JPH10212538A - 熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材 - Google Patents

熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材

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JPH10212538A
JPH10212538A JP1562797A JP1562797A JPH10212538A JP H10212538 A JPH10212538 A JP H10212538A JP 1562797 A JP1562797 A JP 1562797A JP 1562797 A JP1562797 A JP 1562797A JP H10212538 A JPH10212538 A JP H10212538A
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aluminum alloy
sacrificial
heat exchanger
alloy
alloy composite
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JP1562797A
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Inventor
Hiroaki Takeuchi
宏明 竹内
Yoshiaki Ogiwara
吉章 荻原
Koji Okada
光司 岡田
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸性側だけでなくアルカリ性側の腐食環境に
おいても優れた耐食性を示す、高耐食性アルミニウム合
金複合材を提供する。 【解決手段】 Al合金からなる芯材の片面に、犠牲陽
極材としてGe 0.005〜2.0wt%を含有し、
残部Alと不可避不純物からなるAl合金をクラッドし
た熱交換器用アルミニウム合金複合材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車用熱交換器等
に用いられるアルミニウム合金複合材に関するものであ
り、更に詳しくはろう付け法により形成された熱交換器
の冷媒通路を形成するチューブあるいはヘッダープレー
トの材料として用いられる2層または3層構造のアルミ
ニウム合金複合材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常のアルミニウム製熱交換器、例えば
ラジエーターは図1に示すように、冷媒を通すチューブ
管1の間にフィン2を配置し、チューブ管1の両端にヘ
ッダープレート3を取り付けて、コア4を組み立て、ろ
う付け後にヘッダープレート3にパッキング6を介して
樹脂タンク5を取り付けたもので、フィン2にはJIS
3003合金にZnを1.5wt%(以下、単に%と記
す)程度添加した厚さ0.1mm前後の板を用い、チュ
ーブ管には冷媒側の孔食発生を防止するために、JIS
3003合金にSi、Cu等を添加した合金芯材の内側
(冷媒側)にJIS7072合金あるいはそれにMg等
を添加した合金を犠牲陽極材としてクラッドした厚さ
0.2〜0.3mmのブレージングシートを用い、ヘッ
ダープレート3には厚さ1.0〜1.3mmのチューブ
1と同様の材質のブレージングシートが用いられてい
る。これらブレージングシートは、ろう付け加熱時に5
80〜600℃程度の雰囲気にさらされ、これにより上
記犠牲陽極材中のZnは芯材中に拡散する。このZn拡
散層の優先腐食により、冷媒側から発生する孔食は深く
成長せず、浅く広い腐食形態をとり、長期の耐孔食性を
示すようになる。
【0003】ところで、Al−Zn−Mg系、およびA
l−Mg−In系の犠牲陽極アルミニウム合金自体は浅
く広い腐食形態(面食)をとる特徴があり、さらに芯材
とこれら犠牲材との電位差により、芯材が暴露した後も
犠牲材が優先的に腐食され、芯材の孔食発生を防止す
る。これまでは、ラジエーターチューブ肉厚の薄肉化に
伴う耐食性の問題は主に中性、あるいは酸性溶液下で議
論されてきた。これは特に酸性環境下ではチューブの孔
食は成長し最悪は貫通孔を発生する恐れがあるからであ
る。上記、従来公知のAl合金系を犠牲陽極材として芯
材にクラッドした材料が中性、酸性溶液に対しては十分
な耐食性を示すことが知られている。
【0004】ところが、最近ではチューブ内面の冷媒側
環境において、酸性環境だけでなくアルカリ性環境に対
しも耐食性が充分に確保される必要性が出てきており、
同一材料で両環境に適用できる材料が必要不可欠となっ
ている。しかし、アルカリ液環境では上記のような従来
の合金系を犠牲陽極材として使用した場合、本来の防食
機能が充分に発揮されないばかりか、逆に芯材の腐食を
促進させてチューブを貫通させる恐れがあることが確認
されている。これは、アルカリ性環境下では、酸性下で
効果のある上記の従来の犠牲陽極材は、表面に酸化皮膜
が形成されて、犠牲材に必要な浅く広い腐食形態をとる
ことが困難となることに起因すると思われる。このた
め、腐食溶解で芯材が表面露出した場合、近傍の犠牲材
防食溶解が有効に働かなくなり、結果として芯材の孔食
が促進されるという大きな問題が生じるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
酸性側だけでなくアルカリ性側の腐食環境においても優
れた耐食性を示す、高耐食性アルミニウム合金複合材を
提供することを目的とする。さらに本発明は、このよう
な高耐食性アルミニウム合金複合材を用いたAl合金管
及び熱交換器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討を行った結果、本発明をなすに
至った。下記のアルミニウム合金複合材は、チューブ、
ヘッダープレート内面の冷媒側環境において、酸性環境
だけでなくアルカリ性環境に対しても耐食性が充分に確
保され、上記の目的が達成される。すなわち本発明は、
(1)Al合金からなる芯材の片面に、犠牲陽極材とし
てGe 0.005〜2.0wt%を含有し、残部Al
と不可避不純物よりなるAl合金をクラッドしたことを
特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材、(2)
Al合金からなる芯材の片面に、Al−Si系のアルミ
ニウム合金ろう材をクラッドし、もう片面に犠牲陽極材
としてGe 0.005〜2.0wt%を含有し、残部
Alと不可避不純物よりなるAl合金をクラッドしたこ
とを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材、
(3)(1)又は(2)項記載の芯材が、Si 0.3
〜1.2wt%、Cu0.3〜1.0wt%、Mn
0.5〜2.0wt%を含有し、残部Alと不可避不純
物よりなるAl合金からなる熱交換器用アルミニウム合
金複合材、(4)(1)又は(2)項記載の犠牲材が、
Ge 0.005〜2.0wt%を含有し、さらにZn
0.1〜6wt%、Mg 0.1〜3.5wt%、I
n0.005〜0.5wt%、Sn 0.005〜0.
5wt%、V 0.01〜1.0wt%、Si 0.0
2〜1.0wt%のうち1種または2種以上を含有し、
残部Alと不可避不純物よりなるAl合金からなること
を特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材、
(5)(3)項記載の芯材が、さらにCr 0.01〜
0.3wt%、Zr 0.01〜0.3wt%、Ti
0.01〜0.3wt%、Mg 0.2wt%以下のう
ち1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避不純
物よりなるAl合金からなることを特徴とする熱交換器
用アルミニウム合金複合材、(6)犠牲材が、さらにZ
n 0.1〜6wt%、Mg 0.1〜3.5wt%、
In 0.005〜0.5wt%、Sn 0.005〜
0.5wt%、V 0.01〜1.0wt%、Si
0.02〜1.0wt%のうち1種または2種以上を含
有し、残部Alと不可避不純物よりなるAl合金からな
ることを特徴とする(3)項記載の熱交換器用アルミニ
ウム合金複合材、(7)犠牲材が、さらにZn 0.1
〜6wt%、Mg 0.1〜3.5wt%、In 0.
005〜0.5wt%、Sn 0.005〜0.5wt
%、V 0.01〜1.0wt%、Si 0.02〜
1.0wt%のうち1種または2種以上を含有し、残部
Alと不可避不純物よりなるAl合金からなることを特
徴とする(5)項記載の熱交換器用アルミニウム合金複
合材、(8)(1)〜(7)項記載のAl合金複合材が
電縫溶接加工、あるいは折り曲げ加工により管形状に形
成されていることを特徴とする熱交換器用高耐食性Al
合金管、及び(9)(8)項記載のAl合金管が用いら
れていることを特徴とする高耐食性Al合金製熱交換器
を提供するものである。
【0007】本発明において、アルミニウム合金複合材
の犠牲材は所定量のGeを含有する。本発明のアルミニ
ウム合金複合材は、酸性環境で防食機能を維持するだけ
でなく、アルカリ環境下でも犠牲材表面に酸化皮膜を形
成することなく、ないしは酸化皮膜の形成が抑制され、
犠牲防食に必要な浅く広い腐食形態をとることができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明のアルミニウム合金複合材における犠牲材
の各々における添加元素について述べる。Ge添加量を
0.005〜2.0%とする。その量が0.005%未
満ではアルカリ性環境下で犠牲材表面の酸化皮膜形成を
抑制する効果がほとんどなく、そのため充分な犠牲防食
機能を維持することが困難となる。2.0%を越えても
上記効果はそれ以上向上しないだけでなく、材料製造時
の圧延性、歩留まりが低下して量産性を悪化させる問題
が出てくる。なお、好ましくはGe添加量を0.2%〜
1.5%とする。Znの添加の理由は、腐食環境が特に
強い酸性側にある場合に、犠牲防食効果を十分に大きく
するためである。Znの添加量は0.1〜6%であり、
0.1%未満ではGeとの複合添加において特に酸性環
境での犠牲防食能を維持することができない。6%を越
える場合には、アルカリ性環境においてGe添加による
酸化皮膜抑制効果と犠牲防食能維持効果が大幅に低下し
てしまう恐れがあり、またろう付加熱時の温度によって
は犠牲材と芯材との界面近傍で材料溶融が発生する恐れ
がある。好ましいZn添加量は2.0〜4.0%であ
る。Mg添加の理由は、ろう付加熱時の芯材への拡散に
よりチューブ材の強度を向上させるためである。Mgの
添加量は0.1〜3.5%であり、0.1%未満では強
度向上の効果がほとんどなく、3.5%を越える場合に
は材料製造時の熱間圧延でこのようなクラッド複合材を
圧着することが困難となる。好ましいMg添加量は1.
0〜2.0%である。
【0009】In、Sn添加の効果は、Znと同様であ
る。0.005%未満では犠牲効果が不足し、0.5%
を越えた場合には材料製造時の圧延性が低下しコイル端
部がコバ割れするという問題が起きる恐れがある。好ま
しい範囲は0.01〜0.2%である。Vの添加理由は
Znと同様である。添加量が0.01%未満では芯材の
防食効果がなく1.0%を越える場合には材料製造の鋳
造時に鋳塊割れが発生する恐れがある。好ましくは0.
1〜0.5%とする。犠牲材へのSi添加理由は、犠牲
防食機能を損なわずに強度向上を図るためであり、0.
02%未満では上記効果が充分に発揮されず、1.0%
を越える場合には電縫加工によりチューブ管を製造した
際に、溶接欠陥(ミクロ割れ)の問題を引き起こす恐れ
がある。好ましい範囲は0.1〜0.7%である。
【0010】次に、芯材のアルミニウム合金中の各成分
元素について述べる。Si、Cu、およびMnはろう付
後にマトリックス中に固溶し、強度向上に効果がある。
Si添加量が0.3%未満では強度向上効果がなく、
1.2%を越えると単体Siによる深い孔食を引き起こ
す恐れがある。好ましい範囲は0.7〜1.0%であ
る。Cu添加量が0.3%未満では強度向上効果がな
く、1.0%を越えると犠牲材側にCuが多く拡散する
ために、犠牲材の機能が損なわれてしまう。また電縫加
工時に溶接割れを引き起こす恐れがある。好ましい範囲
は0.4〜0.8%である。Mn添加量が0.5%未満
では強度向上効果がなく、2.0%を越えると加工性が
低下する問題が発生する。好ましい範囲は0.8〜1.
5%である。Cr、Zr、Mgも強度向上効果がある
が、Cr、Zrについてはこれら添加量が各々0.01
%未満では強度向上効果がない。0.3%を越えると鋳
造時の割れ欠陥が発生する恐れがある。好ましい範囲は
0.08〜0.2%である。Tiは孔食を抑えて層状腐
食させ複合材の腐食寿命を向上させる効果がある。0.
01%未満では左記効果が充分に発揮されず、0.3%
を越えると圧延加工性が劣化する。好ましい範囲は0.
1〜0.2%である。Mgは芯材のSiとともにMg2
Siを化合物として時効析出することで強度向上効果が
ある。0.2%を越えると、ろう付加熱時に芯材の片面
にクラッドしたろう材側表面にMgが拡散し、フラック
スを使用した場合にはこれと反応してろう付不良を発生
する恐れが出てくる。よってMgを0.2%以下とす
る。その好ましい範囲は0.05〜0.15%である。
【0011】本発明のアルミニウム合金複合材において
芯材の片面にクラッドできるろう材としては、Al合
金、例えばAl−Si系のJIS4343、JIS40
45合金およびJIS4004合金等が使用できる。そ
の他、ろう材にろう付性改善や耐食性改善の目的で微量
の他元素を添加しても差し支えない。本発明の熱交換器
用アルミニウム合金複合材において、芯材に対する犠牲
陽極材のクラッド率は、特に制限はなく、従来のものと
同様の範囲に設定することができる。通常、片面の犠牲
材の厚さで芯材の厚さに対して10〜15%の範囲であ
る。ろう材をクラッドする場合のそのクラッド率は従来
と同様である。このような熱交換器用アルミニウム合金
複合材の厚さも特に制限はなく、従来公知のものと同様
の範囲である。本発明の熱交換器アルミニウム合金複合
材は、Al合金からなる芯材の片面に犠牲陽極材をクラ
ッドしたものである。ろう材はこの複合材のもう一方の
面にあらかじめクラッドしておいてもよいが、クラッド
しておかずに熱交換器等を組立てる時に別のろう材を接
合部に加えるようにしてもよい。本発明のAl合金管
(チューブ)は、ラジエーターチューブ以外に、ラジエ
ーターのヘッダープレートにも使用でき、その他本発明
の目的と同様であればいかなる部材、たとえばヒーター
コアあるいはドロンカップエバポレーターのチューブシ
ート、ヘッダー管としても充分に使用できる。本発明の
熱交換器用アルミニウム合金複合材を用いたAl合金製
熱交換器の1例は前記図1に示すようなラジエータであ
る。その場合、ラジエータは図1の管チューブ(1)と
して本発明のアルミニウム合金複合材を使用した管チュ
ーブを用いたものである。
【0012】本発明でいう酸性環境、アルカリ性環境と
は、特に制限するものではないが、通常、それぞれpH
2〜5、pH8〜12の範囲をいう。犠牲材中にGeが
添加されている本発明の場合とそうでない場合におけ
る、アルカリ性側腐食環境下での犠牲材防食溶解および
芯材腐食形態を図2(A)、(B)に断面の模式図で示
す。(A)は本発明のアルミニウム合金複合材であり、
(B)は従来のアルミニウム合金複合材であり、図中1
0、11は芯材、12、13は犠牲材、14、15は酸
化皮膜であり、16がアルカリ性腐食環境であり、1
7、18が腐食孔を示す。図2(B)から明らかなよう
に、従来のアルミニウム合金複合材では厚い酸化皮膜1
5に覆われるため、犠牲材13が全面溶解形態をとるこ
とが困難となる。結果として、芯材11まで腐食させた
腐食孔18が形成され、芯材11を十分に防食できずに
耐孔食性が悪化する。これに対し、図2(A)から明ら
かなように、本発明のアルミニウム合金複合材では、酸
化皮膜14はアルカリ性腐食環境下でも酸性側腐食環境
下と同レベルのため、犠牲材12は全面溶解形態をと
り、腐食孔17は犠牲材の溶解により形成され、芯材1
0の腐食を十分に防食する機構をとる。
【0013】
【実施例】次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。 実施例 犠牲陽極材と芯材を金型鋳造により鋳造して、各々両面
面削後、犠牲材は熱間圧延により厚さ10mm、芯材は
面削のみで35mmに仕上げた。ろう材はJIS434
3合金を用い、犠牲材同様金型鋳造し、面削後、熱間圧
延を行い5mm厚とした。ろう材、芯材、犠牲材の3枚
をこの順に重ねて、500℃にて熱間圧延により3層の
クラッド材の試料97種を作製した。すなわち、犠牲材
の複合材全体に対するクラッド率が20%、芯材の複合
材全体に対するクラッド率が70%となるようにした。
ろう材の複合材全体に対するクラッド率は10%であ
る。その後冷間圧延により0.29mm厚とし、360
℃×2hrの中間焼鈍を施して最終的には厚さ0.2m
mまで冷間圧延し、H14材の試料とした。この犠牲陽
極材と芯材の組み合わせ組成97種類を表1〜表5に示
した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】
【表5】
【0019】これらの試料について、強度、耐食性を以
下の方法で評価した。 1)強度 :600℃×3min.のろう付加熱保持
後、70℃/min.の冷却速度で冷却し、その後室温
に10日間放置した後、引張強さを測定した。 2)耐食性:本発明合金複合材、比較例合金複合材をそ
れぞれ電縫加工によりチューブ管とし、これらチューブ
管を板厚0.07mmの、Al−(0.5%Si)−
(0.2%Cu)−(1.0%Mn)−(2.0%Z
n)合金からなるコルゲート加工したフィンと板厚1.
2mmのヘッダープレート、およびサイドプレート[両
面に4343Al合金ろう材及びAl−(1.5%Z
n)合金犠牲材をそれぞれ10%ずつクラッドした芯材
(3003Al合金+0.15%Mg)からなるAl合
金複合材]を用いて熱交換器を作製した。チューブ管内
部に下記2タイプの腐食液を別々に循環させ、6ケ月循
環試験後の犠牲材側からの最大孔食深さを測定した。 これらの結果を表6〜表10に示す。
【0020】
【表6】
【0021】
【表7】
【0022】
【表8】
【0023】
【表9】
【0024】
【表10】
【0025】腐食試験の液条件を以下に示した。 1.酸性側過酷試験 液種:水道水+10ppmCuイオン+200ppmC
lイオン(試薬CuCl2 ・2H2 Oと試薬NaClで
調整した)。pH3。 試験条件:90℃×10hrと室温×14hrのサイク
ル試験を6ケ月行う。 2.アルカリ性側過酷試験 液種:水道水+200ppmCO3 2- イオン(試薬Na
HCO3 で調整した)。pH10。 試験条件:90℃×10hrと室温×14hrのサイク
ル試験を6ケ月行う。 表6〜表10から明らかなように、本発明の試料は酸性
環境、およびアルカリ性環境のいずれの腐食試験におい
ても孔食深さが80μm以下であり、優れた耐食性を確
保する。一方、合金組成が本発明の範囲を外れる比較例
の試料は酸性側あるいはアルカリ性側のいずれか、また
は両方の試験環境で耐食性が劣っている。本発明の試料
No.93、および比較例試料のNo.55のアルカリ
性側過酷試験6ケ月後のチューブ管内面最大孔食部腐食
断面の状態を電子顕微鏡で観察したところ、前記図2の
(A)、(B)に示すと同様な、本発明と従来例の腐食
形態の違いが確認できた。
【0026】
【発明の効果】本発明によるAl合金複合材、Al合金
管、およびAl合金製熱交換器は、酸性側だけでなくア
ルカリ性側の腐食環境においても優れた犠牲防食能を確
保して長期間にわたり孔食が進行しない優れた耐食性を
示す。本発明によれば、両腐食環境において耐食性を確
保できないという従来の問題を解決でき、工業上顕著な
効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミニウム合金複合材を用いたアル
ミニウム合金管を適用する熱交換器の一例を示す一部断
面の斜視図である。
【図2】本発明のアルミニウム合金複合材と従来のアル
ミニウム合金材のアルカリ性側腐食環境下での犠牲材防
食溶解および芯材腐食形態の違いを示すチューブ管断面
の模式図である。
【符号の説明】
1 チューブ管 2 フィン 3 ヘッダープレート 4 コア 5 樹脂タンク 6 パッキング 7 チューブ管

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al合金からなる芯材の片面に、犠牲陽
    極材としてGe 0.005〜2.0wt%を含有し、
    残部Alと不可避不純物よりなるAl合金をクラッドし
    たことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合
    材。
  2. 【請求項2】 Al合金からなる芯材の片面に、Al−
    Si系のアルミニウム合金ろう材をクラッドし、もう片
    面に犠牲陽極材としてGe 0.005〜2.0wt%
    を含有し、残部Alと不可避不純物よりなるAl合金を
    クラッドしたことを特徴とする熱交換器用アルミニウム
    合金複合材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の芯材が、Si
    0.3〜1.2wt%、Cu 0.3〜1.0wt%、
    Mn 0.5〜2.0wt%を含有し、残部Alと不可
    避不純物よりなるAl合金からなる熱交換器用アルミニ
    ウム合金複合材。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の犠牲材が、Ge
    0.005〜2.0wt%を含有し、さらにZn 0.
    1〜6wt%、Mg 0.1〜3.5wt%、In
    0.005〜0.5wt%、Sn 0.005〜0.5
    wt%、V 0.01〜1.0wt%、Si 0.02
    〜1.0wt%のうち1種または2種以上を含有し、残
    部Alと不可避不純物よりなるAl合金からなることを
    特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の芯材が、さらにCr
    0.01〜0.3wt%、Zr 0.01〜0.3wt
    %、Ti 0.01〜0.3wt%、Mg 0.2wt
    %以下のうち1種または2種以上を含有し、残部Alと
    不可避不純物よりなるAl合金からなることを特徴とす
    る熱交換器用アルミニウム合金複合材。
  6. 【請求項6】 犠牲材が、さらにZn 0.1〜6wt
    %、Mg 0.1〜3.5wt%、In 0.005〜
    0.5wt%、Sn 0.005〜0.5wt%、V
    0.01〜1.0wt%、Si 0.02〜1.0wt
    %のうち1種または2種以上を含有し、残部Alと不可
    避不純物よりなるAl合金からなることを特徴とする請
    求項3記載の熱交換器用アルミニウム合金複合材。
  7. 【請求項7】 犠牲材が、さらにZn 0.1〜6wt
    %、Mg 0.1〜3.5wt%、In 0.005〜
    0.5wt%、Sn 0.005〜0.5wt%、V
    0.01〜1.0wt%、Si 0.02〜1.0wt
    %のうち1種または2種以上を含有し、残部Alと不可
    避不純物よりなるAl合金からなることを特徴とする請
    求項5記載の熱交換器用アルミニウム合金複合材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007302952A (ja) * 2006-05-11 2007-11-22 Toyama Univ Al−Mg−Ge系のアルミニウム基合金及びそれを用いたアルミニウム合金材
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JP2011063841A (ja) * 2009-09-16 2011-03-31 Furukawa-Sky Aluminum Corp 酸性環境の耐食性に優れたAl合金クラッド材

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