JP2990320B2 - 断熱材およびその製造法 - Google Patents
断熱材およびその製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1200℃を超えるよ
うな苛酷な温度条件下で使用する断熱材として適当な、
高度の耐熱性と耐熱衝撃性を備えた板状の低密度断熱材
およびその製造法に関するものである。
うな苛酷な温度条件下で使用する断熱材として適当な、
高度の耐熱性と耐熱衝撃性を備えた板状の低密度断熱材
およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】NASAの宇宙往還機・スペースシャト
ルの表面保護材のように、著しい高温や激しい熱的衝撃
に良く耐え、低密度で断熱性にすぐれる一方、一定水準
以上の強度と機械加工性を備えていることを要求される
板状断熱材の代表的なものとしては、耐熱性無機繊維を
主材とする多孔質断熱材が知られている。
ルの表面保護材のように、著しい高温や激しい熱的衝撃
に良く耐え、低密度で断熱性にすぐれる一方、一定水準
以上の強度と機械加工性を備えていることを要求される
板状断熱材の代表的なものとしては、耐熱性無機繊維を
主材とする多孔質断熱材が知られている。
【0003】この種の材料で最初に用いられたものは、
バインダーとしてのコロイダルシリカと高純度シリカ繊
維との混合物の成形体を約1300℃で焼成して作られ
た、シリカタイルと呼ばれる材料である。しかしなが
ら、この材料は強度が低く、また物性の劣化も早く、使
用時の機械的衝撃によって欠けたり、接着したものが剥
落したりする欠点があった。バインダーを使用すること
によるシリカタイルの上述のような欠点を解消するた
め、特開昭55−37500号の発明では、シリカ繊
維、アルミノシリケート繊維および酸化ホウ素の混合
物、またはシリカ繊維とアルミノボロシリケート繊維の
混合物を成形したのち焼成することにより繊維間融着を
生じさせたものを提案している。また特開昭60−15
1269号の発明では、特定の繊維径のシリカ繊維とア
ルミナ繊維とを酸化ホウ素により融着させたものが開示
されている。さらに、特開平4−119958号の発明
では、シリカ繊維、アルミノシリケート繊維およびアル
ミノボロシリケート繊維の混合物に有機繊維および酸化
ホウ素を混合し、成形したのち焼成することにより繊維
間融着を生じさせる製造法が開示されている。
バインダーとしてのコロイダルシリカと高純度シリカ繊
維との混合物の成形体を約1300℃で焼成して作られ
た、シリカタイルと呼ばれる材料である。しかしなが
ら、この材料は強度が低く、また物性の劣化も早く、使
用時の機械的衝撃によって欠けたり、接着したものが剥
落したりする欠点があった。バインダーを使用すること
によるシリカタイルの上述のような欠点を解消するた
め、特開昭55−37500号の発明では、シリカ繊
維、アルミノシリケート繊維および酸化ホウ素の混合
物、またはシリカ繊維とアルミノボロシリケート繊維の
混合物を成形したのち焼成することにより繊維間融着を
生じさせたものを提案している。また特開昭60−15
1269号の発明では、特定の繊維径のシリカ繊維とア
ルミナ繊維とを酸化ホウ素により融着させたものが開示
されている。さらに、特開平4−119958号の発明
では、シリカ繊維、アルミノシリケート繊維およびアル
ミノボロシリケート繊維の混合物に有機繊維および酸化
ホウ素を混合し、成形したのち焼成することにより繊維
間融着を生じさせる製造法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記各発明による低密
度断熱材は既にかなり高水準の性能を達成しているが、
宇宙往還機のようにきわめて苛酷な条件で使用されかつ
高度の信頼性を要求される断熱材には、少しでも高性能
のものが求められることは言うまでもない。そこで本発
明は、上記従来の低密度断熱材よりもさらに高性能の断
熱材を提供すること、および、該高性能低密度断熱材を
確実かつ容易に製造する方法を提供することを目的とし
ている。
度断熱材は既にかなり高水準の性能を達成しているが、
宇宙往還機のようにきわめて苛酷な条件で使用されかつ
高度の信頼性を要求される断熱材には、少しでも高性能
のものが求められることは言うまでもない。そこで本発
明は、上記従来の低密度断熱材よりもさらに高性能の断
熱材を提供すること、および、該高性能低密度断熱材を
確実かつ容易に製造する方法を提供することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明が提供することに
成功した断熱材は、シリカ繊維65〜85重量%と、ム
ライト繊維15〜35重量%と、該繊維の交絡点を固定
するガラス状ホウ素化合物と、製品中に一様に分布した
微細かつ均一な大きさのセルロースパウダー焼失空隙と
を有して三次元網目構造となっているものである。
成功した断熱材は、シリカ繊維65〜85重量%と、ム
ライト繊維15〜35重量%と、該繊維の交絡点を固定
するガラス状ホウ素化合物と、製品中に一様に分布した
微細かつ均一な大きさのセルロースパウダー焼失空隙と
を有して三次元網目構造となっているものである。
【0006】また、本発明による断熱材の製造法は、シ
リカ繊維が65〜85重量%、ムライト繊維が15〜3
5重量%の無機繊維混合物を該無機繊維混合物に対して
5〜40重量%のセルロースパウダーおよびB2O3換算
で3〜4重量%のホウ素化合物粉末と共に水中に分散さ
せ、得られたスラリー状混合物を脱水成形し、乾燥後、
ホウ素化合物が溶融する温度で焼成することを特徴とす
る。
リカ繊維が65〜85重量%、ムライト繊維が15〜3
5重量%の無機繊維混合物を該無機繊維混合物に対して
5〜40重量%のセルロースパウダーおよびB2O3換算
で3〜4重量%のホウ素化合物粉末と共に水中に分散さ
せ、得られたスラリー状混合物を脱水成形し、乾燥後、
ホウ素化合物が溶融する温度で焼成することを特徴とす
る。
【0007】本発明の断熱材は、対無機繊維約20重量
%以下の炭化ケイ素質熱輻射材を含有させることにより
断熱性能が一層すぐれたものとすることができる。
%以下の炭化ケイ素質熱輻射材を含有させることにより
断熱性能が一層すぐれたものとすることができる。
【0008】
【作用】本発明による断熱材において、シリカ繊維は断
熱材の基本組成を構成するもので、特に熱膨張率が低く
かつ耐スポーリング性の良い断熱材を得る上で有効であ
る。この繊維が65重量%よりも少ないと断熱材は熱膨
張率が大きくなり、急熱急冷による亀裂が発生しやすく
なる。また85重量%を超えると、目的とする1200
℃の耐熱性が低下し、加熱による収縮が大きくなる。し
たがって、シリカ繊維の含有率は65〜85重量%とす
るのがよい。なお、シリカ繊維はSiO2含有率が95重
量%以上の高純度シリカ繊維であって平均繊維径が0.
3〜3μm、平均繊維長が約1〜5mmのものを用いるこ
とが望ましい。
熱材の基本組成を構成するもので、特に熱膨張率が低く
かつ耐スポーリング性の良い断熱材を得る上で有効であ
る。この繊維が65重量%よりも少ないと断熱材は熱膨
張率が大きくなり、急熱急冷による亀裂が発生しやすく
なる。また85重量%を超えると、目的とする1200
℃の耐熱性が低下し、加熱による収縮が大きくなる。し
たがって、シリカ繊維の含有率は65〜85重量%とす
るのがよい。なお、シリカ繊維はSiO2含有率が95重
量%以上の高純度シリカ繊維であって平均繊維径が0.
3〜3μm、平均繊維長が約1〜5mmのものを用いるこ
とが望ましい。
【0009】ムライト繊維は、SiO2/Al2O3モル比
が2/3の斜方晶アルミナ質結晶からなる繊維であっ
て、耐熱性を向上させ、かつ熱膨張率を低いレベルに維
持するのに有効である。この繊維が15重量%よりも少
ないと、相対的にシリカ繊維の比率が過大になり、前述
のように耐熱性が低下する。また35重量%を超える
と、相対的にシリカ繊維が不足し、上述のように耐急熱
急冷特性が悪くなる。したがって、ムライト繊維の含有
率は15〜35重量%とすることが望ましい。ムライト
繊維としては、平均繊維径が約2〜10μmで平均繊維
長が約2〜10mmのものを用いることが望ましい。
が2/3の斜方晶アルミナ質結晶からなる繊維であっ
て、耐熱性を向上させ、かつ熱膨張率を低いレベルに維
持するのに有効である。この繊維が15重量%よりも少
ないと、相対的にシリカ繊維の比率が過大になり、前述
のように耐熱性が低下する。また35重量%を超える
と、相対的にシリカ繊維が不足し、上述のように耐急熱
急冷特性が悪くなる。したがって、ムライト繊維の含有
率は15〜35重量%とすることが望ましい。ムライト
繊維としては、平均繊維径が約2〜10μmで平均繊維
長が約2〜10mmのものを用いることが望ましい。
【0010】シリカ繊維とムライト繊維の両方について
上記好適繊維径と好適繊維長のものを採用することによ
り、低密度で熱伝導率の小さい断熱材とすることができ
るとともに、成形工程における繊維の層状配向を少なく
し、物性に顕著な方向性が生じるのを避けることができ
る。
上記好適繊維径と好適繊維長のものを採用することによ
り、低密度で熱伝導率の小さい断熱材とすることができ
るとともに、成形工程における繊維の層状配向を少なく
し、物性に顕著な方向性が生じるのを避けることができ
る。
【0011】ホウ素化合物は、原料混合物を成形し焼成
したときに酸化溶融し、次いで酸化ケイ素と反応してホ
ウ珪酸化合物を生成する。生成したホウ珪酸化合物は、
冷却後ガラス化して、無機繊維の交絡点を固定する。原
料のホウ素化合物としては、酸化ホウ素、窒化ホウ素、
炭化ホウ素などが特に好ましい。
したときに酸化溶融し、次いで酸化ケイ素と反応してホ
ウ珪酸化合物を生成する。生成したホウ珪酸化合物は、
冷却後ガラス化して、無機繊維の交絡点を固定する。原
料のホウ素化合物としては、酸化ホウ素、窒化ホウ素、
炭化ホウ素などが特に好ましい。
【0012】本発明の製造法において原料として用いる
ホウ素化合物の量は、上述の繊維の総重量に対しB2O3
換算で3〜5重量%とするのがよい。3重量%よりも少
ないと、繊維の交絡点におけるガラス化融着ポイントが
少なくなり、強度の低下を招く。また、5重量%を超え
ると、成形体焼成時の収縮が大きくなり、製品が高密度
のものとなる。特に目標密度を0.08〜0.15g/cm3
に設定する場合、上記含有量の範囲としなければ目標達
成はきわめて困難となる。また、含有量が多すぎると、
それから生じるガラスが繊維を被覆し、断熱性を悪くす
るばかりか各無機繊維がそれらの特性を最高度に発揮す
るのを妨げて、耐熱性を悪くする。
ホウ素化合物の量は、上述の繊維の総重量に対しB2O3
換算で3〜5重量%とするのがよい。3重量%よりも少
ないと、繊維の交絡点におけるガラス化融着ポイントが
少なくなり、強度の低下を招く。また、5重量%を超え
ると、成形体焼成時の収縮が大きくなり、製品が高密度
のものとなる。特に目標密度を0.08〜0.15g/cm3
に設定する場合、上記含有量の範囲としなければ目標達
成はきわめて困難となる。また、含有量が多すぎると、
それから生じるガラスが繊維を被覆し、断熱性を悪くす
るばかりか各無機繊維がそれらの特性を最高度に発揮す
るのを妨げて、耐熱性を悪くする。
【0013】断熱材中の空隙は、断熱材の性能に大きな
影響を及ぼす。本発明では断熱材中に一様に分布した微
細かつ均一な空隙とした。上記無機繊維と空隙とによ
り、本発明の断熱材は三次元網目構造のものとなってい
る。適切な空隙は、セルロースパウダーの消失空隙であ
る。好ましい空隙の量すなわち空隙率は、92〜97体
積%である。
影響を及ぼす。本発明では断熱材中に一様に分布した微
細かつ均一な空隙とした。上記無機繊維と空隙とによ
り、本発明の断熱材は三次元網目構造のものとなってい
る。適切な空隙は、セルロースパウダーの消失空隙であ
る。好ましい空隙の量すなわち空隙率は、92〜97体
積%である。
【0014】セルロースパウダーは、その親水性によ
り、また解繊処理したパルプや有機繊維のようにもつれ
合うことがないことにより、容易に水中に分散し、スラ
リー状原料混合物を成形したとき脱水成形物中に均一に
分布する。そして、混入されたセルロースパウダーは、
きわめて微細なものであることにより脱水成形される過
程では容易に流動するから、無機繊維が自然な配置をと
ろうとする動きを妨げない。その結果、成形物の焼成工
程においてセルロースパウダーが焼失すると、製品中に
は微細かつ均一な大きさの空隙が一様に分布することに
なり、当然、無機繊維の分布も均一になって、製品の物
性が向上する(解繊処理したパルプや有機繊維を用いた
場合は、どうしても残る未解繊繊維の塊が無機繊維の自
然な配置を妨げるので、焼成後に形成される空隙は均一
ではなく、しかも無機繊維の一部に不自然な湾曲が残
る。)。
り、また解繊処理したパルプや有機繊維のようにもつれ
合うことがないことにより、容易に水中に分散し、スラ
リー状原料混合物を成形したとき脱水成形物中に均一に
分布する。そして、混入されたセルロースパウダーは、
きわめて微細なものであることにより脱水成形される過
程では容易に流動するから、無機繊維が自然な配置をと
ろうとする動きを妨げない。その結果、成形物の焼成工
程においてセルロースパウダーが焼失すると、製品中に
は微細かつ均一な大きさの空隙が一様に分布することに
なり、当然、無機繊維の分布も均一になって、製品の物
性が向上する(解繊処理したパルプや有機繊維を用いた
場合は、どうしても残る未解繊繊維の塊が無機繊維の自
然な配置を妨げるので、焼成後に形成される空隙は均一
ではなく、しかも無機繊維の一部に不自然な湾曲が残
る。)。
【0015】製造原料におけるセルロースパウダーの配
合率は5〜40重量%が適当であって、5重量%よりも
少ないと目標とする空隙率を達成することができず、一
方、40重量%を超えると、繊維の交絡点におけるガラ
ス化融着を阻害し、強度の低下を招く。
合率は5〜40重量%が適当であって、5重量%よりも
少ないと目標とする空隙率を達成することができず、一
方、40重量%を超えると、繊維の交絡点におけるガラ
ス化融着を阻害し、強度の低下を招く。
【0016】なお、セルロースパウダー(粉末繊維素)
のうち特に好ましいものは、高度漂白パルプを酸加水分
解処理し高純度のセルロース結晶として取り出したもの
であって、パルプ繊維の原形を全く止めていない微細な
粉末状のものである(市販品の例としては、山陽国策パ
ルプ株式会社のKCフロックがある)。その類似品とし
て、酸加水分解による繊維の化学的切断・精製を行わず
機械的粉砕処理のみによって精選パルプを微粉末化した
ものもあり、本発明においてはこれも原料として使用す
ることができる(市販品の例としては、山陽国策パルプ
株式会社のパルプフロックがある)。
のうち特に好ましいものは、高度漂白パルプを酸加水分
解処理し高純度のセルロース結晶として取り出したもの
であって、パルプ繊維の原形を全く止めていない微細な
粉末状のものである(市販品の例としては、山陽国策パ
ルプ株式会社のKCフロックがある)。その類似品とし
て、酸加水分解による繊維の化学的切断・精製を行わず
機械的粉砕処理のみによって精選パルプを微粉末化した
ものもあり、本発明においてはこれも原料として使用す
ることができる(市販品の例としては、山陽国策パルプ
株式会社のパルプフロックがある)。
【0017】炭化ケイ素質熱輻射材は輻射熱の透過を妨
げて製品の断熱性能を一層向上させるが、過度に配合す
ると製品の密度を好ましくない水準まで高くしてしま
う。したがって、これを配合する場合、製品の熱伝導率
低減効果および密度に対する影響等を考慮するとその配
合率はシリカ繊維とムライト繊維の合計量に対して20
重量%以下、特に5〜20重量とすることが望ましい。
好ましい炭化ケイ素質熱輻射材の具体例としては、炭化
ケイ素粉末、炭化ケイ素ウイスカ等がある。
げて製品の断熱性能を一層向上させるが、過度に配合す
ると製品の密度を好ましくない水準まで高くしてしま
う。したがって、これを配合する場合、製品の熱伝導率
低減効果および密度に対する影響等を考慮するとその配
合率はシリカ繊維とムライト繊維の合計量に対して20
重量%以下、特に5〜20重量とすることが望ましい。
好ましい炭化ケイ素質熱輻射材の具体例としては、炭化
ケイ素粉末、炭化ケイ素ウイスカ等がある。
【0018】上述のような無機繊維、セルロースパウダ
ー、およびホウ素化合物を、必要に応じて含有させる炭
化ケイ素質熱輻射材と共に水中で均一に混合してスラリ
ー状にする。ここでスラリーの固形分濃度は約1〜2重
量%とするのがよい。このスラリーを常法により所望の
形状に脱水成形する。脱水成形は、プレスを用いるのが
一般的である。得られた成形物は乾燥後、温度を上げて
焼成する。乾燥は、通常セルロースパウダーの炭化温度
以下、すなわち約150℃以下で行う。焼成を空気中で
行うと、まずセルロースパウダーが焼失し、さらに温度
が上昇するとホウ素化合物が酸化溶融してガラス化し、
繊維間融着が生じる。この酸化溶融のための焼成は、通
常約1100〜1400℃の範囲で行うことが望まし
い。焼成後の成形物は、冷却後、必要に応じて切削加工
を施し、目的とする断熱材を得る。
ー、およびホウ素化合物を、必要に応じて含有させる炭
化ケイ素質熱輻射材と共に水中で均一に混合してスラリ
ー状にする。ここでスラリーの固形分濃度は約1〜2重
量%とするのがよい。このスラリーを常法により所望の
形状に脱水成形する。脱水成形は、プレスを用いるのが
一般的である。得られた成形物は乾燥後、温度を上げて
焼成する。乾燥は、通常セルロースパウダーの炭化温度
以下、すなわち約150℃以下で行う。焼成を空気中で
行うと、まずセルロースパウダーが焼失し、さらに温度
が上昇するとホウ素化合物が酸化溶融してガラス化し、
繊維間融着が生じる。この酸化溶融のための焼成は、通
常約1100〜1400℃の範囲で行うことが望まし
い。焼成後の成形物は、冷却後、必要に応じて切削加工
を施し、目的とする断熱材を得る。
【0019】主原料のシリカ繊維とムライト繊維がそれ
らの交絡点をホウ素化合物によってホウ珪酸ガラス状に
融着固定されてなる製品中には、セルロースパウダーが
焼失して形成された微細な空隙が多量に存在する。この
空隙は、パルプその他の有機繊維を混入した場合と比べ
ると大きさおよび分布がきわめて均一である。また、無
機繊維の分布を見てもきわめて均一かつ自然であること
により、骨格材としての無機繊維の利用率が高い。した
がって、嵩密度約0.08〜0.15g/cm3の低密度製品
を製造した場合においても、強度等の機械的性質と熱的
特性に優れている。
らの交絡点をホウ素化合物によってホウ珪酸ガラス状に
融着固定されてなる製品中には、セルロースパウダーが
焼失して形成された微細な空隙が多量に存在する。この
空隙は、パルプその他の有機繊維を混入した場合と比べ
ると大きさおよび分布がきわめて均一である。また、無
機繊維の分布を見てもきわめて均一かつ自然であること
により、骨格材としての無機繊維の利用率が高い。した
がって、嵩密度約0.08〜0.15g/cm3の低密度製品
を製造した場合においても、強度等の機械的性質と熱的
特性に優れている。
【0020】
実施例1,2 使用原料: シリカ繊維 SiO298重量%,平均繊維径0.9μ
m,平均繊維長2mm ムライト繊維 平均繊維径4μm,平均繊維長2mm 窒化ホウ素粉末 平均粒子径1μm 炭化ケイ素粉末 平均粒子径0.26μm セルロースパウダー KCフロックW-50(山陽国策パ
ルプ株式会社製品)平均粒子長径1mm,平均粒子短径7
5μm
m,平均繊維長2mm ムライト繊維 平均繊維径4μm,平均繊維長2mm 窒化ホウ素粉末 平均粒子径1μm 炭化ケイ素粉末 平均粒子径0.26μm セルロースパウダー KCフロックW-50(山陽国策パ
ルプ株式会社製品)平均粒子長径1mm,平均粒子短径7
5μm
【0021】上記原料を表1に示した比率で多量の水中
に投入し、十分混合してスラリー状にした。ここで、ス
ラリーの固形分濃度は1%であった。得られたスラリー
を脱水プレス成形により板状に成形し、得られた成形物
を105℃で16時間乾燥した。成形物はさらに大気中
1300℃で2時間焼成し、セルロースパウダーを焼失
させると共にホウ素化合物が酸化した結果ガラス状とな
ったB2O3による繊維間融着を生じさせた。冷却後、焼
成処理品に切削加工を施して、厚さ50mm、1辺が20
0mmの板状断熱材を得た。
に投入し、十分混合してスラリー状にした。ここで、ス
ラリーの固形分濃度は1%であった。得られたスラリー
を脱水プレス成形により板状に成形し、得られた成形物
を105℃で16時間乾燥した。成形物はさらに大気中
1300℃で2時間焼成し、セルロースパウダーを焼失
させると共にホウ素化合物が酸化した結果ガラス状とな
ったB2O3による繊維間融着を生じさせた。冷却後、焼
成処理品に切削加工を施して、厚さ50mm、1辺が20
0mmの板状断熱材を得た。
【0022】比較例1 ムライト繊維に替えてアルミナ繊維(Al2O395重量
%,平均繊維径3μm,平均繊維長2mm)を用いたほか
は実施例1と同様にして板状断熱材を製造した。
%,平均繊維径3μm,平均繊維長2mm)を用いたほか
は実施例1と同様にして板状断熱材を製造した。
【0023】比較例2 セルロースパウダーに替えて製紙用晒しクラフトパルプ
(針葉樹材)を用いたほかは実施例1と同様の原料配合
で、板状断熱材を製造した。この場合、最初はパルプだ
けを水中に投入し、撹拌機で激しく撹拌してパルプがよ
く解繊された後に他の原料を投入、更に撹拌することに
より、原料が均一に混合したスラリーを調製した。
(針葉樹材)を用いたほかは実施例1と同様の原料配合
で、板状断熱材を製造した。この場合、最初はパルプだ
けを水中に投入し、撹拌機で激しく撹拌してパルプがよ
く解繊された後に他の原料を投入、更に撹拌することに
より、原料が均一に混合したスラリーを調製した。
【0024】比較例3 比較例2と同様の製造法において、さらに原料の無機繊
維をシリカ繊維、アルミナ繊維、およびアルミノボロシ
リケート繊維(平均繊維径約10μm)の組合せ(配合
比は表1のとおり)に変更した。上記各例による製品の
特性値を原料配合と共に表1に示す。
維をシリカ繊維、アルミナ繊維、およびアルミノボロシ
リケート繊維(平均繊維径約10μm)の組合せ(配合
比は表1のとおり)に変更した。上記各例による製品の
特性値を原料配合と共に表1に示す。
【0025】表1に示すとおり、本実施例は、嵩密度が
いずれも宇宙機器の表面材として好適な0.08〜0.1
5g/cm3の範囲に保たれつつも、熱伝導率および熱膨張
率が十分小さい。特に熱膨張率は、宇宙機器の場合約
2.50×10-6/℃以下であることが要求されるが、
本実施例のものはいずれもそれを十分クリアしている。
また、強度は高いにこしたことはないが、本実施例では
おおむね比較例の強度を凌駕している。
いずれも宇宙機器の表面材として好適な0.08〜0.1
5g/cm3の範囲に保たれつつも、熱伝導率および熱膨張
率が十分小さい。特に熱膨張率は、宇宙機器の場合約
2.50×10-6/℃以下であることが要求されるが、
本実施例のものはいずれもそれを十分クリアしている。
また、強度は高いにこしたことはないが、本実施例では
おおむね比較例の強度を凌駕している。
【0026】顕微鏡による組織観察の結果、本発明の実
施例1および実施例2の断熱材はシリカ繊維とムライト
繊維の交絡点がガラス状のホウ珪酸により固定され、製
品中に一様に微細かつ均一な大きさの空隙とが形成され
た三次元網目構造となっている。この空隙の大きさは、
セルロースパウダーの焼失空隙に対応しており、この空
隙の大きさと分散の度合により、すぐれた製品特性が得
られたものと考えられる。
施例1および実施例2の断熱材はシリカ繊維とムライト
繊維の交絡点がガラス状のホウ珪酸により固定され、製
品中に一様に微細かつ均一な大きさの空隙とが形成され
た三次元網目構造となっている。この空隙の大きさは、
セルロースパウダーの焼失空隙に対応しており、この空
隙の大きさと分散の度合により、すぐれた製品特性が得
られたものと考えられる。
【0027】
【表1】 注1 窒化ホウ素粉末の量はB2O3換算量 注2 熱伝導率は常圧850℃における値;単位:kcal
/m・h・℃
/m・h・℃
【0028】
【発明の効果】上述のように、本発明はシリカ繊維とム
ライト繊維との特定比率の混合物をセルロースパウダ
ー、ホウ素化合物粉末および任意添加成分としての炭化
ケイ素質熱輻射材と共に水中に分散させ、得られたスラ
リー状混合物を脱水成形し、乾燥後、焼成することによ
り、耐熱性無機繊維が高度に均一に分布した製品を得る
ものであるから、従来のこの種断熱材よりも物性、断熱
性、耐熱性等において優れた製品を確実かつ容易に製造
することができる。
ライト繊維との特定比率の混合物をセルロースパウダ
ー、ホウ素化合物粉末および任意添加成分としての炭化
ケイ素質熱輻射材と共に水中に分散させ、得られたスラ
リー状混合物を脱水成形し、乾燥後、焼成することによ
り、耐熱性無機繊維が高度に均一に分布した製品を得る
ものであるから、従来のこの種断熱材よりも物性、断熱
性、耐熱性等において優れた製品を確実かつ容易に製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安治 敏行 横浜市瀬谷区相沢2−38−3 (56)参考文献 特開 平4−119959(JP,A) 特開 昭55−37500(JP,A) 特開 昭60−151269(JP,A) 特開 平4−119958(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 32/00 C04B 38/00 301 D01F 9/08 D04H 1/42 D04H 1/58
Claims (6)
- 【請求項1】 シリカ繊維65〜85重量%と、ムライ
ト繊維15〜35重量%と、該繊維の交絡点を固定する
ガラス状ホウ素化合物と、製品中に一様に分布した微細
かつ均一な大きさのセルロースパウダー焼失空隙とを有
して三次元網目構造となっている断熱材。 - 【請求項2】 内部に20重量%以下の炭化ケイ素質熱
輻射材を有する請求項1の断熱材。 - 【請求項3】 空隙率が92〜97体積%である請求項
1または請求項2の断熱材。 - 【請求項4】 シリカ繊維の平均繊維径が0.3〜3μ
m、平均繊維長が1〜5mmであり、ムライト繊維の平均
繊維径が2〜10μm、平均繊維長が2〜10mmである
請求項3の断熱材。 - 【請求項5】 シリカ繊維が65〜85重量%、ムライ
ト繊維が15〜35重量%の無機繊維混合物を該無機繊
維混合物に対して5〜40重量%のセルロースパウダー
およびB2O3換算で3〜5重量%のホウ素化合物粉末と
共に水中に分散させ、得られたスラリー状混合物を脱水
成形し、乾燥後、ホウ素化合物が溶融する温度で焼成す
ることを特徴とする低密度断熱材の製造法。 - 【請求項6】 シリカ繊維が65〜85重量%、ムライ
ト繊維が15〜35重量%の無機繊維混合物を該無機繊
維混合物に対して5〜40重量%のセルロースパウダ
ー、B2O3換算で3〜5重量%のホウ素化合物粉末およ
び20重量%以下の炭化ケイ素質熱輻射材と共に水中に
分散させ、得られたスラリー状混合物を脱水成形し、乾
燥後、ホウ素化合物が溶融する温度で焼成することを特
徴とする低密度断熱材の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35141692A JP2990320B2 (ja) | 1992-12-08 | 1992-12-08 | 断熱材およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35141692A JP2990320B2 (ja) | 1992-12-08 | 1992-12-08 | 断熱材およびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06172010A JPH06172010A (ja) | 1994-06-21 |
JP2990320B2 true JP2990320B2 (ja) | 1999-12-13 |
Family
ID=18417138
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35141692A Expired - Fee Related JP2990320B2 (ja) | 1992-12-08 | 1992-12-08 | 断熱材およびその製造法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2990320B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2051790A4 (en) * | 2006-08-18 | 2011-05-04 | Geo2 Technologies Inc | EXTRUDED POROUS SUBSTRATE WITH INORGANIC BINDINGS |
US7781372B2 (en) * | 2007-07-31 | 2010-08-24 | GE02 Technologies, Inc. | Fiber-based ceramic substrate and method of fabricating the same |
JP2015086918A (ja) * | 2013-10-29 | 2015-05-07 | 株式会社クラレ | 断熱材およびその製造方法 |
-
1992
- 1992-12-08 JP JP35141692A patent/JP2990320B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06172010A (ja) | 1994-06-21 |
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