JPH1129143A - イージーオープン缶蓋の製造方法 - Google Patents
イージーオープン缶蓋の製造方法Info
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- JPH1129143A JPH1129143A JP18545997A JP18545997A JPH1129143A JP H1129143 A JPH1129143 A JP H1129143A JP 18545997 A JP18545997 A JP 18545997A JP 18545997 A JP18545997 A JP 18545997A JP H1129143 A JPH1129143 A JP H1129143A
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- resin
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- resin coating
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 両面に樹脂被覆層が形成された表面処理鋼板
からなる缶蓋に、樹脂被覆層の損傷が生ずることなく開
口用溝を形成することができ、且つ、開缶力が安定して
低減化し、開缶性の向上したイージーオープン缶蓋を製
造する。 【解決手段】 刃先の曲率が 0.5mm以下のポンチおよび
ダイスと、しわ押さえ板とからなる1組の金型を使用
し、両面に樹脂被覆層が形成された表面処理鋼板からな
る缶蓋1に対し、ポンチとダイスとの片側クリアランス
が0mm以上の条件で中止め剪断加工を施すことによっ
て、缶蓋1の両面の各々に残板厚(tR)が0.08〜0.
15mmの範囲内のき裂状の開口用ノッチ2a, 2bを形成
し、次いで、中止め剪断加工部およびその近傍を、樹脂
の融点以上 (融点+30℃) 以下の温度に加熱する。
からなる缶蓋に、樹脂被覆層の損傷が生ずることなく開
口用溝を形成することができ、且つ、開缶力が安定して
低減化し、開缶性の向上したイージーオープン缶蓋を製
造する。 【解決手段】 刃先の曲率が 0.5mm以下のポンチおよび
ダイスと、しわ押さえ板とからなる1組の金型を使用
し、両面に樹脂被覆層が形成された表面処理鋼板からな
る缶蓋1に対し、ポンチとダイスとの片側クリアランス
が0mm以上の条件で中止め剪断加工を施すことによっ
て、缶蓋1の両面の各々に残板厚(tR)が0.08〜0.
15mmの範囲内のき裂状の開口用ノッチ2a, 2bを形成
し、次いで、中止め剪断加工部およびその近傍を、樹脂
の融点以上 (融点+30℃) 以下の温度に加熱する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、缶体の缶蓋パネ
ルに形成された開口部を破断して開缶する、飲料用缶や
食缶の缶蓋に使用されるイージーオープン缶蓋の製造方
法に関するものである。
ルに形成された開口部を破断して開缶する、飲料用缶や
食缶の缶蓋に使用されるイージーオープン缶蓋の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビール、ジュース、コーヒー等の各種飲
料を収容する缶の缶蓋として、缶蓋のパネルに形成され
た開口部を指で破断し開缶するイージーオープン缶蓋が
広く使用されている。イージーオープン缶蓋は、主とし
て飲料缶に使用されるパーシャルオープンタイプの缶蓋
と、主として食缶に使用されるフルオープンタイプの缶
蓋とに大別される。
料を収容する缶の缶蓋として、缶蓋のパネルに形成され
た開口部を指で破断し開缶するイージーオープン缶蓋が
広く使用されている。イージーオープン缶蓋は、主とし
て飲料缶に使用されるパーシャルオープンタイプの缶蓋
と、主として食缶に使用されるフルオープンタイプの缶
蓋とに大別される。
【0003】パーシャルオープンタイプの缶蓋は、プル
トップ・タブ・タイプの缶蓋と、ステイオン・タブ・タ
イプの缶蓋とに大別される。図6は、プルトップ・タブ
・タイプ缶蓋の一例を示す概略平面図である。図6に示
すプルトップ・タブ・タイプの缶蓋の開口は、次のよう
にして行われる。即ち、鋼、アルミニウム等の金属板か
らなる缶蓋1の中央パネル部7の中心にリベット機構8
により固定されているタブ9を引き上げることによっ
て、中央パネル部7に開口用溝11が刻設されている破
断開口部10を、タブ9の作用端がてこの作用によって
押し下げる。その結果、開口用溝11は破断し、更にタ
ブ9を引っ張ることによって、破断した開口片は缶蓋1
から完全に切り離される。
トップ・タブ・タイプの缶蓋と、ステイオン・タブ・タ
イプの缶蓋とに大別される。図6は、プルトップ・タブ
・タイプ缶蓋の一例を示す概略平面図である。図6に示
すプルトップ・タブ・タイプの缶蓋の開口は、次のよう
にして行われる。即ち、鋼、アルミニウム等の金属板か
らなる缶蓋1の中央パネル部7の中心にリベット機構8
により固定されているタブ9を引き上げることによっ
て、中央パネル部7に開口用溝11が刻設されている破
断開口部10を、タブ9の作用端がてこの作用によって
押し下げる。その結果、開口用溝11は破断し、更にタ
ブ9を引っ張ることによって、破断した開口片は缶蓋1
から完全に切り離される。
【0004】図7は、ステイオン・タブ・タイプの缶蓋
の一例を示す概略平面図である。図7に示すステイオン
・タブ・タイプ缶蓋の開口は、次のようにして行われ
る。即ち、缶蓋1の中央パネル部7の中心にリベット機
構8により固定されているタブ9を引き上げることによ
って、中央パネル部7に開口用溝11が刻設されている
破断開口部10を、タブ9の作用端がてこの作用によっ
て押し下げる。その結果、開口用溝11は破断し、更
に、タブ9の引き起こし端を引き上げることによって破
断を進行させ、その際に生じた破断開口片の一部を缶蓋
1に連結させたまま缶内に押し込む。
の一例を示す概略平面図である。図7に示すステイオン
・タブ・タイプ缶蓋の開口は、次のようにして行われ
る。即ち、缶蓋1の中央パネル部7の中心にリベット機
構8により固定されているタブ9を引き上げることによ
って、中央パネル部7に開口用溝11が刻設されている
破断開口部10を、タブ9の作用端がてこの作用によっ
て押し下げる。その結果、開口用溝11は破断し、更
に、タブ9の引き起こし端を引き上げることによって破
断を進行させ、その際に生じた破断開口片の一部を缶蓋
1に連結させたまま缶内に押し込む。
【0005】また、フルオープンタイプの缶蓋は、缶蓋
の外周縁に沿って開口用溝が刻設されており、缶蓋外周
縁近くのパネル部に固定されたタブを引き上げることに
よって、プルトップタイプの場合と同様に、開口片を缶
蓋から切り離すようになっている。
の外周縁に沿って開口用溝が刻設されており、缶蓋外周
縁近くのパネル部に固定されたタブを引き上げることに
よって、プルトップタイプの場合と同様に、開口片を缶
蓋から切り離すようになっている。
【0006】上述したイージーオープン缶蓋における開
口用溝の形成は、従来、次のようにして行われている。
即ち、図8に示すように、所定の開口部輪郭が形成され
た鋭い刃先状突起を有する加工工具12を使用し、缶蓋
の表面側より蓋板13の厚さの1/2以上の深さの開口
用溝が形成されるような高い荷重でプレスにより押圧す
る。かくして断面V字状の開口用溝14が形成される。
口用溝の形成は、従来、次のようにして行われている。
即ち、図8に示すように、所定の開口部輪郭が形成され
た鋭い刃先状突起を有する加工工具12を使用し、缶蓋
の表面側より蓋板13の厚さの1/2以上の深さの開口
用溝が形成されるような高い荷重でプレスにより押圧す
る。かくして断面V字状の開口用溝14が形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、開口用溝
の形成は、従来、加工工具を使用しプレスによる高荷重
の押圧成形によって行われているために、両面に樹脂被
覆層が形成された表面処理鋼板からなる缶蓋の場合に
は、押圧成形時に、缶蓋の両面に形成されているめっき
層および樹脂被覆層が損傷し、耐食性が劣化する問題が
生ずる。従って、耐食性の劣化を防止するために、押圧
成形後に補修塗装を行わなければならず、多くの手間お
よび費用を必要としていた。
の形成は、従来、加工工具を使用しプレスによる高荷重
の押圧成形によって行われているために、両面に樹脂被
覆層が形成された表面処理鋼板からなる缶蓋の場合に
は、押圧成形時に、缶蓋の両面に形成されているめっき
層および樹脂被覆層が損傷し、耐食性が劣化する問題が
生ずる。従って、耐食性の劣化を防止するために、押圧
成形後に補修塗装を行わなければならず、多くの手間お
よび費用を必要としていた。
【0008】最近は、缶蓋の材料に、樹脂被覆層が損傷
を受けても錆が生じにくいアルミニウムが使用されてい
るが、このようなアルミニウムの使用は、コスト高とな
る上、リサイクルの点からも問題がある。
を受けても錆が生じにくいアルミニウムが使用されてい
るが、このようなアルミニウムの使用は、コスト高とな
る上、リサイクルの点からも問題がある。
【0009】樹脂被覆層が形成された表面処理鋼板から
なる缶蓋に開口用溝を形成する際に生ずる上述した問題
の対策として、特開平6−115546号、特開平6ー
115547号、特開平6−11548号公報には、複
合押出し加工によって開口溝を形成する方法が開示され
ている。上記公報の記載によれば、複合押出し加工によ
って開口用溝が形成されるので、樹脂被覆層の損傷がな
く補修塗装が不要であるとされているが、複合押出しの
加工条件や溝形状の詳細が不明であり、安定して開口用
溝が形成される再現性の判断が困難な問題がある。
なる缶蓋に開口用溝を形成する際に生ずる上述した問題
の対策として、特開平6−115546号、特開平6ー
115547号、特開平6−11548号公報には、複
合押出し加工によって開口溝を形成する方法が開示され
ている。上記公報の記載によれば、複合押出し加工によ
って開口用溝が形成されるので、樹脂被覆層の損傷がな
く補修塗装が不要であるとされているが、複合押出しの
加工条件や溝形状の詳細が不明であり、安定して開口用
溝が形成される再現性の判断が困難な問題がある。
【0010】また、特開平8−99140号公報には、
肩半径が0.1〜1.0mmの上下金型により温間加工に
よって溝を形成する方法が開示されている。上記公報に
記載の方法によれば、形成される溝の曲率半径も0.1
〜1.0mmの範囲内である。従って、前述した鋭い刃先
状突起を有する加工工具を使用し、高荷重でプレスによ
り押圧することによって形成される、曲率半径が0.0
5mm前後の溝と比較して1〜2オーダー大きい曲率半径
の溝になると推定され、溝での歪み集中効果によって開
缶力を低減することはできない。
肩半径が0.1〜1.0mmの上下金型により温間加工に
よって溝を形成する方法が開示されている。上記公報に
記載の方法によれば、形成される溝の曲率半径も0.1
〜1.0mmの範囲内である。従って、前述した鋭い刃先
状突起を有する加工工具を使用し、高荷重でプレスによ
り押圧することによって形成される、曲率半径が0.0
5mm前後の溝と比較して1〜2オーダー大きい曲率半径
の溝になると推定され、溝での歪み集中効果によって開
缶力を低減することはできない。
【0011】更に、特開平8−224626号公報に
は、圧縮、引張りおよび剪断加工を組み合わせた開口用
溝の成形方法が開示されている。しかしながら、この方
法では、しわ押さえ板を使用していないので、ポンチ押
し込み段階で加工部周辺の材料が引張り変形を受け、板
厚減少が生じるために、剛性が低下し、開口時において
溝部に変形を集中させることができず、開口力を十分に
低減することができない問題がある。
は、圧縮、引張りおよび剪断加工を組み合わせた開口用
溝の成形方法が開示されている。しかしながら、この方
法では、しわ押さえ板を使用していないので、ポンチ押
し込み段階で加工部周辺の材料が引張り変形を受け、板
厚減少が生じるために、剛性が低下し、開口時において
溝部に変形を集中させることができず、開口力を十分に
低減することができない問題がある。
【0012】また、従来のイージーオープン缶蓋の開缶
のためのタブの引き上げには相当の力を必要とし、子供
や女性にとって開缶は容易ではない。開缶時のタブ引き
上げ力を低減し、指先によって容易に開缶させるために
は、蓋板に形成されるV字状溝の先端形状を鋭くすれば
よいが、V字状溝は、プレス加工によって形成されるた
めに、その先端形状には制限があり、先端曲率半径の限
界は、0.05mm前後である。従って、タブの引き上げ
力を、子供や女性が容易に開缶できるまでに低減するこ
とはできない。
のためのタブの引き上げには相当の力を必要とし、子供
や女性にとって開缶は容易ではない。開缶時のタブ引き
上げ力を低減し、指先によって容易に開缶させるために
は、蓋板に形成されるV字状溝の先端形状を鋭くすれば
よいが、V字状溝は、プレス加工によって形成されるた
めに、その先端形状には制限があり、先端曲率半径の限
界は、0.05mm前後である。従って、タブの引き上げ
力を、子供や女性が容易に開缶できるまでに低減するこ
とはできない。
【0013】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、両面に樹脂被覆層が形成された表面処理鋼板
からなる缶蓋に開口用溝を形成する際に、缶蓋の両面に
形成されているめっき層および樹脂被覆層の損傷による
補修塗装を必要とせず、しかも、子供や女性でも容易に
開缶することができる、開缶性の優れたイージーオープ
ン缶蓋を製造する方法を提供することにある。
を解決し、両面に樹脂被覆層が形成された表面処理鋼板
からなる缶蓋に開口用溝を形成する際に、缶蓋の両面に
形成されているめっき層および樹脂被覆層の損傷による
補修塗装を必要とせず、しかも、子供や女性でも容易に
開缶することができる、開缶性の優れたイージーオープ
ン缶蓋を製造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、両面の各々に5〜100μmの厚さの樹脂被覆層が
形成された表面処理鋼板からなる缶蓋パネルに形成され
ている開口部を破断して開缶するイージーオープン缶蓋
を製造する方法において、前記缶蓋パネルの開口部に対
し、刃先の曲率(R)が0.5mm以下のポンチおよびダ
イスと、しわ押さえ板とからなる1組の金型を使用し、
前記ポンチと前記ダイスとの片側クリアランス(C)が
0mm以上の条件で中止め剪断加工を施すことにより、
前記開口部の両面に、残板厚(tR) が0.08〜0.
15mmの範囲内のき裂状の開口用ノッチを形成し、次い
で、中止め剪断加工部およびその近傍を、前記樹脂被覆
層の樹脂の融点以上、(融点+30℃)以下の範囲内の
温度に加熱することに特徴を有するものである。
は、両面の各々に5〜100μmの厚さの樹脂被覆層が
形成された表面処理鋼板からなる缶蓋パネルに形成され
ている開口部を破断して開缶するイージーオープン缶蓋
を製造する方法において、前記缶蓋パネルの開口部に対
し、刃先の曲率(R)が0.5mm以下のポンチおよびダ
イスと、しわ押さえ板とからなる1組の金型を使用し、
前記ポンチと前記ダイスとの片側クリアランス(C)が
0mm以上の条件で中止め剪断加工を施すことにより、
前記開口部の両面に、残板厚(tR) が0.08〜0.
15mmの範囲内のき裂状の開口用ノッチを形成し、次い
で、中止め剪断加工部およびその近傍を、前記樹脂被覆
層の樹脂の融点以上、(融点+30℃)以下の範囲内の
温度に加熱することに特徴を有するものである。
【0015】請求項2に記載の発明は、両面の各々に5
〜100μmの厚さの樹脂被覆層が形成された表面処理
鋼板からなる缶蓋パネルに形成されている開口部を破断
して開缶するイージーオープン缶蓋において、前記缶蓋
パネルの開口部に対し、刃先の曲率(R)が0.5mm以
下のポンチおよびダイスと、しわ押さえ板とからなる1
組の金型を使用し、前記ポンチと前記ダイスとの片側ク
リアランス(C)が0mm以上の条件で中止め剪断加工
を施すことにより、前記開口部の両面に、残板厚が0.
12〜0.18mmの範囲内のノッチを形成し、次いで、
前記開口部を平金型により押圧成形することにより、残
板厚(tR) が0.08〜0.15mmの範囲内のき裂状
の開口用ノッチを形成し、前記平金型により押圧成形す
る際または押圧成形後に、前記中止め剪断加工部および
その近傍を、前記樹脂被覆層の樹脂の融点以上、(融点
+30℃)以下の範囲内の温度に加熱することに特徴を
有するものである。
〜100μmの厚さの樹脂被覆層が形成された表面処理
鋼板からなる缶蓋パネルに形成されている開口部を破断
して開缶するイージーオープン缶蓋において、前記缶蓋
パネルの開口部に対し、刃先の曲率(R)が0.5mm以
下のポンチおよびダイスと、しわ押さえ板とからなる1
組の金型を使用し、前記ポンチと前記ダイスとの片側ク
リアランス(C)が0mm以上の条件で中止め剪断加工
を施すことにより、前記開口部の両面に、残板厚が0.
12〜0.18mmの範囲内のノッチを形成し、次いで、
前記開口部を平金型により押圧成形することにより、残
板厚(tR) が0.08〜0.15mmの範囲内のき裂状
の開口用ノッチを形成し、前記平金型により押圧成形す
る際または押圧成形後に、前記中止め剪断加工部および
その近傍を、前記樹脂被覆層の樹脂の融点以上、(融点
+30℃)以下の範囲内の温度に加熱することに特徴を
有するものである。
【0016】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の方法において、前記両面に樹脂被覆層が形成
された表面処理鋼板からなる缶蓋パネルに対する前記開
口用ノッチの形成加工を、前記樹脂被覆層の樹脂のガラ
ス転移点以上、(融点−20℃)以下の範囲内の温度条
件で行うことに特徴を有するものである。
2に記載の方法において、前記両面に樹脂被覆層が形成
された表面処理鋼板からなる缶蓋パネルに対する前記開
口用ノッチの形成加工を、前記樹脂被覆層の樹脂のガラ
ス転移点以上、(融点−20℃)以下の範囲内の温度条
件で行うことに特徴を有するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、この発明のイージーオープ
ン缶蓋の製造方法を、図面を参照しながら説明する。図
1は、請求項1に記載の発明の、イージーオープン缶蓋
の製造方法の一実施態様を示す、缶体の缶蓋パネルに形
成された開口用切込み部分の断面図である。請求項1に
記載の発明においては、図1に示すように、両面の各々
に5〜100μmの厚さの樹脂被覆層が形成された表面
処理鋼板からなる缶蓋1の表面1aおよび裏面1bの各
々に、従来の缶蓋の開口用溝とは異なる開口用切込みと
して、残板厚(tR) が0.08〜0.15mmの範囲内
の、き裂状の開口用ノッチ2a,2bが形成されてい
る。
ン缶蓋の製造方法を、図面を参照しながら説明する。図
1は、請求項1に記載の発明の、イージーオープン缶蓋
の製造方法の一実施態様を示す、缶体の缶蓋パネルに形
成された開口用切込み部分の断面図である。請求項1に
記載の発明においては、図1に示すように、両面の各々
に5〜100μmの厚さの樹脂被覆層が形成された表面
処理鋼板からなる缶蓋1の表面1aおよび裏面1bの各
々に、従来の缶蓋の開口用溝とは異なる開口用切込みと
して、残板厚(tR) が0.08〜0.15mmの範囲内
の、き裂状の開口用ノッチ2a,2bが形成されてい
る。
【0018】上述したように、缶蓋の板厚によらず、加
工後の残板厚(tR) を一定の範囲内に限定したこと
は、缶蓋パネルの開口部両面に、開缶力が安定して低い
き裂状の開口用ノッチを、樹脂被膜を損傷させることな
く形成するための重要な要件である。
工後の残板厚(tR) を一定の範囲内に限定したこと
は、缶蓋パネルの開口部両面に、開缶力が安定して低い
き裂状の開口用ノッチを、樹脂被膜を損傷させることな
く形成するための重要な要件である。
【0019】缶蓋1に対するき裂状開口用ノッチ2a,
2bの形成は、次のようにして行われる。即ち、図4に
示すように、刃先の曲率(R)が0.5mm以下のポンチ
3およびダイス4と、しわ押さえ板5とからなる1組の
金型を使用し、しわ押さえ板5でしわ押さえをかけ、ポ
ンチ3とダイス4との片側クリアランス(C)が0mm
以上の条件で缶蓋1に対し中止め剪断加工を施す。かく
して、図1に開口用切込み部分の断面図で示すような、
缶蓋1の表面1aおよび裏面1bの各々に、残板厚(t
R) が0.08〜0.15mmの範囲内の、き裂状の開口
用ノッチ2a,2bが形成される。
2bの形成は、次のようにして行われる。即ち、図4に
示すように、刃先の曲率(R)が0.5mm以下のポンチ
3およびダイス4と、しわ押さえ板5とからなる1組の
金型を使用し、しわ押さえ板5でしわ押さえをかけ、ポ
ンチ3とダイス4との片側クリアランス(C)が0mm
以上の条件で缶蓋1に対し中止め剪断加工を施す。かく
して、図1に開口用切込み部分の断面図で示すような、
缶蓋1の表面1aおよび裏面1bの各々に、残板厚(t
R) が0.08〜0.15mmの範囲内の、き裂状の開口
用ノッチ2a,2bが形成される。
【0020】ポンチ3とダイス4との片側クリアランス
(C)が0mm未満では、き裂状の開口用ノッチを形成
することができない。また、ポンチ3およびダイス4の
刃先の曲率(R)が0.5mmを超えると、所定の切り
込みを安定して形成することができなくなる。従って、
ポンチ3およびダイス4の刃先の曲率(R)を0.5m
m以下とし、ポンチ3とダイス4との片側クリアランス
(C)を0mm以上とする条件で中止め剪断加工を施す
ことが必要である。
(C)が0mm未満では、き裂状の開口用ノッチを形成
することができない。また、ポンチ3およびダイス4の
刃先の曲率(R)が0.5mmを超えると、所定の切り
込みを安定して形成することができなくなる。従って、
ポンチ3およびダイス4の刃先の曲率(R)を0.5m
m以下とし、ポンチ3とダイス4との片側クリアランス
(C)を0mm以上とする条件で中止め剪断加工を施す
ことが必要である。
【0021】中止め剪断加工時においては、しわ押さえ
板5によって、しわ押さえをかけることが必要である。
即ち、中止め剪断加工時にしわ押さえをかけることによ
って周辺部の材料変形が抑制され、ポンチ3とダイス4
の肩近傍の十分に狭い範囲の材料に歪みを集中させるこ
とにより、鋭いき裂状の開口用ノッチを形成することが
できる。
板5によって、しわ押さえをかけることが必要である。
即ち、中止め剪断加工時にしわ押さえをかけることによ
って周辺部の材料変形が抑制され、ポンチ3とダイス4
の肩近傍の十分に狭い範囲の材料に歪みを集中させるこ
とにより、鋭いき裂状の開口用ノッチを形成することが
できる。
【0022】上述した方法によって、缶蓋1の表面1a
および裏面1bの各々に形成される開口用溝部の残板厚
(tR) は、0.08〜0.15mmの範囲内としなけれ
ばならない。図3は、開口用溝部の残板厚(tR) と開
缶力との関係を示したグラフである。なお、開缶力は、
本発明の中止め剪断加工の場合の開缶力と従来のV字状
溝加工の場合の開缶力との比(中止め剪断/V字溝)に
よって表した。
および裏面1bの各々に形成される開口用溝部の残板厚
(tR) は、0.08〜0.15mmの範囲内としなけれ
ばならない。図3は、開口用溝部の残板厚(tR) と開
缶力との関係を示したグラフである。なお、開缶力は、
本発明の中止め剪断加工の場合の開缶力と従来のV字状
溝加工の場合の開缶力との比(中止め剪断/V字溝)に
よって表した。
【0023】図3から明らかなように、開口用溝部の残
板厚(tR) が薄いほど開缶力は低減する。しかしなが
ら、開口用溝部の残板厚(tR) が0.08mm未満に薄
くなり過ぎると、外部からの衝撃等によって開缶破断す
るおそれが生ずる。一方、開口用溝部の残板厚(tR)
が0.15mmを超えて厚い場合には、従来のV字溝の場
合よりも大きい開缶力が必要になる。
板厚(tR) が薄いほど開缶力は低減する。しかしなが
ら、開口用溝部の残板厚(tR) が0.08mm未満に薄
くなり過ぎると、外部からの衝撃等によって開缶破断す
るおそれが生ずる。一方、開口用溝部の残板厚(tR)
が0.15mmを超えて厚い場合には、従来のV字溝の場
合よりも大きい開缶力が必要になる。
【0024】上記によって、缶蓋1の表面1aおよび裏
面1bの各々に、残板厚(tR) が0.08〜0.15
mmの範囲内の、き裂状の開口用ノッチ2a,2bを形成
した後、次いで、中止め剪断加工部およびその近傍を、
樹脂被覆層を構成する樹脂の融点以上、(融点+30
℃)以下の範囲内の温度に加熱する。
面1bの各々に、残板厚(tR) が0.08〜0.15
mmの範囲内の、き裂状の開口用ノッチ2a,2bを形成
した後、次いで、中止め剪断加工部およびその近傍を、
樹脂被覆層を構成する樹脂の融点以上、(融点+30
℃)以下の範囲内の温度に加熱する。
【0025】このように、中止め剪断加工部およびその
近傍を加熱処理することは、耐食性確保の観点から必要
である。即ち、樹脂被覆層を両面に有する表面処理鋼板
を、前述の方法により成形して開口用ノッチを形成する
際、ポンチおよびダイスの刃先の曲率(R)の大小によ
って程度差はあるが、樹脂被覆層に損傷が生ずる。
近傍を加熱処理することは、耐食性確保の観点から必要
である。即ち、樹脂被覆層を両面に有する表面処理鋼板
を、前述の方法により成形して開口用ノッチを形成する
際、ポンチおよびダイスの刃先の曲率(R)の大小によ
って程度差はあるが、樹脂被覆層に損傷が生ずる。
【0026】そこで、従来は、開口用ノッチおよびその
周辺に対し補修塗装を施すことによって耐食性を確保す
ることが一般に行われていたが、本発明方法によれば、
開口用ノッチの形成後、上記温度に加熱する熱処理を施
すことによって、補修塗装および乾燥工程を省略するこ
とができる。
周辺に対し補修塗装を施すことによって耐食性を確保す
ることが一般に行われていたが、本発明方法によれば、
開口用ノッチの形成後、上記温度に加熱する熱処理を施
すことによって、補修塗装および乾燥工程を省略するこ
とができる。
【0027】上記熱処理の際の加熱温度は、樹脂被覆層
を構成する樹脂の融点以上、(融点+30℃)以下の範
囲内とすべきである。加熱温度が、樹脂の融点未満で
は、加工時に樹脂被覆層に生じた亀裂を補修することが
できず、耐食性を確保することができない。一方、加熱
温度が(融点+30℃)を超えて高くなると、外観が劣
化するため、好ましくない。
を構成する樹脂の融点以上、(融点+30℃)以下の範
囲内とすべきである。加熱温度が、樹脂の融点未満で
は、加工時に樹脂被覆層に生じた亀裂を補修することが
できず、耐食性を確保することができない。一方、加熱
温度が(融点+30℃)を超えて高くなると、外観が劣
化するため、好ましくない。
【0028】また、開口用ノッチの形成時に加熱するこ
とも、耐食性確保の観点から有効な手段である。即ち、
開口用ノッチの形成加工時に、樹脂のガラス転移点以上
の温度で加熱すれば、樹脂を軟化させて、加工時に受け
る荷重や工具との摩擦による樹脂被覆層の損傷を抑制す
ることができる。
とも、耐食性確保の観点から有効な手段である。即ち、
開口用ノッチの形成加工時に、樹脂のガラス転移点以上
の温度で加熱すれば、樹脂を軟化させて、加工時に受け
る荷重や工具との摩擦による樹脂被覆層の損傷を抑制す
ることができる。
【0029】加工温度が、樹脂のガラス転移点未満の温
度では、上記効果は得られない。一方、加工温度が樹脂
の融点に近くなると、樹脂の軟質化が進んで流動性が大
きくなり、加工を受けた部分で樹脂が薄くなり過ぎるた
めに耐食性が劣化する問題が生ずる。従って、加工温度
は、樹脂のガラス転移点以上、(融点−20℃)以下の
範囲とすることが必要である。この方法により、加工後
の樹脂層を損傷のより少ない健全な状態とすることがで
き、内外面環境に対して良好な耐食性を安定して得るこ
とができる。
度では、上記効果は得られない。一方、加工温度が樹脂
の融点に近くなると、樹脂の軟質化が進んで流動性が大
きくなり、加工を受けた部分で樹脂が薄くなり過ぎるた
めに耐食性が劣化する問題が生ずる。従って、加工温度
は、樹脂のガラス転移点以上、(融点−20℃)以下の
範囲とすることが必要である。この方法により、加工後
の樹脂層を損傷のより少ない健全な状態とすることがで
き、内外面環境に対して良好な耐食性を安定して得るこ
とができる。
【0030】両面に樹脂被覆層が形成されている表面処
理鋼板からなる缶蓋の、樹脂被覆層の厚さは、5〜10
0μmの範囲内に限定すべきである。樹脂被覆層の厚さ
が5μm未満では、本発明の方法により、中止め剪断加
工によって形成された開口用ノッチの耐食性が不十分に
なる。一方、樹脂被覆層の厚さが100μmを超える
と、開口時に樹脂被覆層が破断しにくくなる。
理鋼板からなる缶蓋の、樹脂被覆層の厚さは、5〜10
0μmの範囲内に限定すべきである。樹脂被覆層の厚さ
が5μm未満では、本発明の方法により、中止め剪断加
工によって形成された開口用ノッチの耐食性が不十分に
なる。一方、樹脂被覆層の厚さが100μmを超える
と、開口時に樹脂被覆層が破断しにくくなる。
【0031】表面処理鋼板の両面に形成される樹脂被覆
層は、熱可塑性のラミネートフィルムなど一般的に缶体
に使用される樹脂を使用することができ、内容物の腐食
性やデザインに応じて選択することができる。
層は、熱可塑性のラミネートフィルムなど一般的に缶体
に使用される樹脂を使用することができ、内容物の腐食
性やデザインに応じて選択することができる。
【0032】請求項2に記載の発明においては、缶体の
缶蓋パネルに対し、前述した図4に示す方法によって中
止め剪断加工を施した後、図5に示す平金型6,6によ
って押圧成形を施す。このような、中止め剪断加工と平
金型による押圧成形加工とによって、図2に示すよう
な、両面の各々に5〜100μmの厚さの樹脂被覆層が
形成された表面処理鋼板からなる缶蓋1の表面1aおよ
び裏面1bの各々に、従来の缶蓋の開口用溝とは異なる
開口用切込みとして、残板厚(tR) が0.08〜0.
15mmの範囲内の、き裂状の開口用ノッチ2a,2bが
形成され、しかも、開口部の表面および裏面が平坦な缶
蓋が得られる。
缶蓋パネルに対し、前述した図4に示す方法によって中
止め剪断加工を施した後、図5に示す平金型6,6によ
って押圧成形を施す。このような、中止め剪断加工と平
金型による押圧成形加工とによって、図2に示すよう
な、両面の各々に5〜100μmの厚さの樹脂被覆層が
形成された表面処理鋼板からなる缶蓋1の表面1aおよ
び裏面1bの各々に、従来の缶蓋の開口用溝とは異なる
開口用切込みとして、残板厚(tR) が0.08〜0.
15mmの範囲内の、き裂状の開口用ノッチ2a,2bが
形成され、しかも、開口部の表面および裏面が平坦な缶
蓋が得られる。
【0033】請求項2に記載の発明において、平金型に
よる押圧成形前の開口用溝部の残板厚は、0.12〜
0.18mmの範囲内とすることが必要である。平金型に
よる押圧成形前の開口用溝部の残板厚を上述した範囲内
にしないと、平金型による押圧成形後において、開口用
溝部の残板厚(tR) を0.08〜0.15mmの範囲内
にすることができない。
よる押圧成形前の開口用溝部の残板厚は、0.12〜
0.18mmの範囲内とすることが必要である。平金型に
よる押圧成形前の開口用溝部の残板厚を上述した範囲内
にしないと、平金型による押圧成形後において、開口用
溝部の残板厚(tR) を0.08〜0.15mmの範囲内
にすることができない。
【0034】上述したように、請求項1および2に記載
の本発明方法によれば、き裂状の開口用ノッチ2a,2
bは、ポンチ、ダイスおよびしわ押さえ板からなる1組
の金型による中止め剪断加工によって形成され、また
は、中止め剪断加工とその後の平金型による押圧成形に
よって形成される。更に、加工時または加工後に熱処理
を施すことにより、開口用ノッチ部の樹脂被覆層の損傷
が補修される。
の本発明方法によれば、き裂状の開口用ノッチ2a,2
bは、ポンチ、ダイスおよびしわ押さえ板からなる1組
の金型による中止め剪断加工によって形成され、また
は、中止め剪断加工とその後の平金型による押圧成形に
よって形成される。更に、加工時または加工後に熱処理
を施すことにより、開口用ノッチ部の樹脂被覆層の損傷
が補修される。
【0035】従って、鋭い刃先状突起を有する工具によ
り押圧成形を施す従来方法と比較し、樹脂被膜に損傷が
生ぜず従って補修塗装の必要がなく、耐食性が確保さ
れ、しかも、図1、2に示すように、き裂状の切込み溝
を形成することが可能であり、開缶力を低減させること
ができる。
り押圧成形を施す従来方法と比較し、樹脂被膜に損傷が
生ぜず従って補修塗装の必要がなく、耐食性が確保さ
れ、しかも、図1、2に示すように、き裂状の切込み溝
を形成することが可能であり、開缶力を低減させること
ができる。
【0036】
【実施例】次に、この発明方法を実施例により比較例と
対比しながら更に説明する。 〔実施例1〕板厚が0.22mmで硬度(HR30T)が
61の薄鋼板の表面に、2.8g/m2の量の電気錫めっき
層が形成され、前記電気錫めっき層の上に、クロメート
処理によって12mg/m2 の量の金属クロム層と、その上
層の金属クロム換算で10mg/m2 の量のクロム水和酸化
物層とからなるクロメート被膜が形成された電気錫めっ
き鋼板の両面に、厚さ25μmで融点が216℃、ガラ
ス転移点が76℃の熱融着タイプのポリエステルフィル
ムをラミネートした。
対比しながら更に説明する。 〔実施例1〕板厚が0.22mmで硬度(HR30T)が
61の薄鋼板の表面に、2.8g/m2の量の電気錫めっき
層が形成され、前記電気錫めっき層の上に、クロメート
処理によって12mg/m2 の量の金属クロム層と、その上
層の金属クロム換算で10mg/m2 の量のクロム水和酸化
物層とからなるクロメート被膜が形成された電気錫めっ
き鋼板の両面に、厚さ25μmで融点が216℃、ガラ
ス転移点が76℃の熱融着タイプのポリエステルフィル
ムをラミネートした。
【0037】このようにポリエステルフィルムがラミネ
ートされた電気錫めっき鋼板に対し、表1および表2に
示す本発明の範囲内の開口用溝加工条件で開口用ノッチ
が形成された、プルトップ・タブ・タイプのイージーオ
ープン缶蓋の供試体(以下、本発明供試体という)No.
1〜4を調製した。
ートされた電気錫めっき鋼板に対し、表1および表2に
示す本発明の範囲内の開口用溝加工条件で開口用ノッチ
が形成された、プルトップ・タブ・タイプのイージーオ
ープン缶蓋の供試体(以下、本発明供試体という)No.
1〜4を調製した。
【0038】熱処理条件による缶蓋性能の差異を比較す
るために、本発明供試体No. 1〜4と同様の加工条件で
成形された缶蓋で、熱処理条件が本発明の範囲外であ
る、表1に併せて示すプルトップ・タブ・タイプのイー
ジーオープン缶蓋の供試体(以下、比較用供試体とい
う)No. 1〜4を調製した。更に、開口用溝加工条件が
本発明の範囲外であり、熱処理条件は本発明の範囲内で
ある比較用供試体No. 5、6を調製した。
るために、本発明供試体No. 1〜4と同様の加工条件で
成形された缶蓋で、熱処理条件が本発明の範囲外であ
る、表1に併せて示すプルトップ・タブ・タイプのイー
ジーオープン缶蓋の供試体(以下、比較用供試体とい
う)No. 1〜4を調製した。更に、開口用溝加工条件が
本発明の範囲外であり、熱処理条件は本発明の範囲内で
ある比較用供試体No. 5、6を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】〔実施例2〕板厚が0.22mmで、硬度
(HR30T)が61の薄鋼板の表面に、クロメート処
理によって、120mg/m2 の量の金属クロム層と、その
上層の金属クロム換算で15mg/m2 の量のクロム水和酸
化物層とからなるクロメート被膜が形成されたティンフ
リースチールの両面に、厚さ25μmで融点が216
℃、ガラス転移点が76℃の熱融着タイプのポリエステ
ルフィルムをラミネートした。
(HR30T)が61の薄鋼板の表面に、クロメート処
理によって、120mg/m2 の量の金属クロム層と、その
上層の金属クロム換算で15mg/m2 の量のクロム水和酸
化物層とからなるクロメート被膜が形成されたティンフ
リースチールの両面に、厚さ25μmで融点が216
℃、ガラス転移点が76℃の熱融着タイプのポリエステ
ルフィルムをラミネートした。
【0042】このようにポリエステルフィルムがラミネ
ートされた表面処理鋼板に対し、表2および表3に示す
本発明の範囲内の開口用溝加工条件で開口用ノッチが形
成された、スティオン・タブ・タイプのイージーオープ
ン缶蓋の本発明供試体No. 5〜8を調製した。また、熱
処理条件による缶蓋性能の差異を比較するために、本発
明供試体No. 5〜8と同様の加工条件で開口用ノッチが
形成され、熱処理条件が本発明の範囲外であるスティオ
ン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋の比較用供試
体No. 7〜10、および、熱処理条件は本発明の範囲内
であるが、開口用溝加工条件が本発明の範囲外である比
較用供試体No. 11、12を調製した。
ートされた表面処理鋼板に対し、表2および表3に示す
本発明の範囲内の開口用溝加工条件で開口用ノッチが形
成された、スティオン・タブ・タイプのイージーオープ
ン缶蓋の本発明供試体No. 5〜8を調製した。また、熱
処理条件による缶蓋性能の差異を比較するために、本発
明供試体No. 5〜8と同様の加工条件で開口用ノッチが
形成され、熱処理条件が本発明の範囲外であるスティオ
ン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋の比較用供試
体No. 7〜10、および、熱処理条件は本発明の範囲内
であるが、開口用溝加工条件が本発明の範囲外である比
較用供試体No. 11、12を調製した。
【0043】更に、表3に併せて示すように、本発明供
試体No. 1〜4で使用した、ポリエステルフィルムがラ
ミネートされた錫めっき鋼板の両面に対し、逆台形の刃
先を有する従来型の金型を使用し開口用溝が形成され
た、スティオン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋
からなる比較用供試体No. 13、および、本発明供試体
No. 5〜8で使用したポリエステルフィルムがラミネー
トされたティンフリースチールに、比較用供試体No. 1
3と同様の方法によって開口用溝が形成された、スティ
オン・タブ・タイプのイージーオープン型缶蓋からなる
比較用供試体No.14を調製した。
試体No. 1〜4で使用した、ポリエステルフィルムがラ
ミネートされた錫めっき鋼板の両面に対し、逆台形の刃
先を有する従来型の金型を使用し開口用溝が形成され
た、スティオン・タブ・タイプのイージーオープン缶蓋
からなる比較用供試体No. 13、および、本発明供試体
No. 5〜8で使用したポリエステルフィルムがラミネー
トされたティンフリースチールに、比較用供試体No. 1
3と同様の方法によって開口用溝が形成された、スティ
オン・タブ・タイプのイージーオープン型缶蓋からなる
比較用供試体No.14を調製した。
【0044】
【表3】
【0045】上述した本発明供試体および比較用供試体
の各々について、下記により開口性および耐食性の評価
および総合評価を行い、その結果を表1および表3に併
せて示した。
の各々について、下記により開口性および耐食性の評価
および総合評価を行い、その結果を表1および表3に併
せて示した。
【0046】〔開口性評価〕上述の本発明供試体No. 1
〜8および比較用供試体No. 1〜14のイージーオープ
ン缶蓋について、開口時に開口用溝を破断させる際の荷
重Wを測定し、そして、易開口性の指標として、一般的
な従来技術である比較用供試体No. 14の開口荷重W1
4との比(W/W14)を算出し、これによって開口性
を評価した。
〜8および比較用供試体No. 1〜14のイージーオープ
ン缶蓋について、開口時に開口用溝を破断させる際の荷
重Wを測定し、そして、易開口性の指標として、一般的
な従来技術である比較用供試体No. 14の開口荷重W1
4との比(W/W14)を算出し、これによって開口性
を評価した。
【0047】表1および表3から明らかなように、本発
明供試体No. 1〜8は、開口性の評価(W/W14)が
0.6〜1.0であり、何れも開口性に優れていた。こ
れに対し、比較用供試体No. 5、11、13は、開口性
の評価(W/W14)が何れも1より大であり、開口性
に劣っていた。また、比較用供試体No. 6およびNo.1
2は、開口性の評価(W/W14)が何れも0.3以下
であり、開口荷重が小さすぎるために、搬送途中におい
て破断などの事故が発生する可能性が高く、実用に供す
ることはできなかった。
明供試体No. 1〜8は、開口性の評価(W/W14)が
0.6〜1.0であり、何れも開口性に優れていた。こ
れに対し、比較用供試体No. 5、11、13は、開口性
の評価(W/W14)が何れも1より大であり、開口性
に劣っていた。また、比較用供試体No. 6およびNo.1
2は、開口性の評価(W/W14)が何れも0.3以下
であり、開口荷重が小さすぎるために、搬送途中におい
て破断などの事故が発生する可能性が高く、実用に供す
ることはできなかった。
【0048】〔耐食性評価〕本発明供試体および比較用
供試体の各々に対して塩水噴霧試験を行い、塩水噴霧試
験開始から24時間後に、供試体の外観を目視および顕
微鏡で観察し、下記によってその耐食性を評価した。 ○印:塩水噴霧試験開始から24時間経過した後におい
ても全く錆が発生しなかったもの ×印:塩水噴霧試験開始から24時間以内に赤錆が発生
したもの 表1および表3から明らかなように、本発明供試体No.
1〜8および比較用供試体No. 5およびNo. 11は、何
れも耐食性に優れていた。これに対し、比較用供試体N
o. 1〜4、6、7〜10、12〜14は、耐食性が悪
かった。なお、本発明供試体No. 1〜8に対し、その内
面耐食性を評価するため、別途作製した缶胴に市販の炭
酸飲料(コカ・コーラ)を充填し、各供試体を用いて密
閉した後、38℃で保管して、1カ月経過後に溶液中の
鉄溶出量を分析した。その結果、本発明供試体No. 1〜
8においては、いずれも溶液中の鉄濃度が0.1ppm
未満であり、内面環境に対する耐食性も十分であること
が確認された。
供試体の各々に対して塩水噴霧試験を行い、塩水噴霧試
験開始から24時間後に、供試体の外観を目視および顕
微鏡で観察し、下記によってその耐食性を評価した。 ○印:塩水噴霧試験開始から24時間経過した後におい
ても全く錆が発生しなかったもの ×印:塩水噴霧試験開始から24時間以内に赤錆が発生
したもの 表1および表3から明らかなように、本発明供試体No.
1〜8および比較用供試体No. 5およびNo. 11は、何
れも耐食性に優れていた。これに対し、比較用供試体N
o. 1〜4、6、7〜10、12〜14は、耐食性が悪
かった。なお、本発明供試体No. 1〜8に対し、その内
面耐食性を評価するため、別途作製した缶胴に市販の炭
酸飲料(コカ・コーラ)を充填し、各供試体を用いて密
閉した後、38℃で保管して、1カ月経過後に溶液中の
鉄溶出量を分析した。その結果、本発明供試体No. 1〜
8においては、いずれも溶液中の鉄濃度が0.1ppm
未満であり、内面環境に対する耐食性も十分であること
が確認された。
【0049】〔総合評価〕本発明供試体No. 1〜8およ
び比較用供試体No. 1〜14について、その開口性およ
び耐食性を総合して下記により評価した。 ○印:開口性および耐食性が何れも優れているもの ×印:開口性および耐食性の何れか一方または両方が悪
いもの 表1および表3から明らかなように、本発明供試体No.
1〜8は、総合評価が何れも優れていたのに対し、比較
用供試体No. 1〜14は、開口性および耐食性の何れか
一方または両方が悪かった。
び比較用供試体No. 1〜14について、その開口性およ
び耐食性を総合して下記により評価した。 ○印:開口性および耐食性が何れも優れているもの ×印:開口性および耐食性の何れか一方または両方が悪
いもの 表1および表3から明らかなように、本発明供試体No.
1〜8は、総合評価が何れも優れていたのに対し、比較
用供試体No. 1〜14は、開口性および耐食性の何れか
一方または両方が悪かった。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
表面処理鋼板の両面に5〜100μmの厚さの樹脂被覆
層が形成されている缶蓋の両面に、き裂状の開口用ノッ
チが樹脂被覆層を損傷することなく形成することがで
き、これによって、開缶力が安定して低減し、且つ、樹
脂被覆層を補修塗装する必要のないイージーオープン缶
蓋が得られる、工業上有用な効果がもたらされる。
表面処理鋼板の両面に5〜100μmの厚さの樹脂被覆
層が形成されている缶蓋の両面に、き裂状の開口用ノッ
チが樹脂被覆層を損傷することなく形成することがで
き、これによって、開缶力が安定して低減し、且つ、樹
脂被覆層を補修塗装する必要のないイージーオープン缶
蓋が得られる、工業上有用な効果がもたらされる。
【図1】請求項1に記載の発明方法によって製造された
イージーオープン缶蓋の一実施態様を示す、缶体の缶蓋
パネルに形成された開口用ノッチ部分の断面図である。
イージーオープン缶蓋の一実施態様を示す、缶体の缶蓋
パネルに形成された開口用ノッチ部分の断面図である。
【図2】請求項2に記載の発明方法によって製造された
イージーオープン缶蓋の一実施態様を示す、缶体の缶蓋
パネルに形成された開口用ノッチ部分の断面図である。
イージーオープン缶蓋の一実施態様を示す、缶体の缶蓋
パネルに形成された開口用ノッチ部分の断面図である。
【図3】開口用溝部残板厚と開缶力との関係を示したグ
ラフである。
ラフである。
【図4】本発明方法による、1組の金型を使用した加工
方法の説明図である。
方法の説明図である。
【図5】本発明方法による、平金型による押圧成形を示
す説明図である。
す説明図である。
【図6】プルトップ・タブ・タイプ缶蓋の一例を示す概
略平面図である。
略平面図である。
【図7】ステイオン・タブ・タイプの缶蓋の一例を示す
概略平面図である。
概略平面図である。
【図8】イージーオープン缶蓋における開口用溝の従来
の形成方法を示す説明図である。
の形成方法を示す説明図である。
1 缶蓋 2a,2b 開口用ノッチ 3 ポンチ 4 ダイス 5 しわ押さえ板 6 平金型 7 中央パネル部 8 リベット機構 9 タブ 10 破断開口部 11 開口用溝 12 加工工具 13 蓋板 14 V字状溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤掛 政久 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 余村 吉則 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 三原 豊 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 両面の各々に5〜100μmの厚さの樹
脂被覆層が形成された表面処理鋼板からなる缶蓋パネル
に形成されている開口部を破断し、開缶するイージーオ
ープン缶蓋を製造する方法において、 前記缶蓋パネルの開口部に対し、刃先の曲率(R)が
0.5mm以下のポンチおよびダイスと、しわ押さえ板と
からなる1組の金型を使用し、前記ポンチと前記ダイス
との片側クリアランス(C)が0mm以上の条件で中止
め剪断加工を施すことによって、前記開口部の両面に、
残板厚(tR) が0.08〜0.15mmの範囲内である
き裂状の開口用ノッチを形成し、 次いで、前記中止め剪断加工部およびその近傍を、前記
樹脂被覆層の樹脂の融点以上、(融点+30℃)以下の
範囲内の温度に加熱することを特徴とする、イージーオ
ープン缶蓋の製造方法。 - 【請求項2】 両面の各々に5〜100μmの厚さの樹
脂被覆層が形成された表面処理鋼板からなる缶蓋パネル
に形成されている開口部を破断し、開缶するイージーオ
ープン缶蓋において、 前記缶蓋パネルの開口部に対し、刃先の曲率(R)が
0.5mm以下のポンチおよびダイスと、しわ押さえ板と
からなる1組の金型を使用し、前記ポンチと前記ダイス
との片側クリアランス(C)が0mm以上の条件で中止
め剪断加工を施すことによって、前記開口部の両面に、
残板厚が0.12〜0.18mmの範囲内のノッチを形成
し、 次いで、前記開口部を平金型により押圧成形することに
よって、残板厚(tR) が0.08〜0.15mmの範囲
内のき裂状の開口用ノッチを形成し、 前記平金型により押圧成形する際または押圧成形後に、
前記中止め剪断加工部およびその近傍を、前記樹脂被覆
層の樹脂の融点以上、(融点+30℃)以下の範囲内の
温度に加熱することを特徴とする、イージーオープン缶
蓋の製造方法。 - 【請求項3】 前記両面に樹脂被覆層が形成された表面
処理鋼板からなる缶蓋パネルに対する前記開口用ノッチ
の形成加工を、前記樹脂被覆層の樹脂のガラス転移点以
上、(融点−20℃)以下の範囲内の温度条件によって
行う、請求項1または2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18545997A JPH1129143A (ja) | 1997-05-12 | 1997-07-10 | イージーオープン缶蓋の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12128097 | 1997-05-12 | ||
JP9-121280 | 1997-05-12 | ||
JP18545997A JPH1129143A (ja) | 1997-05-12 | 1997-07-10 | イージーオープン缶蓋の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1129143A true JPH1129143A (ja) | 1999-02-02 |
Family
ID=26458692
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18545997A Pending JPH1129143A (ja) | 1997-05-12 | 1997-07-10 | イージーオープン缶蓋の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1129143A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006265630A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Asahi Tec Corp | 金属製品の生産方法及び同金属製品 |
-
1997
- 1997-07-10 JP JP18545997A patent/JPH1129143A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006265630A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Asahi Tec Corp | 金属製品の生産方法及び同金属製品 |
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