JPH10225659A - 無機塗膜形成方法 - Google Patents

無機塗膜形成方法

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JPH10225659A
JPH10225659A JP4704197A JP4704197A JPH10225659A JP H10225659 A JPH10225659 A JP H10225659A JP 4704197 A JP4704197 A JP 4704197A JP 4704197 A JP4704197 A JP 4704197A JP H10225659 A JPH10225659 A JP H10225659A
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JP
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coating film
inorganic
coating
carbon dioxide
alkali metal
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JP4704197A
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Katsukiyo Ishikawa
勝清 石川
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性及び可撓性に優れ、薬液による処理や
大がかりな装置を必要とすることなく、無機塗膜を少な
い工程で形成する工業的に有利な方法を提供する。 【解決手段】 アルカリ金属けい酸塩水溶液からなる無
機塗料組成物を二酸化炭素とともに被塗物にスプレー塗
装し、乾燥させる無機塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機バインダーを
用いた塗料組成物からなる無機塗膜の形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】無機質系基材は、不燃性でかつ耐久性に
優れているため、建材、その他幅広い分野で使用されて
いる。通常、これらの材料自体には、美装性が乏しいた
め、美装性が要求される場合には、従来より、有機材料
からなる塗料で塗装仕上げされてきた。
【0003】しかしながら、この有機材料からなる塗料
から得られる塗膜は、可燃性であり、耐久性も充分では
ないため、基材が有している不燃性、耐久性等の特性を
著しく損ねてしまう。そこで、基材が有しているこれら
の特性を損ねることなく美装性を高めるために、不燃性
の無機材料からなる塗料が使用されるようになった。
【0004】このような無機材料からなる塗料として
は、常温硬化型のもの、加熱硬化型のものがある。常温
硬化型の塗料は、加熱を必要としないので、基材を劣化
させることは少ないが、充分な硬化塗膜を得るには、約
1週間以上の硬化期間を要する問題点があるので、現在
のところ、加熱硬化型の塗料、例えば、アルカリ金属け
い酸塩水溶液(水ガラス)からなるもの、けい酸のコロ
イド溶液(コロイダルシリカ)からなるもの、金属アル
コキシドからなるもの、アルキルシリケートからなるも
の等が使用されている。
【0005】なかでも、非常に安価に入手することがで
きるアルカリ金属けい酸塩水溶液からなるものが汎用さ
れている。このアルカリ金属けい酸塩水溶液からなる塗
料は、加熱硬化型であり、塗膜の形成は、加熱によりシ
ラノール基が脱水縮合して3次元架橋構造を形成するこ
とにより行われる。
【0006】しかしながら、一般に、無機材料からなる
塗料の塗膜は、有機材料からなる塗料の塗膜と比較し
て、不燃性、耐火性及び耐久性は優れているものの、可
撓性、光沢、平滑性等は充分ではない。特に、石綿セメ
ント板、けい酸カルシウム板等の基材は、空気中の湿度
変化、吸水や乾燥による膨潤・収縮の寸法変化が大き
く、無機材料からなる塗料の塗膜は、その寸法変化に充
分に追従できるだけの可撓性がないために、塗膜にクラ
ックを発生させやすい。また、発生したクラックに汚染
物質が浸透付着して、耐汚染性が低下する。
【0007】更にクラックの発生によって、基材中の白
華成分が塗膜表面に溶出して白華現象を生起しがちであ
り、基材中に白華成分を含有する場合には、白華現象を
完全に抑制するのは困難であった。
【0008】また、アルカリ金属けい酸塩水溶液からな
る塗料の場合には、加熱によりシラノール基が脱水縮合
して架橋する際に、脱水縮合反応にあずからないアルカ
リ金属の酸化物が生成する。このアルカリ金属は、硬化
塗膜の編み目に入り込んで残存しており、そのために塗
膜中に徐々に水が取り込まれて、架橋しているシラノー
ル結合が分解されてしまう問題があり、塗膜の耐水性に
悪影響を及ぼしていた。
【0009】そこで、アルカリ金属によって塗膜中に水
が取り込まれるのを防止するために、非常に高温で塗膜
を硬化させ、架橋密度が高い硬化塗膜の編み目にアルカ
リ金属を閉じ込める方法が行われてきた。しかしなが
ら、この方法では、加熱硬化時に基材自体の温度が非常
に高温になるために、基材強度が劣化したり、基材の変
形や変色を引き起こしたりする問題があり、エネルギー
消費の点でも不利であった。また、塗膜の架橋が強すぎ
るために可撓性が悪く、塗膜に大きなワレを生じさせる
問題があった。
【0010】特公平3−18514号公報には、アルカ
リ金属けい酸塩水溶液からなる塗料を塗布、硬化した
後、pHが3.5〜10.0の酸・アンモニウム塩系水
溶液で1〜24時間処理し、その後洗浄することにより
塗膜を形成する方法が開示されている。この技術は、ア
ルカリ金属を水溶性のりん酸塩、硝酸塩、アンモニウム
塩等に変えて水洗し、塗膜中のアルカリ金属を除去する
ものである。
【0011】しかしながら、この技術では、塗料を塗布
した後、一旦硬化させてから酸・アンモニウム塩系水溶
液で処理しているので、処理時の塗膜の架橋密度の制御
が困難であり、塗膜中に存在するアルカリ金属を除去す
るのに数時間を要する。また、この処理が充分でない
と、アルカリ金属を完全に除去することができず、その
結果、塗膜が溶けだす問題があった。更に、酸・アンモ
ニウム塩系水溶液の処理により生成したアルカリ金属の
塩は、処理液中に蓄積するとアルカリ金属の除去効果が
弱くなるため、これらの金属の塩を系外に排出しなけれ
ばならなかった。
【0012】薬液を使用することなく、アルカリ金属を
除去するための方法として、炭酸ガスを充満させたチャ
ンバー内に硬化塗膜を放置し、その後水洗する方法が提
案されている。この方法は、塗膜中に存在するアルカリ
金属を、より水に溶けやすい炭酸塩として、塗膜表面を
水洗する際に除去するものである。しかしながら、この
方法では、炭酸ガスによる処理に長時間を要するうえ、
塗膜表面付近のアルカリ金属は除去することができて
も、炭酸ガスが表面から徐々に内部に浸透拡散していく
ため、塗膜の深層部に存在するアルカリ金属まで完全に
除去することは事実上不可能であった。また、炭酸ガス
を充満させるためのチャンバーを必要とするので、装置
が大がかりとなり、実用的ではなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、耐水性及び可撓性に優れ、薬液による処理や大がか
りな装置を必要とすることなく、無機塗膜を少ない工程
で形成する工業的に有利な方法を提供することを目的と
するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ金属
けい酸塩水溶液からなる無機塗料組成物を二酸化炭素と
ともに被塗物にスプレー塗装し、乾燥させる無機塗膜形
成方法である。以下に本発明を詳述する。
【0015】本発明の無機塗膜形成方法は、アルカリ金
属けい酸塩水溶液からなる無機塗料組成物を被塗物にス
プレー塗装し、乾燥させることにより行われる。上記無
機塗料組成物は、アルカリ金属けい酸塩水溶液からな
る。上記アルカリ金属けい酸塩水溶液は、下記一般式
(1); M2 O・xSiO2 (1) (式中、Mは、アルカリ金属を表し、xは、正の数であ
る。)で表されるアルカリ金属けい酸塩を水和したいわ
ゆる水ガラスであり、下記一般式(2); M2 O・xSiO2 ・yH2 O (2) (式中、M、xは、上記に同じ。yは、正の数であ
る。)で表される。
【0016】上記M2 O・xSiO2 で表されるアルカ
リ金属けい酸塩としては、例えば、けい酸ナトリウム、
けい酸カリウム、けい酸リチウム等を挙げることができ
る。なかでも、造膜性、接着性、コストの点から、けい
酸ナトリウムが好ましい。上記xは、正の数であれば特
に限定されないが、造膜性、耐久性の点から、2〜5が
好ましい。
【0017】上記アルカリ金属けい酸塩の水和の割合を
表す上記yは、正の数であれば特に限定されないが、得
られる無機塗料組成物に適度な粘度を付与することがで
きる範囲、又は、得られる無機塗料組成物を取り扱うう
えで支障がない範囲に設定することが好ましい。
【0018】本発明において、上記アルカリ金属けい酸
塩水溶液としては、得られる塗膜の耐水性、耐薬品性等
を更に向上させるために、上記アルカリ金属けい酸塩を
多価金属化合物で変性した変性アルカリ金属けい酸塩水
溶液を使用してもよい。上記多価金属化合物としては特
に限定されず、例えば、マグネシウム、アルミニウム、
カルシウム、亜鉛、ジルコニウム等の多価金属の酸化
物、水酸化物、フッ化物、炭酸塩、りん酸塩等を挙げる
ことができる。これらは単独で使用してもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0019】上記アルカリ金属けい酸塩水溶液におい
て、上記アルカリ金属けい酸塩の配合量は、上記アルカ
リ金属けい酸塩水溶液中、7重量%以上が好ましい。7
重量%未満であると、良好な塗膜を形成することができ
ない。より好ましくは、10重量%以上であり、更に好
ましくは、15重量%以上である。典型的には、15〜
60重量%である。
【0020】上記無機塗料組成物には、必要に応じて、
骨材、顔料、硬化触媒等の添加剤を添加してもよい。上
記骨材としては特に限定されず、例えば、珪石、アルミ
ナ、ガラス粉末等の粒子状のもの;粘度、雲母等の偏平
状のもの;石綿、ホイスカー、ガラス繊維等の繊維状の
もの等を挙げることができる。上記骨材が添加された無
機塗料組成物は、得られる塗膜の強度を高めることはで
きるものの、スプレー塗装において、該無機塗料組成物
から形成される微粒子の大きさが大きくなり、得られる
塗膜の外観が良好ではないので、下塗り塗料として使用
することが好ましい。この場合には、上記骨材を添加し
ていない無機塗料組成物を上塗りすることが好ましい。
上記骨材の添加量は、得られる無機塗料組成物中、5〜
80重量%が好ましい。
【0021】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、酸化チタン、コバルトブルー、赤ベンガラ、黄ベン
ガラ等の無機系着色顔料;フタロシアニンブルー等の有
機系着色顔料等を挙げることができる。これらのうち、
建材等の長期にわたって使用される基材に適用する場合
には、変色を生じないように、紫外線による分解が少な
い無機系着色顔料を使用することが好ましい。上記顔料
の添加量は、得られる無機塗料組成物中、5〜40重量
%が好ましい。
【0022】上記骨材及び上記顔料を添加する場合に
は、分散剤を併用することが好ましい。上記分散剤とし
ては特に限定されず、例えば、ピクリン酸ナトリウム、
ピクリン酸カリウム等のりん酸塩;アルキルベンゼンス
ルホン酸(ABS)等の有機化合物等を挙げることがで
きる。上記分散剤の添加量は、得られる無機塗料組成物
中、0.1〜5重量%が好ましい。
【0023】上記硬化触媒としては特に限定されず、例
えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム
等の多価金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アル
ミニウム等の多価金属水酸化物;炭酸亜鉛、炭酸マグネ
シウム等の多価金属炭酸塩;りん酸マグネシウム、りん
酸アルミニウム、りん酸亜鉛等の多価金属りん酸塩;珪
フッ化亜鉛、珪フッ化アルミニウム等の珪フッ化物;り
ん酸アンモニウム等のアンモニウム塩;グリオキザー
ル、シュウ酸アミド等の有機化合物等を挙げることがで
きる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0024】本発明において、上記硬化触媒は、予め無
機塗料組成物と混合すると、塗装前に無機塗料組成物が
硬化を開始するおそれがあるので、塗装する直前に無機
塗料組成物と混合することが好ましい。例えば、スプレ
ー塗装の際に別の容器に保管された上記硬化触媒を供給
しながら塗装することによって、塗装する直前に上記硬
化触媒と無機塗料組成物とを混合することができる。上
記硬化触媒の添加量は、無機塗料組成物100重量部に
対して、1〜30重量部が好ましい。より好ましくは、
5〜20重量部である。
【0025】上記無機塗料組成物は、例えば、以下のよ
うにして製造することができる。アルカリ金属けい酸塩
水溶液に、必要に応じて、骨材、顔料、分散剤等の添加
剤を加え、ボールミル等の攪拌機を用いて約12時間攪
拌させることにより無機塗料組成物を得る。
【0026】上記無機塗料組成物を適用することができ
る被塗物としては特に限定されないが、無機質系基材、
セルロース系基材が好ましい。具体的には、例えば、ス
レート板、石綿パーライト板、けい酸カルシウム板、石
綿セメントカルシウム板、石膏ボード、モルタルボー
ド、コンクリートボード、パルプセメント板、木片セメ
ント板、ガラス繊維強化セメントボード(GRCボー
ド)、カーボン繊維強化セメントボード(CFRCボー
ド)、スチール繊維強化セメントボード(SFRCボー
ド)、ALCボード、ロックウール無機質成形体、金属
板、セラミック板、ガラス板、木質板、紙等を挙げるこ
とができる。本発明においては、外装材として使用され
るスレート板、金属板に好適に適用することができる。
【0027】本発明は、上記無機塗料組成物を二酸化炭
素とともに上記被塗物にスプレー塗装することを特徴と
する。上記スプレー塗装は、二酸化炭素がスプレー塗装
装置の吐出口から吐出するとともに、上記無機塗料組成
物が微粒子状となって、上記スプレー塗装装置の吐出口
から上記被塗物に吹きつけられることにより行われる。
【0028】上記二酸化炭素の供給源としては特に限定
されないが、通常は、二酸化炭素ボンベに充填された二
酸化炭素を使用することができる。上記二酸化炭素に
は、所望により、空気等の他の気体が含まれていてもよ
い。しかしながら、本発明の効果を最大限に発揮させる
ためには、使用する触媒の種類や量に応じて、二酸化炭
素と空気との比率を変化させることが好ましい。
【0029】上記スプレー塗装において、二酸化炭素と
ともに吹きつけられる上記無機塗料組成物は、霧化さ
れ、微粒子状となり、微粒子のまま被塗物上に蓄積され
る。このため、乾燥後の塗膜に粒界が生じるので、塗膜
は、被塗物の伸縮等に対して、その応力を緩和すること
が可能となる。上記塗膜の応力緩和は、応力の伝達が塗
膜を形成する各微粒子内で終結するために得られる効果
であり、肉眼では判別できないほどの微小なクラックが
塗膜に多数生じることによる。また、上記微粒子の大き
さを制御することにより、この微小なクラックの発生を
効果的に制御することができる。上記応力は、これらの
微小なクラックによって緩和され、塗膜に肉眼で観察さ
れるような大きなワレやクラックが生じない。
【0030】上記塗膜の応力緩和を最大限に発揮させる
ためには、スプレー塗装される無機塗料組成物の微粒子
の粒径が0.1〜2μmであることが好ましい。この粒
径は、粒径が比較的大きいので、下塗り用として好適で
ある。このような粒径の微粒子を、下塗りとして使用す
る場合、該微粒子を吹きつけた後、硬化させる前に、そ
の上に粒径の小さい微粒子を上塗りとして吹きつけて、
2層の塗膜構造とすることにより、微小なクラックの大
きさを調節することができるうえ、塗膜表面の外観を良
好にすることができる。
【0031】上記スプレー塗装において、噴霧される無
機塗料組成物の微粒子の大きさは、二酸化炭素又は二酸
化炭素と空気との混合ガスの吐出圧によって制御するこ
とができる。一般的には、1.5〜4kg/cm2 とす
ることが好ましい。
【0032】上記スプレー塗装によって得られる塗膜の
膜厚は、一般的には、15〜40μmとすることが好ま
しい。下塗りの場合、10〜20μmが好ましい。ま
た、上塗りの場合には、5〜20μmが好ましい。
【0033】本発明において、上記無機塗料組成物を二
酸化炭素とともにスプレー塗装することによって、塗装
時に上記無機塗料組成物中のアルカリ金属を、水に溶解
しやすい炭酸塩にすることができる。これは、上記無機
塗料組成物が二酸化炭素の雰囲気下で霧化されるため
に、上記無機塗料組成物中に含まれるアルカリ金属と二
酸化炭素とが容易に反応するためである。また、この場
合において、上記無機塗料組成物と二酸化炭素との接触
面積が大きいので、上記無機塗料組成物中のアルカリ金
属をすみやかに、かつ、充分に炭酸塩に変換することが
できる。従って、塗膜の深層に存在するアルカリ金属も
炭酸塩に変換することができ、硬化後に塗膜を水洗する
ことによって、容易に塗膜外へ流出させることができ
る。
【0034】従来より行われている塗膜の形成方法で
は、アルカリ金属の処理として、硬化塗膜を形成した後
に、塗膜中に存在するアルカリ金属を、水溶性の塩に変
換し、除去していた。しかしながら、本発明において
は、上述のように、塗装と同時に無機塗料組成物中のア
ルカリ金属を炭酸塩に変換することができる。すなわ
ち、本発明の無機塗膜形成方法は、硬化した塗膜の表層
から徐々にアルカリ金属の処理を行うものではなく、無
機塗料組成物をスプレー塗装する際に二酸化炭素によっ
て、無機塗料組成物中に含まれるアルカリ金属を炭酸塩
に変換するものである。従って、アルカリ金属を水溶性
の塩にする工程を新たに設ける必要がなく、容易にアル
カリ金属を水溶性の炭酸塩にすることができる。
【0035】また、本発明においては、二酸化炭素をス
プレー塗装用の圧力気体として用いているため、従来の
圧力空気によってスプレー塗装する装置のボンベを二酸
化炭素ボンベに取り替えるだけで実施することができる
ので、新たな装置を必要しない。
【0036】上記スプレー塗装が施された被塗物を乾燥
することによって、上記被塗物表面の微粒子状の無機塗
料組成物が硬化する。上記乾燥の温度は、常温でもよ
く、加熱してもよいが、80〜160℃が好ましい。8
0℃未満であると、硬化に長時間を要し、160℃を超
えると、得られる塗膜の可撓性が不充分となるうえ、塗
膜の乾燥の初期において架橋密度が高くなりすぎてアル
カリ金属を塗膜中に閉じ込めてしまうため、アルカリ金
属を水洗により除去することが困難となるので、好まし
くない。
【0037】上記乾燥した塗膜には、アルカリ金属の炭
酸塩が含まれているので、塗膜外に上記アルカリ金属の
炭酸塩を除去するために、塗膜表面を水洗することが好
ましい。上記水洗は、除去する化合物がアルカリ性を示
す化合物であるので、酸性の水溶液を用いて行うと、除
去効率を高めることができる。上記酸性の水溶液のpH
は、特に限定されないが、得られる塗膜や被塗物を浸食
しない程度の酸性度を有するものであることが好まし
い。
【0038】上記水洗は、例えば、塗膜の製造過程にお
いて、回転ブラシによる方法や、塗膜表面に水をシャワ
ー状に吹きつけることによって行うことができる。
【0039】塗膜が形成された基材を建材等として適用
する場合には、上記塗膜の製造過程における水洗の工程
を省くことができる。すなわち、塗膜が形成された基材
を建造物の外壁等に適用した後、雨水等の水と接触させ
ることにより、水洗を行うことができる。この場合、雨
水等の水は、アルカリ金属の炭酸塩が塗膜中に残存して
いる間は、塗膜に水が浸入し、アルカリ金属の炭酸塩を
溶出させる作用を発揮するが、同時に、部分的に塗膜の
シラノール結合の分解も生起させる。しかしながら、雨
水程度の水量の場合、シラノール結合の分解の割合は、
ごくわずかであり、降雨後に塗膜が乾燥するにつれて再
びシラノール同士が縮合し、その結果、徐々に塗膜の架
橋密度が高くなり、耐水性に優れた塗膜を形成すること
ができる。
【0040】本発明の無機塗膜形成方法は、上に詳細に
説明したように、耐水性、耐久性に優れた無機塗膜を工
業的に有利に形成することができる。この塗膜もまた、
本発明のひとつである。
【0041】本発明の無機塗膜形成方法は、外壁材用建
材として使用される基材、特に、無機質系基材であるス
レート板や金属板に好適に適用することができる。本発
明の無機塗膜形成方法を適用して得られる無機質系塗装
板は、基材自体が本来有している特性である不燃性、耐
久性等を保持したまま、該基材の表面は、ガラス質の硬
化塗膜で被覆されているので、美装性も高く、外装用建
材等として優れたものである。また、形成された塗膜
は、肉眼で確認できるようなワレやクラックがなく、汚
染物質の付着を防止することができるので、防汚性、耐
除染性に優れている。無機質系基材及びセルロース系基
材の表面に、この無機塗膜が形成された無機質系塗装板
及びセルロース系塗装板もまた、本発明のひとつであ
る。
【0042】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら、本発
明の無機塗膜形成方法を更に詳細に説明するが、本発明
は、これらに限定されるものではない。
【0043】本発明の無機塗膜形成方法におけるスプレ
ー塗装の概念図を図1に示す。二酸化炭素ボンベ1か
ら、圧力調整器5を介して、配管8に導かれた二酸化炭
素がスプレーガン4から吐出する際に、塗料槽2中の無
機塗料組成物を吸引送出し、二酸化炭素とともに送りだ
され、微粒子状になってスプレーガン4から吐出する。
このとき、同時に硬化触媒槽3から流量計7を介して必
要量の硬化触媒が吸引送出される。この硬化触媒槽3
は、二酸化炭素ボンベ1及び塗料槽2と、スプレーガン
4とを繋ぐ配管8に接続されていればよく、本実施の形
態のような、塗料槽2とスプレーガン4との間に設置さ
れる形態に限定されるものではない。
【0044】上記無機塗料組成物の微粒子の大きさは、
スプレーガン4から吐出される二酸化炭素の吐出圧によ
って異なる。供給される二酸化炭素の吐出圧は、本実施
の形態においては、圧力調整器5によって所望の値に設
定される。二酸化炭素の吐出圧は、下塗りの場合、上記
無機塗料組成物中に骨材等が含まれているので、上記微
粒子の大きさが0.1〜2μmとなるように調節する。
また、上塗りの場合には、上記微粒子の大きさが0.1
〜1μmとなるように調節する。
【0045】スプレーガン4から吹き出された霧状の無
機塗料組成物は、微粒子状のままで被塗物の表面に堆積
する。無機塗料組成物で表面が覆われた被塗物は、80
〜160℃で、好ましくは10〜20分間焼き付けされ
て、塗膜が形成される。
【0046】乾燥後、塗膜が形成された被塗物は、好ま
しくは、回転ブラシによって水洗を行う。
【0047】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0048】実施例1 ボールミルに、4号けい酸ソーダ(30%水溶液)10
0重量部、酸化チタン25重量部、シリカ粉25重量
部、ピロりん酸カリウム2重量部、ヘキシルセロソルブ
2重量部を仕込み、12時間分散し、けい酸ソーダ塗料
液とした。別のボールミルに、りん酸アルミニウム10
重量部、酸化亜鉛30重量部、ピロりん酸カリウム1重
量部、ヘキシルセロソルブ2重量部、イオン交換水10
0重量部を仕込み、12時間分散し、触媒ペーストとし
た。ついで、吐出量を(けい酸ソーダ塗料液):(触媒
ペースト)=3:1に調整した炭酸ガススプレー装置を
用い、(炭酸ガス):(空気)=3:1の混合気体(ス
プレー吐出圧3.8kg/cm2 )でアルミニウム板、
スレート板、ラワン合板の表面に約25μmの厚さに塗
装した。次に、各塗装板を110℃に調整した乾燥機中
に10分間保持し、乾燥させた。ついで、回転ブラシを
用いて、乾燥塗膜表面を水洗し、遊離炭酸ソーダを除去
した後、乾燥させ、無機塗膜を形成させた。
【0049】比較例1 実施例1で調整したけい酸ソーダ塗料液及び触媒ペース
トを炭酸ガスを使用せず、空気のみ(吐出圧3.8kg
/cm2 )でアルミニウム板、スレート板、ラワン合板
の表面に約25μmの厚さに塗装し、実施例1と同様の
乾燥条件で無機塗膜を形成させた。
【0050】実施例1及び比較例1で作成した各塗装板
を室温で1週間放置した後、表面硬度、耐熱温度、耐水
性、耐候性、不燃性について塗膜性能の評価を行った。
結果を表1に示した。表面硬度 JIS K 5400の鉛筆硬度試験に準拠して、塗膜
の表面硬度を測定した。各硬度の鉛筆による傷の発生状
態により、塗膜の表面硬度とした。耐熱温度 1000℃±10℃に調整した電気炉中に10分間試験
板を保持し、試験後、塗面状態の異常の有無をチェック
した。異常のなかったものを耐熱温度1000℃以上
(表中、>1000℃と記載)とした。耐水性 40〜45℃の温水中に試験板を2時間浸漬し、試験
後、塗面状態の異常の有無をチェックした。 ◎:異常なし ○:光沢低下 △:塗膜膨潤 ×:塗膜溶解
【0051】耐候性 JIS A 1415のサンシャインウェザオメーター
試験に準拠して、1000時間での耐候性を評価した。 ◎:光沢残存率80%以上 ○:光沢残存率70%以上 △:光沢残存率50%以上 ×:塗膜溶解不燃性 試験板をガスバーナーで10分間加熱し、塗膜燃焼の状
態を観察した。 ◎:燃焼せず ○:自己焼失 ×:燃焼
【0052】
【表1】
【0053】以上の結果より、実施例1の塗装板は、良
好な塗膜性能を示したが、比較例1の塗装板は、耐水性
が悪く、建材用途としては実用に耐えないものであっ
た。
【0054】実施例2 ボールミルに、4号けい酸ソーダ(30%水溶液)10
0重量部、2Kけい酸カリウム(30%水溶液)50重
量部、シリカ粉30重量部、ピロりん酸カリウム1重量
部、ヘキシルセロソルブ2重量部を仕込み、12時間分
散し、けい酸ソーダ−けい酸カリウム混合塗料液とし
た。別のボールミルに、りん酸アルミニウム10重量
部、アルミナ粉末20重量部、ピロりん酸カリウム1重
量部、ヘキシルセロソルブ2重量部、イオン交換水10
0重量部を仕込み、12時間分散し、触媒ペーストとし
た。ついで、吐出量を(混合塗料液):(触媒ペース
ト)=3:1に調整した炭酸ガススプレー装置を用い、
(炭酸ガス):(空気)=2:1の混合気体(スプレー
吐出圧3.5kg/cm2 )で、実施例1で得られた塗
装アルミニウム板、塗装スレート板、塗装ラワン合板の
表面に約10μmの厚さに塗装した。次に、110℃に
調整した乾燥機中に10分間保持し、乾燥させた。つい
で、回転ブラシを用いて水洗した後、乾燥させ、無機塗
膜を形成させた。得られた塗膜はいずれも、実施例1の
塗膜と比較して、光沢に優れ、表面に付着した汚れも簡
単に水洗除去できる特徴を有し、塗膜性能は実施例1と
同様であった。
【0055】
【発明の効果】本発明の無機塗膜形成方法は、上述の構
成よりなり、得られる塗膜が耐水性、可撓性に優れ、塗
膜に大きなワレやクラックを形成させることなく、耐久
性も良好であるので、使用中に水に曝されるような建
材、例えば、台所や風呂場の内壁材;建造物の外壁材等
に使用される基材に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機塗膜形成方法を表す概念図であ
る。
【符号の説明】
1 二酸化炭素ボンベ 2 塗料槽 3 硬化触媒槽 4 スプレーガン 5 圧力調整器 6,7 流量計 8 配管

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属けい酸塩水溶液からなる無
    機塗料組成物を二酸化炭素とともに被塗物にスプレー塗
    装し、乾燥させることを特徴とする無機塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属けい酸塩水溶液からなる無
    機塗料組成物を二酸化炭素とともに被塗物にスプレー塗
    装し、加熱乾燥させた後、水洗する請求項1記載の無機
    塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 乾燥は、80〜160℃で行うものであ
    る請求項1又は2記載の無機塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 被塗物は、無機質系基材又はセルロース
    系基材である請求項1、2又は3記載の無機塗膜形成方
    法。
  5. 【請求項5】 スプレー塗装は、硬化触媒を供給しなが
    ら行うものである請求項1、2、3又は4記載の無機塗
    膜形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5記載の無機
    塗膜形成方法により形成されたことを特徴とする無機塗
    膜。
  7. 【請求項7】 無機質系基材及びセルロース系基材の表
    面に請求項1、2、3、4又は5記載の無機塗膜形成方
    法により無機塗膜が形成されたことを特徴とする無機質
    系塗装板及びセルロース系塗装板。
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