JPH07209177A - 散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置 - Google Patents

散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計測装置

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JPH07209177A
JPH07209177A JP6083489A JP8348994A JPH07209177A JP H07209177 A JPH07209177 A JP H07209177A JP 6083489 A JP6083489 A JP 6083489A JP 8348994 A JP8348994 A JP 8348994A JP H07209177 A JPH07209177 A JP H07209177A
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incident
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裕 土屋
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和義 太田
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恒幸 浦上
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/47Scattering, i.e. diffuse reflection
    • G01N21/49Scattering, i.e. diffuse reflection within a body or fluid

Abstract

(57)【要約】 【目的】 散乱吸収体の内部情報計測の計測精度を向上
するとともに、散乱吸収体の内部情報の絶対値計測およ
び内部情報の時間変化や空間分布の高精度計測を行う。 【構成】 散乱吸収体の表面に種々の入射角度成分をも
つ所定の波長の光を入射させて、散乱吸収体表面の極近
傍に等価的に点光源あるいは点光源の集まりを生成さ
せ、散乱吸収体内部を拡散伝搬した光を散乱吸収体の外
部で検出し、前記等価光源から発する等方性の光が直ち
に拡散すると見做して光検出信号を演算して第1次情報
である所定のパラメータを検出し、さらにこの所定のパ
ラメータの値を演算処理して第2次情報である散乱吸収
体の内部情報を高精度で計測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は種々の入射角度成分をも
つ光を散乱吸収体に入射し、散乱吸収体の内部を拡散伝
搬した光を検出して、散乱吸収体の内部情報を非侵襲に
計測するもので、散乱吸収体の吸収係数や輸送散乱係数
の絶対値、特定吸収成分や特定散乱成分の絶対量、ヘモ
グロビンの酸素飽和度、及びそれらの時間変化や空間分
布などを計測すること、あるいはそれらの計測精度を高
めることができる散乱吸収体計測方法及び散乱吸収体計
測装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】生体のような散乱吸収体の吸収係数、散乱
係数、輸送散乱係数、あるいは特定吸収成分の濃度や絶
対量、さらにはこれらの時間変化や空間分布などを精密
に測定したいという要請は非常に強く、現在までに連続
光(cw光)や変調光(例えばパルス光、方形波光、正弦
波変調光など)を用いる方法、さらにはこれらに波長の
異なる光を適用する方法(例えば2波長分光法)など、
種々の試みがなされている。また、散乱吸収体の内部を
拡散伝搬する光の振る舞いは、コンピュータによるモン
テカルロシミュレーションで解析・実験・検討できるこ
と、および光拡散理論(Photon Diffusion Theory)によ
って、記述、解析できることが知られている。また、散
乱吸収体計測に関する最近の状況は、例えば次に示す参
考文献1)乃至5)などの文献に詳しく述べられている(な
お、以下では、参考文献を文献番号X)、あるいは文中の
x)で示す)。
【0003】[参考文献] 1) B. C. Wilson and S. L.
Jacques: Optical Reflect
ance andTransmittance of
Tissues: Principle and Ap
plication, IEEE J. Quatum
Electron. Vol.26, No.12,
pp.2186−2199 (1990) 2) M.S. Patterson, J.D. M
oulton, B.C. Wilson, and
B. Chance:Application of
Time−Resolved Light Scatt
ering Measurements toPhot
odynamic Theraphy Dosimet
ry, Proc. SPIE, Vol.1203,
p.62−75 (1990) 3) E.M. Sevick, N.G. Wan
g, and B.Chance: Time−dep
endent PhotonMigration Im
aging, Proc. SPIE, Vol.15
99, p.273−283 (1991) 4) E.M. Sevick, B. Chanc
e, J. Leigh, S. Nioka, an
d M. Maris:Quantitation o
f Time− and Frequency−Res
olved Optical Spectra for
theDetermination of Tiss
ue Oxygenation, Analytica
l Biochemistry Vol.195,p.
330−351 (1991) 5) M.S. Patterson, B. Cha
nce, and B.C. Wilson: Tim
e ResolvedReflectance and
Transmittance for the No
n−Invasive Measurement of
Tissue Optical Propertie
s, Applied Optics, Vol.2
8, No.12, pp.2331−2336(19
89) 6) S.T. Flock, M.S. Patte
rson, B.C. Wilson and D.
R. Wyman: Monte CarloMode
ling of Light Propagation
in Highly Scattering Tis
sues − I: ModelPrediction
s and Comparison with Dif
fusion Theory, IEEE Tran
s. BiomedicalEng., Vol.3
6, No.12, pp.1162−1168 (1
989) しかし、以上のような従来技術では、「いずれの方法や
装置を用いても、十分な計測精度が得られな
1−4)」という大きな問題がある。
【0004】ここで、以上のような従来技術を眺めてみ
ると、比較的計測精度が高いものは、参考文献5)に報告
されている方法や装置、あるいはこれに準拠した方法や
装置2-4)であることがわかる。ところが、このような従
来技術は、散乱吸収体にコリメート光、あるいはほぼコ
リメートな光を入射するものであり、このような光入射
条件が、直接的あるいは間接的に従来技術の大きな問題
点である計測精度を大きく制限する原因になっている。
以下では、本願の発明の目的と新規性の理解を容易にす
るために、従来技術の代表例として、従来技術の中で最
も計測精度が優れていると考えられる前記参考文献5)に
報告されている方法や装置、あるいはこれに準拠した方
法や装置について説明する。このとき、本願の発明の特
徴の一つは、後述するように、種々の入射角度成分をも
つ光を散乱吸収体に入射することであることを念頭に置
いて考えると、以下の説明が理解され易い。また、前記
利用分野や従来技術で、コリメート光以外の光入射を利
用する計測方法や装置について検討や解析をした報告
は、全く知られていない。
【0005】さて、散乱吸収体内部を拡散伝搬する光の
振る舞いは、光拡散理論(Photon Diffusion Theory)に
よって、かなり厳密に記述、解析できることが知られて
いる。つまり、光輸送理論の拡散近似から導かれる光拡
散方程式を解くことによって、散乱吸収体に入射された
光が散乱、吸収されながら散乱吸収体の内部を拡散伝搬
する様子を知ることができる。ところが、散乱吸収体の
大きさが有限であるときは、境界条件を設定して光拡散
方程式を解く必要がある。この境界条件は、散乱吸収体
の外部では、光拡散がないため、拡散伝搬光が存在しな
いということである。
【0006】そこでPattesonらは上記を考慮して、境界
条件を含んだモデルを考案し、そのモデルから境界条件
下の光拡散方程式の解、つまり光子流動率(fluence ra
te)φを導出し、この光子流動率φから導出した光子流
Jの時間波形(後述するように、光子の飛行時間分布に
相当する)が、実際の実験値および前記モンテカルロシ
ミュレーションで得られる結果とほぼ一致することを報
告した5)。このモデルは図20に示すようなもので、次
に列記する条件、仮定、近似、及び負極性の点光源など
が導入されている5)。なお、前記光子流動率φ、光子流
(photon current density) Jなどについては、後で詳
しく説明する。
【0007】(1)入射光は細いコリメート光であり、
散乱吸収体に垂直に入射される。
【0008】(2)入射された光または光子(photon)
は、まず散乱の影響を受けずに距離z0 ′だけ直進し、
その後で拡散が始まると仮定する。
【0009】(3)光子流動率φは、散乱吸収体表面
(自由表面と呼ばれる)で零になると仮定する。
【0010】(4)上記の境界条件を満足させるため
に、散乱吸収体表面の外側z0 ′の位置に、負極性の点
光源を導入する。
【0011】(5)自由表面における光子流Jは、その
自由表面における光子流動率φの勾配(gradient)に比例
すると仮定する(Fickの法則と呼ばれる)。
【0012】ここで、彼らの方法を具体的に説明すると
次のようになる。彼らは、散乱吸収体に垂直に入射する
光は、まず散乱の影響を受けずにz0 ′だけ直進し、そ
の後で拡散が始まると考え、この現象を散乱吸収体のz
0 ′だけ内部の位置に置いた点光源でモデル化した。つ
ぎに、前記の境界条件(つまり自由表面でφ=0)を満
たすために、負極性の点光源を散乱吸収体の外側のz軸
上のz=−z0 ′の位置に仮定した。そして、境界条件
下の光拡散方程式の解、つまり光子流動率φを導出し
た。つぎに、光子流Jは Fick の法則に従うとして、上
記で求めた自由表面における光子流動率φの傾斜から、
散乱吸収体の表面から流出する光子流Jを求めた。な
お、前記正極性の点光源は全方向に光を放射する。ま
た、負極性の点光源は、正極性の点光源と逆の性質をも
つ仮想の点光源であり、負の強度の光を全方向に放射す
ると考える。
【0013】さらに彼らは、上記モデル及びそれから得
られる結果について検討し、上記z0 ′の値が平均自由
行程(mean free path)、つまり1/μS ′、あるいはこ
れにほぼ等しい値になると結論した5)。なお、μS ′は
輸送散乱係数(transport scattering coefficient)であ
る。また、彼らはスラブ状の散乱吸収体を透過する光を
計測する場合についても、上記と同様にしてモデルを検
討し、上記と同様のz0 ′を導入した。
【0014】以来、彼らの知見は、前記利用分野の種々
の計測に応用することが試みられてきたが、現在のとこ
ろ十分な計測精度が得られていないことは、最初に述べ
た通りである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本願の発明は、前述し
た従来技術の問題点を解決して、計測精度を大幅に改善
し、さらには絶対値計測を実現させるものである。以下
では.計測精度を大幅に向上させるという観点から従来
技術の問題点を分析し、これと対比する形で本願の発明
が解決しようとする具体的な課題を説明する。
【0016】光は散乱吸収体の内部でランダムに散乱、
吸収されながら拡散伝搬し、散乱吸収体のほぼ全域に広
がり、その一部が表面に出てくる。このような拡散伝搬
光を散乱吸収体表面に配置した光検出器で検出する場
合、光検出器で検出される個々の光子の飛跡を摸式的に
示すと、その概略は図21のようになる。つまり、図2
1は実際に計測に利用される(光検出器に入射する)光
子の概略の飛跡を示す。この場合、入射光はコリメート
光であり、図中のz0 ′は前記のPattesonらが提案した
0 ′である。但し現在では、後に述べるような本願の
発明者らの検討によって、厳密な意味ではz0 ′≠1/
μS ′であることが明らかになっている。また、図21
の中には、位置P1 (ρ,0)で光を検出する反射型
と、位置P(0,z)で光を検出する透過型の計測法
の様子が合わせて示されている。
【0017】以上のような光子の振る舞いは、入射光強
度の時間変化つまり入射光の光強度の時間波形とは無関
係であるから、入射光が連続光、パルス光、方形波光、
変調光などであっても、上記の様子は変わらない。例え
ば、図22は散乱吸収体に正弦波状の変調光を入射して
内部を拡散伝搬した光を受光し、その検出信号から前記
変調周波数成分の信号のみを抽出して、散乱吸収体の内
部情報を計測する様子を示す。図22に示したように、
ここでも、z′及び−z0 ′の位置に、それぞれ正
極性および負極性の点光源が導入されている。
【0018】以上のことを踏まえて、従来技術の問題点
を列挙すると次のようになる。まず第1の問題は、Patt
esonらが採用したz0 ′=1/μS ′あるいはz0 ′≒
1/μS ′という仮定が成立しないということである。
これは、従来技術の計測精度を大きく制限しているもの
で、高い計測精度を考える場合、以下の理由からこの仮
定が成立しない。
【0019】本願の発明者らは、本願の発明に先立っ
て、散乱吸収体内部の光の振る舞いを詳細に解析・実験
・検討し、厳密にはz0 ′≠1/μS ′であること、及
びz0′の値が散乱吸収体に入射する光の入射角度など
の光入射条件に大きく依存することを見い出した。特に
重要なことであるが、z0 ′=1/μS ′と仮定するこ
とに起因する誤差は、光子流動率φの誤差として問題に
なるだけでなく、光子流動率φから後述するような方法
によって求めた散乱吸収体の吸収係数や輸送散乱係数な
どの誤差を大きく増大させるという重大な問題があるこ
とがわかった。また、上記のPattesonらが報告した結果
と、本願の発明者らのモンテカルロシミュレーションの
結果とは、厳密には一致しない。本願の発明者らのモン
テカルロシミュレーションは、実際の実験結果とよく一
致することが確認してあるので、上記Pattesonらが報告
した結果は、実際の実験結果と厳密には一致しないこと
になる。
【0020】以上から、Pattesonらが報告した方法およ
びこの方法に基づく散乱吸収体の内部情報の計測方法や
装置では、かなり大きな計測誤差が発生することが明ら
かになった。したがって、計測精度の向上を図るには、
より精密な光拡散方程式とその解法あるいは新しいモデ
ルの開発が必要であることが明らかになった。
【0021】また上記から、高精度の計測を行うために
は、上記のz0 ′を未知数として取り扱うか、あるいは
種々の計測に対する光入射条件を工夫してz0 ′が定数
と見做せるようにするなどの対策が必要なことがわか
る。そこで、本願の発明者の一人は、この問題を解決す
る一つの手段として、入射光にパルス光や方形波光を使
用して出力光の時間積分値を利用する散乱吸収体の計測
方法及び装置で、上記z0 ′を未知数として取り扱う方
法及び装置を特願平4−132214(未公開)として
特許出願している。
【0022】第2の問題は、前述したz0 ′の値が、Pa
ttesonらの論文からも明らかなように、散乱係数の異な
る種々の散乱吸収体に対してそれぞれに異なる値となる
ことである。つまり前記のz0 ′は散乱吸収体の輸送散
乱係数の逆数1/μS ′に等しいか、あるいは1/
μS ′にほぼ等しいから、種々の散乱吸収体に対してz
0′は種々の値をとることになる。
【0023】したがって、種々の散乱吸収体に対する計
測精度を向上させるためには、個々の散乱吸収体の
0 ′の値を別の方法で正確に知ることが必要になる。
ところが、上記のz0 ′の値を知ることは、散乱吸収体
の精密な計測つまりμS ′の値を正確に計測することと
等価であるから、話が振り出しに戻ってしまい、結局、
従来技術で散乱吸収体計測の計測精度を向上させること
は困難になる。
【0024】第3の問題は、散乱吸収体内部の拡散伝搬
光の光路が光入射側と光検出側で非対称になることであ
る。これは、前述したように、光入射の直後に光が
0 ′の距離だけ直進することに起因している。したが
って、非対称性の原因となる拡散伝搬光の光路の歪み
は、後で詳しく述べるように、光入射位置の近傍つまり
0<z<z0 ′の場所に顕著に現れる。
【0025】一般に、このような非対称性の取り扱いは
簡単ではなく、散乱吸収体内部の特定成分の絶対量など
を計測するための演算あるいはアルゴリズムの複雑化を
招く。ところが、この複雑さを避けるために何らかの近
似を用いると、計測誤差が増大するという厄介な問題が
ある。また、特定吸収成分などの空間分布を計測する場
合、前記非対称性があると、位置計測に関する演算過程
やそのアルゴリズムが極めて複雑になり、これが間接的
に大きな計測誤差を発生させる原因になるという問題も
ある。このように、第3の問題は、特に散乱吸収体内部
のイメージングや空間分布の計測、あるいは断層像の計
測など場合に、厄介で重大な問題となるので、その改善
が強く望まれる。
【0026】本願の発明の目的は、以上のような従来技
術の問題を解決して、前記利用分野における散乱吸収体
の内部情報計測の計測精度を向上させること、あるいは
散乱吸収体の内部情報の絶対値計測を行うことであり、
さらにはこれらの内部情報の時間変化や空間分布の高精
度計測を行うことである。
【0027】
【課題を解決するための手段】本願の発明は、散乱吸収
体の表面に種々の入射角度成分をもつ光を入射させて、
散乱吸収体の表面近傍に等価的に点光源あるいは点光源
の集まりを生成させ、この等価光源から発する光を用い
て散乱吸収体の内部情報を計測するもので、種々の散乱
吸収体に対する光入射条件を一定にし、かつ散乱吸収体
の表面の近傍に生成される等価光源の位置を正確に特定
できるようにし、さらには拡散伝搬光の光路分布が光入
射側と光検出側で対称となるようにして、種々の散乱吸
収体の内部情報を高精度で計測できるようにするもので
ある。
【0028】すなわち、本願の発明の散乱吸収体計測方
法は、(a)種々の入射角度成分をもつ所定波長の光を
散乱吸収体に入射し、(b)散乱吸収体内部を拡散伝搬
した所定波長の光を光入射位置と異なる位置で検出して
光検出信号を取得し、(c)光検出信号を演算して拡散
伝搬経路における散乱特性及び吸収特性に関係する第1
次情報である所定のパラメータを検出し、(d)拡散伝
搬経路における所定波長の光に対する散乱特性及び吸収
特性と所定のパラメータとの関係に基づいて、所定のパ
ラメータを演算処理して第2次情報である散乱吸収体の
内部情報を算出する、ことを特徴とする。
【0029】ここで、所定波長の光は、散乱吸収体内
部の特定成分に対して吸収係数が異なる複数の波長の光
であり、光検出信号は、それぞれの所定波長の光に対
して取得した複数の信号であり、第1次情報である所
定のパラメータは、それぞれの光検出信号を演算して検
出した複数のパラメータであり、関係は拡散伝搬経路
におけるそれぞれの所定波長の光に対する散乱特性及び
吸収特性とそれぞれの所定のパラメータとの連立関係で
ある、ことを特徴としてもよい。
【0030】また、上記において、光検出信号は、複
数の異なる光入射位置−光検出位置間距離に対応する散
乱吸収体内部の拡散伝搬経路を拡散伝搬した所定波長の
光を検出して取得した複数の信号であり、第1次情報
である所定のパラメータは、それぞれの光検出信号を演
算して検出した複数のパラメータであり、関係は、そ
れぞれの拡散伝搬経路における所定波長の光に対する散
乱特性及び吸収特性とそれぞれの所定のパラメータとの
連立関係である、ことを特徴としてもよい。
【0031】さらに、所定波長の光は変調光とすること
が可能である。また、所定波長の光は、所定変調周波
数成分をもつ変調光であり、第1次情報である所定の
パラメータは、光検出信号を演算して検出した所定変調
周波数成分の信号の位相遅れである、ことを特徴として
もよいし、所定波長の光は、複数の異なる所定変調周
波数成分をもつ変調光であり、光検出信号は、それぞ
れの所定変調周波数成分の変調光に対して取得した複数
の信号であり、第1次情報である所定のパラメータ
は、それぞれの光検出信号を演算して検出した複数の所
定変調周波数成分の信号の位相遅れであり、関係は、
拡散伝搬経路における所定波長のそれぞれの所定変調周
波数成分の変調光に対する散乱特性及び吸収特性とそれ
ぞれの位相遅れとの連立関係である、ことを特徴として
もよい。
【0032】また、第1次情報である所定のパラメータ
は、光量、光入射に対する光検出信号の遅延時間、
光検出信号の時間波形の微分係数、または光検出信
号に含まれる変調光と同一の周波数成分の信号の振幅、
を採用することができる。また、所定波長の変調光
は、複数の異なる所定変調周波数成分をもつ変調光であ
り、光検出信号は、それぞれの所定変調周波数の変調
光に対して取得した複数の信号であり、第1次情報で
ある所定のパラメータは、光検出信号を演算して検出し
たそれぞれの所定変調周波数成分の信号の振幅であり、
関係は、拡散伝搬経路における所定波長のそれぞれの
所定変調周波数成分の変調光に対する散乱特性及び吸収
特性とそれぞれの振幅との連立関係である、ことを特徴
としてもよい。
【0033】本願の発明の散乱吸収体計測装置は、
(a)所定波長の光を発生する光源と、(b)種々の方
向の入射角度成分をもつようにして所定波長の光を散乱
吸収体に入射する光入射手段と、(c)散乱吸収体の内
部を拡散伝搬した所定波長の光を光入射位置と異なる位
置で検出して光検出信号を取得する光検出手段と、
(d)光検出信号を演算して拡散伝搬経路における散乱
特性及び吸収特性に関係する第1次情報である所定のパ
ラメータを検出するパラメータ演算手段と、(e)拡散
伝搬経路における所定波長の光に対する散乱特性及び吸
収特性と所定のパラメータとの関係に基づいて所定のパ
ラメータを演算処理して第2次情報である散乱吸収体の
内部情報を算出する内部情報演算処理手段と、を備える
ことを特徴とする。
【0034】ここで、光源は、散乱吸収体内部の特定
成分に対して吸収係数が異なる複数の所定波長の光を発
生し、光検出手段は、それぞれの所定波長の光に対す
る光検出信号を取得し、パラメータ演算手段は、それ
ぞれの光検出信号を演算して、第1次情報である複数の
所定のパラメータを検出し、内部情報演算処理手段
は、拡散伝搬経路におけるそれぞれの所定波長の光に対
する散乱特性及び吸収特性とそれぞれの所定のパラメー
タとの連立関係に基づいて、所定のパラメータを演算処
理して第2次情報である散乱吸収体の内部情報を算出す
る、ことを特徴としてもよい。
【0035】さらに、光入射手段と光検出手段は、複
数個あり、かつ、複数の異なる光入射位置−光検出位置
間距離に対応するように配置され、光検出手段はそれ
ぞれの光入射位置−光検出位置間距離に対応する散乱吸
収体内部の拡散伝搬経路を拡散伝搬する所定波長の光を
検出して複数の光検出信号を取得し、パラメータ演算
手段はそれぞれの光検出信号を演算して、第1次情報で
ある複数の所定のパラメータを検出し、内部情報演算
処理手段はそれぞれの拡散伝搬経路における所定波長の
光の散乱特性及び吸収特性とそれぞれの所定のパラメー
タとの連立関係に基づいて、所定のパラメータを演算処
理して第2次情報である散乱吸収体の内部情報を演算処
理する、ことを特徴としてもよい。
【0036】また、光源は所定波長の変調光を発生する
光源をとすることが可能である。このとき、光源は所
定波長の所定変調周波数成分をもつ変調光を発生し、
光検出手段は所定波長の所定周波数成分の光を検出して
光検出信号を取得し、パラメータ演算手段は所定周波
数成分に対する光検出信号を演算して、第1次情報であ
る所定変調周波数成分の信号の位相遅れを検出する、こ
とを特徴とするしてもよい。また、光源は所定波長の
複数の異なる所定変調周波数成分をもつ変調光を発生
し、光検出手段は所定波長のそれぞれの所定変調周波
数成分の光を検出して複数の光検出信号を取得し、パ
ラメータ演算手段はそれぞれの光検出信号を演算して、
第1次情報であるそれぞれの所定変調周波数成分の信号
の位相遅れを検出し、内部演算手段は拡散伝搬経路に
おける所定波長のそれぞれの所定変調周波数成分の変調
光に対する散乱特性及び吸収特性とそれぞれの位相遅れ
との連立関係に基づいて、位相遅れを演算処理して第2
次情報である散乱吸収体の内部情報を算出する、ことを
特徴としてもよい。
【0037】
【作用】本願の発明によれば、散乱吸収体の表面に種々
の入射角度成分をもつ所定の波長の光を入射させて、散
乱吸収体表面の極近傍に等価的に点光源あるいは点光源
の集まりを生成させる。この等価光源は等方性の光を発
生するもので、この等価光源から出た光に対して直ちに
光拡散が始まると見做して、光検出信号を演算して第1
次情報である所定のパラメータを検出し、さらにこのパ
ラメータの値を演算処理して第2次情報である散乱吸収
体の内部情報を高精度で計測することが可能になる。こ
の場合、所定のパラメータは光子流(光検出信号に相当
する)、光子流の時間変化(微分値)、光子流の時間積
分値、平均光路長、光検出信号に含まれる特定周波数成
分の信号の振幅や位相遅れなどであり、内部情報は散乱
吸収体の吸収係数や輸送散乱係数の絶対値、特定吸収成
分や特定散乱成分の絶対量、ヘモグロビンの酸素飽和度
の絶対値、及びこれらの時間的変化や空間分布、断層像
などである。また、第2次情報を得るための前記演算処
理は、所定のパラメータの値と、所定波長の光が散乱吸
収体の内部を拡散伝搬するときの拡散伝搬経路における
散乱特性及び吸収特性との関係に基づいて、所定のパラ
メータの値から散乱吸収体の内部情報を演算するもので
ある。このとき、複数の所定の波長の光を利用すること
もでき、この場合には、複数の所定波長の光に対するそ
れぞれの前記関係の連立関係を利用する。
【0038】上記のようにして発生させた拡散伝搬光を
用いて散乱吸収体の内部情報を計測する本願の発明で
は、前記第2次情報を得るための演算処理に用いる関
係、つまり所定のパラメータの値と所定波長の光が散乱
吸収体の内部を拡散伝搬するときの拡散伝搬経路におけ
る散乱特性及び吸収特性との関係において、従来技術の
大きな問題つまり計測精度を大きく制限する原因となる
近似や仮定などによる誤差を大幅に減少させることがで
きるとともに、種類の異なる散乱吸収体に対する光入射
条件を一定にすることができ、かつ散乱吸収体の表面近
傍に生成される前記等価光源の位置を正確に特定するこ
とができ、さらには光入射側と光出力側で拡散伝搬光の
光路分布を対称にすることができるなどの利点が生じる
ため、第2次情報である散乱吸収体の内部情報に対する
計測精度が大幅に改善され、散乱吸収体の内部情報を絶
対値で計測すること、あるいはこれらの計測の精度を高
めること、さらにはこれらの時間変化や空間分布を高精
度で計測することが可能になる。
【0039】
【実施例】本願の発明の実施例の説明に先立ち、本願の
発明の原理について説明する。
【0040】[本願の発明の原理] 1. 種々の入射角度成分をもつ光の散乱吸収体への入
射 本願の発明の特徴の一つは、種々の入射角度成分をもつ
光を散乱吸収体へ入射することである。以下では、まず
この効果などについて説明する。
【0041】散乱吸収体の内部を拡散伝搬する個々の光
子の振る舞いは、コンピュータを利用したモンテカルロ
シミュレーション(Monte Carlo Calculation)によって
解析、実験、検討することができる。このモンテカルロ
シミュレーションの結果は、物理模型や生体試料などを
用いたときの実験結果とよく一致することが知られてい
る。そこで本願の発明者らは、モンテカルロシミュレー
ションによって、種々の入射角度成分をもつ光を散乱吸
収体に入射したときの光の振る舞いを実験・検討・解析
した。
【0042】図1および図2は反射型計測の場合のシミ
ュレーション結果で、散乱吸収体の表面にコリメート光
を垂直に入射したとき(図1参照)と、全ての入射角度
成分をもつ光、つまり等方性の光を入射したとき(図2
参照)の結果が対比して示されている。これらの図1お
よび図2では、散乱吸収体内部の各位置に対して、検出
された光子がそこを通過した頻度が表示されている。な
お、この頻度は光入射点の頻度で正規化してある。した
がって、この図1または図2から、検出された光子がど
の位置をどの程度の頻度で通過したかがわかる。なお、
図1および図2中で、■印、×印、/印、□印となるに
したがって、それぞれ頻度が1/10倍に減少する。
【0043】図1では、入射光が2〜3mm程度直進(■
印部)した後、光拡散が始まっている。これは、前述し
たz0 ′の効果である。この結果、図1では、頻度分布
つまり拡散伝搬光の光路分布が光入射側と光検出側で非
対称となり、光入射側の光路分布が紙面の下向きに伸び
ている。これに対して図2では、光入射直後から光拡散
が始まり、光入射側と光検出側の光路分布がほぼ対称に
なっている。
【0044】このモンテカルロシミュレーションに用い
た条件は、点状の光入射、光入射位置−光検出位置間距
離(単に光検出距離とも呼ばれる)は10mm、光検出器
の直径は2mm、また散乱吸収体の輸送散乱係数は0.4
5mm-1、吸収係数は0.01mm-1である。所定の面積を
もつ領域に複数個の前記点状の光入射を行い、光入射部
の径と光検出器の径が等しくなるようにすれば、前記光
路分布の対称性はさらによくなる。
【0045】図3および図4は透過型計測のシミュレー
ション結果であり、散乱吸収体の表面にコリメート光を
垂直に入射したとき(図3参照)と、等方性の光を点状
に入射したとき(図4参照)の結果が対比して示されて
いる。図3および図4の表示の意味は、前記の図1およ
び図2と同じである。図3では、前記z0 ′の効果がよ
く現れている。また図4では、前記反射型計測の例と同
様に、光入射側と光検出側の光路分布がほぼ対称になっ
ている。
【0046】モンテカルロシミュレーションに用いた条
件は、点状の光入射、光入射位置−光検出位置間距離つ
まり散乱吸収体の厚さは20mm、光検出器の直径は2m
m、また散乱吸収体の輸送散乱係数は0.45mm-1、吸
収係数は0.01mm-1である。この場合にも前記反射型
計測の例と同様に、光入射部の径と光検出器の径が等し
くなるようにすれば、前記光路分布の対称性はさらによ
くなる。
【0047】以上から、本願の発明に利用される次の新
しい重要な知見が得られる。つまり、散乱吸収体に種々
の入射角度成分をもつ光を入射したときは、等価的に点
光源または点光源の集まりが散乱吸収体表面の極近傍に
生成され、この等価光源の位置から光の拡散伝搬が始ま
ると見做してよい。また、散乱係数の異なる散乱吸収体
でも、等価光源はその表面の極近傍に生成されるから、
種類の異なる散乱吸収体の場合でも拡散伝搬が始まる位
置が同一、つまり光入射条件が同一になる。したがっ
て、従来技術の問題点の一つである光入射直後の直進光
の取扱が簡単になり、直進距離に対する近似や仮定を導
入する必要がないため、散乱吸収体の内部情報計測の計
測精度を大幅に向上させることが可能になる。
【0048】さらに、光入射側と光検出側で前記頻度分
布、つまり光路分布が対称になるということは、拡散伝
搬光に対していわゆる相反定理(reciprocity theorem,
可逆定理とも呼ばれる)が成立することを意味してい
る。この場合、光入射点と光検出点を入れ換えても、光
路分布が不変であることを意味する。したがって、この
ような対称性を利用することによって、散乱吸収体の内
部情報計測の計測精度を大きく改善することができる。
また上記の知見は、特定吸収成分の位置などを計測する
場合、さらには散乱吸収体の内部の断層像を再構成する
場合などにおいて、特に大きな効果があることが明らか
である。
【0049】なお、上記では全ての入射角度成分をもつ
光を散乱吸収体に入射する場合について述べたが、実際
の入射光は散乱吸収体、つまり半空間に対して全ての入
射角度成分をもてばよい。また、入射角度分布が制限さ
れる場合について検討すると、入射角度が0°から約3
0°以上の範囲にほぼ均一に分布するとき、上記のこと
がほぼ成立する。したがって、実際の装置で簡便な光学
系を使用する場合には、上記のような入射角度分布につ
いて注意する必要がある。
【0050】2. 新しい数学的モデルの導入 本願の発明者らは、前記光入射条件、つまり種々の入射
角度成分をもつ光を散乱吸収体に入射したときの光の振
る舞いを理論的及び実験的に検討し、境界条件を含めた
新しいモデルを開発し、次のような知見を得た。つま
り、上記のモデルに光拡散理論を適用して導かれる結
果、モンテカルロシミュレーションの結果、および実際
の実験結果との間には、それぞれよい一致が得られると
いう知見である。但し、光拡散理論を利用する場合に
は、境界条件の設定方法、及び光子流動率φから種々の
パラメータの関係を導出する際の近似方法を十分に考慮
する必要がある。つまり、境界条件を適用して光拡散方
程式を解くときに、計測の最終目的である散乱吸収体の
内部情報の値に対する誤差を慎重に見積もって、この誤
差が無視できるような近似を選択して適用する必要があ
る。
【0051】以下では、光拡散方程式と散乱吸収体の光
学定数との関係、及び本願の発明者らによって開発され
た数学的モデルと境界条件との関係を述べる。
【0052】(1)光拡散方程式と散乱吸収体の光学定
数との関係 まず最初に、光拡散方程式、及び散乱吸収体に関する種
々の光学定数などについて述べる。これらの定義や記号
は、後の詳細な説明でしばしば使用される。
【0053】散乱吸収体内部の光の振る舞いを記述する
光拡散方程式は、光子輸送理論の拡散近似から導かれ、
光子流動率(fluence rate) φを用いて、例えば次のよ
うに記述される。
【0054】
【数1】
【0055】ここで、 φ(r,t) :位置 r、時刻 t における光子流動率(fluen
ce rate)〔光子/mm2・sec 〕 但し、r はベクトルである。
【0056】D:光拡散係数(diffusion coefficient)
〔mm〕 μa :吸収係数 (absorption coefficient) 〔mm-1〕 c:散乱吸収体内部の光速度〔mm/sec〕(散乱吸収体の
屈折率によって定まる) S(r,t) :光源〔光子/mm3 ・sec 〕 である。
【0057】インパルス光源はデルタ関数で表されるか
ら、原点(r=0) にt=0 のとき入射する光インパルスは、
次のように表される。
【0058】 S(r,t) =δ(r,t) =δ(0,0) =δ(0) δ(0) …(1.2) したがって、インパルス光入射に対する光拡散方程式は
次のようになる。
【0059】
【数2】
【0060】ここで、δ(0,0) は、原点(r=0) にt=0 の
とき入射する光インパルスである。詳細は省略するが、
公式を用いてこの光拡散方程式の解を求めることができ
る。
【0061】散乱吸収体に関するその他の種々の光学定
数は、 μS :散乱係数 (scattering coefficient) 〔mm-1〕 μS ′:輸送散乱係数 (transport scattering coeffic
ient) 〔mm-1〕 μtr :輸送減衰係数 (transport attenuation coeffi
cient)〔mm-1〕 μeff :有効減衰係数 (effective attenuation coeffi
cient)〔mm-1〕 g :散乱角θに対するcosθの平均値 (mean cos
ine of thescattering angle) ω :散乱吸収体に入射する変調光の変調角周波数 としたとき、 D=〔3 (μa +μS ′)〕-1=(3μtr-1 …(1.4) μS ′=(1−g)μS …(1.5) μtr=μa +μS ′=μa +(1−g)μS …(1.6) μeff =〔3μa (μa +μS ′)〕1/2 ={3μa 〔μa +(1−g)μS 〕}1/2 …(1.7) なる関係にある。
【0062】また、前記の光子流動率φから導出される
パラメータとして、 J:光子流または光子流密度(photon current densit
y) 〔光子/mm2 ・sec 〕 <L>:平均光路長(average optical pathlength) =
c<t> 〔mm〕 但し、<t>は光子流の時間波形の平均遅れ時間あるい
は平均飛行時間 dJ/dt:光子流の時間微分 I:光子流の時間積分値〔光子/mm2 〕 F(ω):光子流Jのフーリエスペクトル Φ:F(ω)の位相遅れ(phase delay)〔radian〕 などがあり、後の詳細説明でしばしば使用される。な
お、光子流密度Jの時間波形は、光子の飛行時間の分布
(time of flight)を表す。また、実際の計測で定量で
きる量は光検出信号であり、この光検出信号を演算し
て、第1次情報である上記の平均光路長、時間積分値、
傾き(微分値)あるいは特定周波数成分の信号の振幅や
位相遅れなどを導出する。なお、本願の発明では、この
ような第1次情報を所定のパラメータと呼ぶ。
【0063】また、光輸送理論では、部分光子流という
概念がある。これは、散乱吸収体内部の単位面積を左か
ら右へ通過する光子流J+ 、及び右から左へ通過する光
子流J- で定義され、正味の光子流を表す光子流Jは部
分光子流の差、つまり、 J=J+ −J- …(1.8) となる。
【0064】ここで、拡散近似を行うと、位置rにおけ
る部分光子流は、 J+ (r)= (1/4) φ(r、t)−(D/2)eS ▽φ(r,t) …(1.9) J- (r)= (1/4) φ(r,t)+(D/2)eS ▽φ(r,t) …(1.10) と表される。但し、eS は上記単位面積の法線方向の単
位ベクトルである。したがって、拡散近似では、(1.
8)式乃至(1.10)式が散乱吸収体内部のあらゆる
場所で成立する。
【0065】(2)境界条件とモデル 光輸送理論によれば、自由表面(便宜上、z=zS とす
る)の光子流動率φは有限の値φ(zS )≠0となり、
図5に示すように、自由表面からz0 だけ離れた位置で
φ=0となる。以上を考慮して、本願の発明者が開発し
た反射型計測のモデルを図6に、また透過型計測のモデ
ルを図7に示す。これらでは、図中の原点に光を入射す
る。また、図中には、上記のような境界条件を満足させ
るために、自由表面から−2z0 の位置に負極性の点光
源が導入してある。この結果、位置z=−z0 で光子流
動率φ(−z0 )=0となる。なお、図中の●は正極性
の点光源、また○は負極性の点光源を示す。
【0066】図6及び図7では、散乱吸収体表面の光入
射点に、種々の入射角度成分をもつ光を入射する。ま
た、図7の透過型モデルでは、光入射側と光検出側の両
方で前記の境界条件を満足させるために、無限個の正極
性と負極性の点光源が導入されている。但し実用上は、
有限個の正及び負の点光源によって、十分な精度で近似
することができる。
【0067】また、上記z0 については、光拡散理論で
は、 z0 =2D …(2.1) となるが、より厳密な光輸送理論では、 z0 =0.7104/μtr=2.1312D …(2.2) となる。
【0068】ここで、拡散近似で求められる光子流動率
φは、散乱吸収体内部の光源及び自由表面から十分に離
れた場所では、きわめて高い精度が得られるが、自由表
面近傍では、かなりよい精度ではあるが、原理的に近似
値しか求められないことを考慮すると、上記z0 は前記
(2.1)式および(2.2)式のいずれの関係を用い
ても、大きな差は生じないと考えてよい。したがって以
下では、(2.1)式、つまりz0 =2Dなる関係に基
づいて説明する。
【0069】なお、通常の計測系では、散乱吸収体に空
気中から光を入射し、空気中で光検出する。この場合、
上記z0 は、厳密には空気の屈折率及び散乱吸収体の屈
折率の関数となる(このことは、例えば参考文献6)に述
べられている)。しかし、散乱吸収体の屈折率はほぼ水
に等しいと見做せるので、両者の屈折率を定数と見做す
と、z0 とDとの関係を示す式は(2.1)式で比例定
数が変化したものとなる。ところが、このような場合で
も、以下に述べることがほぼ同様にして成立することを
証明することができる。さらに、前述のような近似が無
視できないような高い精度が必要な計測では、上記で得
られた光子流動率φに所定の補正を行う必要があり、こ
れについての対策の具体例は後に述べる。
【0070】つぎに、光拡散方程式に適用する具体的な
境界条件を求める。この境界条件は、散乱吸収体の表面
つまり自由表面 rS では、外側から流入する光子流J-
(光子/mm2 ・sec )が、J- =0となることである。
【0071】この境界条件は、(1.10)式から、 J- (rS ) = (1/4) φ(rS ,t) +(D/2)eS ・▽φ(rS ,t) =0 …(2.3) となる。但し、eS は自由表面の法線方向の単位ベクト
ルである。この式は、1次元問題ではさらに、
【0072】
【数3】
【0073】となる。ここで、(dφ/dz)]z
S は、z=zS つまり自由表面zS でのdφ/dz(微
分)の値を表す。また、この境界条件に前述したFic
kの法則を適用すると、前出の(2.1)が導出され
る。
【0074】他方、自由表面zS から流出する光子流J
+ は、上記と同様に(1.9)式から、
【0075】
【数4】
【0076】である。なお、ここで、J=J+ −J-
ある。したがって、自由表面から流出する光子流、つま
り検出される光子流Jは、次の2種の方法で記述でき
る。
【0077】
【数5】
【0078】または、 Jφ=φ(zS ,t)/2 …(2.7) ここで、添字gとφは、それぞれ、光子流動率φの勾配
(gradient)と光子流動率φ、つまりJを導出するのに用
いたパラメータの種類を表す。また、(2.6)式と
(2.7)式とは、本願の発明における光入射位置と光
検出位置との間の距離ρまたはdに対して、z0 =2D
が十分小さいと見做せるとき、両者が等価であることを
証明することができる。
【0079】本願の発明では、上記の2種類の表記法に
よる光子流Jg とJφから導出される2種類の表記法に
よる所定のパラメータ、つまり平均光路長<L>、光子
流の時間微分値、光子流の時間積分値I、光子流のフー
リエ変換F(ω)およびその位相遅れΦなど(第1次情
報)を求めて、この第1次情報から演算処理によって第
2次情報である散乱吸収体の内部情報を定量する。な
お、上記で導出される2種類の表記法による所定のパラ
メータは、何れの場合にも、本願の発明における光入射
位置と光検出位置との間の距離ρまたはdに対して、z
0 =2Dが十分小さいと見做せるとき、両者が等価であ
ることを証明することができる。
【0080】3. 光拡散方程式の解とそれから導出さ
れる種々のパラメータ 次に、前記数学的モデルから光拡散方程式の解つまり光
子流動率φを求め、この光子流動率φから種々の所定の
パラメータに関する関係式を導出する。この導出過程で
近似を適用するときは、計測の最終目的である散乱吸収
体の内部情報の値に生じる誤差が無視できることを確認
しておく必要がある。なお、以下に述べる光拡散方程式
の解、及びそれから導出される種々のパラメータに関す
る関係式は一つの例であり、本願の発明が他の形の解あ
るいはそれから導出される他の形の関係式を用いてもよ
いことは明らかである。
【0081】まず、前出の図6に示した半空間反射型の
モデルにおける光拡散方程式の解は、
【0082】
【数6】
【0083】となる。
【0084】光子流動率φは、図6に示した境界条件下
の光拡散方程式の解であり、この光子流動率φから所定
のパラメータ、つまり光子流J、平均光路長<L>、光
子流の時間積分値I、光子流のフーリエ変換F(ω)、
その位相遅れΦなどを導出することができる。
【0085】ここで注目すべきことは、上記のようにし
て求めた光子流J、平均光路長<L>、光子流の時間積
分値I、さらには光子流のフーリエ変換F(ω)及びそ
の位相遅れΦなどが、2個の未知数つまり吸収係数μa
及び輸送散乱係数μS ′と複数の既知数の関数となるこ
とである。なお、上記の既知数は、散乱吸収体内部の光
速度c、入射光の波長λ、光入射位置−光検出位置間距
離ρ、および変調光の変調成分の角周波数ωなどであ
る。
【0086】したがって、制御あるいは設定可能な既知
数、例えば上記の例では、光入射位置−光検出位置間距
離ρあるいは変調光の変調角周波数ωを2つ以上の異な
る値に設定して計測し、得られた光検出信号つまり計測
値を演算して上記の何れかのパラメータを検出し、この
パラメータに対する上記の関係の2つ以上の連立関係に
基づいて、2個の未知数つまり吸収係数μa および輸送
散乱係数μS ′を演算処理によって算出することが可能
になる。この場合、当然ではあるが、独立な計測値の数
が多いほど上記演算処理の精度が向上する。
【0087】具体的な所定のパラメータとしては、例え
ば次のものがあり、これらは全て(3.1)式から導出
される。また、次に述べる所定のパラメータを表す式
は、本願の発明者らのモンテカルロシミュレーションや
実験結果とよく一致することが確認されている。
【0088】反射型の計測では光検出位置でz=0であ
ることを考慮すると、光子流Jは、
【0089】
【数7】
【0090】
【数8】
【0091】平均光路長<L>は、
【0092】
【数9】
【0093】また、光子流Jの時間積分値Iは、
【0094】
【数10】
【0095】
【数11】
【0096】さらに、光子流Jのフーリエ変換F(ω)
の位相遅れΦは、
【0097】
【数12】
【0098】
【数13】
【0099】となる。ただし、 z0 =2D …(3.9) q2 =ρ2 +(2z0 2 …(3.10) Θ= tan-1(ω/cμa ) …(3.11) である。
【0100】また、(3.7)式と(3.8)式の第2
項は、qμeff 》1あるいはρμeff 》1、かつΘ<
1.5[radian]のとき、−Θ/2となる。
【0101】つぎに、透過型の計測について述べる。前
出の図7に示したスラブ透過型のモデルにおける光拡散
方程式の解は、
【0102】
【数14】
【0103】となる。
【0104】前記反射型計測の場合と同様にして、この
解つまり光子流動率φから、種々の所定のパラメータ、
例えば光子流J、平均光路長<L>、光子流の時間積分
値I、光子流Jのフーリエ変換F(ω)、およびその位
相遅れΦなどを導出することができる。
【0105】ここで重要なことは、反射型計測の場合と
同様に、上記で求めた所定のパラメータつまり光子流
J、平均光路長<L>、光子流Jの時間微分dJ/d
t、光子流Jの時間積分値I、さらには光子流Jのフー
リエ変換F(ω)とその位相遅れΦなどが、吸収係数μ
a 及び輸送散乱係数μS ′の2個の未知数と複数の既知
数で表記できることである。なお、上記の既知数は、散
乱吸収体内部の光速度c、入射光の波長λ、光入射位置
−光検出位置間距離ρ、および変調光の変調成分の角周
波数ωなどである。
【0106】したがって、制御あるいは設定可能な既知
数、例えば上記の例では、光入射位置−光検出位置間距
離ρあるいは変調光の変調角周波数ωを2つ以上の異な
る値に設定して計測し、光検出信号を演算して上記の何
れかのパラメータを検出し、得られたパラメータに対す
る上記の関係の2つ以上の連立関係に基づいて、2個の
未知数つまり吸収係数μa 及び輸送散乱係数μS ′を演
算処理によって算出することが可能になる。この場合、
当然のことであるが、独立な計測値の数が多いほど、上
記演算処理の精度が向上する。
【0107】具体的なパラメータは、例えば次のように
なり、これらは全て(3.12)式から導出される。ま
た、これらのパラメータを表す式は、本願の発明者らの
モンテカルロシミュレーションや実験結果とよく一致す
ることが確認されている。なお、以下の種々の式を誘導
する際に、無限個の正負の点光源で構成されるモデル
は、正負それぞれ2個の点光源で構成されるモデルで十
分に近似できるので、以下ではこの近似を用いて説明す
る。
【0108】透過型計測では光検出位置でρ=0である
ことを考慮すると、2種の光子流Jは、
【0109】
【数15】
【0110】
【数16】
【0111】平均光路長<L>は、4z0 《dのとき、
【0112】
【数17】
【0113】また、光子流Jの時間積分値Iは、
【0114】
【数18】
【0115】
【数19】
【0116】さらに、光子流Jのフーリエ変換F(ω)
の位相遅れΦは、
【0117】
【数20】
【0118】
【数21】
【0119】となる。但し、上記のα3 は、
【0120】
【数22】
【0121】また、2z0 tan(Θ/2)<1/4、z0
《dのとき、 α3 =− tan-1{〔1+exp(−2z0 μeff )〕tan(Θ/2)} …(3.21) となる。
【0122】さらに、α4 は、
【0123】
【数23】
【0124】また、2z0 tan(Θ/2)<1/4、z0
《dのときは、
【0125】
【数24】
【0126】となる。但し上記で、 x=21/2 0 μeff 〔(1+ tan2 Θ)1/2 +1〕1/2 …(3.24) である。
【0127】以上の場合にも反射型計測と同様、z0
2D、およびΘ= tan-1( ω/cμa )である。また、
Θ《1、z0 《dのとき、α3 =α4 =−Θとなる。
【0128】4. 内部情報の計測 光検出手段によって直接得られる信号は光子流Jに相当
する。したがって、散乱吸収体の内部情報計測では、前
記光検出信号を演算して第1次情報である所定のパラメ
ータを抽出し、つぎにこの所定のパラメータと散乱吸収
体内部の拡散伝搬経路における散乱特性及び吸収特性と
の関係に基づいて、第2次情報である散乱吸収体の内部
情報を演算処理によって算出する。この演算処理に際し
て前記関係の連立関係が必要となる場合には、制御ある
いは設定可能なパラメータ、例えば光検出距離や変調光
の変調角周波数などが異なる2つ以上の条件で計測す
る。
【0129】このような計測には、絶対値計測と相対値
計測がある。また、特定吸収成分や特定散乱成分などを
定量計測する場合には、2つ以上の異なる波長の光を利
用する。さらに、上記で求めた内部情報が光入射位置−
光検出位置に対応する拡散伝搬経路に沿った線積分値で
あると見做して、散乱吸収体の断層面に沿った種々の方
向に対する計測で得られた多数のデータを利用して、X
線CTに見られるような断層像を再構成することも可能
になる。
【0130】以下では、これらの中の代表例について述
べる。但し、他の種類の計測に、以下で述べる方法や装
置およびそれらの変形例を応用することは容易に類推で
きる。
【0131】(1)内部情報の絶対値計測 散乱吸収体の内部情報の絶対値を計測する方法は、前記
で求めた所定のパラメータ、つまり光子流J、平均光路
長<L>、光子流Jの時間微分dJ/dt、光子流Jの
時間積分値I、光子流Jのフーリエ変換F(ω)の振幅
などを利用する方法(以下では、略して光強度法と呼
ぶ)と、光子流Jのフーリエ変換F(ω)の位相遅れΦ
などを利用する方法(以下では、略して変調光法と呼
ぶ)に大別できる。換言すれば、前者は(3.2)式乃
至(3.6)式、及び(3.13)式乃至(3.17)
式などで表記される関係を利用する方法である。また後
者は(3.7)式や(3.8)式、及び(3.18)や
(3.19)式などで表記される関係を利用する方法で
ある。以下では、前者の光強度法の代表例として、
(3.5)式で表される関係を利用する方法について述
べる。但し、以下に述べる方法が、同様にして他の光強
度方法に適用できることは明らかである。
【0132】いま、図8に示すように、異なる2つの光
検出距離で、(3.5)式に示した所定のパラメータI
g を計測するものとし、光検出距離をそれぞれρ1 およ
びρ2 とし、これらに対する所定のパラメータの2つの
計測値をそれぞれ、 I[ρ1 ]:検出距離ρ1 での計測値 I[ρ2 ]:検出距離ρ2 での計測値 のように表すことにする。
【0133】なお、図8では1つの光入射位置と2つの
光検出位置を設定したが、2つの光入射位置と1つの光
検出位置を用いても、同様の計測ができることは明らか
である。また、この計測は光検出信号の積分値を利用す
るので、入射光は積分時間が規定できるものであれば、
どんな波形のものでもよい。例えば方形波や連続光でも
よいことは明らかである。
【0134】さて、2つの光検出距離ρ1 とρ2 に対す
る2つの計測値は、(3.5)式から導かれる次の2連
の連立方程式を満足する。
【0135】
【数25】
【0136】ただし、q1 2 =ρ1 2 +(2z0 22 2 =ρ2 2 +(2z0 20 =2D=2/〔3(μa +μS ′)〕 μeff =〔3μa (μa +μS ′)〕1/2 である。
【0137】この連立方程式(4.1)を構成する2連
の式はそれぞれ独立であり、未知数はμa およびμS
の2個である。したがって、計測によって得られる2個
の計測値I[ρ1 ]及びI[ρ2 ]と、既知あるいは別
の方法で測定した値ρ1 及びρ2 を用いて、2個の未知
数μa 及びμS ′を一意的に求めることができる。ま
た、これらの値からμeff やz0 の値を算出することも
できる。
【0138】以上のようにμa とμS ′あるいはμeff
を求めるには、(3.1)式から導かれた2連のそれぞ
れ独立した式であれば、どんな形の式でもよい。また、
以上のような連立方程式を解く計算は、コンピュータを
利用して高速に実行することができる。なお、独立な計
測値の数が多いほど、つまり連立方程式の数が多いほ
ど、前記計算の精度が向上する。
【0139】以上では、計測対象が半空間を占める散乱
吸収体である場合について説明したが、実際には有限の
大きさの散乱吸収体を計測することが多い。この場合、
図8の散乱吸収体の外側で前記の境界条件が満足され、
かつ散乱吸収体内部を拡散伝搬する光に対して光拡散の
条件が成立すればよい。この条件は、検出距離ρ1 及び
ρ2 に比較して散乱吸収体が十分大きいと見做せるとき
に成立する。例えば、図8に示した波線内の部分は、検
出位置に到達する光子の大部分が通過する領域を示す。
このような領域が存在することは、前述した Sevick ら
が報告した散乱吸収体内部のバナナ状の光の束3)、ある
いは本願の発明者らのモンテカルロシミュレーションの
結果(たとえば、図1や図2)からも明らかである。ま
た、上記では、種々の入射角度成分をもつ光を点状にし
て散乱吸収体に入射する。しかし、既に述べたように、
光を入射する部分を有限の面積をもつ領域にしてもよ
く、また、ある程度入射角度分布が制限された光を入射
してもよい。つまり、前者の場合は点光源の集まりと考
えればよい。また後者の場合は、先に述べたように、入
射角度が0°乃至30°以上の範囲に、ほぼ均一に分布
しておれば、それに起因する誤差を無視することができ
る。また、0〜45゜の範囲で均一に分布するようにす
れば、さらに計測精度が向上する。
【0140】さらに、異なる2つの波長λ1 とλ2 の光
に対して上記の計測を行えば、それぞれの波長に対する
吸収係数μa1及びμa2、及びそれぞれの波長に対する輸
送散乱係数μS1′及びμS2′を求めることができる。し
たがって、例えばμa1/μa2の値からヘモグロビンの酸
素飽和度などを算出することができる4)。このような2
波長分光計測では、散乱吸収体に含まれる吸収成分の吸
収係数の波長依存性を利用する。例えば、酸化・還元ヘ
モグロビンや酸化・還元ミオグロビンの計測では、酸化
・還元に対して吸収係数の差が大きい波長の光、例えば
700 nmから1.2μm の波長の光がよく使用される。ま
た、3種以上の波長の光を利用すれば、より精度の高い
計測、あるいはバックグラウンド吸収がある試料の計測
などが可能になる4)
【0141】本願の計測方法及び装置を以上に述べたよ
うな2波長分光計測に応用した場合、2つの波長に対す
る輸送散乱係数μS1′とμS2′の絶対値が求められると
いう、従来例にはない大きな利点が生じる。したがっ
て、従来の2波長分光における仮定、つまり異なる2つ
の波長の光に対する散乱成分の散乱係数が同一または差
があっても極めて小さいという仮定が成立しなくても、
本願の発明による計測方法及び装置では、精度の高い計
測ができる。このように、本願の発明による計測方法や
装置は、従来の2波長分光計測の適用範囲を大幅に拡大
して、計測精度を大きく向上させることができる。な
お、異なる2つの波長に対して輸送散乱係数μS ′が等
しいと見做せる場合には、上記の(4.1)式を変形し
たより簡単な式、あるいはより少ない数の連立関係を利
用することができる。
【0142】また、以上に述べた計測方法と装置は、ス
ラブ状の試料に適用することもでき、この様子を図9に
示す。ただし、図9では1つの位置から光を入射して、
光検出距離の異なる2つの位置で光検出しているが、2
つの位置から光を入射して、光検出距離の異なる2つの
位置で検出しても同様のことができる。但し、このよう
な透過型の計測では、(3.12)式から導出される
式、例えば(3.13)乃至(3.19)式などの連立
関係を利用する。
【0143】ところで、上記で得た内部情報つまり吸収
係数μa や輸送散乱係数μS ′は、光入射位置から光検
出位置に拡散伝搬する光の光路に沿う情報の積算値ある
いは平均値である。したがって、図8示した光入射位置
−光検出位置間の距離、あるいは図9に示した光検出位
置の間隔に比較して、内部情報の変化が十分緩やかであ
る場合には、計測位置つまり光入射位置と光検出位置の
組を散乱吸収体に対して相対的に走査させることによっ
て、各種の内部情報の空間分布の画像化つまりイメージ
ングができる。また、当然ではあるが前記の計測を異な
る時間に行えば、前記内部情報の時間変化を計測するこ
とができ、この種の計測は脳内酸素量などのモニタリン
グに利用される。なお、以上のような画像化演算など
は、メモリ、デイスプレイなどを備えたコンピュータ装
置によって高速に実行される。
【0144】また、上記で求めた吸収係数μa や輸送散
乱係数μS ′が、前記光入射位置−光検出位置に対応す
る拡散伝搬光の拡散伝搬経路に沿った線積分値であると
見做せば、このデータを利用して、X線CTに見られる
ような断層像を再構成することが可能になる。
【0145】(2)表面での光減衰を考慮した絶対値計
測 散乱吸収体に光を入射するとき、あるいは散乱吸収体か
ら光が出射するときに、何らかの光減衰、例えば表面の
着色層などでの吸収があると、前記(1)項に述べた計
測原理に基づいて計測した吸収係数μa や輸送散乱係数
μS ′に誤差が生じる。また、前述した拡散近似による
誤差(拡散近似では、厳密には自由表面での光子流動率
φの近似値しか求められないこと)、さらには光検出器
の量子効率などをこのηに含めて考えることもできる。
【0146】以下では、このような光減衰によって誤差
が発生する可能性がある場合でも、その誤差を発生させ
ない計測方法について説明する。なお、以下では代表例
として(3.5)式で表される関係を利用する場合につ
いて説明するが、(3.1)式や(3.12)式から導
出される他の形の関係を利用する場合についても、同様
にしてμa やμS ′の絶対値を計測することができる。
【0147】いま、上記のような光減衰の減衰率ηとす
ると、計測に利用される光子流は(3.2)式から、
【0148】
【数26】
【0149】となる。
【0150】この(4.2)式から計測に利用される光
子流、つまり光検出信号Jgdの時間積分値であるIgdを
表す式、つまり前出の(3.5)式に対応する式を求め
ると、
【0151】
【数27】
【0152】となる。ただし、q2 =ρ2 +(2z0
2 である。
【0153】明らかに(4.3)式の未知数は、μa
μS ′, 及びηの3個である。したがって、制御あるい
は設定可能な既知数である光検出距離ρを3つ以上の異
なる値に設定して上記のIgdを演算し、得られた3個以
上のIgdに対する上記の関係の連立関係に基づいて、3
個の未知数つまり光減衰率η、吸収係数μa 及び輸送散
乱係数μS ′を算出することが可能になる。さらに、異
なる2つ以上の波長の光に対して上記の計測を行えば、
散乱吸収体内部の特定吸収成分や特定散乱成分の定量計
測を行うことができる。この場合、上記の計算はコンピ
ュータを用いて高速に実行される。また、当然である
が、互いに独立な計測値Igdの数が多いほど上記の計算
精度が向上する。
【0154】このような計測を行うための光入射位置と
光検出位置の関係は、図8及び図9で3つの異なる光検
出距離が得られるようにすること、例えば光検出距離が
異なる3つの位置で光を検出することで実現できる。ま
た、逆に光検出距離の異なる3つの位置に光を入射し
て、1つの光検出位置で光検出する方法を用いてもよ
い。また、前記光減衰率ηが既知である場合、あるいは
別の方法によって測定される場合には、前記(1)項に
述べた方法を利用することができる。
【0155】(3)変調光法による内部情報の計測 変調光法による絶対値計測では、前出の(3.7)式及
び(3.8)式、あるいは(3.18)式及び(3.1
9)式で表されるような位相遅れΦと吸収係数μa 及び
輸送散乱係数μS ′との関係、すなわち一般的にΦ=f
(μa ,μS ′,ω)と表記される関係を利用する。こ
のとき、ωは制御または設定可能なパラメータであるか
ら、2つ以上の異なる角周波数ωに対して前記Φを検出
し、ω1とω2 に対する2つの前記関係の連立関係か
ら、吸収係数μa 及び散乱係数μS′、さらには有効減
衰係数μeff を求めることができる。なおここでは、吸
収係数や輸送散乱係数が、変調光の変調角周波数ωに依
存しないことを利用している。
【0156】上記の計測では、2つ以上の異なる角周波
数の正弦波変調光を使用する方法、異なる2つ以上の角
周波数成分を含む変調光を利用する方法などがある。ま
た、繰り返しパルス光や繰り返し方形波光は、基本周波
数成分とその整数倍の高次の周波数成分をもっているの
で、これらを利用することもできる。
【0157】さらに、上記の計測で、異なる2つ以上の
波長を有する光を使用して、散乱吸収体内部の特定吸収
成分や、特定散乱成分の定量計測を行うこともできる。
この計測の様子は、異なる2つ以上の角周波数の変調光
を用いること以外は、前記(1)項の計測とほぼ同様に
なる。但し、位相遅れΦは、前記(2)項に述べたよう
な光減衰率ηとは無関係であるから、これを考慮する必
要がない。
【0158】以上から明らかなように、ここに述べた変
調光法は1つの光検出距離を用いるので、計測装置の構
成、演算処理などが簡単になるという利点がある。また
このことから、特に、前記(1)項に述べたようなイメ
ージングや断層像計測に有効な方法と装置を提供するこ
とができる。なお、イメージングや断層像計測の原理
は、前記(1)項とほぼ同様であるので、その詳細は略
する。また、当然ではあるが、3種以上の変調角周波数
を利用すれば、計測精度が向上する。さらに、変調光法
と前述した異なる光検出距離での計測法を併用すること
もできる。
【0159】(4)内部情報の相対値計測 前記(1)項乃至(3)項では絶対値計測について説明
した。しかし、相対値として計測された吸収係数の時間
的変化、あるいは吸収係数の空間分布なども有効な情報
である。このような相対値計測では、前記所定のパラメ
ータを適当に選ぶと、未知数を求めるために必要な連立
関係の数を減らすことができる場合がある。
【0160】例えば、2波長分光原理を応用する場合、
2つの異なる波長に対して輸送散乱係数μS ′が一定値
であると見做せるときは、この輸送散乱係数μS ′を一
定値として取り扱うことができ、連立関係の数を減らす
ことができる。さらにμa《μS ′であれば、近似を用
いて、式を簡単化することができる。また、1つの光検
出距離で、異なる時間、異なる位置、あるいは異なる波
長の光を用いて内部情報の相対値を計測することも可能
になる。さらに、前記(2)項で述べた光減衰率ηは2
つの光検出信号の比を取ることによって、消去すること
ができるので、光子流φの時間微分波形を利用した相対
値計測、あるいは近似的な絶対値計測が可能になる。
【0161】以上のようなことは、近似を適用して、前
記(3.2)式乃至(3.8)式、及び(3.13)乃
至(3.19)式などで表される関係を簡単化して変形
することで、容易に理解される。なお、以上のような近
似を用いる方法や手法は、近似などによって計測誤差が
少し増大するという弱点があるが、2次元計測であるイ
メージングや断層像計測が比較的簡単に実行できるとい
う大きな利点がある。
【0162】以下、添付図面を参照して本発明の実施例
を説明する。なお、図面の説明においては同一の要素に
は同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0163】(第1実施例)図10は本願の発明の第1
実施例を示すもので、散乱吸収体9の内部情報、例えば
吸収係数や輸送散乱係数の絶対値を計測する方法及び装
置の構成を示す。この構成では、3種類の光検出距離に
対応する3個の光検出信号が得られるから、3つの前述
した関係の連立関係、例えば3連の連立方程式が得られ
る。したがって、この実施例は未知数が3個以下となる
場合の計測に適用でき、その代表的な適用例は既に動作
原理を説明した「表面での光減衰を考慮した絶対値計
測」である。
【0164】計測ヘッド部10は、計測対象である散乱
吸収体9の表面に近接、あるいは接触させて使用するも
ので、筐体あるいはケースの中に光入射部や光検出器が
収納してある。光源2からの所定波長の光は、光ファイ
バーなどの導光部31を介して、光入射部4に導かれ
る。光入射部4は、後に述べるように、散乱吸収体の表
面の所定部分に種々の入射角度成分をもつ光を入射す
る。この場合、光源2が発生する光は、連続光、パルス
光、方形波光、変調光など、どのような波形をもつもの
でもよい。光源には、レーザーダイオード、発光ダイオ
ード、HeNeレーザーなど、種々のものを使用するこ
とができる。
【0165】光入射部4を介して散乱吸収体9に入射さ
れた光は、散乱吸収体9の内部を拡散伝搬し、その一部
分が光ファイバーなどの導光部32、33及び34を通
過し、それぞれの光検出器62、63及び64で光検出
されて電気信号に変換される。この光検出器には、光電
管、光電子増倍管、フォトダイオード、pinフォトダ
イオード、アバランシェフォトダイオードなど、前記所
定波長の光に感度をもつあらゆる種類の光検出器を使用
することができる。演算処理器7は、前記光検出器6
2、63及び64で得られた光検出信号を演算して第1
次情報である所定のパラメータを抽出し、さらにこの第
1次情報を演算処理して、第2次情報である散乱吸収体
の内部情報を算出して出力する。この演算に際して、通
常、予め設定された3種の光検出距離、あるいは予め別
の方法で測定して求めた3種の光検出距離を既知数とし
て用いる。また、これらの演算処理に際して、光源に同
期した同期信号を必要に応じて利用する。さらに、散乱
吸収体の内部情報に関する演算結果は、表示記録器8に
よって、必要に応じて表示あるいは記録される。
【0166】ここで、上記の第1次情報及び第2次情報
を得るための演算処理について、具体的に説明する。前
記光入射部4から種々の入射角度成分をもつ光が散乱吸
収体に入射されると、既に説明したように、等価的に点
光源または点光源の集まりが散乱吸収体の表面の極近傍
に生成され、この点光源から出た光が直ちに散乱吸収体
の内部を拡散伝搬すると考えてよい。したがって、光検
出器62、63及び64で得られる光検出信号を演算し
て検出した第1次情報、つまり所定のパラメータと、拡
散伝搬光の拡散伝搬経路における吸収特性及び散乱特性
との間には、前述した関係、例えば(3.2)式乃至
(3.8)式に示した関係が成立する。したがって、こ
のような関係に基づいて前記第1次情報である所定のパ
ラメータを演算処理して、第2次情報である散乱吸収体
の内部情報、例えば吸収係数μa や輸送散乱係数μS
を算出することができる。
【0167】上記の計測に用いられるパラメータとして
は、前述した光子流Jg とJφから導出される2種類の
表記法による種々の所定のパラメータ、つまり平均光路
長<L>、光子流Jの時間微分値、光子流Jの時間積分
値などがある。但しここでは、前記光減衰率ηを考慮し
た光計測信号を考えている。例えば、光子流Jは(3.
2)式及び(3.3)式で与えられ、前記光減衰率ηを
考慮した光検出信号は、例えば(4.2)式のようにな
る。また、これと同様にして他の所定のパラメータに対
する関係式を求めることができる。以上のように、第1
次情報である所定のパラメータは、前記(3.2)式乃
至(3.8)式に基づく演算などによって、光検出信号
から求めることができる。
【0168】前記光入射部4は、散乱吸収体の表面の所
定部分に種々の入射角度成分をもつ光を入射させて、散
乱吸収体の表面近傍に点光源あるいは点光源の集まりを
生成するもので、前述のように、入射光の角度分布は0
°乃至30°以上の範囲で、均一に分布させることが望
ましい。また、0〜45゜に範囲で均一に分布するよう
にすると、さらに精度が向上する。具体的な光入射部の
構成例としては、例えば図11および図12に示すよう
な種々のものがあり、以下、図11および図12を用い
て種々の光入射部を具体的に説明する。
【0169】図11(a)はレンズを使用した光入射部
を示す。管状筐体あるいは管状ケース49の端部にレン
ズ41が取り付けてあり、このレンズにコリメート光あ
るいはほぼコリメートな光ビームを入射する。すると、
光ビームはレンズ41で集光されて、散乱吸収体9に入
射する。レンズ41は管状ケース49の先端部から少し
内部に取り付けてあり、管状ケース49の先端を散乱吸
収体に接触させたとき、散乱吸収体9の表面が、丁度、
前記光入射部の集光点あるいは集光点の近傍に配置され
るようにしてある。この場合、散乱吸収体に入射する光
の角度分布はレンズの口径、レンズの焦点距離、光ビー
ムの径、光ビームの発散角度などで定まるから、これら
を適宜に選択することによって、種々の角度成分、例え
ば0°(垂直入射)から30°以上の広い範囲に及ぶ種
々の入射角度成分をもたせることができる。この構成で
は、通常のレンズの他に、ロッドレンズ、フレネルレン
ズなどの種々のレンズを使用することができる。また、
レンズ41に入射する光は光ファイバーで導かれた光な
どでもよい。
【0170】図11(b)は管状ケース49の先端に拡
散体42を配置した光入射部を示す。管状ケース49の
先端に配置した拡散体42を介して散乱吸収体9へ光を
入射するもので、他の部分は前記(a)の構成例と同じ
である。この構成例では、レンズ41から得られる種々
の入射角度成分をもつ光が、拡散体42によってさらに
拡散されるので、より多くの種類の入射角度成分をもつ
光が散乱吸収体に入射される。例えば、完全拡散する拡
散体の場合には、0乃至90°の入射角度成分をもつ光
(半球状になる)が散乱吸収体9に入射される。なお、
この構成では、レンズ41を省略することもできる。ま
た、この構成では、拡散体とほぼ等しい面積をもつ散乱
吸収体の表面の所定の部分に、点光源の集まりを生成す
ることができる。
【0171】図11(c)は光ファイバー43の先端に
拡散体42を付けた光入射部を示す。光ファイバー43
を伝搬してきた光は、拡散体42で拡散されて散乱吸収
体に入射し、拡散体42で拡散された種々の入射角度成
分をもつ光が散乱吸収体9に入射する。光ファイバーに
入射できる光の角度分布、あるいは光ファイバーから出
射する光の角度分布は、光ファイバーの開口数から推定
することができ、市販の光ファイバーでは、通常30°
以下の角度成分の光しか出射されない。ところが、拡散
体を配置した図11(c)の構成では、これより遥かに
多くの角度成分をもつ光を散乱吸収体に入射することが
できる。また、この構成で、拡散体42を散乱吸収体9
の表面に配置し、この拡散体42に光ファイバー43か
らの光を入射する構成にしてもよい。
【0172】図12(a)は散乱吸収体9の表面に配置
した積分球44の中に置いた光源2からの光を、積分球
44の開口部を利用して散乱吸収体9に入射する手段を
示す。光源2からの光は、積分球44の中で多重回反射
され、種々の角度成分をもつ光が積分球44の開口から
出るので、この光が散乱吸収体に入射される。なお、光
源は、積分球に付けたコネクタを介して、電気的に制御
される。
【0173】また、図12(b)は管状ケース49の先
端に微小球レーザー45を付けた光入射部を示す。最近
では、直径が20μm 程度のポリエチレン球にレーザー
用色素をドープした単一球によるレーザー発振が観測さ
れている。この微小球から出る光は種々の角度成分をも
つので、この光を直接散乱吸収体に入射する。
【0174】以上に詳しく説明したように、光入射部は
種々の入射角度成分をもつ光を散乱吸収体に入射させる
ものであれば、どのような構成であってもよい。また、
前記拡散体4は、オパールガラスなど所定の波長の光を
拡散するものであれば、どのようなものでもよい。
【0175】さらに、以上の実施例では3チャンネルの
光検出系を使用しているが、この変形例として、2チャ
ンネル以上の光源を用いる方法、多箇所に配置した4チ
ャンネル以上の光検出系で計測する方法などを用いても
よい。これらの場合、それぞれの光源を時分割点灯する
方法、波長の異なる光源用いる方法などがある。また、
2波長分光の原理を応用する計測では、2つ以上の波長
の異なる光を入射して、それぞれの波長の光に対して第
1次情報である上記のような所定のパラメータを求め、
これらの値から第2次情報である散乱吸収体の内部情報
を演算処理する。これらの場合、2つ以上の波長の異な
る光を時分割で点灯して、これと同期してそれぞれの波
長の光に対する光検出信号を得る方法、2つ以上の波長
の異なる光を同時に入射して、光検出側で波長を選択し
て光検出信号を得る方法、図10に示した装置をそれぞ
れの波長に対して複数個用いる方法などがある。
【0176】また、以上の方法を相対値計測に応用する
こともできる。この場合には、先に説明したように、連
立関係の数を減らせる場合があり、例えば2つの光検出
距離を利用する方法もある。さらに、図10の構成で、
散乱吸収体9に対して、計測ヘッド部10を走査(図示
せず)させれば、散乱吸収体の内部情報の空間分布を計
測することができる。この場合、簡便には、人間の手で
計測ヘッド部10を走査する方法がある。
【0177】(第2実施例)第2実施例の装置は、図1
0を用いて説明した第1実施例の計測ヘッド部10を変
形したもので、人体頭部の内部情報計測に使用する。具
体的には、脳内の酸化ヘモグロビンの濃度あるいはヘモ
グロビンの酸素飽和度などを計測あるいはモニタリング
する装置である。また、構造を少し変形すれば、マラソ
ン中の人の脚の筋肉中の酸化ヘモグロビン濃度の計測あ
るいはモニタリングなどに使用することもできる。
【0178】図13は、このような第2実施例の計測ヘ
ッド部の具体的な構成例を示す。取り付け用のバンドと
一体化された容器11は、鉢巻きのように頭部に装着さ
れ、容器の中に実装した計測部で脳内のヘモグロビンの
酸素飽和度などが計測される。この実施例に示す装置
は、2つの異なる所定波長λ1 とλ2 の光を使用し、そ
の動作は第1実施例の装置とほぼ同じである。但し、図
13では、計測ヘッド部のみが示してあり、光源部、光
検出部、演算処理部、記録表示部などは省略してある。
また、前出の図10で説明したものと同一の機能をもつ
ものには、図10と同一の符号が付けてある。
【0179】光源部(図示せず)からの所定波長λ1
るいはλ2 の光は、光ファイバー43を通過して計測部
に導かれ、光ファイバーの先端に付けた拡散体42を介
して散乱吸収体である頭部に入射される。したがって、
散乱吸収体の表面の所定部分に種々の入射角度成分をも
つ光が入射される。この際、2つの波長は、計測対象で
ある特定吸収成分に対して吸収係数が異なるよう、適宜
に選ばれる必要がある。散乱吸収体である頭部内を拡散
伝搬した光は、光ファイバー35、36及び37で受光
され、それそれ3個の光検出器(図示せず)に導かれ、
そこで電気信号に変換される。
【0180】光ファイバー43には、図14(a)に示
すように2つの波長の光を波長選択で波長を切り換える
方法、あるいは図14(b)に示すように2つの波長の
光を混合する方法などを用いて、光源からの光を導く。
光検出器側では(図示せず)、これらに対応して、バン
ドパスフィルタなどを切り換えて、所定の波長の光を検
出する。この場合、2つの異なる波長の光を時分割で点
灯して、これと同期してそれぞれの波長の光を時分割で
検出する方法もある。また、相対値計測を行う場合に
は、2つの波長の光を混合した光を散乱吸収体に入射し
て、図13に示した3個の光検出器のうち、2個の光検
出器は波長λ1 の光、他の1個の光検出器は波長λ2
光を検出するようにすることもできる。
【0181】さらに以上の構成で、光源や光検出器など
を容器11の中に入れてもよい。この場合、電源や信号
などはコネクタを介して電気的に接続される。
【0182】以上に述べた第2実施例の構成における未
知数は、波長λ1 とλ2 に対する吸収係数μa1とμa2
波長λ1 とλ2 に対する輸送散乱係数μS1′及び
μS2′、及び前記の光減衰率ηであり、未知数の数は5
個になる。したがって、絶対値計測を行うには、5種以
上の光検出信号を得る必要があり、前述した所定のパラ
メータに関する5連の関係に基づいて、第2次情報であ
る内部情報、例えばヘモグロビンの酸素飽和度などが算
出される。
【0183】また、波長λ1 とλ2 に対して輸送散乱係
数が等しいと見做せるとき、つまりμS1′=μS2′のと
きは未知数の数が4個になるから、4個以上の光検出信
号から内部情報を算出することができる。さらに、前記
光減衰率ηが無視できるときは、未知数の数が3個にな
り、3個の光検出信号から内部情報を算出することがで
きる。さらに、内部情報の時間変化などの相対値計測を
行う場合にも、必要な光検出信号の数を減らすことがで
きる場合がある。
【0184】以上のような光検出信号に対する種々の演
算は演算処理器(図示せず)で実行される。この演算
は、第1実施例とほぼ同様であり、コンピュータなどを
利用して高速に実行することができる。
【0185】(第3実施例)図15は本願の発明の第3
実施例を示すもので、変調光を入射して散乱吸収体9の
内部情報、例えば吸収係数や特定吸収成分の濃度を計測
する方法を示す。なお図15の中で、図10及び図13
に示したものと作用あるいは動作が同一であるものにつ
いては、図10及び図13で用いたものと同一の符号が
付けてある。変調光源21で発生した所定波長の変調光
は、2つの所定の角周波数成分ω1 とω2 をもち、光フ
ァイバー43を介して、光入射部4に導かれる。ここで
は、光入射部として前記拡散体を利用している。
【0186】2つ以上の所定の周波数成分を含む変調光
は、図16に示すように、レーザーダイオードの電流変
調を利用して発生させることができる。この場合、レー
ザーダイオードを駆動する電流は、所定の周波数成分の
2つ以上の正弦波を加算器で加算して発生させる。ま
た、変調周波数が異なる2つの変調光を混合して発生さ
せることもできる。また、既に述べたように、上記の計
測では繰り返しパルス光や繰り返し方形波光を利用して
もよい。
【0187】光入射部4は、散乱吸収体の表面に種々の
角度成分をもつ光を入射させるもので、具体的な構成例
としては第1実施例で説明したように種々のものがあ
る。光入射部4を介して散乱吸収体9に入射された光
は、散乱吸収体9の内部を拡散伝搬する。この光の一部
分は、光ファイバー35を通過して光検出器62で電気
信号に変換される。演算処理器7を構成するロックイン
アンプ71は、光検出信号を演算して第1次情報である
所定周波数成分の信号の位相遅れΦを検出する。このと
き、前記変調光に同期した角周波数ωの信号をロックイ
ンアンプ71の参照信号として利用する。具体的には、
ロックインアンプ71を構成する信号検出部72は、ま
ず前記光検出信号から所定の角周波数成分ω1 の信号を
検出し、次段のパラメータ検出部は所定のパラメータつ
まり位相遅れΦ1 を検出する。つぎに、ロックインアン
プ71の参照信号を切り換えて、所定の角周波数ω2
対する位相遅れΦ2 を検出する。なお、前記ロックイン
アンプ71は、これと同等の機能をもつ種々の回路方式
の装置で置き換えることができる。
【0188】内部情報演算部74は、第1次情報である
位相遅れΦと拡散伝搬光の拡散伝搬経路における吸収特
性及び散乱特性との関係、例えば(3.18)式及び
(3.19)式に示した関係を前記のΦ1 及びΦ2 に対
して連立させ、その連立関係に基づいて第2次情報であ
る散乱吸収体の内部情報、例えば吸収係数μa や輸送散
乱係数μS ′を算出する。このとき必要に応じて、測距
器68で計測した距離dを演算に用いる。さらに、これ
らの結果は必要に応じて記録表示あるいは出力される。
【0189】上記の構成で、異なる2つの波長λ1 とλ
2 の光に対して計測を行えば、それぞれの波長に対する
吸収係数μa1及びμa2、及びそれぞれの波長に対する輸
送散乱係数μS1′及びμS2′を求めることができる。し
たがって、例えば特定吸収成分や特定散乱成分の定量、
あるいはヘモグロビンの酸素飽和度などを算出すること
ができる。また、3種以上の波長の光を利用すれば、よ
り精度の高い計測、あるいはバックグラウンド吸収があ
る試料の計測などが可能になる。さらに、複数チャンネ
ルの光検出系を利用することもできる。
【0190】このような2波長分光計測では、2つの波
長に対する輸送散乱係数μS1′とμS2′の絶対値が求め
られるという、従来例にはない大きな利点が生じる。し
たがって、従来の2波長分光における仮定、つまり異な
る2つの波長の光に対する散乱成分の散乱係数が同一ま
たは差があっても極めて小さいという仮定が成立しなく
ても、本願の発明による計測方法及び装置では、精度の
高い計測ができる。このように、本願の発明による計測
方法や装置は、従来の2波長分光計測の適用範囲を大幅
に拡大して、計測精度を大きく向上させることができ
る。なお、異なる2つの波長に対して輸送散乱係数
μS ′が等しいと見做せる場合には、より簡単な式ある
いは関係を利用することができる。
【0191】さらに上記の構成で、散乱吸収体9に対し
て光入射位置と光検出位置を同期して相対的に走査させ
れば(図示せず)、内部情報の空間分布を計測すること
ができる。このとき、複数チャンネルの光検出系を利用
することもできる。また、当然ではあるが前記の計測を
異なる時間に行えば、前記内部情報の時間変化を計測す
ることができ、この種の計測は脳内酸素量などのモニタ
リングに利用される。さらに、上記で求めた吸収係数μ
a や輸送散乱係数μS ′が、前記光入射位置−光検出位
置に対応する拡散伝搬光の拡散伝搬経路に沿った線積分
値であると見做せば、このデータを利用して、X線CT
に見られるような断層像を再構成することが可能にな
る。
【0192】以上のような演算は、通常、メモリ、デイ
スプレイなどを備えたコンピュータ装置によって高速に
実行される。
【0193】(第4実施例)図17は本願の発明の第4
実施例の構成を示すもので、人体頭部や生体内部の内部
情報計測に使用される。具体的には、脳内や筋肉内の酸
化ヘモグロビンの濃度あるいはヘモグロビンの酸素飽和
度などを計測あるいはモニタリングすることができる。
この実施例は、反射型計測に変調光法を適用したもので
ある。なお、図17の中では、図10、図13、及び図
15に示したものと作用あるいは動作が同一であるもの
は、それらと同一の符号を付けた。
【0194】変調光源21は2つの所定の角周波数成分
ω1 とω2 をもち、光ファイバーなどの導光部31を介
して、光入射部4に導かれる。光入射部4は、散乱吸収
体表面に種々の入射角度成分をもつ光を入射させるもの
で、具体的な構成例としては第1実施例で説明したよう
に種々のものがある。光入射部4を介して散乱吸収体9
に入射された光は、散乱吸収体9の内部を拡散伝搬し、
その光の一部は導光部32を通過して光検出器62で電
気信号に変換される。演算処理器7は、前記実施例3と
同様にして、光検出信号を演算して第1次情報である所
定周波数成分の信号の位相遅れΦを検出し、第2次情報
である散乱吸収体の内部情報、例えば吸収係数μa や輸
送散乱係数μS ′を算出する。このとき、前記変調光に
同期した角周波数ωの信号を参照信号として利用する。
さらに、これらの結果は必要に応じて記録表示あるいは
出力される。
【0195】2つ以上の所定の周波数成分を含む変調光
は、レーザーダイオードの電流変調を利用して発生させ
る方法、変調周波数が異なる2つの変調光を混合して発
生させる方法を利用することができる。また、既に述べ
たように、上記の計測では繰り返しパルス光や繰り返し
方形波光を利用してもよい。
【0196】この実施例でも、前記の第3実施例と同様
にして、異なる2つの波長λ1 とλ2 の光を利用して、
それぞれの波長に対する吸収係数μa1及びμa2、及びそ
れぞれの波長に対する輸送散乱係数μS1′及びμS2′を
求めることができる。したがって、例えば特定吸収成分
や特定散乱成分の定量、あるいはヘモグロビンの酸素飽
和度などを算出することができる。また、3種以上の波
長の光を利用すれば、より精度の高い計測、あるいはバ
ックグラウンド吸収がある試料の計測などが可能にな
る。さらに、複数チャンネルの光検出系を利用すること
もできる。また、異なる2つの波長に対して輸送散乱係
数μS ′が等しいと見做せる場合には、より簡単な式あ
るいは関係を利用することができる。また、以上の方法
を相対値計測に応用することもできる。この場合には、
先に説明したように、連立関係の数を減らせる場合があ
る。さらに、図17の構成で、散乱吸収体9に対して、
計測ヘッド部10を走査(図示せず)させれば、散乱吸
収体の内部情報の空間分布を計測することができる。こ
の場合、簡便には、人間の手で計測ヘッド部10を走査
する方法がある。
【0197】以上のような演算は、通常、メモリ、デイ
スプレイなどを備えたコンピュータ装置によって高速に
実行される。また、計測ヘッド部10は、第2実施例に
示したように、バンドに取り付ける構造としてもよい。
【0198】(第5実施例)図18は、第5実施例の散
乱吸収体の断層像計測装置の構成を示す。この第5実施
例では、変調光入射点と光検出点を結ぶ計測線が、散乱
吸収体の所定の断面内において、あらゆる方向となるよ
うに、計測対象である散乱吸収体を回転、あるいは逆に
変調光入射部と光検出器のペアを回転走査させて計測す
る。そして得られた第2次情報をさらに演算処理して、
種々の内部情報に関する断層像を再構成する。
【0199】図18に示す構成は、前出の図15と基本
部分は同じであるが、計測対象92を保持する部分、波
長選択器22、光ガイド38、断層像再構成用の信号処
理器75などが異なる。光源2は発振器25からの信号
に同期して、2つの所定の波長の光の変調光を発生す
る。この変調光は、2つの所定の角周波数成分ω1 とω
2 をもち、その光強度I(t)は、例えばI=I0 (2
+M1 cosω1 t+M2 cosω2 t)のようにな
る。
【0200】以上のような変調光は、波長選択器22で
波長選択されて、λ1 またはλ2 の何れかの波長の変調
光が光ファイバー43を通って、インターフェース材9
1に囲まれた計測対象92に入射する。インターフェー
ス材91は、計測対象92とほぼ等しい屈折率とほぼ等
しい輸送散乱係数をもつ液状物体あるいはゼリー状物体
である。また、インターフェース材91は、光反射の少
ない薄膜の容器93で取り囲まれている。したがつて、
インターフェース材91を入れた容器93へ入射する光
はその境界面での反射が少ない。また、薄膜容器93の
表裏面が粗面であれば入射光はあらゆる方向に進む成分
をもつ。このようにすれば、拡散光はインターフェース
材91と計測対象92の内部を拡散伝搬し、光検出部に
到達する。光検出部には光ガイド38があり、この光ガ
イド38を介して、検出光が光検出器62に入射する。
ここで、光ガイド38の開口部の周辺のインターフェー
ス材91を入れた容器93の内側は、光吸収体にしてお
くことが望ましい。このようにすることによって、内面
での光反射がなくなり、正確な計測ができる。
【0201】なお、光ファイバー43、光ガイド38、
インターフェース材91および容器93に対して、計測
対象92が相対的に回転することになる。したがって、
容器93は断面の外径は円形であるが、内側は計測対象
92に対応した形になり、かつ計測対象92が回転して
も隙間ができないような構造にする必要がある。かかる
構造として、例えば図18に示すように計測対象92の
周囲を包む1個の容器とする方法と、容器を光入射側と
出力側のそれぞれに1個ずつ用意する方法とがある。い
ずれにしても、重力または圧力を利用してインターフェ
ース材91が光入射および光検出用の開口に密接し、か
つ内側が計測対象92に密着するように工夫する必要が
ある。
【0202】以上のような構成によって、まず所定の波
長λ1 に対する光検出信号が、第4実施例と同様にして
演算処理器で演算処理されて、第2次情報、例えば波長
λ1における吸収係数μa1が算出される。このような第
2次情報は、計測対象の所定の断面を種々の方向から計
測したデータ、例えば回転角1°毎に全方向から計測し
た360個のデータである。このような第2次情報は、
光入射位置と光検出位置を結ぶ直線、つまり拡散伝搬経
路に沿った吸収係数の線積分値と見做なせるから、信号
処理器75で、X線CTに見られるような画像再構成を
行って、例えば波長λ1 における吸収係数の断層像を算
出し、これを前記信号処理器に備えられた第1の画像メ
モリー(図示せず)に記憶する。
【0203】つぎに、波長選択器22で変調光の波長を
所定の波長λ2 に切り換えて、上記と同様の計測を行
い、前記と同様にして再構成画像、例えば波長λ2 にお
ける吸収係数μa2の断層像を信号処理器75に備えられ
た第2の画像メモリー(図示せず)に記憶する。さらに
信号処理器75は、波長λ1 と波長λ2 における断層像
を演算処理して、特定吸収成分の濃度の断層像、あるい
はヘモグロビンの酸素飽和度の断層像などを算出する。
さらにこれらの結果は、画像表示記録器81に表示記録
される。
【0204】なお、上記の実施例で得られる断層像は、
散乱吸収体内部の吸収係数、散乱係数、特定成分の濃
度、酸化ヘモグロビンの飽和度などの分布である。ま
た、上記の説明では、制御あるいは設定可能な既知数と
して、変調角周波数ω1 とω2 及び波長λ1 とλ2 を用
いたが、これらは計測目的に応じて、それぞれの数を増
減することができる。
【0205】
【発明の効果】以上に述べたように、本願の発明によれ
ば、散乱吸収体に種々の入射角度成分をもつ光を入射し
て、散乱吸収体の表面の極近傍に等価的な点光源あるい
は点光源の集まりを生成して、散乱吸収体の内部情報を
計測するので、計測精度が大幅に向上し、高精度の絶対
値計測が可能になる。また、輸送散乱係数や吸収係数が
異なる種々の散乱吸収体に対して、等価光源が生成され
る位置が一定になるので、これらに対する内部情報計測
の精度を大幅に向上させることができる。さらに、散乱
吸収体内部の拡散伝搬光の拡散伝搬経路が、光入射側と
光検出側で対称になるので、内部の特定位置の情報を求
めるための演算処理が簡単になるとともに、その計測精
度が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】散乱吸収体内部の光の振る舞い(反射型;コリ
メート光入射)の説明図である。
【図2】散乱吸収体内部の光の振る舞い(反射型;等方
性光入射)の説明図である。
【図3】散乱吸収体内部の光の振る舞い(透過型;コリ
メート光入射)の説明図である。
【図4】散乱吸収体内部の光の振る舞い(透過型;等方
性光入射)の説明図である。
【図5】自由表面近くの光子流動率φの説明図である。
【図6】反射型計測のモデルの説明図である。
【図7】透過型計測のモデルの説明図である。
【図8】内部情報の絶対値計測(反射型計測)の説明図
である。
【図9】内部情報の絶対値計測(透過型計測)の説明図
である。
【図10】第1実施例の装置の構成図である。
【図11】光入射部の具体的な構成図である。
【図12】光入射部の具体的な構成図である。
【図13】第2実施例の装置の構成図である。
【図14】波長の異なる光の切り換え方法と混合方法の
説明図である。
【図15】第3実施例の装置の構成図である。
【図16】レーザーダイオードによる変調光の発生方法
の説明図である。
【図17】第4実施例の装置の構成図である。
【図18】第5実施例の装置の構成図である。
【図19】インターフェース容器の変形例の説明図であ
る。
【図20】散乱吸収体内部の光子流動率φを求めるため
のモデル(従来例)の説明図である。
【図21】コリメート光入射に対する散乱吸収体内部の
光の振る舞いの説明図(従来例)である。
【図22】変調光(コリメート光)入射に対する散乱吸
収体内部の光の振る舞いの説明図(従来例)である。
【符号の説明】
10…計測ヘッド、11…ケース、2…光源、21…変
調光源、22…波長選択器、25…発振器、31,3
2,33,34…導光部、35,36,37,43…光
ファイバー、38…光ガイド、4…光入射部、41…レ
ンズ、42…拡散体、44…積分球、45…微小球レー
ザー、48…コネクター、49…管状ケース、62,6
3,64…光検出器、68…測距器、7…演算処理器、
71…ロックインアンプ、72…信号検出部、73…パ
ラメータ演算部、74…内部情報演算部、75…信号処
理器、8…表示記録器、81…画像表示記録器、9…散
乱吸収体、91…インターフェース材、92…計測対
象、93…容器

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 種々の入射角度成分をもつ所定波長の光
    を散乱吸収体に入射し、 前記散乱吸収体内部を拡散伝搬した前記所定波長の光を
    前記光入射位置と異なる位置で検出して光検出信号を取
    得し、 前記光検出信号を演算して拡散伝搬経路における散乱特
    性及び吸収特性に関係する第1次情報である所定のパラ
    メータを検出し、 前記拡散伝搬経路における前記所定波長の光に対する散
    乱特性及び吸収特性と前記所定のパラメータとの関係に
    基づいて、前記所定のパラメータを演算処理して第2次
    情報である散乱吸収体の内部情報を算出する、 ことを特徴とする散乱吸収体計測方法。
  2. 【請求項2】 前記所定波長の光は、散乱吸収体内部の
    特定成分に対して吸収係数が異なる複数の波長の光であ
    り、 前記光検出信号は、それぞれの所定波長の光に対して取
    得した複数の信号であり、 第1次情報である前記所定のパラメータは、それぞれの
    光検出信号を演算して検出した複数のパラメータであ
    り、 前記関係は、前記拡散伝搬経路におけるそれぞれの所定
    波長の光に対する散乱特性及び吸収特性とそれぞれの所
    定のパラメータとの連立関係である、 ことを特徴とする請求項1記載の散乱吸収体計測方法。
  3. 【請求項3】 前記光検出信号は、複数の異なる光入射
    位置−光検出位置間距離に対応する散乱吸収体内部の拡
    散伝搬経路を拡散伝搬した前記所定波長の光を検出して
    取得した複数の信号であり、 第1次情報である前記所定のパラメータは、それぞれの
    光検出信号を演算して検出した複数のパラメータであ
    り、 前記関係は、それぞれの前記拡散伝搬経路における所定
    波長の光に対する散乱特性及び吸収特性とそれぞれの前
    記所定のパラメータとの連立関係である、 ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに
    記載の散乱吸収体計測方法。
  4. 【請求項4】 前記所定波長の光は変調光である、こと
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の
    散乱吸収体計測方法。
  5. 【請求項5】 前記所定波長の光は、所定変調周波数成
    分をもつ変調光であり、 第1次情報である前記所定のパラメータは、前記光検出
    信号を演算して検出した前記所定変調周波数成分の信号
    の位相遅れである、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記
    載の散乱吸収体計測方法。
  6. 【請求項6】 前記所定波長の光は、複数の異なる所定
    変調周波数成分をもつ変調光であり、 前記光検出信号は、それぞれの前記所定変調周波数成分
    の変調光に対して取得した複数の信号であり、 第1次情報である前記所定のパラメータは、それぞれの
    前記光検出信号を演算して検出した複数の前記所定変調
    周波数成分の信号の位相遅れであり、 前記関係は、前記拡散伝搬経路における前記所定波長の
    それぞれの前記所定変調周波数成分の変調光に対する散
    乱特性及び吸収特性とそれぞれの前記位相遅れとの連立
    関係である、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記
    載の散乱吸収体計測方法。
  7. 【請求項7】 第1次情報である前記所定のパラメータ
    は光量である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4
    のいずれかに記載の散乱吸収体計測方法。
  8. 【請求項8】 第1次情報である前記所定のパラメータ
    は光入射に対する前記光検出信号の遅延時間である、こ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の散乱吸収体計測方法。
  9. 【請求項9】 第1次情報である前記所定のパラメータ
    は光検出信号の時間波形の微分係数である、ことを特徴
    とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の散乱吸
    収体計測方法。
  10. 【請求項10】 第1次情報である前記所定のパラメー
    タは前記光検出信号に含まれる前記変調光と同一の周波
    数成分の信号の振幅である、ことを特徴とする請求項4
    記載の散乱吸収体計測方法。
  11. 【請求項11】 前記所定波長の変調光は、複数の異な
    る所定変調周波数成分をもつ変調光であり、 前記光検出信号は、それぞれの前記所定変調周波数の変
    調光に対して取得した複数の信号であり、 第1次情報である前記所定のパラメータは、前記光検出
    信号を演算して検出したそれぞれの前記所定変調周波数
    成分の信号の振幅であり、 前記関係は、前記拡散伝搬経路における前記所定波長の
    それぞれの前記所定変調周波数成分の変調光に対する散
    乱特性及び吸収特性とそれぞれの前記振幅との連立関係
    である、 ことを特徴とする請求項4記載の散乱吸収体計測方法。
  12. 【請求項12】 所定波長の光を発生する光源と、 種々の方向の入射角度成分をもつようにして前記所定波
    長の光を散乱吸収体に入射する光入射手段と、 散乱吸収体の内部を拡散伝搬した前記所定波長の光を前
    記光入射位置と異なる位置で検出して光検出信号を取得
    する光検出手段と、 前記光検出信号を演算して前記拡散伝搬経路における散
    乱特性及び吸収特性に関係する第1次情報である所定の
    パラメータを検出するパラメータ演算手段と、 前記拡散伝搬経路における前記所定波長の光に対する散
    乱特性及び吸収特性と前記所定のパラメータとの関係に
    基づいて、前記所定のパラメータを演算処理して第2次
    情報である散乱吸収体の内部情報を算出する内部情報演
    算処理手段と、 を備えることを特徴とする散乱吸収体計測装置。
  13. 【請求項13】 前記光源は、散乱吸収体内部の特定成
    分に対して吸収係数が異なる複数の所定波長の光を発生
    し、 前記光検出手段は、それぞれの前記所定波長の光に対す
    る前記光検出信号を取得し、 前記パラメータ演算手段は、それぞれの前記光検出信号
    を演算して、第1次情報である複数の前記所定のパラメ
    ータを検出し、 前記内部情報演算処理手段は、前記拡散伝搬経路におけ
    るそれぞれの前記所定波長の光に対する散乱特性及び吸
    収特性とそれぞれの所定のパラメータとの連立関係に基
    づいて、前記所定のパラメータを演算処理して第2次情
    報である散乱吸収体の内部情報を算出する、 ことを特徴とする請求項12記載の散乱吸収体計測装
    置。
  14. 【請求項14】 前記光入射手段と前記光検出手段は、
    複数個あり、かつ、複数の異なる光入射位置−光検出位
    置間距離に対応するように配置され、 前記光検出手段は、それぞれの前記光入射位置−光検出
    位置間距離に対応する散乱吸収体内部の拡散伝搬経路を
    拡散伝搬する前記所定波長の光を検出して複数の光検出
    信号を取得し、 前記パラメータ演算手段は、それぞれの前記光検出信号
    を演算して、第1次情報である複数の所定のパラメータ
    を検出し、 前記内部情報演算処理手段は、それぞれの前記拡散伝搬
    経路における前記所定波長の光の散乱特性及び吸収特性
    とそれぞれの所定のパラメータとの連立関係に基づい
    て、前記所定のパラメータを演算処理して第2次情報で
    ある散乱吸収体の内部情報を演算処理する、 ことを特徴とする請求項12乃至請求項13のいずれか
    に記載の散乱吸収体計測装置。
  15. 【請求項15】 前記光源は所定波長の変調光を発生す
    る光源である、ことを特徴とする請求項12乃至請求項
    14のいずれかに記載の散乱吸収体計測装置。
  16. 【請求項16】 前記光源は、所定波長の所定変調周波
    数成分をもつ変調光を発生し、 前記光検出手段は、前記所定波長の前記所定周波数成分
    の光を検出して光検出信号を取得し、 前記パラメータ演算手段は、前記所定周波数成分に対す
    る前記光検出信号を演算して、第1次情報である前記所
    定変調周波数成分の信号の位相遅れを検出する、ことを
    特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載
    の散乱吸収体計測装置。
  17. 【請求項17】 前記光源は、所定波長の複数の異なる
    所定変調周波数成分をもつ変調光を発生し、 前記光検出手段は、前記所定波長のそれぞれの所定変調
    周波数成分の光を検出して複数の光検出信号を取得し、 前記パラメータ演算手段は、それぞれの前記光検出信号
    を演算して、第1次情報であるそれぞれの所定変調周波
    数成分の信号の位相遅れを検出し、 前記内部演算手段は、前記拡散伝搬経路における前記所
    定波長のそれぞれの前記所定変調周波数成分の変調光に
    対する散乱特性及び吸収特性とそれぞれの前記位相遅れ
    との連立関係に基づいて、前記位相遅れを演算処理して
    第2次情報である散乱吸収体の内部情報を算出する、 ことを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれか
    に記載の散乱吸収体計測装置。
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