JPH10234387A - 超耐熱性サイクロデキストリン生成酵素 - Google Patents

超耐熱性サイクロデキストリン生成酵素

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JPH10234387A
JPH10234387A JP9358594A JP35859497A JPH10234387A JP H10234387 A JPH10234387 A JP H10234387A JP 9358594 A JP9358594 A JP 9358594A JP 35859497 A JP35859497 A JP 35859497A JP H10234387 A JPH10234387 A JP H10234387A
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cyclodextrin
enzyme
forming enzyme
starch
thermococcus
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JP9358594A
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Akiko Kuramura
昭子 倉村
Kensaku Uzura
健作 卯津羅
Masafumi Moriwaki
雅史 森脇
Naoteru Shirasaka
直輝 白坂
Iwao Kojima
岩夫 小島
Yuji Suzuki
裕治 鈴木
Yoshinaga Tachibana
佳永 橘
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Nagase and Co Ltd
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Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超耐熱性サイクロデキストリン生成酵素を提
供すること。 【解決手段】 超好熱菌Thermococcus sp. B-1001株を
培養して、その培養液から超耐熱性サイクロデキストリ
ン生成酵素を単離する。このサイクロデキストリン生成
酵素は、デンプン液化能およびサイクロデキストリン生
成能を有し、優れた耐熱性をもち、かつ主としてα-サ
イクロデキストリンを生成するサイクロデキストリン生
成酵素であり、工業的なサイクロデキストリン製造工程
の工程改善に有用な酵素である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサイクロデキストリ
ン生成酵素、特に超好熱菌由来の超耐熱性サイクロデキ
ストリン生成酵素に関する。さらに詳しくは本発明は、
デンプンの液化とサイクロデキストリンの生産とを同時
に行うことが可能とし、さらに、α-サイクロデキスト
リンを主要生産物として生産することができる酵素に関
する。
【0002】
【従来の技術】サイクロデキストリンはグルコースがα
-1,4グルコシド結合で環状に結合した化合物であり、
各種の化合物をその構造内に取り込んで包接化合物を形
成する能力を有している。水溶液などの液体に難溶性の
化合物を安定的に溶解させることができるこの能力によ
り化粧品、食品、農薬、医薬品などの分野で利用されて
いる。
【0003】現在、工業的に生産されているサイクロデ
キストリンは、主に、α-サイクロデキストリン、β-サ
イクロデキストリン、およびγ-サイクロデキストリン
の3種類であり、各々、グルコースが、6、7、および
8個環状に結合したものである。
【0004】α-およびγ-サイクロデキストリンはその
環状の立体構造の利点から、より広範囲の分子量の化合
物、生理活性物質を包接できることが期待されているに
も係わらず、工業的には、β-サイクロデキストリンが
主に生産されているのが現状である。その理由は、化学
的性質の相違から、α-およびγ-サイクロデキストリン
は、分離精製が困難である一方、β-サイクロデキスト
リンは分離、精製が容易であるという点にある。
【0005】このように従来から知られているサイクロ
デキストリン生成酵素は特異性が低く、α-サイクロデ
キストリン、β-サイクロデキストリン、およびγ-サイ
クロデキストリンの混合物として生産されるため、クロ
マトグラフィー等によって、各サイクロデキストリンを
分取する工程が必要である。この工程を省略し、容易に
いずれかのサイクロデキストリンを得るために、いずれ
かのサイクロデキストリンを優先的に生産できるサイク
ロデキストリン生成酵素が望まれている。
【0006】他方で、耐熱性の高いサイクロデキストリ
ン生成酵素が望まれている。サイクロデキストリン生成
酵素は自然界に広く分布しており、これまでに種々の性
質のサイクロデキストリン生成酵素が単離され、産業上
利用されている。工業的なサイクロデキストリンの生産
においては、高温下でのデンプン液化工程を経た後、サ
イクロデキストリン生成酵素を添加している。工業的な
デンプンの液化においては、デンプン液の粘度が高く、
物質移動の問題があるため、できる限り高い温度で行わ
れる。
【0007】しかし、従来の工業的に利用できるサイク
ロデキストリン生成酵素は、耐熱性が低いため、デンプ
ンの液化工程およびサイクロデキストリンの生成工程の
2工程を経る方法が採用されている。サイクロデキスト
リン生成酵素を高温下で作用させることができれば、上
記2工程を同時に行うことが可能となる。さらに、高温
下で作用させることによって、反応性の増大も期待でき
る。
【0008】このために、従来から、優れた耐熱性を有
するサイクロデキストリン生成酵素を取得する試みがな
されてきた。
【0009】耐熱性サイクロデキストリン生成酵素とし
ては、Thermoanaerobacter属またはThermoanaerobium属
由来のサイクロデキストリン生成酵素が得られた(米国
特許第5,501,968号)が、得られた酵素の熱安定性は、p
H5.0、90℃、40分間の熱処理後、20%弱の活性が残存す
る程度に過ぎなかった。さらにこの酵素は、pH5.0、100
℃、40分間の熱処理で、完全に失活した。
【0010】しかし、この程度の耐熱性では不十分であ
る。デンプン溶液には、90℃近辺では溶解できない成分
(難溶性デンプン)が存在している。この成分は100℃
以上の高温状態で、ミセル構造が開裂して初めて溶解す
る。従って、このミセル構造を開裂し、ミセル構造を溶
解する100℃以上の温度で作用することができるサイク
ロデキストリン生成酵素があれば、デンプンからのサイ
クロデキストリンの生成収率が大幅に向上する。さら
に、デンプン糊は、アミログラム、プロストグラムによ
れば、100℃以上のほうが90℃よりも低粘度であること
が示されている。サイクロデキストリン生成酵素でデン
プンスラリーを処理するジェットクッカーなどの装置を
用いる際、デンプン糊の移送は、より低い粘度のほうが
移送効率の点で有利である。従って、至適温度が100℃
以上で、かつ耐熱性、安定性の優れたサイクロデキスト
リン生成酵素が望まれている。
【0011】このように、サイクロデキストリンの製造
に関して、α-サイクロデキストリンを優先的に生産す
るサイクロデキストリン生成酵素と同時に、耐熱性に優
れたサイクロデキストリン生成酵素を必要とするという
2つの課題が存在する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記2つの
課題を同時に解決することを目的とし、優れた耐熱性を
有するサイクロデキストリン生成酵素を提供すること、
および優れた耐熱性を有し、かつ主としてα-サイクロ
デキストリンを生成するサイクロデキストリン生成酵素
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、デンプ
ンおよびカルシウムイオンの非存在下で、pH5.0、100
℃、40分間の熱処理後、少なくとも90%活性が残存す
る、サイクロデキストリン生成酵素が提供される。
【0014】好適な実施態様においては、上記サイクロ
デキストリン生成酵素は、以下の理化学的性質を有す
る: (1)110℃での至適pHが5.0〜5.5である: (2)pH5.0における至適温度が110℃付近である: (3)SDS-PAGEおよびそれに続く活性染色での分子量が
約72,000である:および (4)等電点が3.5以下である。
【0015】さらに好適な実施態様においては、上記サ
イクロデキストリン生成酵素の90℃での至適pHは、4.5
〜6.0である。
【0016】さらに好適な実施態様においては、上記サ
イクロデキストリン生成酵素は、超好熱菌Thermococcus
属に属する微生物から得られる。
【0017】さらに好適な実施態様においては、上記サ
イクロデキストリン生成酵素は、超好熱菌Thermococcus
sp. B-1001株から得られる。
【0018】さらに好適な実施態様においては、上記サ
イクロデキストリン生成酵素は、デンプンからα-サイ
クロデキストリンを主として生成する。
【0019】本発明によれば、上記サイクロデキストリ
ン生成酵素を産生する能力を有する超好熱菌を培養する
工程;培養物から該サイクロデキストリン生成酵素を採
取する工程を含む、サイクロデキストリン生成酵素の製
造方法が提供される。
【0020】好適な実施態様においては、上記培養物か
らサイクロデキストリン生成酵素を採取する工程は、該
培養物を、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相
互作用クロマトグラフィー、およびアフィニティークロ
マトグラフィーからなる群から選択されるクロマトグラ
フィーを用いて精製する工程をさらに包含する。
【0021】さらに好適な実施態様においては、超好熱
菌がThermococcus属に属する微生物である。
【0022】さらに好適な実施態様では、Thermococcus
属に属する微生物がThermococcus sp. B-1001株であ
る。
【0023】本発明によれば、上記サイクロデキストリ
ン生成酵素を40 W/V%以下の濃度のデンプンスラリーに
添加し、デンプンの液化とサイクロデキストリンの生産
とを同時に行う、サイクロデキストリンの製造方法が提
供される。
【0024】好適な実施態様では、上記サイクロデキス
トリンは主としてα-サイクロデキストリンである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下において、本発明を詳しく説
明する。
【0026】本明細書において「サイクロデキストリン
生成酵素」とは、D-グルコースがα-1,4結合で環状構造
を形成しているサイクロデキストリンを生成する酵素で
あると定義される。
【0027】本発明のサイクロデキストリン生成酵素を
得るために利用され得る超好熱菌は、80℃以上に最適生
育温度を有する微生物であると定義される。超好熱菌の
例としては、Desulfurolobus属、Sulfolobus属、Acidia
nus属、Thermoproteus属、Thermofilum属、Thermodiscu
s属、Staphylothermus属、Archaeoglobus属、Pyrobacul
um属、Pyrococcus属、Thermotoga属、Theromococcus
属、Desulfurococcus属、Pyrodictium属などの菌が挙げ
られる。これらの超好熱菌は、例えば、「古細菌」(古
賀洋介著、東京大学出版会、UPバイオロジーシリーズ 7
3 )に記載されている。この文献には、超好熱菌の分離
源、およびその性質が記載されている。
【0028】本発明のサイクロデキストリン生成酵素を
産生する超好熱菌は以下のようにして取得され得る。高
温環境下の水、例えば温泉湧出口付近の温泉水(70℃)
を採取する。採取した温泉水の一部(例えば0.5ml)を
ネジつき試験管に入れた0.5×2216マリンブロース液体
培地、5mlに接種して、気相を窒素置換した後、85℃、
2日間、暗所にて静置培養する。濁りが発生した試験管
から培養液の一部を採取し、顕微鏡下で倍率600で観察
する。微生物の存在を確認した後、計数し、この培養液
を限界希釈法で希釈する。この希釈液を、0.2W/V%可
溶性デンプンを含む、0.5×2216マリンブロース液体培
地に、培地当たり1個の細胞を含むように添加し、85
℃、2日間、暗所にて静置培養する。細胞がサイクロデ
キストリン生成酵素を生産し得るか否かは、細胞が増殖
した培養液中にサイクロデキストリンが存在するか否か
を検定することで決定される。サイクロデキストリンか
否かは、当業者に周知の方法で決定され得る。培養液の
デンプン分解活性を測定し、次いで、同じ培養液の還元
糖生成の有無を3,5-ジニトロサリチル酸法で測定し、さ
らに培養液中のオリゴ糖を薄相クロマトグラフィーある
いは、高速液体クロマトグラフィーを用いて調製あるい
は分析して行い得る。このようにして、サイクロデキス
トリン生成酵素を生産し得る菌株を単離し得る。
【0029】本発明のサイクロデキストリン生成酵素
は、上記超好熱菌から取得され得る。本発明者らは、上
記の方法により、温泉湧出地域で採取した温泉水から超
好熱菌を単離し、その株からサイクロデキストリン生成
酵素を分離した。本発明のサイクロデキストリン生成酵
素は、好ましくはThermococcus属に属する微生物に由来
するサイクロデキストリン生成酵素である。Thermococc
us属に属する微生物のうち、Thermococcus sp. B-1001
株と命名した株が、サイクロデキストリン生成酵素の生
産株として用いられ得る。この株は、工業技術院生命工
学工業技術研究所に、受託番号FERM P-16000号として寄
託されている。
【0030】このThermococcus sp. B-1001株の菌学的
性質は以下の通りである。 (1)菌の形態は球菌である。 (2)絶対嫌気的に生育する。 (3)生育温度範囲は60℃〜95℃であり、最適生育温度
は85℃付近である。 (4)生育pH範囲はpH5から9であり、最適生育pHは7
付近である。 (5)最適生育NaCl濃度は2%である。 (6)DNAのGC含量は43.0%である。 (7)16S rRNAをコードする遺伝子は、保存性の高い配
列領域から設計したプライマーDNAを用いたPCR法で取得
され、ダイデオキシ法で塩基配列を決定した。決定した
B-1001株の16S rRNA遺伝子配列(1416bp)を配列表の配
列番号1に示す。B-1001株の16S rRNA遺伝子の取得に用
いたプライマーは、Forward primerである、5'-TTCCGGT
TGATCCYGCCGGA-3'(Yは、CまたはTを示す)(配列番号
2)、およびReverse primerである、5'-GGTTACCTTGTTA
CGACTT-3'(配列番号3)である。バイオデータベースC
D-ROM GENETYX-CD Ver.37(ソフトウエア開発株式会社
製)に入力されているGenBank(登録商標)Release 10
0.0 April, 1997とEMBL Release 50.0 March, 1997 (no
n redundancy)の登録データを用いた16S rRNA遺伝子配
列の比較によれば、B-1001株の16S rRNAの配列は、Ther
mococcus属に分類された種々の菌株と高い相同性がある
ことが示された。得られたB-1001株と各Thermococcus属
菌株との相同性を表1に示す。その内で、「バージェー
ズ マニュアル オブ ディターミネイティブ バクテリオ
ロジー第9版(1994年)」および「バージェーズ マニ
ュアル オブ システマティック バクテリオロジー第3
集(1989年)」に記載されているThermococcus celerの
16s rRNA遺伝子配列とB-1001株の配列の比較を図1Aお
よび図1Bに示す。ここで、上段は、B-1001株の16s rR
NA遺伝子配列を示し、下段は、Thermococcus celerの16
s rRNA遺伝子配列を示す。
【0031】
【表1】
【0032】以下、Thermococcus sp. B-1001株を例に
あげて説明する。
【0033】Thermococcus sp. B-1001株を培養して、
本発明のサイクロデキストリン生成酵素を生産させるに
は、静置培養あるいは窒素ガスによる通気撹拌培養によ
り、連続あるいは、回分的に行うことができる。例え
ば、Thermococcus sp. B-1001株を、Appl. Environ. Mi
crobiol. 60(12), 4559-4566(1994)に記載の0.5×2216
マリンブロース培地(2216マリンブロース18.7g/L、PIP
ES 3.48g/L、CaCl2・H2O0.725g/L、0.4mL 0.2% レザズ
リン、475mL 人工海水(NaCl 28.16g/L、KCl 0.7g/L MgC
l2・6H2O 5.5g/L、MgSO4・7H2O 6.9g/L)、蒸留水500mL、
pH7.0、最終濃度400μM Na2S・9H2O、硫黄 10g/L)に、
最終濃度0.2%になるように可溶性デンプンを添加した
培地10Lに接種して培養する。培養に際しては、例え
ば、発酵槽内を窒素ガスに置換し、培養温度85℃にて16
時間培養する。この場合、培養は静置培養で行い、培養
中窒素ガスの通気および撹拌は行わない。なお、かかる
微生物を培養して、本発明の酵素タンパク質を生産させ
るための培養条件は、微生物が生育する範囲内であれば
特に限定はない。
【0034】このようにして培養した後、得られる培養
物から常法により酵素タンパク質を回収する。例えば培
養物を遠心分離または濾過することによって菌体を分離
して上澄を得、この上澄から通常の手段、例えば、塩析
法、溶媒沈澱法(例えば、エタノール、アセトン等)に
よって酵素タンパク質を沈澱あるいは限外濾過により濃
縮し、粗酵素を得る。塩析法、溶媒沈澱法で得られた粗
酵素を沈澱させ、濾過あるいは遠心分離、脱塩処理した
後、これを凍結乾燥粉末とすることもできる。
【0035】得られた酵素がサイクロデキストリン生成
酵素であることは、以下のようにして決定し得る。ま
ず、デンプン分解活性を調べる。デンプン分解活性は、
基質溶液(例えば、馬鈴薯デンプン糊液)に供試酵素液
を加え、反応させた後、ヨード呈色によるBlue Valueの
減少率(%)を測定することにより決定し得る。次に、
サイクロデキストリンの生成活性は、酵素をデンプン溶
液(例えば、馬鈴薯デンプン糊液)と反応させた後、還
元糖を測定し、次いでオリゴ糖の生成パターンを高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)で分離、検出することに
より決定することができる。
【0036】また、生成された各種サイクロデキストリ
ンの生成比率は、生成するα-サイクロデキストリン、
β-サイクロデキストリン、γ-サイクロデキストリンの
各々に特異的に結合する色素を用いる定量法で決定する
こともできる。
【0037】サイクロデキストリン生成酵素を有するタ
ンパク質画分は、上記で得られた粗酵素を、塩析、溶媒
沈澱、等電点沈澱、電気泳動、イオン交換クロマトグラ
フィー、ゲル濾過、疎水性相互作用クロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、サイ
クロデキストリンを利用する)、晶出等の通常の酵素の
精製手段を適宜組合せて用いて精製することによって、
比活性のさらに向上した粗酵素ないし精製酵素とするこ
ともできる。アフィニティークロマトグラフィーを用い
る場合、例えば、サイクロデキストリンを結合させたア
フィニティーカラムを利用することができる。このよう
にして得られたサイクロデキストリン生成酵素を用いて
その性質を調べることができる。
【0038】至適pHおよび至適温度は、馬鈴薯デンプン
糊液を基質として、各種pHまたは各種温度で酵素反応さ
せて調べることができる。
【0039】熱安定性は、緩衝液中で酵素を、一定の温
度(例えば、90℃)で一定時間(例えば、30,60,120分
間)熱処理し、氷冷した後、残存活性を測定することに
より決定し得る。あるいは、緩衝液中で酵素を一定時間
(例えば、40分)、一定の温度(例えば、70、80、90、
95、100、105、110、115、および120℃)で熱処理し、
氷冷した後、残存活性を測定することにより決定し得
る。
【0040】サイクロデキストリン生成酵素の分子量
は、酵素をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-P
AGE)した後、活性染色することにより測定し得る。即
ち、電気泳動後のゲルを可溶性デンプンを含む緩衝液に
浸漬し、インキュベートした後、ゲルを水洗し、水洗後
のゲルをI2−KI水溶液に浸漬し、ゲル中に残存してい
るデンプンを発色させる。このときサイクロデキストリ
ン生成酵素のバンドは、無色のバンドとして検出され
る。なお、分子量が公知である標準タンパク質(例え
ば、レインボーマーカーであるカレコイドスコープスタ
ンダード(日本バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社
製)を分子量マーカーとして用い、サイクロデキストリ
ン生成酵素と同じ条件下で泳動させた後、分子量マーカ
ーの泳動度と、活性染色して検出されたサイクロデキス
トリン生成酵素の泳動度とを比較することにより、見か
けの分子量を決定し得る。
【0041】本発明のサイクロデキストリン生成酵素の
酵素学的性質は、次の通りである; 1)SDS-PAGEおよびそれに続く活性染色での分子量:約
72,000 2)110℃での至適pH:5.0〜5.5 3)90℃での至適pH:4.5〜6.0 4)至適温度:110℃付近(pH5.0における) 5)残存活性:少なくとも90%以上活性保持(pH5.0、1
00℃、40分間の熱処理、デンプンおよびCa2+の非存在
下) 6)生成物:デンプンを基質とした場合、主としてα-
サイクロデキストリン 7)等電点(pI):3.5以下。
【0042】なお、等電点は、等電点電気泳動用ポリア
クリルアミドゲル(例えば、Ampholine PAG Plate pH3.
5-9.5(ファルマシア バイオテク株式会社製)を用い、
電気泳動後、クマシーブリリアントブルーによる染色
で、あるいは、活性染色法で、バンドを検出することに
行われ得る。活性染色による場合は、上記のSDS-PAGEと
同様に、電気泳動後のゲルを1W/V%可溶性デンプンを
含む0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に浸漬し、85℃で1時間
インキュベートした後、適切な濃度(例えば、0.005%
〜0.05%KI)のKI-I2水溶液に浸漬し、ゲル中に残存し
ているデンプンを発色させることにより行う。等電点
(pI)マーカーとなるタンパク質としては、等電点が既
知のタンパク質、例えば、pIキャリブレーションキット
(ファルマシアバイオテク株式会社製)が用いられ得
る。マーカータンパク質は、電気泳動後、クマシーブリ
リアントブルーによる染色を行い、サイクロデキストリ
ン生成酵素の移動度と比較して、等電点が決定され得
る。
【0043】サイクロデキストリンおよびα-サイクロ
デキストリンの製造は基本的には以下のように実施し得
る:約40 W/V%濃度のデンプンスラリーに、サイクロデ
キストリン生成酵素5〜60 U/gDSを添加し、pHを4.5〜
6.0に調整する;90〜95℃で適切な時間、反応を行う。
反応は、HPLCを用いたサイクロデキストリンの定量によ
り評価し得る。ここでDSは乾燥デンプンを表す。
【0044】また、精製された本発明のサイクロデキス
トリン生成酵素を用いて、本酵素の一部のアミノ酸配列
を決定することができる。アミノ酸配列の決定には、例
えば、Edman分解法を用いることができる。このように
して決定されたアミノ酸配列をもとにして、当該分野で
周知の種々の方法を用いることにより、本発明のサイク
ロデキストリン生成酵素をコードする遺伝子の単離を行
うことができる。さらに、このようにして得られるサイ
クロデキストリン生成酵素の遺伝子の配列に、1または
それ以上の欠失、付加、または置換などの改変を行っ
て、本発明のサイクロデキストリン生成酵素の特性を損
なわない程度に改変された機能的同等物をコードする遺
伝子を得ることもできる。上記のように単離されるサイ
クロデキストリン生成酵素遺伝子またはその機能的同等
物をコードする遺伝子を、適切なベクターに挿入して発
現させ得る。単離された遺伝子自身が転写調節配列およ
び翻訳調節配列を有する場合は単離されたそのままの形
で多コピー性のプラスミドに挿入することにより、利用
して発現させることができる。本発明に用いられる発現
ベクターは、市販の発現ベクターまたは市販の発現ベク
ターに由来する発現ベクターであり得、宿主においてサ
イクロデキストリン生成酵素を発現する発現ベクターで
あればよい。単離された遺伝子を大量に発現させるため
には、高発現ベクターの有する転写調節配列および翻訳
調節配列の制御下に、作動可能にインフレームで連結す
ることが好ましい。このようにして得られたベクターを
用いて任意の適切な宿主細胞を形質転換する。
【0045】単離された遺伝子によりコードされる酵素
を産生する方法としては、形質転換された宿主細胞を適
切な条件下で培養し、その培養物から目的とする酵素を
精製する方法が挙げられる。培養に用いられる培地は、
例えばLB培地、および2×YT培地のような通常微生
物の増殖に用いられる培地であってもよいし、宿主細胞
に適した特定の培地であってもよい。培養は、連続的あ
るいは回分的に行うことができる。なお、かかる微生物
を培養して、本発明のサイクロデキストリン生成酵素を
生産させるための培養条件は、微生物が生育する範囲内
であれば特に限定はない。
【0046】このようにして得られる組換え型のサイク
ロデキストリン生成酵素も、本願発明の酵素とほぼ同等
の性質を有するものであれば、本願発明の範囲に含まれ
る。
【0047】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0048】<実施例1> 超好熱菌の産生するサイク
ロデキストリン生成酵素の粗精製および粗酵素の特性 (A)酵素の粗精製 Thermococcus sp. B-1001株を、Appl. Environ. Microb
iol. 60(12), 4559-4566(1994)に記載の0.5×2216マリ
ンブロース培地(2216マリンブロース18.7g/L、PIPES
3.48g/L、CaCl2・H2O 0.725g/L、0.4 mL 0.2% レザズリ
ン、475 mL 人工海水(NaCl 28.16g/L、KCl 0.7g/L MgCl
2・6H2O 5.5g/L、MgSO4・7H2O 6.9g/L)、蒸留水500 mL、
pH7.0、最終濃度400μM Na2S・9H2O、硫黄 10g/L)に、
最終濃度0.2%になるように可溶性デンプンを添加した
培地10Lに接種して15リットルの発酵槽により培養し
た。培養に際しては、発酵槽内を窒素ガスに置換し、培
養温度85℃にて16時間培養した。なお、培養は静置培養
で実施し、培養中窒素ガスの通気および撹拌は行わなか
った。培養終了後、培養液(約10L)を7,000rpmで30分
間の遠心分離により除菌し、限外濾過法(旭化成社製
限外濾過モジュール AIP-1010)による濃縮、そしてそ
れに続く蒸留水による希釈(濃縮−洗浄処理)を3回繰
り返した後、最終的に約500mlまで濃縮した。この濃縮
液を凍結乾燥し、粗酵素サンプル0.75gを得た。デンプ
ン分解活性の測定法は以下の通りである:2.5mlの基質
溶液(最終濃度1%となるように馬鈴薯デンプンをpH4.
0の0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液に溶解した液(馬鈴薯デ
ンプン糊液))に供試酵素液0.25mlを加え、50℃で120
分間反応する;次いで、反応液0.1mlを取り出して0.1N
HCl1ml中に入れて反応を止める。この液0.25mlに0.005
% I2-0.05%KI液5mlを加えてよく振盪し、660nmの波
長で蒸留水を対照として比色する。この反応条件下で、
1%馬鈴薯デンプン糊液1mlのBlue Valueを50℃、1分
間に1%低下させる酵素量を1単位(U)とする。粗酵素
サンプルのデンプン分解酵素活性は14.93 U/gであり、
総活性は11.20 Uであった。得られた粗酵素を使用して
本発明のサイクロデキストリン生成酵素の酵素学的性質
を以下のように検討した。
【0049】(B)作用 (A)で得られた粗酵素を下記の酸性条件下でデンプン
に作用させオリゴ糖を生成させた。 l)基質:1%馬鈴薯デンプン糊液 2)pH:5.0(0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液) 3)温度(℃):90 4)作用時間(時間):3または24 5)酵素添加量(Unit):0.04 上記の条件で粗酵素を作用させた反応液を(A)に記載
の方法でBlue Valueを測定したところ、Blue Valueの減
少がみられた。しかし還元糖を定量するDNS法(3,5-ジ
ニトロサリチル酸法)では、活性を検出することはでき
なかった。従って、この粗酵素は環状のオリゴ糖を生成
することが示唆された。そこで、環状オリゴ糖の生成パ
ターンを分析するために、上記反応液(5μL)を(高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)法で分離し、液体ク
ロマトグラムのパターンをえた。
【0050】高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の分
離条件は次の通りである。 1)カラム:TSK gel Amide-80、東ソー株式会社製 2)流速(ml/分):1.0 3)溶媒:アセトニトリル:水(60:40) 4)カラム温度(℃):30 5)検出方法:示差屈折(RI) このHPLCの結果、3時間および24時間目のメインピーク
は、いずれも市販のα-サイクロデキストリンと同一の
ピークを示した。従って、本発明の酵素は、3時間、お
よび24時間の反応時間において、主としてα-サイクロ
デキストリンを生成するサイクロデキストリン生成酵素
であることが確認された。
【0051】(C)α-、β-およびγ-サイクロデキス
トリンの生成割合 生成した各種サイクロデキストリンの生成割合を、α-
サイクロデキストリン、β-サイクロデキストリン、お
よびγ-サイクロデキストリンの各々に特異的に結合す
る色素を用いた定量法で決定した。
【0052】α-サイクロデキストリンは、Anal. Bioch
em. 181,6-11(1989)に記載のメチルオレンジを用いた方
法に準拠して行った。(B)の条件下で粗酵素を作用さ
せた反応液1mlに、50mMリン酸緩衝液(pH6.0)-1.895m
l、1mMメチルオレンジ溶液-0.105mlおよび6N HCl-0.15
0mlを加え、16℃で30分間室温で静置した後、505nmでの
吸光度を測定して定量した。
【0053】β-サイクロデキストリンは、J. Jpn. So
c. Starch Sci., 34(1),45-48(1987)に記載のフェノー
ルフタレインを用いた方法に準拠して行った。(B)の
条件下で粗酵素を作用させた反応液1mlに、40mM NaOH-
3.5ml、0.02%フェノールフタレイン溶液-0.5mlを加え、
15分間室温で静置した後、550nmでの吸光度を測定して
定量した。
【0054】γ-サイクロデキストリンは、Anal. Che
m., 56,1738-1740(1987)に記載のブロモクレゾールグリ
ーンを用いた方法に準拠して行った。(B)の条件下で
粗酵素を作用させた反応液1mlに、0.2Mクエン酸緩衝液
(pH4.0)-2mlに、5mMブロモクレゾールグリーン溶液-
0.1mlを加え、630nmでの吸光度を測定して定量した。
【0055】これらの定量結果から、(B)の条件下で
粗酵素を作用させた反応液中の各種サイクロデキストリ
ン生成割合は、作用時間3時間の場合、α-サイクロデ
キストリン:β-サイクロデキストリン:γ-サイクロデ
キストリン=82:8:10で、作用時間24時間の場合、α
-サイクロデキストリン:β-サイクロデキストリン:γ
-サイクロデキストリン=73:15:12であった。
【0056】(D)至適pH 1%馬鈴薯デンプンを含む各pH(pH3.5、4.0、4.5、5.
0、5.5、および6.0)の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に0.0
4Uの(A)で得られた粗精製のサイクロデキストリン生
成酵素を加え、90℃、15分間反応を行なった。最大活性
値を100%としたときの各pHでの相対活性を図2に示し
た。図2から明らかな如く、本発明のサイクロデキスト
リン生成酵素の至適pHは幅広く4.5-6.0である。
【0057】(E)至適温度 1%馬鈴薯デンプン糊液(pH5.0、0.1M 酢酸ナトリウム
緩衝液)を基質溶液として、各温度(60、70、80、90、
95、100、105、110、115、および120℃)で25分間、
(A)で得られた粗精製のサイクロデキストリン生成酵
素を反応させ、最大活性値を100%としたときの各温度
での相対活性を分析した。この結果を図3に示す。図3
から明らかな如く、本発明のサイクロデキストリン生成
酵素の至適温度は110℃付近であることがわかった。
【0058】(F)熱安定性 0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に(A)で得られ
た粗精製のサイクロデキストリン生成酵素を加えて、90
℃で30、60、および120分間熱処理し、氷冷した後、1
%馬鈴薯デンプン糊液(pH5.0、0.1M 酢酸ナトリウム緩
衝液)を基質溶液として残存活性を測定した。また、1
mM CaCl2または1mM EDTAを熱処理時に添加し、これらが
熱安定性に及ぼす影響を調べた。これらの結果を図4に
示す。□は、CaCl2およびEDTAを無添加、◆は、1mM Ca
Cl2を添加、そして△は、1mMEDTA添加を表す。
【0059】図4より明らかな如く、本発明のサイクロ
デキストリン生成酵素は、90℃、pH5.0の条件下で120分
間処理した後においても、少なくとも70%以上の活性が
残存していることがわかる。また、1mM CaCl2または1
mM EDTAは熱安定性に影響を及ぼさない。
【0060】また、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.
0)に(A)で得られた粗精製のサイクロデキストリン
生成酵素を加え、70、80、90、95、100、105、110、11
5、および120℃で40分間熱処理し、氷冷した後、1W/V
%馬鈴薯デンプン糊液(pH5.0、0.1M酢酸ナトリウム緩
衝液)を基質溶液として残存活性を測定した。その結果
を、図5に示す。図5より明らかな如く、本発明のサイ
クロデキストリン生成酵素は、90℃、pH5.0の条件下で4
0分間処理した後においては、少なくとも90%以上の活
性が残存していた。従来のThermoanaerobacter属または
Thermoanaerobium属由来の耐熱性サイクロデキストリン
生成酵素(米国特許第5,501,968号)は、同条件で20%
弱の残存活性しか保持していないことから、本発明のサ
イクロデキストリン生成酵素は、優れた耐熱性を有する
サイクロデキストリン生成酵素であることを示してい
る。
【0061】(G)SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳
動による分子量の決定 8W/V%のポリアクリルアミド濃度のSDS-ポリアクリル
アミドゲル電気泳動により、(A)で得られた粗精製の
サイクロデキストリン生成酵素の分子量を推定した。目
的のサイクロデキストリン生成酵素のバンドの検出は、
以下の条件での活性染色により行った。即ち、電気泳動
後のゲルを1%可溶性デンプンを含む0.1M 酢酸ナトリ
ウム緩衝液(pH5.0)に浸漬し、85℃で1時間インキュ
ベート後、ゲルを水洗し、水洗後のゲルを0.0005% I2
-0.05% KI水溶液に浸漬し、ゲル中に残存しているデン
プンを発色させた。サイクロデキストリン生成酵素のバ
ンドは、無色のバンドとして検出された。なお、標準タ
ンパク質としてカレコイドスコープスタンダード(日本
バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社製)を用い、本
発明のサイクロデキストリン生成酵素と同条件で泳動
後、分子量マーカーとした。その結果、本発明のサイク
ロデキストリン生成酵素の分子量は約72,000であること
がわかった。
【0062】以上から、本発明のサイクロデキストリン
生成酵素は、高温条件下で優れたデンプン分解活性を発
揮し、かつ同条件下で高い安定性を示した。さらに、B-
1001株の生成するサイクロデキストリン生成酵素は、主
にα-サイクロデキストリンを生成した。したがって、
本発明のサイクロデキストリン生成酵素は、デンプン液
化能およびサイクロデキストリン生成能を有する優れた
耐熱性を持つサイクロデキストリン生成酵素であること
が明らかとなった。
【0063】(H)等電点電気泳動による等電点の決定 等電点電気泳動用ポリアクリルアミドゲルとして、Amph
oline PAG Plate pH3.5-9.5(ファルマシア バイオテク
株式会社製)を用いた電気泳動により、本発明のサイク
ロデキストリン生成酵素の等電点を求めた。バンドの検
出は、活性染色法でおこなった。電気泳動後のゲルを1
W/V%可溶性デンプンを含む0.1M酢酸ナトリウム緩衝液
に浸漬し、85℃で1時間インキュベートした後、0.005
% I2 -0.05% KI 水溶液に浸漬し、ゲルのなかに残存
しているデンプンを発色させた。なお、等電点(pI)マ
ーカーとなるタンパク質として、pIキャリブレーション
キット(ファルマシア バイオテク株式会社製)を用
い、サイクロデキストリン生成酵素と同じ条件で泳動の
後、クマシーブリリアントブルーR-250(CBB)により染色
し、pIマーカーとした。その結果、本発明の酵素のバン
ドはpIが3.5であるアミノグルコシダーゼのバンドの位
置より陽極側で検出された。従って、本発明のサイクロ
デキストリン生成酵素の等電点(pI)は、3.5以下であ
ることがわかった。
【0064】<実施例2> サイクロデキストリン生成
酵素の精製および精製された酵素の特性 (A)酵素の精製 ここでは、精製酵素を用いたサイクロデキストリン生成
酵素の活性測定は、以下の通りに行った。1W/V%馬鈴
薯デンプン糊液(pH5.0、0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液)
60μLに適当に希釈した精製酵素液を60μL加え、90℃で
10分間反応させた。反応液は、氷水中で急冷した後、10
μLを取り出して0.1N HCl 100μL中に入れて反応を停止
した。この液100μLに0.005% I2-0.05% KI液を2mL加え
て良く撹拌し、660nmの波長で蒸留水を対照として比色
した。この反応条件下で、上記実施例1(A)と同様
に、Blue Valueを1分間に1%低下させる酵素量を1単
位(U)とした。
【0065】実施例1の(A)で得た粗酵素サンプル5
gを50mL蒸留水に溶解し、これに固形硫酸アンモニウム
を80%飽和濃度となるように添加し、4℃で一夜放置し
た。生じた沈澱を遠心分離により回収し、25mM酢酸ナト
リウム緩衝液pH5.0(緩衝液1)40mLに溶解させた後、
緩衝液1に対して一夜4℃で透析した。透析後の粗酵素
溶液を、緩衝液1で平衡化した陰イオン交換クロマトグ
ラフィー用カラム(ResourceQ、ファルマシアバイオテ
ク社製)に添加した。緩衝液1で同カラムを充分洗浄し
た後、0Mから1MのNaClを含む緩衝液1の濃度勾配に
より溶出を行った。上記の方法により、デンプン分解活
性を示す溶出画分を決定した。溶出したデンプン分解活
性画分に固形硫酸アンモニウムを80%飽和濃度となるよ
うに添加して、4℃で一夜放置した。次いで、生じた沈
澱を遠心分離により回収し、12%飽和濃度の固形硫酸ア
ンモニウムを含む25mM Tris-塩酸緩衝液pH7.0(緩衝液
2)に溶解した。この溶解液を緩衝液2で平衡化した疎
水性相互作用クロマトグラフィー用カラム(Phenyl Sup
erose HR5/5、ファルマシアバイオテク株式会社製)に
添加した。次いで、緩衝液2で同カラムを充分洗浄した
後、25mM Tris-塩酸緩衝液pH7.0により溶出を行った。
上記と同様にデンプン分解活性を示す溶出画分を決定し
た。溶出したデンプン分解活性画分を、100mM NaClを含
む25mM Tris-塩酸緩衝液pH7.0(緩衝液3)で平衡化し
たアフィニティークロマトグラフィー用カラム(α-サ
イクロデキストリンを結合したEpoxy-Sepharose 6B、フ
ァルマシアバイオテク社製)に添加した。ここで、Epox
y-Sepharose 6B担体へのα−サイクロデキストリンの結
合は、製品の取扱説明書に従って行った。次いで、900m
M NaClを含む緩衝液3で同カラムを充分洗浄した後、1
W/V%α-サイクロデキストリンを含む緩衝液3により溶
出を行った。上記と同様にデンプン分解活性を示す溶出
画分を決定した。溶出したデンプン分解活性画分は、蒸
留水に対して3日間4℃で透析した後、平均分画分子量
1万の限外濾過膜を用いて0.9mLに濃縮した。この濃縮
液を用いてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行な
った後、実施例1の(G)に記載の活性染色、およびク
マシーブリリアントブルーR250によるタンパク質の染色
を行った。活性染色の結果、実施例1の(G)において
粗酵素サンプルを用いた測定結果と同様に分子量約72,0
00の位置に活性バンドが認められた。また、クマシーブ
リリアントブルーR250によるタンパク質の染色の結果、
分子量約72,000と約83,000の2本のバンドが確認され
た。通常、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に用い
るサンプルは、等量の試料用緩衝液(4.6% SDS、10%
2-メルカプトエタノール、20%グリセロール、125mM Tr
is塩酸緩衝液(pH6.8)、0.01%ブロモフェノールブル
ー)と混合後に煮沸処理を5分間行うことで、タンパク
質の変性を行なう。しかし、本発明のサイクロデキスト
リン生成酵素は非常に熱安定性に優れているため、この
熱処理では完全に変性していないことが考えられ、この
ことは活性染色が可能であることからも推測された。そ
こで、酵素濃縮液と試料用緩衝液を等量混合後に120℃
で5分間熱処理を行なった後、SDS-ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動を行なった結果、分子量約83,000のタンパ
ク質バンドのみが認められ、活性染色はされなかった。
以上の結果より、本発明のサイクロデキストリン生成酵
素は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動的に単一に
精製されたと判断した。
【0066】精製酵素サンプルのサイクロデキストリン
生成酵素活性は、7.86 U/mlであり、総活性は7.07Uで
あった。
【0067】(B)精製酵素による至適pHの測定 至適pHの測定は、1W/V%馬鈴薯デンプンを含む各pH(p
H4.0、4.5、5.0、5.5、および6.0)の0.1M酢酸ナトリウ
ム緩衝液に精製酵素を加え、90℃および110℃で10分間
反応を行った。最大活性値を100%としたときの各pHで
の相対活性を図6に示す。黒三角は90℃での相対活性を
示し、そして黒丸は110℃での相対活性を示す。図6か
ら明らかなように、本発明のサイクロデキストリン生成
酵素の至適pHは、90℃で測定して4.5〜6.0であった。こ
れは、粗酵素サンプルを用いた実施例1の結果と同じで
ある。110℃での測定では、至適pHは5.0〜5.5である。
【0068】(C)精製酵素による至適温度の測定 1W/V%馬鈴薯デンプン糊液(pH5.0、0.1M 酢酸ナトリ
ウム緩衝液)を基質溶液として、各温度(80、90、10
0、110、および120℃)で10分間、精製酵素を反応させ
た。最大活性値を100%としたときの各温度での相対活
性を図7に示す。図7から明らかなように、本発明のサ
イクロデキストリン生成酵素の至適温度は、実施例1に
おいて粗酵素サンプルを用いた測定結果と同様に、110
℃付近であった。
【0069】(D)精製酵素による熱安定性の測定 0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に精製酵素を加え、
各温度(20、70、80、90、100、110、および120℃)で4
0分間熱処理し、氷冷した後、1W/V%馬鈴薯デンプン糊
液(pH5.0、0.1M 酢酸ナトリウム緩衝液)を基質溶液と
して残存活性を測定した。その結果を図8に示す。
【0070】図8から明らかなように、本発明のサイク
ロデキストリン生成酵素は、90℃、pH5.0の条件下で40
分間処理した後においては、100%の活性を残存してい
た。さらに、100℃、pH5.0の条件下で40分間処理した後
においては、少なくとも90%以上の活性を残存してい
た。この結果は、実施例1において粗酵素を用いて得ら
れた結果(図5)に類似しているが、精製酵素は、粗酵
素酵素よりも幾分熱安定性に優れているようである。
【0071】(E)精製酵素による反応産物のHPLC分析 5W/V%の可溶性デンプン溶液を含む0.1M酢酸ナトリウ
ム緩衝液(pH 5.0)50μLに精製酵素を50μL(0.04 U)
加え、全量を100μLとして90℃で0〜24時間反応させ
た。生成したサイクロデキストリン以外のオリゴ糖また
は未反応デンプン等を分解するために、酵素反応液50μ
Lに2M酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)8.75μL、2Uの
グルコアミラーゼ(グルコアミラーゼGLA-III、東洋紡
績株式会社製)および蒸留水を加えて全量100μLとし、
40℃で1時間反応させた。この反応生成物を孔径0.45μ
mのメンブレンフィルターにより濾過した後、得られた
濾液を実施例1の(B)に示した条件によりHPLC分析し
た。また、各サイクロデキストリンスタンダードの種々
の濃度をHPLC分析し、標準曲線を作成することにより、
生成した各サイクロデキストリンの定量を行なった。HP
LC分析の結果を図9に示す。各曲線は、それぞれ、0時
間、4時間、および24時間反応を行った反応液、ならび
にスタンダードにおけるディテクター応答を示す。スタ
ンダードは、α-CD(α-サイクロデキストリン)、β-C
D(β-サイクロデキストリン)、γ-CD(γ-サイクロデ
キストリン)の等モル量混合物である。
【0072】図9から明らかなように、精製酵素をデン
プンに作用させた反応液は、α-、β-、およびγ-サイ
クロデキストリンに相当するピークを示した。24時間の
反応により生成した総サイクロデキストリンの収率は30
%であった。
【0073】総サイクロデキストリンにおけるそれぞれ
のサイクロデキストリンの割合を求めた結果、α-サイ
クロデキストリン:β-サイクロデキストリン:γ-サイ
クロデキストリン=79:14:7であった。この結果は実
施例1(C)の結果とほぼ同様であり、本発明のサイク
ロデキストリン生成酵素は、主としてα-サイクロデキ
ストリンを生成するサイクロデキストリン生成酵素であ
ることが確認された。
【0074】<実施例3> デンプンスラリーを原料と
してのサイクロデキストリン製造 デンプン濃度40W/V%、実施例1で得た粗精製酵素(30U
/gDS)、PH5.0、反応温度90℃の条件で24時間、反応を
行った。HPLCを用いて反応を評価した結果、生成物は主
としてα-サイクロデキストリンであり、その収率は24
時間で40%であった。
【0075】この結果から、スターチスラリーから、デ
ンプン液化とサイクロデキストリンの生成とを同時に行
うことが可能であることが示された。従って、本発明の
サイクロデキストリン生成酵素は、デンプン液化能
(力)も併せて有しているように思われた。
【0076】<実施例4> pH無調整のコーンスターチ
スラリーを原料としてのサイクロデキストリン製造 pH無調整のコーンスターチスラリーからのサイクロデキ
ストリン製造を以下のように実施した。30W/V%濃度の
コーンスターチスラリーに、本発明のサイクロデキスト
リン生成酵素(実施例1で得た粗酵素)15U/gDSを添加
した。コーンスターチスラリーのpHは4.5であり、本発
明のサイクロデキストリン生成酵素の至適pHは4.5〜6.0
の酸性域にあるので、特にpHを調整する必要もなく反応
を行うことができた。90〜95℃で24時間、デンプンの液
化およびサイクロデキストリンの生成を行った。HPLCを
用いて反応を評価した結果、生成物は主としてα-サイ
クロデキストリンであり、その収率は、24時間の反応で
34.4%であった。
【0077】この結果から、pH無調整のコーンスターチ
スラリーから、デンプンの液化とサイクロデキストリン
の生成とを同時に行うことができる、サイクロデキスト
リンの連続製造方法が可能であることが示された。
【0078】
【発明の効果】高温条件下で優れたデンプン分解活性を
発揮し、かつサイクロデキストリン、例えば主としてα
-サイクロデキストリンを生成するサイクロデキストリ
ン生成酵素が提供される。本発明のサイクロデキストリ
ン生成酵素は、デンプン液化能およびサイクロデキスト
リン生成能を有する優れた耐熱性をもつサイクロデキス
トリン生成酵素であり、工業的なサイクロデキストリン
製造工程の工程改善に有用な酵素である。さらに、本発
明のサイクロデキストリン生成酵素をもとにしてサイク
ロデキストリン生成酵素遺伝子を含むDNA断片を取得し
得る。このようにして取得されたDNA断片を用いること
により、このサイクロデキストリン生成酵素を大量に生
産する微生物を作出し、本発明に記載のサイクロデキス
トリン生成酵素を安価に大量生産することができる。さ
らに、このDNA断片は、部位特異的変異導入法等によ
り、酸性条件下や高温条件下で安定性の増大したα-ア
ミラーゼを創製するための材料にもなり得る。
【0079】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1416 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:環状 配列の種類:Genomic DNA 起源: 生物名:Thermococcus sp. 株名:B-1001 配列 AGGCCACTGC TATCGGGGTC CGACTAAGCC ATGCGAGTCA AGGGGGTGTC CCTCTGGGAC 60 ACGACCGGCG GACGGCTCAG TAACACGTCG GTAACCTACC CTCGGGAGGG GGATAACCCC 120 GGGAAACTGG GGCTAATCCC CCATAGGCCT GAGGTACTGG AAGGTCCTCA GGCCGAAAGG 180 GGCTTTGCCC GCCCGAGGAT GGGCCGGCGG CCGATTAGGT AGTTGGTGGG GTAACGGCCC 240 ACCAAGCCGA AGATCGGTAC GGGCTGTGAG AGCAGGAGCC CGGAGATGGA CACTGAGACA 300 CGGGTCCAGG CCCTACGGGG CGCAGCAGGC GCGAAACCTC CGCAATGCGG GAAACCGCGA 360 CGGGGGGACC CCGAGTGTCG TGGCACCGCC ACGGCTTTTC CGGAGTGTAA AAAGCTCCGG 420 GAATAAGGGC TGGGCAAGGC CGGTGGCAGC CGCCGCGGTA ATACCGGCGG CCCGAGTGGT 480 GGCCGCTATT ATTGGGCCTA AAGCGTCCGT AGCCGGGCCC GTAAGTCCCT GGCGAAATCC 540 CACGGCTCAA CCGTGGGGCT TGCTGGGGAT ACTGCGGGCC TTGGGACCGG GAGAGGCGGG 600 GGGTACCCCT GGGGTAGGGG TGAAATCCTA TAATCCCAGG GGGACCGCCA GTGGCGAAGG 660 CGCCCCGCTG GAACGGGTCC GACGGTGAGG GACGAAGGCC AGGGGAGCAA ACCGGATTAG 720 ATACCCGGGT AGTCCTGGCT GTAAAGGATG CGGGCTAGGT GTCGGGTGAG CTTCGAGCTC 780 GCCCGGTGCC GTAGGGAAGC CGTTAAGCCC GCCGCCTGGG GAGTACGGCC GCAAGGCTGA 840 AACTTAAAGG AATTGGCGGG GGAGCACTAC AAGGGGTGGA GCGTGCGGTT TAATTGGATT 900 CAACGCCGGG AACCTCACCG GGGGCGACGG CAGGATGAAG GCCAGGCTGA AGGTCTTGCC 960 GGACACGCCG AGAGGAGGTG CATGGCCGCC GTCAGCTCGC ACCGTGAGGC GTCCACTTAA 1020 GTGTGGTAAC GAGCGAGACC CGCGCCCCCA GTTGCCAGCC CTTCCCGTTG GGAAGGGGGC 1080 ACTCTGGGGG GACTGCCGGC GATAAGCCGG AGGAAGGAGC GGGCGACGGT AGGTCAGTAT 1140 GCCCCGAAAC CCCCGGGCTA CACGCGCGCT ACAATGGGCG GGACAATGGG ATCCGACCCC 1200 GAAAGGGGAA GGGAATCCCC TAAACCCGCC CCCAGTTCGG ATCGCGGGCT GCAACTCGCC 1260 CGCGTGAAGC TGGAATCCCT AGTACCCGCG TGTCATCATC GCGCGGCGAA TACGTCCCTG 1320 CTCCTTGCAC ACACCGCCCG TCACTCCACC CGAGCGGGGT CTGGATGAGG CTCCGTCCTC 1380 TGGGCGGGGT CGAGTCCGGG CTCCGTGAGG GGGGAG 1416
【0080】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TTCCGGTTGA TCCYGCCGGA 20
【0081】配列番号:3 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GGTTACCTTG TTACGACTT 19
【図面の簡単な説明】
【図1A】B-1001株とThermococcus celerとの相同性を
示す図面である。
【図1B】B-1001株とThermococcus celerとの相同性を
示す図面である。
【図2】本発明の粗精製酵素の各pHにおける相対活性を
表すグラフである。
【図3】pH5.0での各温度における粗精製酵素の相対活
性を表すグラフである。
【図4】pH5.0、90℃にて種々の時間保温した後の粗精
製酵素の残存活性を示すグラフである。
【図5】pH5.0にて40分間、種々の温度で保温した後の
粗精製酵素の残存活性を示すグラフである。
【図6】本発明の精製酵素の各pHにおける相対活性を表
すグラフである。
【図7】pH5.0での各温度における精製酵素の相対活性
を表すグラフである。
【図8】pH5.0にて40分間、種々の温度で保温した後の
精製酵素の残存活性を示すグラフである。
【図9】HPLC分析の結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (C12N 9/10 C12R 1:01) (C12N 1/20 C12R 1:01) (72)発明者 森脇 雅史 兵庫県神戸市西区室谷2丁目2番3号 長 瀬産業株式会社研究開発センター内 (72)発明者 白坂 直輝 兵庫県神戸市西区室谷2丁目2番3号 長 瀬産業株式会社研究開発センター内 (72)発明者 小島 岩夫 京都府福知山市長田野町一丁目52番地 ナ ガセ生化学工業株式会社内 (72)発明者 鈴木 裕治 京都府福知山市長田野町一丁目52番地 ナ ガセ生化学工業株式会社内 (72)発明者 橘 佳永 京都府福知山市長田野町一丁目52番地 ナ ガセ生化学工業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サイクロデキストリン生成酵素であっ
    て、デンプンおよびカルシウムイオンの非存在下で、pH
    5.0、100℃、40分間の熱処理後、少なくとも90%活性が
    残存する、サイクロデキストリン生成酵素。
  2. 【請求項2】 さらに、以下の理化学的性質を有する請
    求項1に記載のサイクロデキストリン生成酵素: (1)110℃での至適pHが5.0〜5.5である: (2)pH5.0における至適温度が110℃付近である: (3)SDS-PAGEおよびそれに続く活性染色での分子量が
    約72,000である:および (4)等電点が3.5以下である。
  3. 【請求項3】 90℃での至適pHが4.5〜6.0である、請求
    項2に記載のサイクロデキストリン生成酵素。
  4. 【請求項4】 超好熱菌Thermococcus属に属する微生物
    から得られる、請求項1〜3のいずれかに記載のサイク
    ロデキストリン生成酵素。
  5. 【請求項5】 超好熱菌Thermococcus sp. B-1001株か
    ら得られる、請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロ
    デキストリン生成酵素。
  6. 【請求項6】 デンプンからα-サイクロデキストリン
    を主として生成する、請求項1〜5のいずれかに記載の
    サイクロデキストリン生成酵素。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかに記載のサイク
    ロデキストリン生成酵素を産生する能力を有する超好熱
    菌を培養する工程;培養物から該サイクロデキストリン
    生成酵素を採取する工程を含む、サイクロデキストリン
    生成酵素の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記培養物からサイクロデキストリン生
    成酵素を採取する工程が、該培養物を、陰イオン交換ク
    ロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィ
    ー、およびアフィニティークロマトグラフィーからなる
    群から選択されるクロマトグラフィーを用いて精製する
    工程をさらに包含する、請求項7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記超好熱菌がThermococcus属に属する
    微生物である、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記Thermococcus属に属する微生物が
    Thermococcus sp. B-1001株である、請求項9に記載の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれかのサイクロデ
    キストリン生成酵素を40 W/V%以下の濃度のデンプンス
    ラリーに添加し、デンプンの液化とサイクロデキストリ
    ンの生産を同時に行う、サイクロデキストリンの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記サイクロデキストリンが主として
    α-サイクロデキストリンである、請求項11に記載の
    製造方法。
JP9358594A 1996-12-26 1997-12-25 超耐熱性サイクロデキストリン生成酵素 Withdrawn JPH10234387A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112697562A (zh) * 2021-01-21 2021-04-23 上海雅酶生物医药科技有限公司 免脱色聚丙烯酰胺凝胶蛋白快速染色液及制备和使用方法

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