JPH10230158A - マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

マイクロカプセルの製造方法

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JPH10230158A
JPH10230158A JP9054171A JP5417197A JPH10230158A JP H10230158 A JPH10230158 A JP H10230158A JP 9054171 A JP9054171 A JP 9054171A JP 5417197 A JP5417197 A JP 5417197A JP H10230158 A JPH10230158 A JP H10230158A
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emulsion
gel
weight
substance
hydrophilic
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JP9054171A
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Ryoji Yasue
良司 安江
Taku Akamatsu
卓 赤松
Kentarou Kiyama
健太郎 貴山
Kazuo Nagaai
一雄 永合
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Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 多価アルコール類等のゲル形成物質と親
油性界面活性剤とからゲルを形成し、このゲルと親水性
芯物質を含有する水相と油分とからW/O型エマルショ
ンを形成した後、このW/O型エマルションを親水性膜
形成物質を含有する外水相に分散・乳化させて、W/O
/W型複合エマルションを形成し、次いで上記W/O/
W型複合エマルション粒子の外水相を固化させることに
より、上記W/O型エマルション粒子を覆って上記親水
性膜形成物質のマイクロカプセル膜を形成して親水性芯
物質含有多核型マイクロカプセルを製造する。 【効果】 親水性芯物質を安定的に内包する親水性芯物
質含有多核型マイクロカプセルを調製することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親水性芯物質がマ
イクロカプセル中に安定性よく内包された親水性芯物質
含有多核型マイクロカプセルを調製することができるマ
イクロカプセルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、マイクロカプセルは、医薬品、農薬、食品、接着
剤、液晶などの多岐にわたる分野で検討され、種々の製
品が実用化又は実用化試験に至っているが、親水性芯物
質をマイクロカプセル中に安定性よく内包する技術につ
いては改良の余地があった。
【0003】即ち、従来のマイクロカプセルの製法を、
大きく分けると、界面重合法,in−situ重合法等
の化学的な方法、コアセルベーション法,界面沈殿法,
液中乾燥法,オリフィス法等の物理化学的方法、噴霧乾
燥法,乾式混合法等の機械的な方法の3つに分類され
る。これらの中でも、親水性物質をマイクロカプセル化
する方法としては、界面重合法、in−situ重合
法、液中乾燥法、オリフィス法、コアセルベーション法
等を採用することが提案されている。
【0004】例えば、特開昭60−48923号及び特
開昭63−36290号公報には、液中乾燥法を利用し
た例が挙げられており、水溶性物質又は固体を芯物質と
すると共に、高分子重合体を含む有機溶剤液を油相と
し、これらを撹拌機により混合して、油相に水相を撹拌
機の剪断力を与えて分散、乳化させる機械乳化によりW
/O型エマルションを調製し、次いで、このW/O型エ
マルションを界面活性剤を含む水溶液で2次乳化させて
W/O/W型複合エマルションを調製し、得られたW/
O/W型複合エマルションから有機溶剤を蒸発させた
後、分離、洗浄、乾燥して、水溶性物質又は固体を芯物
質としたマイクロカプセルを得る方法が記載されてい
る。しかしながら、この方法により製造されるマイクロ
カプセルは、徐放性マイクロカプセルとして利用されて
いるが、芯物質が膜外に散逸しやすいなどの問題があ
る。
【0005】また、親水性芯物質を含有する水相と油相
とを上記のような機械乳化することによって調製したW
/O型エマルションを相分離法によりマイクロカプセル
化する提案が特公昭37−3874号及び特公昭37−
12377号公報等に記載されているが、このW/O型
エマルションをカプセル化したものは、SDSのような
界面活性剤の水溶液に保存すると親水性の芯物質が容易
に溶出してしまうなどの欠点がある。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、親水性芯物質を安定性よくカプセル中に内包した親
水性芯物質含有多核型マイクロカプセルを調製すること
ができるマイクロカプセルの製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、多価アルコール類、糖類及びアミノ酸類の少なくと
も一種と親油性界面活性剤とから一旦ゲルを形成した
後、このゲルに親水性芯物質を含有する水相及び油分を
添加、混合して、W/O型エマルションを調製するゲル
乳化法によって得られるW/O型エマルションをマイク
ロカプセル化することにより、上記親水性芯物質を安定
性よくマイクロカプセルに内包することができることを
知見し、本発明をなすに至った。
【0008】即ち、本発明は、多価アルコール類、糖類
及びアミノ酸類から選ばれる少なくとも一種のゲル形成
物質と親油性界面活性剤とからゲルを形成し、このゲル
に親水性芯物質を含有する水相及び油分を添加して、上
記ゲル形成物質及び上記親水性芯物質を含有する内水相
を分散質とするW/O型エマルションを形成した後、こ
のW/O型エマルションを親水性膜形成物質を含有する
外水相に分散・乳化させて、上記W/O型エマルション
粒子を分散質とするW/O/W型複合エマルションを形
成し、次いで上記W/O/W型複合エマルション粒子の
外水相を固化させることにより、上記W/O型エマルシ
ョン粒子を覆って上記親水性膜形成物質のマイクロカプ
セル膜を形成して、親水性芯物質含有多核型マイクロカ
プセルを製造することを特徴とするマイクロカプセルの
製造方法を提供する。
【0009】以下、本発明につき更に詳細に説明する
と、本発明のマイクロカプセルの製造方法は、ゲル形成
物質である多価アルコール類、糖類及びアミノ酸類と、
親油性界面活性剤と、親水性芯物質と、油分と、親水性
膜形成物質とを用いるものである。
【0010】ここで、本発明のマイクロカプセルの製造
方法は、ゲル乳化法を採用するものであって、多価アル
コール類、糖類及びアミノ酸類の1種単独又は2種以上
と親油性界面活性剤とからゲルを調製する。多価アルコ
ール類としては、親油性界面活性剤とによりゲルを形成
することができるものであれば、その種類は特に制限さ
れないが、分子内に水酸基の多い方がゲルの形成が容易
であることを考慮すれば、通常水酸基が3〜12、特に
6〜12である多価アルコールが好適であり、具体的に
は、ソルビトール,タリット,アリット,マンニット,
テトリット,エリトリット,グルコース,フルクトー
ス,イジット,ガラクチット,ペンチット,キシリッ
ト,ヘキシットなどの糖アルコール、グリセリン、ジグ
リセリン、ペンタエリスリット等が挙げられ、これらは
1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用するこ
とができる。
【0011】糖類としては、親油性界面活性剤とにより
ゲルを形成することができるものであれば、その種類は
特に制限されず、例えばショ糖、果糖、グルコース等が
挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み
合わせて使用することができる。
【0012】アミノ酸類は、親油性界面活性剤とにより
ゲルを形成することができるアミノ酸又はアミノ酸塩で
あれば、その種類は特に制限されないが、アミノ酸を使
用する場合は、水によく溶解するものが望ましく、アミ
ノ酸としては、例えばモノアミノモノカルボン酸、アミ
ノ酸塩としては、モノアミノモノカルボン酸のモノナト
リウム塩及びモノアミノモノカルボン酸のモノ塩酸塩が
好適であり、具体的には、グリシン、L−(β)アラニ
ン、L−ハイドロオキシプロリン、L−セリン、L−グ
ルタミン酸モノナトリウム1水和物、L−グルタミン酸
モノカリウム1水和物、L−リジンモノ塩酸塩、L−ア
スパラギン酸モノナトリウム1水和物、L−アスパラギ
ン酸モノカリウム2水和物、L−ヒスチジンモノ塩酸
塩、L−アルギニンモノ塩酸塩及びこれらのD体、DL
体等が挙げられる。なお、これらのアミノ酸及びその塩
は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用する
ことができる。
【0013】本発明の場合、後述する親油性界面活性剤
の好適に使用できる範囲を考慮すれば、多価アルコール
類、糖類、アミノ酸類の中でも多価アルコール類又は糖
類を使用することが好ましく、これらの中でも特にソル
ビトール、ショ糖、グルコースを用いることが望まし
い。なお、本発明の場合、上記ゲル形成物質と親油性界
面活性剤とからなるゲルを形成するに当たり、上記ゲル
形成物質は水溶液として用いることが望ましく、この場
合、ゲル形成物質の濃度は高濃度とすることが好まし
く、上記ゲル形成物質の飽和水溶液付近の濃度が好適で
ある。
【0014】これらゲル形成物質の配合量は、ゲル形成
物質の種類、活性剤の種類等により適宜選定されるが、
通常マイクロカプセル全量に対して、0.5〜10%
(重量%、以下同様)、特に1〜8%程度が望ましい。
配合量が少なすぎると安定なW/O型エマルションが調
製できない場合があり、多すぎるとW/O型エマルショ
ンの粘度が高くなり、マイクロカプセルの調製が困難に
なる場合がある。また、ゲル全量に対して、10〜70
%、特に15〜65%程度が望ましい。配合量が多すぎ
ても少なすぎてもゲル形成が困難となる場合がある。
【0015】上記ゲル形成物質と共にゲル形成に使用さ
れる親油性界面活性剤としては、ゲルを形成した後、W
/O型エマルションを形成することができるものであれ
ば、その種類は特に制限されないが、アミノ酸類と組み
合わせてゲルを形成する場合、親油性界面活性剤は、1
分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有する多価アル
コールの脂肪酸部分エステルであること、脂肪酸の炭素
数が16〜18であること、室温で液体であること、H
LB値が約2〜4であること、それ自体がラメラ構造を
有していること、という条件を満たすものが好適に使用
され、具体的には、例えばモノグリセリルオレエート、
グリセリルモノイソステアレート、ジグリセリルジオレ
エート、ジグリセリルジイソステアレート、ペンタエリ
スリトールジイソステアレート、ソルビタンセスキオレ
エート、ポリオキシソルビトールテトラオレエート等が
挙げられる。一方、多価アルコール類又は糖類と組み合
わせてゲルを形成する場合、特に親油性界面活性剤とし
て、グリセリン高級脂肪酸エステル、ポリグリセリン高
級脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸
エステル及び蔗糖脂肪酸ポリエステルが好適に使用され
る。グリセリン高級脂肪酸エステルとしては、グリセリ
ンと炭素数6〜20、特に8〜18の脂肪酸とのエステ
ル、ポリグリセリン高級脂肪酸エステルとしては、グリ
セリンの重合度が2〜12、特に4〜10のポリグリセ
リンと炭素数6〜20、特に8〜18の脂肪酸とのエス
テル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとし
ては、グリセリンの重合度が2〜12、特に4〜10の
ポリグリセリンと縮合リシノレイン酸とのエステル、蔗
糖脂肪酸ポリエステルとしては、蔗糖と炭素数6〜2
0、特に8〜18の脂肪酸とのエステル組成が、モノエ
ステルが40%以下で、且つジ−、トリ−以上のものが
60%以上であるものが挙げられる。
【0016】これらの化合物としては、より具体的に
は、グリセリン高級脂肪酸エステルとして、モノグリセ
リルステアレート,モノグリセリルオレエート,モノグ
リセリルパルミテート等、ポリグリセリン高級脂肪酸エ
ステルとして、デカグリセリンデカステアリン酸エステ
ル,ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル,ヘキ
サグリセリンペンタステアリン酸エステル,テトラグリ
セリンモノステアリン酸エステル,テトラグリセリント
リステアリン酸エステル,テトラグリセリンペンタステ
アリン酸エステル,デカグリセリンデカオレイン酸エス
テル,デカグリセリンモノカプリル酸エステル,ヘキサ
グリセリンペンタオレイン酸エステル,テトラグリセリ
ンモノオレイン酸エステル,テトラグリセリンペンタオ
レイン酸エステル等、ポリグリセリン縮合リシノレイン
酸エステルとして、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン
酸エステル,テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エス
テル等、蔗糖脂肪酸ポリエステルとして、蔗糖ステアリ
ン酸ポリエステル,蔗糖パルミチン酸ポリエステル,蔗
糖オレイン酸ポリエステル,蔗糖ラウリン酸ポリエステ
ル,蔗糖ベヘニン酸ポリエステル,蔗糖エルカ酸ポリエ
ステル等が挙げられ、これらの中でも、特にヘキサグリ
セリン縮合リシノレイン酸エステル,テトラグリセリン
縮合リシノレイン酸エステル等のポリグリセリン縮合リ
シノレイン酸エステルがより好適に使用される。上記界
面活性剤は、その1種を単独で又は2種以上を適宜組み
合わせて使用することができる。なお、本発明の場合、
上記界面活性剤以外の界面活性剤を適宜選定して併用す
ることもできる。
【0017】上記界面活性剤の配合量は、その種類等に
より適宜選定することができるが、上記ゲル形成物質と
の配合割合が、ゲル形成物質/界面活性剤=1/1〜3
0/1、特に3/2〜25/1(重量比)程度が望まし
い。界面活性剤の配合割合が大きすぎても小さすぎて
も、ゲル形成が困難になる場合がある。また、W/O型
エマルション全量に対して、0.5〜10%、特に1〜
8%程度が望ましい。界面活性剤の配合量が少なすぎる
とエマルション形成が困難となる場合があり、配合量が
多すぎると例えば親水性芯物質の含有量が低下したり、
原料費が高くなる場合がある。なお、本発明の場合、W
/O型エマルションを形成するに当たり、形成されたゲ
ルに上記親油性界面活性剤を追加配合することもでき
る。
【0018】本発明のマイクロカプセルの製造方法にお
いて、芯物質となる親水性芯物質としては、化粧品、医
薬品、食品等の有効成分又は生理活性物質として使用さ
れる物質が好適に使用され、具体的には、例えばアスコ
ルビン酸,アスコルビン酸ナトリウム,ビタミンB類等
の水溶性ビタミン類、リパーゼ,プロテアーゼ,デキス
トラナーゼ等の水溶性酵素類、アニオン性界面活性剤,
カチオン性界面活性剤,ノニオン性界面活性剤等の界面
活性剤、フッ化ナトリウム、乳酸、水溶性色素、植物抽
出液などを挙げることができ、これらは1種単独で又は
2種以上を適宜組み合わせ使用することができる。な
お、本発明の場合、上記親水性芯物質を水に溶解して内
水相とするに当たり、本発明の目的を妨げない範囲で上
記親水性芯物質に加えて他の物質を通常量で配合するこ
ともでき、例えば安定化剤としてキサンタンガム、ゼラ
チン、ペクチン、メチルセルロース等の水溶性高分子を
1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合するこ
ともでき、また、上記ゲルとは別に、蔗糖、グルコース
等の糖類を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて
配合することもできる。
【0019】上記親水性芯物質の配合量は、その種類、
用途により適宜選定することができるが、マイクロカプ
セル全量に対して、0.01〜10%、特に0.1〜8
%程度が望ましい。親水性芯物質の配合量が少なすぎる
と十分な有効性、生理活性等が得られない場合があり、
親水性芯物質の配合量が多すぎるとマイクロカプセル化
が困難となる場合がある。また、W/O型エマルション
形成時における上記親水性芯物質からなる水相と上記ゲ
ル形成物質及び親油性界面活性剤からなるゲルとの重量
割合は、水相/ゲル=1/3〜10/1、特に1/2〜
6/1程度が望ましい。上記範囲以外では、エマルショ
ン形成が困難となる場合がある。
【0020】本発明に用いる油分としては、その種類は
特に制限されるものではなく、種々の油性成分を使用す
ることができるが、これらの中でも親水性芯物質が上記
のような有効成分又は生理活性物質である場合は、食
用、飲用、皮膚塗布用などとして利用することができ、
且つ親水性芯物質の安定性などを阻害することなく包含
することができるものが好適に使用され、このような油
分として、例えばコーン油,大豆油,落花生油,綿実油
等の植物油、牛脂,豚脂,イカ油,鯨油等の動物油、中
鎖トリグリセリド等の合成油などを挙げることができ、
これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使
用することができる。
【0021】上記油分の配合量は、その種類等により適
宜選定することができるが、マイクロカプセル全量に対
して、2〜40%、特に4〜35%程度が望ましい。上
記範囲以外では、上記親水性芯物質を安定性よく内包す
るマイクロカプセルを形成することが困難となる場合が
ある。また、同様の理由により、W/O型エマルション
形成時における上記油分と上記ゲル形成物質及び親油性
界面活性剤からなるゲルとの重量割合は、油分/ゲル=
1/15〜10/1、特に1/13〜9/1程度が望ま
しく、上記水相との割合は、油分/水相が6/1〜1/
3、特に5/1〜1/2であることが望ましい。なお、
本発明の場合、W/O型エマルションを形成するに当た
り、上記油分に上記親油性界面活性剤を追加配合するこ
ともでき、また、本発明の目的を損なわない範囲で他の
界面活性剤を配合することができる。
【0022】本発明における親水性膜形成物質として
は、マイクロカプセル膜を形成することができるもので
あれば、その種類は特に制限されるものではなく、親水
性芯物質が上記のような有効成分又は生理活性物質であ
る場合は、食用、飲用、皮膚塗布用などとして利用する
ことができ、且つマイクロカプセル膜を容易に形成する
ことができるものが好適であり、このような物質として
は、例えば低温から高温又は高温から低温の温度変化に
よってゲル化する水溶性高分子化合物等が挙げられ、具
体的には、ゼラチン、寒天、カラギーナン、ジェランガ
ム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、グルコ
マンナン、カードラン及びファーセラン等を挙げること
ができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合
わせて使用することができる。なお、上記水溶性高分子
化合物の場合、ゼラチン、寒天、カラギーナン、ジェラ
ンガム、グルコマンナン及びファーセランは、高温から
低温への温度変化によってゲル化するものであり、更に
カラギーナン(カッパカラギーナン)はカリウムイオ
ン、ファーセランはアルカリの存在下でそれぞれゲル化
する。また、ポリビニルアルコール、メチルセルロース
及びカードランは、低温から高温への温度変化によって
ゲル化する。
【0023】上記親水性膜形成物質の配合量は、その種
類等により適宜選定することができるが、マイクロカプ
セル全量に対して、0.5〜20%、特に1〜15%程
度が望ましい。親水性膜形成物質の配合量が少なすぎる
と、上記親水性芯物質を安定性よく内包するマイクロカ
プセルを形成することが困難となる場合があり、親水性
膜形成物質の配合量が多すぎると、相対的に芯物質の含
有量が低下してしまうので好ましくない。また、同様の
理由により、W/O/W型複合エマルションにおける上
記親水性膜形成物質からなる外水相とW/O型エマルシ
ョンとの重量割合は、外水相/(W/O型エマルショ
ン)が1〜100、特に2〜10であることが望まし
い。
【0024】なお、本発明の場合、上記親水性膜形成物
質を水等の水性溶媒に溶解して外水相を調製するに当た
り、その濃度は、W/O/W型複合エマルションの形
成、その後のマイクロカプセル膜の形成等の操作性など
を考慮して適宜選定されるものであり、また、本発明の
目的を損なわない範囲で他の水溶性成分を配合すること
もできる。
【0025】本発明のマイクロカプセルの製造方法は、
まず、上記ゲル形成物質と親油性界面活性剤とからゲル
を形成した後、このゲルに親水性芯物質を含有する水相
及び油分を添加して、親油性界面活性剤と油分とからな
る油相中に上記ゲル形成物質と親水性芯物質とを含有す
る内水相が分散・乳化したW/O型エマルションを形成
する。次いで、このW/O型エマルションを親水性膜形
成物質を含有する外水相に分散・乳化させて、上記W/
O型エマルション粒子を分散質とするW/O/W型複合
エマルションを形成した後、上記W/O/W型複合エマ
ルション粒子の外水相を固化させることにより、上記W
/O型エマルション粒子を覆って上記親水性膜形成物質
のマイクロカプセル膜を形成して、W/O/W型構造の
多核型マイクロカプセルを製造する。
【0026】ここで、ゲルの形成温度は、ゲルの凝固点
以上であって、親油性界面活性剤の曇点以下であること
が望ましく、具体的には20〜60℃程度が好適であ
る。
【0027】また、ゲル形成物質と親油性界面活性剤と
を混合してゲルを形成する際の撹拌装置は、その機種は
特に制限されないが、系の粘度がゲル形成に伴って高粘
度となることを考慮すれば、高粘度物を全体混合できる
ものが望ましく、例えばパドル、ニーダー、ナウターミ
キサー等が好適に使用される。
【0028】ここで、本発明のマイクロカプセルの製造
方法の場合、上記ゲル形成物質と界面活性剤とからなる
ゲルの粘度は、200〜2500Pa・s、特に300
〜2000Pa・sであることが好ましい。粘度が高す
ぎるとW/O型エマルションにゲルの粒子が残存する場
合があり、粘度が低すぎると安定なW/O型エマルショ
ンの調製が困難になる場合がある。なお、ゲル粘度の調
整は、ゲル形成物質の濃度、これらの配合量や界面活性
剤とゲル形成物質との比によって行うことができる。
【0029】次に、上記ゲルに親水性芯物質を含有する
水相及び油分を添加して、W/O型エマルションを形成
する場合、その形成温度は、水相、油分が固化しない程
度の温度であればよく、形成温度が高すぎると、水が蒸
発して組成が変わってしまい、安定な乳化物が調製でき
ない。
【0030】また、これら各成分を混合する場合、容器
内にこれらを添加する順序は特に制限されず、全部を同
時に添加してもよい。なお、上記水相は、例えば適宜成
分を添加した水に上記親水性芯物質を常法により溶解し
て調製することができる。
【0031】上記各成分を混合する際に使用される撹拌
装置は、その機種は特に制限されないが、系の粘度がW
/O型エマルションのW/O比により高粘度になる場合
もあることを考慮すれば、高粘度物を全体混合できる剪
断力の高い羽根を有するものが望ましく、更に本発明の
場合、マイクロカプセルにおける親水性芯物質の内包安
定性を考慮すれば、W/O型エマルションの内水相粒子
径を0.25〜15μm、特に0.5〜10μmとする
ことが好ましいため、W/O型エマルションの内水相粒
子を細かくすることができるタイプのものが望ましい。
ここで、撹拌装置のタイプとしては、1組の羽根によっ
て剪断力を確保する装置と複数組の羽根によって剪断力
を確保する装置との2種類に大別できる。以下、W/O
型エマルション形成時の撹拌装置、撹拌条件について図
面を用いて説明する。
【0032】本発明の製造方法においてW/O型エマル
ションを形成させるためには、ある程度強い剪断力をか
けることができ、全体混合ができるタイプのものが好ま
しい。
【0033】従って、W/O型エマルションを形成させ
る撹拌装置としては、複数組の羽根を備えた装置が好適
に使用され、例えば図1に示すように、撹拌槽1内にあ
る程度強い剪断力をかけることができる羽根2とその周
囲を囲う内径D´のステーター3、全体混合を行うこと
ができる掻き取り型の羽根4とを備えた装置が使用され
る。このような装置の場合、撹拌特性を考えると、剪断
力は撹拌槽1内での羽根2先端の周速が支配的であるの
で、ある程度強い剪断力を付加するには羽根2先端の周
速に着目する必要があり、この場合、ある程度強い剪断
力を付加するには、羽根2先端の周速Ut[m/s]の
レベルを0.5m/s以上、好ましくは0.7m/s以
上10m/s以下、より好ましくは1m/s以上8m/
s以下とすることが好ましい。なお、羽根2先端の周速
Utは、下記式により算出することができる。
【0034】Ut=π×n×d n:羽根回転数[rps],d:羽根径[m]
【0035】また、この装置の場合、上記周速Utに着
目すると共に、羽根2の周囲を囲うステーター3の内径
D´に関するファクターを考慮する必要があり、そのた
めには下記式で定義される見掛けの剪断速度を0.5〜
1000[s-1]程度とすることが好ましい。
【0036】見掛けの剪断速度=Ut/(D´−d) Ut:周速[m/s],d:羽根径[m],ステーター
内径:D´[m]
【0037】また、複数組の羽根を備えた装置の場合、
上記装置とは別に図2に示すように、ある程度強い剪断
力をかけることができる羽根2と全体混合を行うことが
できる掻き取り型の羽根4とを備えた装置も使用され
る。このような装置の場合、ある程度強い剪断力を付加
するには、上記のように羽根2先端の周速に着目する必
要があり、その程度は、Ut[m/s]のレベルを2m
/s以上、好ましくは4m/s以上30m/s以下、よ
り好ましくは6m/s以上25m/s以下とすることが
好ましい。
【0038】上記のような複数組の羽根を備えた装置に
おいて、上記撹拌特性を付与できる羽根2としては、ホ
モミキサー、ディスパーミキサー等が例示されるが、通
常これらの羽根径と撹拌層径との比D/dは、0.1〜
0.5程度であり、系の粘度がW/O型エマルションの
W/O比により高くなることを考慮すれば、このような
羽根2のみでは撹拌槽全体を混合するには力不足であ
る。そこで、高粘度物の混合に適した掻き取り型の羽根
4が好適に使用されるが、この場合、強い剪断力を付加
する羽根2に効率的に液を供給するためには、掻き取り
型の羽根4の先端の周速として0.5m/s以上の流動
を付加することが好ましい。
【0039】上記のような撹拌特性を有する装置として
は、例えばアジホモミキサー、ハイブリードミキサー、
逆流ミキサー等が好適に使用される。
【0040】上記のような撹拌装置を用いて、上記剪断
力を加えて撹拌することによって、W/O型エマルショ
ンを形成することができるが、この場合、撹拌時間は1
〜120分間、特に5〜90分間程度が好適である。
【0041】上記W/O型エマルションと親水性膜形成
物質を含有する外水相とを混合してW/O/W型複合エ
マルションを形成する場合、その形成温度は、30〜7
0℃程度が好適であり、温度が高すぎるとW/O型エマ
ルションが不安定になる場合があり、低すぎると膜材が
ゲル化してカプセルが調製できなくなる場合がある。
【0042】また、これら各成分を混合する場合、容器
内にこれらを添加する順序は特に制限されず、全部を同
時に添加してもよい。なお、上記外水相は、例えば適宜
成分を添加した水に上記親水性膜形成物質を常法により
溶解し、更に親水性膜形成物質の種類により必要に応じ
て上記親油性界面活性剤やその他適宜乳化剤等を加えて
調製することができる。
【0043】上記各成分を混合する際に使用される撹拌
装置は、その機種は特に制限されないが、本発明におい
てW/O/W型複合エマルションを形成させるに当た
り、剪断力が強すぎるとW/O型エマルションが破壊さ
れてしまい、一方、剪断力が弱すぎるとW/O/W型複
合エマルションが形成し難くなり、カプセル化率が低下
してしまう。従って、本発明においてW/O/W型複合
エマルションを形成する場合、本発明の効果をより有効
ならしめるためには、W/O/W型複合エマルション形
成時の剪断力についても注目することが望ましい。従っ
て、ここで使用される撹拌装置は、W/O型エマルショ
ンを破壊することなく、且つW/O/W型複合エマルシ
ョンを形成し易い程度の撹拌力をかけることができるタ
イプのものが好適に使用される。以下、W/O/W型複
合エマルション形成時の撹拌装置及び撹拌条件について
図面を用いて説明する。
【0044】即ち、上記W/O/W型複合エマルション
を調製する際に使用される撹拌装置は、1組の羽根で全
体混合と上記剪断力を確保できるものが好ましく、この
ような装置として、例えば図3に示すような装置が使用
され、この装置の場合、上記と同様に剪断力は撹拌槽1
内での羽根2先端の周速が支配的であり、全体混合につ
いては、撹拌槽1全体における単位液体積当たりの羽根
2の回転による動力や撹拌槽1全体における単位液体積
当たりの羽根2の吐出量が支配的である。従って、この
ような装置において、W/O型エマルションを破壊せ
ず、且つW/O/W型複合エマルションを形成し易い剪
断力を付加するには、羽根2先端の周速Ut[m/s]
のレベルが、装置の大きさにはかかわらず0.1〜5m
/s、好ましくは0.2〜4.5m/s、より好ましく
は0.3〜4m/sとすることが好ましい。
【0045】また、この装置の場合、全体混合力を確保
するには、装置の大きさに関するファクターを考慮する
必要があり、そのためには、上記D´に代えて撹拌槽の
内径Dを用いて算出された見掛けの剪断速度によって規
定することが望ましい。上記のような装置の場合、羽根
2先端の周速Utを一定にすると、装置が大きくなるに
つれて、羽根2と撹拌槽1との間の距離が大きくなり、
見掛けの剪断速度の値は小さくなるものである。このよ
うな見掛けの剪断速度を用いて上記剪断力を規定する場
合、見掛けの剪断速度が0.5〜1000[s-1]程度
とすることが好ましい。
【0046】また、剪断力と全体混合の同時確保をする
には、羽根径dと撹拌槽径Dとの比d/Dを0.2以上
にすることが好ましい。なお、その上限は0.9である
ことが望ましい。このような撹拌特性を有する具体的な
装置としては、例えばパドル、プロペラ、タービン等を
使用した撹拌機が好適である。
【0047】上記のような撹拌装置を用いて、上記剪断
力を加えて撹拌することによって、上記W/O/W型複
合エマルションを形成することができるが、このW/O
/W型複合エマルションを形成する場合、撹拌時間は1
〜120分間、特に5〜90分間程度が好適である。な
お、上記W/O/W膜型マイクロカプセルを形成するに
当たり、W/O/W型複合エマルション中のW/O型エ
マルション粒子径は、5〜300μm、特に10〜20
0μm程度であることが好ましい。
【0048】本発明の製造方法において、このW/O/
W型複合エマルションの粒子の親水性膜形成物質を含有
した外水相を固化して、マイクロカプセル化する方法と
しては、エマルションの組成等により公知の方法を適宜
選定することができ、例えば相分離法、液中硬化法、ス
プレークーリング法、滴下法等によりマイクロカプセル
化することができるが、本発明の場合、これらの中でも
スプレークーリング法、滴下法が好適である。
【0049】具体的には、例えば親水性膜形成物質とし
て、上述したように例えば温度変化によりゲル化する水
溶性高分子化合物を使用したW/O/W型複合エマルシ
ョンを滴下法によって、マイクロカプセル化する場合、
上記W/O/W型複合エマルションに対し、更に適宜油
分、例えばコーン油,大豆油,落花生油,綿実油等の植
物油、牛脂,豚脂,イカ油,鯨油等の動物油、中鎖トリ
グリセリド等の合成油などに必要に応じて適宜界面活性
剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等を油分/界面活
性剤=0.1〜5、特に0.5〜3(重量比)程度で混
合した外油相成分をW/O/W型複合エマルション全量
に対して1〜40%、特に10〜20%程度配合する。
そして、例えば図3に示したように1組の羽根で全体混
合と剪断力を確保する装置を使用する場合、剪断力とし
て羽根先端の周速0.5〜6[m/s]、見掛けの剪断
速度0.5〜60[s-1]を付加してW/O/W/O型
複合エマルションを形成した後、このW/O/W/O型
複合エマルションを親水性膜形成物質が固化するように
親水性膜形成物質のゲル化温度以下、例えばゲル化温度
より1〜20℃、特に5〜15℃以下に冷却、又は親水
性膜形成物質のゲル化温度以上、例えばゲル化温度より
1〜20℃、特に5〜15℃以上に加温することによっ
て外水相を固化させて、マイクロカプセル膜を形成した
後、外油相を例えば減圧濾過により、油分を除去し、次
いで、石油エーテル、ヘキサン等の溶剤を用いてマイク
ロカプセル膜の膜壁の油分を洗浄して、油分を除去する
方法が好適に採用される。
【0050】また、スプレークーリング法を採用する場
合、例えば図4に示すように、タワー11内の上部にフ
ィード12を備えたアトマイザー13が配設されたマイ
クロカプセル化装置を使用して、フィード12を経て供
給されたW/O/W型複合エマルションをアトマイザー
13より、線速0.1〜2m/s、特に0.2〜1m/
s程度で上記のゲル化点温度以下(又は以上)に調節さ
れたタワー11内に噴霧することによって、外水相を固
化させて、マイクロカプセル膜を形成する方法が好適に
採用される。
【0051】
【発明の効果】本発明のマイクロカプセルの製造方法に
よれば、ゲル形成を経てエマルションを形成する乳化法
により調製されたW/O型エマルションをマイクロカプ
セル化することによって、同じ組成のものでもアジホモ
ミキサー等の高剪断力型の乳化機の機械力のみによって
得られるW/O型エマルションよりも親水性芯物質を安
定的に内包する親水性芯物質含有多核型マイクロカプセ
ルを調製することができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0053】[実施例1]70%ソルビトール水溶液1
4.0重量部とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エス
テル(ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)
6.0重量部を室温にてパドル撹拌により混合して粘稠
ゲルを形成した。次いで、この粘稠ゲル20.0重量部
に20%アスコルビン酸水溶液19.3重量部及びMC
T(中鎖トリグリセライド、商品名:ODD、日清製油
(株)製、以下同様)60.7重量部をホモミキサー
(特殊機化(株)製)を使用して、羽根先端の周速5m
/s、60℃で芯(W)の粒子径が0.5μmになるま
で30分間撹拌してW/O型エマルションを調製した
後、予め溶解しておいた20%ゼラチン水溶液75.0
重量部にこのW/O型エマルション25.0重量部を添
加して、パドル撹拌により羽根先端の周速1m/s、6
0℃で10分間撹拌してW/O/W型複合エマルション
を調製した。更に、このW/O/W型複合エマルション
10.0重量部をコーン油50.0重量部中に添加し、
上記パドル撹拌を用いて羽根先端の周速0.2m/s、
60℃で5分間撹拌して、所定粒径のW/O/W/O型
複合エマルションを調製した後、このW/O/W/O型
複合エマルションを撹拌しながら20℃まで冷却してゼ
ラチンを固化させた。冷却後、W/O/W複合エマルシ
ョンの分散媒として利用したコーン油を吸引濾過により
分離し、次いで、石油エーテルにて洗浄して、アスコル
ビン酸水溶液のマイクロカプセルを調製した。
【0054】この時のマイクロカプセルの平均カプセル
径は500μmでカプセル化率は90%であった。
【0055】[実施例2]20%グルタミン酸ナトリウ
ム水溶液23.0重量部とオレイン酸モノグリセリド
1.0重量部を室温にてパドル撹拌により混合して粘稠
ゲルを形成した。次いで、この粘稠ゲル24.0重量部
に5%デキストラナーゼ水溶液10.3重量部及びコー
ン油65.7重量部を添加して、ホモミキサー(特殊機
化(株))を使用して羽根先端の周速7m/s、60℃
で芯(W)の粒子径が0.5μmになるまで20分間撹
拌してW/O型エマルションを調製した後、予め溶解し
ておいた20%ゼラチン水溶液75.0重量部にこのW
/O型エマルション25.0重量部を添加して、上記パ
ドル撹拌を用いて羽根先端の周速1.5m/s、60℃
で10分間撹拌してW/O/W型複合エマルションを調
製した。更に、このW/O/W型複合エマルション1
0.0重量部をコーン油50.0重量部中に添加して、
上記パドル撹拌を用いて羽根先端の周速0.2m/s、
60℃で10分間撹拌して、所定粒径のW/O/W/O
型複合エマルションを調製した後、このW/O/W/O
型複合エマルションを撹拌しながら20℃まで冷却し
て、ゼラチンを固化させた。冷却後、W/O/W型複合
エマルションの分散媒として利用したコーン油を吸引濾
過により分離し、次いで石油エーテルにて洗浄して、デ
キストラナーゼ水溶液のマイクロカプセルを調製した。
【0056】この時のマイクロカプセル平均粒子径は4
00μmでカプセル化率は90%であった。
【0057】[実施例3]70%ソルビトール水溶液1
4.0重量部とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エス
テル(ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)
6.0重量部を室温にてパドル撹拌により混合して粘稠
ゲルを形成した。次いで、この粘稠ゲル20.0重量部
に10%フッ化ナトリウム水溶液36.0重量部及びM
CT44.0重量部を添加して、ホモミキサー(特殊機
化(株))を使用して羽根先端の周速5m/s、60℃
で芯(W)の粒子径が0.5μmになるまで30分間撹
拌してW/O型エマルションを調製した後、予め溶解し
ておいた2%寒天水溶液75.0重量部にこのW/O型
エマルション25.0重量部を添加して、上記パドル撹
拌を用いて羽根先端の周速3m/s、60℃で10分間
撹拌してW/O/W型複合エマルションを調製した。更
に、このW/O/W型複合エマルションをスプレークー
リング法により、線速0.5m/sで設定温度10℃の
タワー内に噴霧して、カプセル化した。
【0058】この時のマイクロカプセルの平均粒子径は
700μmでカプセル化率は、95%であった。
【0059】[実施例4]20%グリシン水溶液20.
0重量部とオレイン酸モノグリセリド1.0重量部を室
温にてパドル撹拌により混合して粘稠ゲルを形成した。
次いで、この粘稠ゲル21.0重量部に20%アスコル
ビン酸ナトリウム水溶液13.3重量部及びコーン油6
5.7重量部を添加して、ホモミキサー(特殊機化
(株))を使用して羽根先端の周速6m/s、60℃で
芯(W)の粒子径が0.5μmになるまで10分間撹拌
してW/O型エマルションを調製した後、予め溶解して
おいた3%ジェランガム水溶液75.0重量部にこのW
/O型エマルション25.0重量部を添加して、上記パ
ドル撹拌を用いて羽根先端の周速2m/s、60℃で2
0分間撹拌してW/O/W型複合エマルションを調製し
た。このW/O/W型複合エマルションをスプレークー
リング法により、線速1m/sで設定温度10℃のタワ
ー内に噴霧して、カプセル化した。
【0060】この時のマイクロカプセルの平均粒子径は
800μmでカプセル化率は95%であった。
【0061】[比較例1]アスコルビン酸1.0重量部
とソルビトール2.4重量部を精製水4.9重量部に溶
解した水相とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステ
ル(ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)
1.5重量部をMCT15.2重量部に溶解した油相と
をホモミキサー(特殊機化(株)製)を使用して、羽根
先端の周速8m/s、室温で芯(W)の粒子径が0.5
μmになるまで30分間撹拌してW/O型エマルション
を調製した後、予め溶解しておいた20%ゼラチン水溶
液75.0重量部にこのW/O型エマルション25.0
重量部を添加して、パドル撹拌により羽根先端の周速1
m/s、60℃で10分間撹拌してW/O/W型複合エ
マルションを調製した。更に、このW/O/W型複合エ
マルション10.0重量部をコーン油50.0重量部中
に添加し、上記パドル撹拌を用いて羽根先端の周速0.
2m/s、60℃で5分間撹拌して、所定粒径のW/O
/W/O型複合エマルションを調製した後、このW/O
/W/O型複合エマルションを撹拌しながら20℃まで
冷却してゼラチンを固化させた。冷却後、W/O/W複
合エマルションの分散媒として利用したコーン油を吸引
濾過により分離し、次いで石油エーテルにて洗浄して、
アスコルビン酸水溶液のマイクロカプセルを調製した。
【0062】この時のマイクロカプセルの平均カプセル
径は500μmでカプセル化率は45%であった。
【0063】[比較例2]デキストラナーゼ0.1重量
部とグルタミン酸ナトリウム1.2重量部を精製水7.
0重量部に溶解した水相とオレイン酸モノグリセリド
0.3重量部をコーン油16.4重量部に溶解した油相
とをホモミキサー(特殊機化(株))を使用して羽根先
端の周速8m/s、室温で芯(W)の粒子径が0.5μ
mになるまで10分間撹拌してW/O型エマルションを
調製した後、予め溶解しておいた20%ゼラチン水溶液
75.0重量部にこのW/O型エマルション25.0重
量部を添加して、上記パドル撹拌を用いて羽根先端の周
速1.5m/s、60℃で10分間撹拌してW/O/W
型複合エマルションを調製した。更に、このW/O/W
型複合エマルションをスプレークーリング法により、線
速1m/sで設定温度10℃のタワー内に噴霧して、カ
プセル化した。
【0064】この時のマイクロカプセルの平均粒子径は
400μmでカプセル化率は50%であった。
【0065】[比較例3]アスコルビン酸ナトリウム水
溶液0.7重量部とグリシン1.0重量部とを精製水
6.6重量部に溶解した水相とオレイン酸モノグリセリ
ド0.3重量部をMCT16.4重量部に溶解した油相
とをホモミキサー(特殊機化(株))を使用して羽根先
端の周速8m/s、室温で芯(W)の粒子径が0.5μ
mになるまで30分間撹拌してW/O型エマルションを
調製した後、予め溶解しておいた3%ジェランガム水溶
液75.0重量部にこのW/O型エマルション25.0
重量部を添加して、パドル撹拌を用いて羽根先端の周速
8m/s、60℃で10分間撹拌してW/O/W型複合
エマルションを調製した。このW/O/W型複合エマル
ション10.0重量部をコーン油50.0重量部中に添
加して、上記パドルを用いて羽根先端の周速0.1m/
s、60℃で5分間撹拌して、所定粒径のW/O/W/
O型複合エマルションを調製した後、撹拌しながら20
℃まで冷却して、ジェランガムを固化させた。冷却後、
W/O/W型複合エマルションの分散媒として利用した
コーン油を吸引濾過により分離し、次いで石油エーテル
にて洗浄して、アスコルビン酸水溶液のマイクロカプセ
ルを調製した。
【0066】この時のマイクロカプセルの平均粒子径は
800μmでカプセル化率は55%であった。
【0067】上記実施例及び比較例のマイクロカプセル
につき、以下の漏れ試験を行った。結果を表1に示す。
なお、表中の%は重量%を意味する。 <漏れ試験>実施例及び比較例で調製したマイクロカプ
セルを5gとり、ドデシル硫酸ナトリウム1.4%水溶
液50g中に浸漬し、25℃で1日間放置する。
【0068】1日間放置後、ドデシル硫酸ナトリウム水
溶液中に溶出した芯物質(アスコルビン酸、デキストラ
ナーゼ、フッ化ナトリウム又はアスコルビン酸ナトリウ
ム)を定量し、漏れ率を測定した。
【0069】
【表1】
【0070】表1の結果から、本発明の製造方法によれ
ば、親水性芯物質を高いカプセル化率でカプセル化する
ことができるのみならず、親水性芯物質の漏れが少ない
ことが認められる。
【0071】なお、上記実施例1〜4の場合、ゲルから
W/O型エマルションを形成する際に、ホモミキサーの
羽根先端の周速5〜7m/sによる剪断力の付加によっ
て安定なエマルションが形成されたのに対して、ゲル形
成を経ないでW/O型エマルションを形成する比較例1
〜3の場合、羽根先端の周速を8m/sにしないと安定
なエマルションが形成されず、上記実施例と同じ剪断力
ではエマルション形成直後であっても不安定なエマルシ
ョンしか得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてエマルションを調製する装置の
一例の概略断面図である。
【図2】本発明においてエマルションを調製する装置の
他の例の概略断面図である。
【図3】本発明においてエマルションを調製する装置の
さらに他の例の概略断面図である。
【図4】本発明においてマイクロカプセルを調製する装
置の一例の概略断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永合 一雄 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多価アルコール類、糖類及びアミノ酸類
    から選ばれる少なくとも一種のゲル形成物質と親油性界
    面活性剤とからゲルを形成し、このゲルに親水性芯物質
    を含有する水相及び油分を添加して、上記ゲル形成物質
    及び上記親水性芯物質を含有する内水相を分散質とする
    W/O型エマルションを形成した後、このW/O型エマ
    ルションを親水性膜形成物質を含有する外水相に分散・
    乳化させて、上記W/O型エマルション粒子を分散質と
    するW/O/W型複合エマルションを形成し、次いで上
    記W/O/W型複合エマルション粒子の外水相を固化さ
    せることにより、上記W/O型エマルション粒子を覆っ
    て上記親水性膜形成物質のマイクロカプセル膜を形成し
    て、親水性芯物質含有多核型マイクロカプセルを製造す
    ることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
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