JPH10216528A - 光触媒体及びそれを用いた装置及び熱交換器フィン - Google Patents

光触媒体及びそれを用いた装置及び熱交換器フィン

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JPH10216528A
JPH10216528A JP9029036A JP2903697A JPH10216528A JP H10216528 A JPH10216528 A JP H10216528A JP 9029036 A JP9029036 A JP 9029036A JP 2903697 A JP2903697 A JP 2903697A JP H10216528 A JPH10216528 A JP H10216528A
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JP
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photocatalyst
binder
film
substrate
silica
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JP9029036A
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English (en)
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Norihiro Matsuoka
憲弘 松岡
Hideo Yashima
英雄 八島
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い光触媒活性があり、耐水性を有する高信
頼性の皮膜を基体上に350゜C以下の低温で形成すること
ができる光触媒体を提供することを目的とする。 【解決手段】 バインダーと共に光触媒粒子を基体上に
接着させて前記基体上に触媒膜を形成してなる光触媒体
において、シリコンアルコキシドを原料として生成され
るシリカとジルコニウムアルコキシドを原料として生成
されるジルコニアの一方または両方を前記バインダーと
して使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体上に光触媒粒
子を接着させてなる光触媒体及びそれを用いた装置及び
熱交換器フィンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光触媒にそのバンドギャップ以上のエネ
ルギーを持つ波長の光を照射すると、光励起により伝導
帯に電子を、価電子帯に正孔を生じる。この光励起によ
り生じた電子の持つ強い還元力や、正孔の持つ強い酸化
力は、有機物の分解による浄化や水の分解などへの利用
が検討されており、抗菌・浄化を目的として一部で実用
化が進められている。
【0003】このような光触媒は、微粒子又は膜状に形
成される。微粒子光触媒は、触媒の表面積を大きくする
ことができるという利点を有するが、粒子の飛散や流出
が問題となる。この問題を解決し、さらに処理系からの
分離を容易にするために一般的には基体上に光触媒粒子
を接着させている。
【0004】接着させる方法の一つに、接着性能を有す
る材料を光触媒粒子と混合し接着する方法がある。接着
性能を有するバインダー材料として、シリカ系の材料や
フッ素樹脂の材料を用いた方法が検討されている。その
他、バインダーを使用せず光触媒材料を直接膜状に形成
する方法もある。一般的な方法は、ゾルゲル法を利用し
酸化チタン膜を形成する方法で、原料液を塗布後500゜C
以上の高温で焼成を行って形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の光触媒
粒子の接着方法の内、ゾルゲル法を利用して接着する場
合は、原料液を500゜C以上の高温で焼成しなければなら
ない。よって、基体としては陶磁器、セラミックス、ガ
ラス、ステンレスなどの高温に耐えるものに限られる。
しかし、耐熱温度が高い基体は高価で、製造コストが高
くなってしまうという問題が生じる。
【0006】アルミニウムや樹脂など耐熱温度が低い基
体上に光触媒膜を形成する場合には、低温で焼成・硬化
できるバインダーを用いて光触媒粒子を固定する必要が
ある。さらに、光触媒体を浄化・浄水の目的で使用する
場合は、温度変化や結露等の環境、あるいは浄水用途に
おける水中への投入に耐える光触媒粒子含有膜を形成す
るためには強固なバインダーを使用する必要がある。こ
の場合、バインダーは光触媒粒子が埋もれ機能が損なわ
れるほど緻密な膜を形成するものであってはならない。
【0007】また、バインダー材料として有機系の物質
あるいは有機系成分を一部含むものは、光触媒活性によ
って有機系成分が分解され、密着強度が劣化してしまう
ので望ましくない。
【0008】上記点を踏まえると、バインダーとしては
従来技術にもあるフッ素系樹脂が適している。しかし、
フッ素系樹脂を用いた場合は大きな疎水性を有するため
に用途が限定されてしまうという新たな問題が生じる。
例えば、エアコンの熱交換器フィンは、結露した水分の
飛散防止のために熱交換器フィン表面が親水性であるこ
とが要求される。
【0009】このように光触媒体をフィン表面に形成す
ることによって浄化性能を付加する場合や、水の浄化を
目的とした用途に対しては、光触媒体は親水性であるこ
とが要求される。従って、これらの用途に対しては、バ
インダーとしてフッ素系樹脂は適していない。
【0010】本発明は、上記バインダーの条件を満た
し、フッ素系樹脂とは異なり親水性が要求される用途に
適するバインダーを使用した光触媒体及び浄化装置及び
熱交換器フィンを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、バインダーと共に光触媒
粒子を基体上に接着させて前記基体上に触媒膜を形成し
てなる光触媒体において、シリコンアルコキシドを原料
として生成されるシリカとジルコニウムアルコキシドを
原料として生成されるジルコニアの一方または両方を前
記バインダーとして使用する構成となっている。
【0012】この光触媒体は、バインダーの原料となる
アルコキシドと光触媒粒子を混合した塗料を、ディップ
法、スプレー法またはハケ塗りで基体上に塗布し、室温
から400゜Cで加熱することにより得られる。その際に、
バインダーの原料であるアルコキシドからは、下記の反
応式(化1)の反応を経てバインダーの成分であるシリ
カ(SiO2)とジルコニア(ZrO2)の混合物が生成
される。アルコキシドの組成によって、得られるバイン
ダー成分はどちらか一方の場合もある。
【0013】
【化1】
【0014】本発明の光触媒体の場合は、特にSiO2
とZrO2の両方をバインダーとして使用することによ
り多孔性で、かつ、高強度の膜を得ることができる。こ
の膜は高強度のため、耐圧性・耐水性に優れており、し
かも多孔性であるために、光触媒粒子が膜中に埋まり活
性が損なわれてしまうということはない。
【0015】また、バインダー成分であるSiO2とZ
rO2はともに有機基を含まないため、光触媒粒子のも
つ酸化あるいは還元作用によりバインダーが分解される
ことはない。よって、長期使用においても変質しない信
頼性の高い触媒体が得られる。さらに、バインダーに有
機基を含む成分を有する場合は撥水性を生じるのに対
し、有機基を含まない成分からなる本発明で使用される
バインダーは、親水性が優れており、本発明の光触媒体
は親水性が要求される用途に適している。
【0016】請求項2に記載の光触媒体は、請求項1に
記載の光触媒体においてバインダーのシリカの含有量が
60〜90wt%ジルコニアの含有量が10〜40wt%となるように
限定したものである。発明者らが検討を重ねた結果、本
比率で混合したバインダーが光触媒粒子の持つ触媒活性
を損なうことなく、高強度の触媒膜を得るために最も適
していることが明かとなった。
【0017】請求項3に記載の光触媒体は、請求項1又
は2に記載の光触媒体の基体上に形成された触媒膜にさ
らに鱗片状充填剤を含む構成としている。この場合、鱗
片状充填剤の添加によって膜の耐圧性・耐水性が大きく
改善される。これは、鱗片状充填剤の形状のアスペクト
比が大きいため、膜中の絡み合い強度が大きくなるため
である。
【0018】充填剤は、膜中で緻密に充填され空隙がで
きなくなり、光触媒粒子が膜中に埋まり光触媒活性が大
きく減少することのないようなものを選択しなければな
らない。この点においても、本発明で用いる鱗片状の充
填剤、例えばタルク、セピオライト、マイカなどは、適
度な空孔を形成するため光触媒粒子の持つ活性が大きく
損なわれず、光触媒膜の充填剤として適している。
【0019】また、鱗片状充填剤を加えることにより膜
の強度が向上し、厚い膜の形成が可能となる。厚い膜
は、例えば光触媒に吸着剤を加え、有害物質や悪臭物の
除去速度の向上を図る場合に要求される。膜を厚くする
ことにより吸着剤の量が多くなるので吸着速度が向上す
るからである。この場合、もし充填剤を加えなければ、
膜の強度が十分ではなく膜を厚くすることにより脆くな
り、膜が基体より剥がれてしまうという問題が生じてし
まう可能性がある。
【0020】請求項4に記載の光触媒体においては、請
求項1乃至3いずれか一つに記載の触媒膜にさらに吸着
剤を加えることを限定している。本光触媒体では、まず
吸着剤が有害物や悪臭物を吸着する。そして、吸着剤表
面の濃縮された有害物・悪臭物を光触媒が分解する。よ
って、高効率な分解がなされて吸着剤を加えない場合と
比較して有害物や悪臭物を急速に除去できる。
【0021】また、一般的に吸着剤はある一定量の物質
を吸着すると吸着能力が無くなるため、加熱による再生
または新品との交換が必要になる。しかし、本発明では
吸着剤と光触媒が複合化されているので、吸着物質を光
触媒により分解することができる。つまり、吸着と同時
に吸着剤の再生を行うことができ、メンテナンスフリー
な浄化装置を得ることができる。
【0022】また、吸着剤として特にCu、Ag、A
u、Pt、Pd、Sbなど金属で置換したゼオライトを
用いると、耐熱温度が高く、さらに特定物質の吸着性能
の向上を図ることができる。中でもCu交換ゼオライト
は、タバコの悪臭成分や一酸化炭素などの有害成分に対
し大きな吸着能力を有する。
【0023】請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれ
か一つに記載の光触媒体においてその基体がアルミニウ
ム又はクロメート処理したアルミニウムで形成された板
又はハニカムよりなるように構成する。
【0024】請求項1乃至4に記載の光触媒体において
は、低温で焼成・硬化できるバインダーを用いているの
で、アルミニウムのように耐熱温度が低いものを基体と
してもその強度が大きく失われる事はない。
【0025】請求項6の発明は、浄化装置において、請
求項1乃至5いずれか一つに記載の光触媒体を浄化機能
体として用いるようにする。つまり、本発明の浄化装置
には請求項1乃至5いずれか一つに記載の光触媒体が形
成されており、例えば空気又は水の浄化装置において
は、光触媒体により悪臭物質、有害物質などを含む空気
又は水が浄化される構造となっている。
【0026】また、請求項5に記載の光触媒体を浄化装
置の浄化機能体として用いた場合は、浄化機能体は触媒
膜も基体であるアルミニウムもともに耐水性であること
になる。さらに、触媒膜は親水性が大きく水をはじかな
いため、空気浄化の他、水の浄化にも適した構成となっ
ている。
【0027】請求項7に記載の発明は、熱交換器フィン
において、その表面にシリコンアルコキシドを原料とし
て生成されるシリカとジルコニウムアルコキシドを原料
として生成されるジルコニアの一方または両方からなる
バインダーと光触媒粒子を混ぜて接着する。
【0028】本発明では、エアコン又は除湿機等の熱交
換器フィンに直接光触媒膜が形成されているので、特別
な装置を有することなくそこを通過する空気の浄化がな
される。さらに、本発明では200〜350゜Cの低温で光触媒
体を形成できるため、耐熱温度の低いアルミニウムを用
いた熱交換器フィンにおいてもその強度を損なうことが
なく光触媒体を形成できる。
【0029】また、熱交換器フィンの表面が疎水性であ
る場合は、水がフィン間にブリッジし、送風により室内
へ水が飛散しやすいという問題がある。しかし、本発明
の熱交換器フィン表面の光触媒膜は親水性であるために
そのような問題が発生しにくい。そして、高強度の光触
媒体であるために耐水性があり、結露した水により密着
性が損なわれることなく高信頼性を維持することができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、実施形態により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何
ら限定されるものではない。
【0031】〈第1の実施形態〉以下に示す組成の混合
物を、アルミナボールを入れたポリプロピレン製容器に
入れ1時間以上回転させて混合し、塗料組成物を得た。 ・酸化チタン(石原産業製ST−01) 5.88g ・シリカ・ジルコニア系バインダー(日板研究所製G401) 44.12g G401は、シリコンアルコキシド(Si(OR)4
とジルコニウムアルコキシド(Zr(OR’)4)を含
み、下記の反応式(化2)を経てシリカ(SiO2)と
ジルコニア(ZrO2)の混合物が生成される。
【0032】
【化2】
【0033】尚、上記反応式により生成されたシリカ及
びジルコニアは下記の化3に示す構造式を有する。
【0034】
【化3】
【0035】また、G401中のバインダー成分量は約
20wt%である。本塗料は、固形成分比で光触媒粒子であ
る酸化チタンが40wt%、バインダーが60wt%となってい
る。上記組成の塗料を96cm2のクロメート処理を行った
アルミニウム板に塗布した後、350゜Cで1時間焼成を行っ
た。同様に塗布・焼成を繰り返し、合計3層の光触媒膜
を形成した。本触媒膜の重量は、4.3mg/cm2であった。
【0036】〈比較例1〉以下に示す組成の混合物を、
アルミナボールを入れたポリプロピレン製容器に入れ1
時間以上回転させて混合し、塗料組成物を得た。 ・酸化チタン(石原産業製ST−01) 3.42g ・シリカ系バインダー(日板研究所製G1−90) 46.58g 尚、G1−90は、加水分解を経て側鎖メチル基を含ん
だシリコン化合物(構造式の一例を下記の化4に示す)
を形成するバインダーで、G1−90中のバインダー成
分量は約11wt%である。本塗料は、固形成分比で酸化チ
タンが40wt%、バインダーが60wt%となっている。
【0037】
【化4】
【0038】上記組成の塗料を96cm2のクロメート処理
を行ったアルミニウム板に塗布した後、350゜Cで1時間焼
成を行った。同様に塗布・焼成を繰り返し、合計6層の
光触媒膜を形成した。本触媒膜の重量は、3.3mg/cm2
あった。
【0039】〈比較実験〉次に、第1の実施形態及び比
較例1で得た光触媒体試料を用いて三つの比較実験を行
った。第1の実験は各光触媒体試料による悪臭物質の分
解速度を調べる実験である。27リットルの容器に、第1
の実施形態及び比較例1で得た光触媒体試料を別個に入
れ、悪臭物質の1つであるアセトアルデヒドを120ppmの
濃度となるように注入した。次に、6Wのブッラクライト
を用いサンプル表面の光触媒体を紫外線で照射し、アセ
トアルデヒド濃度が10ppmまで減少する時間を測定し
た。
【0040】第2の実験は、膜の密着強度を調べる実験
である。実験方法は、碁盤目テープテストと、擦ること
により粉が取れないかを調べる方法を用いた。この実験
の評価基準を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】第3の実験は、サンプルを24時間水中に浸
して膜強度の変化の有無を調べる実験である。三つの実
験の実験結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】上記実験結果を見ると、アセトアルデヒド
濃度が10ppmまで減少する時間は、第1の実施形態の試
料では耐水性を有するにもかかわらず1.5時間と短時間
であったのに対し、有機基を有し、ジルコニアを含まな
いシリカ系バインダーで作成した比較例1の試料では4
時間と長時間であった。
【0045】第1の実施形態で用いられているバインダ
ーは、シリカの含有量が80wt%、ジルコニアの含有量が2
0wt%であるが、発明者らが検討の結果、光触媒体の活性
を損なわないように考慮するとシリカの含有量が60〜90
wt%、ジルコニアの含有量が10〜40wt%であるバインダー
が望ましいことがわかった。
【0046】〈第2の実施形態〉以下に示す組成の混合
物を、アルミナボールを入れたポリプロピレン製容器に
入れ1時間以上回転させて混合し、塗料組成物を得た。 ・酸化チタン(石原産業製ST−01) 5.70g ・シリカ・ジルコニア系バインダー(日板研究所製G401) 42.72g ・マイカ(粒径0.3〜7μm) 1.58g 本塗料は、固形成分比で酸化チタンが36wt%、バインダ
ーが54wt%、マイカが10wt%となっている。
【0047】上記組成の塗料を96cm2のクロメート処理
を行ったアルミニウム板に塗布した後、350゜Cで1時間焼
成を行った。同様に塗布・焼成を繰り返し、合計3層の
光触媒膜を形成した。本触媒膜の重量は、4.4mg/cm2
あった。
【0048】〈第3の実施形態〉以下に示す組成の混合
物を、アルミナボールを入れたポリプロピレン製容器に
入れ1時間以上回転させて混合し、塗料組成物を得た。 ・酸化チタン(石原産業製ST−01) 5.70g ・シリカ・ジルコニア系バインダー(日板研究所製G401) 42.72g ・マイカ(粒径0.3〜20μm) 1.58g 本塗料は、固形成分比で酸化チタンが36wt%、バインダ
ーが54wt%、マイカが10wt%となっている。
【0049】上記組成の塗料を96cm2のクロメート処理
を行ったアルミニウム板に塗布した後、350゜Cで1時間焼
成を行った。同様に塗布・焼成を繰り返し、合計3層の
光触媒膜を形成した。本触媒膜の重量は、4.2mg/cm2
あった。
【0050】〈比較例2〉以下に示す組成の混合物を、
アルミナボールを入れたポリプロピレン製容器に入れ1
時間以上回転させて混合し、塗料組成物を得た。 ・酸化チタン(石原産業製ST−01) 5.70g ・シリカ・ジルコニア系バインダー(日板研究所製G401) 42.72g ・チタン酸カリウム 1.58g 本塗料は、固形成分比で酸化チタンが36wt%、バインダ
ーが54wt%、チタン酸カリウムが10wt%となっている。
【0051】上記組成の塗料を96cm2のクロメート処理
を行ったアルミニウム板に塗布した後、350゜Cで1時間焼
成を行った。同様に塗布・焼成を繰り返し、合計2層の
光触媒膜を形成した。本触媒膜の重量は、3.7mg/cm2
あった。
【0052】〈比較実験〉第2、第3の実施形態及び比
較例2で得た光触媒体試料を用いて前記第1の実験と同
様の方法で、27リットルボックス中の120ppmのアセトア
ルデヒドを10ppm迄分解するのに要する時間を評価し
た。また、前記第2の実験と同様の方法で膜の密着性の
評価を行った。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】表3に示す試料は、表2に示す充填剤未添
加試料に比べいずれも膜の密着性が改善されている。ア
セトアルデヒド分解時間は、ファイバー状の充填剤であ
るチタン酸カリウムを使用した比較例2では、2.5時間
と長時間であるのに対し、鱗片状充填剤であるマイカを
使用した実施例2、3ではより短時間で済む。また、第
2、第3の実施形態の比較で明らかな様に、粒径0.3〜7
μmの小さいマイカを使用した第2の実施形態の試料の
方が粒径0.3〜20μmのマイカを使用した第3の実施形態
の試料よりも、アセトアルデヒドの分解速度が早い。
【0055】比較例2では、使用した充填剤がファイバ
ー状のチタン酸カリウムであったために、充填剤が膜中
で緻密に充填され空隙ができず、光触媒粒子が膜中に埋
まり光触媒活性が大きく減少したと考えられる。一方、
上記第2、第3の実施形態で用いられたマイカは鱗片形
状であるため高い強度が得られると同時に適度な空孔を
形成し、光触媒粒子のもつ活性が損なわれにくかったと
考えられる。
【0056】また、本実施形態では充填剤の含有量は10
wt%としたが、発明者らが検討の結果、製造コスト、膜
の密着強度等を考慮すると、充填剤の含有量は5〜30wt%
であることが適当であることがわかった。
【0057】〈第4の実施形態〉以下に示す組成の混合
物を、アルミナボールを入れたポリプロピレン製容器に
入れ1時間以上回転させて混合し、塗料組成物を得た。 ・酸化チタン(石原産業製ST−01) 5.7g ・シリカ・ジルコニア系バインダー(日板研究所製G401) 85.4g ・Cu交換ゼオライト(日産ガードラー製Cuペンタジル) 5.7g ・マイカ(粒径0.3〜7μm) 3.2g ・イソプロピルアルコール 58.4g 本塗料は、固形成分比で酸化チタンが18wt%、バインダ
ーが54wt%、吸着剤であるCu交換ゼオライトが18wt%、
マイカが10wt%となっている。
【0058】上記組成の塗料を96cm2のクロメート処理
を行ったアルミニウム板に塗布した後、350゜Cで1時間焼
成を行った。同様に塗布・焼成を繰り返し、合計10層
の吸着剤と光触媒の混合膜を形成した。膜重量は、約5.
3mg/cm2であった。
【0059】〈第5の実施形態〉80×40×20mmt、200セ
ルのアルミニウムハニカムに、第4の実施形態に示した
組成の塗液をディップ法にて塗布し、100゜Cで乾燥後350
゜Cで焼成を行った。ハニカム1リットル当たりの膜重量
が乾燥時の膜重量で122gになるよう塗布と焼成を繰り返
した。
【0060】〈第6の実施形態〉以下に示す組成の混合
物を、アルミナボールを入れたポリプロピレン製容器に
入れ1時間以上回転させて混合し、塗料組成物を得た。 ・酸化チタン(石原産業製ST−01) 11.0g ・シリカ・ジルコニア系バインダー(日板研究所製G401) 73.8g ・Cu交換ゼオライト(日産ガードラー製Cuペンタジル) 11.0g ・マイカ(粒径0.3〜7μm) 4.1g ・イソプロピルアルコール 104.4g 本塗料は、固形成分比で酸化チタンが27wt%、バインダ
ーが36wt%、Cu交換ゼオライトが27wt%、マイカが10wt
%となっている。80×40×20mmt、200セルのアルミニウ
ムハニカムに、上記組成の塗液をディップ法にて塗布
し、100゜Cで乾燥後350゜Cで焼成を行った。ハニカム1リ
ットル当たりの膜重量が乾燥時の膜重量で135gになるよ
う塗布と焼成を繰り返した。
【0061】〈比較実験〉27リットルの容器に、第1、
第4、第5、第6の実施形態で得た光触媒体形成試料を
別個に入れ、悪臭物質の1つであるアセトアルデヒドを
120ppmの濃度となるように注入した。次に、6Wのブラッ
クライトを用い試料表面の光触媒体を紫外線で照射し、
10分後のアセトアルデヒド濃度を測定した。また、前記
の方法で膜の密着性を評価した。評価結果を表4に示
す。
【0062】
【表4】
【0063】第1の実施形態は、光触媒のみであるため
10分間での濃度減少は小さいが、第4の実施形態では吸
着剤を含むためアセトアルデヒド濃度が急減している。
第5の実施形態では、吸着剤と光触媒の混合層を面積の
大きなハニカムに形成しているため、さらに濃度減少量
が大きくなっている。第6の実施形態では、吸着剤の含
有量を第5の実施形態の18%よりも増加し、27%としてい
るため、濃度の減少量がより一層大きくなっている。
【0064】また、上記実験結果から酸化チタンとゼオ
ライトの合計の含有量が36〜54%の範囲では密着性に大
きな変化が無かった。しかし、発明者らの検討結果か
ら、酸化チタン・ゼオライト及びマイカの含有量が増加
する程、1回のディップで塗布される膜の量は多くなる
ため、塗布回数を減らし製造コストを低減することがで
きることがわかった。但し、バインダの含有量が20%以
下になると、光触媒、吸着剤及び充填剤の粒子間に充分
なバインダが充填されないため、膜の密着強度が低下す
るという問題がある。
【0065】従って、製造コスト、密着強度を考慮する
と、酸化チタンとCu交換ゼオライトの合計は、40〜80
wt%が適している。また、マイカを10〜25%含有する場
合、酸化チタンとCu交換ゼオライトの合計は、30〜65
wt%が適している。
【0066】尚、本実験では吸着剤としてCu交換ゼオ
ライトを用いたがその他、Ag、Au、Pt、Pd、S
bなどの金属で置換したゼオライトを用いても、特定物
質の吸着性能の向上を図ることができ吸着剤として適し
ている。
【0067】上記実施形態の触媒体は、エアコン又は除
湿器の熱交換器フィンに形成した場合、表面積が大きい
ため大きな脱臭能力を持たせることができる。また、こ
の触媒体は耐水性があるため、結露水による膜強度の劣
化が起こらない。さらに、比較実験で示した空気浄化の
他、耐水性を有するので水の浄化にも利用可能である。
また、第4〜第6の実施形態の触媒体においては、吸着
剤としてCu交換ゼオライトを使用しているため、活性
炭を使用した場合と比べ一酸化炭素を吸着する能力が優
れている。
【0068】
【発明の効果】本発明によると、高い光触媒活性があり
耐水性を有する高信頼性の皮膜を、350゜C以下の低温で
基体上に形成することができる。さらに、皮膜に鱗片状
充填剤を加えることにより、光触媒活性を失うことな
く、皮膜の強度をより一層向上させることができる。
【0069】本光触媒体の皮膜は低温で形成することが
できるので、アルミニウムのような耐熱温度が低い基体
上に、基体の強度を損なうことなく形成することができ
る。また、皮膜のバインダーは有機基を有さない成分で
構成されているので光触媒により分解されない。
【0070】さらに、触媒膜は親水性を有し、例えばエ
アコンの熱交換器フィンに形成した場合、結露水がはじ
かれないため送風により飛散しにくい。そして、耐水性
も有するので、結露した水による膜強度の劣化が起きに
くく、水の浄化にも使用可能となっている。
【0071】本発明の光触媒体の皮膜にさらに吸着剤を
混合することにより、悪臭源となる物質、有害物質など
の除去速度をさらに大きくすることができる。また、光
触媒と吸着剤が混合されているので、吸着剤に吸着した
物質は光触媒により分解され、メンテナンスフリーな浄
化装置を形成することができる。
【0072】また、吸着剤としてゼオライトまたはCu
交換ゼオライトを使用することにより、特定物質例えば
Cu交換ゼオライトを使用することにより一酸化炭素の
吸着性能を大きくすることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダーと共に光触媒粒子を基体上に
    接着させて前記基体上に触媒膜を形成してなる光触媒体
    において、シリコンアルコキシドを原料として生成され
    るシリカとジルコニウムアルコキシドを原料として生成
    されるジルコニアの一方または両方を前記バインダーと
    して使用したことを特徴とする光触媒体。
  2. 【請求項2】 前記バインダーがシリカとジルコニアを
    含みシリカの含有量が60〜90wt%、ジルコニアの含有量
    が10〜40wt%であることを特徴とする請求項1に記載の
    光触媒体。
  3. 【請求項3】 前記基体上に形成された触媒膜に鱗片状
    充填剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の
    光触媒体。
  4. 【請求項4】 前記基体上に形成された触媒膜に吸着剤
    を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つ
    に記載の光触媒体。
  5. 【請求項5】 前記基体がアルミニウム又はクロメート
    処理したアルミニウムで形成された板又はハニカムより
    なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに
    記載の光触媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の
    光触媒体を浄化機能体として用いたことを特徴とする浄
    化装置。
  7. 【請求項7】 シリコンアルコキシドを原料として生成
    されるシリカとジルコニウムアルコキシドを原料として
    生成されるジルコニアの一方または両方からなるバイン
    ダーと光触媒粒子を混ぜてフィン表面に接着したことを
    特徴とする熱交換器フィン。
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