JPH10215875A - 蛋白質の精製方法 - Google Patents
蛋白質の精製方法Info
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Abstract
精製方法の提供。 【解決手段】 蛋白質、例えば、肝実質細胞増殖因子を
樹脂を用いて精製する方法において、粗蛋白質溶液を樹
脂に吸着させ、緩衝液で処理した後に溶出操作を行うこ
とを特徴とする蛋白質の精製方法。 【効果】 本発明の精製方法によれば、簡便な方法で目
的蛋白質から夾雑物を除去することができ、医薬品とし
て使用するのに十分高度な純度を有する蛋白質を得るこ
とができる。
Description
関し、更に詳細には肝実質細胞増殖因子(以下「HG
F」と略称することがある。)を始めとする蛋白質を高
度な純度を必要とする医薬品として応用する際の精製工
程において有用な蛋白質の精製方法に関する。
で蛋白質を精製するには、その蛋白質に適した樹脂を選
択し次にその樹脂に目的蛋白質を吸着させたり、また目
的蛋白質以外の夾雑物を吸着させたりして純度を上げて
いくのが一般的であった。樹脂に目的蛋白質を吸着させ
精製していくときはイオン交換クロマトグラフィーを例
にとると、蛋白質溶液(夾雑物を含む)を樹脂にアプラ
イ後、目的蛋白質が溶出してこない程度の塩濃度を有し
た緩衝液で洗浄後、塩濃度を上げることによって目的蛋
白質を溶出させる方法が一般的である。また、洗浄、溶
出時の線速度・空間速度の調節並びに分取液量の調整も
精製技術のうちの一つである。
質に適合した樹脂の選択に時間・労力を要し、また夾雑
物の分離も十分できない事例が多く、続いて新たなクロ
マトグラフィーを組み合わせていかなければならない。
一方、HGFは、初代培養肝実質細胞の増殖を促進させ
うるヒト由来の蛋白性因子として、劇症肝炎患者血漿よ
り見い出された(特開昭63−22526号公報;以
下、ヒト由来の肝実質細胞増殖因子を「hHGF」と略
称することがある)。その後、hHGF蛋白質のアミノ
酸配列およびそれをコードする遺伝子(cDNA)(特
開平3−72883号公報)、さらにこのcDNAを用
いた組換えhHGF蛋白質(以下、「rhHGF」と略
称することがある)の生産方法および形質転換体(特開
平3−285693号公報)が報告されている。
は、これまで種々の方法が報告されているが、HGFを
医薬品として使用するために十分高度な純度を持つHG
Fを得ることができ、かつ、簡便な精製方法が望まれて
いるのが現状である。
はじめとする蛋白質を、高度な純度を必要とする医薬品
として応用する際の精製工程について探索、検討を進め
た結果、所望の塩基性蛋白質を樹脂を用いて精製する
際、蛋白質を樹脂に吸着させた後、溶出操作を行う前に
酸性緩衝液で処理することにより、目的蛋白質の樹脂へ
の吸着力を高めることができ、その結果、夾雑物が効率
よく除去できることを見出した。本発明は、これらの知
見に基づいて完成されたものである。
を用いて精製する方法において、粗蛋白質溶液を樹脂に
吸着させ、緩衝液で処理した後に溶出操作を行うことを
特徴とする蛋白質の精製方法に存する。更に、本発明の
好ましい態様によれば、蛋白質が塩基性蛋白質であり、
緩衝液が酸性緩衝液である上記方法;酸性緩衝液が、グ
リシン−塩酸緩衝液、フタル酸カリウム−塩酸緩衝液、
クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液、β,β′−ジメ
チルグルタル酸−水酸化ナトリウム緩衝液、酢酸−酢酸
ナトリウム緩衝液、コハク酸−水酸化ナトリウム緩衝
液、フタル酸カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、ヒス
チジン塩酸塩−水酸化ナトリウム緩衝液、MES−水酸
化ナトリウム緩衝液、カコジル酸ナトリウム−塩酸緩衝
液またはマレイン酸ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝
液から選ばれる上記方法;
液であることを特徴とする上記方法;塩基性蛋白質が、
肝実質細胞増殖因子、ブタ膵臓エラスターゼ、血液凝固
因子XI(血漿トロンボプラスチン前駆体)、ウマ心臓
シトクロームc、ウシ膵臓トリプシン、ウシ膵臓Kun
itzインヒビター、ヒストン類、ニワトリ卵白リゾチ
ーム、ヒトリゾチーム、ウシ膵臓リボヌクレアーゼAま
たはヒトプラスミノーゲンプロアクチベーターから選ば
れる上記方法;
ることを特徴とする上記方法;肝実質細胞増殖因子が以
下の理化学的性質: 1)ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE;非還元条件下)による推
定分子量が約76,000〜92,000ダルトンであ
る、 2)肝実質細胞を増殖させる活性を有する、 3)80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活
する、 4)トリプシンによる消化処理またはキモトリプシンに
よる消化処理により上記活性が失活する、および 5)ヘパリンに対して強い親和性を有するを有する蛋白
質である上記方法;肝実質細胞増殖因子がヒト由来の肝
実質細胞増殖因子である上記方法;
換え肝実質細胞増殖因子である上記方法;組換え肝実質
細胞増殖因子が配列番号1に示されるアミノ酸配列で表
される肝実質細胞増殖因子である上記方法;組換え肝実
質細胞増殖因子が配列番号1に示されるアミノ酸配列の
うち30番目のグルタミン酸から728番目のセリンま
での配列で表される肝実質細胞増殖因子である上記方
法;
示されるアミノ酸配列のうち32番目のグルタミンから
728番目のセリンまでの配列で表される肝実質細胞増
殖因子である上記方法;蛋白質が酸性蛋白質であり、緩
衝液が塩基性緩衝液である上記方法;塩基性緩衝液が、
ホウ酸緩衝液、ホウ酸−塩酸緩衝液、グリシン−水酸化
ナトリウム緩衝液、炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウ
ム緩衝液、ホウ酸−水酸化ナトリウム緩衝液、炭酸水素
ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、リン酸水素二ナ
トリウム−水酸化ナトリウム緩衝液または塩化カリウム
−水酸化ナトリウム緩衝液から選ばれる上記方法;酸性
蛋白質がアルブミン、アンチトロンビンIII 、キニノー
ゲン、血液凝固因子IX、α2HS−糖蛋白質、プロト
ロンビン、免疫グロブリンGまたはレチノール結合蛋白
質から選ばれる上記方法;
ー樹脂から選ばれる上記方法;アフィニティー樹脂が硫
酸化セルロファインまたはヘパリンセファロースである
上記方法;イオン交換樹脂がスルホプロキル基又はカル
ボキシメチル基を有するイオン交換樹脂である上記方
法;緩衝液で処理した後にさらに界面活性剤を使用した
洗浄操作を行ってから溶出操作を行う上記方法が提供さ
れる。
る。本発明の精製方法において使用される蛋白質として
は、高度な純度を必要とする医薬品として応用可能な蛋
白質であれば特に制限はなく、塩基性蛋白質、酸性蛋白
質いずれの場合も適用可能である。
ブタ膵臓エラスターゼ、血液凝固因子XI(血漿トロン
ボプラスチン前駆体)、ウマ心臓シトクロームc、ウシ
膵臓トリプシン、ウシ膵臓Kunitzインヒビター、
ヒストン類、ニワトリ卵白リゾチーム、ヒトリゾチー
ム、ウシ膵臓リボヌクレアーゼA、ヒトプラスミノーゲ
ンプロアクチベーター等が挙げられ、特に好ましくは、
HGFが挙げられる。
知られているヒトやラット等のほ乳動物由来の体液や組
織、または自発的にHGFを産生する細胞から天然のH
GFを単離してもよいし、あるいは遺伝子組換え法によ
り該HGFcDNAを細胞に導入して得られる組換えH
GFを用いてもよい。組換えHGFを産生させる宿主と
しては、例えば、大腸菌、枯草菌、酵母、糸状菌、植物
細胞、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。
障害患者肝組織及び血液、MRC−5細胞、IMR−9
細胞などの線維芽細胞株、あるいは特開平3−2856
93号公報に記載された方法に従いhHGFをコードす
るcDNAを含む発現ベクターをCHO細胞等の宿主に
導入した産生株などから得られたものが該当する。ま
た、これらHGFにおいては、その前駆体蛋白質や、肝
実質細胞を増殖させるという活性を損なわない範囲にお
いて一部のアミノ酸を置換、欠失、挿入、修飾するなど
の改変を行ったものを用いてもよい。かかる改変体とし
ては、例えば、特開平2−288899号公報、WO9
0/10651号公報、特開平3−130091号公
報、同3−255096号公報、同4−30000号公
報、Nature,342,440−443(198
9)等に記載のものが挙げられる。
22526号公報および米国特許第5004805号公
報に記載されている、以下の理化学的性質を有する蛋白
性因子であることが好ましい。 1)ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE;非還元条件下)による推
定分子量が約76,000〜92,000ダルトンであ
る、 2)肝実質細胞を増殖させる活性を有する、 3)80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活
する、 4)トリプシンによる消化処理またはキモトリプシンに
よる消化処理により上記活性が失活する、および 5)ヘパリンに対して強い親和性を有する
が好ましく、特に好ましいものとしては、特開平3−7
2883号公報、特開平4−89499号公報およびヨ
ーロッパ公開特許第0412557号公報に記載の、後
記配列表の配列番号1に示されるアミノ酸で表されるも
の、配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち30番目
のグルタミン酸から728番目のセリンまでの配列で表
されるもの、配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち
32番目のグルタミンから728番目のセリンまでの配
列で表されるものを挙げることができる。
ン、アンチトロンビンIII 、キニノーゲン、血液凝固因
子IX、α2HS−糖蛋白質、プロトロンビン、免疫グ
ロブリンGおよびレチノール結合蛋白質等が挙げられ
る。本発明の方法において精製対象となる上記蛋白質の
粗蛋白質溶液とは、組換えDNA技術を利用して、該蛋
白質を産生するように形質転換された組換え体、例え
ば、CHO細胞等の動物細胞、大腸菌、酵母等を適当な
培地および培養条件で培養して該蛋白質を産生、蓄積さ
せた後、この培養上清または細胞内から適当な方法で該
蛋白質を回収して得られるものである。粗蛋白質溶液に
は、上記培養物に限らず、天然の蛋白質溶液やヒト血清
等も含まれる。
を樹脂に吸着させる。ここで使用される樹脂としては、
通常蛋白質の精製に使用される樹脂であれば特に制限は
されないが、陰イオンもしくは陽イオン交換樹脂等のイ
オン交換樹脂またはアフィニティー樹脂が好ましいもの
として挙げられる。イオン交換樹脂としてはスルホプロ
キル基またはカルボキシル基を有するイオン交換樹脂
が、アフェニティー樹脂としては硫酸化セルロファイ
ン、ヘパリンセルロファイン(以上生化学工業社)また
はヘパリンセファロース(Heparin Sepha
rose)CL6B(ファルマシア社)等が好ましいも
のとして挙げられる。
E Sephadex A−25、DEAE Seph
adex A−50、QAE Sephadex A−
25、QAE Sephadex A−50、DEAE
Sephacel、DEAE Sepharose
CL−6B、Q−Sepharose Fast fl
ow、DEAE Sepharose Fast fl
ow、MonoQ(以上ファルマシア社)、DEAE−
トヨパール650、QAE−トヨパール550、Sup
erQ−トヨパール650(以上東ソー社)、DEAE
−セルロファインA−200−m、DEAE−セルロフ
ァインA−500−m、DEAE−セルロファインA−
500−sf、DEAE−セルロファインA−800−
m(以上生化学工業社)等の陰イオン交換樹脂;CM
Sephadex C−25、CM−Sephadex
C−50、SP−Sephadex C−25、SP
−Sepadex C−50、CM Sepharos
e CL−6B、SP Sepharose Big
Beads、S−Sepharose Fastflo
w、CM−Sepharose Fast flow、
Mono S、S−Cellulofine、SP−S
epharose FF(以上ファルマシア社)、SP
−トヨパール650、SP−トヨパール550、CM−
トヨパール650(以上東ソー社)、CM−セルロファ
インC−200−m、CM−セルロファインC−500
−m、CM−セルロファインC−500−SF(以上生
化学工業社)等の陽イオン交換樹脂が挙げられる。これ
らのイオン交換樹脂は市販されており、容易に入手でき
る。
る際には、使用する緩衝液としては酸性のものを、酸性
蛋白質を精製する際には、使用する緩衝液としては塩基
性のものを使用する。酸性緩衝液としては、pH7未
満、好ましくはpH3〜6のグリシン−塩酸緩衝液、フ
タル酸カリウム−塩酸緩衝液、クエン酸−クエン酸ナト
リウム緩衝液、β,β′−ジメチルグルタル酸−水酸化
ナトリウム緩衝液、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、コハ
ク酸−水酸化ナトリウム緩衝液、フタル酸カリウム−水
酸化ナトリウム緩衝液、ヒスチジン塩酸塩−水酸化ナト
リウム緩衝液、MES(2−morphorinoet
hanesulfonic acid)−水酸化ナトリ
ウム緩衝液、カコジル酸ナトリウム−塩酸緩衝液および
マレイン酸ナトリウム−水酸化ナトリウム等が挙げられ
る。
ましくはpH9〜11のホウ酸緩衝液(H3BO3−KC
l−NaOH)、ホウ酸−塩酸緩衝液(Na2B4O7−
HCl)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液、炭酸ナ
トリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸−水酸化
ナトリウム緩衝液(Na2B4O7−NaOH)、炭酸水
素ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、リン酸水素二
ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝液および塩化カリウ
ム−水酸化ナトリウム緩衝液等が挙げられる。
M程度が適当であり、これに加えて塩化ナトリウム等の
塩類を加えるなど、精製対象とする蛋白質の種類により
適宜決定すればよい。蛋白質の精製を行う際、通常は上
記の樹脂を平衡化した後、蛋白質の粗抽出液を樹脂に吸
着させ、場合により洗浄操作を行ったのち、最後に溶出
操作を行い、目的とする蛋白質を精製する。しかし、本
発明は、粗蛋白質溶液を樹脂に吸着させた後、それぞれ
対応する緩衝液を樹脂に通じて前処理を施す点に一つの
特徴を有する。ここで、緩衝液による前処理を行うこと
により、夾雑物濃度を著しく減じることが可能となる。
樹脂に通じる緩衝液の量に特に制限はないが、通常樹脂
容積の2〜10倍、好ましくは4〜8倍が適当である。
後、場合により洗浄操作を行い、最後に溶出操作を行う
ことにより、蛋白質の樹脂に対する吸着力を高めること
ができ、医薬品として使用可能な高度に精製された蛋白
質を得ることができる。ここで、洗浄操作を行う場合、
洗浄操作で用いる緩衝液にTween20やTween
80等の非イオン性界面活性剤を添加することにより、
目的蛋白質の極端な樹脂との結合を防止し、目的蛋白質
と相互作用している夾雑物を剥離させながら精製するこ
とが可能となる。
で目的蛋白質から夾雑物を除去することができ、医薬品
として使用するのに十分高度な純度を有する蛋白質を得
ることができる。
説明するが、その要旨を超えない限り、以下の実施例に
限定されるものではない。なお、以下の実施例で、HG
F培養上清は、特開平3−285693号公報に記載さ
れているBD−24株等を用いて、該公報に記載されて
いる方法に従って製造された精製前の組換えhHGF培
養上清を使用した。
に樹脂(SP Sepharose BB(ファルマシ
ア社))を充填し平衡化リン酸緩衝液(0.15M N
aCl/10mMリン酸緩衝液(pH7.5))で12
0cm/hの線速度で平衡化した。次にHGFを含んだ
培養上清を線速度120cm/hでアプライし、続いて
0.45M NaCl、0.05%Tween80/1
0mMリン酸緩衝液(pH7.5)を用い線速度120
cm/hで樹脂容積の10倍量で洗浄した。
衝液(pH5.0)を用い、線速度120cm/hで樹
脂容積の5倍量、0.6M NaCl/50mM酢酸緩
衝液(pH5.0)を用い、線速度120cm/hで樹
脂容積の5倍量通じて前処理した。そして0.6M N
aCl/50mM酢酸緩衝液(pH5.0)と1.0M
NaCl/50mM酢酸緩衝液(pH5.0)を使っ
て線速度60cm/hで樹脂容積の5倍量のグラジェン
ト溶出を行い、HGFを得た(図1)。
衝液を用い、樹脂容積の10倍量で洗浄した後に、更に
0.5M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.
5)を用い、線速度120cm/hで樹脂容積の10倍
量通じて前処理した。そして0.5M NaCl/10
mリン酸緩衝液(pH7.5)と1.0M NaCl/
10mMリン酸緩衝液(pH7.5)を使って線速度6
0cm/hで樹脂容積の5倍量のグラジェント溶出を行
い、HGFを得た(図2)。
GF)、黒丸は夾雑物であるFoetal Bovin
e Serum(FBS)、黒四角はCalf Ser
um(CS)を示す。図2から、前処理をリン酸緩衝液
(pH7.5)で行った場合、目的蛋白質(HGF)に
付随してかなりの量の夾雑物が溶出されてしまうことが
わかる。一方、図1に示されるように、前処理を酸性緩
衝液で行った場合、目的蛋白質(HGF)と付随して溶
出されてくる夾雑物は図2と比較して顕著に低減されて
いることが明らかである。
質(HGF)画分を集め、再度夾雑物濃度を測定した結
果を示す。図中、縦軸は目的蛋白質(HGF)との相対
的な重量比(ppm)で示した夾雑物濃度を示し、FB
SはFoetal Bovine Serum、CSは
Calf Serun、CHOPはChineseHa
mster Ovary cell Proteinを
示す。図3から、酸性緩衝液で前処理した場合(右側の
黒く塗り潰した棒グラフ)は、リン酸緩衝液(pH7.
5)で処理した場合(左側の棒グラフ)と比較して、F
BSおよびCSで約5〜6倍、CHOPで約3倍除去効
率が向上することがわかる。
処理および溶出に酢酸緩衝液(pH5.0)を用いた時
の溶出プロファイルを示す図である。
7.5)を用いた時の溶出プロファイルを示す図であ
る。
濃度を測定した結果を示す図である。
Claims (19)
- 【請求項1】 蛋白質を樹脂を用いて精製する方法にお
いて、粗蛋白質溶液を樹脂に吸着させ、緩衝液で処理し
た後に溶出操作を行うことを特徴とする蛋白質の精製方
法。 - 【請求項2】 蛋白質が塩基性蛋白質であり、緩衝液が
酸性緩衝液であることを特徴とする請求項1記載の精製
方法。 - 【請求項3】 酸性緩衝液が、グリシン−塩酸緩衝液、
フタル酸カリウム−塩酸緩衝液、クエン酸−クエン酸ナ
トリウム緩衝液、β,β′−ジメチルグルタル酸−水酸
化ナトリウム緩衝液、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、コ
ハク酸−水酸化ナトリウム緩衝液、フタル酸カリウム−
水酸化ナトリウム緩衝液、ヒスチジン塩酸塩−水酸化ナ
トリウム緩衝液、MES−水酸化ナトリウム緩衝液、カ
コジル酸ナトリウム−塩酸緩衝液またはマレイン酸ナト
リウム−水酸化ナトリウム緩衝液から選ばれることを特
徴とする請求項2記載の精製方法。 - 【請求項4】 酸性緩衝液が、酢酸−酢酸ナトリウム緩
衝液であることを特徴とする請求項2または3記載の精
製方法。 - 【請求項5】 塩基性蛋白質が、肝実質細胞増殖因子、
ブタ膵臓エラスターゼ、血液凝固因子XI(血漿トロン
ボプラスチン前駆体)、ウマ心臓シトクロームc、ウシ
膵臓トリプシン、ウシ膵臓Kunitzインヒビター、
ヒストン類、ニワトリ卵白リゾチーム、ヒトリゾチー
ム、ウシ膵臓リボヌクレアーゼAまたはヒトプラスミノ
ーゲンプロアクチベーターから選ばれることを特徴とす
る請求項2記載の精製方法。 - 【請求項6】 塩基性蛋白質が肝実質細胞増殖因子であ
ることを特徴とする請求項2記載の精製方法。 - 【請求項7】 肝実質細胞増殖因子が以下の理化学的性
質を有する蛋白性因子であることを特徴とする請求項6
に記載の精製方法。 1)ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE;非還元条件下)による推
定分子量が約76,000〜92,000ダルトンであ
る、 2)肝実質細胞を増殖させる活性を有する、 3)80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活
する、 4)トリプシンによる消化処理またはキモトリプシンに
よる消化処理により上記活性が失活する、および 5)ヘパリンに対して強い親和性を有する - 【請求項8】 肝実質細胞増殖因子がヒト由来の肝実質
細胞増殖因子である請求項6または7記載の精製方法。 - 【請求項9】 肝実質細胞増殖因子がcDNAを用いた
組換え肝実質細胞増殖因子である請求項6から8のいず
れかに記載の精製方法。 - 【請求項10】 組換え肝実質細胞増殖因子が配列番号
1に示されるアミノ酸配列で表される肝実質細胞増殖因
子である請求項9記載の精製方法。 - 【請求項11】 組換え肝実質細胞増殖因子が配列番号
1に示されるアミノ酸配列のうち30番目のグルタミン
酸から728番目のセリンまでの配列で表される肝実質
細胞増殖因子である請求項9記載の精製方法。 - 【請求項12】 組換え肝実質細胞増殖因子が配列番号
1に示されるアミノ酸配列のうち32番目のグルタミン
から728番目のセリンまでの配列で表される肝実質細
胞増殖因子である請求項9記載の精製方法。 - 【請求項13】 蛋白質が酸性蛋白質であり、緩衝液が
塩基性緩衝液であることを特徴とする請求項1記載の精
製方法。 - 【請求項14】 塩基性緩衝液が、ホウ酸緩衝液、ホウ
酸−塩酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液、
炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸−
水酸化ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム−水酸化
ナトリウム緩衝液、リン酸水素二ナトリウム−水酸化ナ
トリウム緩衝液または塩化カリウム−水酸化ナトリウム
緩衝液から選ばれることを特徴とする請求項13記載の
精製方法。 - 【請求項15】 酸性蛋白質が、アルブミン、アンチト
ロンビンIII 、キニノーゲン、血液凝固因子IX、α2
HS−糖蛋白質、プロトロンビン、免疫グロブリンGま
たはレチノール結合蛋白質から選ばれることを特徴とす
る請求項13記載の精製方法。 - 【請求項16】 樹脂がイオン交換樹脂またはアフィニ
ティー樹脂から選ばれる請求項1から15のいずれかに
記載の精製方法。 - 【請求項17】 アフィニティー樹脂が硫酸化セルロフ
ァインまたはヘパリンセファロースであることを特徴と
する請求項16記載の精製方法。 - 【請求項18】 イオン交換樹脂がスルホプロキル基又
はカルボキシメチル基を有するイオン交換樹脂であるこ
とを特徴とする請求項16記載の精製方法。 - 【請求項19】 緩衝液で処理した後にさらに界面活性
剤を使用した洗浄操作を行ってから溶出操作を行うこと
を特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の精製
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9023845A JPH10215875A (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 蛋白質の精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9023845A JPH10215875A (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 蛋白質の精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10215875A true JPH10215875A (ja) | 1998-08-18 |
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ID=12121749
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9023845A Pending JPH10215875A (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 蛋白質の精製方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10215875A (ja) |
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1997
- 1997-02-06 JP JP9023845A patent/JPH10215875A/ja active Pending
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