JPH10206858A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置及びその製造方法

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JPH10206858A
JPH10206858A JP1432997A JP1432997A JPH10206858A JP H10206858 A JPH10206858 A JP H10206858A JP 1432997 A JP1432997 A JP 1432997A JP 1432997 A JP1432997 A JP 1432997A JP H10206858 A JPH10206858 A JP H10206858A
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Hiroyuki Moriwaki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線による色ムラによる不良を抑制するこ
とを課題とする。 【解決手段】 配向膜を形成した一対の基板と、一対の
基板間に液晶層とを有し、液晶層が1500nm以上の
屈折率異方性Δnとセルギャップdとの積dΔnを有
し、配向膜が、分子短軸方向に非局在性の長鎖有機基を
有するジアミンと分子短軸方向に長鎖有機基を有しない
テトラカルボン酸とを、又は分子短軸方向に長鎖有機基
を有しないジアミンと分子短軸方向に非局在性の長鎖有
機基を有するテトラカルボン酸とを重合して得られるポ
リイミド系樹脂を含有することを特徴とする液晶表示装
置により上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置及び
その製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、液晶
の屈折率異方性Δnとセルギャップ(液晶層の厚さ)d
との積dΔnが1500nm以上である複屈折制御型の
カラー液晶表示装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯型情報機器のディスプレイに
は、携帯性を考慮して時分割方式の反射型白黒液晶表示
装置が採用されている。しかし、近年、視認識性の向上
のために、複数色のカラー表示が可能な反射型カラー液
晶表示装置の開発が行われている。この内、特に、カラ
ーフィルターを使用せずにカラー表示を実現することが
できる複屈折制御(ECB)型液晶表示装置の開発が盛
んに行われている。
【0003】このECB型液晶表示装置の動作原理は、
階調しうる電圧を液晶表示装置を構成する画素に印加す
ると、印加された階調電圧に応じて液晶分子の配向が変
化する。この変化に伴って液晶セル(基板、配向膜及び
液晶層を備えた液晶表示装置の最小単位)への表示に有
効なセルギャップdと屈折率異方性Δnの積dΔnが変
化する。その結果、液晶セルの積dΔnの変化に応じ
て、液晶層の複屈折率効果により、色づきが出るもので
ある。
【0004】ここで、従来から用いられているSTN型
液晶表示装置では、光をON、OFFすることが可能で
あれば、カラーフィルターを用いてカラー化が可能であ
る。そのため、積dΔnは、1000nm以下で十分で
あった。しかし、ECB型液晶表示装置では、カラーフ
ィルターを用いずに積dΔnの変化によって多色表示さ
せるため、積dΔnを1000nm以上と大きく設定す
る必要がある。特に、表示色に関して、使用者から従来
の白黒表示に加え、色の3原色である赤青緑を表示する
ことへの強い要望ある。これを実現するためには、積d
Δnを1500〜2000nmにすることが必要であ
る。例えば、特開平6−175125号公報において
も、その範囲の積dΔnであれば白色に加え3原色が良
好に表示できることが記載されている。また、上記公報
において、液晶分子のツイスト角と発色性との関係につ
いても検討されており、240°の場合が最も多色に変
化すると記載されている。
【0005】従って、ECB型液晶表示装置では、積d
Δnを1500nm以上、ツイスト角を240°とした
場合の検討が盛んに行われている。一般に、ツイスト角
が240°以下の場合、配向膜には分子短軸方向に長鎖
有機基を持たない低プレチルト角(約3°)の配向膜が
用いられている。これは、プレチルト角が小さいほど電
圧無印加時の光抜けが少なく発色が良くなるためであ
る。このことから、上記公報に記載の配向膜も、低プレ
チルト角を有していると推測される。
【0006】ところで、ECB型液晶表示装置では、積
dΔn及びツイスト角を増加させることにより、図1に
示すようにしきい値電圧近傍での反射率(色変化)の急
峻性が増す。そのため、液晶セルの面内での僅かな電圧
差変化でも色ムラとして認識される。特に電圧変化に対
する色変化が急峻な中間調電圧では、1/100〜1/
1000Vの電圧変化でも色味が異なるので、厳しい設
計が必要である。よって、ECB型のように液晶の複屈
折によって発色を制御するためには、液晶表示装置全体
のセルギャップを制御し、かつ液晶の配向状態を一定に
保つことが課題となっている。
【0007】一方、液晶分子のツイスト角が250°以
上の場合、配向膜には分子短軸方向に長鎖有機基を有す
る高プレチルト角の配向膜を用いるのが一般的である。
これは、従来の低プレチルト角の配向膜では、250°
以上では液晶分子が配向しなくなるためである。例え
ば、特開平5−43687号公報において高プレチルト
角を安定に有する配向膜が提案されている。ここでは、
ポリイミドのラビングによって得られる1〜3°程度の
チルト角を有する従来の配向膜にかえて、ジアミン成分
としてベンゼン環1個当たり1個以上の直鎖上のアルキ
ル基を有する芳香族ジアミンを用いた配向膜が提案され
ている。この芳香族ジアミンのモル分率を調整すること
により、ポリイミド樹脂表面のアルキル基の分布密度を
調整できるので、広い範囲にわたるプレチルト角の制御
が可能となる。またこの公報には、芳香族ジアミンとし
て、一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】(式中nは、5〜21の整数である。) が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように、ツイスト
角の大小によって、配向膜の使い分けがなされている
が、積dΔnが1500nm以上であるECB型液晶表
示装置に、低プレチルト角の短軸方向に長鎖有機基を有
しない配向膜を用いると、今まで問題にならなかった紫
外光照射による色ムラが生じることを見いだした。
【0011】この色ムラは蛍光灯程度の紫外線強度でも
十分起こる。色ムラの発生原因は、紫外線照射によっ
て、照射部の液晶層のしきい値電圧が未照射部のしきい
値電圧より低下するためである。しきい値電圧の低下の
メカニズムは、解明できてはいないが、液晶層に含まれ
る不純物イオンが配向膜へ浸透するため、及び/又はプ
レチルト角が変化するためであると考えられる。
【0012】特に、ECB型液晶表示装置のようにパネ
ルレタデーションが通常のSTN型液晶表示装置の2倍
以上と大きい場合、しきい値電圧近傍の透過率変化が急
峻になるため、しきい値電圧が僅かに変化した場合であ
っても、色変化は顕著に現れることとなる。表1に、パ
ネルレタデーション積dΔnと色ムラとの関係を示す。
【0013】
【表1】
【0014】図中、○は色ムラが目視では確認できない
レベル(ΔE*(色素)<5)、△は色ムラが目視で確
認できるがそれ程ひどくないレベル(5≦ΔE*≦2
0)、×は色ムラがひどいレベル(ΔE*>20)を意
味している。なお、上記特開平5−43687号公報で
は、高プレチルト角を有する配向膜の熱に対する安定性
は考察されているが、紫外線による色ムラについては何
ら考察されていなかった。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、紫外
線照射により生じる色ムラの発生を防止しうる特定の配
向膜及び液晶の組み合わせを見いだすことにより本発明
をなすに至った。かくして本発明によれば、配向膜を形
成した一対の基板と、一対の基板間に液晶層とを有し、
液晶層が1500nm以上の積dΔn(Δnは屈折率異
方性、dはセルギャップを示す)を有し、配向膜が、非
局在性の長鎖有機基を有するジアミンと長鎖有機基を有
しないテトラカルボン酸、又は長鎖有機基を有しないジ
アミンと非局在性の長鎖有機基を有するテトラカルボン
酸とを重合して得られ、長鎖有機基が分子短軸方向に存
在するポリイミド系樹脂を必須の成分として含有するこ
とを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0016】更に、本発明によれば、上記液晶表示装置
の製造方法であって、液晶表示装置の組立後に、更に電
圧保持率がほぼ安定するまで紫外線を液晶表示装置に照
射することを特徴とする液晶表示装置の製造方法が提供
される。
【0017】
【発明の実施の態様】本発明に使用できる基板として
は、特に限定されず、当該分野で使用される基板をいず
れも使用することができる。例えば、ガラス基板、樹脂
基板等が挙げられる。本発明の配向膜には、下記(1)
及び(2)の特定の組み合わせでジアミンとテトラカル
ボン酸を重合させることにより得られたポリイミド系樹
脂が含まれる。 (1)非局在性の長鎖有機基を有するジアミンと長鎖有
機基を有しないテトラカルボン酸との組み合わせ (2)長鎖有機基を有しないジアミンと非局在性の長鎖
有機基を有するテトラカルボン酸との組み合わせ なお、長鎖有機基は、重合後、分子短軸方向に存在する
こととなる。
【0018】ここで、上記(1)及び(2)において、
長鎖有機基としてはアルキル基又はアルコキシ基である
ことが好ましい。更に、長鎖有機基を構成する炭素の数
は、5〜21個であることがより好ましい。具体的に
は、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テト
ラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシ
ル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘニコシル
等のアルキル基、及びこれらアルキル基に対応するアル
コキシ基が挙げられる。
【0019】より具体的には、非局在性の長鎖有機基を
有するジアミンとしては、一般式(I)
【0020】
【化3】
【0021】(式中nは、5〜21の整数である。) から選択されることが好ましい。長鎖有機基を有しない
ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、プロピレ
ンジアミン等の脂肪族ジアミン、ジアミノシクロヘキサ
ン等の脂環族ジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノ
ビフェニル、メチレンジアニリン、イソプロピリデンジ
アミン、オキシジアニリン、チオジアニリン、カルボニ
ルジアニリン、スルホニルジアニリン、ナフタレンジア
ニリン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0022】長鎖有機基を有しないテトラカルボン酸と
しては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の
脂肪族テトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン
酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサン
テトラカルボン酸、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7
−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、2,3,
5−カルボキシシクロペンチル酢酸等の脂環族テトラカ
ルボン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン
酸等の芳香族テトラカルボン酸が挙げられる。これらテ
トラカルボン酸は、一無水物、二無水物であってもよ
い。特に、一般に反応性が比較的大きいテトラカルボン
酸二無水物を使用することが好ましい。より好ましいテ
トラカルボン酸は、シクロブタンテトラカルボン酸二無
水物、ピロメリット酸二無水物である。
【0023】非局在性の長鎖有機基を有するテトラカル
ボン酸としては、例えば上記長鎖有機基を有しないテト
ラカルボン酸を、上記で説明したアルキル基、アルコキ
シ基等の長鎖有機基で置換したテトラカルボン酸が挙げ
られる。なお、上記ジアミン及びテトラカルボン酸以外
に使用できるものとして、例えば特開平5−43687
号公報に記載されたものが挙げられる。
【0024】上記ジアミンとテトラカルボン酸は、公知
の方法により重合させることができる。重合法として
は、例えば、ジアミンとテトラカルボン酸とを反応、重
合させてポリイミド系樹脂前駆体(例えば、ポリアミッ
ク酸)とし、脱水閉環することによりポリイミド系樹脂
を得る方法が挙げられる。なお、本発明の配向膜には、
上記(1)及び(2)のいずれかのポリイミド系樹脂以
外に、その特性を損なわない範囲及び/又はプレチルト
角を調整するために、他のポリイミド系樹脂を添加して
もよい。他のポリイミド系樹脂としては、例えば、長鎖
有機基を有しないジアミンとテトラカルボン酸から得ら
れるポリイミド系樹脂が挙げられる。
【0025】次に、本発明の液晶層を構成する液晶とし
ては、特に限定されず、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキ
シ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニ
ル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニル
シクロヘキサン系、ピリミジン系及びジオキサン系の液
晶等が挙げられる。なお、これら液晶の内、正の誘電異
方性を有するネマティック液晶(P型液晶)を使用する
ことが好ましい。特に、ネマティック液晶には、以下に
記載する旋光性物質を添加することにより、スーパーツ
イスト構造を提供することができる液晶であることがよ
り好ましい。
【0026】更に、液晶には、旋光性物質を添加しても
よい。旋光性物質は、上記液晶のらせんピッチを調節す
る物質であり、例えば、コレステリルブロマイド、コレ
ステリル−n−ヘキシルエーテル、コレステリルベンゾ
エート、コレステリル−n−ヘキシルヘプタノエート、
コレステリルノナノエート、4−[4−(2−メチルブ
チル)フェニル]ベンゼン酸4’−シアノフェニルエス
テル、t−4−(2−メチルブチル)シクロヘキシルカ
ルボキシル酸シアノビフェニルエステル、4−n−ヘキ
シルオキシベンゼン酸4’−(2−ブトキシカルボニ
ル)フェニルエステル、4−(4−メチルブチル)−
4’−シアノ−p−ターフェニル、N−(4−エトキシ
ベンジリデン)−4−(2−メチルブチル)アニリン、
4−(2−メチルブチル)ベンゼン酸4’−n−ヘキシ
ルオキシフェニルエステル、4−n−ヘプトキシ−4’
−(2−メチルブチルオキシカルボニル)ビフェニル、
4−(2−メチルブチル)−4’−カルボニルフェニ
ル、4−[4−(2−メチルブチル)フェニル]ベンゼ
ン酸4’−ブチルフェニルエステル等が挙げられる。
【0027】更に、本発明では、液晶層が1500nm
以上の積dΔn(Δnは屈折率異方性、dはセルギャッ
プを示す)を有するように液晶表示装置を構成すること
が必要とされる。積dΔnが1500nmより小さい場
合、しきい値特性が緩和されるため色ムラは減少する
が、しきい値特性が鈍いため多色の発色がSTNでは困
難になるので好ましくない。なお、積dΔnは、170
0〜1900nmがより好ましく、特に1800nm付
近が好ましい。
【0028】上記の如き構成の液晶表示装置は、しきい
値電圧の低下を、駆動周波数において、1/100V以
下に抑制することが可能となる。このことは、本発明の
液晶表示装置によれば、色ムラに起因するしきい値の低
下が防がれていることを示している。本発明の液晶表示
装置は、上記構成以外に、例えば、駆動素子、偏光板等
を備えてもよい。
【0029】駆動素子は基板上に形成される。ここで、
駆動素子は、単純マトリックス型の場合、基板上に形成
されたストライプ状の電極を意味し、アクティブマトリ
ックス型の場合、TFT、MIM等の半導体素子を意味
する。これら、駆動素子の構造は特に限定されず、当該
分野で公知の構成をいずれも使用することができる。偏
光板は、基板の両側又は片側に設置することができる。
また、公知の偏光板を使用することができる。
【0030】なお、本発明の液晶表示装置は、動的散
乱、ツイストネマティック(TN、STN)、ECB、
FLC、ゲストホスト、相転移等の動作モードを使用し
うる。この内、STN及びECB型の動作モードが以下
の理由から好ましい。液晶分子のツイスト角が大きいS
TN型の液晶表示装置では、TN型液晶表示装置等のツ
イスト角が小さい液晶表示装置に比べ、中間調電圧での
色変化が急峻であり、僅かなしきい値電圧の変化でも色
ムラが発生する。そのため、本発明のように、積dΔn
を大きく取り、積dΔnの変化によって多色表示を行う
液晶表示素子に、前記特定の配向膜を採用することによ
り、色ムラを抑えることができる。
【0031】一方、積dΔnが1500nm以上である
ECB型の液晶表示装置では、液晶セルに太陽光や蛍光
灯の紫外線が照射された場合、液晶層中の不純物イオン
が活性化されて、電圧印加に伴いその不純物イオンが照
射された部分の配向膜へ移動、浸透しようとする。しか
し、配向膜の分子短軸方向にアルキル基など非局在性の
長鎖有機基からなる側鎖を付けることで、この側鎖が一
種のイオン不純物のシールとして働き、不純物イオンが
配向膜中へ浸透することを食い止めるものと考えられ
る。従って、紫外線が照射された部分において、不純物
イオンが配向膜の電気抵抗率を低下させ、それに伴うし
きい値電圧の低下を抑制することができると考えられ
る。よって、色ムラを抑えることができる。
【0032】更に、正の誘電異方性がより大きい液晶
(Δεが30以上;強P型液晶)を液晶層に含ませるこ
とが好ましい。強P型液晶を使用すれば、携帯型情報機
器の携帯性を考慮した、液晶表示素子の駆動電圧の低
い、低消費電力の液晶表示装置を提供することができ
る。なお、強P型液晶はシアノ基等の極性基を複数有し
ており、通常の極性基を末端基に1個持つP型の液晶よ
り極性が大きい為、液晶精製時に不純物イオンを多く取
り込んでいる。そのため、紫外線が照射された場合に、
取り込まれた不純物イオンが流出すると推測される。し
かし、前記特定の配向膜を採用することで、上記したよ
うに色ムラを抑えることができる。
【0033】更に、液晶表示装置の駆動周波数を、液晶
が応答できる程度で高周波領域を使用することが好まし
い。高周波領域の使用と本発明の特定の配向膜により、
紫外線が照射された部分と非照射部のしきい値電圧の周
波数変化を小さくすることができ、色ムラを軽減するこ
とができる。ここで、本発明では、液晶表示装置を組み
立てた後、更に、更に電圧保持率がほぼ安定するまで紫
外線を液晶表示装置に照射することが好ましい。この紫
外線照射により、液晶層に存在する色ムラの原因となる
不純物イオンを配向膜中に一様に浸透及び安定化させる
ことができる。そのため、色ムラの原因を減らすことが
可能となる。
【0034】
【実施例】
実施例1 (配向膜の材料が色ムラの発生に与える影響)下記、配
向膜1と配向膜2の2種類を用いた。配向膜1は、長鎖
有機基を有しないジアミン
【0035】
【化4】
【0036】と長鎖有機基を有しないテトラカルボン酸
【0037】
【化5】
【0038】とを重合させて製造した日産化学社製ポリ
イミド系樹脂である。配向膜2は、長鎖有機基を有しな
いジアミン
【0039】
【化6】
【0040】と、長鎖有機基であるアルコキシ基を含ん
だジアミン
【0041】
【化7】
【0042】との2種類ジアミンを7対3に混合したも
のと、長鎖有機基を有しない2種類のテトラカルボン酸
【0043】
【化8】 及び
【0044】
【化9】
【0045】とを重合させて作成した日産化学社製ポリ
イミド系樹脂である。つまり、配向膜2が分子短軸方向
に長鎖有機基を有する本発明の配向膜である。ここで、
長鎖有機基を含んだジアミンを全ジアミン中に3割と制
限したのはプレチルト角を調整するためである。これら
2種類の配向膜1及び配向膜2をそれぞれ反応、重合さ
せポリイミド前駆体とし、次いで、ITO基板上に回転
塗布した。その後、焼成を行いポリイミド系樹脂を得
た。更に、配向膜1及び2をラビング処理し、配向膜1
のツイスト角が240°、配向膜2のツイスト角が25
0°になるように、セルギャップ7.5μmで貼り合わ
せた。更に、旋光性物質(チッソ社製のCN(コレステ
リックノナノエート))を含んだ屈折率異方性Δnが
0.24である正の誘電率異方性を示すネマチック液晶
(チッソ社製P型液晶、トラン系液晶及びピリミジン系
液晶を含む混合液晶)を注入し、液晶セルを作製した。
なお、ツイスト角が配向膜1と配向膜2とで違っている
のはプレチルト角が多少異なるため、電圧に対する光の
反射率の変化、つまり、電圧変化に対する発色の変化量
に違いが生じるため、その発色変化量を揃えるためであ
る。よって、このツイスト角の違いによって、色ムラの
程度に違いが生じることはない。
【0046】図2は本発明に用いた反射型複屈折カラー
液晶表示装置の概略断面図である。この液晶表示装置
は、上記液晶セル1を挟んで一対の上偏光板2及び反射
板付き下偏光板3が配置されていると共に、前記液晶セ
ル1と上偏光板2との間に位相差板4が配置されている
構成を有している。ここで、上偏光板2は、サンリッツ
社製LLC2−5618SFを、反射板付き下偏光板3
は、日東電工社製F3205Gを使用している。また、
位相差板は、日本石油化学社製の260°のツイスト角
のねじれ位相差板を使用している。
【0047】図3(a)〜(f)は、上記液晶表示装置
における液晶セル1の液晶配向方向(図3(a)及び
(d))、ねじれ位相差板4の液晶分子の配向方向(図
3(b)及び(e))及び一対の偏光板2、3の吸収軸
(図3(c)及び(f))とを示す概略平面図である。
この図3(a)〜(f)は、観測者が上側から見た図を
示している。
【0048】符号5及び6は基準となる直交軸を示す。
符号7は液晶セル1の上基板側の液晶配向方向、符号8
は下基板側の液晶配向方向、符号9は、ねじれ位相差板
4の上液晶配向方向、符号10はねじれ位相差板4の下
液晶配向方向、符号11は上偏光板の遅相軸、符号12
は下偏光板3の吸収軸を示している。ここで、液晶のツ
イスト角が240°と250°とで場合分けしてあるの
は、それらの色調を合わせるためである。また、ねじれ
位相差板のツイスト角は260°であり、屈折率異方性
ΔnRとdRとの積dRΔnRは、1830nmであ
る。なお、この液晶表示装置を用いて、1/64D、1
/9B程度の駆動を行えば、白−黒−青−緑−赤5色の
発色が可能である。また視感度フィルターを介してこの
システムの印加電圧に対する光の反射率の関係を評価す
ると図1に示すようになる。この図は中間調電圧の青−
緑で電圧に対する反射率の変化が非常に急峻になること
を示している。
【0049】2種類の配向膜1及び配向膜2を含むそれ
ぞれの液晶表示装置の色ムラによる不良を評価するた
め、図4に示すようにそれぞれ液晶表示装置の半面をア
ルミ箔で覆って遮光を行い、紫外線照射部と未照射部に
分割した。この液晶表示装置に家庭用蛍光灯を用いて紫
外線を10日間連続照射した。評価は、上記したしきい
値電圧の低下の変化に対応して最も大きく反射率強度が
変化する中間調(青から緑)電圧に対応する一定電圧の
もとで、その時の紫外線照射部と非照射部との色変化
(色差ΔE*)を測定することで行った。ΔE*は、式
ΔE*=aqr((a1−a2)*(a1−a2)+
(b1−b2)*(b1−b2))((a1,b1):
UV光照射部、(a2,b2):UV光非照射部)によ
り計算した。なお、ΔE*が大きいほどUV照射部と未
照射部の色ずれが大きいことを示す。10日後の結果を
表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2は、配向膜2の方が配向膜1より色ず
れが小さく、色ムラによるドメイン発生が抑制されてい
ることを示している。
【0052】実施例2 (色ムラの駆動周波数依存性の評価)色ムラによる不良
が分かりやすいように、色ムラの大きい配向膜1を有す
る液晶表示装置を使用した。この液晶表示装置に紫外線
照射部と未照射部に駆動周波数30Hz及び400Hz
の矩形波を印加し、紫外線照射部の駆動周波数依存性を
測定した。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】色ムラは、紫外線照射部と未照射部のしき
い値電圧の差によって起こることを前記したが、30H
z矩形波駆動ではしきい値電圧に10mVの差が発生し
ているのに対し、4000Hz矩形波ではしきい値電圧
の差はmVのオーダーで0となっており、色ムラが軽減
されていることがわかる。このことより、駆動周波数4
000Hz以上の高周波での矩形波に相当する駆動条件
で、かつ液晶分子が応答できる範囲内であれば色ムラが
軽減できることがわかる。
【0055】実施例3 (色ムラと電圧保持率の低下割合との関係)配向膜1及
び2を有する液晶表示装置に紫外線を照射して、照射時
間毎の電圧保持率を測定した。この結果、色ムラと電圧
保持率の低下割合には関係があり、経時的な保持率の低
下が大きいほど色ムラも大きくなることが分かった。一
般に保持率は図5に示すような経時変化を示すため、液
晶表示素子全体に一様に紫外線照射を行いあらかじめ保
持率の経時変化を小さくしておけば、色ムラを軽減でき
ることがわかった。
【0056】一般に、STN型の駆動法に使用する液晶
は、末端基にシアノ基を持つ液晶が用いられている。し
かし、この液晶を含む混合液晶は紫外線による保持率の
経時変化が大きいので色ムラは大きい。これに代わっ
て、保持率の経時変化の殆ど見られない末端基にフッ素
基を持つ液晶を上記液晶の代わりに混合すれば保持率の
変化は抑制され色ムラによる不良も軽減できると考えら
れる。
【0057】
【発明の効果】本発明の液晶表示装置は、配向膜を形成
した一対の基板と、一対の基板間に液晶層とを有し、液
晶層が1500nm以上の積dΔn(Δnは屈折率異方
性、dはセルギャップを示す)を有し、配向膜が、非局
在性の長鎖有機基を有するジアミンと長鎖有機基を有し
ないテトラカルボン酸、又は長鎖有機基を有しないジア
ミンと非局在性の長鎖有機基を有するテトラカルボン酸
とを重合して得られ、長鎖有機基が分子短軸方向に存在
するポリイミド系樹脂を必須の成分として含有すること
を特徴とする。
【0058】上記構成により、配向膜中の非局在性の長
鎖有機基が一種の不純物イオンのシールとして働き、不
純物イオンの配向膜中への浸透を食い止めるものと考え
られる。従って、紫外線が照射された部分において、不
純物イオンによる配向膜の電気抵抗率低下に伴うしきい
値電圧の低下を抑制することができると考えられる。よ
って、色ムラを抑えることができる。
【0059】液晶分子のツイスト角が大きいSTN型の
液晶表示装置では、TN型液晶表示装置などツイスト角
が小さい液晶表示装置に比べ、中間調電圧での色変化が
急峻であり、僅かなしきい値電圧の変化でも色ムラが発
生する。そのため、本発明のように、積dΔnを大きく
取り、積dΔnの変化によって多色表示を行う液晶表示
素子に、前記特定の配向膜を採用することにより、色ム
ラを抑えることができる。
【0060】強P型液晶を使用した場合でも、その中に
取り込まれた不純物イオンの配向膜への浸透を抑え、そ
れによる色ムラを抑えることができる。液晶表示装置の
組立後に、更に電圧保持率がほぼ安定するまで紫外線を
液晶表示装置に照射することにより、液晶層に存在する
色ムラの原因となる不純物イオンを配向膜中に一様に浸
透及び安定化させることができる。そのため、色ムラの
原因を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示装置の電圧に対する反射率(発色)変
化を示すグラフである。
【図2】本発明で用いた液晶表示装置の概略断面図であ
る。
【図3】本発明で用いた液晶表示装置の光学システムの
概略平面図である。
【図4】本発明で用いた紫外線照射実験図である。
【図5】本発明の実施例の紫外線照射時の電圧保持率の
経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 液晶セル 2 上偏光板 3 下偏光板(反射板) 4 ねじれ位相差板 5 基準軸 6 基準軸 7 液晶セル1の上基板側の液晶分子配向方向 8 液晶セル1の下基板側の液晶分子配向方向 9 ねじれ位相差板4の上液晶分子の配向方向 10 ねじれ位相差板4の下液晶分子の配向方向 11 上偏光板の遅相軸 12 下偏光板の吸収軸

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向膜を形成した一対の基板と、一対の
    基板間に液晶層とを有し、液晶層が1500nm以上の
    積dΔn(Δnは屈折率異方性、dはセルギャップを示
    す)を有し、配向膜が、非局在性の長鎖有機基を有する
    ジアミンと長鎖有機基を有しないテトラカルボン酸、又
    は長鎖有機基を有しないジアミンと非局在性の長鎖有機
    基を有するテトラカルボン酸とを重合して得られ、長鎖
    有機基が分子短軸方向に存在するポリイミド系樹脂を必
    須の成分として含有することを特徴とする液晶表示装
    置。
  2. 【請求項2】 非局在性の長鎖有機基が、アルキル基又
    はアルコキシ基であることを特徴とする請求項1記載の
    液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 非局在性の長鎖有機基を有するジアミン
    が、一般式(I) 【化1】 (式中nは、5〜21の整数である。) から選択され、長鎖有機基を有しないテトラカルボン酸
    が、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリ
    ット酸二無水物から選択される請求項1又は2記載の液
    晶表示装置。
  4. 【請求項4】 液晶層が、旋光性物質が添加されたスー
    パーツイスト構造を有するネマチック液晶を含有する請
    求項1〜3いずれか1つに記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 液晶層が、強P型液晶を含む請求項1〜
    4いずれか1つに記載の液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 液晶表示装置が、駆動周波数において1
    /100V以下のしきい値電圧の低下を生じる請求項1
    〜5いずれか1つに記載の液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1つに記載の液晶
    表示装置の製造方法であって、液晶表示装置の組立後
    に、更に電圧保持率がほぼ安定するまで紫外線を液晶表
    示装置に照射することを特徴とする液晶表示装置の製造
    方法。
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