JPH10230935A - イージーオープン缶蓋およびその製造方法 - Google Patents

イージーオープン缶蓋およびその製造方法

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JPH10230935A
JPH10230935A JP8702297A JP8702297A JPH10230935A JP H10230935 A JPH10230935 A JP H10230935A JP 8702297 A JP8702297 A JP 8702297A JP 8702297 A JP8702297 A JP 8702297A JP H10230935 A JPH10230935 A JP H10230935A
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opening
lid
tab
center
notch
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JP8702297A
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English (en)
Inventor
Masayoshi Kurihara
正好 栗原
Yutaka Mihara
豊 三原
Masahisa Fujikake
政久 藤掛
Yuji Yamazaki
雄司 山崎
Yoshinori Yomura
吉則 余村
Reiko Sugihara
玲子 杉原
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イージーオープン缶蓋の開缶力を安定して低
減化し、開缶性を向上させる。 【解決手段】 刃先の曲率が 0.5mm以下のポンチおよび
ダイスと、しわ押さえ板とからなる1対の金型を使用
し、缶蓋1に対し、ポンチ食込み量 0.4t 〜0.7t(t:板
厚)、ポンチとダイスとの片側クリアランス−0.3t〜0.
3tの条件で中止め剪断加工を施すことによって、缶蓋1
の表面および裏面の各々に、先端半径(ρ)が0.025mm
以下で、深さ(D)が0.25t〜0.40tの範囲内の鋭いき
裂状の開口用ノッチ2a, 2bが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、缶体の缶蓋パネ
ルに形成された開口部を破断して開缶する、飲料用缶や
食缶の缶蓋に使用されるイージーオープン缶蓋およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビール、ジュース、コーヒー等の各種飲
料を収容する缶の缶蓋として、缶蓋のパネルに形成され
た開口部を指で破断し開缶するイージーオープン缶蓋が
広く使用されている。イージーオープン缶蓋は、主とし
て飲料缶に使用されるパーシャルオープンタイプの缶蓋
と、主として食缶に使用されるフルオープンタイプの缶
蓋とに大別される。
【0003】パーシャルオープンタイプの缶蓋は、プル
トップ・タブ・タイプの缶蓋と、ステイオン・タブ・タ
イプの缶蓋とに大別される。図8は、プルトップ・タブ
・タイプ缶蓋の一例を示す概略平面図である。図8に示
すプルトップ・タブ・タイプの缶蓋の開口は、次のよう
にして行われる。即ち、鋼、アルミニウム等の金属板か
らなる缶蓋1の中央パネル部7の中心にリベット機構8
により固定されているタブ9を引き上げることによっ
て、中央パネル部7に開口用溝11が刻設されている破
断開口部10を、てこの作用により、タブ9の作用端が
押し下げる。その結果、開口用溝11は破断し、更にタ
ブ9を引っ張ることによって、破断した開口片は缶蓋1
から完全に切り離される。
【0004】図9は、ステイオン・タブ・タイプの缶蓋
の一例を示す概略平面図である。図9に示すステイオン
・タブ・タイプ缶蓋の開口は、次のようにして行われ
る。即ち、缶蓋1の中央パネル部7の中心にリベット機
構8により固定されているタブ9を引き上げることによ
って、中央パネル部7に開口用溝11が刻設されている
破断開口部10を、てこの作用により、タブ9の作用端
が押し下げる。その結果、開口用溝11は破断し、更
に、タブ9の引き起こし端を引き上げることによって破
断を進行させ、その際に生じた破断開口片の一部を缶蓋
1に連結させたまま缶内に押し込む。
【0005】また、フルオープンタイプの缶蓋は、缶蓋
の外周縁に沿って開口用溝が刻設されており、缶蓋外周
縁近くのパネル部に固定されたタブを引き上げることに
よって、プルトップタイプの場合と同様に、開口片を缶
蓋から切り離すようになっている。
【0006】上述したイージーオープン缶蓋における開
口用溝の形成は、従来、次のようにして行われている。
即ち、図10に示すように、所定の開口部輪郭が形成さ
れた刃先状突起を持つ加工工具12を使用し、缶蓋の表
面側より蓋板13の厚さの1/2以上の深さの開口用溝
が形成されるような高い荷重でプレスにより押圧する。
かくして断面V字状の溝14が形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のイージ
ーオープン缶蓋の開缶のためのタブの引き上げには相当
の力を必要とし、子供や女性にとって開缶は容易ではな
い。開缶時のタブ引き上げ力を低減し、指先によって容
易に開缶させるためには、蓋板に形成されるV字状溝1
4の先端形状を鋭くすればよいが、V字状溝14は、プ
レス加工によって形成されるために、その先端形状には
制限があり、先端の曲率半径0.05mm前後が限界であ
る。従って、タブの引き上げ力を、子供や女性が容易に
開缶できるまでに低減することはできない。
【0008】刃先状突起を有する加工工具を押圧するこ
とにより開口用溝を形成する際における上述した問題の
対策として、例えば、特公昭55−10454号公報、
特公平3−71500号公報、特公平3−71501号
公報等が提案されているが、上記何れの提案もタブ引き
上げ力を十分に低減するまでには至っていない。
【0009】更に、特公平3−5890号公報、特開昭
62−235053号公報、特開平2−179329号
公報等には、減厚加工や缶蓋内面側からの加工を組み合
わせることによって、タブ引き上げ力を低減させる方法
も提案されているが、上述した方法においても、V字状
開口用溝の先端形状は、加工工具の摩耗や破損等の観点
から制約を受け、開口時に十分な応力集中を実現させる
ことができない。
【0010】また、特開平8−224626号公報に
は、圧縮、引張り、剪断加工を組合せてV字状開口用溝
とは異なる形状の開口用溝を形成する方法が提案されて
いる。しかしながら、この方法では、しわ押さえ板を使
用していないために、ポンチ押し込み段階で加工部周辺
の材料が引張り変形を受け、板厚減少が生じる結果、剛
性が低下し、開口時に溝部に変形を集中させることがで
きず、開口力を十分に低減することができない問題があ
った。
【0011】実公昭63−40439号公報には、指の
挿入および指掛け挟持部の挟持を容易にするために、缶
蓋の中央パネル部とダブの指掛け挟持部との間隙を広め
る目的で、指挿入用凹部をダブの指掛け挟持部の下方の
中央パネル部に形成することが提案されており、また、
実開平5−40133号公報には、ダブの中心軸が破断
開口部の中心軸からずれた開口不可位置から、ダブの中
心軸と破断開口部の中心軸とが一致する開口可能位置に
回転移動可能な程度にタブをリベット留めし、タブが開
口不可位置から開口可能位置に移動する間に、リベット
とダブの指掛け挟持部の間に位置する中央パネル部に設
けたテーパー状の突起によってタブの指掛け挟持部を浮
き上がらせることにより、缶蓋の中央パネル部とタブの
指掛け挟持部との間隙への指の挿入および指掛け挟持部
への指掛かりを容易にすることが提案されている。
【0012】上記缶蓋によれば、指挿入用凹部またはテ
ーパー状の突起が形成されていることにより、それらが
形成されていないものと比較して、缶蓋の中央パネル部
とタブの指掛け挟持部との間隙への指の挿入、および、
指掛け挟持部への指掛かりは容易になるが、開缶時の引
き上げ力は変わらないために、開缶力の低減までには至
っていない。
【0013】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、開缶力を安定して低減化し、子供や女性でも
容易に開缶することができる、開缶性の優れたイージー
オープン缶蓋およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明の
イージーオープン缶蓋は、缶蓋の両面に先端半径(ρ)
が0.025mm以下であって、深さ(D)が0.25t
〜0.40t(t:板厚)の範囲内の開口用ノッチが形
成されていることに特徴を有するものである。
【0015】請求項2に記載の発明のイージーオープン
缶蓋は、請求項1に記載の条件を満たす開口用ノッチが
形成され、そして、タブが、タブ留めを中心として開口
不可位置から開口可能位置まで回転可能に取り付けられ
ている缶蓋であって、前記タブ留めの中心位置が缶蓋の
中心から開口部反対側に下記(1) 式に示す距離aだけず
れており、タブ留めの中心とタブの指掛け挟持部との間
の長さSが下記(2) 式の範囲内であり、開口不可位置に
おけるタブ中心線と開口位置におけるタブ中心線との間
の角度θが下記(3) 式の範囲内であり、且つ、開口可能
位置において、タブの指掛け挟持部を、缶蓋外周の外側
で且つ缶蓋周辺よりも高い位置にすることができる扛上
手段が缶蓋に設けられていることに特徴を有するもので
ある。 (M−m)/2<a<m/2−w・・・・・・(1) m−w>S>m/2−a・・・・・・・・・・(2) −1<cos θ<1/(2×a×S)×{(m/2)2−(S2 +a2)}・・・・(3) 但し、a:タブ留め中心位置の缶蓋中心からのずれ距
離、 S:タブ留め中心とタブ指掛け挟持部との間の長さ、 w:タブ留め中心とタブ作用部との間の長さ、 θ:開口不可位置におけるタブ中心線と開口可能位置に
おけるタブ中心線との間の角度、 m:缶蓋の内径、 M:缶蓋の外径。
【0016】請求項3に記載の発明のイージーオープン
缶蓋の製造方法は、缶蓋パネルの開口部に対し、刃先の
曲率(R)が0.5mm以下のポンチおよびとダイスと、
しわ押さえ板とからなる1対の金型を使用し、ポンチ食
込み量(P)が0.4t〜0.7t(t:板厚)であっ
て、且つ、ポンチとダイスとの片側クリアランス(C)
がー0.3t〜0.3tの条件で、中止め剪断加工を施
すことにより、前記開口部の両面に先端半径(ρ) が
0.025mm以下で、深さ(D)が0.25t〜0.4
0t(t:板厚)の範囲内の開口用ノッチを形成するこ
とに特徴を有するものである。
【0017】請求項4に記載の発明のイージーオープン
缶蓋の製造方法は、請求項3に記載の方法によって、缶
蓋パネルの開口部に対し、中止め剪断加工によって開口
用ノッチを形成した後、次いで、前記開口部を平金型に
より押圧成形することによって、前記開口部の両面に、
先端半径(ρ) が0.025mm以下で、深さ(D)が
0.25t〜0.40t(t:板厚)の範囲内の開口用
ノッチを形成することに特徴を有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明のイージーオープ
ン缶蓋およびその製造方法を、図面を参照しながら説明
する。
【0019】図1は、請求項1および3に記載の、この
発明のイージーオープン缶蓋の一実施態様を示す、缶体
の缶蓋パネルに形成された開口用切込み部分の断面図で
ある。この実施態様においては、図1に示すように、缶
蓋1の表面1aおよび裏面1bの各々に、従来の缶蓋の
開口用溝とは異なる開口用切込みとして、先端半径
(ρ) が0.025mm以下で、深さ(D)が0.25t
〜0.40t(t:板厚)の範囲内の鋭いき裂状の開口
用ノッチ2a,2bが形成されている。
【0020】図2は、請求項1および4に記載の、この
発明のイージーオープン缶蓋の一実施態様を示す、缶体
の缶蓋パネルに形成された開口用切込み部分の断面図で
ある。この実施態様においては、中止め剪断加工とその
後の図6に示す平金型6,6による押圧成形加工とによ
って、図2に示すように、缶蓋1の表面1aおよび裏面
1bの各々に、従来の缶蓋の開口用溝とは異なる開口用
切込みとして、先端半径(ρ) が0.025mm以下で、
深さ(D)が0.25t〜0.40t(t:板厚)の範
囲内の鋭いき裂状の開口用ノッチ2a,2bが形成さ
れ、且つ、開口部の表面および裏面は平坦になってい
る。
【0021】図3は、き裂状ノッチの先端半径(ρ) と
開缶力との関係を、ノッチ深さ(D)が0.25tの場
合について示したグラフである。なお、開缶力は、本発
明の中止め剪断加工の場合の開缶力と従来のV字状溝加
工の場合の開缶力との比(中止め剪断/V字溝)によっ
て表した。
【0022】図3から明らかなように、開口用ノッチ2
a,2bの先端が鋭いほど開缶力は低減する。一方、ノ
ッチの先端半径(ρ) が0.025mmを超えると、従来
のV字溝の場合と大差がなくなる。従って、この発明に
おいては、開口用ノッチの先端半径(ρ) を0.025
mm以下に限定した。
【0023】図4は、開口用ノッチの深さ(D)と開缶
力との関係を、ノッチ先端半径(ρ) が0.025mmの
場合について示したグラフである。図4から明らかなよ
うに、開口用ノッチの深さ(D)が深いほど開缶力が低
減する。しかしながら、開口用ノッチ深さ(D)が0.
40t(t:板厚)を超えて深くなり過ぎると、外部か
らの衝撃等によって開缶破断するおそれが生ずる。一
方、開口用ノッチ深さ(D)が0.25t未満で浅い場
合には、従来の缶蓋のV字溝の場合と大差がなくなる。
従って、この発明においては、開口用ノッチ深さ(D)
を、0.25t〜0.40tの範囲内に限定した。
【0024】上述した形状の開口用ノッチは、図5に示
すように、刃先の曲率(R)が0.5mm以下のポンチ3
およびダイス4と、しわ押さえ板5とからなる一組の金
型を使用し、缶蓋1に対し、しわ押さえ板でしわ押さえ
をかけ、ポンチ3の食込み量(P)が、缶蓋の板厚tを
パラメーターとして、0.4t〜0.7tの範囲内で、
且つ、ポンチ3とダイス4との片側クリアランス(C)
がー0.3t〜0.3tの範囲内の条件で中止め剪断加
工を施すことにより形成することができ、また、中止め
剪断加工とその後の図6に示す平金型6、6による押圧
成形によっても形成することができる。
【0025】ここで、加工時にしわ押さえをかけること
は、この中止め剪断加工において重要な要件である。即
ち、加工時にしわ押さえをかけることにより、周辺部の
材料変形を抑制し、ポンチとダイスの肩近傍の十分に狭
い範囲の材料に歪みを集中させることにより、鋭いき裂
状の開口用ノッチを導入し得る。
【0026】ポンチ3の食込み量(P)を増加させるに
従って、開口用ノッチ2a,2bの深さは増加するが、
ポンチ3の食込み量(P)が0.7tを超えると、開口
用ノッチの深さ(D)が本発明の上限である0.40t
を超え、外部からの衝撃等によって開缶破断するおそれ
が生ずる。
【0027】一方、ポンチ3の食込み量(P)が0.4
t未満では、開口用ノッチの深さ(D)が本発明の下限
である0.25t未満になって、従来法により形成され
たV字溝の場合よりも大きな開缶力となり、適正深さの
ノッチを形成することができなくなる。従って、ポンチ
3の食込み量(P)は0.4t〜0.7tの範囲内に限
定すべきである。
【0028】ポンチ3とダイス4との片側クリアランス
(C)がー0.3t未満または0.3tを超えると、き
裂状の開口用ノッチを形成することができなくなる。ま
た、ポンチ3およびダイス4の刃先の曲率(R)が0.
5mmを超えると、所定の切り込みを形成することができ
なくなる。従って、ポンチ3の食込み量(P)が0.4
t〜0.7tの範囲で、所定の切り込みを安定して形成
するためには、ポンチ3およびダイス4の刃先の曲率
(R)を0.5mm以下とすることが必要である。
【0029】缶蓋1に対し上述した加工を施すことによ
り、刃先状突起を有する工具によってプレスで押圧成形
する従来の方法と比較して、図1および図2に示すよう
な鋭いき裂状の切り込みを形成することができ、従来法
により形成されたV字溝と比較し、開缶力を低減させる
ことができる。
【0030】図7は、請求項2に記載したイージーオー
プン缶蓋の他の実施態様を示す概略平面図である。図7
において、aは、タブ留めの中心位置と缶蓋1の中心と
の間の距離を示し、Sは、リベット中心からタブ9の先
端までの長さを示し、wは、タブ留めの中心とタブ9の
作用部先端との間の長さを示し、θは、開口不可位置に
おけるタブ中心線と開口可能位置におけるタブ中心線と
の間の角度を示し、mは、缶蓋1の内径を示し、そし
て、Mは、缶蓋1の外径を示す。
【0031】本発明においては、リベット中心からタブ
9の先端までの長さSを、下記(2)式の範囲内とし、従
来よりも長くすることによって、てこの作用による支点
と力点との間の距離を長くしており、これによって、作
用点における発生力を従来よりも大きくしている。 m−w>S>m/2−a・・・・・・(2) 更に、タブ留めの中心位置を、缶蓋中心から開口部の反
対側に、下記(1) 式の範囲内でずらし、 (M−m)/2<a<m/2−w・・・・・・(1) タブ9をタブ留め中心の周りに下記(3) 式で得られるθ
分だけ回転させている。 −1<cos θ<1/(2×a×S)×{ (m/2)2 −(S2 +a2)}・・・・(3) タブ留めの中心位置を、缶蓋中心から開口部の反対側
に、上記(1) 式の範囲内でずらした理由は、次の通りで
ある。即ち、缶蓋中心にダブ留めを施す場合には、リベ
ット中心からタブ9の先端までの長さを長くすると、タ
ブ全体を中央パネル7上に納めることができず、缶の積
重ね性、貯蔵性および搬送性が著しく損なわれ、一方、
タブ9を巻き締め部以内に納め且つタブ端部と巻き締め
部との間に指を挿入するスペースを確保するために、リ
ベットと指掛け端部までの距離Sが、S<m/2−5m
mに制限されてしまう。これに対して、本発明によれ
ば、上述したようにタブ留めの中心位置をaだけずら
し、そして、θ分だけ回転させることによって、タブ全
体を中央パネル7上に納めることが可能になる。
【0032】更に、開缶時には、タブ9をタブ留めを中
心に開口不可位置から開口可能位置まで回転する。しか
しながら、単に回転させるだけでは、回転途中でタブ端
部が缶蓋周辺の巻き締め部に当たり、それ以上の回転が
不可能になる。従って、中央パネル7にスロープ状の突
起を形成し、巻き締め部の高さ以上の高さまでタブ端部
を持ち上げることによって、タブ9を開口可能位置まで
回転させることが可能になる。
【0033】このようにして、タブ9を開口可能位置ま
で回転させた場合、タブ引き起こし側端部は、缶蓋外周
(巻き締め部外周)よりも外側に位置するので、タブ9
への指掛け挟持が容易に行えるようになる。
【0034】図7においては、タブ9を角移動自在に止
める手段としてリベットを示したが、これに限られるも
のではなく、同一構造のタブ留め部材を中央パネル部に
他の接着手段によって固着してもよい。タブ9の形状
は、角移動が容易なようにタブ側面を立ち上げて、指掛
かりを良くすることが望ましい。なお、図7において
は、スティオン・タブ・タイプの缶蓋を示したが、本発
明は、これに限られるものではなく、プルトップ・タブ
・タイプの缶蓋にも適用することができる。
【0035】缶蓋の材質としては、一般に、0.15〜
0.30mmの板厚のアルミニウム板や、表面に金属めっ
きが施された表面処理鋼板または前記金属めっきの表面
上に樹脂被膜が積層された鋼板等が使用される。
【0036】
【実施例】次に、この発明を実施例により比較例と対比
しながら更に説明する。 〔実施例1〕板厚0.25mmで、硬度(HR30T)が
61の薄鋼板の表面に、2.8g/m2の量の電気錫めっき
層が形成され、前記電気錫めっき層の上に、クロメート
処理によって12mg/m2 の量の金属クロム層と、その上
層の金属クロム換算で10mg/m2 の量のクロム水和酸化
物層とからなるクロメート被膜が形成された電気錫めっ
き鋼板に対し、表1に示す本発明の範囲内の開口用溝加
工条件で、同表に示す形状の開口用ノッチが形成され
た、プルトップ・タブ・タイプのイージーオープン型缶
蓋の供試体(以下、本発明供試体という)No. 1〜3を
調製した。比較のために、表1に併せて示す本発明の範
囲外の開口用溝加工条件で、同表に示す形状の開口用ノ
ッチが形成されたプルトップ・タブ・タイプのイージー
オープン型缶蓋の供試体(以下、比較用供試体という)
No. 1,2を調製した。
【0037】
【表1】
【0038】〔実施例2〕板厚が0.25mmで、硬度
(HR30T)が61の薄鋼板の表面に、クロメート処
理によって、120mg/m2 の量の金属クロム層と、その
上層に金属クロム換算で15mg/m2 の量のクロム水和酸
化物層とからなるクロメート被膜が形成されたティンフ
リースチールに対し、表2に示す本発明の範囲内の開口
用溝加工条件で同表に示す形状の開口用ノッチが形成さ
れたスティオン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋
の本発明供試体No. 4〜6を調製した。比較のために、
表2に併せて示す本発明の範囲外の開口用溝加工条件で
同表に示す形状の開口用ノッチが形成されたスティオン
・タブ・タイプのイージーオープン型缶蓋の比較用供試
体No. 3,4を調製した。
【0039】
【表2】
【0040】〔実施例3〕板厚0.25mmのアルミニウ
ム合金板(JIS A5052)の表面に、表3に示す本発明の範
囲内の開口用溝加工条件で同表に示す形状の開口用ノッ
チが形成されたスティオン・タブ・タイプのイージーオ
ープン缶蓋の本発明供試体No. 7〜9を調製した。比較
のために、表3に併せて示す本発明の範囲外の開口用溝
加工条件で同表に示す形状の開口用ノッチが形成された
スティオン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋の比
較用供試体No. 5,6を調製した。
【0041】更に、表3に併せて示すように、本発明供
試体No. 1〜3で使用した錫めっき鋼板に対し、逆台形
の刃先を有する従来型の金型を使用し開口用溝が形成さ
れた、スティオン・タブ・タイプのイージーオープン缶
蓋からなる比較用供試体No.7、本発明供試体No. 4〜
6で使用したティンフリースチールに、比較用供試体N
o. 7と同様の方法によって開口用溝が形成された、ス
ティオン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋からな
る比較用供試体No. 8、および、本発明供試体No. 7〜
9で使用したアルミニウム合金板に、比較用供試体No.
7と同様の方法によって開口用溝が形成された、スティ
オン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋からなる比
較用供試体No. 9を調製した。
【0042】
【表3】
【0043】上述のようにして調製された本発明供試体
No. 1〜9および比較用供試体No.1〜9のイージーオ
ープン型缶蓋について、開口時に開口用溝を破断させる
際の荷重Wを測定した。そして、易開口性の指標とし
て、一般的な従来技術である比較用供試体No. 9の開口
荷重W9との比(W/W9)を算出し、表1〜表3の各
々に併せて示した。
【0044】表1〜表3から明らかなように、本発明供
試体No. 1〜9は、開口性の評価(W/W9)が0.5
〜0.8であり、何れも開口性に優れていた。これに対
し、比較用供試体No. 1、3、5、7、8は、開口性の
評価(W/W9)が何れも1以上であり、開口性に劣っ
ていた。また、比較用供試体No. 2、4、6は、開口性
の評価(W/W9)が何れも0.3以下であり、開口荷
重が小さすぎるために、搬送途中において破断などの事
故が発生する可能性が高く、実用に供することはできな
かった。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
缶蓋の両面に鋭いき裂状の開口用ノッチが形成されてい
ることによって、開缶力が安定して低減し、開缶性に優
れたイージーオープン缶蓋が得られる、工業上有用な効
果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイージーオープン缶蓋の一実施態様を
示す、缶体の缶蓋パネルに形成された開口用切込み部分
の断面図である。
【図2】本発明のイージーオープン缶蓋の他の実施態様
を示す、缶体の缶蓋パネルに形成された開口用切込み部
分の断面図である。
【図3】き裂状ノッチの先端半径(ρ) と開缶力との関
係を示したグラフである。
【図4】き裂状ノッチ深さ(D/t)と開缶力との関係
を示したグラフである。
【図5】本発明方法によるポンチとダイスとしわ押さえ
板とからなる1対の金型を使用した加工方法の説明図で
ある。
【図6】本発明方法における平金型による押圧成形を示
す説明図である。
【図7】本発明のイージーオープン缶蓋の他の実施態様
を示す概略平面図である。
【図8】プルトップ・タブ・タイプ缶蓋の一例を示す概
略平面図である。
【図9】ステイオン・タブ・タイプの缶蓋の一例を示す
概略平面図である。
【図10】イージーオープン缶蓋における開口用溝の従
来の形成方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 缶蓋 2a,2b 開口用ノッチ 3 ポンチ 4 ダイス 5 しわ押さえ板 6 平金型 7 中央パネル部 8 リベット機構 9 タブ 10 破断開口部 11 開口用溝 12 加工工具 13 蓋板 14 V字状溝
フロントページの続き (72)発明者 山崎 雄司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 余村 吉則 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉原 玲子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶体の缶蓋パネルに形成された開口部を
    破断して開缶するイージーオープン缶蓋において、 前記缶蓋の両面に、先端半径(ρ) が0.025mm以下
    であって、深さ(D)が0.25t〜0.40t(t:
    板厚)の範囲内の開口用ノッチが形成されていることを
    特徴とするイージーオープン缶蓋。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の条件を満たす開口用ノ
    ッチが形成され、そして、タブが、タブ留めを中心とし
    て開口不可位置から開口可能位置まで回転可能に取り付
    けられている缶蓋であって、前記タブ留めの中心位置が
    缶蓋の中心から開口部反対側に下記(1) 式に示す距離a
    だけずれており、タブ留めの中心とタブの指掛け挟持部
    との間の長さSが下記(2) 式の範囲内であり、開口不可
    位置におけるタブ中心線と開口位置におけるタブ中心線
    との間の角度θが下記(3) 式の範囲内であり、且つ、開
    口可能位置において、タブの指掛け挟持部を、缶蓋外周
    の外側で且つ缶蓋周辺よりも高い位置にすることができ
    る扛上手段が缶蓋に設けられていることを特徴とする、
    開缶性に優れたイージーオープン缶蓋。 (M−m)/2<a<m/2−w・・・・・・(1) m−w>S>m/2−a・・・・・・・・・・(2) −1<cos θ<1/(2×a×S)×{(m/2)2−(S2 +a2)}・・・・(3) 但し、a:タブ留め中心位置の缶蓋中心からのずれ距
    離、 S:タブ留め中心とタブ指掛け挟持部との間の長さ、 w:タブ留め中心とタブ作用部との間の長さ、 θ:開口不可位置におけるタブ中心線と開口可能位置に
    おけるタブ中心線との間の角度、 m:缶蓋の内径、 M:缶蓋の外径。
  3. 【請求項3】 缶蓋パネルの開口部に対し、刃先の曲率
    (R)が0.5mm以下のポンチおよびダイスと、しわ押
    さえ板とからなる1対の金型を使用し、ポンチ食込み量
    (P)が0.4t〜0.7t(t:板厚)で、且つ、ポ
    ンチとダイスとの片側クリアランス(C)がー0.3t
    〜0.3tの条件で、中止め剪断加工を施すことによ
    り、前記開口部の両面に、先端半径(ρ) が0.025
    mm以下で、深さ(D)が0.25t〜0.40t(t:
    板厚)の範囲内の開口用ノッチを形成することを特徴と
    する、イージーオープン缶蓋の製造方法。
  4. 【請求項4】 缶蓋パネルの開口部に対し、刃先の曲率
    (R)が0.5mm以下のポンチおよびダイスと、しわ押
    さえ板とからなる1対の金型を使用し、ポンチ食い込み
    量(P)が0.4t〜0.7t(t:板厚)で、且つ、
    ポンチとダイスとの片側クリアランス(C)がー0.3
    t〜0.3tの条件で、中止め剪断加工を施し、次い
    で、前記開口部を平金型により押圧成形することによっ
    て、前記開口部の両面に、先端半径(ρ) が0.025
    mm以下で、深さ(D)が0.25t〜0.40t(t:
    板厚)の範囲内の開口用ノッチを形成することを特徴と
    する、イージーオープン缶蓋の製造方法。
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