JPH1191775A - 樹脂被覆鋼板製イージーオープン缶蓋およびその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆鋼板製イージーオープン缶蓋およびその製造方法

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JPH1191775A
JPH1191775A JP24667397A JP24667397A JPH1191775A JP H1191775 A JPH1191775 A JP H1191775A JP 24667397 A JP24667397 A JP 24667397A JP 24667397 A JP24667397 A JP 24667397A JP H1191775 A JPH1191775 A JP H1191775A
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雄司 山崎
Masayoshi Kurihara
正好 栗原
Masahisa Fujikake
政久 藤掛
Yoshinori Yomura
吉則 余村
Reiko Sugihara
玲子 杉原
Yutaka Mihara
豊 三原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 両面に樹脂被膜層が形成された表面処理鋼板
からなる缶蓋に、樹脂被膜層の損傷が生ずることなく開
口用溝が形成され、開缶性の向上したイージーオープン
缶蓋を製造する。 【解決手段】 上下少なくとも一方の金型が先端半径
0.1〜 1.0mmの曲面型である金型を使用し、両面に樹脂
被覆層が形成された鋼板からなる缶蓋1の表面および裏
面の少なくとも一方に、底断面形状が半径 0.1〜 1.0mm
の曲面であり、且つ、その最薄部の厚さが0.025 〜0.08
0 mmの開口用溝2を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、缶体の缶蓋に形
成された開口部を破断して開缶する、飲料用缶や食缶の
缶蓋に使用されるイージーオープン缶蓋およびその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビール、ジュース、コーヒー等の各種飲
料を収容する缶の缶蓋として、缶蓋に形成された開口部
を指で破断し開缶するイージーオープン缶蓋が広く使用
されている。イージーオープン缶蓋は、主として飲料缶
に使用されるパーシャルオープンタイプの缶蓋と、主と
して食缶に使用されるフルオープンタイプの缶蓋とに大
別される。
【0003】パーシャルオープンタイプの缶蓋は、プル
トップ・タブ・タイプの缶蓋と、ステイオン・タブ・タ
イプの缶蓋とに大別される。図9は、プルトップ・タブ
・タイプ缶蓋の一例を示す概略平面図である。図9に示
すプルトップ・タブ・タイプの缶蓋の開口は、次のよう
にして行われる。即ち、鋼、アルミニウム等の金属板か
らなる缶蓋1の中央パネル部11の中心にリベット機構9
により固定されているタブ3を引き上げることによっ
て、中央パネル部11に開口用溝2が刻設されている破断
開口部10を、てこの作用により、タブ3の作用端が押
し下げる。その結果、開口用溝2は破断し、更にタブ3
を引張ることによって、破断した開口片は缶蓋1から完
全に切り離される。
【0004】図10は、ステイオン・タブ・タイプの缶
蓋の一例を示す概略平面図である。図9に示すステイオ
ン・タブ・タイプ缶蓋の開口は、次のようにして行われ
る。即ち、缶蓋1の中央パネル部11の中心にリベット
機構9により固定されているタブ3を引き上げることに
よって、中央パネル部11に開口用溝2が刻設されてい
る破断開口部10を、てこの作用により、タブ3の作用
端が押し下げる。その結果、開口用溝2は破断し、更
に、タブ3の引起こし端を引き上げることによって破断
を進行させ、その際に生じた破断開口片の一部を缶蓋1
に連結させたまま缶内に押し込む。
【0005】また、フルオープンタイプの缶蓋は、缶蓋
の外周縁に沿って開口用溝が刻設されており、缶蓋外周
縁近くのパネル部に固定されたタブを引き上げることに
よって、プルトップタイプの場合と同様に、開口片を缶
蓋から切り離すようになっている。
【0006】このようなイージーオープン缶蓋における
開口用溝の形成は、従来図11に示すように、所定の開
口部輪郭が形成された刃先状突起を有する加工工具12
を使用し、缶蓋の表面側より蓋板13の厚さの1/2以
上の深さの開口用溝2が形成されるような高い荷重でプ
レスにより押圧成形することによって行われており、こ
れによって断面V字状の溝2が形成されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、開口用溝
の形成は、加工工具を使用しプレスによる高荷重の押圧
成形で行われるために、両面に樹脂被膜層が形成された
鋼板からなる缶蓋の場合には、押圧成形時に、缶蓋の両
面に形成されている樹脂被膜層が損傷し、耐食性が劣化
する問題が生ずる。従って、耐食性の劣化を防止するた
めに、押圧成形後に補修塗装を行わなければならず、多
くの手間および費用を要していた。
【0008】最近は、缶蓋の材料に、樹脂被膜層が損傷
を受けても錆の生じないアルミニウムが使用されている
が、アルミニウムの使用は、コスト高となる上、リサイ
クルの点からも問題がある。
【0009】樹脂被膜層が形成された表面処理鋼板から
なる缶蓋に開口用溝を形成する際に生ずる上述した問題
の対策として、特開平6−115546号、特開平6ー
115547号、特開平6−11548号公報には、複
合押出し加工によって開口溝を形成する方法が開示され
ている。上記公報の記載によれば、複合押出し加工によ
って開口用溝が形成されるので、樹脂被膜層の損傷がな
く補修塗装が不要であるとされているが、複合押出しの
加工条件や溝形状の詳細が不明であり、安定して開口用
溝が形成される再現性の判断が困難である。
【0010】また、特開平8−99140号公報には、
肩半径が0.1〜1.0mmの上下金型により温間加工に
よって溝を形成し、最薄部を元厚の1/2以下にする方
法が開示されている。肩半径が0.1〜1.0mmの金型
を使用することは、樹脂皮膜の損傷に対しては効果があ
るが、開缶力は最薄部厚さの絶対値によって決まるため
に、元厚の1/2以下にしても良好な開缶性を示すとは
限らない。
【0011】実公昭63−40439号公報には、指の
挿入および指掛け挟持部の挟持を容易にするために、缶
蓋の中央パネル部とダブの指掛け挟持部との間隙を広め
る目的で、指挿入用凹部をダブの指掛け挟持部の下方の
中央パネル部に形成することが提案されており、また、
実開平5−40133号公報には、ダブの中心軸が破断
開口部の中心軸からずれた開口不可位置から、ダブの中
心軸と破断開口部の中心軸とが一致する開口可能位置に
回転移動可能な程度にタブをリベット留めし、タブが開
口不可位置から開口可能位置に移動する間に、リベット
とダブの指掛け挟持部の間に位置する中央パネル部に設
けたテーパー状の突起によってタブの指掛け挟持部を浮
き上がらせることにより、缶蓋の中央パネル部とタブの
指掛け挟持部との間隙への指の挿入および指掛け挟持部
への指掛かりを容易にすることが提案されている。
【0012】上記缶蓋によれば、指挿入用凹部またはテ
ーパー状の突起が形成されていることにより、それらが
形成されていないものと比較して、缶蓋の中央パネル部
とタブの指掛け挟持部との間隙への指の挿入、および、
指掛け挟持部への指掛かりは容易になるが、開缶時の引
き上げ力は変わらないために、開缶力の低減までには至
っていない。
【0013】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、両面に樹脂被膜層が形成された鋼板からなる
缶蓋に開口用溝を形成する際に、缶蓋の両面に形成され
ているめっき層および樹脂被膜層の損傷による補修塗装
を必要とせず、しかも、子供や老人でも容易に開缶する
ことができる、開缶性の優れたイージーオープン缶蓋お
よびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決し、開缶性に優れしかも衝撃破壊の生ずるこ
とがないイージーオープン缶蓋を開発すべく鋭意研究を
重ねた。
【0015】従来、開缶時における開口用溝の破断は、
せん断変形によって生ずると考えられており、そのよう
な考えに基づいて開口用溝の形状を設計していた。しか
しながら、本発明者等による研究の結果、開口用溝の破
断は、せん断変形によって生ずるのではなく、主として
引張り変形によって生ずることが明らかになり、従っ
て、開缶力を低下させるためには、開口用溝の最薄部の
厚さの絶対値を小さくすることが最も効果的であること
がわかった。
【0016】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、請求項1に記載の発明は、両面に樹脂被
膜層が形成された鋼板からなる缶蓋の表面および裏面の
少なくとも一方に開口用溝が形成され、前記開口用溝を
破断して開缶するイージーオープン缶蓋において、前記
缶蓋の表面および裏面の少なくとも一方に形成された前
記開口用溝の底断面形状が、半径0.1〜1.0mmの曲
面であり、且つ、その最薄部の厚さが0.025〜0.
080mmの範囲内であることに特徴を有するものであ
る。
【0017】請求項2に記載の発明は、両面に樹脂被膜
層が形成された缶蓋パネルに対し、上下少なくとも一方
の金型が先端半径0.1〜1.0mmの曲面型である1対
の金型を使用し、最薄部の厚さが0.025〜0.08
0mmの範囲となるように押圧成形を施すことにより、請
求項1記載の缶蓋を製造することに特徴を有するもので
ある。
【0018】また、請求項3に記載の発明は、両面に樹
脂被膜層が形成された鋼板からなる缶蓋パネルに対する
前記開口用溝の形成加工を、液体または固体の潤滑剤を
使用して行うことに特徴を有するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、この発明のイージーオープ
ン缶蓋およびその製造方法を、図面を参照しながら説明
する。
【0020】図1は、請求項1に記載の、この発明のイ
ージーオープン缶蓋の第1実施態様を示す、缶蓋に形成
された開口用溝部分の断面図である。この実施態様にお
いては、図1に示すように、両面に樹脂被膜層8を有す
る、厚さt0 の缶蓋1の表面1aに、半径(R)が0.
1〜1.0mmであって、その最薄部2aの厚さ(ts
が0.025〜0.080mmの範囲内の、断面が曲面形
状の開口用溝2が形成されている。
【0021】図2は、請求項1に記載の、この発明のイ
ージーオープン缶蓋の第2実施態様を示す、缶蓋に形成
された開口用溝部分の断面図である。この実施態様にお
いては、図2に示すように、両面に樹脂被膜層8を有す
る、厚さt0 の缶蓋1の表面1aおよび裏面1bに、各
々半径(R)が0.1〜1.0mmであって、その最薄部
2aの厚さ(ts )が0.025〜0.080mmの範囲
内の、断面が曲面形状の開口用溝2,2が形成されてい
る。
【0022】缶蓋1の表面1aまたは表面1aおよび裏
面1bに、上述した半径(R)の、曲面形状の開口用溝
2が形成されていることによって、子供や老人でも容易
に開缶することができる程度にまで開缶力を安定して低
減化することができ、しかも、衝撃破壊の発生が防止さ
れる。
【0023】開口用溝2の半径(R)が0.1mm未満で
は、樹脂被膜層を損傷することなく、缶蓋パネルに上記
開口用溝2を形成することが困難になる。一方、開口用
溝2の半径(R)が1.0mmを超えると、缶蓋1におけ
る薄肉部の面積が多くなるために、開口部の破断位置が
不安定になって開口形状が悪化する上、破断部の一部が
垂れ下がる「だれ」が大きくなる問題が生じ、また、限
られたスペースの缶蓋パネル上に1.0mmを超える幅の
開口用溝2を形成することは実用上困難である。
【0024】また、開口用溝2の最薄部2aの厚さが
0.025mm未満では、成形加工時に樹脂被膜が損傷
し、また、缶蓋パネルが破断するおそれがあり、このよ
うな缶蓋が取付けられた缶体を落としたり、缶体が外部
から衝撃等を受けたときに、その開口部が破断する危険
性が生ずる。一方、開口用溝2の最薄部2aの厚さが
0.080mmを超えると、大きな開缶力が必要になる問
題が生ずる。
【0025】従って、缶蓋の表面および裏面の少なくと
も一方の面に形成された開口用溝の断面形状は、半径
0.1〜1.0mmの曲面で且つその最薄部の厚さが0.
025〜0.080mmの範囲内であることが必要であ
る。
【0026】この発明の缶蓋は、上下少なくとも一方の
金型が先端半径0.1〜1.0mmの曲面型である1対の
金型を使用し、最薄部の厚さが0.025〜0.080
mmの範囲内になるよう、両面に樹脂被膜層が形成された
缶蓋パネルにプレス加工を施すことによって形成するこ
とができる。曲面型金型を上記寸法形状としたのは、缶
蓋に前記寸法形状の開口用溝を形成するためであって、
開口用溝の寸法形状の限定理由は、前述した通りであ
る。
【0027】缶蓋パネルにプレス加工を施すに際し、潤
滑剤を使用すれば、金型と樹脂との間の摩擦力が小さく
なるので、樹脂に発生するせん断力が小さくなり、樹脂
と鋼板との界面における剥離の発生を抑制することがで
きる。
【0028】上述した断面曲面形状の開口用溝を有する
この発明の缶蓋は、図9に示すプルトップ・タブ・タイ
プ缶蓋または図10に示すステイオン・タブ・タイプの
缶蓋の何れにも適用することができる。
【0029】また、図3(a) に示すように、タブ3を缶
蓋1にタブ留め4を中心として回転可能に、タブ留め4
の位置を缶蓋1の中心から開口部5の反対側に所定長さ
ずらして取付け、且つ、タブ3のタブ留め4から先端ま
での長さを従来よりも長くすることにより作用点におけ
る発生力を大となし、図3(b) に示すように、タブ3を
開口可能位置に回転させたときに、タブ3の引き起こし
側端部を、缶蓋外周よりも外側に位置させるようにした
缶蓋に、この発明の曲面形状の開口用溝を形成すれば、
開缶力を一段と低下させることができる。
【0030】缶蓋の材質としては、一般に、0.15〜
0.30mmの板厚のアルミニウム板や、表面に金属めっ
きが施された表面処理鋼板等が使用される。
【0031】
【実施例】次に、この発明を実施例により比較例と対比
しながら更に説明する。 〔実施例1〕板厚0.25mmで、引張り強さが440MP
a の薄鋼板の両面に、クロメート処理によって120mg
/m2 の量の金属クロム層と、その上層の金属クロム換算
で15mg/m2 の量のクロム水和酸化物層とからなるクロ
メート被膜が形成されたティンフリースチール鋼板の両
面に、厚さ25μmの熱融着タイプのポリエステルフィ
ルムをラミネートした。
【0032】このようにポリエステルフィルムがラミネ
ートされた鋼板に対し、本発明の方法により、少なくと
も一方の金型が先端半径0.1〜1.0mmの曲面型で、
他方の金型が平型からなる1対の金型を使用し、最薄部
の厚さが0.025〜0.080mmの範囲内になるよう
に、缶蓋パネルに、潤滑剤を使用しまたは潤滑剤を使用
することなくプレス加工を施して、その表面に開口用溝
を形成し、表1に示す、本発明の範囲内のスティオンタ
ブタイプのイージーオープン缶蓋の供試体(以下、本発
明供試体という)No. 1から17を調製した。
【0033】比較のために、上記ティンフリースチール
鋼板に対し、曲面型金型の開口用溝の半径および/また
は最薄部の厚さが本発明の範囲外であり、他方が平型か
らなる1対の金型を使用し、缶蓋パネルに、潤滑剤を使
用しまたは潤滑剤を使用することなくプレス加工を施し
て、その表面に開口用溝を形成し、表1に併せて示す、
スティオンタブタイプのイージーオープン缶蓋の供試体
(以下、比較用供試体という)No. 1から20を調製し
た。
【0034】
【表1】
【0035】上述した本発明供試体および比較用供試体
の各々のポップ値、および、被膜損傷、被膜剥離、衝撃
破壊の有無を、下記によって調べ、その結果を表1に併
せて示した。ポップ値(Kg・cm) は、缶蓋のタブを一定
の力で引張ったときに缶蓋開口部が開き始める最初の力
によって評価し、衝撃破壊は、図4に示すように、缶6
を高さ1mの位置からコンクリート床面上に、缶蓋1を
下方に向けた斜めの姿勢で落下させ、缶蓋1に図5に矢
印で示す方向に衝撃力が付加されたときの衝撃破壊の有
無によって評価した。また、被膜損傷は、缶各供試体に
対し耐食性試験を施し、錆の発生の有無によって評価
し、そして、被膜剥離は、被膜剥離発生の有無を断面観
察によって評価した。
【0036】表1から明らかなように、断面曲面形状の
開口用溝の半径が本発明の範囲を外れて小さい比較用供
試体No. 1〜6は、何れも被膜損傷および被膜剥離が発
生し、最薄部の厚さが本発明の範囲を外れて小さい比較
用供試体No. 1および5は衝撃破壊が発生した。
【0037】開口用溝の半径が本発明の範囲を外れて小
さく且つ最薄部の厚さが本発明の範囲を外れて大きい比
較用供試体No. 7、8は、ポップ値が2.8で高かっ
た。最薄部の厚さが本発明の範囲を外れて小さい比較用
供試体No. 9〜12、14は、何れも被膜損傷、被膜剥
離および衝撃破壊が発生した。最薄部の厚さが本発明の
範囲を外れて大きい比較用供試体No. 13、15は、ポ
ップ値が2.8以上で高かった。開口用溝の半径が本発
明の範囲を外れて大きい比較用供試体No. 16〜20
は、何れも開口形状が悪く、そして最薄部の厚さが本発
明の範囲を外れて小さい比較用供試体No. 16、17、
19は、衝撃破壊が発生した。
【0038】これに対し、本発明供試体は、何れもポッ
プ値が2.6以下で低く、且つ、被膜損傷、被膜剥離お
よび衝撃破壊は発生せず、開口形状も良好であった。 〔実施例2〕板厚が0.25mmで、引張り強さが290
MPa および440MPa の薄鋼板の表面に、クロメート処
理によって、120mg/m2 の量の金属クロム層と、その
上層に金属クロム換算で15mg/m2 の量のクロム水和酸
化物層とからなるクロメート被膜が形成され、且つ、ク
ロメート被膜の上に、厚さ25μmの熱融着タイプのフ
ィルムがラミネートされた、ティンフリースチール鋼板
に対し、本発明の方法により、一方の金型が先端半径
0.1〜1.0mmの曲面型で、他方の金型が平型からな
る1対の金型を使用し、最薄部の厚さを変えて、図8に
示すような開口用溝2を有する引張り試験片7を調製
し、試験片7の最薄部の厚さと引張り強度との関係を調
べ、その結果を図6に示した。図6において、○印は引
張り強さが290MPa の試験片であり、□印は引張り強
さが440MPa の試験片である。
【0039】比較のために、従来の開口用溝が形成され
た表2に示す市販のイージーオープン缶蓋No. 1〜8の
試験片について、その最薄部の厚さと引張り強度との関
係を調べ、その結果を図6に併せて示した。
【0040】
【表2】
【0041】図6から明らかなように、市販缶の試験片
の引張り強度は4〜6Kgf/mmであるのに対し、本発明試
験片の引張り強度は、最薄部の厚さが0.025〜0.
080mmの場合に約2〜5Kgf/mmであり、市販缶に比較
して引張り強度が低く、開缶力に優れていた。
【0042】〔実施例3〕板厚0.25mmで、引張り強
さが440MPa の薄鋼板の表面に、クロメート処理によ
って120mg/m2 の量の金属クロム層と、その上層の金
属クロム換算で15mg/m2 の量のクロム水和酸化物層と
からなるクロメート被膜が形成され、且つ、クロメート
被膜の上に、厚さ25μmの熱融着タイプのフィルムが
ラミネートされた、ティンフリースチール鋼板に対し、
一方の金型が曲面型で、他方の金型が平型からなる1対
の金型を使用し、一方の金型の先端半径および最薄部の
厚さを変えてプレス加工を施したときの、被膜損傷の有
無を調べ、その結果を図7に示した。
【0043】図7から明らかなように、開口用溝の先端
半径が0.1〜1.0mmで、且つ、最薄部の厚さが0.
025〜0.080mmの範囲内の場合には、被膜損傷は
発生しなかった。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
両面に樹脂被膜層が形成された鋼板からなる缶蓋に開口
用溝を形成する際に、缶蓋の両面に形成されているめっ
き層および樹脂被膜層の損傷による補修塗装を必要とせ
ず、しかも、子供や老人でも容易に開缶することができ
る、開缶性の優れたイージーオープン缶蓋が得られる、
工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶蓋の第1実施態様を示す、缶蓋に形
成された開口用溝部分の断面図である。
【図2】本発明の缶蓋の第2実施態様を示す、缶蓋に形
成された開口用溝部分の断面図である。
【図3】本発明の開口用溝を有するイージーオープン缶
蓋の一例を示す平面図である。
【図4】衝撃試験方法を示す説明図である。
【図5】缶蓋に対する衝撃力の付加位置を示す説明図で
ある。
【図6】試験片の最薄部の厚さと引張り強度との関係を
示すグラフである。
【図7】金型の先端半径および最薄部の板厚と被膜損傷
の有無との関係を示すグラフである。
【図8】引張り試験片の平面図である。
【図9】プルトップ・タブ・タイプの缶蓋の一例を示す
概略平面図である。
【図10】ステイオン・タブ・タイプの缶蓋の一例を示
す概略平面図である。
【図11】イージーオープン缶蓋における開口用溝の従
来の形成方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 缶蓋 2 開口用溝 3 タブ 4 タブ留め 5 開口部 6 缶 7 引張り試験片 8 樹脂被膜層 9 リベット機構 10 破断開口部 11 中央パネル部 12 加工工具 13 蓋板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年10月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】 樹脂被覆層が形成された表面処理鋼板か
らなる缶蓋に開口用溝を形成する際に生ずる上述した問
題の対策として、特開平6−115546号、特開平6
−115547号、特開平6−115548号公報に
は、複合押出し加工によって開口溝を形成する方法が開
示されている。上記公報の記載によれば、複合押出し加
工によって開口用溝が形成されるので、樹脂被膜層の損
傷がなく補修塗装が不要であるとされているが、複合押
出しの加工条件や溝形状の詳細が不明であり、安定して
開口用溝が形成される再現性の判断が困難である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】
【表1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】 上述した本発明供試体および比較用供試
体の各々のポップ値、および、被膜損傷、被膜剥離、衝
撃破壊の有無を、下記によって調べ、その結果を表1に
併せて示した。ポップ値(kg) は、缶蓋のタブを一定の
力で引張ったときに缶蓋開口部が開き始める最初の力に
よって評価し、衝撃破壊は、図4に示すように、缶6を
高さ1mの位置からコンクリート床面上に、缶蓋1を下
方に向けた斜めの姿勢で落下させ、缶蓋1に図5に矢印
で示す方向に衝撃力が付加されたときの衝撃破壊の有無
によって評価した。また、被膜損傷は、缶各供試体に対
し耐食性試験を施し、錆の発生の有無によって評価し、
そして、被膜剥離は、被膜剥離発生の有無を断面観察に
よって評価した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】
【表2】
フロントページの続き (72)発明者 余村 吉則 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉原 玲子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 三原 豊 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両面に樹脂被膜層が形成された鋼板から
    なる缶蓋の表面および裏面の少なくとも一方に開口用溝
    が形成され、前記開口用溝を破断して開缶するイージー
    オープン缶蓋において、 前記缶蓋の表面および裏面の少なくとも一方に形成され
    た前記開口用溝の底断面形状が、半径0.1〜1.0mm
    の曲面であり、且つ、その最薄部の厚さが0.025〜
    0.080mmの範囲内であることを特徴とする、樹脂被
    覆鋼板製イージーオープン缶蓋。
  2. 【請求項2】 両面に樹脂被膜層が形成された鋼板から
    なる缶蓋パネルに対し、上下少なくとも一方の金型が先
    端半径0.1〜1.0mmの曲面型である1対の金型を使
    用し、最薄部の厚さが0.025〜0.080mmの範囲
    となるように押圧成形を施すことによって、請求項1記
    載の缶蓋を製造することを特徴とするイージーオープン
    缶蓋の製造方法。
  3. 【請求項3】 両面に樹脂被膜層が形成された鋼板から
    なる缶蓋パネルに対する前記開口用溝の形成加工を、液
    体または固体の潤滑剤を使用して行う、請求項2記載の
    方法。
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