JPH10219473A - マグネシウムベース金属成形体の表面処理方法 - Google Patents

マグネシウムベース金属成形体の表面処理方法

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JPH10219473A
JPH10219473A JP2279997A JP2279997A JPH10219473A JP H10219473 A JPH10219473 A JP H10219473A JP 2279997 A JP2279997 A JP 2279997A JP 2279997 A JP2279997 A JP 2279997A JP H10219473 A JPH10219473 A JP H10219473A
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water
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based metal
treatment
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JP2279997A
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Matsufumi Takatani
松文 高谷
Tadayoshi Inoue
忠良 井上
Michiaki Nakazato
道明 中里
Kazuaki Sugano
和明 菅野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マグネシウムベース金属成形体の表面に良好
な耐食性及び防錆性をもたらす被覆膜を効果的に形成す
ることができるマグネシウムベ−ス金属成形体の表面処
理方法を提供すること。 【解決手段】 マグネシウムベ−ス金属成形体を、過マ
ンガン酸塩及びマンガン酸塩よりなる群から選択される
少なくとも1種を含有する水溶液で処理し、次いで、焼
付け型金属防食組成物で被覆処理することを特徴とする
マグネシウムベ−ス金属成形体の表面処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネシウムベー
ス金属成形体の表面処理方法に関し、さらに詳しくは、
マグネシウムベース金属成形体の表面に優れた耐食性を
有する被覆膜を形成することができるマグネシウムベー
ス金属成形体の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マグネシウム及びその合金からな
るマグネシウムベース金属は種々の用途に用いられてい
る。特にマグネシウム合金は、その密度がアルミニウム
合金の約2/3であり、実用金属材料中最も軽量である
上、切削性が良好で、かつ強度/密度比が高いので、例
えば、航空機材料や自動車材料等に採用することができ
る。
【0003】しかしながら、前記マグネシウムベース金
属を成形して得ることができるマグネシウムベース金属
成形体においては、例えば、マグネシウムのイオン化傾
向からも示唆されるように、大気中で直ちに酸化してそ
の表面に酸化被膜が形成され易いこと、前記酸化被膜上
に塗膜を形成した場合において塗膜の密着性が低下する
こと、海水や塩化物水溶液に対する耐食性が著しく低い
こと、及び、塩酸、硫酸、硝酸等の酸に溶け易いこと等
の問題がある。
【0004】前記マグネシウムベース金属成形体の耐食
性を向上させることを目的とした従来の方法としては、
例えば、六価クロム酸塩を主成分とする強酸性の水溶液
を用いて、前記マグネシウムベース金属成形体の表面処
理を行い、その表面に化成皮膜を形成して安定化する方
法を挙げることができる。
【0005】この従来の方法においては、取り扱いにく
い強酸性液を用いること、六価クロムを含有する有害な
ミストを発生すること、及び、六価クロムを含有する排
水により環境汚染をもたらすこと等の問題がある。
【0006】また、特開平8−35073号公報(以
下、文献1と称する。)には、「マグネシウムベース金
属成形体を、過マンガン酸又はマンガン酸の水溶性塩の
少なくとも1種を0.5〜200g/リットルの濃度で
含有する水溶液中に20秒ないし30分間浸せきするこ
とを特徴とするマグネシウムベース金属成形体の表面改
質方法」(請求項1参照)が開示されている。
【0007】前記文献1においては、六価クロムの排出
基準が0.5mg/リットルであるのに対しマンガンは
その排出基準が10mg/リットル(鉄の排出基準と同
じ)であり、前記マンガンはより低毒性であることか
ら、前記文献1のマグネシウムベース金属成形体の表面
改質方法は公害の恐れが極めて少ない等の特長があるも
のの、前記文献1におけるマグネシウムベース金属成形
体の耐食性は充分とは言いえなかった。
【0008】さらに、特公昭60−50228号公報
(以下、文献2と称する。)には、「ホウ酸又は酸化ホ
ウ素、水溶性クロム酸化合物、亜鉛もしくはアルミニウ
ム単体またはその混合物ないしこれらの合金粉末、グリ
コール化合物、水およびもしくは有機溶剤からなる金属
防食被覆用組成物」(請求項1参照)が開示されてい
る。
【0009】前記文献2においては、例えば、有害なミ
ストの発生がないこと、廃水処理の必要がなく、公害の
恐れがないこと等の特長があるものの、前記マグネシウ
ムベース金属の防食性は充分とは言えなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来のマグネシウムベース金属成形体の表面処理方法が
有する欠点を克服し、マグネシウムベース金属成形体の
表面を良好な耐食性に改質することができ、しかも処理
中に有害な生成物の発生を伴わないマグネシウムベース
金属成形体の表面処理方法を提供することを目的として
なされたものである。
【0011】本発明の目的は、マグネシウムベース金属
成形体の表面に優れた耐食性を有する被覆膜を効果的に
形成することができるマグネシウムベース金属成形体の
表面処理方法を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、有害な生成物の発生
を伴わないマグネシウムベース金属成形体の表面処理方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、マグネシウ
ムベース金属成形体の表面を改質するために鋭意研究を
重ねた結果、マグネシウムベース金属成形体に、過マン
ガン酸又はマンガン酸の水溶性塩の少なくとも1種を含
有する水溶液中にマグネシウムベース金属成形体を浸漬
する処理を施し、次いで、水溶性クロム酸化合物と亜鉛
粉末とを含有する焼付け型金属防食組成物を被覆する処
理を施すことにより、有害な生成物の発生させることな
く、マグネシウムベース金属成形体の表面に高耐食性被
覆膜を形成することができることを見い出だした。本発
明は、このような知見に基づいて完成された。
【0014】前記課題を解決するための第1の手段は、
マグネシウムベ−ス金属成形体を、過マンガン酸塩及び
マンガン酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種
を含有する水溶液で処理し、次いで、水溶性クロム酸化
合物と亜鉛粉末とを含有する焼付け型金属防食組成物で
被覆処理することを特徴とするマグネシウムベ−ス金属
成形体の表面処理方法であり、前記課題を解決するため
の第2の手段は、前記第1の手段における水溶液が改質
促進剤を含有してなる前記第1の手段のマグネシウムベ
−ス金属成形体の表面処理方法であり、前記課題を解決
するための第3の手段は、前記第2の手段における水溶
液が、鉱酸、アルカリ、中性フッ化物、及び酸性フッ化
物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有して
なる前記第2の手段のマグネシウムベ−ス金属成形体の
表面処理方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明のマグネシウムベ−ス金属成形体の
表面処理方法は、マグネシウムベ−ス金属成形体を、過
マンガン酸塩及びマンガン酸塩よりなる群から選択され
る少なくとも1種を含有する水溶液で処理し、次いで、
水溶性クロム酸化合物と亜鉛粉末とを含有する焼付け型
金属防食組成物で被覆処理することを特徴とする。
【0017】前記マグネシウムベース金属成形体は、例
えば、マグネシウム、その合金等のマグネシウムベース
金属を成形することによって得ることができる。
【0018】前記マグネシウム合金としては、例えば、
Mg−Al系合金、Mg−Zn系合金、Mg−Mn系合
金、Mg−Ag系合金、Mg−希土類元素系合金等のマ
グネシウム合金等を挙げることができる。
【0019】前記過マンガン酸塩及びマンガン酸塩とし
ては、例えば、過マンガン酸の水溶性塩及びマンガン酸
の水溶性塩を挙げることができる。
【0020】前記過マンガン酸の水溶性塩及びマンガン
酸の水溶性塩における水溶性塩としては、例えば、ナト
リウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属
塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニ
ウム塩等を挙げることができる。
【0021】前記水溶性クロム酸化合物としては、特に
制限はなくそれ自体公知の化合物を用いることができ、
例えば、無水クロム酸、クロム酸、水溶性クロム酸金属
塩、重クロム酸塩等を挙げることができる。これらの中
でも無水クロム酸、クロム酸カルシウム、重クロム酸亜
鉛、重クロム酸カリウム、重クロム酸ナトリウム、重ク
ロム酸マグネシウム、重クロム酸カルシウム等も好適に
採用することができる。
【0022】前記亜鉛粉末は任意の形状であっても良い
が、中でもフレーク状(鱗片状とも称される。)である
のが好ましく、特に、平均厚さが0.01〜1μm、好
ましくは0.1〜0.5μmで、最長部の長さが20μ
m以下、好ましくは15μm以下のフレークであるのが
好ましい。なお、亜鉛粉末はアルミニウム粉末と共に使
用することができる。
【0023】(化成被膜の形成)前記マグネシウムベ−
ス金属成形体を、過マンガン酸塩及びマンガン酸塩より
なる群から選択される少なくとも1種を含有する水溶液
で処理する方法としては、例えば、過マンガン酸又はマ
ンガン酸の水溶性塩の少なくとも1種を含有する水溶液
中に、前記マグネシウムベース金属成形体を浸漬するこ
とによって、前記マグネシウムベース金属成形体の表面
に化成被膜を形成する処理(以下、マンガン処理と称す
ることがある。)方法を挙げることができる。
【0024】前記水溶性塩は、0.5〜200g/リッ
トル、好ましくは1〜10g/リットルの濃度で水に溶
解することができる。
【0025】前記水溶性塩の濃度が0.5〜200g/
リットルの範囲内であると、例えば前記濃度が0.5g
/リットル未満の場合と比べて前記化成被膜を均一に形
成することができ、例えば前記濃度が200g/リット
ルを超える場合と比べて前記水溶性塩を均一に水に溶解
することができるので好ましい。
【0026】前記過マンガン酸塩及びマンガン酸塩より
なる群から選択される少なくとも1種を含有する水溶液
には、前記マグネシウムベ−ス金属成形体の表面におけ
る改質処理、例えば前記マンガン処理を促進することが
できる改質促進剤を含有させることができる。
【0027】前記改質促進剤としては、例えば、硝酸、
硫酸、フッ化水素等の鉱酸、水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウム、アンモニア水等のアルカリ、フッ化カリウ
ム、フッ化ナトリウム等の中性フッ化物、二フッ化水素
アンモニウム、二フッ化水素ナトリウム、二フッ化水素
カリウム等の酸性フッ化物、ケイフッ化マンガン、ケイ
フッ化マグネシウム等のケイフッ化物等を挙げることが
できる。
【0028】前記改質促進剤は、それぞれ単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】前記改質促進剤は、15g/リットル以
下、好ましくは1〜10g/リットルの濃度で前記水溶
液に含有させることができる。
【0030】前記改質促進剤の濃度が15g/リットル
以下の範囲内であると、例えば前記濃度が15g/リッ
トルを超える場合と比べて、前記化成被膜の形成を効率
良く促進することができ、また、前記改質促進剤として
鉱酸を採用した場合には、前記水溶液における酸性度が
強くなりすぎることがなく、取り扱い性が向上するので
好ましい。
【0031】−マンガン処理− 前記マンガン処理においては、前記過マンガン酸又はマ
ンガン酸の水溶性塩の少なくとも1種を含有する水溶液
中に、前記マグネシウムベース金属成形体を浸漬するこ
とによって、前記マグネシウムベース金属成形体の表面
に化成被膜を形成することができる。
【0032】前記水溶液の温度は10℃から沸点に至る
までの任意の温度、好ましくは15〜70℃の範囲内の
任意の温度に保つのがよい。
【0033】また、前記マンガン処理における浸漬時間
は、前記水溶液の濃度、前記改質促進剤の種類や濃度、
前記水溶液の温度等により変化するが、20秒ないし3
0分間、好ましくは1〜20分間の範囲内であるのが好
ましい。
【0034】前記浸漬時間が20秒ないし30分間の範
囲内であると、例えば前記浸漬時間が20秒未満の場合
と比べて前記化成被膜を十分に、かつ均一に形成するこ
とができ、例えば前記浸漬時間が30分間を超える場合
と比べて前記化成被膜の形成を効率良く促進することが
できるので好ましい。
【0035】所定温度に保たれた前記水溶液中に前記マ
グネシウムベース金属成形体を所定時間浸漬して、前記
マグネシウムベース金属成形体に化成被膜を形成した後
に、これを直ちに水洗し、乾燥することにより、その表
面に化成被膜が形成されることによってその表面が改質
されたマグネシウムベース金属表面改質成形体を得るこ
とがきる。
【0036】(被覆膜の形成)次いで、その表面に化成
被膜が形成されたマグネシウムベース金属成形体を、水
溶性クロム酸化合物と亜鉛粉末とを含有する焼付け型金
属防食組成物で被覆処理する方法としては、例えば、水
溶性クロム酸化合物と亜鉛粉末とを含有する焼付け型金
属防食組成物を焼き付けて、被覆膜を形成する処理(以
下、焼付け型クロム酸−金属粉末処理と称することがあ
る。)方法を挙げることができる。
【0037】前記焼付け型金属防食組成物中における前
記水溶性クロム酸化合物の含有割合は、最終的に得られ
た焼付け型金属防食組成物に対して、1〜12重量%で
あり、好ましくは2〜8%である。
【0038】前記焼付け型金属防食組成物中における前
記亜鉛粉末の含有割合は、最終的に得られた焼付け型金
属防食組成物に対して、10〜40重量%であり、好ま
しくは15〜30重量%である。
【0039】前記焼付け型金属防食組成物においては、
前記水溶性クロム酸化合物と前記亜鉛粉末とその外に、
必要に応じて、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素、コバルト
塩、ニッケル塩、オキソヒドロキシ低分子量エーテル、
pH調製剤、湿潤剤、水、有機溶剤等を配合することが
できる。
【0040】前記ホウ酸としては、一般に市販されてい
るオルトホウ酸が好適であり、必要に応じて前記オルト
ホウ酸の代わりにあるいはそれと共に、メタホウ酸、テ
トラホウ酸等を配合することができる。
【0041】前記ホウ酸及び/又は酸化ホウ素を配合す
る場合、焼付け型金属防食組成物中におけるその含有量
は、ホウ酸及び/又は酸化ホウ素と水溶性クロム酸化合
物との合計重量に対して通常10〜75重量%であり、
好ましくは15〜50重量%である。
【0042】前記ホウ酸及び/又は酸化ホウ素の含有量
が前記範囲内にあると、塩水、淡水の両環境に対して優
れた防食作用を発揮する組成物を得ることができる。
【0043】前記コバルト塩及びニッケル塩は、焼付け
型金属防食組成物中に、これらのいずれかを含有させる
ことができ、また両者を含有させることもでき、さらに
また複数種のコバルト塩又は複数種のニッケル塩を併用
することもできる。
【0044】いずれにしても、コバルト塩及び/又はニ
ッケル塩の配合量は、焼付け型金属防食組成物全体に対
して通常0〜12重量%、好ましくは1〜10重量%で
ある。
【0045】前記オキソヒドロキシ低分子量エーテルと
しては、グリコール及びその低分子量エーテル型重合体
を使用することができ、具体的には、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリ
プロピレングリコール、ジアセトンアルコール、及び近
似同族体、並びにそれらの混合物等を挙げることができ
る。
【0046】これらのオキソヒドロキシ低分子量エーテ
ルを含有させると、水溶性クロム酸化合物に対して還元
剤として作用してクロム酸化合物に変えることができ、
しかも、焼付け型金属防食組成物がマグネシウムベ−ス
金属成形体の表面に塗布されてから加熱される際、被覆
膜を形成する途上において徐々に揮発することにより溶
剤等の沸騰的揮発を防止し、均一な防食被覆膜の形成を
容易にすることができる。
【0047】前記pH調製剤は、水溶性クロム酸化合物
が強酸性である場合に使用すると有効である。このpH
調製剤は前記焼付け型金属防食組成物のpHを3.0〜
6.0の間に調製するために使用するものであって、通
常、リチウム、ストロンチウム、カルシウム、バリウ
ム、マグネシウム、亜鉛、カドミウムのようなリチウム
及びIIA族又はそれより数値の大きい族に属する金属の
酸化物および水酸化物から選択される。この調製剤は、
焼付け型金属防食組成物のpHを3.0〜6.0の間に
調製し、前記焼付け型金属防食組成物の貯蔵安定性を最
良の状態に保ち、亜鉛粉末と液中の酸類とが急激に反応
して被覆層の密着性が劣化したり、外観が黒ずんだりす
るのを防止することができる。
【0048】前記湿潤剤は、前記焼付け型金属防食組成
物中において、前記亜鉛粉末の懸濁分散を助けるために
使用される。この湿潤剤としては、ノニオン系界面活性
剤特にアルキルフェノールポリエトキシ付加化合物、例
えば米国ダイアモンドシャムロック社製の「ノプコ15
92」(登録商標)等を挙げることができる。
【0049】前記水については特に制限がなく、また前
記有機溶剤としても特に制限がない。もっとも、火災の
危険性、作業者の身体への悪影響を考慮すると、溶媒と
して前記水を採用するのが好ましい。
【0050】前記焼付け型金属防食組成物は、前記各成
分を公知の方法により、例えば高速撹拌機等を用いて混
合することにより調製することができる。
【0051】好ましい焼付け型金属防食組成物として、
特公昭60−50228号公報、特公平5−51672
号公報に記載されている、無水クロム酸、亜鉛およびア
ルミニウムなどの金属、金属の酸化物および水酸化物な
どのpH調製剤、ポリグリコール類などのオキソヒドロ
キシ低分子量エーテル並びに溶剤を含有する組成物(例
えばダクロディップ(登録商標)として市販され、入手
可能である。)を挙げることができる。
【0052】−焼付け型クロム酸−金属粉末処理− 前記焼付け型クロム酸−金属粉末処理方法においては、
水溶性クロム酸化合物と亜鉛粉末とを含有する焼付け型
金属防食組成物を焼き付けることによって、その表面に
前記化成被膜が形成されたマグネシウムベース金属成形
体に被覆膜を形成することができる。
【0053】前記焼付け型金属防食組成物は、通常、無
水クロム酸等の水溶性クロム酸化合物及び水を主成分と
して含有する第一成分と、亜鉛粉末等の金属粉末及びオ
キソヒドロキシ低分子量エーテルを含有する第二成分並
びに増粘剤との組合せとして使用者に提供される。
【0054】使用者は、使用時に第一成分と第二成分及
び増粘剤とを混合し、被覆膜を設けようとするマグネシ
ウムベ−ス金属成形体の表面に一定量を塗布し、焼き付
ける。
【0055】前記焼付け型金属防食組成物の塗布量は、
通常、最終的に数μm以上の被覆層を形成するのに必要
な量である。
【0056】前記塗布は、例えば刷毛塗り、タンポ塗
り、吹き付け塗装、ホットスプレー塗装、エアスプレー
塗装、静電塗装、ローラー塗装、カーテンフロー塗装、
流し塗装、浸漬塗装、電着塗装、へら塗りなど公知の方
法により行うことができる。浸漬塗装を採用する場合
は、浸漬後にさらに、遠心振り切りまたは振動によって
余滴を除去しても良い。
【0057】前記焼付けは、焼付け型金属防食組成物を
塗布したマグネシウムベ−ス金属成形体を、熱風循環炉
(ガス燃焼炉または電気炉)、遠赤外線加熱炉、赤外線
加熱炉、高周波誘導加熱炉等またはこれらの組合せの中
から選択される方法によって加熱することにより行われ
る。加熱は、180℃以上の温度で少なくとも0.2秒
以上、好ましくは、200℃以上の温度で0.5秒以
上、さらに好ましくは260℃以上の温度で0.5秒以
上行うのが良い。
【0058】この被覆処理は、必要であれば、繰り返し
て行うことができる。
【0059】この被覆処理では、通常、1μm以上、好
ましくは、3μm以上の厚さの被覆膜を形成するのが好
ましい。被覆膜の厚さが3μm以上であると、より安定
した耐食性能を発揮することができる。
【0060】前記被覆膜の付着量としては、0.2g/
2 〜14g/m2 であり、好ましくは2〜10g/m
2 である。付着量が0.2g/m2 下回ると腐食環境下
で防錆効果が不十分になる。また、付着量が14g/m
2 を上回ると折り曲げ加工の際に前記被覆膜にクラック
が入り易くなり、加工性に悪影響を及ぼす。
【0061】好適な前記被覆膜は、例えば、10〜40
重量%の、鱗片状亜鉛粉末、鱗片状亜鉛粉末と鱗片状ア
ルミニウム粉末との混合物、鱗片状亜鉛合金粉末、及び
鱗片状亜鉛合金粉末と鱗片状アルミニウム合金粉末との
混合物よりなる群から選択される少なくとも1種の金属
粉末、1〜12重量%の水溶性クロム酸化合物、0〜9
重量%のホウ酸化合物、0〜4重量%のpH調整剤、0
〜12重量%のニッケル塩及び/又はコバルト塩、7〜
30重量%のオキソヒドロキシ低分子量エーテル等のポ
リグリコール類、0〜4重量%の界面活性剤、残部が水
及び/又は水相溶性有機溶媒からなる焼付け型金属防食
組成物をマグネシウムベ−ス金属成形体の表面に塗布
し、焼き付けることにより形成される。
【0062】前記マンガン処理および前記焼付け型クロ
ム酸−金属粉末処理を施したマグネシウムベ−ス金属成
形体においては、必要に応じてアルキド、アクリル、エ
ポキシ、ウレタン、ポリエステルなど各種有機樹脂塗
料、並びにエチルシリケート、エチルチタネート、ケイ
酸ソーダ、ケイ酸リチウム、クロム酸などをバインダー
とした無機塗料等の塗装を行うことができる。
【0063】前記マンガン処理および前記焼付け型クロ
ム酸−金属粉末処理を施したマグネシウムベ−ス金属成
形体に、前記各種有機樹脂塗料、無機塗料等を塗装する
ことにより、優れた耐食性を有する被膜を形成したマグ
ネシウムベース金属成形体と上塗り塗料との相乗効果が
発揮され、高い防錆効果を発揮することができる高耐食
性能を有する塗装を実現することができる。
【0064】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。なお、各例中における耐食性は次のようにし
て評価したものである。
【0065】−耐食性の評価− 試料を、5重量%塩化ナトリウム水溶液を用いた塩水噴
霧試験法(JIS Z−2371)により試験を施した
後、目視により腐食の発生状態を観察した。
【0066】(実施例1)試験基材として、アルミニウ
ム9重量%、亜鉛1重量%、残りはマグネシウムを含む
JIS H2222に記載された、マグネシウムベース
合金AZ91Dのダイカスト板(70×150×3m
m)を用意した。
【0067】前記試験基材に、脱脂及び酸洗浄の前処理
を施したのち、これを、50℃に保持した過マンガン酸
カリウムを濃度100g/リットルで含有する水溶液中
に、20分間浸漬し、この試験基材をただちに水洗し、
さらに60℃の温水浴に浸漬したのち、乾燥して、試験
片表面に化成被膜を形成させた(マンガン処理)。
【0068】その後、焼付け型クロム酸−金属粉末処理
をおこなったが、焼付け型クロム酸−金属粉末処理用の
金属防食組成物として、以下の組成を有するダクロディ
ップ(登録商標)を使用状態にして用意した。
【0069】〈ダクロディップの組成〉 無水クロム酸 6重量% 鱗片状亜鉛粉末 27重量% pH調整剤 3重量% ポリグリコール類 20重量% 界面活性剤 1重量% 水 43重量% 前記化成被膜をその表面に形成させた、前記マンガン処
理済みの試験基材を前記ダクロディップに浸漬し、遠心
振り切りした。次いで、この試験基材を電気加熱式熱風
循環炉に入れ、炉内で試験基材の温度が300℃に達し
てから、同温度で5分間保持することにより焼付けを行
った。この金属防食組成物の被覆膜の膜厚は3μmであ
った。
【0070】このようにして得られたマグネシウムベー
ス合金のダイカスト板について、耐食性を評価したとこ
ろ24時間で銀白色の表面がやや灰色がかる変色がみら
れたがマグネシウム合金の腐食生成物は観察されなかっ
た。
【0071】(実施例2)前記実施例1において、過マ
ンガン酸カリウムの代わりに、マンガン酸カリウムを用
いた以外は、実施例1と全く同様にしてマグネシウムベ
ース合金のダイカスト板の耐食性を評価したところ、実
施例1とほぼ同様の結果が得られた。
【0072】(実施例3)前記実施例1において、試験
基材を、過マンガン酸カリウムを濃度100g/リット
ルで含有する水溶液中に20分間浸漬する代わりに、試
験基材を、過マンガン酸カリウムを濃度8g/リットル
及び硝酸を濃度5g/リットルで含有する水溶液中に5
分間浸漬した以外は、実施例1と全く同様にしてマグネ
シウムベース合金のダイカスト板の耐食性を評価したと
ころ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
【0073】(実施例4)前記実施例1において、電気
加熱式熱風循環炉内で試験基材の温度が350℃に達し
てから、同温度で5分間保持することにより焼付けを行
なった以外は、実施例1と全く同様にしてマグネシウム
ベース合金のダイカスト板の耐食性を評価したところ、
実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
【0074】(比較例1)前記実施例1において、焼付
け型金属防食組成物による被覆処理をおこなわなかった
以外は、実施例1と全く同様にしてマグネシウムベース
合金のダイカスト板の耐食性を評価したところ、1時間
でマグネシウムの腐食生成物によって変色し白色と暗黒
色のまだら模様となった。
【0075】(比較例2)前記実施例1において、マン
ガン処理をおこなわず、焼付け型金属防食組成物による
被覆処理のみをおこなった以外は、実施例1と全く同様
にしてマグネシウムベース合金のダイカスト板の耐食性
を評価したところ、1時間でマグネシウムの腐食生成物
によって変色し白色と暗黒色のまだら模様となった。
【0076】(比較例3)前記実施例1において、過マ
ンガン酸カリウム水溶液によるマンガン処理の代わり
に、重クロム酸塩−硝酸を含む第1種A処理浴を用い
る、従来工業的に実施されているマグネシウム合金防食
処理法(JIS H8651)をおこなった以外は、実
施例1と全く同様にしてマグネシウムベース合金のダイ
カスト板の耐食性を評価したところ、1時間でマグネシ
ウムの腐食生成物によって変色し白色と暗黒色のまだら
模様となった。
【0077】この比較例3においては、前記マグネシウ
ム合金防食処理(JIS H8651)中に、液の均一
化のために使用している装置から供給されるエアーによ
りクロムミストが発生した。
【0078】
【発明の効果】本発明によると、マグネシウムベース金
属成形体の表面に良好な耐食性及び防錆性をもたらす被
覆膜を効果的に形成することができ、しかも従来法に比
べて処理中に有害なミストの発生等の公害の発生が著し
く少ない上、排水の公害も著しく小さく、環境汚染を考
慮した環境保護の面で有利なマグネシウムベース金属成
形体の表面処理方法を実現することができる。
【0079】また、本発明による被覆膜中にはマグネシ
ウム合金の添加金属として使われることの多い亜鉛、ア
ルミニウムを含有させることができ、マグネシウムベー
ス金属成形体のリサイクルに有利であり、昨今のゴミ問
題の解決法としても有用である。
【0080】本発明においては、マンガン処理と焼付け
型クロム酸−金属粉末処理とを組み合わせることによ
り、マグネシウムベース金属成形体の表面に優れた耐食
性を有する被覆膜を形成することができ、この優れた耐
食性はマンガン処理単独では達成することができず、ま
た焼付け型クロム酸−金属粉末処理単独でも達成するこ
とができないものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウムベ−ス金属成形体を、過マ
    ンガン酸塩及びマンガン酸塩よりなる群から選択される
    少なくとも1種を含有する水溶液で処理し、次いで、水
    溶性クロム酸化合物と亜鉛粉末とを含有する焼付け型金
    属防食組成物で被覆処理することを特徴とするマグネシ
    ウムベ−ス金属成形体の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1における水溶液が改質促進
    剤を含有してなる前記請求項1に記載のマグネシウムベ
    −ス金属成形体の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項2における改質促進剤が、鉱
    酸、アルカリ、中性フッ化物、及び酸性フッ化物よりな
    る群から選択される少なくとも1種を含有してなる前記
    請求項2に記載のマグネシウムベ−ス金属成形体の表面
    処理方法。
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