JPH10213805A - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペーサの配置制御を充分に行うことが可能
な液晶表示装置の製造方法を提供する。 【解決手段】 電極を有する２枚の基板間に液晶を狭持
し、上記２枚の基板間のギャップをスペーサにより保持
する構造を有する液晶表示装置の製造方法であって、上
記スペーサの散布は、上記スペーサをコロナ荷電ガンに
より帯電させ、上記コロナ荷電ガンと上記スペーサを散
布する基板との間にアース電極を設け、上記基板に形成
された電極に電圧を印加した状態で行う液晶表示装置の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置の製
造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、パソコン、携帯型電子
機器等に広く用いられている。液晶表示装置は、一般
に、図３に示されるように、カラーフィルタ４、透明電
極３、配向膜９等が形成された２枚の基板１に液晶７を
狭持させてなる。ここで、この２枚の基板１の間隔を規
制し、適正な液晶層の厚みを維持しているのがスペーサ
８である。

【０００３】従来の液晶表示装置の製造方法において
は、画素電極が形成された基板上にスペーサをランダム
かつ均一に散布するため、図３に示されるように、画素
電極上にもスペーサが配置されてしまう。スペーサは一
般に合成樹脂やガラス等から形成されており、画素電極
上にスペーサが配置されると消偏作用によりスペーサ部
分が光漏れを起こす。また、スペーサ表面で液晶の配向
が乱れることにより光抜けが起こり、コントラスト低下
の原因となる。

【０００４】上述のような問題を解決するためには、カ
ラーフィルタに形成されている遮光膜であるブラックマ
トリックス部分にスペーサを配置すればよい。ブラック
マトリックスは表示コントラストの向上や、ＴＦＴ素子
等が外光で光誤動作しないように設けられているもので
ある。

【０００５】ブラックマトリックス部分、すなわち、液
晶表示装置の画素電極以外の部分（ＴＦＴ型液晶表示装
置の場合は配線電極部分）のみにスペーサを配置する技
術として、特開平４−２０４４１７号公報には、スペー
サを正負いずれかに帯電させ、画素電極とスペーサとを
同極にする方法が開示されている。特開平４−２５６９
２５号公報には、スペーサ散布時にゲート電極及びドレ
イン電極を同電位に保持する方法が開示されている。

【０００６】特開平５−５３１２１号公報には、スペー
サ散布時に配線電極に電圧を印加する方法が開示されて
いる。また、特開平５−６１０５２号公報等には、配線
電極に正の電圧を印加し、スペーサを負に帯電させて乾
式で散布する方法が開示されている。

【０００７】これらいずれの方法も、スペーサの帯電を
利用し、基板に形成された画素電極や配線電極に電圧を
印加することにより、スペーサを画素電極以外の部分に
配置しようとするものである。ここで、スペーサ、特に
合成樹脂製のスペーサは、基板に散布するに際して、特
別な手段を施さなくても、散布の際の空気流、スペーサ
同士、吹き出し管壁等との摩擦により、多くは負に帯電
する。しかしながら、このような摩擦による帯電では、
正に帯電したスペーサも負に帯電したスペーサ中に混在
してしまうので、高精度の配置制御を達成することは困
難である。

【０００８】スペーサの帯電極性の均一性を向上させる
には、コロナ放電を利用するコロナ荷電ガンを用いるこ
とが有効である。しかしながら、コロナ荷電ガンを用い
てスペーサを帯電させた場合には、コロナ荷電ガン１３
と基板に形成された画素電極や配線電極である透明電極
３との間に、図２に示されるような電気力線１０が形成
されてしまう。すなわち、通常コロナ荷電ガンの放電は
数十ｋＶ〜数百ｋＶであるのに対して、基板に形成され
た電極に印加される電圧はせいぜい数ｋＶであるため、
例えば、コロナ荷電ガンに−８０ｋＶ、電極に＋１ｋＶ
又は−１ｋＶの電圧を印加したとしても、電気力線は、
電極に印加される電圧の極性にかかわらず、図２に示さ
れるように、コロナ荷電ガンと電極との間に形成されて
しまう。従って、スペーサを、基板に形成された電極上
に配置することは可能であるが、斥力により電極以外の
部分に配置することはできなかった。このため、ＴＦＴ
型液晶表示装置の場合は、配線電極に対してスペーサを
散布することにより、画素電極以外の部分へスペーサを
配置することが可能であるが、ＳＴＮ型液晶表示装置の
場合は、電極が画素電極しか存在しないため、画素電極
以外の部分へのスペーサの配置が困難であった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、スペーサの配置制御を充分に行うことが可能な液晶
表示装置の製造方法を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、電極を有する
２枚の基板間に液晶を狭持し、上記２枚の基板間のギャ
ップをスペーサにより保持する構造を有する液晶表示装
置の製造方法であって、上記スペーサの散布は、上記ス
ペーサをコロナ荷電ガンにより帯電させ、上記コロナ荷
電ガンと上記スペーサを散布する基板との間にアース電
極を設け、上記基板に形成された電極に電圧を印加した
状態で行う液晶表示装置の製造方法である。以下に本発
明を詳述する。

【００１１】本発明においては、スペーサをコロナ荷電
ガンにより帯電させる。上記コロナ荷電ガンとしては特
に限定されず、従来一般に用いられているもの等を用い
ることができる。上記コロナ荷電ガンの極性は特に限定
されないが、スペーサは、散布される際に、空気流、ス
ペーサ同士、吹き出し管壁等との摩擦により基本的には
負に帯電するため、負極性が好ましい。

【００１２】本発明においては、上記コロナ荷電ガンに
より帯電したスペーサの散布を、上記コロナ荷電ガンと
スペーサを散布する基板との間にアース電極を設け、上
記基板に形成された電極に電圧を印加した状態で行う。
上記アース電極により、上記コロナ荷電ガンと上記基材
に形成された電極との間に形成される電気力線は、図１
に示すように、上記アース電極側に流れるため、帯電し
たスペーサは電気力線の影響を受けることなく、上記基
板に散布される。

【００１３】上記コロナ荷電ガンによりスペーサを負に
帯電させた場合は、上記基板に形成された電極に正の電
圧を印加すれば、引力により電極上にスペーサを配置す
ることができ、負の電圧を印加すれば、斥力により電極
上にスペーサが配置されることを防止することができ
る。また、電極をアース電位にすれば、帯電したスペー
サの符号に関係なく、電極上にスペーサを配置すること
ができる。従って、例えば、ＴＦＴ型液晶表示装置を製
造する場合であれば、配線電極に正の電圧を印加すれ
ば、引力によりスペーサを配線電極上に配置することが
できる。また、ＳＴＮ型液晶表示装置を製造する場合で
あれば、画素電極に負の電圧を印加すれば、斥力により
スペーサを画素電極以外の部分に配置することができ
る。また、カラーフィルタのブラックマトリックスであ
る金属Ｃｒ等に電圧を印加して引力により配置すること
も可能である。

【００１４】本発明において用いられるスペーサとして
は特に限定されず、例えば、無機粒子、合成樹脂スペー
サ等が挙げられる。また、合成樹脂スペーサは、顔料を
含むような遮光性スペーサであってもよい。

【００１５】本発明の液晶表示装置の製造方法によれ
ば、コロナ荷電ガンにより高い均一性でスペーサを同極
に帯電させることが可能であり、また、帯電したスペー
サが電気力線の影響を受けない。このため、基板に形成
された電極に電圧を印加することにより、スペーサと電
極との吸引、反発を調整することができる。従って、Ｔ
ＦＴ型液晶表示装置、ＳＴＮ型液晶表示装置のいずれで
あっても、画素電極以外の部分にスペーサを配置するこ
とが可能となり、表示コントラストに優れた液晶表示装
置を製造することができる。

【００１６】

【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。

【００１７】実施例１ 図１に示すように容器本体１１内に、ＳＴＮ用のストラ
イプ状の透明電極３（１００μｍ幅、２０μｍ間隔）が
形成されたガラス基板１を設置し、全ての透明電極３に
直流電圧が印加できるように電圧印加装置を接続した。
容器本体１１内にアース電極１５をコロナ荷電ガン１３
とガラス基板１との間に設置した。

【００１８】適量のスペーサ（粒径６μｍ、ミクロパー
ルＳＰ、積水フアインケミカル社製）をスペーサ吹き出
し管１２内に投入し、コロナ荷電電圧制御装置１４によ
りコロナ荷電電圧を−８０ｋＶに調整した。一方、ガラ
ス基板１の透明電極３には−１ｋＶの電圧を印加した。
その後、１ｋｇｆ／ｃｍ² の圧縮空気によりスペーサを
散布した。

【００１９】散布されたスペーサの配置状態を顕微鏡で
観察したところ、透明電極に反発され、電極のない部分
（非画素部）にスペーサは配置されていた。

【００２０】実施例２ 散布するスペーサとして、遮光性スペーサ（粒径６μ
ｍ、ミクロパールＢＢ、積水フアインケミカル社製）を
用いたこと以外は、実施例１と同様に処理した。散布さ
れたスペーサの配置状態を顕微鏡で観察したところ、透
明電極に反発され、電極のない部分（非画素部）にスペ
ーサは配置されていた。

【００２１】実施例３ 基板としてカラーフィルター側基板を用い、そのブラッ
クマトリックス（Ｃｒ）部分（２５μｍ幅）に直流電圧
が印加できるように電圧印加装置を接続し、オーバーコ
ート、透明電極及び配向膜の下より電圧を印加した。ま
た、ブラックマクリックス（Ｃｒ）部分に＋８００Ｖの
電圧を印加したこと以外は、実施例１と同様に処理し
た。散布されたスペーサの配置状態を顕微鏡で観察した
ところ、ブラックマトリックス部分に引きつけられて、
非画素部にスペーサは集中していた。

【００２２】比較例１ アース電極を取り除いたこと以外は、実施例１と同様に
処理したところ、コロナ荷電ガンと基板電極とで電気力
線が形成されたと考えられ、実施例１とは逆に基板電極
（画素部）にスペーサが配置された。

【００２３】

【発明の効果】本発明の液晶表示装置の製造方法は、上
述の構成からなるので、画素電極上にスペーサが実質的
に散布されることがない。従って、コントラストが著し
く高い液晶表示装置を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の液晶表示装置の製造方法を説明するた
めの概念図である。

【図２】従来のコロナ荷電ガンを用いた液晶表示装置の
製造方法を説明するための概念図である。

【図３】従来の液晶表示装置の断面概念図である。

【符号の説明】

１ 基板 ２ 偏向板 ３ 透明電極 ４ カラーフィルタ ５ ブラックマトリックス ６ オーバーコート ７ 液晶 ８ スペーサ ９ 配向膜 １０ 電気力線 １１ 容器本体 １２ スペーサ吹き出し管 １３ コロナ荷電ガン １４ コロナ荷電電圧制御装置 １５ アース電極

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電極を有する２枚の基板間に液晶を狭持
   し、前記２枚の基板間のギャップをスペーサにより保持
   する構造を有する液晶表示装置の製造方法であって、前
   記スペーサの散布は、前記スペーサをコロナ荷電ガンに
   より帯電させ、前記コロナ荷電ガンと前記スペーサを散
   布する基板との間にアース電極を設け、前記基板に形成
   された電極に電圧を印加した状態で行うことを特徴とす
   る液晶表示装置の製造方法。