JPH10225780A - 突き合わせ継手の製造方法 - Google Patents

突き合わせ継手の製造方法

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JPH10225780A
JPH10225780A JP3062797A JP3062797A JPH10225780A JP H10225780 A JPH10225780 A JP H10225780A JP 3062797 A JP3062797 A JP 3062797A JP 3062797 A JP3062797 A JP 3062797A JP H10225780 A JPH10225780 A JP H10225780A
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清司 田崎
Shigetoshi Jogan
茂利 成願
Naoki Nishikawa
直毅 西川
Takenori Hashimoto
武典 橋本
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    • B23K20/00Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating
    • B23K20/12Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding
    • B23K20/122Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding using a non-consumable tool, e.g. friction stir welding
    • B23K20/1245Non-electric welding by applying impact or other pressure, with or without the application of heat, e.g. cladding or plating the heat being generated by friction; Friction welding using a non-consumable tool, e.g. friction stir welding characterised by the apparatus
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Abstract

(57)【要約】 【課題】接合部材の突き合わせ部をルート割れを生じる
ことなくその裏面まで確実に接合した突き合わせ継手を
製造するための突き合わせ継手の製造方法を提供する。 【解決手段】2個の接合部材1、2を突き合わせるとと
もに、突き合わせ部3またはその近傍に回転するプロー
ブ12を挿入し、プローブ12との接触部を摩擦熱にて
軟化させ撹拌しながら、プローブ12を挿入状態で突き
合わせ部3に沿って相対的に移動させる摩擦撹拌接合法
により、接合部材を突き合わせ接合する。突き合わせ部
3の裏面に、突き合わせ部に沿って余肉部4がプローブ
の挿入方向に突出形成される。プローブ12を余肉部4
に達するまで挿入して突合わせ部3を摩擦撹拌接合した
のち、該余肉部4を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばアルミニ
ウム材(アルミニウム合金材を含む)等の金属材の突き
合わせ接合に用いられる摩擦撹拌接合法に関する。
【0002】
【従来の技術】固相接合法の一つである摩擦撹拌接合法
として、次のような方法が提案されている。即ち、図6
に示すように、径大の円柱状回転子(111)の端部軸
線上に、接合部材(101)(102)よりも硬質の径
小のピン状プローブ(112)が突出して一体に設けら
れた接合装置(110)を用い、前記回転子(111)
を高速で回転させつつ、突き合わせた2枚の接合部材
(101)(102)の突き合わせ部(103)または
その近傍に前記プローブ(112)を挿入する。挿入
は、一般には、回転子(111)のプローブ側平坦面か
らなる肩部(111a)が接合部材(101)(10
2)に当接するまで行う。そして、プローブ挿入状態の
まま突き合わせ部(103)に沿ってプローブ(11
2)を接合部材(101)(102)に対し相対的に移
動させる。プローブ(112)の回転により発生する摩
擦熱、あるいはさらに回転子(111)の肩部(111
a)と接合部材との摺動に伴い発生する摩擦熱により、
プローブ(112)との接触部分近傍において接合部材
(101)(102)は軟化しかつプローブにより撹拌
されるとともに、プローブ(112)の移動に伴って、
軟化撹拌部分がプローブ(112)の進行圧力を受けて
プローブの通過溝を埋めるようにプローブ(112)の
進行方向後方へと回り込む態様で塑性流動したのち摩擦
熱を急速に失って冷却固化される。この現象がプローブ
(112)の移動に伴って順次繰り返されていき、最終
的に接合部材(101)(102)が突き合わせ部(1
03)において接合されるものである。
【0003】このような摩擦撹拌接合によれば、固相接
合であるため、接合部材である金属材の種類に制限を受
けないとか、接合時の熱歪みによる変形が少ない、等の
利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】而して、上記のような
摩擦撹拌接合においては、通常は突き合わせ部(10
3)の裏面まで完全に接合するために、プローブ(11
2)を接合部材(101)(102)の厚さ相当まで挿
入して接合を行う。
【0005】しかしながら、長尺のアルミニウム押出材
等を用いたような場合には、2個の接合部材(101)
(102)の突き合わせ部の厚さの部分的な相違や曲が
り等に起因して、突き合わせ部(103)に目違い生じ
ることがあるが、このような場合にはプローブの挿入量
が部分的に浅くなり、突き合わせ部の裏面まで接合され
ず、ルート割れを生じることがあった。
【0006】この発明は、上記のような技術的背景に鑑
みてなされたものであって、接合部材の突き合わせ部を
ルート割れを生じることなくその裏面まで確実に接合し
た突き合わせ継手を製造するための突き合わせ継手の製
造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の1つは、2個の接合部材を突き合わせる
とともに、突き合わせ部またはその近傍に回転するプロ
ーブを挿入し、プローブとの接触部を摩擦熱にて軟化さ
せ撹拌しながら、プローブを挿入状態で突き合わせ部に
沿って相対的に移動させる摩擦撹拌接合法により、接合
部材を突き合わせ接合するに際し、前記接合部材の突き
合わせ部の裏面に、突き合わせ部に沿って余肉部がプロ
ーブの挿入方向に突出形成されるとともに、前記プロー
ブを余肉部に達するまで挿入して突合わせ部を摩擦撹拌
接合したのち、該余肉部を除去することを特徴とするも
のである。
【0008】こうすることにより、突き合わせ部の目違
い等によりこの余肉部にルート割れが発生しても、この
部分が除去される結果、除去後の接合部材の裏面はルー
ト割れが存在しないか抑制された状態とる。
【0009】また、この発明の他の1つは、2個の接合
部材を突き合わせるとともに、突き合わせ部またはその
近傍に、径大の回転子から突出した径小のプローブを回
転状態で挿入し、プローブとの接触部を摩擦熱にて軟化
させ撹拌しながら、プローブを挿入状態で突き合わせ部
に沿って相対的に移動させる摩擦撹拌接合法により、接
合部材を突き合わせ接合するに際し、突き合わせ部対応
部位に凹部を有する裏当て部材を、前記凹部が突き合わ
せ部に合致する状態で接合部材の裏面に配置するととも
に、前記回転子のプローブ突出側の端面からなる肩部が
接合部材の表面に食い込む状態に、回転子を接合部材に
押付けて、突き合わせ部裏面の肉を前記凹部内に突出変
形させつつ前記摩擦撹拌接合を行い、接合後前記凹部内
に突出した変形部を除去することを特徴とする。
【0010】これにより、突き合わせ部の目違い等によ
り突き合わせ部裏面にルート割れが発生しても、この部
分が突出変形しており、接合後これが除去される結果、
除去後の接合部材の裏面はルート割れが存在しないか抑
制された状態となる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の一実施形態に係
るものである。同図において、(1)(2)は同一平面
内において幅方向の一端面を突き合わせ状態に配置され
たアルミニウム押出材からなる2枚の板状接合部材であ
る。これらの各接合部材(1)(2)の突き合わせ側の
端部は、厚さ方向の一方側が所定幅にわたって突出した
厚肉部が一体形成されており、従って、突き合わせ状態
において、突き合わせ部(3)の裏面に突き合わせ部
(3)を挟んで所定幅の余肉部(4)が突出形成された
状態となされている。
【0012】図1において、(10)は接合装置であ
り、径大の円柱状回転子(11)の端部軸線上に径小の
ピン状プローブ(12)が突出して一体に設けられたも
のであり、回転子(11)を高速回転させることにより
プローブ(12)も高速回転させうるものとなされてい
る。なお、プローブ(12)及び回転子(11)は、接
合部材(1)(2)よりも硬質でかつ接合時に発生する
摩擦熱に耐えうる耐熱材料によって形成されている。
【0013】上記の接合装置(10)を用い、次のよう
にして摩擦撹拌接合を行う。即ち、回転子(11)を回
転させることによりこれと一体回転するプローブ(1
2)を、余肉部(4)と反対側の面から接合部材(1)
(2)の突き合わせ部(3)またはその近傍に接触させ
て、その摩擦熱により接触部分を軟化可塑化させ、さら
にプローブ(12)を押し付けて該プローブを接合部材
(1)(2)の厚さ方向内部に挿入していく。プローブ
(12)の挿入状態で、回転子(11)先端の平坦状肩
部(11a)は接合部材(1)(2)の表面に当接させ
る。肩部(11a)の当接により、接合開始時あるいは
接合途中の軟化部分の素材の飛散を防止しえて均一な接
合状態を実現し得るとともに、接合部材(1)(2)と
肩部(11a)との摺動による摩擦熱を生ぜしめて、プ
ローブ(12)との接触部あるいはその近傍の軟化を促
進し、さらに接合部材(1)(2)表面の凹凸形成を防
止する。
【0014】プローブ(12)は、その先端が接合部材
(1)(2)の余肉部(4)を除く肉厚を超えて余肉部
(4)に達するまで挿入する。従って、プローブの長さ
(H)(図2に示す)は少なくとも接合部材(1)
(2)の余肉部(4)を除く厚さtよりも大きく設定し
ておく。
【0015】プローブ(12)の挿入後、突き合わせ部
(3)に沿って回転子(11)及びプローブ(12)を
移動させる。プローブ(12)及び回転子(11)の回
転により、プローブ(12)との接触部分周辺におい
て、接合部材(1)(2)が摩擦熱によって軟化しかつ
撹拌される。プローブ(12)の移動によって、軟化撹
拌部分がプローブ(12)の進行圧力を受けてプローブ
(12)の通過溝を埋めるようにプローブ(12)の進
行方向後方へと回り込む態様で塑性流動したのち、摩擦
熱を急速に失って冷却固化される。
【0016】こうして、突き合わせ部(3)の軟化、撹
拌、冷却固化がプローブ(12)の移動に伴って順次繰
り返されていき、突き合わせ部(3)において接合部材
(1)(2)は余肉部(4)を含めて相互に一体化され
順次接合されていく。
【0017】接合後、図2(ハ)に示すように、余肉部
(4)を除去して接合部材(1)(2)の裏面を平坦面
にする。余肉部(4)の除去方法は特に限定されること
はなく、フライス盤等により切削すれば良い。プローブ
(12)の先端は余肉部(4)に達しているから、突き
合わせ部(3)の目違い等によりこの余肉部(4)にル
ート割れが発生しても、この部分が除去される結果、除
去後の接合部材の裏面にはルート割れが存在しないか抑
制された状態となり、突き合わせ部(3)の全体が良好
に接合されたものとなる。
【0018】このように、余肉部(4)は接合部材
(1)(2)の本来の突き合わせ部(3)にルート割れ
を及ぼさないための犠牲部材として機能するものであ
る。このような機能を有効に発揮させるためには、余肉
部(4)の厚さhを接合部材(1)(2)の肉厚tに対
して0.05≦h/t≦0.33の関係を満たすように
設定するのが良い。0.05>h/tでは余肉部(4)
の厚さが薄すぎてルート割れ防止効果に乏しく、突き合
わせ部(3)にルート割れが波及してしまう。一方、h
/t>0.33では余肉部(4)が厚くなりすぎてルー
ト割れ防止効果が飽和するのみならず、接合後の除去量
が多くなり効率が悪い。なお、余肉部(4)の幅wは回
転子肩部(11a)の直径と同程度に設定すれば良い。
【0019】図3はこの発明の第2のものに係る実施形
態を示している。同図において、(5)(6)は厚さ方
向の表裏両面ともに平坦なアルミニウム押出材からなる
接合部材であり、幅方向の一側面が相互に突き合わされ
ている。
【0020】(10)は接合装置であり、図1に示した
ものと同一構成であるため、その説明は省略する。
【0021】(8)は接合部材(5)(6)の裏面に当
接する状態で突き合わせ部(3)に沿って配置された所
定幅の裏当て部材である。この裏当て部材(8)は、図
3及び図4に示すように、接合部材(5)(6)との当
接面における幅方向の中央部分に断面円弧状の凹部(8
a)が裏当て部材(8)の長さ方向に沿って形成されて
いる。裏当て部材(8)の材質は例えばアルミニウムと
すれば良い。
【0022】摩擦撹拌接合に際しては、図5(イ)に示
すように、接合部材(5)(6)の突き合わせ部(7)
の裏面に裏当て部材(8)の凹部(8a)が合致する態
様で、裏当て部材(8)を接合部材(5)(6)の裏面
に当接配置する。この状態で、図1、図2に示した実施
形態と同様に、回転するプローブ(12)を、裏当て部
材(8)と反対側の面から接合部材(5)(6)の突き
合わせ部(7)またはその近傍に接触させて、その摩擦
熱により接触部分を軟化可塑化させ、さらにプローブ
(12)を押し付けて該プローブ(12)の先端が接合
部材(5)(6)のほぼ裏面に達するまで接合部材
(1)(2)の厚さ方向内部に挿入していく。プローブ
(12)の挿入状態で、回転子(11)先端の平坦状肩
部(11a)を接合部材(1)(2)の表面に当接さ
せ、さらに図5(ロ)のように肩部(11a)が接合部
材(5)(6)の表面に食い込む状態となるまで加圧す
る。この加圧により、接合部材(5)(6)の突き合わ
せ部(7)裏面の肉は前記凹部(8a)内に突出変形す
る。
【0023】そして、回転子(11)の肩部(11a)
を押し付けて接合部材(5)(6)の表面に食い込ませ
ながら、突き合わせ部(7)に沿って回転子(11)及
びプローブ(12)を移動させる。プローブ(12)及
び回転子(11)の回転により、プローブ(12)との
接触部分周辺において、接合部材(1)(2)が摩擦熱
によって軟化しかつ撹拌される。プローブ(12)の移
動によって、軟化撹拌部分がプローブ(12)の進行圧
力を受けてプローブ(12)の通過溝を埋めるようにプ
ローブ(12)の進行方向後方へと回り込む態様で塑性
流動するとともに、回転子肩部(11a)の食い込みに
よって突き合わせ部(7)裏面の肉が裏当て部材の凹部
(8a)内に突出変形し、その後摩擦熱を急速に失って
冷却固化される。
【0024】こうして、突き合わせ部(7)の軟化、撹
拌、凹部への突出変形、冷却固化がプローブ(12)の
移動に伴って順次繰り返されていき、突き合わせ部
(7)において接合部材(5)(6)は相互に一体化さ
れ順次接合されていく。
【0025】接合後、裏当て部材(8)を外し、図5
(ハ)(ニ)に示すように、前記凹部(8a)内に突出
した接合部材の変形部(9)をフライス盤を用いた切削
等により除去して、接合部材(5)(6)の裏面を平坦
面にする。接合中、突き合わせ部(7)裏面の肉は裏当
て部材(8)の凹部(8a)に突出変形するから、突き
合わせ部(7)の目違い等により突き合わせ部裏面にル
ート割れが発生しても、この部分が突出変形しており、
接合後これが除去される結果、除去後の接合部材(5)
(6)の裏面にはルート割れが存在しないか抑制された
状態となり、突き合わせ部(7)の全体が良好に接合さ
れたものとなる。
【0026】このように、裏当て部材(8)の前記凹部
(8a)は、摩擦撹拌接合に際して突き合わせ部(7)
裏面の肉を突出変形させることにより、接合部材(5)
(6)の本来の突き合わせ部(7)にルート割れが及ぶ
のを防止する機能するものである。このような機能を有
効に発揮させるためには、凹部(8a)の幅Wをプロー
ブ(12)の直径dと回転子肩部(11a)の直径Dに
対して、0.25d≦W≦Dの関係を満たすように設定
するのが良い。0.25d>Wでは突き合わせ部裏面の
変形幅が少なすぎてルート割れ防止効果に乏しく、突き
合わせ部(7)にルート割れが波及してしまう。一方、
W>Dではルート割れ防止効果が飽和するのみならず、
変形幅が大きくなって接合後の変形部(9)の除去量が
多くなり効率が悪い。なお、裏当て部材(8)の凹部
(8a)の深さは特に制限はない。また、凹部(8a)
の形状も断面円弧状でなくても良く、矩形断面やその他
の形状であっても良い。
【0027】
【実施例】
(実施例1)JIS6N01−T5からなる長さ200
0mm、厚さ(t)4mmの2枚のアルミニウム接合部
材(1)(2)を用意した。各接合部(1)(2)の裏
面における幅方向の端部には厚肉部が一体に形成されお
り、これら厚肉部側の端面が合致するように、両接合部
材(1)(2)の幅方向の端面を突き合わせた。この状
態で、突き合わせ部(3)の裏面には両厚肉部からなる
余肉部(4)が突出形成されていた。
【0028】次に、図1に示した接合装置(10)の回
転子(11)及びプローブ(12)を回転させて、回転
子肩部(11a)が接合部材(1)(2)の表面に当接
するまでプローブ(12)を突き合わせ部(3)に挿入
した。そして、回転子(11)の肩部(11a)を接合
部材(1)(2)の表面に接触させたまま、回転子(1
1)及びプローブ(12)を突き合わせ部(3)に沿っ
て接合部材の長さ方向に移動させることにより、突き合
わせ部(3)を全長に渡って摩擦撹拌接合した。ここ
に、接合装置(10)の回転子(11)及びプローブ
(12)は熱間ダイス鋼からなるものを用い、回転子
(11)の外径は15mm、プローブ(12)の外径は
4mm、回転子(11)及びプローブ(12)の回転速
度は1500rpm、プローブの移動速度は60cm/
分に設定するとともに、余肉部の厚さh及び回転子の長
さH(回転子の挿入深さ)は表1のように各種に設定し
た。なお、余肉部の幅wは回転子の外径とほぼ等しく設
定した。
【0029】接合後、接合部材裏面の余肉部(4)をフ
ライス盤により切削して平坦面を得た。そして、得られ
た接合品の突き合わせ接合部のルート割れの有無を調べ
た。
【0030】一方、余肉部を形成しなかった接合部材に
ついても、上記と同じ条件で摩擦撹拌接合を行い、突き
合わせ接合部のルート割れの有無を調べた。
【0031】
【表1】
【0032】(実施例2)JIS6N01−T5からな
る長さ2000mm、厚さ(t)4mmの2枚のアルミ
ニウム接合部材(5)(6)を用い、両接合部材の幅方
向の端面を突き合わせた。
【0033】一方、表面に断面円弧状の凹部(8a)を
有するアルミニウム製の裏当て部材(8)を用意した。
そして、同一曲率で凹部(8a)の幅Wのみを表2のよ
うに各種に設定した状態で、裏当て部材(8)の凹部
(8a)の幅方向の中心が突き合わせ部(7)に合致す
る態様で、裏当て部材(8)を接合部材(5)(6)の
裏面に長さ方向に沿って当接状態に配置した。
【0034】次に、図3に示した接合装置(10)の回
転子(11)及びプローブ(12)を回転させて、回転
子肩部(11a)が接合部材(1)(2)の表面に当接
するまでプローブ(12)を突き合わせ部(3)に挿入
し、さらに、肩部(11a)が接合部材の表面に食い込
む状態となるまで加圧した。この加圧により、接合部材
(5)(6)の突き合わせ部(7)裏面の肉は裏当て部
材(8)の凹部(8a)内に沿って突出変形した。
【0035】そして、回転子肩部(11a)を押し付け
て接合部材(5)(6)の表面に食い込ませながら、突
き合わせ部(7)に沿って回転子(11)及びプローブ
(12)を移動させることにより、突き合わせ部(7)
を全長に渡って摩擦撹拌接合した。ここに、接合装置
(10)の回転子(11)及びプローブ(12)は熱間
ダイス鋼からなるものを用い、回転子(11)の外径は
15mm、プローブ(12)の外径は4mm、回転子
(11)及びプローブ(12)の回転速度は1500r
pm、プローブの挿入深さは4mm、プローブの移動速
度は60cm/分に設定した。
【0036】接合後、凹部(8a)への突出変形のため
に接合部材(5)(6)裏面に突出した変形部(9)を
フライス盤により切削して平坦面を得た。そして、得ら
れた接合品の突き合わせ接合部部のルート割れの有無を
調べた。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】以上の表1、2の結果から、本発明によれ
ば、突き合わせ接合部にルート割れが生じるのを抑制し
得て、良好な接合状態の突き合わせ継手が得られること
を確認し得た。特に、実施例1において余肉部の厚さh
と接合部材の厚さtとの関係が0.05≦h/t≦0.
33の場合、及び実施例2において裏当て部材の凹部の
幅Wとプローブの直径dと回転子肩部の直径Dとの関係
が、0.25d≦W≦Dの場合に、極めて良好な結果が
得られることもわかる。
【0039】
【発明の効果】この発明の第1のものは、接合部材の突
き合わせ部の裏面に、突き合わせ部に沿って余肉部がプ
ローブの挿入方向に突出形成されるとともに、前記プロ
ーブを余肉部に達するまで挿入して突合わせ部を摩擦撹
拌接合したのち、該余肉部を除去することを特徴とする
ものであるから、突き合わせ部の目違い等によりこの余
肉部にルート割れが発生しても、この部分が除去される
結果、除去後の接合部材の裏面をルート割れが存在しな
いか抑制された状態となしうる。
【0040】また、この発明の第2のものは、突き合わ
せ部対応部位に凹部を有する裏当て部材を、前記凹部が
突き合わせ部に合致する状態で接合部材の裏面に配置す
るとともに、前記回転子のプローブ突出側の端面からな
る肩部が接合部材の表面に食い込む状態に、回転子を接
合部材に押付けて、突き合わせ部裏面の肉を前記凹部内
に突出変形させつつ前記摩擦撹拌接合を行い、接合後前
記凹部内に突出した変形部を除去することを特徴とする
から、突き合わせ部の目違い等により突き合わせ部裏面
にルート割れが発生しても、この部分が突出変形してお
り、接合後これが除去される結果、除去後の接合部材の
裏面をルート割れが存在しないか抑制された状態となし
得る。
【0041】このように、本発明によれば、接合部材の
突き合わせ部に目違い生じていても、突き合わせ部をそ
の裏面まで確実に接合した突き合わせ継手を製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(イ)は接合装置のプローブを接合部材に挿入
する前の状態の断面図、(ロ)は同じく挿入後の断面
図、(ハ)は接合後余肉部を除去した状態の断面図であ
る。
【図3】第2の発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3における接合部材と裏当て部材とを分離し
て示す斜視図である。
【図5】(イ)は接合装置のプローブを接合部材に挿入
する前の状態の断面図、(ロ)は同じく挿入後の断面
図、(ハ)は接合後裏当て部材を取り外した状態の断面
図、(ニ)は余肉部を除去した状態の断面図である。
【図6】摩擦撹拌接合方法を説明するための斜視図であ
る。
【符号の説明】
1、2、5、6…接合部材 3、7…突き合わせ部 4…余肉部 8…裏当て部材 8a…凹部 9…変形部 10…接合装置 11…回転子 11a…肩部 12…プローブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 直毅 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 (72)発明者 橋本 武典 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2個の接合部材(1)(2)を突き合わ
    せるとともに、突き合わせ部(3)またはその近傍に回
    転するプローブ(12)を挿入し、プローブ(12)と
    の接触部を摩擦熱にて軟化させ撹拌しながら、プローブ
    (12)を挿入状態で突き合わせ部(3)に沿って相対
    的に移動させる摩擦撹拌接合法により、接合部材(1)
    (2)を突き合わせ接合するに際し、 前記接合部材(1)(2)の突き合わせ部(3)の裏面
    に、突き合わせ部(3)に沿って余肉部(4)がプロー
    ブの挿入方向に突出形成されるとともに、前記プローブ
    (12)を余肉部(4)に達するまで挿入して突合わせ
    部(3)を摩擦撹拌接合したのち、該余肉部(4)を除
    去することを特徴とする突き合わせ継手の製造方法。
  2. 【請求項2】 2個の接合部材(5)(6)を突き合わ
    せるとともに、突き合わせ部(7)またはその近傍に、
    径大の回転子(11)から突出した径小のプローブ(1
    2)を回転状態で挿入し、プローブ(12)との接触部
    を摩擦熱にて軟化させ撹拌しながら、プローブ(12)
    を挿入状態で突き合わせ部(7)に沿って相対的に移動
    させる摩擦撹拌接合法により、接合部材(1)(2)を
    突き合わせ接合するに際し、 突き合わせ部対応部位に凹部(8a)を有する裏当て部
    材(8)を、前記凹部(8a)が突き合わせ部(7)に
    合致する状態で接合部材(5)(6)の裏面に配置する
    とともに、前記回転子(11)のプローブ突出側の端面
    からなる肩部(11a)が接合部材(5)(6)の表面
    に食い込む状態に、回転子(12)を接合部材(5)
    (6)に押付けて、突き合わせ部裏面の肉を前記凹部
    (8a)内に突出変形させつつ前記摩擦撹拌接合を行
    い、接合後前記凹部(8a)内に突出した変形部(9)
    を除去することを特徴とする突き合わせ継手の製造方
    法。
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