JPH10219798A - 強制サイホン洗浄装置の切換弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】小口径の給水管であっても、強制的にサイホン
作用を発生させることのできるこの種の洗浄装置に用い
る切換弁を提供する。 【解決手段】便器本体１のトラップ３よりも下流側の排
水路２の途中に、第２のトラップ３４を設け、両トラッ
プ３，３４間の空間２２を負圧にすることにより、強制
的にサイホン作用を起動させるようにした強制サイホン
洗浄装置１１に用いる切換弁１２である。而して、切換
弁１２の弁体１９内に便器洗浄水の流路２７を設け、該
流路２７の途中に、負圧を発生させるためのアスピレー
タ２８を弁体１９の回転軸と平行に設ける。切換弁１２
の弁ケース１８には、給水口１７と、便器洗浄水の流出
口２０と、両トラップ間の空間２２へ連通する吸引口２
３とが形成されている。またアスピレータ２８の負圧域
は吸引口２３へ連通可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、便器洗浄に際し、
排水路のトラップの流出側を満水にしてサイホン作用を
発生させ、大きな吸引力により便鉢内の汚物等を搬出す
るサイホン式大便器であって、しかも給水方式が洗浄タ
ンクを持たない給水管直結方式の洗浄装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】通常、図７に示すように、サイホン式の
大便器は、便器本体１の排水路２の途中にトラップ３を
設けると共に、トラップ３の流出側に絞り４を形成して
いる。そして、便器本体１の後部上面５に形成された接
続孔６へ給水管（図示せず）を連通接続し、給水室７か
らリム通水路８とゼット孔９とへ分岐して洗浄水を供給
するようになっている。つまり、この図７に示す大便器
は、サイホンゼット式のものである。

【０００３】このようなサイホンゼット式の大便器にお
いて、フラッシュバルブ等を操作して便器洗浄を開始す
ると、給水管からの洗浄水が直接給水室７へ供給され、
リム通水路８のリム孔８ａから便鉢内面へ洗浄水が供給
される。これによって、便鉢１０の内面の洗浄が行われ
る。これと同時に、ゼット孔９から強い水勢で洗浄水の
一部が排水路２へ向けて噴出される。噴出された洗浄水
は、絞り４で乱流を起こし、排水路２のトラップ流出側
を満水状態にする。これにより、サイホン作用が発生す
る。然る後は、このサイホン作用によって便鉢内の汚物
等を大きな力で引き込み、搬出するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この種のサ
イホン式大便器では、排水路２のトラップ３の流出側を
満水状態にするために、所定量以上の瞬間流量が必要で
あり、給水管直結方式では給水管の口径が少なくとも１
インチはなければならなかった。口径が１インチ以上で
あると、管自体が太くなり、その取扱いが不便となって
施工性が悪いという欠点があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、小口径の給
水管であっても、強制的にサイホン作用を発生させるこ
とのできるこの種の洗浄装置に用いる切換弁を提供せん
とするものである。

【０００６】前記課題を解決するために本発明が採用し
た請求項１の手段は、便器本体のトラップよりも下流側
の排水路途中に、第２のトラップを設け、両トラップ間
の空間を負圧にすることにより、強制的にサイホン作用
を起動させるようにした強制サイホン洗浄装置に用いる
切換弁において、切換弁の弁体内に便器洗浄水の流路を
設け、該流路の途中に、負圧を発生させるためのアスピ
レータを弁体の回転軸と平行に設けたことを特徴とする
強制サイホン洗浄装置の切換弁である。

【０００７】また本発明が採用した請求項２の手段は、
切換弁は筒状の弁ケースと、該弁ケース内に回転自在に
装着された円柱状の弁体とから成り、弁ケースには、給
水源へ連通する給水口と、便器本体のリム通水路等へ連
通する便器洗浄水の流出口と、両トラップ間の空間へ連
通する吸引口とが形成されており、弁体に設けられた流
路の一端側は前記給水口へ連通可能であり、また他端側
は便器洗浄水の流出口へ連通可能であり、アスピレータ
の負圧域は吸引口へ連通可能であることを特徴とする前
記請求項１に記載の強制サイホン洗浄装置の切換弁であ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示
す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りであ
る。なお、従来の場合と同一符号は同一部材である。

【０００９】図１〜図６は本発明の一実施の形態に係る
強制サイホン洗浄装置１１を示すものである。図１は洗
浄開始時の便器本体１の縦断面図であり、図２の図
（Ａ）〜（Ｄ）はそのときの切換弁１２の断面図であ
る。また図３はサイホン起動時の便器本体１の縦断面図
であり、図４の図（Ａ）〜（Ｄ）はそのときの切換弁１
２の断面図である。更に、図５は逆洗浄時の便器本体１
の縦断面図であり、図６の図（Ａ）〜（Ｄ）はそのとき
の切換弁１２の断面図である。

【００１０】而して、水道管に直結された給水管１３
は、通常の水道管と同じ口径の１３mm管を使用してい
る。給水管１３は、便器本体１内で立ち上げられた部分
を有し、該部分に電動弁１４が取り付けられている。そ
して、給水管１３は、立ち上げられた部分から水平にさ
れた後、立ち下げられた部分を有し、水平部分にバキュ
ームブレーカ１５が取り付けられ、立ち下げられた部分
に逆止弁１６が取り付けられている。

【００１１】更に、給水管１３は、切換弁１２の給水口
１７へ連通接続されている。切換弁１２は、筒状の弁ケ
ース１８と、該弁ケース１８内にその軸心線を中心にし
て回転自在に装着された円柱状の弁体１９とから成る。
弁ケース１８の外周面には、給水源へ連通する給水口１
７と、便器本体１のリム通水路８へ連通接続された便器
洗浄水の流出口２０と、後述する二つのトラップ３，２
１間の空間２２へ連通する吸引口２３と、大気連通口２
４とが形成されている。前記給水口は、弁ケース１８の
上部外周面に位置し、吸引口２３と大気連通口２４とは
中間部外周面で同一レベル上に設けられている。また便
器洗浄水の流出口２０は、弁ケース１８の下面側に円錐
状の漏斗の如く形成されている。

【００１２】一方、円柱状の弁体１９は、前記弁ケース
１８の給水口１７と同一レベルで、直径方向に貫通する
流路２５と、これに円柱の中心位置で交差する流路２６
とがＴ字状に形成されており、直径方向の流路２５の途
中には、回転軸心線と平行になるように縦方向の流路２
７が形成されている。この流路２７の途中には、アスピ
レータ２８が設けられており、流路２７の他端側は円柱
状弁体１９の下面側へ開口している。尚、この円柱状の
弁体１９は、弁ケース１８の内周面側に半円形状に形成
された支持板２９によってその下面側を回転自在に支承
されている。

【００１３】前記アスピレータ２８は、縦方向の流路２
７の途中に絞り３０を設けて水を高速で噴出させるよう
にし、その勢いによって絞り３０の周囲に負圧を発生さ
せるようになっている。該絞り３０の周囲の位置には、
前記流路２７を水平方向に貫通して弁体１９の外周面か
ら回転軸心線の位置まで達する流路３１と、この流路３
１に対して９０度折れ曲がって弁体外周面へ開口する流
路３２とがＬ字状に連続して形成されている。また円柱
状弁体１９の外周面側にあって、吸引口２３及び大気連
通口２４と同一レベルの位置には、両者２３，２４を連
通させるための切欠凹部３３が穿設されている。

【００１４】更に、本実施の形態に係る強制サイホン洗
浄装置１１にあっては、便器本体１の排水路２に設けら
れたトラップ３の流出側に、更に別の第２のトラップ３
４を設けている。つまり、本実施の形態の大便器は、二
重トラップ構造を呈するものである。便器本体１のトラ
ップ３と第２のトラップ３４とは、それぞれ洗浄水の一
部によって封水されており、下水側から臭気が逆流しな
いようになされている。またこれらのトラップ３及び３
４間の空間２２が、管路３５を介して切換弁１２の吸引
口２３へ連通接続されている。

【００１５】次に、上述の如く構成された便器洗浄装置
の動作態様を、図１〜図６を参照して説明する。先ず、
図１及び図２に基づいて、便器洗浄を開始した場合を説
明する。この場合は、図２の図（Ａ）及び図（Ｂ）に示
すように、切換弁１２の弁体１９を流路２５のポート２
５ａが給水口１７へ連通するように軸心線回りに回転さ
せる。このとき、切換弁１２の中間部においては、図２
の図（Ｂ）に示すように、吸引口２３と大気連通口２４
とが切欠凹部３３によって連通している。この弁体１９
の切換動作により、水道管の給水圧を利用して洗浄水が
給水口１７から流路２５及び２７、アスピレータ２８を
経て便器洗浄水の流出口２０へ流れ、更に便器本体１の
リム通水路８へと流れて、便鉢洗浄が開始される。

【００１６】そして、便器洗浄が開始された後すぐに、
切換弁１２の弁体１９を回転軸心線回りに回転させて、
図３の図（Ａ）乃至図（Ｂ）に示すように、給水口１７
と流路２６とが連通するように切り換える。この切り換
えにより、切換弁１２の中間部においては、図３の図
（Ｃ）に示すように、吸引口２３と流路３２とが連通
し、大気連通口２４は閉塞される。給水口１７から供給
される洗浄水は、図１及び図２に示す場合と同じよう
に、アスピレータ２８を経て便器洗浄水の流出口２０へ
流れ、更に便器本体１のリム通水路８へと流れて、便鉢
洗浄が継続して行われる。

【００１７】このようにしてアスピレータ２８を洗浄水
が流れると、絞り３０の部分では流れが絞られることに
よって高速で噴出されることになり、その周囲に大きな
負圧が発生する。この負圧は、流路３１及び３２を通じ
て吸引口２３へ作用し、更に管路３５を介して排水トラ
ップ３と第２のトラップ３４との間の空間２２へ作用す
る。そのため、前記負圧により、この空間２２内に存在
する空気がアスピレータ２８の吸引口２３へ吸引され、
更に流路３２及び３１から流路２７へ合流し、洗浄水と
共にリム通水路８内へ排気される。つまり、切換弁１２
とアスピレータ２８とは、両トラップ３，３４間の空間
２２の空気を排出する排気装置を構成するものである。

【００１８】上述の如くして、トラップ３及び３４間の
空間２２内に存在する空気がアスピレータ２８によって
強制的に吸い出されると、両トラップ３，３４間の空間
２２はリム通水路８から吐出された洗浄水で充満される
ようになり、サイホン作用が発生する。このサイホン作
用は、便器洗浄が開始されてもトラップ３４の封水はそ
のままであり、両トラップ３，３４間の空間２２内の空
気のみがアスピレータ２８を通じて排気されるため、少
ない洗浄水で且つ極めて短時間に両トラップ間の空間２
２を満水状態にすることができ、サイホン作用の強制的
な早期発生を可能にするものである。つまり、給水管１
３を水道管と同じ１３mmの小径管にし、充分な瞬間流量
が得られない場合であっても、短時間でサイホン作用を
強制的に発生させることが可能である。この状態を図示
すると、イメージ的には図２の通りとなる。

【００１９】このようにしてサイホン作用が発生し、大
きな吸引力により便鉢内の汚物が一気に搬出された後
は、便鉢１０内の洗浄水が殆どなくなり、封水が切れて
便鉢側から排水路２内へ空気が流入し、サイホン作用が
終了する。然る後は、アスピレータ２８の負圧力によっ
て空間２２内の空気を吸引するための管路３５を逆洗浄
する。これは、長期間使用すると、汚物の成分の一部等
が管路３５へ引き込まれてその内周面に、永年の年月を
かけて付着堆積し、管路３５を閉塞させることが考えら
れるので、これを防止するためのものである。本装置で
は便器洗浄の度ごとに、この管路３５を逆洗浄するよう
にしている。

【００２０】管路３５の洗浄は、図４の図（Ａ）〜図
（Ｄ）に示すように、切換弁１２の弁体１９を回転軸心
線の回りに回転させて流路２５のポート２５ａを給水口
１８へ連通させるように切り換える。このとき、弁体１
９の中間部に形成された水平方向の流路３１と３２は吸
引口２３へ連通するようになり、また縦方向の流路２７
は、その出口側が支持板２９によって閉塞されている。

【００２１】そのため、給水口１７から流路２６及び２
５を通って縦方向の流路２７へ流れ、アスピレータ２８
によって高速で噴出された洗浄水は、支持板２９に衝突
して逆流し、絞り３０の外周面側から流路３１及び３２
を通って吸引口２３側へ流れ、更に管路３５を通って二
つのトラップ３，３４の間の空間２２へ吐出される。こ
のとき、流路３１及び３２と、管路３５が、前記逆流す
る洗浄水によって洗浄されることになる。この空間２２
へ吐出された洗浄水は、トラップ３及び３４を封水を補
給するためのものとしても利用される。

【００２２】ところで、本発明は上述した実施の形態に
限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例
えば、図示した大便器は、サイホン式の場合を説明した
が、サイホンゼット式のものであっても適用可能である
ことは言うまでもない。また、切換弁１２の切換操作
は、排水路２内に設けた負圧センサーや給水管１３に設
けた流量センサー等を制御因子として動作するＩＣを用
いてコンピュータ制御すればよい。更に、弁体１９を回
転させる手段は、手動式、サーボモータ式、モータ直結
式等の適宜の手段が可能である。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、
便器本体のトラップの流出側に第２のトラップを設け、
第２のトラップの封水によって排水路が堰止められた状
態で洗浄を開始し、しかも両トラップ間の空気を便器洗
浄開始と同時に管路及びアスピレータを通じて排気する
ようにしたから、極めて少ない洗浄水量で且つ短時間に
サイホン作用を発生させることができ、その分だけ給水
管の小径化が可能である。つまり、瞬間流量を少なくし
た場合であっても、サイホン作用を早期に得ることが可
能であり、取扱いが便利で施工性に優れた水道管と同じ
１３mmの口径を有する管を利用することが可能である。

【００２４】またサイホン終了後に、前記管路を洗浄す
るようにしたから、長期間の使用であっても管路の内部
に堆積物が付着することがない。更に、本発明にあって
は、切換弁の流路内にアスピレータを一体的に形成して
おり、別々に構成する場合に比較してコンパクトであ
り、スペースの限定された便器本体後部の機器室内へ装
着するのに非常に便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る洗浄装置の洗浄開始時の状態を示
す大便器の縦断面図である。

【図２】本発明に係る洗浄装置の洗浄開始時の切換弁の
状態を示すものであり、図（Ａ）は切換弁の縦断面図、
図（Ｂ）はその給水口部分の横断面図、図（Ｃ）は吸引
口部分の横断面図、図（Ｄ）は底面部の横断面図であ
る。

【図３】本発明に係る洗浄装置のサイホン時の状態を示
す大便器の縦断面図である。

【図４】本発明に係る洗浄装置のサイホン時の切換弁の
状態を示すものであり、図（Ａ）は切換弁の縦断面図、
図（Ｂ）はその給水口部分の横断面図、図（Ｃ）は吸引
口部分の横断面図、図（Ｄ）は底面部の横断面図であ
る。

【図５】本発明に係る洗浄装置の逆洗浄時の状態を示す
大便器の縦断面図である。

【図６】本発明に係る洗浄装置の逆洗浄時の切換弁の状
態を示すものであり、図（Ａ）は切換弁の縦断面図、図
（Ｂ）はその給水口部分の横断面図、図（Ｃ）は吸引口
部分の横断面図、図（Ｄ）は底面部の横断面図である。

【図７】従来のサイホン式で給水管接続方式の大便器を
示す縦断面図である。

【符号の説明】

１…便器本体 ２…排水路 ３…トラップ ８…リム通水路 １０…便鉢 １１…強制サイホ
ン洗浄装置 １２…切換弁 １３…給水管 １７…給水口 １８…弁ケース １９…弁体 ２０…便器洗浄水
の流出口 ２２…トラップ間の空間 ２３…吸引口 ２４…大気連通口 ２７…流路 ２８…アスピレータ ２９…弁体の支承
板 ３０…絞り ３４…第２のトラ
ップ ３５…管路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】便器本体のトラップよりも下流側の排水路
   途中に、第２のトラップを設け、両トラップ間の空間を
   負圧にすることにより、強制的にサイホン作用を起動さ
   せるようにした強制サイホン洗浄装置に用いる切換弁に
   おいて、切換弁の弁体内に便器洗浄水の流路を設け、該
   流路の途中に、負圧を発生させるためのアスピレータを
   弁体の回転軸と平行に設けたことを特徴とする強制サイ
   ホン洗浄装置の切換弁。
2. 【請求項２】切換弁は筒状の弁ケースと、該弁ケース内
   に回転自在に装着された円柱状の弁体とから成り、弁ケ
   ースには、給水源へ連通する給水口と、便器本体のリム
   通水路等へ連通する便器洗浄水の流出口と、両トラップ
   間の空間へ連通する吸引口とが形成されており、弁体に
   設けられた流路の一端側は前記給水口へ連通可能であ
   り、また他端側は便器洗浄水の流出口へ連通可能であ
   り、アスピレータの負圧域は吸引口へ連通可能であるこ
   とを特徴とする前記請求項１に記載の強制サイホン洗浄
   装置の切換弁。