば、調
節手段によってスポイラーとアウタシェルとの間隔を調
節することで、スポイラー全面がスキーヤーの踵から脹
脛に亘る領域に沿って変形して当該領域を保持すること
となる。

【００１１】そして、請求項２に係る発明では、スポイ
ラーの保持力を調節するには、各係止部に適宜板状部材
を係止すれば、スポイラー全面がスキーヤーの踵から脹
脛に亘る領域に沿って変形して当該領域を保持する。そ
して、足とスキー靴との密着性が未だ不十分であるなら
ば、調節体を組み替えたり、別途用意した他の調節体を
適宜交換してスポイラーとシェル胴部との間隔を調節す
ればよく、これらの調節手段を介してスポイラー全面が
スキーヤーの踵から脹脛に亘る領域に沿って変形して当
該領域を保持する。

【００１２】又、請求項３に係る発明では、スクリュー
を正逆方向へ回転操作すると、その操作量に応じスポイ
ラーが変形して足を良好に保持することとなる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づき詳細に説明する。

【００１４】図１は請求項１及び請求項２に係るスキー
靴の第一実施形態を示し、図中、２３は硬質で強靭なポ
リウレタン等の樹脂で成形されたアウタシェルで、当該
アウタシェル２３内に、スキーヤーの足に適合する可撓
性のフォームラバー等で成形されたインナーブーツ２５
が装着されている。而して、アウタシェル２３は主に足
首から下方の部分を覆うシェル本体２７と、足首の脛下
部と脹脛下部とを一体的に覆うシェル胴部２９とからな
り、シェル胴部２９はスキーヤーの前傾姿勢に応じて傾
動できるように、その下端部がシェル本体２７にピン等
の連結部材３１を介して前後方向へ傾動自在に連結され
ている。

【００１５】そして、シェル本体２１は、その上部開口
から左右に分断されて互いに重合する分断重合部３３が
甲部領域に亘って形成されており、当該分断重合部３３
に装着した前後２か所の緊締装置３５の操作で、シェル
本体２７の甲部領域が強固に緊締されるようになってい
る。同様に、シェル胴部２９の前面部分も左右に分断さ
れて互いに重合する分断重合部（図示せず）が形成され
ており、当該分断重合部に装着した上下２か所の緊締装
置３７の操作で、シェル胴部２９の前面部分とシェル本
体２７の上部開口部分が強固に締め付けられるようにな
っている。

【００１６】そして、シェル胴部２９の後方内側面２９
ａとインナーブーツ２５との間に、スキーヤーの踵から
脹脛に亘る領域を保持するスポイラー３９が装着されて
いる。図１及び図２に示すようにスポイラー３９はイン
ナーブーツ２５の背面側外周に沿って湾曲した略卵形の
外形形状をなし、その下端部にシェル胴部２９の後方内
側面２９ａの下方に設けた係止孔４１に係止可能な係止
片４３が突設されている。

【００１７】又、スポイラー３９の上部は肉厚に成形さ
れており、図１に示すように上記係止片４３を係止孔４
１に係止して、上部に設けた段部４５をシェル胴部２９
の上部開口部に係止させることで、スポイラー３９がシ
ェル胴部２９の後方内側面２９ａに装着されるようにな
っている。そして、図１乃至図３に示すようにスポイラ
ー３９の外側面３９ａに、当該スポイラー３９とシェル
胴部２９との間隔を調節する６個の調節手段４７が設け
られている。

【００１８】この調節手段４７は、横方向に並列してス
ポイラー３９の外側面３９ａに一体成形された一対の係
止片４９ａ，４９ｂからなる係止部４９と、両係止片４
９ａ，４９ｂに着脱自在に係止してスポイラー３９とシ
ェル胴部２９間に横架される複数枚の樹脂からなる板状
の調節体５１，５３，５５，５７，５９，６１とで構成
されており、各係止部４９は上下方向に等間隔で配置さ
れている。

【００１９】そして、図３乃至図５に示すように各調節
体５１，５３，５５，５７，５９，６１は、夫々、スポ
イラー３９の外側面３９ａに沿って係止部４９に取り付
き、且つその外周側がシェル胴部２９の後方内側面２９
ａに沿って当接可能な略三日月状に成形されているが、
何れも高さ（図３のｈに相当する寸法）の異なった形状
に成形されている。そして、図示しないが本実施形態で
は、斯かる調節体５１，５３，５５，５７，５９，６１
の他に、上記係止片４９ａ，４９ｂに係止可能で高さの
異なる略三日月形状の複数枚の調節体が別途用意されて
おり、これらを適宜交換することで、スポイラー３９が
変形してシェル胴部２９との間隔が調節できるようにな
っている。

【００２０】又、図２及び図３の如く各係止片４９ａ，
４９ｂの先端部には、図４及び図５で示すように調節体
５１，５３，５５，５７，５９，６１の両面に夫々設け
た係合孔６３に係合可能な係合突起６５，６７が内方へ
突設されており、当該係合孔６３と係合突起６５，６７
との係合で、係止部４９からの調節体５１，５３，５
５，５７，５９，６１の脱落防止が図られている。

【００２１】本実施形態に係るスキー靴６９はこのよう
に構成されているから、スポイラー３９の保持力を調節
するには、スポイラー３９の各係止部４９に適宜調節体
５１，５３，５５，５７，５９，６１を係止した後、当
該スポイラー３９をインナーブーツ２５を取り外したア
ウタシェル２３のシェル胴部２９の後方内側面２９ａに
装着して、インナーブーツ２５をアウタシェル２３内に
装着すればよい。

【００２２】そして、足とスキー靴６９との密着性が未
だ不十分であるならば、調節体５１，５３，５５，５
７，５９，６１を組み替えたり、別途用意した他の調節
体を適宜交換してスポイラー３９とシェル胴部２９との
間隔を調節すればよく、これらの調節手段４７を介して
スポイラー３９全面がスキーヤーの踵から脹脛に亘る領
域に沿って変形して当該領域を保持することとなる。

【００２３】このように、本実施形態によれば、スポイ
ラー３９を個々のスキーヤーの脹脛から踵にかけての形
状に無理なく添わせることができるので、図８以下に示
す従来例に比しスポイラー３９の保持力の微調節が可能
となって様々なスキーヤーの足の形状に保持力を合わせ
ることができ、又、スキーヤーが後傾しても、複数の調
節手段４７がスポイラー３９全面で足を保持させるの
で、従来の如く足に痛みを感じることもなくなった。

【００２４】尚、上記実施形態では、調節手段４７をス
ポイラー３９側に設けたが、図６に示す請求項１及び請
求項２の第二実施形態に係るスキー靴７１のように、各
調節体５１，５３，５５，５７，５９，６１を係止する
一対の係止片４９ａ-1，４９ｂ-1からなる係止部４９-1
を、夫々、シェル胴部２９-1の後方内側面２９ａ-1に複
数設けて、当該係止部４９-1と調節体５１，５３，５
５，５７，５９，６１とで、スポイラー３９-1とシェル
胴部２９-1との間隔を調節する調節手段４７-1を構成し
てもよく、斯かる実施形態によっても、上記実施形態と
同様、所期の目的を達成することが可能である。

【００２５】図７は請求項１及び請求項３に係るスキー
靴の一実施形態を示し、本実施形態は、上述の如き調節
手段４７，４７-1に代え、スクリューを用いた調節手段
によってスポイラーとシェル胴部との間隔を調節するよ
うにしたものである。以下、本実施形態を図７に基づき
説明すると、図中、７３はシェル胴部２９-2を貫通して
その背面に挿着された複数本のスクリューで、当該スク
リュー７３はスキー靴７５の左右方向に複数本宛挿着さ
れて上下方向に４列配置されている。そして、各スクリ
ュー７３の頭部は、シェル胴部２９-2に設けた凹部７７
内に収納されて外部に露出した構造となっているが、各
スクリュー７３は、夫々、リテーナ７９によって軸方向
の移動が規制されている。

【００２６】一方、本実施形態に於けるスポイラー３９
-2もインナーブーツ２５の背面側外周に沿って湾曲した
略卵形の外形形状をなし、その下端部に設けた係止片４
３-2をシェル胴部２９-2側に設けた係止孔４１-2に係止
して、上部に設けた段部４５-2をシェル胴部２９-2の上
部開口部に係止させることで、当該スポイラー３９-2が
シェル胴部２９-2の後方内側面２９ａ-2に装着されるよ
うになっている。

【００２７】そして、スポイラー３９-2の外側面３９ａ
-2には、各スクリュー７３の軸部が螺着する複数の螺着
部８１が各スクリュー７３に対応して一体成形されてお
り、スキーヤーがスクリュー７９を正逆方向へ回転操作
することで、スポイラー３９-2が前後方向へ変形してシ
ェル胴部２９-2との間隔を調節することができるように
なっている。

【００２８】本実施形態に於ける調節手段８３はこのよ
うに構成されているから、スポイラー３９-2の保持力を
調節して足とスキー靴７５との密着を図るには、上述し
たようにスクリュー７９を正逆方向へ操作すれば、その
操作量に応じスポイラー３９-2が変形してスポイラー３
９-2全面でスキーヤーの踵から脹脛に亘る領域を保持す
ることとなる。

【００２９】このように、本実施形態によっても、スポ
イラー３９-2を個々のスキーヤーの脹脛から踵にかけて
の形状に無理なく添わせることができるので、図８以下
に示す従来例に比しスポイラー３９-2の保持力の微調節
が可能となって様々なスキーヤーの脚の形状に保持力を
合わせることができ、又、スキーヤーが後傾しても、複
数の調節手段８３がスポイラー３９-2全面で足を保持さ
せるので、足に痛みを感じることなく良好な密着性が確
保できることとなる。

【００３０】尚、上記実施形態は、スクリュー７３をシ
ェル胴部２９-2に挿着したが、これをスポイラー３９-2
側に挿着して、螺着部８１をシェル胴部２９-2に設けて
もよいし、又、スクリュー７３はアトランダムに配置し
てもよい。そして、上述した各実施形態は、本発明をフ
ロントエントリー式のスキー靴に適用したが、本発明
は、シェル本体にフロントカフとリヤカフを傾動可能に
軸着したアウタシェルの後方内側面にスポイラーを装着
したリヤエントリー式のスキー靴に適用できることは勿
論であり、斯かるスキー靴によっても、上記各実施形態
と同様、所期の目的を達成することが可能である。

【００３１】

【発明の効果】以上述べたように、各請求項に係る発明
によれば、スポイラーを個々のスキーヤーの脹脛から踵
にかけての形状に無理なく添わせることができるので、
スポイラーの保持力の微調節が可能となって様々なスキ
ーヤーの脚の形状に保持力を合わせることができ、又、
スキーヤーが後傾しても、複数の調節手段がスポイラー
全面で足を保持させるので、足に痛みを感じることなく
良好な密着性が確保できることとなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１及び請求項２の第一実施形態に係るス
キー靴の要部切欠き側面図である。

【図２】スポイラーの外側面の正面図である。

【図３】図２のIII−III線断面図である。

【図４】調節体の平面図である。

【図５】調節体の平面図である。

【図６】請求項１及び請求項２の第二実施形態に係るス
キー靴の要部切欠き側面図である。

【図７】請求項１及び請求項３の一実施形態に係るスキ
ー靴の要部切欠き側面図である。

【図８】従来のスキー靴の分解斜視図である。

【図９】図８に示すスキー靴の要部断面図である。

【図１０】図９のＸ−Ｘ線断面図である。

【符号の説明】 ２３ アウタシェル ２５ インナーブーツ ２７ シェル本体 ２９，２９-1，２９-2 シェル胴部 ３９，３９-1，３９-2 スポイラー ４３，４９ａ，４９ａ-1，４９ｂ，４９ｂ-1 係止片 ４７，４７-1，８３ 調節手段 ６３ 係合孔 ６５，６７ 係合突起 ６９，７１，７５ スキー靴 ５１，５３，５５，５７，５９，６１ 調節体 ７３ スクリュー ７９ リテーナ ８１ 螺着部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スキーヤーの踵から脹脛に亘る領域を締
   め付け保持するスポイラーをアウタシェルの後方内側面
   に装着したスキー靴に於て、 上記スポイラーとアウタシェルの少なくとも何れか一方
   に、当該スポイラーとアウタシェルとの間隔を調節する
   調節手段を複数設けたことを特徴とするスキー靴。
2. 【請求項２】 調節手段は、アウタシェルの後方内側面
   又はこれに対向するスポイラーの外側面に設けられた複
   数の係止部と、 当該各係止部に夫々着脱自在にアウタシェルとスポイラ
   ー間に横架される形状の異なる複数の板状部材とからな
   ることを特徴とする請求項１記載のスキー靴。
3. 【請求項３】 調節手段は、アウタシェル又はスポイラ
   ーに軸方向へ移動不能に挿着された複数のスクリュー
   と、 各スクリューに対応してスポイラーの外側面又はアウタ
   シェルの後方内側面に形成され、当該各スクリューの軸
   部が螺着する複数の螺着部とからなることを特徴とする
   請求項１記載のスキー靴。