JPH10226582A - 複層断熱材及びその製造法 - Google Patents
複層断熱材及びその製造法Info
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- JPH10226582A JPH10226582A JP9042974A JP4297497A JPH10226582A JP H10226582 A JPH10226582 A JP H10226582A JP 9042974 A JP9042974 A JP 9042974A JP 4297497 A JP4297497 A JP 4297497A JP H10226582 A JPH10226582 A JP H10226582A
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Abstract
り、かつ簡易な方法で製造される機械的特性及び耐熱性
に優れる断熱材を提供すること。 【解決手段】 次の(A)、(B)及び(C); (A)ムライト繊維75〜95重量%及びシリカ繊維5
〜25重量%を含有する耐熱層、(B)中間層、(C)
ムライト繊維15〜35重量%及びシリカ繊維65〜8
5重量%を含有する断熱層、の3層から成り、かつ該繊
維の交絡点を固定するガラス状ホウ素化合物とを有して
三次元網目構造となっていることを特徴とする複層断熱
材。
Description
るような過酷な温度条件下で使用する断熱材として好適
な、高度の耐熱性と耐熱衝撃性を備えた複層断熱材及び
その製造法に関するものである。
ルの表面保護材のように、著しい高温や激しい熱的衝撃
によく耐え、低密度で断熱性に優れる一方、一定水準以
上の強度と機械加工性を備えていることを要求される板
状断熱材の代表的なものとしては、耐熱無機繊維を主材
とする多孔質断熱材が知られている。
バインダーとしてのコロイダルシリカと高純度シリカ繊
維との混合物の成形体を約1300℃で焼成して作られ
た、シリカタイルと呼ばれる材料である。しかしなが
ら、この材料は強度が低く、また物性の劣化も早く、使
用時の機械的衝撃によって欠けたり、接着したものが剥
離したりする等の欠点があった。そこで、バインダーを
使用することによるシリカタイルの上述のような欠点を
解消するものとして、例えばシリカ繊維、アルミノシリ
ケート繊維及び酸化ホウ素の混合物又はシリカ繊維及び
アルミノボロシリケート繊維の混合物を成形した後焼成
することにより繊維間融着を生じさせた断熱材(特開昭
55−37500号公報)、特定の繊維径のシリカ繊維
とアルミナ繊維とを酸化ホウ素により融着させた断熱材
(特開昭60−151269号公報)、シリカ繊維、ア
ルミノシリケート繊維及びアルミノボロシリケート繊維
の混合物に有機繊維及び酸化ホウ素を混合し、成形した
のち焼成することにより繊維間融着を生じさせた断熱材
の製造法(特開平4−119958号公報)及びシリカ
繊維65〜85重量%、ムライト繊維15〜35重量
%、セルロースパウダー及びホウ素化合物粉末の混合物
を成形したのち焼成することにより繊維間融着を生じさ
せる断熱材の製造法(特開平6−172010号公報)
等が提案されている。
断熱材は既にかなりの高水準の性能を達成しているもの
の、いずれの断熱材も、その断熱材を構成する原材料の
性質上1400℃を超えるような超高温域では断熱材の
収縮が大きくなり、形状が保持できなくなるため使用に
耐えない。しかし、NASAの宇宙往還機においては、
1500℃を超える温度域で使用可能な断熱材も要求さ
れており、現状ではカーボンカーボンと呼ばれる炭素繊
維複合耐熱材を利用した断熱材が唯一存在するのみであ
る。しかしながら、該カーボンカーボンは製造が極めて
難しい。そこで、高性能でかつ容易に製造され1500
℃を超える温度域で使用可能な断熱材の開発が要望され
ている。
高温度域まで使用可能であり、かつ簡易な方法で製造で
きる高性能複層断熱材及びその製造法を提供することに
ある。
発明者は鋭意検討を行った結果、従来、繊維間融着が不
十分という理由で配合量が制限されていたムライト繊維
の表面を、予めコロイダルシリカで処理すれば高配合量
としても繊維間融着が強固になり、従って、耐熱性に極
めて優れるとともに高性能な耐熱材が得られること、こ
れを表層とした複層断熱材が機械的特性にも優れること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
及び(C); (A)ムライト繊維75〜95重量%及びシリカ繊維5
〜25重量%を含有する耐熱層、(B)中間層、(C)
ムライト繊維15〜35重量%及びシリカ繊維65〜8
5重量%を含有する断熱層、の3層から成り、かつ該繊
維の交絡点を固定するガラス状ホウ素化合物とを有して
三次元網目構造となっていることを特徴とする複層断熱
材を提供するものである。
〜95重量%と酸性コロイダルシリカを水中にて混合
し、次いで該混合体にシリカ繊維5〜25重量%及びホ
ウ素化合物を加えて作製される耐熱層用スラリー、中間
層用スラリー及びムライト繊維15〜35重量%とシリ
カ繊維65〜85重量%及びホウ素化合物を水中にて混
合し作製される断熱層用スラリーを順次加えて一体成形
し、乾燥後焼成することを特徴とする複層断熱材の製造
法を提供するものである。
が、予め、ムライト繊維15〜35重量%と酸性コロイ
ダルシリカを水中にて混合し、次いで該混合体にシリカ
繊維65〜85重量%及びホウ素化合物を加えて作製さ
れるものである複層断熱材の製造法を提供するものであ
る。
断熱材ともいう)は、耐熱層、中間層及び断熱層の3層
から成り、該耐熱層はムライト繊維とシリカ繊維の無機
繊維混合物(以下、混合繊維ということもある)を基本
組成とするものであり、該ムライト繊維は混合繊維中、
75〜95重量%とすることが耐熱層の熱膨張率を低く
押さえつつ、かつ高耐熱性能を得るために必要である。
上記混合物は、好ましくは78〜92重量%である。該
ムライト繊維の配合量が75重量%未満では耐熱層は加
熱による収縮が大きく1500℃以上の高温での使用に
耐えられなくなり、また、95重量%を超えると強度が
低下し、目的の断熱材としては使用できなくなる。な
お、ムライト繊維はSiO2 /Al2 O3 モル比が2/
3の斜方晶結晶からなる繊維であって、十分な断熱性能
を発揮するために平均繊維径が2〜5μm、平均繊維長
が0.2〜10mmとすることが好ましい。
は、混合繊維中、5〜25重量%とすることが耐熱層の
熱膨張率を低いレベルに維持し、高い強度を発現させる
ために必要である。上記配合量は、好ましくは8〜28
重量%である。該シリカ繊維の混合物が5重量%未満で
は耐熱層の強度が低下し、使用上の要求レベルを下回
り、また、25重量%を超えると加熱にする収縮が大き
くなり1500℃以上の温度での耐熱性が低下すること
となる。なお、シリカ繊維としては、SiO3 含有率が
95重量%以上の高純度シリカ繊維が好ましく、平均繊
維径が0.3〜3μm、平均繊維長が1〜5mmとするこ
とが好ましい。
ライト繊維とシリカ繊維の混合繊維を基本組成とするも
のであり、該シリカ繊維は混合繊維中、65〜85重量
%とすることが高い断熱性能及び低い熱膨張率を得るう
えで必要である。この繊維が65重量%未満では高い断
熱性能を得るために必要な微細構造が乱れて、十分な断
熱性能が得られなくなる。また85重量%を超えると、
目的とする温度での耐熱性が低下し、加熱による収縮が
大きくなる。なお、シリカ繊維としては、前記耐熱層で
使用のシリカ繊維と同様のものが挙げられる。
熱層の混合繊維中、15〜35重量%とすることが、耐
熱性を向上させ、かつ熱膨張率を低いレベルに維持する
ために必要である。この繊維が15重量%未満では、相
対的にシリカ繊維の比率が過大になり、前述のように耐
熱性が低下する。また35重量%を超えると相対的にシ
リカ繊維が不足することとなり、断熱性能が低下するこ
ととなる。なお、ムライト繊維としては、前記耐熱層で
使用のムライト繊維と同様のものが挙げられる。
層を両面で接着するもので、断熱材の焼成時及び使用時
の加熱による歪みの緩和や強度を維持するのに不可欠の
ものであり、その組成は前記耐熱層と前記断熱層の中間
的組成のものが好ましく、具体的には、ムライト繊維2
0〜80重量%、シリカ繊維20〜80重量%のものが
好ましい。20重量%未満及び80重量%を超える配合
量のものでは、両面での接着性を共に満足することがで
きにくい。なお、ムライト繊維及びシリカ繊維として
は、共に、前記耐熱層で使用のものと同様のものが挙げ
られる。
す。耐熱層、中間層及び断熱層の相対的な厚みとして
は、用途により異なるが、耐熱層と中間層と断熱層が
1:1:1程度が好ましい。具体的には耐熱層及び断熱
層の厚みはそれぞれ10〜20mm、中間層の厚みは10
〜20mmとするのが好ましい。中間層の厚みが薄すぎる
と焼成時等の加熱による歪みを吸収できず反りや割れの
原因となり、厚すぎると耐熱層及び断熱層が薄くなり性
能が劣ることとなる。
れるムライト繊維とシリカ繊維の交絡点を固定するガラ
ス状ホウ素化合物は、後述の酸性コロイダルシリカ処理
又は非処理ムライト繊維、シリカ繊維及びホウ素化合物
粉末を含有する原料混合物(スラリー)を成形し、焼成
したときに該ホウ素化合物が酸化溶融し、次いで繊維の
酸化ケイ素成分と反応してホウ珪酸化合物として生成し
たものであり、冷却過程でガラス状化し、無機繊維の交
絡点を固定するものである。
のムライト繊維とシリカ繊維が該繊維の交絡点でガラス
状ホウ素化合物で固定され、かつ三次元網目構造を示す
ものであり、その物性としては、嵩密度が0.08〜
0.4g/cm3 、好ましくは0.1〜0.3g/cm3 、熱伝
導率が0.07〜0.15w/mK、層間引張強さが常態で
2.0〜4.0kgf/cm2 、1500℃加熱後で1.5〜
3.0kgf/cm2 、加熱収縮率が面方向で0.0〜1.0
%、厚さ方法で0.3〜1.0%である。
試験により求められる。具体的には、適当な大きさで正
方形の試験片を1試験体に対し数個、通常3個以上用意
する。試験用の治具としては試験片と同じかそれ以上の
面積を有し、試験により変形しない十分な強度を持つも
ので、通常鋼製の治具を用いる。試験片の対向する2面
に治具を接着し試験体とする。接着剤は例えば常温硬化
エポキシ樹脂を用い、接着剤の所用硬化時間以上に養生
する。このようにして用意された試験体を引張試験機で
所定の速度で引張り、最大荷重Wを測定する。層間引張
強さNは最大荷重Wと試験片の面積S(引張方向と垂直
な面の面積)から次の式で求められる。 N(kgf/cm2 ) =W(kgf) /S(cm 2 ) 上記加熱収縮率は、一般的な繊維質断熱材の加熱試験に
より求められる。具体的には、適当な大きさ(通常40
〜50mm)で立方体の試験片を用意し端面から約10mm
内側にアルミナピンを埋め込む。アルミナピンは頭部の
高さが試験片の表面と同一となるように埋め込む。試験
片の加熱は通常徐熱徐冷法で行われ、例えば電気炉で約
200℃/時間の速度で昇温、所定温度を所定時間保持
し、その後炉内で自然冷却させる。加熱前のアルミナピ
ン間の長さl1 と加熱後のアルミナピン間の長さl2 を
ノギス等で測定する。加熱収縮率は以下の式で求められ
る。 加熱収縮率=(l1 −l2 )/l1 ×100(%)
往還機に限らず、各種工業用断熱材が挙げられる。特
に、最高使用温度が1500℃を超える温度、例えば1
600℃の温度下で使用することが有用である。
用スラリー、中間層スラリー及び断熱層用スラリーを作
製し、これを順次加えて一体成形し、乾燥後焼成するこ
とにより行われる。
維基準で75〜95重量%のムライト繊維と酸性コロイ
ダルシリカを水中にて混合し、酸性コロイダルシリカを
ムライト繊維表面に吸着させる。次に、この混合体に混
合繊維基準で5〜25重量%のシリカ繊維及びホウ素化
合物を加え耐熱層用スラリーとすればよい。
を吸着させる際、該酸性コロイダルシリカの配合量とし
ては、混合繊維重量に対して10〜30重量%とするの
がよい。10重量%より少ないと、十分な補強効果が得
られず、結果的に強度が不足することとなる。また、3
0重量%を超えると、原材料混合時の凝集状態が悪くな
り、品質にバラツキを生じやすくなる。コロイダルシリ
カの含有量が多すぎると、相対的にシリカ成分が過大と
なり、耐熱層としての耐熱性を悪くする。また、酸性コ
ロイダルシリカとしては、原料繊維の有する耐熱性が損
なわれないようソーダ成分の少ないものを使用すること
が好ましい。
ト繊維表面に吸着させる際に、界面活性剤を添加するこ
とが好ましい。該界面活性剤としては、特に制限され
ず、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び
両性界面活性剤等が挙げられ、このうち、ノニオン性界
面活性剤を用いることが、均一かつ十分に吸着できるこ
とから好ましい。
に、シリカ繊維及びホウ素化合物を加える際に、該ホウ
素化合物としては、特に制限されないが、例えば酸化ホ
ウ素、窒化ホウ素及び炭化ホウ素等を用いればよい。ま
た、該ホウ素化合物の配合量としては、混合繊維重量に
対しB2O3 換算で3〜5重量%とするのがよい。3重
量%よりも少ないと、後述の交絡点におけるガラス化融
着ポイントが少なくなり、強度の低下を招く。また、5
重量%を超えると、成形体焼成時の収縮が大きくなり、
耐熱層が高密度のものとなる。さらに含有量が多すぎる
とそこから生じるガラス繊維を被覆し、断熱性を悪くす
るばかりか各無機繊維がそれらの特性を最高度に発揮す
るのを妨げて、耐熱性を悪くする。
に、炭化ケイ素質熱輻射材、有機バインダー及び軽質化
添加剤を配合することが好ましい。
妨げて断熱性能を一層向上させるが、過度の配合は密度
を高くしてしまい好ましくない。したがって、その配合
量としては、混合繊維重量に対し20重量%以下、特に
10〜20重量%とすることが耐熱層の熱伝導率低減効
果と密度への影響の観点から好ましい。該炭化ケイ素質
熱輻射材としては、例えば炭化ケイ素粉体及び炭化ケイ
素ウィスカ等が挙げられる。
リング性を付与する目的で添加する。添加する配合量と
しては、混合繊維重量に対し1〜10重量%程度とする
ことが好ましい。該有機バインダーとしては、例えば澱
粉、変性デンプン、有機高分子エマルジョン等が挙げら
れる。
より任意の配合量とすることができ、その配合量として
は、混合繊維重量に対し5〜40重量%とするのが好ま
しい。該軽質化添加剤としては、脱水成形の過程で無機
繊維が自然な配置をとろうとする動きを妨げないことが
必要であり、例えば、高度漂白パルプを酸加水分解処理
し高純度のセルロース結晶として取り出したセルロース
パウダー、市販品としては「KCフロック」(新日本製
紙社製);機械的粉砕により精選パルプを微粉末化した
セルロースパウダー、市販品としては「パルプフロッ
ク」(新日本製紙社製)及び水溶液として供給される高
分子飽和共重合体樹脂、市販品として「ニチゴーポリエ
スター」(日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
耐熱層用スラリー中の固形分濃度は0.5〜1.5重量
%とするのが好ましい。
繊維が65〜85重量%、ムライト繊維が15〜35重
量%の混合物を混合繊維重量に対しB2 O3 換算で2〜
5重量%のホウ素化合物と必要ならば混合繊維重量に対
し5〜40重量%のセルロースパウダーを水中に分散さ
せて断熱用スラリーとすればよい。ホウ素化合物の配合
量が2重量%未満であると、繊維の交絡点におけるガラ
ス化融着ポイントが少なくなり、強度の低下を招く。ま
た、5重量%を超えると、成形体焼成時の収縮が大きく
なり、断熱層が高密度のものとなる。さらに含有量が多
すぎるとそこから生じるガラスが繊維を被覆し、断熱性
を悪くするばかりか各無機繊維がそれらの特性を最高度
に発揮するのを妨げて、耐熱性を悪くする。
め、ムライト繊維と酸性コロイダルシリカを水中にて混
合して作製される前述の耐熱層用スラリーの製法と同様
に行えばよい。この場合、ムライト繊維とシリカ繊維の
配合重量比は15〜35:65〜85であり、酸性コロ
イダルシリカの配合量は混合繊維重量に対し5重量%以
下、好ましくは1〜4重量%とするのがよい。酸性コロ
イダルシリカの配合量が少なすぎると十分な補強効果が
得られず、結果的に強度が不足することとなる。また、
5重量%を超えると成形体焼成時の収縮が大きくなり断
熱層の密度が大きくなる。また、コロイダルシリカの含
有量が多すぎると、相対的にシリカ成分が過大となり、
断熱層としての耐熱性を悪くする。
記耐熱層用スラリー及び断熱層用スラリーの作製方法と
同様の方法が挙げられるが、予め作製された耐熱層用ス
ラリーと断熱層用スラリーを単に混ぜ合わせるだけでも
よい。この場合の配合割合としては1:1が好ましい。
リー、中間層用スラリー及び断熱層用スラリーを順次加
えて一体成形を行う。加える順序は、これに限らず断熱
層用スラリー、中間層用スラリー及び耐熱層用スラリー
の順でもよい。また、中間層スラリーはムライト繊維と
シリカ繊維の配合比率を変えた2種類以上を作製し、配
合比率が急激に変わることのないよう作製し用いてもよ
い。
に脱水成形する。脱水成形はプレスを用いて真空下で行
えばよく、得られた成形体は乾燥後、温度を上げて焼成
する。乾燥温度は120℃以下で行い、焼成温度はホウ
素化合物と酸性コロイダルシリカがムライト繊維及びシ
リカ繊維と反応する温度であればよく通常約1100℃
〜1400℃の範囲である。焼成後の成形物は、冷却後
必要に応じて切削加工を施し目的とする断熱材を得る。
際、ホウ素化合物は酸化溶融し、次いで繊維の酸化ケイ
素分と反応しホウ珪酸化合物となり、次いで冷却過程に
おいてガラス化し無機繊維の交絡点を固定するものであ
る。本発明の耐熱層は、繊維中ケイ素分が少ないため上
記反応が弱く固定化され難いムライト繊維を予め酸性コ
ロイダルシリカにより、該ムライト繊維の表面を酸化ケ
イ素リッチに処理したため、その混合割合を75〜95
重量%に増加させても繊維の交絡点を確実に固定でき、
強度を発現することができる。また、これによりムライ
ト繊維が有する高耐熱性を十分生かすことができる。ま
た、焼成時には、上記有機バインダー及び軽量化添加材
は焼失するため、これにより断熱材には微細な空隙が多
量かつ均一な分布で存在する。
層及び断熱層の3層とし、各層それぞれムライト繊維と
シリカ繊維との特定比率の混合物とし、かつ繊維間の交
絡点をホウ珪酸化合物で強固に固定するため、0.1〜
0.3kg/cm2 の密度の製品としても断熱性、耐熱性及
び機械的特性に極めて優れる断熱材を得ることができ
た。
熱層用スラリーを個別に製造した。まず多量の水中にム
ライト繊維と酸性コロイダルシリカを投入し、十分混合
した。次いで活性剤(ノニオン性界面活性剤;ポリオキ
シエチレンモノオレート)を投入して酸性コロイダルシ
リカをムライト繊維に吸着させた。その後、順次その他
の原材料を投入し、十分に混合してスラリー状にした。
ここで、スラリーの固形分濃度は1%であった。中間層
用スラリーは、耐熱層用スラリーと断熱層用スラリーを
それぞれ50重量%ずつ混合して得た。得られたスラリ
ーを断熱層、中間層、耐熱層の順序で脱水プレス成形に
より一体成形で板状に成形し、得られた成形物を105
℃で16時間乾燥した。成形物はさらに大気中に130
0℃で2時間焼成し、有機バインダおよび軽量化添加材
を焼失させるとともに、ホウ素化合物が酸化溶融した結
果、ガラス状となったB2 O3 による繊維間融着を生じ
させた。冷却後、焼成処理品に切削加工を施して、厚さ
50mm(耐熱層及び断熱層が各々20mm、中間層10m
m)、1辺が200mmの板状断熱材を得た。得られた断
熱材の物性値を表1に示した。
均繊維径2.7μm、平均繊維長2mm シリカ繊維 ;SiO2 99.5%以上、平均繊維径
0.9μm、平均繊維長2mm ホウ素化合物;窒化ホウ素粉末、平均粒子径4μm 酸性コロイダルシリカ;平均粒子径10〜20nm、含有
Na2 O分0.01〜0.04重量% 炭化ケイ素質熱輻射材;炭化ケイ素ウイスカ、平均粒子
径0.26μm 有機バインダ及び軽量化添加材;飽和ポリエステル樹
脂、SO3 Na高分子量型分子量16,000、Tg=
34
ようにした以外は実施例1と同様の方法により板状断熱
材を製造した。得られた断熱材の物性値を表1に示し
た。
えてアルミナ繊維(Al2 O3 95重量%、平均真繊維
径3μm、平均繊維長2mm)を用いた以外は実施例1と
同様にして板状断熱材を製造した。得られた断熱材の物
性値を表1に示した。
を超える過酷な環境にさらされても非常に収縮率が小さ
い。宇宙機器の表面材としては1%以下の収縮率である
ことが要求されるが、本実施例のみが要求をクリアして
いる。また、引張強さは機体への接着強度を維持するた
め、高温加熱後において1.5kgf/cm2 以上を要求され
るが本実施例はその要求をクリアしている。熱伝導率に
関しても、従来のものと同等以上の性能で、十分に小さ
い。
施例1及び実施例2の断熱材は、ムライト繊維とシリカ
繊維の交絡点がガラス状のホウ珪酸により固定され、断
熱材中に一様に微細かつ均一な大きさの空隙とが形成さ
れた三次元網目構造となっている。本断熱材は、耐熱層
においてムライト繊維を相当量配合したことにより高い
耐熱性を示し、酸性コロイダルシリカを優先的にムライ
ト繊維に作用させたことが十分な強度を示し、優れた特
性として得られたものと考えられる。また、中間層を設
けたことで配合の異なる層に歪みを生じさせることなく
一体成形ができ、優れた複層断熱材を得ることができ
た。
3 換算値であり、熱伝導率は真空10-2Torr下、100
0℃における値であり、層間引張強さ及び加熱収縮率は
前述の方法及び条件により求めた値である。
Claims (5)
- 【請求項1】 次の(A)、(B)及び(C); (A)ムライト繊維75〜95重量%及びシリカ繊維5
〜25重量%を含有する耐熱層、(B)中間層、(C)
ムライト繊維15〜35重量%及びシリカ繊維65〜8
5重量%を含有する断熱層、の3層から成り、かつ該繊
維の交絡点を固定するガラス状ホウ素化合物とを有して
三次元網目構造となっていることを特徴とする複層断熱
材。 - 【請求項2】 内部にムライト繊維とシリカ繊維の合計
量に対し20重量%以下の炭化ケイ素質熱輻射材を有す
る請求項1記載の複層断熱材。 - 【請求項3】 嵩密度が0.1〜0.3g/cm3 、加熱収
縮率が1.0%以下及び1500℃加熱後の層間引張強
さが1.5kgf/cm2 以上である請求項1又は請求項2記
載の複層断熱材。 - 【請求項4】 予め、ムライト繊維75〜95重量%と
酸性コロイダルシリカを水中にて混合し、次いで該混合
体にシリカ繊維5〜25重量%及びホウ素化合物を加え
て作製される耐熱層用スラリー、中間層用スラリー及び
ムライト繊維15〜35重量%とシリカ繊維65〜85
重量%及びホウ素化合物を水中にて混合し作製される断
熱層用スラリーを順次加えて一体成形し、乾燥後焼成す
ることを特徴とする複層断熱材の製造法。 - 【請求項5】 予め、ムライト繊維75〜95重量%と
酸性コロイダルシリカを水中にて混合し、次いで該混合
体にシリカ繊維5〜25重量%及びホウ素化合物を加え
て作製される耐熱層用スラリー、中間層用スラリー及び
予め、ムライト繊維15〜35重量%と酸性コロイダル
シリカを水中にて混合し、次いで該混合体にシリカ繊維
65〜85重量%及びホウ素化合物を加えて作製される
断熱層用スラリーを順次加えて一体成形し、乾燥後焼成
することを特徴とする複層断熱材の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04297497A JP3195266B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | 複層断熱材及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04297497A JP3195266B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | 複層断熱材及びその製造法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10226582A true JPH10226582A (ja) | 1998-08-25 |
JP3195266B2 JP3195266B2 (ja) | 2001-08-06 |
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JP04297497A Expired - Fee Related JP3195266B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | 複層断熱材及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3195266B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 1997-02-12 JP JP04297497A patent/JP3195266B2/ja not_active Expired - Fee Related
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