JPH10225698A - 汚泥等から重金属類の溶出を防止する方法 - Google Patents

汚泥等から重金属類の溶出を防止する方法

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JPH10225698A
JPH10225698A JP2947597A JP2947597A JPH10225698A JP H10225698 A JPH10225698 A JP H10225698A JP 2947597 A JP2947597 A JP 2947597A JP 2947597 A JP2947597 A JP 2947597A JP H10225698 A JPH10225698 A JP H10225698A
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享 森
Yasunobu Kajiwara
泰信 梶原
Masafumi Nasu
政文 那須
Kunio Fujita
邦夫 藤田
Hideaki Kameyama
英明 亀山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重金属類を分離除去処理した下水汚泥から重
金属類が再溶出するのを防止する。 【解決手段】 下水汚泥に酸またはバクテリア等を用い
て含まれる重金属類を溶出させ、その溶出汚泥を固液分
離して重金属類を分離除去した上で、その処理汚泥に水
酸化マグネシウムを添加し、残留重金属類が最溶出する
のを防止した。水酸化マグネシウムは、残留重金属類と
化合して、重金属化合物が不溶性のものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水汚泥等から重
金属類を除去処理した汚泥固形物中に残余する重金属類
の再溶出を防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水汚泥には、亜鉛,銅,鉛,ニッケ
ル,クロウム,マンガン, カドミウム等の重金属化合物
が含まれる場合が多い。従来、これらの重金属類を含む
汚泥は、重金属類の除去処理を行わず、脱水処理を行っ
た後、埋め立て処分または焼却処分及びコンポスト化を
行い、緑農地還元等が実施されている。これらの方法
は、最終処分地に有害重金属が多量に集積され、浸出液
による周辺環境を汚染したり、また緑農地へ還元させる
場合は、土壌への蓄積で作物への影響や食物連鎖での人
畜への蓄積などが危惧される。
【0003】最近、これらの視点から汚泥中から有害重
金属類を除去または減少させるための方法として、
(1)硫酸または塩酸などの鉱酸を用いて、汚泥中から
重金属類を溶出させた後、固液分離するケミカルリーチ
ング法。(2)鉄酸化細菌と鉄塩等を併用して、汚泥中
から重金属類を溶出させた後、固液分離するバイオリー
チング法。(3)その他、鉄塩と次亜塩素酸ソーダまた
は塩素またはオゾン等を用いて、汚泥中から重金属類を
溶出させた後、固液分離する方法。等の方法が提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したいずれの方法
も、汚泥固形物中から重金属化合物を液中に溶出させる
方法であり、汚泥固形物中から重金属化合物を液中に溶
出させた処理汚泥を固液分離することによって、溶出し
た重金属類がろ液側へ流出してはじめて汚泥固形物中か
ら重金属類が除去されたものとなる。固液分離を行う方
法として遠心分離機、加圧脱水機などを用いてろ過脱水
する方法及び乾燥機などを用いる方法があるが、溶出し
た重金属類を分離するには、脱水機を用いてケーキ含水
率ができるだけ少なくなるようにろ過分離した方が分離
除去率が高くなる。しかし、どのような脱水機を用いて
ろ過脱水を行っても、重金属類が溶存している溶液を完
全に分離することは困難で、分離固形物は低含水ケーキ
となり、含水ケーキには未溶出分の重金属類と溶液に由
来する重金属類が含まれることとなる。溶液に由来する
重金属類は溶出処理を受けたものであるため可溶性組成
となっており、脱水ケーキを再利用するにしても、投棄
処分を行うにしても、容易に溶出する組成を含むことは
問題であり、極力不溶性としておくことが必要となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願の発明者等は、これ
らの問題点に着目して、下水汚泥等に含まれる重金属類
の溶出処理を行った後、脱水機を用いてろ過脱水を行っ
て得られた含水ケーキに水酸化マグネシウムを添加混合
することによって、分離固形物中に残留している重金属
類の溶出を防止することが可能であることを見出した。
下水汚泥に含まれる重金属類は、その殆どが汚泥固形物
中に存在して、水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫化物等の
無機化合物及び錯塩または有機物とのキレート化合物な
どを形成している。これらの組成の重金属類を酸化・溶
出させるためには、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸を用いて
溶出させるか、または塩化第二鉄と次亜塩素酸ソーダを
併用して溶出させるか、または鉄酸化細菌と硫酸鉄を用
いて鉄酸化細菌の作用と副生する硫酸によって溶出させ
る方法で処理される。これらいずれの方法を用いて溶出
させたものも、溶出した重金属類は硫酸塩、塩化物など
となり、解離してイオン状態となって液中に溶解してい
る。
【0006】このような状態のものを、ろ過脱水を行う
と分離した脱水ケーキは、同伴している水分に溶解して
いる溶解性重金属化合物を含むものとなる。そしてま
た、ろ過脱水操作は溶出させた重金属類が再析出しない
ように極力低いPH状態で行う必要があることから、分
離した脱水ケーキは強酸性域となり、含まれる重金属類
は溶解度が大きい状態である。このため、脱水ケーキを
コンポスト化するにしてもまた投棄処分を行うにして
も、消石灰または苛性ソーダー等のアルカリ剤を用いて
中和処理を行うことが必要となる。本願の発明者等は、
この使用するアルカリ剤として、水酸化マグネシウムを
用いて中和処理を行うと、脱水ケーキに残余している重
金属化合物がマグネシウムと複塩または錯塩を生成して
殆ど再溶出しないことが、環境庁告示第13号の溶出試
験法に基づく試験の結果確認された。これに対して、前
述の消石灰または苛性ソーダを用いて中和を行ったもの
は、水酸化物を生成して溶解度が低くはなるが再溶出す
る。また、脱水ケーキをコンポスト化する場合は、添加
したマグネシウムは肥料要素となり好都合である。
【0007】
【発明の実施の形態】前述のようにして、重金属化合物
を溶出させたのち、固液分離し、溶解性の重金属類を含
む酸性域の脱水ケーキに水酸化マグネシウムを添加混合
すると、水酸化マグネシウムは脱水ケーキ中に含まれる
塩化物または硫酸塩重金属類と反応して、溶解度の小さ
いマグネシウムとの化合物を生成して不溶性となる。こ
れは、マグネシウム化合物がカルシウム化合物またはナ
トリウム化合物より溶解度の小さい化合物を生成するこ
と、及び化学的に安定な副塩または錯塩を形成しやすい
性質を利用したものである。また、添加する水酸化マグ
ネシウムは溶解度が小さいため、添加した脱水ケーキが
強アルカリ性とはならず、コンポスト化する場合も投棄
する場合も非常に好都合となる。
【0008】
【実施例】下水処理場で実際に発生している表−1に示
す組成の混合生汚泥を用いて、塩化第二鉄と次亜塩素酸
ソーダを添加して3時間化学的な溶出を実施した場合の
処理条件と亜鉛と銅の溶出率を表−2に示す。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】上記処理汚泥を加圧脱水機を用いてろ過脱
水した時の脱水ケーキの性状と脱水ケーキ中に含まれる
亜鉛及び銅の含有率を表−3に示す。
【0012】
【表3】
【0013】上記脱水ケーキを(1)無添加の場合(中
和調整をしていない場合)。(2)消石灰を添加してP
Hを8.7に調整したもの。(3)水酸化マグネシウム
を添加してPHを7.7に調整したもの。について、環
境庁告示13号の溶出試験に基づいて実施した溶出試験
結果を表−4に示す。
【0014】
【表4】
【0015】
【発明の効果】以上実施例から分かるように、脱水ケー
キに水酸化マグネシウムを添加混合して、中和処理を行
ったものからの重金属類の溶出はなく、脱水ケーキをコ
ンポスト化して緑農地還元する場合も埋め立て投棄処分
を行う場合も、従来のような重金属溶出の危惧がなくな
る。また、添加したマグネシウムは肥料要素となり、肥
料または土壌改良剤として用いる場合は非常に好都合と
なる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下水汚泥等に含まれる重金属類を、酸ま
    たはバクテリア等を用いて溶出させた後、固液分離して
    汚泥固形物中から重金属類を除去する方法において、上
    記分離した固形物に水酸化マグネシウムを添加混合して
    固形物中に残余した重金属の再溶出を防止することを特
    長とする汚泥等から重金属類の溶出を防止する方法。
JP02947597A 1997-02-14 1997-02-14 汚泥等から重金属類の溶出を防止する方法 Expired - Lifetime JP3407286B2 (ja)

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