JPH10221248A - 光学的検査方法及び光学的検査装置 - Google Patents

光学的検査方法及び光学的検査装置

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JPH10221248A
JPH10221248A JP9036921A JP3692197A JPH10221248A JP H10221248 A JPH10221248 A JP H10221248A JP 9036921 A JP9036921 A JP 9036921A JP 3692197 A JP3692197 A JP 3692197A JP H10221248 A JPH10221248 A JP H10221248A
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JP
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light
inspection
test object
optical
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JP9036921A
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Kiyoshi Uchikawa
清 内川
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Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生物組織に代表される光学的散乱体の内部構
造を無侵襲に計測するために有用な、高いコントラスト
で被検物体の内部構造を検査・表示することのできる光
学的検査方法を提供する。 【解決手段】 本発明の光学的検査方法では、空間的に
不均一に分布する光吸収特性及び光散乱特性を有する被
検物体11に対して検査光9を照射し、該被検物体11
からの後方散乱光を測定する。この際、異なる中心波長
を有する複数の検査光を被検物体内の任意の場所(集光
点15)に集光し、該場所から後方に反射される異なる
中心波長を有する複数の非散乱光成分の強度を検出し、
該複数の非散乱光成分の強度の相対的関係を上記被検物
体11内の任意の場所について算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生物組織に代表さ
れる光学的散乱体(被検物体)の内部構造を無侵襲に計
測する光学的検査方法及び光学的検査装置に関する。特
には、高いコントラストで被検物体の内部構造を検査・
表示することのできる光学的検査方法及び光学的検査装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体組織の解剖学的情報や病理・生理学
的情報を無侵襲に計測できる方法としては、X線CTや
MRI、超音波断層、PET等が実用化されている。さ
らに、これらの測定技術でも可視化することができない
組織構造変化を光波を用いて可視化する試みも行われて
いる。この技術分野は一般に光CT技術と呼ばれている
(応用物理、第62巻第1号、p10-17等参照)。
【0003】光CTには大別すると2つの手法があり、
一つは前方散乱透過光を検出する方法、他は後方散乱光
を検出する方法である。光CTでは、通常、比較的生体
内における吸収が少ない可視光から近赤外光にかけての
電磁波が入射光(検査光)として用いられるが、この領
域の電磁波はX線や電波(MRI)などに比べると、生
体内における散乱が強く、またその散乱過程が非常に複
雑である(例えば、The Journal of Investigative Der
matology, Vol. 77, No. 1, p13-19(1981)等参照)。前
方散乱透過光を検出することにより、精度の高い内部構
造を可視化するためには、散乱過程をどのように数学的
に処理するかが困難な課題として残されている。一方、
後方散乱光を検出することにより、組織表層の構造を可
視化する試みは、時間的コヒーレンスの短い光源と干渉
光学系を用いて行われ、比較的精度の高い内部像が得ら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような方法の一例
として、Science, Vol. 254, p1178-1181(1991) 等に
は、時間的コヒーレンスの短い光波を被検物体に入射す
る以前に位相特性を保持したまま2分割し、分割された
一方の光波を物体に入射し、他方を参照面で反射させた
後に前記の物体から後方散乱された一方の光波と光学的
に干渉させることにより、物体表層の内部構造を可視化
する方法が開示されている。しかしながら、この方法で
は、例えば、物体表層に強く光を吸収する層が存在する
と、その光吸収層より物体の内部からの信号が著しく減
衰する。従って、光吸収層の厚み、あるいは光吸収層下
部の構造を知ることが困難であった。
【0005】本発明は、物体内に光吸収係数の大きな領
域が存在する場合でも、その光吸収の強い領域とその下
部構造を正確に可視化しうる光学的検査方法及び光学的
検査装置を提供することを目的とする。また、より一般
的には、生物組織に代表される光学的散乱体(被検物
体)の内部構造を無侵襲に計測するために有用な、高い
コントラストで被検物体の内部構造を検査・表示するこ
とのできる光学的検査方法及び光学的検査装置を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第1態様の光学的検査方法は、 空間的に
不均一に分布する光吸収特性及び/又は光散乱特性を有
する被検物体に対して検査光を照射し、該被検物体から
の後方散乱光を測定して該被検物体内における光吸収特
性及び光散乱特性についての情報を得る光学的検査方法
であって; 異なる中心波長を有する複数の検査光を被
検物体内の任意の場所に集光し、 該場所から後方に反
射される異なる中心波長を有する複数の非散乱光成分の
強度を検出し、 該複数の非散乱光成分の強度の相対的
関係を上記被検物体内の任意の場所について算出するこ
とを特徴とする。
【0007】各検査光の非散乱光単独の情報に基づいて
被検物体の光学的特性を対象とするよりも、複数の検査
光の非散乱光成分の相対的な関係を対象としたほうが、
より明確な光学的特性に関する情報(コントラストの高
い画像情報等)を得ることができる場合がある。
【0008】
【発明の実施の形態】この態様の光学的検査方法におい
ては、上記複数の検査光を同時に同一の場所に集光し、
上記複数の非散乱光成分を分離してその強度を検出する
ことが好ましい。
【0009】また、上記複数の検査光のうちの1つが上
記被検物体内に存在する光吸収体の吸収係数が比較的低
い光であり、上記複数の検査光のうちの他の1つが上記
被検物体内に存在する光吸収体の吸収係数が比較的高い
光であることが好ましい。これは、後方散乱光の減衰に
おける、光波伝播経路に存在する光吸収体による減衰と
光散乱過程に起因する減衰とに分割することを容易とす
る。以下の実施例で述べるように、測定の対象となる光
吸収物質に応じて、入射波長は変化させる。
【0010】本発明の第2態様の光学的検査方法は、
空間的に不均一に分布する光吸収特性及び光散乱特性を
有する被検物体に対して検査光を照射し、該被検物体か
らの後方散乱光を測定して該被検物体内における光吸収
特性及び/又は光散乱特性についての情報を得る光学的
検査方法であって; 検査光を被検物体の内の任意の場
所に集光し、 この際、集光の位置を、上記場所を中心
として光軸方向に周期的にわずかに上下させ、 上記場
所から後方に散乱させる非散乱光の強度を検出し、 該
非散乱光強度を示す信号のうち、上記集光の位置を周期
的に上下させる周波数と同期する信号のみを増幅し、
この信号を上記被検物体内の任意の場所について表示す
ることを特徴とする。
【0011】この態様の場合、測定値そのものが微分値
の性格を有し、光学的特性の変化する被検物体の部分
(境界部)で大きな測定値(信号)を得ることができ
る。したがって、境界部の像を高いコントラストで表示
することができる。
【0012】本発明の第1態様の光学的検査装置は、
空間的に不均一に分布する光吸収特性及び/又は光散乱
特性を有する被検物体に対して検査光を照射し、該被検
物体からの後方散乱光を測定して該被検物体内における
光吸収特性及び光散乱特性についての情報を得る光学的
検査装置であって; 異なる中心波長を有する2つ以上
の検査光を共軸に被検物体に入射する手段と、 後方散
乱光の強度を、それぞれの入射光ごとに計測する手段
と、 被検物体内に進入した光波の非散乱成分を、物体
内の任意の場所の有限の空間領域に集光するための光学
系と、 該空間領域から後方に反射される非散乱光成分
を選択的に検出するための光学系と、 検出された該光
波を異なる中心波長を有する2つ以上の光波成分に分離
する光学系と、該分離された光波成分の強度を測定する
ための光検出装置と、 各空間領域に対応させて上記複
数の非散乱光成分の強度の相対的関係を表示する手段
と、 を具備することを特徴とする。
【0013】本発明の第2態様の光学的検査装置は、
空間的に不均一に分布する光吸収特性及び/又は光散乱
特性を有する被検物体に対して検査光を照射し、該被検
物体からの後方散乱光を測定して該被検物体内における
光吸収特性及び光散乱特性についての情報を得る光学的
検査装置であって; 検査光を被検物体内の任意の場所
に集光する手段と、 集光の位置を、上記場所を中心と
して光軸方向に周期的にわずかに上下させる手段と、
上記場所から後方に散乱させる非散乱光の強度を検出す
る手段と、 該非散乱光強度を示す信号のうち、上記集
光の位置を周期的に上下させる周波数と同期する信号の
みを増幅する手段と、 この信号を上記被検物体内の任
意の場所について表示する手段と、 を具備することを
特徴とする。
【0014】図1は、本発明の第1態様の光学的検査装
置の構成を概念的に示す図である。光学的検査装置1
は、光源3を有する。この光源3は異なる中心波長を有
する2種類の検査光4を、共軸に、図の下方に発する。
検査光4はハーフミラー5を透過して下方に進み、集光
光学系7に入る。集光光学系7を出た検査光9は、収束
光となり被検物体11中に入射し、被検物体11中の任
意の場所(集光点15)に集光する。なお、被検物体1
1中の符号13は、光吸収物質である。
【0015】一方、集光点15で後方に散乱した後方散
乱光は、図の上方に進み集光光学系7を通過してハーフ
ミラー5で図の右方向に反射される。なお、検出光学系
を別に独立して設けて、集光光学系を後方散乱光が通過
しない構成とすることもできる。ハーフミラー5で反射
した後方散乱光21は、レンズ23で集光され、集光点
15と共役の焦点の位置に配置されたピンホール25内
に集光する。このピンホール25によって、被検物体1
1中の集光点15からの後方散乱光が選択的にその後の
測定光学系に入射される。
【0016】ピンホール25を出た後方散乱光26は、
レンズ27で平行化された後に分光手段29に入射す
る。分光手段29は、後方散乱光26を、2種類の異な
る波長(各検査光波長)に分割して、受光器31、33
に送る。受光器31、33は、各波長の光の強度を測定
する。
【0017】集光光学系7と被検物体11との間には、
集光点15を被検物体11中で三次元的に走査するため
の集光点走査手段41が設けられている。この走査手段
41は、基本的には、集光光学系7と被検物体11の相
対的な位置を固定したまま集光点15を動かす方式と、
集光光学系7と被検物体11の相対的な位置を動かす方
式のいずれかを採用できる。符号43は、集光点15の
位置(変位量)を計測するための手段である。
【0018】本発明の第1態様の光学的検査装置では、
入射光として波長の異なる複数の光波を用いる。それぞ
れの光波が物体中に存在する光吸収体を透過する際の吸
収による減衰は、光波の波長に依存する。一方、散乱に
よる光波の減衰の波長依存性は比較的緩慢である。例え
ば、人体の皮層における後方散乱係数は、600nmの光
で850nmの光での高々2倍程度である。一方、メラニ
ンの吸収係数は、600nmの光で850nmの光の5倍に
も達する。したがって、このような2波長における後方
散乱光の差(あるいは商等)を測定すれば、光波伝播経
路中の光吸収体による光吸収量を、高いS/Nで測定す
ることが可能となる。
【0019】次に考えなければならない問題は、その光
吸収体の空間分布をどのように測定するかである。本態
様では、散乱物体中を伝播する仮想的な非散乱光成分が
有限の空間領域で集光するように、集光光学系を設定
し、同様に検出光学系も集光点からの非散乱光成分のみ
を検出するように、サンプルの屈折率等を想定して設定
した。非散乱光成分とは実際は前方多重散乱直進光成分
と呼ぶほうが正しいといえるが、入射、検出光学系を設
定する際の設計原理であるので、あえて非散乱光成分と
呼んだ。
【0020】図2に示すような、被検物体11の表面に
垂直な方向をZ軸とし、Z軸に沿って集光点15を被検
物体11中で移動した場合を考える。被検物体11に入
射する二種類の検査光A光とB光のうち、A光は物体中
の斜線領域(光吸収物質13)にある程度吸収され、非
斜線領域14では吸収されない。また、A光B光はとも
に両領域13、14で同じ散乱特性を持つと仮定する。
【0021】A光とB光の後方散乱光を、入射光学系を
介して測定する場合を、簡単なモデルを用いて計算した
結果を図3に示す。図3において、縦軸は後方散乱光強
度の対数を表し、横軸は集光点のZ軸位置を表す。図中
の上の実線は、B光の後方散乱光強度を示す。このB光
の後方散乱光強度は、被検物体11の散乱の影響で、集
光点のZ軸位置が深くなるほど直線的に低下する。一
方、図中の真中の破線はA光の後方散乱光強度を示す。
A光の後方散乱光強度の線は、三本の折れ線51、5
3、55となっている。これは、両側の折れ線51、5
5が散乱のみの領域(図2の符号14)に対応してお
り、中央の折れ線53がA光の光吸収物質(斜線領域1
3)に対応している。中央の折れ線53は、光吸収物質
のA光吸収の影響で、両側の折れ線51、55よりも後
方散乱光の低下が激しい。
【0022】図3の一番下の点線はA/B(A光の後方
散乱光とB光の後方散乱光の対数差)を示す。この線A
/Bも、折れ線61、63、65となっているが、各折
れ線61、63、65の境界部の曲がり具合(各線の傾
斜の差)が、A光の線(破線)よりも明確となってい
る。そして、折れ線63の対応部分(Z軸のqからr)
が、光吸収物質13に対応する領域であることがわか
る。集光点を二次元あるいは三次元点に走査しながら、
この折れ線63に対応する領域を画像表示すれば、生体
物中における特異な光吸収物質領域をCT表示できる。
【0023】次に図1の態様の光学的検査装置の個々の
機能部分について説明する。光源3としては複数のレー
ザーを用いることが最も簡便である。キセノンランプ等
のインコヒーレント光源からの光を回折格子等で分光し
て用いることも可能であるが、輝度が低い点が不利であ
る。また、必要に応じて、単一レーザーの基本波と高調
波、あるいはパラメトリック発振等も利用できる。
【0024】集光レンズは通常の光学レンズ、反射鏡な
どが使える。集光点の移動は、三次元駆動ステージ等に
より、光学系と被検物体の相対的な位置の移動により行
うことができる。あるいは、必要に応じて、可動ミラー
等により集光光学系に入射する光の伝播方向を変化させ
ることによっても行うことができる。集光点の移動距離
は、上記の相対的な位置の変化量や、波数ベクトルの変
化量から見積もることができる。
【0025】検出光学系で検出された後方直進散乱光
は、再び光学系を経て上記焦点に共役な点に集光され
る。この集光点にピンホールを配することにより焦点以
外の場所からの散乱光成分を除去する。ピンホールを経
た光は、分光光学系を経て、各波長の光に分割され、そ
れぞれの光強度が測定される。分光光学系として、回折
格子、プリズム等の分散媒質、多層膜反射鏡(ダイクロ
イックミラー)、色ガラスフィルター等が使える。各波
長の光強度は集光点位置の情報と共に記録され、数値的
解析がなされる。必要に応じて、検出器の出力は電気回
路において演算することも可能である。数値解析、及び
演算結果から吸収体の存在領域が推定される。
【0026】
【実施例】
実施例1 図4は、本発明の一実施例に係る光学的検査装置の構成
を示す。光源として、ヘリウムネオンレーザー3a(波
長633nm)とネオジミウムYAGレーザー3b(波長
1,060nm)を用いた。それぞれのレーザーの前部に
はアイソレータ3a′、3b′を配置した。両方のレー
ザーはダイクロイックミラー51で共軸に合波され、光
学的チョッパー53、半透明鏡5、対物レンズ7を経て
サンプル11に入射された。光学的チョッパー53は、
その強度変調周波数に同期する出力成分のみを増幅し
て、S/N比を高めるためのものである。使用した対物
レンズ7のNAは0.25、ワーキング距離約40mm、
倍率は20倍であった。
【0027】サンプル11は表層部分にメラノーマ(悪
性黒色腫、光吸収物質13)が存在する人体組織サンプ
ルである。633nmにおけるメラノーマの光吸収係数
は、1,060nmにおけるその吸収係数よりも5倍以上
大きい。一方、633nmにおけるメラノーマ及び通常の
人体組織における光散乱係数は、1,060nmのそれの
高々2倍である。サンプル11内の集光点15から後方
に散乱された光は、対物レンズ7を経て、半透明鏡5で
反射され、ピンホール25内の共役な焦点に集光され
る。このピンホール25で、サンプル中の仮想的な焦点
(集光点15)から、散乱を受けずに対物レンズ7に到
達した光のみ選択される。前述したように、ここで言う
非散乱光成分とは厳密には多重散乱直進光成分を意味す
る。
【0028】ピンホール25で空間的な選別を受けた後
方散乱光は、次に光学プリズム29で分光され、それぞ
れ光検出器31b及び33bに入射する。ここで、31
a及び33aは、1,060nm、633nmの光をそれぞ
れ再度選別するためのシャープカットフィルターであ
る。41は、サンプル11の保持台16を移動するため
の三次元移動ステージである。43は、その変位量を測
定するための装置である。
【0029】サンプル11をある位置に固定した状態
で、光検出器31b、及び33bからの出力をロックイ
ンアンプ55に入力し、S/N比を高めるため、光学的
チョッパー53による強度変調周波数に同期する出力成
分のみを増幅し、コンピュータ57に記録した。次に適
当量サンプル11を移動し、再びロックインアンプ55
の出力を記録した。以上の測定を、集光点15をサンプ
ル11内で三次元的に走査しながら、異なるサンプル位
置で繰り返した。最後にサンプル11に依存する信号を
解析し、メラノーマの存在領域を推定しCRT59に画
像表示した。この際、必要に応じて両光検出器31b、
33bからの信号の比を計算した。
【0030】実施例2 図5は、本発明の他の1実施例(第二態様)に係る光学
的検査装置の構成を示す。図5の光学的検査装置におい
て図4の光学的検査装置と同一の符号で示されているも
のは、同様の部品又は部分である。
【0031】本実施例の特徴は、対物レンズ7を駆動す
るピエゾアクチュエータ61を有することである。ピエ
ゾアクチュエータ61は、対物レンズ7とサンプル11
間の距離を、レンズの光軸に平行に周期的に変化させ
る。本実施例では、レンズ7とサンプルホルダー16間
に積層型ピエゾ素子を配し、ピエゾ素子に交流電圧を印
加することによってレンズサンプル間距離を周期的に変
動させた。サンプル11をある位置に固定した状態で、
光検出器31b及び33bからの出力をロックインアン
プ55に入力し、ピエゾアクチュエータ61に印加して
いる交流電圧に同期する出力成分のみを増幅し、コンピ
ュータ57に記録した。次に適当量サンプル11を移動
し、再びロックインアンプ55の出力を記録した。以上
の測定を、集光点15をサンプル11内で三次元的に走
査しながら、異なるサンプル位置で繰り返した。最後に
サンプル11に依存する信号を解析し、メラノーマの存
在領域を推定しCRT59に画像表示した。この際、必
要に応じて両光検出器31b、33bからの信号の比を
計算した。
【0032】
【発明の効果】本発明の第1態様によれば、異なる光吸
収特性を有する光散乱体が混在する被検体に対して、複
数の中心波長を有する光波を入射し、被検体中の有限の
空間領域に前方多重散乱直進光成分を集光し、該集光領
域から反射される直進光成分のみを分光検出することに
より、被検体中の異なる光吸収特性を有する物体の空間
分布をより正確に測定することができる。
【0033】また、本発明の第2態様によれば、検査光
の集光の位置を周期的にわずかに上下させ、その上下動
の周波数と同期する信号のみを増幅するので、測定値そ
のものが微分値の性格を有し、光学的特性の変化する被
検物体の部分(境界部)で大きな測定値(信号)を得る
ことができる。したがって、境界部の像を高いコントラ
ストで表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1態様の光学的検査装置の構成を概
念的に示す図である。
【図2】本発明の第一態様の測定原理を説明するための
図である。
【図3】二種類の検査光A光とB光の後方散乱光を、入
射光学系を介して測定する場合を、簡単なモデルを用い
て計算した結果を示す。
【図4】本発明の一実施例に係る光学的検査装置の構成
を示す。
【図5】本発明の他の1実施例に係る光学的検査装置の
構成を示す。
【符号の説明】
1 光学的検査装置 3 光源 4 検査光 5 ハーフミラー 7 集光光学系 9 検査光・後方
散乱光 11 被検物体 13 光吸収物質 15 集光点 16 サンプル保
持台 21 後方散乱光 23 レンズ 25 ピンホール 27 レンズ 29 分光手段 31、33 受光
器 41 集光点走査手段 43 集光点位置
計測手段 51 ダイクロイックミラー 53 光学的チョ
ッパー 55 ロックインアンプ 57 コンピュー
タ 59 CRT 61 ピエゾアク
チュエータ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間的に不均一に分布する光吸収特性及
    び/又は光散乱特性を有する被検物体に対して検査光を
    照射し、該被検物体からの後方散乱光を測定して該被検
    物体内における光吸収特性及び光散乱特性についての情
    報を得る光学的検査方法であって;異なる中心波長を有
    する複数の検査光を被検物体内の任意の場所に集光し、 該場所から後方に反射される異なる中心波長を有する複
    数の非散乱光成分の強度を検出し、 該複数の非散乱光成分の強度の相対的関係を上記被検物
    体内の任意の場所について算出することを特徴とする光
    学的検査方法。
  2. 【請求項2】 上記検査光を、上記被検物体内に分布す
    る複数の場所に走査させながら集光し、各複数の場所に
    ついて上記複数の非散乱光成分の強度の相対的関係を算
    出し、算出した値を上記各場所に対応させて画像表示す
    ることを特徴とする請求項1記載の光学的検査方法。
  3. 【請求項3】 上記複数の検査光を同時に同一の場所に
    集光し、上記複数の非散乱光成分を分離してその強度を
    検出することを特徴とする請求項1又は2記載の光学的
    検査方法。
  4. 【請求項4】 上記複数の検査光のうちの1つが上記被
    検物体内に存在する光吸収体の吸収係数が比較的低い光
    であり、上記複数の検査光のうちの他の1つが上記被検
    物体内に存在する光吸収体の吸収係数が比較的高い光で
    あることを特徴とする請求項1又は2記載の光学的検査
    方法。
  5. 【請求項5】 空間的に不均一に分布する光吸収特性及
    び/又は光散乱特性を有する被検物体に対して検査光を
    照射し、該被検物体からの後方散乱光を測定して該被検
    物体内における光吸収特性及び光散乱特性についての情
    報を得る光学的検査方法であって;検査光を被検物体の
    内の任意の場所に集光し、 この際、集光の位置を、上記場所を中心として光軸方向
    に周期的にわずかに上下させ、 上記場所から後方に散乱させる非散乱光の強度を検出
    し、 該非散乱光強度を示す信号のうち、上記集光の位置を周
    期的に上下させる周波数と同期する信号のみを増幅し、 この信号を上記被検物体内の任意の場所について表示す
    ることを特徴とする光学的検査方法。
  6. 【請求項6】 空間的に不均一に分布する光吸収特性及
    び/又は光散乱特性を有する被検物体に対して検査光を
    照射し、該被検物体からの後方散乱光を測定して該被検
    物体内における光吸収特性及び光散乱特性についての情
    報を得る光学的検査装置であって;異なる中心波長を有
    する2つ以上の検査光を共軸に被検物体に入射する手段
    と、 後方散乱光の強度を、それぞれの入射光ごとに計測する
    手段と、 被検物体内に進入した光波の非散乱成分を、物体内の任
    意の場所の有限の空間領域に集光するための光学系と、 該空間領域から後方に反射される非散乱光成分を選択的
    に検出するための光学系と、 検出された該光波を異なる中心波長を有する2つ以上の
    光波成分に分離する光学系と、 該分離された光波成分の強度を測定するための光検出装
    置と、 各空間領域に対応させて上記複数の非散乱光成分の強度
    の相対的関係を表示する手段と、 を具備することを特徴とする光学的検査装置。
  7. 【請求項7】 空間的に不均一に分布する光吸収特性及
    び/又は光散乱特性を有する被検物体に対して検査光を
    照射し、該被検物体からの後方散乱光を測定して該被検
    物体内における光吸収特性及び光散乱特性についての情
    報を得る光学的検査装置であって;検査光を被検物体内
    の任意の場所に集光する手段と、 集光の位置を、上記場所を中心として光軸方向に周期的
    にわずかに上下させる手段と、 上記場所から後方に散乱させる非散乱光の強度を検出す
    る手段と、 該非散乱光強度を示す信号のうち、上記集光の位置を周
    期的に上下させる周波数と同期する信号のみを増幅する
    手段と、 この信号を上記被検物体内の任意の場所について表示す
    る手段と、 を具備することを特徴とする光学的検査装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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