JPH10204621A - 電磁防止成形体 - Google Patents

電磁防止成形体

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JPH10204621A
JPH10204621A JP890697A JP890697A JPH10204621A JP H10204621 A JPH10204621 A JP H10204621A JP 890697 A JP890697 A JP 890697A JP 890697 A JP890697 A JP 890697A JP H10204621 A JPH10204621 A JP H10204621A
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JP
Japan
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film
ionized
layer
thickness
deposited
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Application number
JP890697A
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English (en)
Inventor
Shinichi Okabe
信一 岡部
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性に優れたCuの被膜の上に、耐食性の
高い金属被膜あるいは合金被膜で被覆し、電磁波シール
ド性が高く、耐久性および耐食性に優れた電磁防止成形
体を提供する。 【解決手段】 プラスチック成形体と、該プラスチック
成形体の表面に成膜したCuの第1層被膜すなわち内側
被膜と、前記第1層被膜の上に、Ni、Cr、Ti、T
aまたはNbの群のうちから選ばれる1種の金属の第2
層被膜すなわち外側被膜か、あるいは、前記群のうちか
ら選ばれる2種以上の金属の合金の第2層被膜とを有
し、該第2層被膜が、イオン化して成膜したイオン化膜
と、イオン化せずに蒸着した蒸着膜とを積層した多層構
造からなり、前記第1層被膜の膜厚が1〜5μmであ
り、前記第2層被膜の膜厚が0.5〜3μmであり、第
2層被膜の最上層はイオン化膜として、前記第2層被膜
の膜厚に占める該イオン化膜の膜厚の比率が10〜50
%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック成形
体に金属被膜または合金被膜を成膜した電磁防止成形体
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコン、携帯電話、PHSなど
の機器が広く使用されているが、放射された電磁波が、
他の電子機器に誤動作を与えることや、人体に影響を与
えることが考えられる。そのため、それらの機器に電磁
防止(電磁波シールド)の処理が必要になる。電磁波シ
ールドの効果に優れ、低コストで、量産性に優れて、な
おかつ耐久性、耐食性が良好な電磁防止成形体が望まれ
ている。
【0003】従来より、電気、電子機器には種々の電磁
波シールドが施されてきた。プラスチック成形体の中に
導電性金属を混入したり、導電性塗料を塗布したり、湿
式メッキ被膜や金属被膜をプラスチック成形体の表面に
成膜する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属をプラスチック成
形体の表面に成膜する方法として、無電解メッキ法が従
来用いられていた。無電解メッキ法では、エッチング処
理や、触媒付加等の処理が行われ、プラスチック成形体
と金属との密着力は強固である。しかし、無電解メッキ
の廃液処理の問題と、メッキ時間が長く量産性に問題が
ある。さらに、プラスチック成形体の両面に金属が付着
してしまうので、該プラスチック成形体を商品にする場
合は、片面に塗装等を施す必要があり、コスト上昇の原
因となる問題もある。
【0005】また、真空工法を利用し、金属をプラスチ
ック成形体の表面に成膜する方法では、Alを膜厚が厚
く成膜する方法や、導電性の高いCuと、耐食性の高い
Niとを積層する方法が一般的である。
【0006】しかし、Alは抵抗値が高く、電磁波シー
ルドの特性が不十分な場合もあるという問題がある。
【0007】CuとNiとの積層構造では耐食性に問題
がある。真空蒸着でNiを成膜した被膜は、柱状晶に成
長するため、粒界を通って腐食物質が侵入し、耐食性が
低下する。例えば、前記処理をしたプラスチック成形体
に耐塩水噴霧試験(JISZ2371に準拠)を16時
間行うと、被膜の粒界や欠陥から塩水が侵入し、下地の
Cuを腐食したり、被膜が剥離する。耐食性を向上させ
るために、Niの膜厚を厚くする方法や、Niをイオン
化し成膜する方法があるが、いずれの場合も被膜の内部
応力が増大するため、被膜にクラックが発生したり、密
着力の低い被膜が自己剥離する。
【0008】したがって、本発明の目的は、導電性に優
れたCuの被膜の上に、耐食性の高い金属被膜あるいは
合金被膜で被覆し、電磁波シールド性が高く、耐久性お
よび耐食性に優れた電磁防止成形体を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の電磁防止成形体は、プラスチック成形体と、
該プラスチック成形体の表面に成膜したCuの第1層被
膜すなわち内側被膜と、前記第1層被膜の上に、Ni、
Cr、Ti、TaまたはNbの群のうちから選ばれる1
種の金属の第2層被膜すなわち外側被膜か、あるいは前
記群のうちから選ばれる2種以上の金属の合金の第2層
被膜とを有し、該第2層被膜がイオン化して成膜したイ
オン化膜と、イオン化せずに蒸着した蒸着膜とを積層し
た多層構造であることを特徴とする。
【0010】また、好ましくは、前記第1層被膜すなわ
ち内側被膜の膜厚が1〜5μmであり、前記第2層被膜
すなわち外側被膜の膜厚が0.5〜3μmであり、第2
層被膜の最上層はイオン化膜として、前記第2層被膜の
膜厚に占める該イオン化膜の膜厚の比率が10〜50%
である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるプラスチック
成形体には、ABS、ABSとポリカーボネイトの混合
物、ポリカーボネイト等で、パソコンや携帯電話などに
多く使用されている樹脂が好ましい。
【0012】電磁防止成形体の第1層被膜すなわち内側
被膜のCuの膜厚は1〜5μmであれば、イオン化して
成膜したイオン化膜でも、イオン化せずに蒸着した蒸着
膜でもよい。また、イオン化して成膜したイオン化膜
と、イオン化せずに蒸着した蒸着膜とを積層し、あるい
はさらにこの積層を繰り返した多層構造であってもよ
い。ただし、蒸着膜がプラスチック成形体に蒸発粒子を
蒸着して形成するのに比べ、イオン化膜が高エネルギー
のイオンをプラスチック成形体に衝突させるため、密着
力が向上するので、プラスチック成形対と接する層には
イオン化膜が好ましい。
【0013】第1層被膜すなわち内側被膜のCuの膜厚
が1μm未満では、十分な電磁波シールドの特性が得ら
れず、また、第2層被膜すなわち外側被膜とプラスチッ
ク成形体との応力緩和の緩衝層としても不十分である。
逆に5μm以上では、生産性が劣り、経済的にも不利で
ある。
【0014】第2層被膜すなわち外側被膜には、Ni、
Cr、Ti、TaまたはNbの群のうちから選ばれる1
種の金属で膜厚が0.5〜3μmが好ましい。または、
Ni、Cr、Ti、TaまたはNbの群のうちから選ば
れる2種以上の金属の合金で、膜厚が0.5〜3μmが
好ましい。この膜厚の範囲内で、イオン化して成膜した
イオン化膜と、イオン化せずに蒸着した蒸着膜とを積層
し、あるいはさらにこの積層を繰り返して、第2層被膜
を積層する。ただし、第2層被膜の最上層がイオン化膜
であり、第2層被膜の膜厚に対する、最上層の膜厚の占
める比率が10〜50%であることが好ましい。
【0015】Cr、Ti、TaまたはNbは、耐食性、
耐薬品性に優れ、イオン化して成膜すると膜質が緻密に
なり、内部応力が高くなる。そのため、第2層被膜すな
わち外側被膜が単一の金属による被膜でも、イオン化し
て成膜するイオン化膜を最上層とすることにより耐食性
が向上するので、膜厚が0.5μmでも十分である。し
かし、内部応力も増加するので全膜厚は3μm以下が好
ましく、イオン化膜の占める比率も50%以下に抑える
方が望ましい。これを超えた膜厚の被膜とすると、クラ
ックや剥離が生じ、逆に耐食性が低下する。
【0016】Niは、単独で蒸着すると、柱状晶に膜が
成長して、粒界などを通して腐食物質が侵入し、腐食が
進行するおそれがある。しかし、イオン化膜にすれば、
この傾向は弱められる。さらに、NiとCr、NiとT
i、NiとTaまたはNiとNbのいづれかの合金によ
る合金膜を形成すれば、耐食性が向上する。この場合
も、最上層をイオン化して成膜したイオン化膜とする
と、膜厚が0.5μmでも十分な耐食性が得られる。
【0017】第2層被膜すなわち外側被膜を形成する場
合、蒸発源は金属でも合金でも良い。
【0018】蒸発金属のイオン化の方法は、公知のいづ
れの方法でもよく、たとえば、アーク放電、高周波放
電、グロー放電、ホロカソード放電などである。
【0019】
【実施例】
(実施例1)本発明の実施例を図面に基づいて説明する
と以下の通りである。
【0020】外形が、70mm×50mm×3mmのA
BSテストピースからなるプラスチック成形体を、エタ
ノールで超音波洗浄し、電子ビーム方式のイオンプレー
ティング装置に該プラスチック成形体を設置し、真空度
2×10-5torrまで排気した。その後、Arガスを
0.03torrまで導入し、対向電極に−800Vを
印加し、グロー放電中にプラスチック成形体の表面を1
0分間曝した。
【0021】引き続き、ペレット状のCuを電子ビーム
で溶解し、蒸発しつつ、イオン化電極に60Vの電圧を
印加し、イオン化電流は10A流し、1分間蒸発粒子を
イオン化して成膜した。その後、イオン化電極の電源を
切った。
【0022】引き続き、Cuを溶解し、蒸発しつつ、2
分間蒸着して成膜した。
【0023】次に、Crを溶解し、蒸発しつつ、1分間
蒸着した。その後、Crを溶解し、蒸発させたまま、イ
オン化電極に40V印加し、イオン化電流を20A流し
つつ、1分間成膜した。
【0024】得られた被膜の膜厚は、表2に示すよう
に、プラスチック成形体の表面から順に、Cuのイオン
化膜が0.5μm、Cuの蒸着膜が1.2μm、Crの
蒸着膜が0.6μm、Crのイオン化膜が0.4μmで
あった。
【0025】上記の方法で得られた電磁防止成形体の特
性に関し、密着性試験、耐湿度性試験、耐塩水噴霧試
験、およびサーマルサイクル試験を行った結果を表1に
示す。
【0026】
【表1】
【0027】(実施例2)成膜前のプラスチック成形体
は実施例1と同様に得た。
【0028】引き続き、Cuを溶解し、蒸発しつつ、8
分間蒸着して成膜した。次に、Crの蒸着膜と、イオン
化膜を成膜した。
【0029】得られた被膜の膜厚は、表2に示すよう
に、プラスチック成形体の表面から順に、Cuの蒸着膜
が4.6μm、Crの蒸着膜が0.5μm、Crのイオ
ン化膜が0.2μmであった。
【0030】表1に示した試験をした結果、得られた特
性は、実施例1と同じであった。また、耐湿度性試験、
耐塩水噴霧試験、サーマルサイクル試験は表1に示した
2倍の時間を実施しても、結果に変化はなかった。
【0031】(実施例3)成膜前のプラスチック成形体
は実施例1と同様に得た。
【0032】引き続き、Cuを溶解し、蒸発しつつ、4
分間蒸着して成膜した。つぎに、NiとCrを同時に蒸
発させ、蒸着膜を成膜し、次いで、イオン化膜を成膜し
た。
【0033】得られた被膜の膜厚は、表2に示すよう
に、プラスチック成形体の表面から順に、Cuの蒸着膜
が2.5μm、NiとCrの混合の蒸着膜が0.8μ
m、NiとCrの混合のイオン化膜が0.2μmであっ
た。
【0034】第2層被膜すなわち外側被膜の組成をEP
MAにより定量したところ、Ni:Cr=3.5:6.
5であった。
【0035】表1に示した試験をした結果、得られた特
性は、実施例1と同じであった。また、耐湿度性試験、
耐塩水噴霧試験、サーマルサイクル試験は、表1に示し
た1.5倍の時間を実施しても、結果に変化はなかっ
た。
【0036】
【表2】
【0037】(実施例4)Crの代わりに、Ti、T
a、NiまたはNbを用いた以外は実施例2と同様に処
理した場合も結果は本質的に変わらなかった。ただし、
Niの蒸着膜に柱状晶がみられた。
【0038】(比較例1)成膜前のプラスチック成形体
は実施例1と同様に得た。
【0039】引き続き、Cuの蒸着膜を成膜した。次
に、Crの蒸着膜と、イオン化膜を成膜した。
【0040】得られた被膜の膜厚は、表3に示すよう
に、プラスチック成形体の表面から順に、Cuの蒸着膜
が10μm、Crの蒸着膜が0.6μm、Crのイオン
化膜が0.4μmであった。
【0041】表1に示した試験をした結果、密着性試験
で全面剥離が生じた。
【0042】(比較例2)成膜前のプラスチック成形体
は実施例1と同様に得た。
【0043】引き続き、Cuの蒸着膜を成膜した。次
に、Tiのイオン化膜を成膜した。
【0044】表3に示すように、Cuの蒸着膜が3μ
m、Tiのイオン化膜が5μm成膜したが、真空槽から
取り出した時点で、すでに全面剥離していた。
【0045】(比較例3)成膜前のプラスチック成形体
は実施例1と同様に得た。
【0046】引き続き、Cuのイオン化膜とCuの蒸着
膜を成膜した。次に、Niの蒸着膜を成膜した。
【0047】得られた被膜の膜厚は、表3に示すよう
に、プラスチック成形体の表面から順に、Cuのイオン
化膜が0.5μm、Cuの蒸着膜が1.2μm、Niの
蒸着膜が2μmであった。
【0048】表1に示した試験をした結果、耐塩水噴霧
試験で変色および剥離が見られた。
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】本発明の電磁防止成形体は、第2層被膜
すなわち外側被膜に、耐食性の優れた金属膜あるいは合
金膜を形成し、第2層被膜の10%〜50%をイオン化
して成膜したイオン化膜で構成することによりさらに耐
食性が向上し、同時に第1層被膜すなわち内側被膜のC
u金属膜が健全なまま保護されるために、優れた電磁波
シールド特性を長期間にわたって維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の電磁防止成形体の断面図で
ある。
【図2】本発明の実施例2の電磁防止成形体の断面図で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック成形体と、該プラスチック
    成形体の表面に成膜したCuの第1層被膜と、該第1層
    被膜の上の第2層被膜とを有し、該第2層被膜が、N
    i、Cr、Ti、TaまたはNbの群のうちから選ばれ
    る1種の金属、あるいは、前記群のうちから選ばれる2
    種以上の金属の合金からなり、該第2層被膜が、イオン
    化して成膜したイオン化膜と、イオン化せずに蒸着した
    蒸着膜とを積層した多層構造であることを特徴とする電
    磁防止成形体。
  2. 【請求項2】 前記第1層被膜の膜厚が1〜5μmであ
    る請求項1に記載の電磁防止成形体。
  3. 【請求項3】 前記第2層被膜の膜厚が0.5〜3μm
    である請求項1または請求項2に記載の電磁防止成形
    体。
  4. 【請求項4】 前記第2層被膜の最上層の被膜がイオン
    化膜であり、第2層被膜の膜厚に対して、該イオン化膜
    の膜厚が10〜50%である請求項1から請求項3に記
    載の電磁防止成形体。
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