JP3830690B2 - 液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、パソコン、携帯型電子機器等に広く用いられている。液晶表示装置は、一般に、図6に示されるように、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、透明電極、配向膜等が形成された2枚の基板に液晶を封入させてなる。ここで、2枚の基板間隔を規制し、適正な液晶層の厚みを維持しているのがスペーサである。
【0003】
従来の液晶表示装置の製造方法においては、画素電極が形成された基板上にスペーサをランダムかつ均一に散布するため、図6に示されるように、画素電極上すなわち液晶表示装置の表示部にもスペーサが配置されてしまう。スペーサは一般的に合成樹脂やガラス等から形成されており、画素電極上にスペーサが配置されると消偏作用によりスペーサ部分が光漏れを起こす。また、スペーサ表面での液晶の配向が乱れることにより光抜けが起こり、コントラストや色調が低下して表示品質が悪化する。
【0004】
上述のような問題を解決するためには、カラーフィルタに形成されている遮光膜であるブラックマトリックスの部分にスペーサを配置すればよい。ブラックマトリックスは液晶表示装置の表示コントラストの向上や、TFT型液晶表示装置の場合は、素子等が外光で光誤作動しないように設けられているものである。
【0005】
液晶表示装置において、ブラックマトリックス部分、すなわち、液晶表示装置の表示画素以外の部分にスペーサを配置する技術として、特開平4−256925号公報には、スペーサ散布時に、ゲート電極及びドレイン電極を同電位に保持する方法が開示されている。また、特開平5−53121号公報には、スペーサ散布時に配線電極に電圧を印加する方法が開示されており、特開平5−61052号公報には、配線電極に正の電圧を印加し、スペーサを負に帯電させて乾式で散布する方法が開示されている。これらの技術は、基板上に形成された配線電極を利用してスペーサの配置制御を行おうとするものであり、TFT型液晶表示装置を対象にしたものである。
【0006】
しかしながら、STN型液晶表示装置には、このような配線電極に相当する電極が存在せず、複数の線状透明電極を平行に並べて構成されたストライプ状透明電極が上下の基板で直交することによりそのまま画素電極として形成され、ブラックマトリックスに相当する位置は透明電極と透明電極との間隙になっているため、このような技術は使えないという問題があった。
【0007】
一方、STN型液晶表示装置に対しては、特開平4−204417号公報には、スペーサ散布時に、スペーサを正負いずれかに帯電させ、基板の線状透明電極に対してスペーサと同極性の電圧を印加する液晶表示装置の製造方法が開示されている。
【0008】
これら上述した方法は、全て一般的に乾式散布方式と呼ばれている散布方法を用いており、乾式散布方式で得られるスペーサの帯電と配線電極等との電圧の関係でスペーサを選択的に配置させようとするものである。乾式散布方式では、スペーサ粒子を単独で圧縮空気のような媒体で飛散させて基板上に散布する。また、基板上にスペーサを単粒子として存在させるために、スペーサ粒子を単極性に帯電させて散布する。これにより、スペーサ粒子同士が反発しあい、粒子の凝集を防いでいる。
【0009】
一方、別の散布方法として、スペーサを溶媒に分散し、その分散媒を噴霧することにより基板上にスペーサを散布する湿式散布方式がある。この方式は、スペーサが溶媒に分散した状態で噴霧され、基板上にスペーサが到達する間に溶媒を蒸発させ、スペーサを散布するものである。この方式によれば、基本的にスペーサが溶媒に単粒子として分散しているため、その分散液を噴霧することにより、基板上にスペーサが単粒子として存在した分散状態を得ることができる。
【0010】
例えば、スペーサ粒子表面に室温より低いガラス転移温度(Tg)をもつ表面処理層が形成されていると、室温でもスペーサが粘着性を発現するため、基板付着性が得られ、基板に散布後のスペーサの移動防止、液晶表示装置でのスペーサの移動防止等に有効であるが、乾式散布方式を用いたスペーサの散布においては、このような場合には、スペーサ粒子同士の凝集力が強くなるため、基板上に単粒子での散布状態を得にくくなる。しかしながら、湿式散布方式を用いたスペーサの散布においては、このような場合でも、溶媒中にスペーサが分散状態で存在すれば、基板上に単粒子での散布状態を得ることができる。
【0011】
特開平3−158827号公報には、湿式散布方式を用いてスペーサを基板上に均一化して散布する方法について、静電霧化法を利用する液晶表示装置の製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法は、湿式散布する際に電圧を印加して、通常の湿式散布方式に比べて細かい霧によりスペーサを散布し、スペーサ粒子の凝集を防止するものである。このため、あくまでもスペーサを基板上に均一化して散布することを目的としており、散布された基板上のスペーサは画素内にも存在するため、液晶表示装置の画素内におけるコントラストの向上に寄与するものではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、湿式散布方式であってもスペーサをブラックマトリックス部分に配置させ、画素内からスペーサを排除することを可能とし、高いコントラストの液晶表示装置を安定して得ることができる液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2枚の基板間に、液晶及び液晶層の厚みを維持するスペーサを封入してなる液晶表示装置の製造方法であって、溶媒中にスペーサが分散された分散液を、導電性ノズルより圧縮気体と共に基板電極が形成された基板に散布するに際し、上記導電性ノズル及び上記基板電極の両方に同極性の電圧を印加することを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、液晶及び液晶層の厚みを維持するスペーサを封入してなる液晶表示装置の製造方法であって、溶媒中にスペーサが分散された分散液を、導電性ノズルより圧縮気体と共に基板電極が形成された基板に散布する場合に適用される。
【0015】
上記基板としては特に限定されず、例えば、ガラス製基板、樹脂製基板等が挙げられる。また、基板状、フィルム状等の形状も特に限定されない。従って、ガラス等の基板上に、カラーフィルタ等が形成されているコモン電極基板であっても、それに対向するセグメント電極基板であってもよい。
【0016】
上記スペーサとしては特に限定されず、樹脂系であってもよく無機系であってもよい。また、樹脂に顔料が分散されたものや、染料等により遮光性を付与したものであってもよい。更には、加熱することにより接着性を発現するものであってもよい。
【0017】
上記分散液は、溶媒中にスペーサが分散されたものである。
上記溶媒としては、スペーサの散布後に速やかに蒸発する性質をもつ溶媒であれば特に限定されないが、導電性ノズル部から溶媒に電荷が移動する必要があるため、抵抗率が1010Ωcm以下であることが好ましい。
【0018】
このような溶媒としては、例えば、純水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ブチルメチルケトン等のケトン類;アセトニトリル、トルエン、キシレン等のその他の各種溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、一般的には、安全性、毒性、刺激性、臭気等を考慮した取り扱い易さの観点から、アルコール系の溶媒と水との混合溶媒が好ましい。これを用いる場合、その混合比としては、水に対するアルコールの体積比が95〜5%であることが好ましい。より好ましくは、70〜20%である。
【0019】
上記分散液における溶媒とスペーサとの混合比としては特に限定されないが、溶媒100ccに対して、スペーサを0.1〜30g配合することが好ましい。0.1g未満であると、スペーサの散布効率の低下をきたすことがあり、30gを超えると、分散液の流動性が悪くなり散布しにくいことがある。
【0020】
上記分散液の調整方法としては特に限定されず、例えば、溶媒とスペーサとを配合した後、攪拌器により混合する方法、超音波処理により分散する方法や、両者を同時に施して分散を促進する方法等が挙げられる。
【0021】
上記導電性ノズルとしては、分散液に電荷を与えることができるものであれば特に限定されず、例えば、ノズルの材質が鉄、アルミ、銅、ステンレス(SUS)等の金属等の導電性物質で構成されているもの;樹脂ノズルに金属薄膜等の導電物質を被覆させて構成されているもの;溶媒がノズルと接触する内壁部分が導電性を有しているもの等が挙げられる。
【0022】
上記導電性ノズルの材質が導電性を有しており、そのノズルをアースされた散布装置に設置する場合、導電性ノズルに電圧を印加するためには、散布装置と導電性ノズルとの絶縁を確保する必要がある。絶縁を確保していないと、リーク状態となり、導電性ノズルに電圧を印加することができなくなる。従って、導電性ノズルを散布槽上に直接設置する場合は、散布槽がアースされていないことが必要である。この場合には、散布槽にも電圧が印加されるが、本発明の効果を失うことはない。
【0023】
上記基板電極としては特に限定されず、例えば、スパッタ法等により形成されたITO(Indium Tin Oxide)透明導電膜をフォトリソグラフィ法等を用いて形成したもの等として、透明電極等が挙げられる。また、液晶表示装置において、表示を行うための領域は表示領域であり、これは透明電極等を形成している領域とその近傍部とからなる。
【0024】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上記導電性ノズル及び上記基板電極の両方に同極性の電圧を印加するものである。
上記スペーサの配置制御を行うためには、スペーサが帯電していることと、基板上にスペーサの配置に適する電場を形成することが必要である。
【0025】
まず、湿式散布方式におけるスペーサの帯電方法について説明する。
例えば、図1に示されるように、通常の湿式散布方式では、散布槽において、溶媒中にスペーサが均一に分散された分散液をノズル部に送り、圧縮気体により霧化させる。ここで、散布槽内がヒーター等により加温されていると、溶媒は基板上に到達する前にほとんど蒸発する。これにより、基板上にスペーサを均一に分散することが可能となる。このとき、わずかではあるがスペーサは帯電する。
【0026】
しかしながら、スペーサの帯電量は、外部からの電圧によるものではないために、落下経路が制御可能なほどには至っていない。また、湿式散布方式では、スペーサ表面に溶媒が残存している部分と、スペーサ表面が露出している部分とが混在した状態となる。この場合、溶媒とスペーサとの帯電特性が違うため、場合によっては溶媒が負に帯電しやすく、スペーサが正に帯電しやすいという状況になる。その結果、粒子としては正と負との帯電極性をもつものが混在状態となり、基板電極の電圧により配置制御を行おうとすると、粒子における正に帯電した部分と負に帯電した部分とが逆の方向に力を受けるため、スペーサの基板上での配置精度が悪くなることがある。
【0027】
ここで、図2に示されるように、ノズル部に導電性ノズルを用い、導電性ノズル部分に電圧を印加すると電荷が生じ、その電荷は導電性ノズルから分散液の溶媒に移動し、導電性ノズルの開口部から吐出した液滴はその電荷を帯びた状態のまま散布されることとなる。これにより、分散液は、通常の湿式散布方式よりも大きな帯電量を有することとなり、また、単極性の帯電状態となることができる。
【0028】
本発明の液晶表示装置の製造方法においては、導電性ノズル部分に印加する電圧値で分散液の帯電量を制御することができる。すなわち、導電性ノズル部分に大きな電圧値の電圧を印加すれば分散液の帯電量が大きくなり、小さな電圧値の電圧を印加すれば分散液の帯電量が小さくなる。
【0029】
スペーサの配置制御を行うためには、上記導電性ノズルに対して500V〜20kVの電圧を印加することが好ましい。500V未満であると、ブラックマトリックス部分へのスペーサの高い配置精度が得られないことがあり、20kVを超えると、スペーサと基板電極との反発力が強くなりすぎてスペーサが基板上にあまり乗らなくなり、長時間の散布が必要となることがある。より好ましくは、5〜10kVの電圧を印加することである。これにより、より高いスペーサの配置精度を得ることができる。
【0030】
次に、基板電極に電圧を印加し、スペーサをブラックマトリックス部分に配置させる方法について説明する。
上記分散液を、上記導電性ノズルより圧縮気体と共に上記基板に散布するに際し、上述したように、上記導電性ノズルに電圧を印加することにより、湿式散布方式でもスペーサの帯電状態を得ることができる。ここで、上記基板電極に上記導電性ノズルと同極性の電圧を印加すると、スペーサと基板電極とが同極性に帯電することより、スペーサと基板電極との間に斥力が働き、スペーサは基板電極の間隙に落下することとなる。
【0031】
ただし、このとき、図3に示されるように、基板電極に正の電圧を印加した場合、基板が設置されているステージが導電性であってもアースされていないと、静電誘導によりステージ自体が基板電極の電位付近まで電位が上昇するため、基板電極間隙の電位は下がることがなく(図3ではある電位の等電位面として図示)、スペーサを配置制御するために有効な電位分布を得ることができないことがある(配向膜等は図示せず)。
【0032】
そのため、スペーサの配置制御を可能とするには、図4に示されるように、基板をアースされた導電性ステージに、ある一定面積以上で密着させて設置することが好ましい(配向膜等は図示せず)。これにより、ステージはアースされ常にゼロ電位を保っているので、基板電極間隙の電位は基板電極上の電位より充分低くなる。
【0033】
従って、スペーサの配置制御に適する電場が形成されるため(図4ではある電位の等電位面として図示)、基板電極に印加した電圧と同極性に帯電したスペーサは斥力により基板電極の間隙に移動して配置されることとなる。この場合、スペーサの配置制御に適する電場を充分に形成させるためには、ステージの体積抵抗は、1010Ωcm以下であることが好ましい。
【0034】
高い精度で帯電したスペーサの配置制御を行うには、上記基板電極に対して1.0〜5kVの電圧を印加することが好ましい。1.0kV未満であると、散布の際に基板上に落下してくるスペーサの配置精度が悪くなることがあり、5kVを超えると、基板電極の間にショートが発生しやすくなり、そのために歩留まりが悪化することがある。
【0035】
ここで、湿式散布装置の散布槽内では、溶媒である水、アルコール等の蒸発が起こるため、基板上に水分が付着する。このように、基板上に水分が付着すると、水分が導電体として働き、基板全体が導電性を有する状況に近くなる。そうすると、図4に示されるような電場は、図3に示されるような電場に変化してしまい、スペーサの配置に適する電場が崩れてしまうことがある。
【0036】
そこで、上記基板を加熱すると、基板上の水分の付着量が少なくなるため、スペーサの配置に適する電場が維持されることとなる。上記基板を加熱する温度としては特に限定されないが、溶媒を蒸発させる目的で散布槽内を加温している場合には、その温度より高いことが好ましい。基板温度が低いと、結露状態となるため、基板上に水分が付着してスペーサの配置に適する電場を形成することができない場合がある。
【0037】
例えば、散布槽内を加温する場合には、分散液として使用する溶媒にもよるが、多く用いられている水、アルコール系混合溶媒であれば、一般的には散布槽内の温度が40〜100℃程度で溶媒の蒸発を行うことができる。この場合、基板温度はそれ以上の温度が好ましいため、100℃以上であることが好ましい。
【0038】
上記基板を加熱する方法としては特に限定されず、例えば、ステージをホットプレートにして加熱する方法;赤外線加熱による方法等が挙げられる。また、湿式散布装置内に基板を設置する前に加熱し、基板が冷却しきらないうちにスペーサの散布を終了させてもよい。
【0039】
本発明の液晶表示装置の製造方法において用いられるスペーサの湿式散布装置としては、上記分散液を、上記導電性ノズルより圧縮気体と共に上記基板に散布するに際し、上記導電性ノズル及び上記基板電極の両方に同極性の電圧を印加することができるものであれば特に限定されず、例えば、一般的に湿式散布装置と称されている種々の形態のものを応用することができる。
【0040】
本発明の液晶表示装置の製造方法をTFT型液晶表示装置に応用するときには、コモン電極基板にブラックマトリックス直下でエッチングを行えば同様の効果を得ることができる。
【0041】
第二の本発明の液晶表示装置は、本発明の液晶表示装置の製造方法によって製造されてなるものであり、ブラックマトリックス部分へのスペーサの配置精度が高いことから、高いコントラストを有するものである。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
実施例1
スペーサ(ミクロパールHBBS−50679−RX、表面処理層のガラス転移温度(Tg)が室温以下の合成樹脂微粒子、積水フアインケミカル社製)3gを、イソプロピルアルコール50g及び純水50gの混合液に添加し、超音波発信器を用いて15分間超音波処理し、溶媒中にスペーサが分散された分散液を作製した。
【0044】
基板として、STN型液晶表示装置用のコモン電極基板(カラーフィルタ形成基板、RGB各画素の開口部は80×280μm、金属Crブラックマトリックス線幅20μm、アクリル樹脂製オーバーコート層3.0μm、ITO電極幅290μm、基板電極間隔15μm、ガラス厚0.7mm) を準備した。
この基板において、ITO各電極は表示領域外で導通されており、表示領域外の一カ所に電圧を印加すれば、全ての基板電極に電圧が印加できるように形成した。この基板に、ポリイミドの配向膜を0.05μm形成し、ラビング処理を施した。
【0045】
スペーサの湿式散布装置として、図5に示したようなものを用いた。ここで、金属製の導電性ノズル(ノズル口径2mmφ、扶桑精機社製)を散布槽と絶縁状態で設置し、電圧印加装置からの端子に接続し、また、120℃に加熱されたホットプレート天板上にステンレス(SUS)製のステージを設置し、そのステージをアースして、ステージに密着させて基板を設置し、電圧印加装置からの端子を表示領域外でITO電極に接続した。また、散布槽内はヒーターにて、55℃の温度を保つように設定した。
【0046】
作製した分散液を基板に散布するに際し、金属製の導電性ノズルに+5.0kV、基板のITO電極に+2.0kV印加した。
この状態を維持したまま、3kgf/cm2 の窒素ガスを用いて導電性ノズルから分散液の散布を行った。
【0047】
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの98%以上がITO電極間隙、すなわち、ブラックマトリックス部分に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストが非常に高く、良好な表示特性を有していた。
【0048】
比較例1
実施例1において、導電性ノズルに電圧を印加しないこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、ITO電極間隙に配置されたスペーサもやや見られたが、ほとんどランダムな状態で基板上に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、コントラストに全く差は見られなかった。
【0049】
比較例2
実施例1 において、基板に電圧を印加しないこと以外は同様に操作した。
スペーサ散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、従来の湿式散布方式による場合と変わらず、ランダムにスペーサは配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、コントラストに全く差は見られなかった。
【0050】
実施例2
実施例1において、基板を加熱せずに、基板を散布槽内の温度に保ったこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約70%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストが高かった。
【0051】
実施例3
実施例1において、導電性ノズルに印加する電圧を600Vとしたこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約75%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストが高かった。
【0052】
実施例4
実施例1において、導電性ノズルに印加する電圧を400Vとしたこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約50%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストがやや高かった。
【0053】
実施例5
実施例1において、基板電極に印加する電圧を800Vとしたこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約50%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストがやや高かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上述の構成よりなるので、湿式散布方式を用いてもスペーサの配置制御を行うことができ、スペーサをブラックマトリックス部分に配置させることが可能となるため、コントラストの高い液晶表示装置を製造することができる。
本発明の液晶表示装置は、ブラックマトリックス部分へのスペーサの配置精度が高いことから、高いコントラストを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の製造方法に使用可能なスペーサの湿式散布装置の断面概念図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の製造方法における導電性ノズルの先端部分を拡大した断面概念図であり、導電性ノズルから分散液へ電荷が移動する帯電機構を説明するためのものである。
【図3】アースされていないステージに基板を密着させて設置している場合における基板上の等電位面を説明するための断面概念図である。
【図4】アースされたステージに基板を密着させて設置している場合における基板上の等電位面を説明するための断面概念図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の製造方法の実施例において用いられるスペーサの湿式散布装置の断面概念図である。
【図6】従来の液晶表示装置の断面概念図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、パソコン、携帯型電子機器等に広く用いられている。液晶表示装置は、一般に、図6に示されるように、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、透明電極、配向膜等が形成された2枚の基板に液晶を封入させてなる。ここで、2枚の基板間隔を規制し、適正な液晶層の厚みを維持しているのがスペーサである。
【0003】
従来の液晶表示装置の製造方法においては、画素電極が形成された基板上にスペーサをランダムかつ均一に散布するため、図6に示されるように、画素電極上すなわち液晶表示装置の表示部にもスペーサが配置されてしまう。スペーサは一般的に合成樹脂やガラス等から形成されており、画素電極上にスペーサが配置されると消偏作用によりスペーサ部分が光漏れを起こす。また、スペーサ表面での液晶の配向が乱れることにより光抜けが起こり、コントラストや色調が低下して表示品質が悪化する。
【0004】
上述のような問題を解決するためには、カラーフィルタに形成されている遮光膜であるブラックマトリックスの部分にスペーサを配置すればよい。ブラックマトリックスは液晶表示装置の表示コントラストの向上や、TFT型液晶表示装置の場合は、素子等が外光で光誤作動しないように設けられているものである。
【0005】
液晶表示装置において、ブラックマトリックス部分、すなわち、液晶表示装置の表示画素以外の部分にスペーサを配置する技術として、特開平4−256925号公報には、スペーサ散布時に、ゲート電極及びドレイン電極を同電位に保持する方法が開示されている。また、特開平5−53121号公報には、スペーサ散布時に配線電極に電圧を印加する方法が開示されており、特開平5−61052号公報には、配線電極に正の電圧を印加し、スペーサを負に帯電させて乾式で散布する方法が開示されている。これらの技術は、基板上に形成された配線電極を利用してスペーサの配置制御を行おうとするものであり、TFT型液晶表示装置を対象にしたものである。
【0006】
しかしながら、STN型液晶表示装置には、このような配線電極に相当する電極が存在せず、複数の線状透明電極を平行に並べて構成されたストライプ状透明電極が上下の基板で直交することによりそのまま画素電極として形成され、ブラックマトリックスに相当する位置は透明電極と透明電極との間隙になっているため、このような技術は使えないという問題があった。
【0007】
一方、STN型液晶表示装置に対しては、特開平4−204417号公報には、スペーサ散布時に、スペーサを正負いずれかに帯電させ、基板の線状透明電極に対してスペーサと同極性の電圧を印加する液晶表示装置の製造方法が開示されている。
【0008】
これら上述した方法は、全て一般的に乾式散布方式と呼ばれている散布方法を用いており、乾式散布方式で得られるスペーサの帯電と配線電極等との電圧の関係でスペーサを選択的に配置させようとするものである。乾式散布方式では、スペーサ粒子を単独で圧縮空気のような媒体で飛散させて基板上に散布する。また、基板上にスペーサを単粒子として存在させるために、スペーサ粒子を単極性に帯電させて散布する。これにより、スペーサ粒子同士が反発しあい、粒子の凝集を防いでいる。
【0009】
一方、別の散布方法として、スペーサを溶媒に分散し、その分散媒を噴霧することにより基板上にスペーサを散布する湿式散布方式がある。この方式は、スペーサが溶媒に分散した状態で噴霧され、基板上にスペーサが到達する間に溶媒を蒸発させ、スペーサを散布するものである。この方式によれば、基本的にスペーサが溶媒に単粒子として分散しているため、その分散液を噴霧することにより、基板上にスペーサが単粒子として存在した分散状態を得ることができる。
【0010】
例えば、スペーサ粒子表面に室温より低いガラス転移温度(Tg)をもつ表面処理層が形成されていると、室温でもスペーサが粘着性を発現するため、基板付着性が得られ、基板に散布後のスペーサの移動防止、液晶表示装置でのスペーサの移動防止等に有効であるが、乾式散布方式を用いたスペーサの散布においては、このような場合には、スペーサ粒子同士の凝集力が強くなるため、基板上に単粒子での散布状態を得にくくなる。しかしながら、湿式散布方式を用いたスペーサの散布においては、このような場合でも、溶媒中にスペーサが分散状態で存在すれば、基板上に単粒子での散布状態を得ることができる。
【0011】
特開平3−158827号公報には、湿式散布方式を用いてスペーサを基板上に均一化して散布する方法について、静電霧化法を利用する液晶表示装置の製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法は、湿式散布する際に電圧を印加して、通常の湿式散布方式に比べて細かい霧によりスペーサを散布し、スペーサ粒子の凝集を防止するものである。このため、あくまでもスペーサを基板上に均一化して散布することを目的としており、散布された基板上のスペーサは画素内にも存在するため、液晶表示装置の画素内におけるコントラストの向上に寄与するものではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、湿式散布方式であってもスペーサをブラックマトリックス部分に配置させ、画素内からスペーサを排除することを可能とし、高いコントラストの液晶表示装置を安定して得ることができる液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2枚の基板間に、液晶及び液晶層の厚みを維持するスペーサを封入してなる液晶表示装置の製造方法であって、溶媒中にスペーサが分散された分散液を、導電性ノズルより圧縮気体と共に基板電極が形成された基板に散布するに際し、上記導電性ノズル及び上記基板電極の両方に同極性の電圧を印加することを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、液晶及び液晶層の厚みを維持するスペーサを封入してなる液晶表示装置の製造方法であって、溶媒中にスペーサが分散された分散液を、導電性ノズルより圧縮気体と共に基板電極が形成された基板に散布する場合に適用される。
【0015】
上記基板としては特に限定されず、例えば、ガラス製基板、樹脂製基板等が挙げられる。また、基板状、フィルム状等の形状も特に限定されない。従って、ガラス等の基板上に、カラーフィルタ等が形成されているコモン電極基板であっても、それに対向するセグメント電極基板であってもよい。
【0016】
上記スペーサとしては特に限定されず、樹脂系であってもよく無機系であってもよい。また、樹脂に顔料が分散されたものや、染料等により遮光性を付与したものであってもよい。更には、加熱することにより接着性を発現するものであってもよい。
【0017】
上記分散液は、溶媒中にスペーサが分散されたものである。
上記溶媒としては、スペーサの散布後に速やかに蒸発する性質をもつ溶媒であれば特に限定されないが、導電性ノズル部から溶媒に電荷が移動する必要があるため、抵抗率が1010Ωcm以下であることが好ましい。
【0018】
このような溶媒としては、例えば、純水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ブチルメチルケトン等のケトン類;アセトニトリル、トルエン、キシレン等のその他の各種溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、一般的には、安全性、毒性、刺激性、臭気等を考慮した取り扱い易さの観点から、アルコール系の溶媒と水との混合溶媒が好ましい。これを用いる場合、その混合比としては、水に対するアルコールの体積比が95〜5%であることが好ましい。より好ましくは、70〜20%である。
【0019】
上記分散液における溶媒とスペーサとの混合比としては特に限定されないが、溶媒100ccに対して、スペーサを0.1〜30g配合することが好ましい。0.1g未満であると、スペーサの散布効率の低下をきたすことがあり、30gを超えると、分散液の流動性が悪くなり散布しにくいことがある。
【0020】
上記分散液の調整方法としては特に限定されず、例えば、溶媒とスペーサとを配合した後、攪拌器により混合する方法、超音波処理により分散する方法や、両者を同時に施して分散を促進する方法等が挙げられる。
【0021】
上記導電性ノズルとしては、分散液に電荷を与えることができるものであれば特に限定されず、例えば、ノズルの材質が鉄、アルミ、銅、ステンレス(SUS)等の金属等の導電性物質で構成されているもの;樹脂ノズルに金属薄膜等の導電物質を被覆させて構成されているもの;溶媒がノズルと接触する内壁部分が導電性を有しているもの等が挙げられる。
【0022】
上記導電性ノズルの材質が導電性を有しており、そのノズルをアースされた散布装置に設置する場合、導電性ノズルに電圧を印加するためには、散布装置と導電性ノズルとの絶縁を確保する必要がある。絶縁を確保していないと、リーク状態となり、導電性ノズルに電圧を印加することができなくなる。従って、導電性ノズルを散布槽上に直接設置する場合は、散布槽がアースされていないことが必要である。この場合には、散布槽にも電圧が印加されるが、本発明の効果を失うことはない。
【0023】
上記基板電極としては特に限定されず、例えば、スパッタ法等により形成されたITO(Indium Tin Oxide)透明導電膜をフォトリソグラフィ法等を用いて形成したもの等として、透明電極等が挙げられる。また、液晶表示装置において、表示を行うための領域は表示領域であり、これは透明電極等を形成している領域とその近傍部とからなる。
【0024】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上記導電性ノズル及び上記基板電極の両方に同極性の電圧を印加するものである。
上記スペーサの配置制御を行うためには、スペーサが帯電していることと、基板上にスペーサの配置に適する電場を形成することが必要である。
【0025】
まず、湿式散布方式におけるスペーサの帯電方法について説明する。
例えば、図1に示されるように、通常の湿式散布方式では、散布槽において、溶媒中にスペーサが均一に分散された分散液をノズル部に送り、圧縮気体により霧化させる。ここで、散布槽内がヒーター等により加温されていると、溶媒は基板上に到達する前にほとんど蒸発する。これにより、基板上にスペーサを均一に分散することが可能となる。このとき、わずかではあるがスペーサは帯電する。
【0026】
しかしながら、スペーサの帯電量は、外部からの電圧によるものではないために、落下経路が制御可能なほどには至っていない。また、湿式散布方式では、スペーサ表面に溶媒が残存している部分と、スペーサ表面が露出している部分とが混在した状態となる。この場合、溶媒とスペーサとの帯電特性が違うため、場合によっては溶媒が負に帯電しやすく、スペーサが正に帯電しやすいという状況になる。その結果、粒子としては正と負との帯電極性をもつものが混在状態となり、基板電極の電圧により配置制御を行おうとすると、粒子における正に帯電した部分と負に帯電した部分とが逆の方向に力を受けるため、スペーサの基板上での配置精度が悪くなることがある。
【0027】
ここで、図2に示されるように、ノズル部に導電性ノズルを用い、導電性ノズル部分に電圧を印加すると電荷が生じ、その電荷は導電性ノズルから分散液の溶媒に移動し、導電性ノズルの開口部から吐出した液滴はその電荷を帯びた状態のまま散布されることとなる。これにより、分散液は、通常の湿式散布方式よりも大きな帯電量を有することとなり、また、単極性の帯電状態となることができる。
【0028】
本発明の液晶表示装置の製造方法においては、導電性ノズル部分に印加する電圧値で分散液の帯電量を制御することができる。すなわち、導電性ノズル部分に大きな電圧値の電圧を印加すれば分散液の帯電量が大きくなり、小さな電圧値の電圧を印加すれば分散液の帯電量が小さくなる。
【0029】
スペーサの配置制御を行うためには、上記導電性ノズルに対して500V〜20kVの電圧を印加することが好ましい。500V未満であると、ブラックマトリックス部分へのスペーサの高い配置精度が得られないことがあり、20kVを超えると、スペーサと基板電極との反発力が強くなりすぎてスペーサが基板上にあまり乗らなくなり、長時間の散布が必要となることがある。より好ましくは、5〜10kVの電圧を印加することである。これにより、より高いスペーサの配置精度を得ることができる。
【0030】
次に、基板電極に電圧を印加し、スペーサをブラックマトリックス部分に配置させる方法について説明する。
上記分散液を、上記導電性ノズルより圧縮気体と共に上記基板に散布するに際し、上述したように、上記導電性ノズルに電圧を印加することにより、湿式散布方式でもスペーサの帯電状態を得ることができる。ここで、上記基板電極に上記導電性ノズルと同極性の電圧を印加すると、スペーサと基板電極とが同極性に帯電することより、スペーサと基板電極との間に斥力が働き、スペーサは基板電極の間隙に落下することとなる。
【0031】
ただし、このとき、図3に示されるように、基板電極に正の電圧を印加した場合、基板が設置されているステージが導電性であってもアースされていないと、静電誘導によりステージ自体が基板電極の電位付近まで電位が上昇するため、基板電極間隙の電位は下がることがなく(図3ではある電位の等電位面として図示)、スペーサを配置制御するために有効な電位分布を得ることができないことがある(配向膜等は図示せず)。
【0032】
そのため、スペーサの配置制御を可能とするには、図4に示されるように、基板をアースされた導電性ステージに、ある一定面積以上で密着させて設置することが好ましい(配向膜等は図示せず)。これにより、ステージはアースされ常にゼロ電位を保っているので、基板電極間隙の電位は基板電極上の電位より充分低くなる。
【0033】
従って、スペーサの配置制御に適する電場が形成されるため(図4ではある電位の等電位面として図示)、基板電極に印加した電圧と同極性に帯電したスペーサは斥力により基板電極の間隙に移動して配置されることとなる。この場合、スペーサの配置制御に適する電場を充分に形成させるためには、ステージの体積抵抗は、1010Ωcm以下であることが好ましい。
【0034】
高い精度で帯電したスペーサの配置制御を行うには、上記基板電極に対して1.0〜5kVの電圧を印加することが好ましい。1.0kV未満であると、散布の際に基板上に落下してくるスペーサの配置精度が悪くなることがあり、5kVを超えると、基板電極の間にショートが発生しやすくなり、そのために歩留まりが悪化することがある。
【0035】
ここで、湿式散布装置の散布槽内では、溶媒である水、アルコール等の蒸発が起こるため、基板上に水分が付着する。このように、基板上に水分が付着すると、水分が導電体として働き、基板全体が導電性を有する状況に近くなる。そうすると、図4に示されるような電場は、図3に示されるような電場に変化してしまい、スペーサの配置に適する電場が崩れてしまうことがある。
【0036】
そこで、上記基板を加熱すると、基板上の水分の付着量が少なくなるため、スペーサの配置に適する電場が維持されることとなる。上記基板を加熱する温度としては特に限定されないが、溶媒を蒸発させる目的で散布槽内を加温している場合には、その温度より高いことが好ましい。基板温度が低いと、結露状態となるため、基板上に水分が付着してスペーサの配置に適する電場を形成することができない場合がある。
【0037】
例えば、散布槽内を加温する場合には、分散液として使用する溶媒にもよるが、多く用いられている水、アルコール系混合溶媒であれば、一般的には散布槽内の温度が40〜100℃程度で溶媒の蒸発を行うことができる。この場合、基板温度はそれ以上の温度が好ましいため、100℃以上であることが好ましい。
【0038】
上記基板を加熱する方法としては特に限定されず、例えば、ステージをホットプレートにして加熱する方法;赤外線加熱による方法等が挙げられる。また、湿式散布装置内に基板を設置する前に加熱し、基板が冷却しきらないうちにスペーサの散布を終了させてもよい。
【0039】
本発明の液晶表示装置の製造方法において用いられるスペーサの湿式散布装置としては、上記分散液を、上記導電性ノズルより圧縮気体と共に上記基板に散布するに際し、上記導電性ノズル及び上記基板電極の両方に同極性の電圧を印加することができるものであれば特に限定されず、例えば、一般的に湿式散布装置と称されている種々の形態のものを応用することができる。
【0040】
本発明の液晶表示装置の製造方法をTFT型液晶表示装置に応用するときには、コモン電極基板にブラックマトリックス直下でエッチングを行えば同様の効果を得ることができる。
【0041】
第二の本発明の液晶表示装置は、本発明の液晶表示装置の製造方法によって製造されてなるものであり、ブラックマトリックス部分へのスペーサの配置精度が高いことから、高いコントラストを有するものである。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
実施例1
スペーサ(ミクロパールHBBS−50679−RX、表面処理層のガラス転移温度(Tg)が室温以下の合成樹脂微粒子、積水フアインケミカル社製)3gを、イソプロピルアルコール50g及び純水50gの混合液に添加し、超音波発信器を用いて15分間超音波処理し、溶媒中にスペーサが分散された分散液を作製した。
【0044】
基板として、STN型液晶表示装置用のコモン電極基板(カラーフィルタ形成基板、RGB各画素の開口部は80×280μm、金属Crブラックマトリックス線幅20μm、アクリル樹脂製オーバーコート層3.0μm、ITO電極幅290μm、基板電極間隔15μm、ガラス厚0.7mm) を準備した。
この基板において、ITO各電極は表示領域外で導通されており、表示領域外の一カ所に電圧を印加すれば、全ての基板電極に電圧が印加できるように形成した。この基板に、ポリイミドの配向膜を0.05μm形成し、ラビング処理を施した。
【0045】
スペーサの湿式散布装置として、図5に示したようなものを用いた。ここで、金属製の導電性ノズル(ノズル口径2mmφ、扶桑精機社製)を散布槽と絶縁状態で設置し、電圧印加装置からの端子に接続し、また、120℃に加熱されたホットプレート天板上にステンレス(SUS)製のステージを設置し、そのステージをアースして、ステージに密着させて基板を設置し、電圧印加装置からの端子を表示領域外でITO電極に接続した。また、散布槽内はヒーターにて、55℃の温度を保つように設定した。
【0046】
作製した分散液を基板に散布するに際し、金属製の導電性ノズルに+5.0kV、基板のITO電極に+2.0kV印加した。
この状態を維持したまま、3kgf/cm2 の窒素ガスを用いて導電性ノズルから分散液の散布を行った。
【0047】
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの98%以上がITO電極間隙、すなわち、ブラックマトリックス部分に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストが非常に高く、良好な表示特性を有していた。
【0048】
比較例1
実施例1において、導電性ノズルに電圧を印加しないこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、ITO電極間隙に配置されたスペーサもやや見られたが、ほとんどランダムな状態で基板上に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、コントラストに全く差は見られなかった。
【0049】
比較例2
実施例1 において、基板に電圧を印加しないこと以外は同様に操作した。
スペーサ散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、従来の湿式散布方式による場合と変わらず、ランダムにスペーサは配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、コントラストに全く差は見られなかった。
【0050】
実施例2
実施例1において、基板を加熱せずに、基板を散布槽内の温度に保ったこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約70%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストが高かった。
【0051】
実施例3
実施例1において、導電性ノズルに印加する電圧を600Vとしたこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約75%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストが高かった。
【0052】
実施例4
実施例1において、導電性ノズルに印加する電圧を400Vとしたこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約50%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストがやや高かった。
【0053】
実施例5
実施例1において、基板電極に印加する電圧を800Vとしたこと以外は同様に操作した。
スペーサが散布された基板を光学顕微鏡で観察したところ、基板上全体に存在するスペーサの約50%がITO電極間隙に配置されていた。
その後、スペーサが配置された基板を用いてSTN型液晶表示装置を組み上げた。この本発明にかかる液晶表示装置と、従来の画素内にスペーサが存在する液晶表示装置とを比較したところ、この本発明にかかる液晶表示装置の方がコントラストがやや高かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上述の構成よりなるので、湿式散布方式を用いてもスペーサの配置制御を行うことができ、スペーサをブラックマトリックス部分に配置させることが可能となるため、コントラストの高い液晶表示装置を製造することができる。
本発明の液晶表示装置は、ブラックマトリックス部分へのスペーサの配置精度が高いことから、高いコントラストを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の製造方法に使用可能なスペーサの湿式散布装置の断面概念図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の製造方法における導電性ノズルの先端部分を拡大した断面概念図であり、導電性ノズルから分散液へ電荷が移動する帯電機構を説明するためのものである。
【図3】アースされていないステージに基板を密着させて設置している場合における基板上の等電位面を説明するための断面概念図である。
【図4】アースされたステージに基板を密着させて設置している場合における基板上の等電位面を説明するための断面概念図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の製造方法の実施例において用いられるスペーサの湿式散布装置の断面概念図である。
【図6】従来の液晶表示装置の断面概念図である。
Claims (4)
- 2枚の基板間に、液晶及び液晶層の厚みを維持するスペーサを封入してなる液晶表示装置の製造方法であって、
溶媒中にスペーサが分散された分散液を、導電性ノズルより圧縮気体と共に基板電極が形成された基板に散布するに際し、導電性ノズル及び基板電極の両方に同極性の電圧を印加し、
前記スペーサは、スペーサ粒子表面に室温より低いガラス転移温度(Tg)をもつ表面処理層が形成されているものである
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 導電性ノズルに対して500V〜20kVの電圧を印加し、かつ、アースされた導電性ステージに基板を密着させて設置して、基板電極に対して1.0〜5kVの電圧を印加することを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造方法。
- 分散液の基板への散布を散布槽内で行い、散布槽内及び基板は、加熱された状態であり、基板は、散布槽より高い温度の状態であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置の製造方法。
- 請求項1、2又は3記載の液晶表示装置の製造方法によって製造されてなることを特徴とする液晶表示装置。
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