JP3107927B2 - 散乱吸収体の光学情報計測装置及び方法 - Google Patents

散乱吸収体の光学情報計測装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変調光を利用して散乱
吸収体内部の散乱成分や吸収成分に関する光学情報を絶
対値として計測するもので、散乱吸収体の等価散乱係
数、吸収係数、特定成分の濃度などを計測すること、お
よびそれらの時間的変化や空間的分布などを計測するこ
と、あるいはそれらの計測精度を高めることが可能な散
乱吸収体の光学情報計測装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】散乱
吸収体の内部では、光がランダムに散乱、吸収されるた
め、光は直進しない。吸収が零である散乱体では、光の
総量が減ることはないが、光が散乱成分によってランダ
ムに散乱されるので、光はランダムに折れ曲がりながら
散乱体の中を進む。この場合、光が散乱の影響を受けず
に進める平均光路長は、後述する等価散乱係数の逆数と
なり、平均自由行程あるいは平均拡散長と呼ばれる。生
体試料の場合には、この光路長は2mm程度である。し
かし、散乱吸収体では、散乱成分のほかに吸収成分も含
まれているので、光の進む距離に応じてランダムに吸収
が発生し、光量が減衰する。
【0003】以上のような散乱吸収体では、一般によく
知られているランバート・ベール(Lambert-Beer)の法則
が成立する。これは、散乱吸収体の吸光度(absorbance
または optical density) が散乱吸収成分のモル吸光係
数と、モル濃度および散乱吸収体の厚さとの積に比例す
るというもので、吸光度分析法の基本原理になってい
る。
【0004】ところが、吸光度を測定する方法では、吸
光度がその定義上、等価散乱係数と吸収係数の和とな
り、これらが同格のパラメータとして取り扱われるの
で、散乱および吸収の影響を分離して、吸収の影響、例
えば吸収係数を正確に測定することは不可能である。そ
こで、通常は、この吸光度測定法に2波長分光測定の原
理を応用する。これは、吸収成分に対して吸収係数が異
なる適当な2種以上の光を用いて吸光度を測定し、この
際に前記2種以上の光に対する散乱係数あるいは等価散
乱係数が同一、あるいは差があっても極めて小さいもの
と仮定して、前記2種類以上の光に対する吸光度差から
散乱の影響を消去して、吸収係数あるいは吸収成分の濃
度を求めるものである。この方法は、上記の測定原理か
ら明らかなように、異なる波長に対して散乱係数が等し
いと仮定することに起因する誤差が発生するという大き
な欠点がある。また、散乱の影響、例えば散乱係数自体
を計測することはできない。また、以上と同類の技術と
して、2波長あるいは3波長の連続光、パルス光、ある
いは変調光を使用して吸光度差を測定する方法、および
これに上記の2波長分光の原理を応用する方法もある。
しかし、これらでも前述したものと同じ欠点があり、こ
れを改善することができない。
【0005】従来から、生体のような散乱吸収体内部の
吸収成分の測定、あるいはその測定精度向上に対する要
請は強く、既に多くの努力や試みがなされている。その
主なものは、本節の最後に参考文献1)-7) として一括し
て示すようになる。しかし、これらでは、どれも共通し
て、上記に説明した問題、つまり2波長分光測定の原理
を散乱を含む吸光度測定に応用したときの問題がある。
さらにその上、以下に説明するような個々の問題点もあ
る。なお、以降では、X)によって前述した参考文献の番
号を示すものとする。
【0006】Tamuraら1)は、波長の異なる3種の入射光
に対する吸光度変化(Change of absorbance optical de
nsity)から、酸化ヘモグロビンおよび還元ヘモグロビン
の濃度が求められるとしている。また、この原理を利用
した光CTを構築する試みもある。しかし、この方法で
は、上に述べた欠点があるとともに、吸光度測定におい
て吸収係数が変化した場合の光路長(optical pathlengt
h,光学距離ともよぶ)の取り扱い方によって、測定誤差
がさらに大きくなるという問題もある。
【0007】また、パルス光を散乱吸収体に入射したと
きの出力光を時間分解計測して、そのデータから内部の
吸収情報を計測する試みがある2-4)。このときの出力光
信号は、散乱と吸収によって時間幅が広がり、だらだら
と減衰する長い裾をひく光信号出力となる。Patterson
2)は、パルス光入射に対する光信号出力を、均一な散
乱吸収体のモデルを考えて、解析的に求めた。Patterso
n らが求めた式が与える光信号の強度の時間的変化を表
す波形は、均一な散乱吸収体を用いた実験で得られる波
形とよく合う。彼らによれば、散乱吸収体を構成する吸
収成分の吸収係数は、上記の光信号が十分減衰したと
き、つまり十分時間が経過したときの波形の傾斜(微分
値)で与えられる。しかし、この方法では、吸収係数を
求める部分の光信号が十分に減衰している必要があるか
ら、必然的に信号のSN比が悪くなり、その結果として
誤差が増大するので、実用化することが困難である。ま
た、光信号出力が十分減衰するまで待つ必要があるか
ら、必然的に計測時間が長くなるという問題もある。
【0008】上記に対して、Chanceら3)は、光強度が十
分に減衰していない早い時間に傾斜を求めて、この値で
吸収係数を近似する方法を提案した。彼らの報告によれ
ば、均一媒質などの単純な散乱吸収体では、誤差は10
%程度になる。しかし、上記の波形が、複雑な構造をも
つ実際の生体などで単調に減衰する保証はないし、散乱
光による直流光成分の増加に伴う誤差もさらに付加され
る。また、以上の3例では、いずれも散乱係数が測定で
きないという欠点がある。
【0009】SevickとChanceら4)は、上記のPatterson
らが求めた出力信号の波形の重心、すなわち平均の遅延
時間から、検出した光の平均光路長を求め、これが吸収
係数に依存することを確認した。また、この平均光路長
の変化分から内部に局在する吸収成分を計測することを
試みた4)。SevickとChanceらの方法は、吸収に依存する
平均光路長という概念を導入することによって、散乱吸
収体内部の吸収情報が計測できることを強く支唆してい
る。しかし、上記平均遅延時間は、出力信号波形全体が
明らかになった後で初めて求められるものであるから、
だらだらと裾を引く出力光信号が十分に減衰するまで待
つ必要があり、計測時間が長くなる。また、この方法は
出力光信号を時間分解計測している関係上、平均光路長
の計測精度を向上するために時間の計測精度を良くする
と、必然的に信号のSN比が低下するという問題があ
り、自ずと計測精度に限界が生じる。さらに、重心を求
める信号処理はかなり複雑になるとともに、時間分解計
測を行う装置は、通常かなり複雑、かつ大型になるので
実用的でない。
【0010】他方、Gratton らは、散乱吸収体の内部の
イメージングに、正弦波で変調した光を利用することを
提案している5)。これは、本発明の動作原理の部分で詳
しく述べるように、散乱吸収体の内部を変調周波数成分
の波がコヒーレントに伝搬することを利用しようとして
いる。彼らの報告5)では、散乱吸収体の中を伝搬するコ
ヒーレントな波を実験で確認しているが、実験に用いた
サンプルの光学的パラメータと理論による計算値とが一
致していない。この研究は未だ基礎研究の段階にあり、
本発明の目的の一つである吸収係数や散乱係数を求める
方法、特定成分の濃度を求める方法などに関する具体的
な知見や手段は、得られていない。
【0011】また、Chanceは上記Gratton らの報告より
以前の1989年に、変調光を利用して散乱吸収体の吸
収成分の濃度を認定する(determining the concentrati
on of an absorptive constituent in a scattering me
dium) 方法と装置を考案し、1990年に米国特許(US
patent 4,972,331) 「Phase Modulated Spectroscopy」
を取得している6)。この特許は、散乱吸収体の変調光入
射に対する出力信号を検出し、これを基準波形(入射光
の波形)と比較して定量可能なパラメータを認定し、こ
れから前記の時間分解計測で得られる光路長を求めて、
吸収成分の濃度を定量測定することを基本原理としてい
る。また、この特許には、2波長分光の原理を応用する
ことも含まれている。ただし、これは前述したものと同
様に、散乱の影響を消去するために2波長を使用するも
のである。つまり、Chanceの特許は、前記の光路長を位
相差法で正確に測定しようとするものである。したがっ
て、Chanceの特許は、本質的にはこれまでに述べてきた
従来技術と同等であり、従来技術の欠点、つまり2波長
分光法を応用する際の散乱係数の差に起因する計測誤差
および散乱係数が計測できないという欠点がある。さら
に、Chanceは、この特許の方法で測定される位相差が、
前述した時間分解計測で得られる光路長(波形の重心)
に等しいこと、およびこの位相差の対数変換が散乱媒質
の吸収成分の濃度に比例することを述べている。しか
し、後者のことは、後で詳述するように、本願の発明者
の解析、実験などの結果と大きく異なる。また、本願発
明では、光路長を知る必要がなく、これを演算あるいは
測定することはしない。
【0012】最近、SevickとChanceら7)は、前述した時
間分解法と上記の変調光を利用した方法(彼らは周波数
分解法と読んでいる)とで得られる各種のパラメータの
間の関係について、彼ら以外の研究者による研究結果も
含めて、総合的に検討、解析し、これらの検証をするた
めの実験を行った7)。我々には都合が良いことに、散乱
吸収体内部の吸収情報を計測する従来の主要な方法の多
くが、この報告の中で検討されている。例えば、時間分
解計測法と前記周波数分解計測法で得られるパラメータ
の関係が示され、変調周波数が低い場合には、周波数分
解計測法で得られる位相差が、時間分解計測法で得られ
る平均光路長に比例することなどが示されている。ただ
し、この一部は上記Chanceの特許で開示されている。ま
た、彼らが従来から研究してきた時間分解計測法の具体
的な応用、例えば時間分解法で得られる出力光信号から
平均光路長、吸収係数などのパラメータを求め、このパ
ラメータを利用して散乱吸収体の吸収成分の濃度や吸収
係数、ヘモグロビンの飽和度(酸化ヘモグロビンと還元
ヘモグロビンの総量に対する酸化ヘモグロビンの濃度)
などを求める方法が示されている。ただし、これらの測
定は前記の2波長分光の原理を応用したもので、散乱係
数の差に起因する誤差が生じる。以上のように、この報
告には、特に新しい知見はないが、彼らの考え方を理解
するための参考になる。
【0013】最後に、本願の発明の位置付けを明確にす
るため、本願の発明と前述したChanceの特許6)「Phase
Modulated Spectroscopy」との相違点について、少し詳
しく述べる。Chanceの特許は、まず発明の背景の部分
で、生体組織の中のヘモグロビン(hemoglobin) やチト
クローム(cytochrome)の変化を検出する場合、2波長分
光測光法は数々の利点があるが、この種の方法の基本的
な問題点として、光路長(optical pathlength)が既知で
ないため、ヘモグロビンを除去してチトクロームを直接
調べることができる動物モデルを参照することによっ
て、対象物である生体などの光路長を計算して用いる必
要があることが指摘されている。次に、光路長を認定し
てヘモグロビン濃度の変化を定量化し、ヘモグロビンと
チトクロームの実際の濃度を認定(determine) すること
ができるピコ秒光パルスによる時間分解分光計測(TR
S)の臨床研究への応用が述べられ、さらにこの時間分
解分光計測法と連続光分光計測(CWS)とを併用する
と、フォトン移動(photon migration )の光路長が較正
できるので、その応用分野がさらに大きく広がることが
述べられている。以上は、Chanceの特許の重要性を説明
したものであると考えらる。
【0014】以上に対して本願の発明は、上記の光路長
と深く関係する計測アルゴリズムとは対照的に、光路長
を含まない形、あるいは変数として光路長を含まない形
の関数を使用する、新しい計測アルゴリズムを利用して
いる。従って、当然、光路長を計測する必要がない。ま
た、Chanceの特許では、異なる波長に対する散乱係数の
差が計測誤差の原因になるが、本願発明では吸収に関す
る光学情報を演算する際に、2つ以上の異なる周波数成
分の波を使用するので、散乱の影響を消去することが可
能になり、これから吸収に関する光学情報を正確に計測
することができる。つまり、本願の発明では、2つの周
波数の波を使用することによって、散乱の影響を完全に
消去する。
【0015】つぎに、Chanceの特許の明細書の発明の概
要の最初の部分には、「搬送周波数を選択して、その時
間特性が散乱媒体中の入力から出力までのフォトン移動
の遅延時間と適合するようにしたとき、2波長分光測光
法の原理が時間分解分光計測に応用できることが見いだ
された」と記されている。また、第3の実施例の説明の
後半部には、Chanceの発明による装置では、220MH
zという高い周波数の搬送波を利用するため、約5ナノ
秒と観測される特性時間をもつ入出力間のフォトン移動
時間の計測精度が著しく改善され、開示された装置の感
度は、1ns当たり約70°、または光路長の変化1c
m当たり3°であると述べられている。さらに、2波長
分光計測の原理を時間分解分光計測に応用するには、搬
送波の時間特性がフォトン移動の入出力間の遅延時間に
適合するように、搬送周波数の値を選択する必要がある
ことが述べられている。さらに、詳細な説明の部分の最
後の節の後半部分には、彼の特許による方法、つまり位
相変調分光計測法の大きな利点として、仮定によらずに
光路長が知られることが強調され、さらに光出力が指数
的に減衰し、フォトン移動距離が長い場合、位相変調法
は5ナノ秒程度の遅延時間を強調するような機能をもた
せることができるので、時間分解分光計測法の一つの便
利な実施形態であると述べられている。
【0016】以上から、Chanceの特許は、時間分解分光
計測法で得られた知見を基本にしたものであり、光路長
(optical pathlength)を位相変調法で認定し、その際
に、搬送周波数の時間特性、つまり搬送波の周期がフォ
トン移動の遅延時間と概ね等しくなるようにして、上記
の遅延時間、つまり光路長の計測精度を改善するもので
あることが明らかである。
【0017】したがって、換言すればChanceの特許は、
時間分解分光計測法に2波長分光計測法の原理を応用す
る方法は大いに有用であるが、時間分解分光計測で光路
長を認定または測定することは、装置の性能である時間
分解能や装置の複雑さ、高価さなどによって著しく制限
されるので、この光路長を簡便な位相差法で計測すると
いうことになる。
【0018】以上に対して、本願の発明は、前述したよ
うに、Chanceの特許に開示されているものを含めた従来
の時間分解分光計測法、あるいはこれに2波長分光計測
法を応用したものとは、全く異なる新しい概念と原理に
基づく計測法、および新しい計測データの演算処理方法
に基づいている。本願の発明は、時間分解分光計測法の
原理に基づいていないから、Chanceの特許の光路長は測
定しなくてよい。さらに、Chanceの特許で必要となる搬
送波(本願の発明では、変調光を構成する所定周波数成
分と表現している)の周波数の選択、つまりChanceの特
許で必要となる条件「搬送周波数を選択して、その時間
特性が散乱媒体中の入力から出力までのフォトン移動(p
hoton migration)の遅延時間と適合するようにする」を
満足する必要がない。本願の発明は、周波数に対して原
理上の制限はなく、全ての周波数域で、2波長分光側光
法の原理を応用することができ、この際、異なる波長に
対する散乱係数の差を問題にする必要がない。つまり、
本願の発明は、散乱の影響を消去する際に、Chanceの特
許が2つの異なる波長を使用するのと対照的に、2つ以
上のことなる周波数の波を使用する。
【0019】以上から、本願の発明と従来技術の相違点
が明らかになり、本願の発明の進歩性、有効性、重要性
が容易に理解できよう。
【0020】参考文献 1)I. Oda, Y. Ito, H. Eda, T. Tamura, M. Takada,
R. Abumi, K. Nagai,H. Nakagawa, and M. Tamura: Non
-invasive hemoglobin oxygenationmonitor and comput
ed tomography by NIR spectrophotometry, Proc.SPIE,
Vol.1431, pp.284-293 (1991) 2)M.S. Patterson, J.D. Moulton, B.C. Wilson, and
B.Chance:Application of time-resolved light scatt
ering measurements tophotodynamic theraphy dosimet
ry, Proc. SPIE, Vol.1203, P.62-75(1990) 3)M.S. Patterson, B. Chance, and B.C. Wilson: Ti
me resolvedreflectance and transmittance for the n
on-invasive measurement oftissue optical propertie
s, Applied Optics, Vol.28, No.12,pp.2331-2336 (198
9) 4)E.M. Sevick, N.G. Wang, and B.Chance: Time-dep
endent photon imaging,Proc. SPIE, Vol.1599, P.273-
283 (1991) 5)J. Fishkin, E. Gratton, M.J. vande Ven, and W.
W. Mantulin: Diffusionof intensity modulated near-
infrared light in turbid media, Proc.SPIE, Vol.143
1, pp,122-135 (1991) 6)US Patent 4,972,331 ( 対応する日本特許は、公開
公報平2-234048) 7)E.M. Sevick, B. Chance, J. Leigh, S. Nioka, an
d M. Maris:Quantitation of time and frequency-reso
lved optical spectra fordetermination of tissue ox
ygenation, Anal. Biochem., Vol.195,p.330-351 (199
1)
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る散乱吸収体の光学情報計測装置は、
(a)散乱吸収体内部を伝搬しやすい所定波長の光の変
調光を発生する光発生手段と、(b)所定波長の光の変
調光を散乱吸収体に入射させる光入射手段と、(c)散
乱吸収体内部を伝搬して変化を受けた変調光を、散乱吸
収体の外側の表面の直近に置いた開口を介して光検出す
る光検出手段と、(d)光検出手段によって光検出され
た信号の中から、変調光を構成する所定周波数成分の信
号を抽出する信号抽出手段と、(e)信号抽出手段によ
って抽出された信号と、散乱吸収体に入射すべき変調光
の所定周波数成分の信号とを比較して、所定周波数成分
の波の散乱吸収体内部の伝搬と、波を構成する所定波長
の光の散乱吸収体内部での散乱及び吸収とに関係する所
定パラメータを検出するパラメータ検出手段と、(f)
2つ以上の異なる所定周波数成分の信号にそれぞれ対応
する複数個の所定パラメータと所定周波数成分の波が散
乱吸収体内部を伝搬するときの所定波長の光に対する散
乱及び吸収との関係に基づき、この関係から散乱の影響
を消去した関係を利用して、散乱吸収体の吸収に関する
光学情報を演算する演算処理手段とを備えることとして
いる。
【0022】また、本発明に係る散乱吸収体の光学情報
計測方法は、(a)散乱吸収体内部を伝搬しやすい所定
波長の光の変調光を発生する第1ステップと、(b)所
定波長の光の変調光を散乱吸収体に入射させる第2ステ
ップと、(c)散乱吸収体内部を伝搬して変化を受けた
変調光を、散乱吸収体の外側の表面の直近においた開口
を介して光検出する第3ステップと、(d)第3ステッ
プで得られた信号の中から、変調光を構成する所定周波
数成分の信号を抽出する第4ステップと、(e)第4ス
テップで抽出された信号と、散乱吸収体に入射すべき変
調光の所定周波数成分の信号とを比較して、所定周波数
成分の波の散乱吸収体内部の伝搬と、波を構成する所定
波長の光の散乱吸収体内部での散乱及び吸収とに関係す
る所定パラメータを検出する第5ステップと、(f)2
つ以上の異なる所定周波数成分の信号にそれぞれ対応す
る複数個の所定パラメータと、所定周波数成分の波が散
乱吸収体内部を伝搬するときの所定波長の光に対する散
乱及び吸収との関係に基づき、この関係から散乱の影響
を消去した関係を利用して、散乱吸収体の吸収に関する
光学情報を演算する第6ステップとを備えることとして
いる。
【0023】
【作用】本発明の散乱吸収体の光学情報計測装置及び方
法では、散乱吸収体に変調光を入射したとき、変調光を
構成する所定の周波数成分の波が、減衰を伴うが、コヒ
ーレントに整然と散乱吸収体の中を伝搬することを前提
として、散乱吸収体内部の散乱成分と吸収成分によって
変形させられた2つ以上の異なる所定周波数成分の波に
それぞれ対応する定量可能な複数個のパラメータを演算
処理する。すなわち、これら複数個のパラメータと散乱
吸収体の散乱及び吸収との関係を用いて散乱の影響を消
去した関係が導かれるので、これを利用して、前述の複
数個のパラメータから吸収に関する光学情報を演算し、
また必要に応じて散乱に関する光学情報をも演算する。
【0024】以下に、本発明の装置及び方法についてよ
り詳細に説明する。本発明の装置及び方法では、まず、
例えば散乱吸収体の表面の近くに置かれた変調光の光源
に対して反対側に置かれた開口をもつ光検出器等によっ
て出力光の信号を光検出し、その信号から前述の所定周
波数成分の信号を抽出することによって、散乱吸収体の
中を伝搬する前述の波を検出する。つぎに、この波に対
応するものとして抽出された信号と、入射した元の変調
光の所定周波数成分の信号とを比較して、前述の開口、
即ち波の検出点における位相差(または位相遅れ)Φ、
あるいは振幅IP 等の定量可能な所定のパラメータを検
出する。
【0025】この所定パラメータは、散乱吸収体内部の
散乱成分の等価散乱係数μs ´と吸収成分の吸収係数μ
a との間に一定の関係を有するものであるため、2つ以
上の異なる所定周波数成分の波に対して得られる複数の
所定パラメータを、本願の発明で初めて開示される知見
(散乱の影響を消去した関係の導出等)に基づいて適当
に演算処理すると、これから散乱吸収体内部の吸収に関
する各種の光学情報(吸収係数、その線積分値、特定物
質の濃度を含む)を求めることができる。またさらに、
必要に応じて、散乱に関する光学情報(散乱吸収体の等
価散乱係数、その線積分値、特定の濃度を含む)を求め
ることができる。但し、上記の等価散乱係数はμs ´=
(1−g)μs であり、ここでgは散乱角θに対するc
osθの平均値、μs は散乱係数を表す。また、このμ
s ´の逆数は、散乱吸収体内部での光の平均自由行程に
等しい。
【0026】ここで、上記の所定パラメータを位相差Φ
とした場合について具体的に説明すると、この位相差Φ
が等価散乱係数μs ´、吸収係数μa の関数となるの
で、角周波数ω1 である第1の所定周波数成分の波に対
する所定パラメータΦ1 とω1とは異なる角周波数ω2
の第2の所定周波数成分の波に対するパラメータΦ2
を求め、(Φ1 、ω1 、μs ´、μa )の関係及び(Φ
2 、ω2 、μs ´、μa)の関係を利用して、散乱吸収
体の光学情報である吸収係数μa を求める。例えば、最
も単純な場合には、Φ1 とΦ2 の比つまりΦ1 /Φ2
求めると、散乱成分による影響が消去されて簡単な式あ
るいは関係になる。いずれにしても、上述のような関係
に基づいて各パラメータΦ1 、Φ2 に対応する信号を演
算処理することにより、吸収に関する光学情報である吸
収係数μa を求めることができる。また、さらに必要に
応じてこのμa の値から等価散乱係数μs ´、特定物質
の濃度などの光学情報を信号の演算処理によって求める
こともできる。
【0027】なお、散乱吸収体の光学情報計測装置にお
いて、所定パラメータとして位相差等を具体的に算出す
ることなく、直ちに散乱と吸収に関する光学情報を演算
することもできる。
【0028】
【実施例】1.散乱吸収体内部の光学情報計測の基本 散乱吸収体を伝搬しやすい所定波長の光(生体などで
は、近赤外光がよい)をkHz〜GHzの正弦波で変調
して変調光を発生させ、これを散乱吸収体に入射したと
きの変調光、あるいは変調光を構成する光の振る舞い
は、光拡散理論(Photon Diffusion Theory )から導く
ことができる。この場合、散乱吸収体内部で、変調角周
波数ω(周波数f=ω/2π)の正弦波は減衰を伴う
が、コヒーレントに、整然と散乱吸収体の中を伝搬す
る。このことは、Gratton ら5)、および本願の発明者に
よって理論的、実験的に確認されている。本願の発明者
は、既に本願の発明の原理に関係する基本式の近似解を
使用する散乱吸収体内部の吸収情報計測装置及び方法を
特許出願(特願平4−192370)している。
【0029】また、上記のような変調光を構成する光子
1個1個の振る舞いは、コンピュータで計算することが
できる。さらに、これらの光子で構成される変調光の振
る舞いは、モンテカルロシミュレーション(Monte Carl
o Calculation )によって、解析、実験、検討すること
ができる。本願の発明者は、これまで、このようなモン
テカルロシミュレーションによる解析、実験、検討、及
び標準的なサンプルによる実験を行って、散乱吸収体内
部の変調光の振る舞い、散乱吸収体内部の特定成分の定
量化法、これらのイメージング法などを開発してきた。
【0030】本願の発明の基本動作原理は、以上に述べ
たような本願の発明者の解析と実験によって初めて明ら
かになったもので、次のようになる。
【0031】光拡散方程式は、通常、図1に示すよう
に、点光源が無限に広がる散乱吸収体の内部にあるとし
て解く。この場合、変調光に含まれる所定周波数成分
(f=ω/2π)の波は、散乱吸収体の中をコヒーレン
トに伝搬し、その波面は同心球殻状になる。
【0032】これに対して、実用装置では、本願の発明
の目的の一つである散乱吸収体の光学情報(散乱係数や
吸収係数など)計測装置のように、散乱吸収体の外側の
表面から変調光を入射する。この場合、光拡散方程式
は、散乱吸収体の表面で境界条件を満足する必要があ
る。この境界条件は、散乱吸収体の外側では光の拡散が
生じないということである。図2は、表面にある点光源
からスラブ状の散乱吸収体に入射した変調光が散乱吸収
体の内部を伝搬する様子を示す。この場合、散乱吸収体
の表面の近く以外の場所では、所定周波数成分の波は、
ほぼ球面波状に、コヒーレントに伝搬すると考えてよ
い。したがって、図2のような場合、散乱吸収体の光源
側表面の近く以外の場所では、同心球殻状の球面波が伝
搬するものと考えてよく、以下ではこのような球面波を
考える。
【0033】図3は、散乱吸収体の表面に点状に変調光
を入射し、散乱吸収体の中を伝搬した光子を、何らかの
入力開口をもつ光検出器で検出し、その出力信号から所
定周波数成分の信号を抽出する計測系の様子を示す。こ
の場合、光検出器で検出される光子の中で、前記の所定
周波数成分の波を構成するものは、図3に示したような
紡錘形の部分の含まれる主光路に沿って伝搬すると考え
てよい。図中のrは、光入射点から光検出器(厳密に
は、検出される光が散乱吸収体から出る位置)までの距
離である。したがって、上記の波を利用して検出した情
報は、光入射点と光検出点とを結ぶ紡錘形の部分の中の
散乱係数と吸収係数とを反映したものとなる。
【0034】以上のことは、本願の発明者のモンテカル
ロシミュレーション、および実際のサンプルを用いた実
験でも既に確認されている。また、変調光は、所定の周
波数成分を含むものであれば、どんな波形のものであっ
ても、その中に含まれる所定周波数成分に対して上記の
理論をそのまま適用することができる。例えば、繰り返
しパルス光では、繰り返し周波数と同一、およびその整
数倍の周波数成分が存在するので、いずれかの周波数成
分に対して上記の理論を適用すればよい。変調光に要求
さる性能は、安定な繰り返し周波数と安定な光強度であ
る。
【0035】また、変調光を太いビーム状にして散乱吸
収体に入射する場合についても、上記の理論が適用でき
る。つまり、変調光の平行ビームを散乱吸収体に入射す
るものとすれば、散乱吸収体の表面(平面と考える)に
数多くの点光源が並んだものと等価になり、変調光入射
点と光検出点を結ぶ直線の近軸部分では、変調光に含ま
れる所定周波数成分の平面波が軸方向に伝搬すると考え
てよい。
【0036】以下においては、以上に述べた考え方に基
づいて、散乱吸収体の内部の変調光の振る舞いを詳しく
述べ、本願の発明で利用する所定のパラメータと、計測
すべき散乱吸収体内部の散乱成分の散乱係数及び吸収成
分の吸収係数との関係を具体的に、一例を用いて説明す
る。
【0037】なお、以下では、説明を簡単にするため、
正弦波変調光を点状に入射する場合について説明する
が、上記の理由から繰り返しパルス光や繰り返し方形波
光を用いる場合、及びこれらを平行ビームにして入射す
る場合についても本願の発明が適用できることは明らか
である。また、以下では説明を簡単にするため、代表例
として、光拡散方程式から導かれる解を単純な形で近似
した場合について述べるが、以下で得られる結果は、光
拡散方程式から導かれるより厳密な形の解を用いる場合
にも適用できることは明らかである。
【0038】2.散乱吸収体内部の吸収成分の吸収係数
計測の原理 (1)光拡散理論による所定周波数成分の波の伝搬の記
述 散乱吸収体に、kHz〜GHzの正弦波で変調した光
を、点状に入射したときの光の振る舞いは、例えば、光
拡散理論から導かれる下記の式で表される。
【0039】均一な散乱吸収体の内部に点光源があり、
この点光源から距離rの位置の時刻tにおける光強度I
(r,t)[光子/sec・mm2 ]は、次式で表され
る。これは、無限に広がった散乱吸収体の中を伝搬する
変調波を意味するが、前節に述べたことから、有限の大
きさの散乱吸収体にも適用できる。
【0040】 I(r,t)= (Sv/4παr)×〔exp〔−r(vμa /α)1/2 + Mexp{−rA(ω)cosB(ω)− j〔rA(ω)sinB(ω)−ωt+ε〕}〕…(1.1) 但し、 A(ω)={〔(vμa 2 +ω2 〕/α2 1/4 …(1.2) B(ω)=(1/2)tan-1(ω/vμa )…(1.3) D=α/v =1/3μtr =1/〔3(μa +μs ′)〕 =1/{3〔μa +(1−g)μs 〕}…(1.4) ここで、 S:光源が発生する光子数〔光子/sec〕 M:変調光の変調度 ω:変調波の角周波数〔rad/sec〕 α:光拡散定数〔mm2 /sec〕 ε:固定した位相項 D:光拡散係数〔mm〕 v:散乱吸収体内部の光速度〔mm/sec〕、(屈折
率がnなら、真空中の光速度c=nvとなる) g:散乱角θに対するcosθの平均値 μtr:光の減衰係数〔mm-1〕 μa :吸収係数〔mm-1〕 μs :散乱係数〔mm-1〕 μs ′:等価散乱係数〔=(1−g)μs 〕 このとき、周波数がf=ω/2πである成分Iw (r,
t)は次式で表されることになる。
【0041】 Iw (r,t)= (Sv/4παr)Mexp{−rA(ω)cosB(ω)− j〔rA(ω)sinB(ω)−ωt+ε〕}…(1.5) したがって、この(1.5)式で表される波の位相差Φ
と振幅Ip は、 Φ≒rA(ω)sinB(ω)…(1.6) Ip ≒(Sv/4παr)Mexp〔−rA(ω)cosB(ω)〕 つまり、 ln(SvM/4παrIp )≒rA(ω)cosB(ω) …(1.7) となる。但し、ここでlnは自然対数を表す。以下、こ
れらの近似式を用いて説明する。
【0042】上記で求めた(1.6)、(1.7)式
は、さらに簡単にすることができる。つまり、 (ω/vμa )=y>0 とおくと、 A(ω)=(vμa /α)1/2 (1+y2 1/4 sinB(ω)=sin〔(1/2)tan-1y〕 ={(1/2)〔1−cos(tan-1y)〕}1/2 ={(1/2)〔1−(1+y2 -1/2〕}1/2 となる。したがって、 Φ2 =r2 (vμa /α)(1+y2 1/2 ×(1/
2)〔1−(1+y2 -1/2〕 =(r2 /2)(vμa /α)〔(1+y2 1/2
1〕 となり、 Φ2 =(r2 /2α){〔ω2 +(vμa 2 1/2
vμa } すなわち、 Φ2 =3〔μa +(1−g)μs 〕(r2 /2v)× {〔ω2 +(vμa 2 1/2 −vμa }…(1.8) が得られる。
【0043】また、同様にして(1.7)式から、 〔ln(SvM/4παrIp )〕2 = 3〔μa +(1−g)μs 〕(r2 /2v)× {〔ω2 +(vμa 2 1/2 +vμa }…(1.9) が得られる。
【0044】以上に求めた(1.8)、(1.9)式
は、散乱吸収体内部をコヒーレントに伝搬する角周波数
ωの波に対する(1.1)式の近似解であり、本願の発
明の基本原理式として以下で利用する。また、より厳密
な解は第2の項つまり補正項を含む。しかし、通常この
補正項の値は小さい。また、この補正項の未知数の数
は、補正項がどのような関数になろうとも、作用のとこ
ろで述べたように、等価散乱係数μs ´および吸収係数
μa の2つである。したがって、後で述べるように、そ
れぞれの変調角周波数ω1 とω2 に対する計測値Φ1
Φ2 を表す2つの関係式、つまり連立方程式から、吸収
係数μa および等価散乱係数μs ´を一意的に求めるこ
とができる。なお、このような関係は、本願によって初
めて開示されるものである。
【0045】また、本願の発明の計測対象の一つに生
体、植物組織などがある。これらの場合、一般的にμa
《μs ´=(1−g)μs が成立する。例えば、標準的
な生体におけるパラメータの値は、 μa =0.01mm-1 μs =3mm-1 g=0.85 μs ´=(1−g)μs =0.45mm-1 n=1.33 v=3×1011/1.33 =2.26×1011mm/sec vμa =2.26×109 =2π×3.6×108 sec-1…(1.10) のようになり、μa《μs ´=(1−g)μs が成立す
る。このとき、(1.8)(1.9)式から、 Φ2 ={〔3(1−g)μs 2 〕/(2v)}× {〔ω2 +(vμa 2 1/2 −vμa }…(1.11) 〔ln(SvM/4παrIp )〕2 = 〔3(1−g)μs 2 /2v〕× {〔ω2 +(vμa 2 1/2 +vμa }…(1.12) が得られる。これらの(1.11)、(1.12)式
は、μa《μs ´=(1−g)μs である散乱吸収体に
利用することができる。
【0046】(2)吸収係数の演算 吸収係数を求めるには、2つの異なる周波数成分の波
(角周波数ω1 とω2 )を利用する。この場合、同一の
散乱吸収体に対して、他のパラメータを一定にして、角
周波数ωをω1 からω2 に変化させても、光の波長が一
定であるから、散乱吸収体の散乱係数と吸収係数は不変
である。また、2つの角周波数ω1 とω2に対して、散
乱吸収体の同じ位置に変調光を入射して、同じ位置で検
出すれば、rも不変である。ここで注意すべきことは、
従来の2波長分光法は、吸収係数などの測定に際して、
2つの異なる波長の光を使用しているため、これらの波
長に対する散乱係数の差が大きな誤差を発生する原因と
なることである。
【0047】いま、検出した波に対応する所定パラメー
タの計測値Φが、 ω=ω1 のとき、Φ=Φ1 ω=ω2 のとき、Φ=Φ2 …(1.13) である場合には、(1.8)式から Φ1 2 /Φ2 2 ={〔ω1 2 +(vμa 2 1/2 −(vμa )}÷ {〔ω2 2 +(vμa 2 1/2 −(vμa )} …(1.14) となる。
【0048】ここで、vは既知、あるいは他の方法によ
って計測あるいは計算することができる。例えば、生体
の場合には主成分である水分を考えればよく、vは前出
の(1.10)式に示したようになる。したがって、こ
のような既知のvの値、所定の角周波数ω1 とω2
値、及び計測値であるΦ1 とΦ2 の値を(1.14)式
に代入して、散乱吸収体の吸収成分の吸収係数μa が一
意的に求められる。このμa を求める計算は、コンピュ
ータを利用して高速に実行することができる。また、こ
こで求めたμa の値と計測系で決まるrの値を(1.
8)式に代入して、等価散乱係数μs ´=(1−g)μ
s が求められる。
【0049】以上の場合、Φ1 及びΦ2 は計測値である
から、それらの値の精度が、例えば0.1度(1.75
×10-3rad )程度に制限される。したがって、(1.
14)式から明らかなように、高い制度でμa を求める
ためには、ω1 及びω2 をvμa の値と桁が同程度(例
えばv=2.26×1011mm/sec,μa =0.0
1×10-3mm-1のとき、vμa =2.26×109
なるから、ω1 及びω2 は108 乃至1010程度)に選
ぶか、あるいはω1 <vμa <ω2 または逆にω1 >v
μa >ω2 となるようにω1 及びω2 を選ぶことが望ま
しい。また、所定の周波数を3つ以上にすれば、計測精
度の向上が期待できる。
【0050】なお、Φ1 及びω1 の関係と、Φ2 及びω
2 の関係とから吸収係数μa を求める具体的な方法とし
て、上記では(Φ1 2 /Φ2 2 )による方法を示した
が、これは前出の(1.8)式、あるいは前述したより
厳密な解を表す式から導出される式であれば、どのよう
な形の式を用いてもよい。つまり、作用のところで述べ
たように、これらの関係は2つの未知数を含む連立方程
式で表せるから、2つの未知数である吸収係数μa と等
価散乱係数μs ´が一意的に求められる。また、単純な
近似解を用いる場合には、例えば、Φ1 /Φ2 、(Φ1
2 −Φ2 2 )/(Φ1 2 −Φ3 2 )等でもよい。ただ
し、ここで、Φ3 はω3 に対して得られた位相差であ
る。
【0051】さらに、3つの異なる所定周波数について
計測する場合、式の形は多少複雑になるが、(Φ1 −Φ
2 )/(Φ1 −Φ3 )を求めて、これから吸収係数μa
を演算する方法もある。この場合、(Φ1 −Φ2 )及び
(Φ1 −Φ3 )は、位相差の差、つまり相対位相差であ
るので、位相差Φの原点(ゼロ点)を知る必要がなく、
実際の計測が簡単になる。
【0052】また、振幅Ip に対しては、(1.9)式
に示した対数を考えることによって同様の結果が得られ
る。ただし、この場合には、光拡散定数α、あるいは光
拡散係数Dを別の方法で求めておく必要がある。例え
ば、光拡散定数Dは、(1.4)式から明らかなよう
に、吸光度測定によって吸光係数を実測することによっ
て求められる。
【0053】以上に説明したように、所定のパラメータ
である位相差Φや振幅Ip は、式の形は異なるがほぼ同
様に取り扱うことができる。したがって、以下では、説
明を簡単にするため、所定のパラメータが位相差Φであ
る場合について述べる。この位相差Φは、振幅Ip に比
較して簡単な式になる。
【0054】ところで、(1.14)式では散乱成分の
影響が消去されていることに注意する必要がある。つま
り、(1.14)によって、散乱成分を含む散乱吸収体
内部の吸収成分の吸収係数が、散乱成分による影響を受
けずに精度よく計測できることを意味する。このこと
は、前出の(1.8)式の関係に2つの異なる所定の角
周波数ω1 及びω2 による計測を導入した本願の発明の
基本原理に起因する当然の結果であり、このようにする
ことによって、一意的に等価散乱係数μa ´と吸収係数
μa が求められることを意味している。なお、吸収係数
μa を求めるための式の表現形式は、前述したように、
より厳密な解を用いる方法など、種々のものがある。
【0055】以上から、従来は精密計測が困難であった
散乱媒質の標準試料であるイントラリビッド溶液などの
等価散乱係数と吸収係数の計測なども可能になり、本願
の発明の有用性は極めて大きい。つまり、散乱と吸収の
ある散乱吸収体であれば、本願の発明によってその吸収
係数や等価散乱係数が正確に計測できる。
【0056】以上の新しい知見は、さらに本願の発明の
もう一つの目的である吸収成分の濃度の定量計測にも利
用される。ここでは、ランバード・ベール則によって、
吸収係数から特定成分の濃度を求める。
【0057】また、上記で求めた吸収係数μa は、変調
光を散乱吸収体に入射した点と光検出点とを結ぶ直線に
沿う、長さrの紡錘形の部分の吸収係数μa の軸方向の
積分値である。したがって、この値が上記の直線に沿っ
た線積分値であると見做せば、簡単なイメージング、及
びX線CTに見られるような画像再構成を利用して吸収
係数μa に関する断層像を得ることができる。さらに、
同様の処理によって、ヘモグロビンの飽和度、吸収成分
の分布などのイメージングや断層像の再構成などもでき
る。また、同様にして散乱係数に関するイメージングや
断層像の再構成もできる。
【0058】3.吸収情報の計測 前節に述べたように、(1.14)式などによって吸収
係数が求められる。そこでつぎに、異なる波長の光や異
なる時間、あるいは異なる場所での計測を考える。な
お、以下では、代表例についてのみ計測の原理を説明す
る。また、これらの計測装置の具体的な構成例は後の実
施例の部分で詳しく述べる。
【0059】(1)ヘモグロビンの濃度の計測 哺乳類の脳における吸収成分の主なものは、水、チトク
ローム(cytochrom)、酸化および還元ヘモグロビンであ
る。近赤外線領域での水及びチトクロームの吸収は、酸
化および還元ヘモグロビンに対して、ほぼ無視すること
ができる程度に少ない。また、酸化および還元ヘモグロ
ビンは、図4に示すように、吸収スペクトルが異なる。
さらに、頭蓋骨は、近赤外線に対して、散乱体と考えて
よい。
【0060】いま前節までに述べた方法でセットアップ
を固定して、波長λ1 とλ2 の2種の波長の光に対して
吸収係数μs1とμa2が求められたとすれば、ランバート
・ベール(Lambert-Beer) 則によって、次式が成立す
る。
【0061】 μa1=εHb,1〔Hb〕+εHbO,1 〔HbO〕 μa2=εHb,2〔Hb〕+εHbO,2 〔HbO〕 但し、 εHb,1;還元ヘモグロビンの波長λ1 に対するモル吸収
係数〔mm-1・M-1〕 εHbO,1 ;酸化ヘモグロビンの波長λ1 に対するモル吸
収係数〔mm-1・M-1〕 εHb,2;還元ヘモグロビンの波長λ2 に対するモル吸収
係数〔mm-1・M-1〕 εHbO,2 ;酸化ヘモグロビンの波長λ2 に対するモル吸
収係数〔mm-1・M-1〕 〔Hb〕:還元ヘモグロビンのモル濃度〔M〕 〔HbO〕:酸化ヘモグロビンのモル濃度〔M〕 である。
【0062】したがって、既知のパラメータεHb,1、ε
HbO,1 、εHb,2、εHbO,2 および計測値から演算された
μa1とμa2から、還元ヘモグロビンのモル濃度〔H
b〕、および酸化ヘモグロビンのモル濃度〔HbO〕を
求めることができる。
【0063】また、上記に対してチトクロームを考慮す
る場合のように、吸収スペクトルが既知である3成分の
それぞれの濃度の定量は、3波長の光を使用すればよ
い。一般的には、吸収スペクトルが既知であるn個の成
分の濃度の定量計測は、n個の波長に対する吸収係数の
計測値から、上記と同様にして求めることができる。
【0064】さらに、飽和度Yは、 Y=〔HbO〕/(〔Hb〕+〔HbO〕) であるから、 μa1/μa2=〔εHb,1+Y(εHbO,1 −εHb,1)〕÷
〔εHb,2+Y(εHbO,2 −εHb,2)〕 を用いて、既知のパラメータεHb,1、εHbO,1
εHb,2、εHbO,2 と計測値から演算されたμa1およびμ
a2とから、飽和度Yが容易に算出される。
【0065】以上の方法では、本願の発明によって初め
て開示された方法によって、それぞれの光の波長に対す
る吸収係数を精密に求めているので、従来の吸光度測定
法で問題となる等価散乱係数の波長依存性を考慮する必
要が無く、またこれによる計測誤差も無くなる。なお、
酸化および還元ヘモグロビンに対して吸収が同一値にな
る波長(≒800nm、isosbestic wavelength)を使用
すれば上記の式はさらに簡単になる。
【0066】(2)吸収成分の時間的変化の計測 上に説明した計測を異なる時間に行えば、吸収成分の時
間的な変化、つまり吸収係数の時間変化、吸収成分の濃
度の時間変化、飽和度の時間変化、等価散乱係数の時間
変化、散乱成分の濃度の時間変化などを計測することが
できる。
【0067】(3)イメージング 前述した方法で得られる散乱吸収情報の計測値は、点状
の変調光入射位置から光検出点に至る直線に沿った紡錘
形の部分に含まれる散乱吸収体内部の光学情報、例え
ば、等価散乱係数、吸収係数、特定成分の濃度、飽和度
などの線積分値であると見做せる。したがって、比較的
薄い(距離rが短い)散乱吸収体に対して、上記のよう
な計測を多箇所で行なえば、これらの2次元分布の計
測、つまりイメージングができる。この場合、距離rで
正規化した値を用いる方が便利であり、このrは一般の
測距装置によって簡単に計測することができる。また、
複数の光検出器を利用することもできる。
【0068】(4)断層像の計測 散乱吸収体の断面に沿う方向の多点計測を行って、上記
の(1)のようにして得られた吸収係数、あるいは特定
成分の濃度を用いて、X線CTの場合と同様にして、断
層像を求めることができる。この場合にも、距離rによ
って正規化した値を使用する。また、複数の光検出器を
利用することもできる。
【0069】(5)計測装置の構成例 図5は、本発明に係る散乱吸収体の光学情報計測装置の
具体的構成例を示す。光源2は、繰り返し信号発生器1
の出力信号で駆動され、所定の2つの角周波数成分
ω1 、ω2 を含む変調光を発生する。なおこの光源は、
複数の波長の異なる光に対して、各光ごとに複数の変調
光を発生することもできる。この場合、複数の異なる波
長の光源からの光を合成する方法と、これらを時間的に
切り換える方法とがある。
【0070】変調光の波長は、波長選択手段3で選択で
きるようにしてある。波長選択された前記変調光は、計
測対象である散乱吸収体22の表面の一点に集光して入
射する。散乱吸収体内部を伝搬した光は、散乱吸収体の
変調光の入射点と対向する位置(光検出点)に開口をも
つ光検出器8によって検出される。第1のユニット10
は、光検出器の信号から、上記所定の2つの角周波数成
分ω1 とω2 についてそれぞれに対応する正弦波を抽出
し、これらと変調光に同期した参照信号(正弦波がよ
い)とを比較して、散乱吸収体を伝搬して変化を受けた
各波に関するパラメータ、例えば位相差を求める。さら
に、散乱吸収体に入射する変調光の波長を変えて、上記
と同様にして所定パラメータを求める。
【0071】第2のユニットである演算処理手段17
は、複数の所定パラメータに基づいて散乱及び吸収に関
する光学情報を演算する。具体的には、前述の(1.1
4)式に示したような所定パラメータである位相差と散
乱吸収体の等価散乱係数及び吸収係数との関係を利用し
て、吸収係数及び等価散乱係数を演算によって求める。
また、異なる波長の変調光に対する複数個の所定パラメ
ータ、つまり複数個の位相差から複数個の吸収係数を求
めさらにこれらの値を用いて特定成分の濃度、ヘモグロ
ビンの飽和度などを演算する。
【0072】また、散乱吸収体に対する変調光の入射点
および光検出点の位置を走査(図示せず)させて、散乱
吸収体各部の吸収に関する情報、例えばヘモグロビンの
飽和度を求めて、フレームメモリー(図示せず)に蓄積
し、これをテレビ方式で読み出せば、飽和度の分布を示
す画像が得られる。表示記録手段18は、このようなデ
ータの表示記録に使用する。この場合には、変調光の入
射点と光検出点との間の距離rを計測して、このrで正
規化した値を用いる。また、これらの値を用いて、X線
CTに見られるような断層像を再構成することもでき
る。
【0073】ここで、散乱吸収体の光学情報計測装置の
各部の構成について説明しておく。これらは、後に述べ
る各種の実施例に使用する。
【0074】2つ以上の所定の周波数成分を含む変調光
は、図6に示すように、レーザーダイオードの電流変調
を利用して発生する。この場合、レーザーダイオードを
駆動する電流は、所定の周波数成分の2つの正弦波を加
算器で加算して発生させる。また。既に述べたように、
この光源はパルス光や方形波を発生するものでよく、レ
ーザーダイオードでは電流変調によってこれらの変調光
が容易に発生できる。また、これらの他に、CWレーザ
ーのビート、光変調器などを利用して変調光を発生させ
る方法もある。さらに、2つの異なる周波数成分は、時
間的に切り換えて、時分割に発生させてもよい。
【0075】波長の異なる変調光は、波長の異なる複数
個の光源で発生することができ、これらを、ハーフミラ
ーを利用して同時あるいは切り換えて、同軸状に出力す
ることができる。また、波長の選択に光スイッチを利用
することもできる。さらに、同軸状にした波長の異なる
変調光は、光入射点の直前、あるいはそのまま散乱吸収
体に入射して光検出器の直前で、波長選択フィルタを利
用して選択する方法も利用できる。
【0076】以上に述べた変調光を生体などの散乱吸収
体に入射するためには、集光レンズ(図7(a))、光
ファイバー(図7(b))、ピンホール(図7(c))
等を利用する方法の他、胃カメラのように体内から入射
する方法(図7(d))などがある。
【0077】散乱吸収体の中を伝搬して変化を受けた変
調光の検出手段は、図8に示すように、直接光検出(図
8(a))、光ファイバーやレンズを介して検出する方
法(図8(b),(c))、特定の周波数成分をヘテロ
ダイン検出する方法(図8(d))などがある。
【0078】所定周波数成分の信号を抽出する信号抽出
手段は、図9に示すように、狭帯域アンプによる方法
(図9(a))、ロックインアンプによる方法(図9
(b))、ヘテロダイン型ロックインアンプ(図9
(c))などがある。ロックインアンプによる方法で
は、変調光と同期した参照信号が必要になる。この参照
信号は、図5に示した繰り返し信号発生器1の出力信号
を利用する。変調光に所定の2つの周波数成分が含まれ
ている場合は、ロックインアンプの入力はそのままにし
ておいて、参照信号のみを切り換える操作によって、所
定の異なる2つの周波数成分の信号の抽出ができる。
【0079】イメージングのための走査手段には、図1
0に示すように、光源(変調光入射位置)−光検出器の
ペアを走査する方法(図10(a))、計測対象である
散乱吸収体を移動する方法(図10(b))等がある。
また、断層像を計測する場合には、X線CTに見られる
ような散乱吸収体の回転走査、あるいは光源(変調光入
射位置)−検出器のペアの回転走査が必要であり、並進
走査と併用することもできる。さらに、図11に示すよ
うに、複数個の光検出器D1 、D2 、……で散乱吸収体
内部をコヒーレントに伝搬して変化を受けた波を検出す
る方法もある。この方法は、イメージングや断層像の計
測に利用できる。ただし、この場合には、それぞれの光
検出器で得られた光学情報を、それぞれの光検出器と変
調光入射位置との距離rで正規化する必要がある。
【0080】以上に説明した変調光の発生、波長の選
択、変調光の入射、光検出、信号抽出、所定パラメータ
検出、走査等は、光源が種々の形の繰り返しパルスを発
生する場合に適用できる。
【0081】さらに、散乱吸収体の中のヘモグロビンの
飽和度、特定成分の濃度、その他の吸収情報、およびそ
れらの断層像などを得るための演算処理は、メモリ、デ
ィスプレイなどを備えるコンピュータ装置によって高速
に実行される。
【0082】4.具体的な実施例 (1)第1の実施例(散乱吸収体の吸収係数等の測定) 本発明に係る散乱吸収体の光学情報計測装置を具体化し
た第1の実施例を図12に示す。
【0083】レーザーダイオードなどを利用した光源2
は、繰り返し信号発生器1からの信号によって、所定波
長の光の変調光I=I0 (2+M1 cosω1 t+M2
cosω2 t)を発生する。ここで、I0 は定数で、M
1 ,M2 は角周波数ω1 ,ω2 に対する変調度で、tは
時間である。
【0084】光源の光の波長は、計測対象に応じて適宜
選ぶ必要がある。一般に生体では、ヘモグロビンなどの
吸収の関係から700nm以上の光が伝搬しやすい。ま
た、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンでは、前出の
図4に示したように、分光透過率が異なるから、複数の
波長を使用することによってこれらを分離して計測する
ことができる。
【0085】変調光に含まれる角周波数ω1 とω2 は、
周波数が高い方が散乱吸収体内部のイメージングなどの
解像度が向上するが、減衰が大きくなる。また、一般に
は、角周波数ω1 とω2 との差が大きい方が計測精度が
向上する。また、変調光源や後段の信号抽出、所定パラ
メータ検出などが簡単になる周波数を選ぶことも得策で
あろう。また、3つ以上の異なる周波数を使用して計測
制度をさらに向上することもできる。
【0086】光源には、レーザーダイオードの他に、H
eNeレーザなど種々のものが使用できるが、変調光を
作るための回路や構成が簡単になるものを選ぶほうが得
策である。また、前述したようなパルス光や方形波光を
発生するものでもよい。変調度は、大きい方が良いが、
小さくても本質的な問題はなく、上記の変調装置の構成
上の得失から決定した方が良い。
【0087】光源にレーザーダイオードを用いる場合に
は、駆動電流を変調することによって数kHzから1G
Hz程度までの変調光が簡単に作れる。1GHz以上に
なると、周波数特性の良いレーザーダイオードと高周波
回路が必要になる。また、前期の複数の周波数成分を含
む変調光は、前述したように、図6に示す回路で簡単に
作れる。また、2つのレーザーダイオードで別々に発生
させたものを合成しても良いし、これらを時間的に切り
換えて使用しても良い。
【0088】以上に説明した光源からの変調光は、光フ
ァイバー4を通って、散乱吸収体である計測対象22に
入射される。この場合、前節で説明したように、変調光
をコリメート光にして集光レンズやピンホールを使用し
ても良い。つまり、散乱吸収体では、拡散長ld =1/
(1−g)μs が3mm程度以下であるため、入射光が
約3mm直進するまでに散乱し、光の方向性がなくな
る。したがって、数mm以上の散乱吸収体を考えれば、
変調光を点状に入射する条件を満足すれば良い。さらに
また、詳細な説明の第1節で述べたように、変調光を太
いビーム状にして散乱吸収体に入射し、この光ビームの
軸上にあって、散乱吸収体の変調光入射位置と反対側に
光検出器を設ける構成でも良い。
【0089】光ファイバー4と計測対象22の間の空間
は、図12の実施例では微小になっている。しかし実際
には、これを大きくして、この空間に計測対象22とほ
ぼ等しい屈折率と散乱係数をもつ液状体やゼリー状物体
(以下、インターフェース材と呼ぶ)を満たしておいて
も良い。つまり、所定周波数成分の波は、このインター
フェース材の中をコヒーレントに伝搬して計測対象に入
射するから問題は生じない。
【0090】光検出器8は、有効受光面を制御するため
に開口6を設けている。この開口6は光を透過しない板
に穴を設けたもので良いが、光ファイバーや光ガイドで
受光して光検出器に導く場合は、光ファイバーや光ガイ
ドの端面が実効的な開口となる。ただし、いずれの場合
にも、受光面以外の場所は、光を吸収する構造にしてお
くことが望ましい。また、光検出用の開口6と計測対象
22との間に前記インターフェース材を入れても良い。
また、散乱吸収体を伝搬する変調光が複数の波長の光を
含む場合には、開口6と光検出器8との間に波長選択フ
ィルタ(図示せず)を入れる。
【0091】光検出器8は、光電子増倍管のほか、光電
管、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオー
ド、PINフォトダイオードなど、あらゆる種類の光検
出器が使用できる。光検出器の選択に際しては、所定波
長の光の所定周波数成分の変調光が検出できる分光感度
特性と周波数特性をもっていれば良い。また、信号光が
微弱になるときは高感度の光検器を使用する。
【0092】光検出器の出力信号は、ロックインアンプ
10に入力される。このロックインアンプ10は、光検
出信号の中から所定周波数成分の波(ここでは、角周波
数がω1 とω2 の波)を正確に抽出して、これを繰り返
し信号発生器1からの参照信号と比較することによっ
て、前記の波に対応する所定のパラメータである位相差
や振幅を検出する。図12では、所定周波数成分の信号
を抽出する機能を信号抽出11、また、所定パラメータ
を検出する機能をパラメータ検出12として表示してい
る。
【0093】図13は、このようなロックインアンプの
主要部の構成を示す。ロックインアンプは、雑音に埋も
れた繰り返し微小信号の中から、参照信号と同一の周波
数成分で一定の位相関係にある信号成分のみを選択的に
高精度で計測することができる。つまり、入力微小信号
を狭帯域増幅し、これと参照信号とを乗算演算、あるい
は同期整流(位相敏感検出、phase sensitive detectio
n とも呼ぶ)し、その積分値を出力する。参照信号は、
計測すべき信号に同期したものであれば何でも良く、本
実施例の場合には、繰り返し信号発生器1の出力信号を
使用する。また、別に設けた光検出器で変調光を受光し
て、その出力信号を参照信号として使用しても良い。
【0094】このようなロックインアンプの各信号波形
を図14に示す。ここで、図14(a)は入力信号、図
14(b)は狭帯域増幅器の出力、図14(c)は位相
回路の出力、図14(d)は乗算器の出力、あるいは同
期整流出力、図14(e)は積分器の出力を示す。ロッ
クインアンプを用いた検出系の信号対雑音比(SN比)
は、系の等価雑音帯域幅△fで決まり、(△f)1/2
逆比例する。
【0095】このロックインアンプでは、図15に示す
ように、図15(b)に示す参照信号に対して位相がθ
だけ遅れた図15(a)に示す信号sin(ωt−θ)
に対応する出力はAcosθとなり、θ=0のとき、同
期整流出力の平均値が最大になる。但し、ここでAは定
数である。したがって、図13に示した位相回路で参照
信号の位相をずらせて、θ=0、つまり同期整流出力を
最大にするときの参照信号の位相のずらせ量から、ロッ
クインアンプの入力信号(図14(a))の位相を知る
ことができる。
【0096】市販のロックインアンプは、数MHzまで
応答する。数MHzから1GHzまでの領域では、動作
原理は同じであるが、高速応答の電子デバイスを用いて
ロックインアンプを構成する必要がある。また、数MH
zから100GHzの領域では、図13に示した広帯域
増幅器の前段にヘテロダイン増幅器を設けるものが一般
的である。これは、ヘテロダイン型ロックインアンプと
呼ばれる。このヘテロダイン型ロックインアンプについ
ては、既に図9(c)にその構成を記載している。ヘテ
ロダイン型ロックインアンプは、入力信号を入力信号の
周波数と局部発振器の発振周波数との差の信号に変換す
る機能をもち、この周波数の差つまり中間周波数が数M
Hz以下となるようにして、この中間周波数信号を前述
のロックインアンプに入力するものである。なお、この
場合、参照信号は前記中間周波数に同期した信号を使用
する。
【0097】なお、市販されている通常のロックインア
ンプでは、上記の光検出器8からの光検出信号から抽出
した所定周波数の信号の振幅Ip あるいは直交する2成
分に分離したときの振幅、及び入力信号と参照信号との
位相差Φなどが出力される。このような出力を出す機能
は、図12の中のロックインアンプ10のパラメータ検
出12に含まれている。
【0098】本実施例では、上記パラメータのうち、入
力信号と参照信号との位相差を利用する。ここで、変調
光入射用の光ファイバーなどで発生する位相遅れなどの
オフセット分を補正した位相差Φを用いれば、このΦ
は、計測対象である散乱吸収体の内部を伝搬した所定周
波数成分の波の位相遅れ、すなわち、前出の(1.8)
式の位相差Φに相当する。このオフセット分は、装置の
構成で決まるもので定数となる。また、実際に測定する
こともできる。このようにして、2つの所定周波数ω1
とω2 に対して、それぞれΦ1 とΦ2 が得られ、これら
は前出の(1.14)式のΦ1 とΦ2 に相当する。
【0099】つぎに、図12の中の演算処理手段17
で、上記で得られたΦ1 とΦ2 から計測対象である散乱
吸収体の吸収係数μa を演算する。具体的には、前出の
(1.14)などを用いてμa を求めるものである。こ
の種の演算は、演算処理手段に組み込んだマイクロコン
ピュータなどで高速、かつ簡単に実行できる。また必要
に応じて、ここで求めたμa の値を用いて計測対象であ
る散乱吸収体の等価散乱係数μs ´、さらには特定吸収
成分の分光吸収率の値を用いて前記吸収成分の濃度など
の光学情報を求める演算を行う。なお、複数の吸収成分
が含まれている場合には、既に述べたように複数の波長
の変調光を使用すれば良い。この場合には、既に述べた
ように、同時に異なる複数の波長の光を含む変調光を使
用する方法と、時分割で異なる複数の波長に対する光学
情報を計測する方法とがある。また、計測対象である散
乱吸収体の変調光の入射位置と光検出位置との距離rを
図12の中の測距器20で測定して、このrの値で前述
の計測を正規化すれば、距離当たりの吸収係数、濃度な
どが求められる。
【0100】以上のような種々の光学情報の計測を上記
とは別の時刻、例えば上記の計測からt1 秒後に同一配
置で行えば、これらの光学情報の時間的変化を計測する
ことができる。前記演算処理手段17は、このようにし
て得た光学情報の値を記憶する機能をもち、図12の中
の表示記録手段18はこれらを表示あるいは記録するも
のである。
【0101】さらに、図12に示した実施例で、計測対
象である散乱吸収体22に対して、変調光の入射位置と
光検出位置のペアを走査または移動(図示せず)させる
こともできる。この場合、前記の種々の光学情報の計測
が異なる時間に異なる場所で行われることになる。い
ま、異なる場所での計測において前記の距離rが一定で
あり、計測対象22が定常状態にあるとすれば、前記光
学情報の空間分布が計測できることになる。また、前記
距離rが場所によって変化する場合には、前記計測器2
0の出力である距離rの値によって正規化した光学情報
を用いる。
【0102】(2)第2実施例(断層像計測装置) 図16は、第2の実施例の装置の構成図で、散乱吸収体
の断層像計測を説明するためのものである。上記第1の
実施例では、一定の光軸方向に対して所定周波数成分の
波を構成する光を検出し、この光軸に対応する散乱吸収
体内部の紡錘形の部分に含まれる種々の光学情報を計測
する。しかし、第2の実施例では、この光軸の方向が計
測対象である散乱吸収体に対して、全ての方向となるよ
うに、計測対象、あるいは変調光入射位置及び光検出位
置のペアを回転走査させて、第1の実施例と同様にして
得られた種々の光学情報を利用して、X線CT(コンピ
ュータトモグラフィー)に見られるような断層像を再構
成する。
【0103】図16に示す構成は、前出の図12と基本
部分は同じであるが、計測対象を保持する部分、波長選
択手段3、光ガイド9、断層像再構成用の信号処理手段
19などが異なる。
【0104】光源2は、繰り返し信号発生器1からの信
号によって、所定波長の光の変調光I=I0 (2+M1
cosω1 t+M2 cosω2 t)を発生する。光源か
らの変調光は、波長選択手段3で波長選択されて、光フ
ィーバ4を通って、インターフェース材23に囲まれた
計測対象22に入射する。インターフェース材23は、
前述のような光学的性質をもち、かつ、光反射の少ない
薄膜の容器で取り囲まれている。したがって、インター
フェース材を入れた容器へ入射する光はこの境界面での
反射が少ない。また、薄膜の表裏面が粗面であれば入射
光はあらゆる方向に進む光の成分をもつ。このようにす
れば、変調波は、インターフェース材と計測対象22を
伝搬し、光検出器8がある反対側に到達する。ここには
光ガイド9があり、この光ガイドを介して、光検出器8
に光が入射する。ここで、光ガイド9の開口の周囲およ
びその光入射用の開口以外の場所のインターフェース材
を入れた容器の内側は、光に対する吸収体にしておくこ
とが望ましい。このようにすることによって、内面での
光反射がなくなり、正確な計測ができる。
【0105】なお、光源用光ファイバー4と、光検出用
ガイド9と、インターフェース材23及びその容器とに
対して、計測対象22は相対的に回転することになる。
したがって、インターフェース容器は、断面の外径が円
形であるが、内側は計測対象に応じた形になり、かつ計
測対象が回転しても隙間ができないような構造にする必
要がある。かかる構造として、基本的には、図16に示
すように計測対象の周囲を包む1個の容器とする方法
と、図17に示すように、容器を光入射側及び出力側の
それぞれに1個づつ用意する方法とがある。いずれにし
ても、重力または圧力を利用してインターフェース材が
光入射および光検出用の開口に密接し、かつ内側が計測
対象に密着するように工夫する必要がある。
【0106】以上のようにして得られる光信号は、上記
第1の実施例と同様にして処理されて、計測対象を貫く
全ての方向の光軸に対応する光学情報が得られる。した
がって、X線CTに見られるような画像再構成を信号処
理手段19で実行し、画像表示記録手段18に断層像を
得ることができる。また、図16の構成で、計測対象を
回転して他を固定としても同様の計測ができる。
【0107】なお、上記の実施例で得られる断層像は、
散乱吸収体内部の吸収係数、散乱係数、特定成分の濃
度、酸化ヘモグロビンの飽和度などの分布である。
【0108】 (3)第3の実施例(複数個の光検出器の利用) 第3の実施例は複数個の光検出器を用いるものである。
前述した(1.1)〜(1.4)式は、散乱吸収体の内
部であれば、どの方向に対しても成立する。したがっ
て、光検出器を複数個用いる図11のような構成が利用
できる。このようにすることによって、光入射点から広
い方向を見たパノラマ像のような散乱吸収体内部の光学
情報の分布が得られる。この場合、複数の光検出器は、
計測対象の外側面の任意の場所に配置することができ
る。これは、一つの光検出器をD1 からD5 まで移動す
る方式に対して、計測時間が短くなるという利点があ
る。さらに、光検出器と光検出器の間隔が広い場合に
は、光入射点を中心にして、光検出器アレイを回転走査
すれば、サンプリング密度の高い画像が得られる。この
場合には、前述の第2の実施例に示したようなインター
フェース材を利用しても良く、このようにすることによ
って、方向によって距離が異なる計測対象の計測ができ
る。
【0109】また、図11の中の複数の光検出器の位置
に、長さの等しい複数の光ファイバーの端面を配置し、
これらの他端を光検出器あるいは光検出器アレイに接続
しても良い。前記の距離rが異なる場合には、このrを
別の方法で測定して、このrの値で種々の得られた光学
情報を正規化した方が良い。また、前述の第2の実施例
に示したようなインターフェース材を利用しても良い。
【0110】 (4)第4の実施例(複数個の光検出器を用いたCT) 第4の実施例は、第2の実施例の断層像計測装置に第3
の実施例で述べた構成を追加するものである。この構成
は、X線CTにおけるファンビーム方式と同様になり、
高速に断層像を得ることができる。
【0111】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明による散乱
吸収体の光学情報計測装置及び方法によれば、散乱成分
の影響と吸収成分の影響をそれぞれ分離して正確に計測
することができ、等価散乱係数、吸収係数、特定成分の
濃度などの光学情報、及びこれらの空間分布や時間的変
化、さらにはこれらの断層面内の分布を計測することが
できる。また、本発明を利用した光学情報計測装置で
は、変調光を使用することから光の利用率が高くなると
ともに、散乱吸収体内部を伝搬する波に対応する位相な
どのパラメータを検出するという原理によって、本質的
に計測精度が高くなるので、人体頭部や胴体部、立ち木
などの植物体などに対して、上記のような光学情報の計
測、これらのイメージング計測、及びこれらの断層像計
測などが可能になる。以上から、本発明は、光を利用し
て散乱吸収体の等価散乱係数、吸収係数、特定成分の濃
度などの光学情報、これらのイメージング、さらにはこ
れらの断層像計測ができるという画期的な発明であり、
学術、産業、社会などに及ぼす影響や効果は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】無限の散乱吸収体中の点光源から出る変調光の
伝搬を示す図。
【図2】有限厚の散乱吸収体とその表面にある点光源か
ら出る変調波を示す図。
【図3】散乱吸収体中の変調光の飛跡を示す図。
【図4】各種生体物質の吸収スペクトルを示す図。
【図5】散乱吸収体の光学情報計測装置を示す図。
【図6】変調光の発生例を示す図。
【図7】変調光の散乱吸収体への入射方法を示す図。
【図8】変調光検出の例を示す図。
【図9】特定周波数成分の信号の抽出例を示す図。
【図10】イメージングのための走査例を示す図。
【図11】複数の光検出器を利用する方法を示す図。
【図12】第1実施例の構成を示す図。
【図13】ロックインアンプの主要部の構成を示す図。
【図14】ロックインアンプの各部の波形を示す図。
【図15】位相がずれた場合を示す図。
【図16】第2実施例の構成を示す図。
【図17】インターフェース容器の例を示す図。
【符号の説明】
1…繰り返し信号発生器、2…光信号発生器、3…波長
選択手段、8…光検出手段、10…信号抽出,パラメー
タ検出手段、17…演算処理手段、18…表示記録手
段、20…測距器、22…計測対象、23…インターフ
ェース材。

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 散乱吸収体内部を伝搬しやすい所定波長
    の光の変調光を発生する光発生手段と、 前記所定波長の光の変調光を散乱吸収体に入射させる光
    入射手段と、 散乱吸収体内部を伝搬して変化を受けた前記変調光を、
    散乱吸収体の外側の表面の直近に置いた開口を介して光
    検出する光検出手段と、 前記光検出手段によって光検出された信号の中から、前
    記変調光を構成する所定周波数成分の信号を抽出する信
    号抽出手段と、 前記信号抽出手段によって抽出された信号と、散乱吸収
    体に入射すべき前記変調光の前記所定周波数成分の信号
    とを比較して、前記所定周波数成分の波の散乱吸収体内
    部の伝搬と、前記波を構成する前記所定波長の光の散乱
    吸収体内部での散乱及び吸収とに関係する所定パラメー
    タを検出するパラメータ検出手段と、 2つ以上の異なる前記所定周波数成分の信号にそれぞれ
    対応する複数個の前記所定パラメータと前記所定周波数
    成分の波が散乱吸収体内部を伝搬するときの前記所定波
    長の光に対する散乱及び吸収との関係に基づき、該関係
    から散乱の影響を消去した関係を利用して、散乱吸収体
    の吸収に関する光学情報を演算する演算処理手段と、 を備える散乱吸収体の光学情報計測装置。
  2. 【請求項2】 前記演算処理手段は、散乱吸収体の散乱
    に関する光学情報を演算処理する手段をさらに備えるこ
    とを特徴とする請求項1記載の散乱吸収体の光学情報計
    測装置。
  3. 【請求項3】 前記光発生手段が発生する前記所定波長
    の光の変調光は、同一波長の光に関して前記2つ以上の
    異なる所定周波数成分を含むものであることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の散乱吸
    収体の光学情報計測装置。
  4. 【請求項4】 前記光発生手段が発生する前記所定波長
    の光の変調光は、散乱吸収体内部の吸収成分に対する吸
    収係数が異なる複数の波長の光の変調光であり、 前記演算処理手段は、前記複数の波長の光の変調光の各
    々に対して前記パラメータ検出手段で得られる複数個の
    前記所定パラメータに基づいて、散乱吸収体内部の特定
    成分の濃度に対応する前記光学情報を演算することを特
    徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の
    散乱吸収体の光学情報計測装置。
  5. 【請求項5】 前記光入射手段からの変調光が入射する
    散乱吸収体を走査させる走査手段と、前記走査手段によ
    る走査に対応する位置信号と前記演算処理手段で得られ
    た前記光学情報とを演算処理して画像化表示する演算表
    示手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至
    請求項4のいずれか一項記載の散乱吸収体の光学情報計
    測装置。
  6. 【請求項6】 前記光入射手段からの変調光が入射する
    散乱吸収体上の位置を散乱吸収体の断面にそって変位さ
    せるとともに、前記光検出器をこれに同期して変位させ
    る変位手段と、前記変位手段による変位に対応する変位
    信号と前記演算処理手段で得られた前記光学情報とか
    ら、散乱吸収体の断層像を再構成する像構成手段とをさ
    らに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のい
    ずれか一項記載の散乱吸収体の光学情報計測装置。
  7. 【請求項7】 前記光検出手段は、散乱吸収体内部を伝
    搬した変調光を個別に検出する複数個の光検出器を備え
    ていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれ
    か一項記載の散乱吸収体の光学情報計測装置。
  8. 【請求項8】 前記所定パラメータは、位相差であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項記
    載の散乱吸収体の光学情報計測装置。
  9. 【請求項9】 前記所定パラメータは、振幅であること
    を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項記載
    の散乱吸収体の光学情報計測装置。
  10. 【請求項10】 散乱吸収体内部を伝搬しやすい所定波
    長の光の変調光を発生する第1ステップと、 前記所定波長の光の変調光を散乱吸収体に入射させる第
    2ステップと、 散乱吸収体内部を伝搬して変化を受けた前記変調光を、
    散乱吸収体の外側の表面の直近においた開口を介して光
    検出する第3ステップと、 前記第3ステップで得られた信号の中から、前記変調光
    を構成する所定周波数成分の信号を抽出する第4ステッ
    プと、 前記第4ステップで抽出された信号と、散乱吸収体に入
    射すべき前記変調光の前記所定周波数成分の信号とを比
    較して、前記所定周波数成分の波の散乱吸収体内部の伝
    搬と、前記波を構成する前記所定波長の光の散乱吸収体
    内部での散乱及び吸収とに関係する所定パラメータを検
    出する第5ステップと、 2つ以上の異なる前記所定周波数成分の信号にそれぞれ
    対応する複数個の前記所定パラメータと、前記所定周波
    数成分の波が散乱吸収体内部を伝搬するときの前記所定
    波長の光に対する散乱及び吸収との関係に基づき、該関
    係から散乱の影響を消去した関係を利用して、散乱吸収
    体の吸収に関する光学情報を演算する第6ステップと、 を備える散乱吸収体の光学情報計測方法。
  11. 【請求項11】 前記第6ステップで得られた散乱吸収
    体の吸収に関する光学情報を利用して、該散乱吸収体の
    散乱に関する光学情報を演算する第7ステップをさらに
    備えることを特徴とする請求項10記載の散乱吸収体の
    光学情報計測方法。
  12. 【請求項12】 前記第1ステップで発生する所定波長
    の光の変調光は、同一波長の光に関して前記2つ以上の
    異なる所定周波数成分を含むものであることを特徴とす
    る請求項10又は請求項11のいずれか一項記載の散乱
    吸収体の光学情報計測方法。
  13. 【請求項13】 前記第1ステップで発生する前記所定
    波長の光の変調光は、散乱吸収体内部の吸収成分に対す
    る吸収係数が異なる複数の波長の光の変調光であり、 前記第6ステップは、前記複数の波長の光の変調光の各
    々に対して得られる複数個の前記所定パラメータに基づ
    いて、散乱吸収体内部の特定成分の濃度に対応する前記
    光学情報を演算することを特徴とする請求項10乃至請
    求項12のいずれか一項記載の散乱吸収体の光学情報計
    測方法。
  14. 【請求項14】 前記第5ステップで得る前記所定パラ
    メータは、位相差であることを特徴とする請求項10乃
    至請求項13のいずれか一項記載の散乱吸収体の光学情
    報計測方法。
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