JP2007211958A - 無機繊維体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発塵性が低減され、断熱性が高く、さらに耐久性が改善された無機繊維体を提供すること。
【解決手段】本発明の無機繊維体は、気泡を有する無機被覆層が、無機繊維成形体の表面の少なくとも一部に形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は無機繊維体に関する。
太陽電池は、出発材料であるSi基板にトランジスタ等を形成することによって製造される。従って、Si基板には、通常、複数回の熱処理が施されることになる。また、熱処理用の加熱炉の内部には、Si基板搬送用のコンベアが設けられるほか、熱エネルギーロスの低減のために、同コンベアを包囲するように断熱材が配設される。
ここで上記断熱材としては、例えば、セラミックファイバ、無機バインダ、ファイバ凝結剤及びファイバ凝集剤を混合分散させてなるスラリーを作製し、このスラリーを用いて湿式抄造を行うことにより凝集体とし、ついで、この凝集体をプレスし、厚さ方向に圧縮することにより製造された板状体が用いられている。
太陽電池を製造する工程では、Si基板上に配線等を直接作製することから、Si基板表面は極めて厳しいクリーン度が要求される。また、Si基板には各種熱処理を施す必要がある。このSi基板に対する各種熱処理には加熱炉が利用され、当然のことながら加熱炉の内壁や棚板を構成する断熱材からの発塵に対しても極めて厳しい条件が課せられる。
これは、Si基板表面に、各種熱処理中に加熱炉の内壁や棚板を構成する断熱材から飛散した塵が付着したのでは、回路の不良発生の大きな要因となるからである。このような断熱材からの発塵は、ガラス基板、セラミック基板等の基板上に導体回路を形成する工程や、ディスプレイ基板の製造工程、半導体製造装置の製造工程等においても、不良発生の一つの要因となっていた。
そこで、断熱材からの発塵を低減すべく、例えば、特許文献1には、図2に示したように、無機繊維質材料14を主成分とし、無機粒子15を含む基材13に、ガラス材料を主成分とするガラス材料含有基材を加熱処理して得られるガラス層12を接して設けてなり、上記基材がバインダとして上記ガラス材料を加熱処理して得られるガラス16を含むとともに、上記ガラス層12が補強材として上記無機繊維質材料14を含む耐熱材料11が開示されている。
特許第3606744号公報
特許文献1に開示された耐熱材料は、基材上にガラス層が形成されているため、露出面全体が無機繊維で構成されているような他の断熱材と比べると、発塵性を低減するとの点で一定の効果を有するものであった。
しかしながら、特許文献1に開示された耐熱材料では、ガラス層12に補強材として含まれる無機繊維質材料14がガラス層12表面に露出することがあり、この場合、補強材として含まれた無機繊維質材料自体が、発塵の原因となっていた。
また、上記耐熱材料では、急激な加熱や長期間の使用により、ガラス層12に微細なクラックが発生することがあり、一旦、微細なクラックが発生した場合には、その伸展を停止させることができず、大きなクラックへと成長してしまうこととなるため、耐久性の点で改善の必要があった。
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、無機繊維成形体の表面の少なくとも一部において、気泡を有する無機被覆層を形成することにより、発塵性が低減され、断熱性が高く、さらに耐久性が改善された無機繊維体を得ることができ、この無機繊維体は、様々な用途に用いることができることを見出し、種々の観点から検討を行って本発明を完成させた。
すなわち、本発明の無機繊維体は、気泡を有する無機被覆層が、無機繊維成形体の表面の少なくとも一部に形成されたことを特徴とする。
上記無機被覆層は、上記無機繊維成形体の外形状をなす面のうち一つの面の全面に形成されていることが望ましい。
上記無機被覆層は、主に非晶質物質からなることが望ましい。
上記非晶質物質は、ガラス、ダイヤモンドライクカーボン、シリコン酸化膜、ハフニウム酸化膜、カルコゲナイト系多元合金、オパール質からなる群より選択された少なくとも1種の非晶質物質であることが望ましい。
上記無機被覆層は、炭化物結晶、窒化物結晶、酸化物結晶及び炭素結晶からなる群より選択された少なくとも1種の結晶質物質を含有することが望ましい。
上記気泡の少なくとも一部は、閉気孔であることが望ましい。
上記無機被覆層における露出面側から上記無機繊維成形体側への透水率は、1%以下であることが望ましい。
上記気泡の直径は、上記無機被覆層の厚さの90%以下であることが望ましい。
上記無機被覆層は、シリカを30重量%以上含有し、かつ、熱膨張係数が6ppm以下であることが望ましい。
本発明の無機繊維体では、気泡を有する無機被覆層が、無機繊維成形体の表面の少なくとも一部において密着性よく形成されている。これにより、無機繊維成形体からの発塵が有効に抑制され、発塵が嫌われる環境であっても有利に使用することができるし、生体に対する安全性も向上させることができる。
また、本発明の無機繊維体においては、上記無機被覆層は気泡を有しており、それ自体が高い断熱性を有しているので、無機繊維成形体の断熱性と併せて相乗的に断熱性を向上させることができ、断熱材を初め様々な用途に適応可能である。
本発明の無機繊維体は、無機繊維成形体の表面に無機被覆層が形成されていることから、無機繊維成形体のみで構成されている場合よりも強度が高いので、クラック等の発生を抑制することができ、無機繊維体自体の破損等を防止することができる。加えて、上記無機被覆層においてクラック等が発生しても、上記気泡を有する分断構造によって、生じたクラック等の進行が緩衝され、無機被覆層全体にクラック等が発生することを防止することができる。これにより、無機繊維体の耐久性を向上させることができるとともに、発塵を有効に抑制することができる。
以下、本発明の無機繊維体について図面を参照しつつ説明する。
本発明の無機繊維体は、気泡を有する無機被覆層が、無機繊維成形体の表面の少なくとも一部に形成されたことを特徴とする。
図1は、本発明の無機繊維体を露出面に対して垂直に切断した場合の断面の一部を模式的に示した断面図である。
図1に示すように、無機繊維体1は、無機繊維成形体3と、無機繊維成形体3の表面の一部に形成された無機被覆層2とからなる。
無機繊維成形体3は、少なくとも無機繊維5からなり、必要に応じて無機粉体6(後述)が添加されている。無機繊維成形体3の微細構造を観察すると、無機繊維5同士が絡み合った構造を有しており、無機繊維5同士が絡み合うことより互いに支持し、一定の形状を維持している。さらに、無機結合剤が存在する場合には、無機繊維5同士が絡み合って接触した点又は面で互いに結合し、しっかり支持するので、一段と機械的特性が向上する。また、無機粉体6が添加されている場合は、この無機繊維5が絡み合った構造に無機粉体6が包摂されており、輻射伝熱や対流伝熱を抑制することができ、断熱特性が向上する。
一方、無機被覆層2は、無機繊維成形体3に対して密着性が良好な膜を形成し、その内部に多数の気泡4を有する。無機被覆層2と無機繊維成形体3の所定厚さの最外表面に存在する無機繊維5とが互いに固着又は融着されることにより、無機被覆層2は、無機繊維成形体3の最外表面に対してしっかりと固着されている。
無機被覆層2と無機繊維成形体3との界面においては、無機繊維成形体3を構成する無機繊維5は、実質的に無機被覆層2中に存在していないか、又は、無機繊維5が無機被覆層2中に進入して無機繊維進入層を形成していても、無機被覆層2の厚さに対する無機繊維進入層の割合は極めて小さい。通常、この進入層の厚さは、100μm以下である。このように、無機繊維成形体3と無機被覆層2との密着性は維持されているものの、無機繊維成形体3を構成する無機繊維5が無機被覆層2に存在する割合が極めて小さいので、従来の無機繊維体で発生していたガラス層に存在する無機繊維自体による発塵を有効に防止することができる。
なお、無機被覆層2の厚さに対する無機繊維進入層の厚さの割合は、通常、20%以下である。
無機被覆層2は、無機繊維成形体の表面の少なくとも一部に形成されていればよいが、無機繊維成形体3の外形状をなす面のうち一つの面の全面に形成されていることが望ましい。
無機繊維体1の外形状をなす面のうち一つの面の全面が、無機被覆層2によって覆われれば、一の本発明の無機繊維体で加熱炉等の被断熱物の表面を覆うことができなくても、複数の本発明の無機繊維体を組み合わせることにより、被断熱物の表面全体を覆うことができる。また、無機繊維体1の外形状をなす面の全面を無機被覆層2で覆うことによって、より高い発塵防止性能を実現することができる。このように、要求される断熱性能や発塵防止性能に応じて無機被覆層2の形成態様を変化させることにより、様々な要求に答えることができるとともに、生産効率を向上させることができ、コストダウンを図ることができる。
無機被覆層2の厚さとしては、特に限定されず、厚さの望ましい上限は、5mmであり、より望ましい上限は3mmである。一方、厚さの望ましい下限は0.4mmであり、より望ましい下限は0.7mmである。
無機被覆層2の厚さが0.4mm未満であると、断熱性が低下するとともに、強度を保つことが困難となってクラック等が発生しやすくなり、一方、5mmを超える厚さとするには、形成手順が非常に煩雑になったり、技術的困難を伴ったりするからである。
無機被覆層2は、気泡4を有するが、この気泡の少なくとも一部は、閉気孔であることが望ましい。
気泡の少なくとも一部が閉気孔であると、無機被覆層2における空気の対流を防止することができ、断熱性を向上させることができる。また、気泡が開気孔であると、無機繊維成形体3から発塵した発塵体が、この開気孔を通って外部に排出されるおそれがある。しかし、気泡が閉気孔を有していると、無機繊維が無機被覆層を通過することはないので、有効に発塵を抑制することができる。この無機被覆層2においては、ほとんど全ての気泡4が閉気孔であることがより望ましい。
また、上記気泡の直径は、上記無機被覆層の厚さの90%以下であることが望ましく、50%以下であることがより望ましい。
上記気泡の直径が上記無機被覆層の厚さの90%を超えると、空隙部分が増加することによって無機被覆層の強度が低下するとともに、開気孔が発生しやすくなり、空気対流による断熱性の低下を引き起こすからである。
上記気泡の直径は、具体的には、10〜1600μmであることが望ましい。
気泡の直径が、上記範囲にあると、クラック等の進行を有効に防止することができ、また、断熱性も向上させることができる。
ただし、上記気泡の直径は、上記範囲のうち、上記無機被覆層の厚さの90%以下であるという条件を満足する範囲の直径である。
無機被覆層において気泡が占める領域の割合としては、特に限定されないが、40〜90体積%であることが望ましい。
上記割合が40体積%未満であると、固体伝熱の割合が増加して断熱性が低下してしまい、一方、上記割合が90体積%を超えると、強度が低下するとともに、開気孔の存在割合が上昇し、発塵を有効に抑制することができなくなるおそれがある。
上記無機被覆層は、主に非晶質物質からなることが望ましい。
非晶質物質は、非晶質性を有しているので、結晶性のものと比較して熱が伝わりにくく、断熱性が良好になるとともに、加工性が良好となり、さらに機械的特性が等方的となるので、特性方向にクラックが発展しやい等の問題点がなくなる。また、比較的低温で非晶質物質からなる無機被覆層を容易に形成することができる。主に非晶質物質からなる無機被覆層は、上記の理由から無機繊維成形体に対する密着性が良好であり、優れた耐熱性を有する。
無機被覆層2を構成する非晶質物質は、ガラス、ダイヤモンドライクカーボン、シリコン酸化膜、ハフニウム酸化膜、カルコゲナイド系多元合金、オパール質からなる群より選択された少なくとも1種の非晶質物質であることが望ましい。
上記に列挙した非晶質物質は、断熱性や加工性が良好であり、また、他の機能性材料との複合化が容易であるからである。
上記非晶質物質のうち、耐熱性や加工性、入手容易性の観点からは、ガラスが好ましい。
以下、無機被覆層2が、非晶質物質としてガラスを含有する場合について説明する。
無機被覆層2に含有されるガラスとしては、特に限定されず、例えば、石英ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、カリソーダガラス、鉛カリガラス等が挙げられる。これらのガラスは単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。
上記ガラスを構成する主な材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ホウ酸等が挙げられる。無機被覆層では、これらの材料が溶融した状態で非晶質性の層構造を形成している。さらに、無機被覆層には、必要に応じて、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウム等のアルカリ金属化合物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属化合物が補助的に添加されていてもよい。
上記無機被覆層は、シリカを30重量%以上含有し、かつ、熱膨張係数が6ppm以下であることが望ましい。
上記無機被覆層がシリカを30重量%以上含有すると、無機被覆層を効率よく形成することができ、また、断熱性も向上させることができる。さらに、熱膨張係数が6ppm以下であると、温度が変化しても大きな熱応力が発生しにくく、600℃以上という過酷な高温条件で使用してもクラック等の発生を有効に防止することができる。
ここで、上記シリカの含有量についての条件を考慮すると、上記ガラスの主な構成材料の例示的な含有量としては、それぞれ、シリカが30〜70重量%、アルミナが5〜30重量%、ホウ酸が5〜25重量%という含有量が挙げられる。また、主な構成材料以外の残分として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の不可避的な不純物等が含まれる。このような範囲でそれぞれの構成材料が含まれていると、無機繊維成形体の表面に、耐久性、耐熱性、断熱性、機械的強度等に優れた無機被覆層を形成することができる。
上記無機被覆層は、炭化物結晶、窒化物結晶、酸化物結晶及び炭素結晶からなる群より選択される少なくとも1種の結晶質物質を含有することが望ましい。
上記結晶質物質は、高温(例えば、1000℃)に熱すると、主にガラス等で構成された無機被覆層中の酸素と反応して、二酸化炭素等の気体を発生する。従って、無機被覆層を形成する際の非晶質物質の溶融温度において、上記結晶質物質は容易に気体を発生するので、気泡を形成するための発泡剤としての役割を果たすことができる。このように、無機被覆層には結晶質物質の発泡により形成された気泡が存在することから、無機被覆層は閉気孔によって分断された分断構造を有する。この分断構造により、クラック等が発生してもその進行が緩衝され、無機被覆層全体へのクラック等の進行が有効に防止される。
上記炭化物結晶としては、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化鉄、炭化バナジウム、炭化クロム、炭化モリブデン等の炭化物結晶が挙げられる。
また、上記窒化物結晶としては、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化銅、窒化鉄、窒化ガリウム、窒化モリブデン、窒化タングステン、窒化リチウム、窒化マグネシウム等の窒化物結晶が挙げられる。
上記酸化物結晶としては、例えば、PbO、BaCO、CaCO等の酸化物が挙げられる。
上記炭素結晶としては、例えば、グラファイト等が挙げられる。
このような結晶質物質を無機被覆層が含有することにより、効率よく気泡を形成することができる。
上記結晶質物質は、無機被覆層における気泡形成のための発泡剤として有効に機能し、その一部は、無機被覆層に残留する。これらは充填剤として機能し、無機被覆層の強度を向上させることができる。この点でも、上記のような結晶質物質が望ましい。上記結晶質物質は、クラック等の進展を阻止する点でも有効に機能する。なお、上記結晶質物質は、必ずしも残留しなくてもよい。
無機被覆層における上記結晶質物質の含有量は、特に限定されないが、無機被覆層が主に非晶質物質からなる場合、非晶質物質100重量部に対して、10〜30重量部であることが望ましい。
上記結晶質物質の含有量が10重量部未満であると、無機被覆層において形成される気泡数が少なくなり、断熱性や耐クラック性が低下する場合があり、一方、含有量が30重量部を超えると、形成される気泡数が多くなって、強度や断熱性が低下し、また、開気孔の存在割合が高くなるために発塵を有効に抑制することができないおそれがある。
ここで、無機被覆層に含まれる上記結晶質物質の平均粒径の望ましい上限は、100μmであり、より望ましい上限は、30μmであり、一方、上記平均粒径の望ましい下限は、5μmであり、より望ましい下限は、10μmである。
上記結晶質物質の平均粒径は、その重量とともに気泡の直径と相関関係を有し、要求される気泡の直径に応じて発泡剤として添加する結晶質物質の平均粒径や量が決定される。結晶質物質の平均粒径が100μmを超えると、形成される気泡の直径が大きすぎることになり、一方、平均粒径が5μm未満であると、結晶性物質が凝集しやすくなり、凝集体のために大きすぎる気泡が形成される場合もある。従って、粉末のハンドリングが困難となる。
列挙した結晶質物質のうちでは、特に、炭化物結晶や炭素結晶が望ましい。
高温での酸素との反応により、二酸化炭素を効率よく発生するので、無機被覆層における気泡の形成に有効であるからである。
また、上記炭化物結晶のうち、炭化ケイ素が好ましい。
高温での酸素との反応性が富んでいることから、二酸化炭素を容易に発生するので、発泡剤として効率よく気泡を形成することができるからである。
また、炭化ケイ素は導電性物質であり、無機被覆層がこの炭化ケイ素を含有していると、高温における無機被覆層の体積抵抗を1桁のオーダーで低下させることができる。従って、炭化ケイ素を含む無機被覆層では、静電効果による雰囲気中の塵や埃の付着を有効に防止することができ、使用環境をクリーンに保つことができる。
上記無機被覆層における露出面から上記無機繊維成形体への透水率は、1%以下であることが望ましい。
透水率が1%を超えると、無機被覆層における開気孔の存在割合が高くなり、無機繊維体における発塵を有効に防止することが困難となるが、本発明の無機繊維体では、開気孔の割合を低く保つことができるので、発塵を防止することができる。
次に、無機繊維成形体3について説明する。
無機繊維成形体3を構成する無機繊維5としては、例えば、シリカ−アルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ繊維、ロックウール、並びに、これら列記した無機繊維にアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物を含有させた無機繊維等が挙げられる。これらの無機繊維は、耐熱性・強度・入手容易性等の点で望ましい。上記無機繊維は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記無機繊維のうち、耐熱性・取り扱い性の観点から、特にシリカ−アルミナ繊維が望ましい。
なお、アルカリ金属化合物等を含有させた無機繊維におけるアルカリ金属化合物等の含有量は、15〜40重量%であることが望ましい。このような無機繊維は、生理食塩水に対する適度な溶解性を示すことになり、雰囲気中に放出された場合でも、環境や生態系に対して安全である。
上記無機繊維の断面形状は、特に限定されず、円形断面、扁平断面、中空断面、多角断面、芯鞘断面等が挙げられる。中でも、中空断面、扁平断面又は多角断面を有する異形断面繊維は、伝熱における輻射伝熱を反射する機会が多くなり、断熱性も若干向上されるので好適に使用することができる。
上記無機繊維の平均繊維長の望ましい下限は、0.1mmであり、より望ましい下限は0.5mmである。一方、上記無機繊維の平均繊維長の望ましい上限は、50mmであり、より望ましい上限は10mmである。
上記無機繊維の平均繊維長が0.1mm未満であると、無機繊維同士の絡み合いが生じにくく、得られる無機繊維成形体の機械的強度が低下する場合があり、一方、50mmより長いと、補強効果は得られるものの無機繊維同士が緊密に絡み合うことができなかったり、単一の無機繊維だけで丸まったりし、それにより連続した空隙が生じやすくなるので断熱性の低下を招くおそれがある。
上記無機繊維の平均繊維径の望ましい下限は、1μmであり、より望ましい下限は2μmである。一方、上記無機繊維の平均繊維径の望ましい上限は、10μmであり、より望ましい上限は5μmである。
上記無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、無機繊維自体の機械的強度が低下し、一方、10μmより大きいと、無機繊維を媒体とする固体伝熱が増加して断熱性が低下することがあるからである。
無機繊維成形体3は、さらに無機粉体6を含むことが望ましい。
本発明の無機繊維体を構成する無機繊維成形体は、少なくとも無機繊維で構成されていればよく、このような無機繊維成形体の使用により本発明の無機繊維体としての効果を発揮させることができるが、さらに無機粉体6を含むことが望ましい。
無機繊維成形体が上記無機粉体をさらに含むことによって、輻射伝熱を効率的に抑制することができ、また、無機繊維が絡み合って生じた構造中の連続した空隙を分断することができるので、無機繊維成形体における対流伝熱をも有効に低減させることができる。
上記無機粉体としては、例えば、TiO粉体、BaTiO粉体、PbS粉体、SiO粉体、ZrO粉体、SiC粉体、NaF粉体及びLiF粉体等が挙げられる。これらの無機粉体は、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記無機粉体を組み合わせて使用する場合、好ましい組み合わせとしては、TiO粉体とSiO粉体との組み合わせ、TiO粉体とBaTiO粉体との組み合わせ、SiO粉体とBaTiO粉体との組み合わせ、又は、TiO粉体とSiO粉体とBaTiO粉体との組み合わせが挙げられる。
上記無機繊維の配合量としては、無機繊維成形体を構成する材料の合計重量に対して、望ましい上限が50重量%であり、さらに望ましい上限は40重量%である。一方、上記無機繊維の配合量の望ましい下限は5重量%であり、さらに望ましい下限は10重量%である。
この配合量が5重量%未満では、無機繊維による補強効果が得られず無機繊維成形体又は無機繊維体の取り扱い性、機械的強度が低下してしまう。一方、50重量%を超えると、無機繊維成形体を構成する無機繊維が絡み合った構造において連続した空隙が多く存在することになり、対流伝熱、分子伝熱、輻射伝熱が増大するので断熱特性が低下してしまう。
上記無機粉体の配合量としては、無機繊維成形体を構成する材料の合計重量に対して、望ましい上限が95重量%であり、さらに望ましい上限は90重量%である。これに対し、上記無機粉体の配合量の望ましい下限は50重量%であり、さらに望ましい下限は60重量%である。
無機粉体の配合量が上記範囲にあると、無機繊維による補強効果を維持しつつ、輻射伝熱を低減することができ、さらに、無機繊維の交絡構造中の連続した空隙を分断することによる対流伝熱低減効果を得ることができる。
上記無機粉体の平均粒径の望ましい下限は、0.5μmであり、より望ましい下限は1μmである。一方、上記無機粉体の平均粒径の望ましい上限は20μmであり、より望ましい上限は10μmである。
上記無機粉体の平均粒径が0.5μm未満では無機繊維成形体の製造が困難になるばかりでなく、輻射熱の散乱が不十分になり、無機繊維成形体の熱伝導率が上昇(すなわち、断熱性が低下)してしまう。一方、平均粒径が20μmより大きい無機粉体を用いると、無機繊維成形体中に生じる空隙が極めて大きくなってしまうため、対流伝熱及び分子伝熱が増大し、この場合も熱伝導率が上昇してしまう。
なお、無機粉体の形状としては、平均粒径が上記範囲内にあれば特に限定されず、例えば、球体、楕円体、多面体、表面に凹凸や突起を有する形状及び異形体等の任意の形状が挙げられる。
また、上記無機粉体において、波長1μm以上の光に対する屈折率の比(比屈折率)が1.25以上であることが望ましい。
上記無機粉体は、輻射熱の散乱材として極めて重要な役割を有しており、屈折率が大きいほど、輻射熱をより効果的に散乱させることができる。また、比屈折率については、フォノン伝導の抑制について極めて重要であり、この値が大きいほど抑制効果が良好である。従って、本発明においては、無機粉体の望ましい比屈折率の値は1.25以上である。
ここで、もう少しフォノン伝導の抑制について付け加えると、フォノン伝導を抑制することができる材料としては、一般的に、結晶内に格子欠陥を有している物質もしくは、複雑な構造を有している物質が知られている。前述のTiOやSiO、BaTiOは格子欠陥を有しやすく、複雑な構造を有しているので、輻射熱の散乱だけでなく、フォノンの散乱にも効果的であると考えられる。
さらに、上記無機粉体として、波長10μm以上の光に対する反射率が70%以上である無機粉体を好適に使用することができる。波長10μm以上の光は、いわゆる赤外線〜遠赤外線波長領域の光であり、この波長領域の光に対する反射率が70%以上であることで、輻射伝熱をより有効に低減させることができる。
上記無機粉体の固体熱伝導率は、室温で18kcal/m・h・℃以下であることが望ましい。
室温での固体熱伝導率が18kcal/m・h・℃より大きい無機粉体を原料として用いると、無機繊維成形体中において固体伝熱が支配的になり、熱伝導率が上昇(断熱性が低下)してしまう。
ここで、本明細書において、無機繊維とは、アスペクト比が3以上である無機繊維をいう。一方、無機粉体とは、アスペクト比が3未満である無機粉体をいう。なお、アスペクト比とは、物質の短径aに対する長径bの比(b/a)である。
なお、上記無機繊維成形体は、高温での強度維持を目的として無機結合材を含んでいてもよい。上記無機結合材としては、例えば、コロイダルシリカ、合成マイカ、モンモリロナイト等が挙げられる。上記無機結合材は、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
この無機結合材は、無機繊維成形体の構成材料の合計重量に対し、1〜10重量%の範囲で必要に応じて使用することができるが、より少ない方が好ましい。上記無機結合材の使用態様としては、例えば、原料中に混合したり、もしくは得られた無機繊維体へ含浸したりして使用することができる。
本発明の無機繊維体を構成する無機繊維成形体は、無機繊維等を乾式成形法又は湿式成形法にて任意の形状に成形された成形体である。なお、無機繊維成形体の製造方法については後述する。
無機繊維成形体の形状としては、特に限定されず、例えば、平板状、円盤状、立方体、直方体、円柱型、ドーナツ型、球状等の任意の形状が挙げられる。
上記無機繊維成形体の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、無機繊維成形体が平板状である場合、2〜200mmの範囲にあることが望ましい。
上記無機繊維成形体の壁厚が2mm未満であると、充分な断熱性や機械的強度を無機繊維体に付与することができず、一方、200mmを超えると、無機繊維成形体の成形自体が困難となる。
上記無機繊維成形体のかさ密度は、特に限定されないが、0.20〜0.50g/cmの範囲内にあることが望ましい。なお、かさ密度は、質量をみかけの体積で除した値として求めることができる(JIS A0202_2213を参照)。
このかさ密度が0.20g/cm未満では、対流伝熱及び分子伝熱が増大し、一方、0.50g/cmを超えると固体伝熱が増大するために熱伝導率が上昇し、いずれの場合も断熱性が低下することになる。
このような無機繊維成形体3と、この無機繊維成形体の表面の少なくとも一部に形成された無機被覆層2とからなる無機繊維体1において、800℃における熱伝導率は、0.25W/mK以下であることが望ましい。
熱伝導率が0.25W/mK以下であると加熱炉の耐久性を向上させることができるので、加熱炉のメンテナンスに要するコストや時間等を削減することができる。
無機繊維体1の耐熱性は、600℃以上であることが望ましく、900℃以上であることがより望ましい。
耐熱性が600℃未満であると、適用用途が限定されてしまい、実用性の面から好ましくないからである。
無機繊維体が平板状である場合に、無機繊維体の例示的な厚さとしては、10〜200mmの範囲が挙げられる。
無機繊維体の厚さが10mm未満であると、断熱性及び強度が低下して、クラック等の破損が生じやすくなり、一方、200mmを超えると、成形性や技術上の困難により無機繊維体の製造自体が困難となるからである。
次に、本発明の無機繊維体の製造方法について説明する。
本発明の無機繊維体は、無機繊維成形体と、上記無機繊維成形体の表面の少なくとも一部に形成された無機被覆層とからなるので、まず、最初に無機繊維成形体を作製し、その表面に無機被覆層を形成する。
(a)乾式成形法によって得られる無機繊維成形体を使用する場合
まず、乾式成形法では、上記無機繊維及び必要に応じて無機粉体や無機結合材を所定の割合でV型混合機等の混合機に投入し、充分に混合した後、所定の型内に混合物を投入し、プレスすることにより無機繊維成形体を得る。プレス時には、必要に応じて加熱してもよい。
無機成形体は、通常、平板状であるが、上記形状に限定されず、板状体を垂直に幾つか積み重ねたような形状でも良い。
上記プレス圧は、0.98〜9.8MPaの範囲であることが望ましい。プレス圧が0.98MPa未満であると、得られる無機繊維成形体において、強度を保つことができずに崩れてしまい、一方、9.8MPaを超えると、過度の圧縮によって加工性が低下し、さらに、かさ密度が高くなるので固体伝熱が増加して断熱性が低下する。
また、プレス時の加熱温度としては、400〜700℃の範囲であることが望ましい。この範囲であると、適度な加工性を維持しながら、充分な断熱性も保つことができる。
(b)湿式成形法により得られた無機繊維成形体を使用する場合
次に、湿式成形法では、上記無機繊維及び必要に応じて無機粉体や無機結合材を水中で混合撹拌して充分に分散させ、その後、凝集剤として硫酸アルミニウム水溶液等を添加し、無機繊維に無機粉体や無機結合材を添着させた一次凝集体を得る。次に、必要に応じて有機弾性物質のエマルジョン等を所定の範囲内で上記水中に添加した後、カチオン系高分子凝集剤を添加することにより凝集体を含むスラリー(懸濁液)を得る。
次に上記凝集体を含むスラリー(懸濁液)を網状体(メッシュ)で抄き、いわゆる抄造することで、平板状の抄造体を得ることができる。抄造した後、全体をプレスすることにより、抄造体の密度を上げても良い。この後、得られた抄造体を乾燥することにより無機繊維成形体を得る。
次に、上述した組成のガラスを粉砕して作製したガラス粉末等の無機被覆層の原料となる粉末を水に分散させ、続いて、炭化物結晶、窒化物結晶、酸化物結晶及び炭素結晶からなる群より選択される少なくとも1種の結晶質物質の粉末を添加して分散させ、無機被覆層形成用スラリーを調製する。
このようにして調製した無機被覆層形成用スラリーに、無機繊維成形体をディッピング(浸漬)することにより、無機繊維成形体の表面の一部にスラリー粉末層を形成する。また、無機繊維成形体の表面の一部又は全部をディッピングすることで、所望の面についてスラリー粉末層を形成することができる。スラリー粉末層の厚さを調整するには、スラリーへのディッピング時間やディッピング回数を調整すればよい。
また、ディッピング方法以外としては、カーテンコートによりスラリー粉末層を形成する方法や、スプレーコートによる方法等が挙げられる。
カーテンコート法を採用する場合には、一定の速度で移送されている無機繊維成形体に対して、その上方から所定幅のスリットを通じて上記スラリーをカーテン状(フィルム状)に落下させることにより、スラリー粉末層を形成する。スラリー粉末層の厚さを調整するには、無機繊維成形体の移送速度を調整するか、スラリーの落下速度等を調整すればよい。
また、スプレーコートでは、ノズルスプレー等、所定形状のスプレーにより上記スラリーを無機繊維成形体の表面に吹き付けることにより、スラリー粉末層を形成する。スラリー粉末層の厚さを調整するには、スラリーの液滴の径や噴霧量、スプレーの移動速度等を調整すればよい。
その後、無機繊維成形体の表面に形成したスラリー粉末層を乾燥させて、所定温度で加熱し、上記結晶質物質を発泡させるのと併せて、非晶質物質を溶融することで、無機被覆層を形成する。
通常、ガラス物質の加熱温度の望ましい上限は1400℃であり、より望ましい上限は1300℃である。一方、望ましい下限は1000℃であり、より望ましい下限は1100℃である。加熱温度が上記範囲の温度であると、所望の物性を有する無機被覆層を効率よく形成することができる。通常、溶融状態の無機被覆層となる層は、無機繊維成形体中には浸透しにくいので、無機繊維成形体に対して一定の密着強度を有し、無機繊維をその内部に殆ど含まない無機被覆層が形成される。
気泡の直径を調整するには、原料となる結晶質物質の平均粒径を調整したり、発泡させる際の加熱温度や加熱時間を調整したりすればよい。
以下に実施例を掲げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)必要量の水に、無機繊維成形体を構成する無機繊維として、シリカ−アルミナ系セラミックファイバから粗大粒子を除いた、いわゆる脱ショットバルク(イビデン株式会社製:商品名イビウール)97重量部を添加し解繊させた後、無機結合剤としてコロイダルシリカ(日産化学株式会社製:商品名スノーテックス)3重量部を添加して充分に撹拌混合した。そこに、さらに、凝集剤として硫酸アルミニウム水溶液を添加し一次凝集体を得た。その後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、再度凝集させることによりスラリーを調製した。
(2)次に、このスラリーを充分に攪拌しながらメッシュ(網状体)により抄き、得られた積層体を軽くプレスした後135℃で乾燥し、厚さが20mmで600mm×900mmの板状の無機繊維成形体を得た。
(3)次に、Bを8.6重量%、NaOを1.2重量%、MgOを0.6重量%、Alを10.2重量%、SiOを63.7重量%、KOを4.8重量%、CaOを8.8重量%、その他の不可避的不純物を2.1重量%含むガラスを粉砕することにより、平均粒子径が10μmのガラス粉末を作成し、該ガラス粉末100重量部を必要量の水に分散させ、続いて、平均粒径が13μmのSiC粉末(信濃電気製錬株式会社製)30重量部を追加してよく混合し、懸濁状態とした。
(4)次に、無機繊維成形体の主面が懸濁液の表面と平行になるように位置決めし、そのままの状態で無機繊維成形体を徐々に降下させ、一主面が懸濁液と完全に接触する程度まで無機繊維成形体を降下させ、懸濁液に浸漬させた後引き上げ、無機繊維成形体の一主面にSiC粉末を含むガラス粉末の層を形成した。
(5)次に、ガラス粉末の層が形成された無機繊維成形体を窒素雰囲気の加熱炉に導入して徐々に加熱し、最高温度1250℃で20分間加熱することにより、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(以下、発泡ガラス層ともいう)を形成した。無機被覆層は、色が灰色であった。
ガラス粉末及びSiC粉末の組成と平均粒径、並びに、形成した発泡ガラス層の重さと厚さを表1に示す。
(実施例2)
(1)、(2)の工程は、実施例1と同様に実施した。
(3)の工程に関しては、SiC粉末の平均粒径、ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、実施例1と同様に実施した。
(4)次に、カーテンコート法により、SiC粉末を含むガラス粉末の層を形成した。すなわち、(3)で調製したSiC粉末を含むガラス粉末の懸濁液を、スリットを通してカーテン状に落下させ、その中を水平状態の無機繊維成形体を通過させることにより無機繊維成形体の一主面にSiC粉末を含むガラス粉末の層を形成した。
この後、実施例1の(5)と同様にして無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(実施例3)
(1)、(2)の工程は、実施例1と同様に実施した。
(3)の工程に関しては、SiC粉末の代わりにカーボン粉末を使用し、カーボン粉末の平均粒径、ガラス粉末とカーボン粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、実施例1と同様に実施した。
(4)次に、カーテンコート法により、カーボン粉末を含むガラス粉末の層を形成した。すなわち、(3)で調製したカーボン粉末を含むガラス粉末の懸濁液を、スリットを通してカーテン状に落下させ、その中を水平状態の無機繊維成形体を通過させることにより無機繊維成形体の一主面にカーボン粉末を含むガラス粉末の層を形成した。
この後、実施例1の(5)と同様にして無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(実施例4)
(1)、(2)の工程は、実施例1と同様に実施した。
(3)の工程に関しては、SiC粉末の平均粒径、ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、実施例1と同様に実施した。
(4)次に、スプレー法により、SiC粉末を含むガラス粉末の層を形成した。
すなわち、(3)で調製したSiC粉末を含むガラス粉末の懸濁液を、フラット型のノズルスプレーから噴射して、無機繊維成形体の一主面にSiC粉末を含むガラス粉末を均一に付着させ、SiC粉末を含むガラス粉末の層を形成した。
この後、実施例1の(5)と同様にして無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(実施例5)
(1)必要量の水に、無機繊維成形体を構成する無機繊維として、シリカ−アルミナ系セラミックファイバから粗大粒子を除いた、いわゆる脱ショットバルク(イビデン株式会社製:商品名イビウール)24重量部を添加し解繊させた。
次いで、無機繊維成形体の無機粉体としてTiO粉末(東邦チタニウム株式会社製:商品名HT0100)24重量部、SiO粉末(日本アエロジル株式会社製:商品名AEROSIL 90)49重量部を加えてよく混合した後、さらに無機結合剤としてコロイダルシリカ(日産化学株式会社製:商品名スノーテックス)3重量部を添加して充分に撹拌混合した。そこに、さらに、凝集剤として硫酸アルミニウム水溶液を添加し一次凝集体を得た。その後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、再度凝集させることによりスラリーを調製した。
(2)〜(5)の工程に関しては、SiC粉末の平均粒径、ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、実施例2と同様に実施し、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(実施例6)
(2)〜(5)の工程に関して、SiC粉末の代わりにカーボン粉末を使用し、カーボン粉末の平均粒径、ガラス粉末とカーボン粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、実施例5と同様に実施し、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(実施例7〜8)
脱ショットバルク(イビデン株式会社製:商品名イビウール)の代わりに、シリカ75重量%と酸化マグネシウム25重量%とからなる、平均繊維径3μm、平均繊維長30μmの無機繊維97重量部を用いてスラリーを調製し、ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、実施例1と同様に(1)〜(5)の工程を実施し、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
なお、シリカ75重量%と酸化マグネシウム25重量%とからなる無機繊維は、生理食塩水に対して、無機繊維全体で410ppmの溶解度を示した。
(実施例9〜10)
脱ショットバルク(イビデン株式会社製:商品名イビウール)の代わりに、平均繊維径3μm、平均繊維長30μmのアルミナ繊維97重量部を用いてスラリーを調製し、ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、実施例1と同様に(1)〜(5)の工程を実施し、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(比較例1)
ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合とし、(5)の工程に関し、ガラス粉末の層が形成された無機繊維成形体を窒素雰囲気の加熱炉に導入して徐々に加熱し、最高温度1250℃で1時間加熱することにより、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成したほかは、実施例2と同様にして無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(比較例2)
ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合とし、(5)の工程に関し、ガラス粉末の層が形成された無機繊維成形体を窒素雰囲気の加熱炉に導入して徐々に加熱し、最高温度1250℃で40分間加熱することにより、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成したほかは、実施例5と同様にして無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(比較例3)
ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、比較例1と同様にして、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(比較例4)
ガラス粉末とSiC粉末の割合を表1に示す割合としたほかは、比較例2と同様にして、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
(比較例5)
ガラス粉末にSiC粉末を添加しなかったほかは、比較例1と同様にして、無機繊維成形体の表面に無機被覆層(発泡ガラス層)を形成した。
[物性の評価]
各実施例及び各比較例で得られた無機繊維体に関し、以下のような方法により、その物性、特性を測定した。
(1)発泡ガラス層の厚さ、並びに、発泡ガラス層中の最大気孔(気泡)の直径及び平均気孔(気泡)径の測定
得られた無機繊維体を切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)及び工場顕微鏡によりその厚さ、最大気孔の直径及び平均気孔径を測定した。結果を表1〜2に示す。
(2)発泡ガラス層中に含まれる物質
株式会社リガク製のX線回折装置(RAD−B)を用い、得られた無機繊維体を構成する発泡ガラス層に含まれる物質を分析した。
実施例の無機繊維体のX線回折結果を示すチャートを図3に示す。また、分析により検出された物質を表2に示す。
(3)発塵性
JIS B9926に準じて測定した。すなわち、クラス100のブース中にて、10L/minの速度でクリーンな空気を無機繊維体の発泡ガラス層に吹き付け、クリーン度をパーティクルカウンターで測定した。
パーティクルカウンターは、リオン株式会社製の気中パーティクルカウンター(KR−12A<HHPC−6>)を使用し、10分間吸い込んだ際の0.5μm以上のパーティクルの数を測定した。なお、クラス100のブース中のブランクのパーティクル数は、90個であった。結果を表2に示す。
(4)透水率
最初に得られた無機繊維体の重量を測定した後、加熱処理後に発泡ガラス層表面に水を10g付着させ、10分放置後に表面を拭き取り、初期の重量に対して何g増加したかを測定した。そして、増加重量を10gで割った値を透水率(%)として算出した。結果を表2に示す。
(5)熱サイクル特性の測定
得られた無機繊維体を電気炉に入れ、室温から800℃まで10分で昇温させ、800℃で3時間保持した後、電気炉中で徐冷して室温とする熱サイクルを5回繰り返し、無機繊維体にクラックが発生しているか否かを観察した。結果を表2に示す。
(6)熱伝導率の測定
迅速熱伝導率計QTM500(京都電子工業株式会社製)を用い、ホットワイヤ法により室温での熱伝導率を測定した。結果を表2に示す。
(7)熱膨張率の測定
得られた無機繊維体を所定長さに切断し、室温で寸法を測定した後、800℃まで加熱し、再度、寸法を測定することにより、熱膨張率を求めた。
Figure 2007211958
Figure 2007211958
表1、2に示すように、実施例で得られた無機繊維体は、断熱性能に優れるとともに、パーティクルを発生せず、水分を通さず、耐熱衝撃性を有する。
一方、比較例で作製した無機繊維体では、開気孔が形成されてしまうと、パーティクルが発生し、透水しやすくなることがわかる。また、比較例5のように発泡ガラス層が結晶質物質を含まない場合には、殆ど気泡は見られず、クラックが発生し易くなってしまう。
図1は、本発明の無機繊維体を露出面に対して垂直に切断した場合の断面の一部を模式的に示した断面図である。 図2は、従来の無機繊維体を露出面に対して垂直に切断した場合の断面の一部を模式的に示した断面図である。 図3は、無機繊維体を構成する発泡ガラス層の組成のX線回折結果を示すチャートである。
符号の説明
1 無機繊維体
2 無機被覆層
3 無機繊維成形体
4 気泡
5 無機繊維
6 無機粉体
11 耐熱材料
12 ガラス層
13 基材
14 無機繊維質材料
15 無機粒子
16 ガラス

Claims (9)

  1. 気泡を有する無機被覆層が、無機繊維成形体の表面の少なくとも一部に形成されたことを特徴とする無機繊維体。
  2. 前記無機被覆層は、前記無機繊維成形体の外形状をなす面のうち一つの面の全面に形成されている請求項1に記載の無機繊維体。
  3. 前記無機被覆層は、主に非晶質物質からなる請求項1又は2に記載の無機繊維体。
  4. 前記非晶質物質は、ガラス、ダイヤモンドライクカーボン、シリコン酸化膜、ハフニウム酸化膜、カルコゲナイト系多元合金、オパール質からなる群より選択された少なくとも1種の非晶質物質である請求項3に記載の無機繊維体。
  5. 前記無機被覆層は、炭化物結晶、窒化物結晶、酸化物結晶及び炭素結晶からなる群より選択された少なくとも1種の結晶質物質を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の無機繊維体。
  6. 前記気泡の少なくとも一部は、閉気孔である請求項1〜5のいずれかに記載の無機繊維体。
  7. 前記無機被覆層における露出面側から前記無機繊維成形体側への透水率は、1%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の無機繊維体。
  8. 前記気泡の直径は、前記無機被覆層の厚さの90%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の無機繊維体。
  9. 前記無機被覆層は、シリカを30重量%以上含有し、かつ、熱膨張係数が6ppm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の無機繊維体。
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