JPH10204604A - 薄膜形成装置用部材およびその製造方法 - Google Patents

薄膜形成装置用部材およびその製造方法

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JPH10204604A
JPH10204604A JP9006759A JP675997A JPH10204604A JP H10204604 A JPH10204604 A JP H10204604A JP 9006759 A JP9006759 A JP 9006759A JP 675997 A JP675997 A JP 675997A JP H10204604 A JPH10204604 A JP H10204604A
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良夫 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部材表面に付着堆積する薄膜の剥離、飛散の
軽減に有効な薄膜形成装置用部材を提案すること。 【手段】 金属製基材を覆う溶射被覆表面が、格子状の
凹凸によって形造られていることが特徴である。このよ
うな溶射被覆表面の格子状凹凸形状は、凹部の最大幅
(D)が1〜5mm、凸部の幅(W)が5〜100m
m、および凹部の深さ(T)が1〜5mmの範囲内にあ
り、そして凸部表面の粗さは5〜60μmの範囲内にあ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜形成装置用部
材とその製造方法に関し、特に真空蒸着、イオンプレー
ティング、スパッタリング、化学蒸着、レーザ精密加工
などに使用される真空容器用部材、とくに表面に溶射被
覆を有する部材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体の製造においては、金属、金属酸
化物、窒化物、炭化物などの薄膜を形成する工程があ
り、この工程では真空蒸着法、イオンプレーティング、
スパッタリング、プラズマCVD法などの薄膜形成装置
が使われる(例えば、特開昭50−75370号公
報)。
【0003】この薄膜形成装置は、一般に真空容器を具
えており、その真空容器内には、薄膜の形成速度を調整
するためのシールド板や、これを固定、開閉するための
冶具や部材、さらには、半導体ウェーハの固定冶具な
ど、さまざまな金属製部材が用いられている。
【0004】ところで、これらの装置によって薄膜を形
成する場合、上記の冶具や各種部材の表面にも薄膜材料
が付着するのが普通である。冶具や部材表面への薄膜材
料の付着量は、その量が少ない場合には問題となること
は少ない。薄膜形成処理時間が長くなるにしたがって、
冶具や部材表面への薄膜の付着量は当然増加してくる。
その結果、薄膜形成処理中に冶具や部材表面に付着して
いた薄膜の一部が剥離、飛散し、半導体ウェーハに付着
して製品品質を甚だしく劣化させるという問題があっ
た。
【0005】図1は、薄膜形成用の反応性蒸着装置の概
要を示したものである。この装置は、真空容器1の中に
容器保護用の内枠2が設けられ、また内部の圧力を調整
するための真空ポンプ3、薄膜材料4を蒸発させる電子
銃5を具えている。その真空容器1には反応性ガスを供
給する配管6と反応後のガス排出管7が配設してあると
共に、これらの配管にはそれぞれバルブ8、9が取り付
けられている。また、この真空容器1内には仕切板10
が設けられている。そして、被処理対象の試料(ウェー
ハ)11は、試料保持具12によって固定され、薄膜の
蒸発材料源の対向部(上部)に位置しており、蒸発物が
効率的に衝突付着するように構成されている。そして、
試料(ウェーハ)と蒸発材料源との中間部には、シャッ
ター13が設けられ、必要に応じてこれを開閉すること
によって試料(ウェーハ)に対する薄膜形成量が調節で
きるようになっている。
【0006】上記の装置において、試料(ウェーハ)保
持具12、内枠2、シャッター13あるいは仕切板10
などは、装置を長時間にわたって継続使用すると、蒸発
した薄膜材料が多量に付着する。その結果、その一部が
剥離、飛散して製品の薄膜面を汚染することがある。
【0007】上記剥離の原因としては、金属で製作され
ているこれらの部材の表面があまりにも平滑であること
があげられる。
【0008】従来、上述した各種部材表面に付着した粒
子の剥離を防止する技術として、以下に述べるような方
法があった。 (1) 特開昭58−202535号公報、特公平7−35
568号公報では、冶具や部材の表面をサンドブラスト
処理、ホーニング、ニッティングなどを行って表面を粗
面化することによって、有効面積を増加させ、付着した
薄膜が剥離しないようにした技術を提案している。 (2) 特開平3−247769号公報では、冶具や部材の
表面に5mm以下の間隔で周期的にU溝やV溝を設けて、
薄膜の剥離を抑制した技術を提案している。 (3) 特開平4−202660号公報、特開平7−102
366号公報では、部材の表面にTiN 皮膜を形成させる
か、さらにAlまたはAl合金の溶融めっき被覆を形成 さ
せる技術を提案している。 (4) 特開平6−220618号公報では、TiとCuの混合
材料を用いて溶射被膜を形成した後、そのうちHNO3によ
ってCuのみを溶解除去することによって、多孔質の粗化
面を得て、付着した薄膜の剥離を抑制する技術を提案し
ている。
【0009】しかしながら、上記各提案技術は、それぞ
れ次に示すような問題があり、さらなる改善が望まれて
いる。すなわち、上記(1)または(2)の技術は、表
面積の増加および薄膜の付着力は向上するが、部材が限
定されるほか、長時間の使用には耐えられない。しか
も、薄膜の除去に当たってアルカリや酸などによる化学
洗滌に頼っているため、除去処理時に部材の母材まで腐
食されることが多く、精密部材では、その寸法精度の維
持が困難となる。上掲(3)の技術は、付着薄膜の剥離
抑制力に乏しく、またAl、Al合金の溶融めっきの施工は
めっき時に部材が高温状態(500〜700℃)に曝さ
れるため、熱歪を発生しやすく、その矯正にも時間を要
することから精密部材への適用には困難がある。上掲
(4)の技術は、工程の増加によるコストアップもさる
ことながら、溶射皮膜の密着性が低下するとともに、気
孔の内部に付着した水分除去に長時間を要するという問
題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、プラ
ズマCVD、スパッタリング、イオンプレーティングな
どの処理に用いられる薄膜形成装置は、この装置の真空
容器内に配設されているシャッター、試料保持具をはじ
めウェーハ運搬のための搬送部材などにもウェーハと同
様に薄膜が付着する。そのため、たとえば真空容器内に
温度変化があると、薄膜と部材との熱膨張係数の差によ
って両者間に剪断応力が発生し、薄膜の一部が不可避に
剥離飛散し、これが製品のウェーハに付着するという問
題が起る。これが半導体の不良品を発生させる原因とな
っている。
【0011】しかも、プラズマCVDやスパッタリング
では、厚く堆積した冶具や部材上の薄膜が恰も薄膜材料
の供給源として作用し、とりわけスパッタリングではタ
ーゲットとなる現象が発生することがあるが、堆積した
薄膜の付着力が低い場合には容易に飛散して、ウェーハ
用薄膜の品質低下の原因となっている。
【0012】本発明の目的は、従来の技術が抱えている
上述した問題を克服すること、すなわち、部材表面に付
着堆積する薄膜の剥離、飛散の軽減に有効な薄膜形成装
置用部材を提案することにある。本発明の他の目的は、
薄膜製品の不良率の低減と装置のメインテナンスの軽減
に有効な上記装置用部材の提案にある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、上記部材の製
造技術を確立し、提案するところにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を実現するた
めに鋭意研究した結果、発明者らは、真空容器内に配設
する冶具や部材の表面に施工する溶射被覆の表面形状に
着目し、その形状の工夫、即ち、金網を使って格子状の
凹凸形状にすることにより、薄膜の剥離、飛散を軽減で
きることを知見した。また、このような凹凸形状は金網
を使えば簡単かつ低コストで形成することができること
がわかった。
【0015】上記知見に基づいて開発した本発明にかか
る薄膜形成装置用部材は、金属製基材を覆う溶射被覆表
面が、格子状の凹凸によって形造られていることが特徴
である。そして、このような溶射被覆表面の格子状凹凸
形状は、凹部の最大幅(D)が 0.5〜5mm、凸部の幅
(W)が2〜100 mm、および凹部の深さ(T)が 0.1〜
5mmの範囲内にあり、そして凸部表面の粗さは5〜60μ
mの範囲内にあることが好ましい。また、上記溶射被覆
は、1層または2層からなる金属アンダーコート溶射層
または酸化物系セラミックスもしくはそのサーメットか
らなるオーバーコート溶射層のいずれかの単層、あるい
はこれらの複数層からなるものであることが好ましい。
さらに、上記溶射被覆は、Al、Ti、Cu、Mo、Wから選ば
れるいずれか 1種または2種以上の金属・合金および/
またはAl2O3 、TiO2、MgO 、ZrO2、SiO2から選ばれるい
ずれか1種または2種以上の酸化物系セラミックスから
なる金属・合金、酸化物系セラミックス、酸化物系サー
メットによって構成されていることが好ましい。
【0016】次に、上記部材は以下のような方法によっ
て製造することができる。第1の方法は、金属製部材の
表面を脱脂し、粗面化処理し、次いでその表面に金網を
密着させた状態で金属を溶射するか、または、まず金属
を溶射した後その上に金網を密着させて再び金属を溶射
し、その後金網を引き剥すことにより溶射被覆表面に格
子状凹凸を形成する方法である。第2の方法は、金属製
部材の表面を脱脂し、粗面化処理し、次いでその表面に
金網を密着させた状態で金属を溶射するか、または、ま
ず金属を溶射した後その上に金網を密着させて再び金属
を溶射し、さらにその上に酸化物系セラミックスもしく
はそのサーメットを溶射し、その後金網を引き剥すこと
により溶射被覆表面に格子状凹凸を形成する方法であ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、薄膜形成装置用部材製造の
ために、金属製基材表面に、大きな表面積をもち薄膜保
持機能に優れる表面形状にした溶射被覆の形成方法につ
いて説明する。溶射被覆は、図2に模式的に示すよう
に、粒径5〜60μm程度の溶融もしくは軟化した溶射
粒子が積層されて形成されているため、溶射後の表面状
態は磨き鋼板などに比較すると著しい粗面状態にあるの
が普通である。
【0018】このとき、溶射粒子が完全に溶融状態にな
れば、粒子の衝突エネルギーによって扁平化するため、
その被覆層の表面粗さは、通常10〜20μm程度にな
る。しかし、この程度の表面粗さは、本発明が求めてい
る薄膜の剥離防止効果としては十分なものではない。本
発明で必要とする溶射被覆表面形状はもっと大きな粗面
で、鋭敏な凹凸形状である。
【0019】一般に、溶射被覆層の表面粗さを大きくす
るには、溶射粒子を大きくしたり、溶射熱源温度を低く
して、粒子を軟化の状態に維持して溶射した方が効果的
である。しかし、このようにして形成した被覆層は、粒
子の相互結合力が弱く母材との密着性に乏しいうえ、と
きには被覆層が層間剥離することがある。
【0020】本発明では、このような溶射被覆の表面特
性を考慮し、被溶射体となる冶具や部材の表面を機械加
工によって大きな凹凸とするのではなく、溶射被覆の方
法を工夫することによって、該溶射被覆の表面積を大き
くする方法を提案するものである。
【0021】以下に、本発明について、溶射被覆の工程
順にその詳細を説明する。 (1) 溶射被覆を施す冶具、部材などの金属基材表面を脱
脂し、必要に応じて、ブラスト処理することによって、
これらの母材表面を粗面化する。 (2) 粗面化した金属基材の表面に対し、まず金属溶射材
料を10〜50μm程度の厚さに溶射してアンダーコー
ト溶射層を形成する。 (3) 上記(2)の金属材料のアンダーコート溶射層の上
に金網を密着させ、その金網の上からさらに金属材料も
しくは酸化物系セラミックスもしくはそのサーメットの
溶射を行う。 (4) そして、上記(3)の溶射処理が終了した後、前記
金網を金属溶射層から引き剥す。その結果、溶射被覆の
表面は網目状、すなわち格子状の凹凸形状を有する表面
積の大きい溶射被覆が生成する。
【0022】本発明にかかる上記方法の特徴は、金属ア
ンダーコート溶射被覆の上に金網を密着させ、その上か
らさらに金属溶射材料や酸化物セラミックスを溶射する
ところにある。本発明において使用する金網は、金属線
を網目状にしたものであり、非リブ部の開口には溶射材
料を堆積させることができる。一方、金属線上は溶射材
料の堆積はない。とくに、溶射粒子がリブに衝突する場
合にその角度が90度より大きいか、小さいため、堆積
しないだけでなく堆積しても粒子の付着強度はきわめて
弱く、金網を引き剥すときに、簡単に脱落する。従っ
て、金網の除去も容易である。
【0023】図2は、従来の方法に従う溶射被覆のもよ
うを示す断面図、図3は本発明方法に従って形成した部
材の断面図であって、金網を用いて形成した溶射被覆の
断面形状を示したものである。図中の符号21、31は
被処理体、22、32は金属溶射被覆、33は金網のリ
ブ(金属線)の断面、34は金網をセットした後に溶射
して形成した溶射被覆層を示す。
【0024】本発明の他の実施形態としては、 (5) 被処理体の表面を粗面化した後、直ちに金網43を
密着させて金属材料を溶射して金属溶射被覆42を形成
する例(図4A)、 (6) 金属溶射被覆42上に金網43をセットしたのち、
さらに溶射して酸化物系セラミックスを溶射して複合溶
射被覆を形成する例(図4B)、 (7) (5)の工程を終えて金網を取り除いた後、その表
面に酸化物系セラミックスを溶射して複合溶射被覆を形
成する(図4C)、などの方法がある。
【0025】このようにして形成した溶射被覆は、金網
の金属線43によって妨げられた溶射されない部分、す
なわち凹部が生ずることによって全体として格子状の大
きな凹凸模様が発生し、その分だけ表面積が増加する。
ここで図示の45は最外層となる酸化物系セラミックス
のオーバーコートである。
【0026】以上の説明からわかるように、本発明にか
かる溶射被覆の表面積は、形成する格子状凹凸模様、す
なわち使用する金網の目の大きさや使用されている金属
線の大きさに影響される。本発明で使用可能な金網は下
記のものなどが適用可能である。例えば、溶接金網 (JI
S G3551)、ひし形金網 (JIS G3552)、クリンプ金網 (JI
S G3553)、きっ甲金網 (JIS G3554)、織金網 (JIS G355
5)、工業用金網(JISG3556)、製紙用金網 (JIS G610
1)、非鉄金網 (JIS G6102)
【0027】なお、格子状凹凸模様を有する本発明にお
ける溶射被覆層の形成に使用する金網の目の大きさや編
みを構成する金属線の直径は、被処理体(表面)の大き
さに応じて選択すべきであるが、格子状凸部の一辺の大
きさ(W):つまり金網の開口部幅は2〜100 mm、好ま
しくは4〜20mm、一方、凹部の最大幅(D):つまり
金属線の直径は 0.5〜5mm、好ましくは2〜4mm、この
凹部の深さ(T)は0.1 〜5mm、好ましくは2〜3mmと
し、そして前記凸部表面の粗さは5〜60μm、好まし
くは20〜40μmの範囲内にすることが好適である。
【0028】このように、金網を用いて形成した格子状
凹凸模様を有する溶射被覆の表面積は、通常の溶射被覆
の表面積に比較して1.5 〜3倍程度大きくなる。
【0029】本発明において、溶射被覆層の形成手段と
しては、プラズマ溶射法、アーク溶射法、フレーム溶射
法(含高速フレーム溶射法)、爆発溶射法などがあり、
いずれの溶射法を用いても好適な被覆を形成することが
できる。
【0030】また、溶射材料としては、 金属質:AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、CuおよびCu
合金 MoおよびMo合金、WおよびW合金 酸化物系セラミックス:Al2O3 Al2O3-TiO2 Al2O3-MgO
ZrO2 SiO2 酸化物系サーメット:上記酸化物系セラミックスと上記
金属との混合物、 などを必要に応じて選択して使用することができる。と
くに、Al、Al合金は安価であるうえ、溶射被覆表面に付
着した蒸着物を化学薬品によって除去する際、被処理体
(多くは鋼鉄製)に対し、犠牲陽極的に作用して保護す
るので好適である。
【0031】またWおよびW合金、MoおよびMo合金、Co
およびCo合金などは、プラズマCVDなどの処理を行う
に当り、強い腐食作用を有する塩素、弗素、沃素、臭素
とそれらの化合物ガスを使用する場合の防食皮膜として
も好適である。
【0032】なお、酸化物系セラミックス溶射被覆は、
それ自体が微細な割れを保有しているため、微視的な表
面積の増加に寄与するとともに、絶縁性に優れているた
め迷走電流による障害を防ぐのに効果がある。
【0033】本発明において形成する溶射被覆層の全体
の厚さとしては、 金属質:30〜500μm 酸化物系セラミックスおよびそのサーメット質:3
0〜500μm の範囲が特に良好であり、厚さが30μm以下では厚さ
が不均一になり易く、また500μm以上の膜厚を形成
しても、とくに被覆性能に著しい改善が認められないた
め経済的でない。
【0034】
【実施例】
実施例1 本実施例では、図1の装置を用いて、工具鋼 (JIS SKH
3、寸法:幅5mm×長300mm×厚3mm)の表面
に、TiC を5μmの厚さに蒸着処理しているものについ
て、下記の溶射被覆を工具鋼とTi蒸発源の中間の位置に
配設したシャッター(炭素鋼製直径400mm)の表面
に被覆した効果について調査した。
【0035】(1) 本発明の溶射被覆 アーク溶射法によって図4Aに示す方法に従って、
高純度Alを200μm厚さに溶射被覆し、凹部幅
(D):2mm、凸部の一辺の大きさ:10mm、凹部
深さ(T):0.2 mmで凸部表面粗さ46μmの格子状
凹凸模様を得た。 フレーム溶射法によって図4Aの方法によってCuを
200μm厚さに溶射被覆し、凹部幅(D):3mm、
凸部の一辺の大きさ:12mm、凹部深さ(T):0.2
mmで凸部表面粗さ38μmの格子状凹凸模様を得た。 (2) 金網:(JIS G6102)、開口空間:10〜12
×径:2〜3mm (3) 比較例 アーク溶射法によって、高純度Alを200μm厚さ
に溶射被覆して平坦な被覆を得た。 フレーム溶射法によって銅合金を200μm厚さに
溶射被覆して平坦な被覆を得た。 無処理 Al2O3 粒子を吹き付けて粗面化したもの。 (4) 皮膜の剥離試験方法:図1の容器内の温度は、被処
理体の予熱、蒸着源としてのTiの電子ビームによる溶
解などの熱の発生源によって昇温し、被処理体の交換時
には常温となる。本実施例における温度範囲は、常温〜
280℃の間で加熱と冷却が繰り返されたが、供試体表面
に付着した蒸着物の剥離は主として目視観察によって行
った。
【0036】上記試験の結果を表1に示す。この表に示
す結果から明らかなように、比較例の無処理シャッター
(No5)は、製品のTiC処理を28回連続して行った
時点でその表面に付着していたTiCの一部が剥離し、
ブラスト処理品(No6)は使用回数が少し増えて35
回、また通常の溶射被覆(No3、4)では長期40〜4
2回にわたって使用することができた。
【0037】これに対し、本発明の溶射被覆を施したも
の(No1、2)は、さらに長期間の使用に耐え、60回
連続しても剥離は全く認められず良好な耐剥離性を有す
ることがわかった。
【0038】
【表1】
【0039】実施例2 本実施例ではプラズマCVD装置に適用した場合につい
て調べた。 (1) 溶射被覆 下記の溶射被覆を、プラズマCVD装置の試料台の側面
および内枠の表面に設置した後、薄膜原料ガスとしてSi
H4を容器内に導入し、アモルファスSi(以下a−Si)の
薄膜を試料表面に形成させる処理を行った。 金属質被覆としてMoを用いアーク溶射法によって図
4-(A)に示す構造の溶射被覆を200μm厚に施工し
た。 金属質被覆としてWを用い、またその上に形成する
酸化物系セラミックス材料としてAl2O3 を用い、Al2O3
をプラズマ溶射法によって、金属被覆150μm厚、Al
2O3 被覆150μm厚を有する図4-(B)構造の溶射被覆
を施工した。 の要領で図4-(C)の構造を示す溶射被覆を施工し
た。 (2) 格子状凹凸模様 凹部幅(D):2mm、凸部の一辺の大きさ:5mm、
凹部深さ(T):0.3mmで凸部表面粗さ52μmの格
子状凹凸模様を得た。 (3) 金網:(JIS G6102)、開口空間:6×
径:2mm (4) 比較例 比較例として下記のものを用いた。 アーク溶射法によってAlを200μm厚に溶射被覆 のAl被覆上にAl2O3 を150μm厚に溶射被覆 無処理 Al2O3 粒子を吹き付けて粗面化処理したもの
【0040】(5) 皮膜の剥離試験方法 実施例1と同じ方法で実施した。但し、本実施例におけ
る温度変化は常温〜最高480℃であった。試験結果は
表2に示す通りである。比較例のなかでは、通常の溶射
被覆(No4、5)が薄膜のa−Siを最も多く付着する
ことができたが、この被覆でも連続5日間の使用で一部
が剥離、脱落する傾向が認められ、特に試料台の側面に
取付けた供試被覆ではグロー放電の影響をうけ、剥離現
象が多く見られた。無処理(No6)および粗面化試料
(No7)ではa−Siの剥離が早く前者では2日間の処理
で、後者は3日後にa−Siの剥離が観察された。
【0041】
【表2】
【0042】これに対し本発明の溶射被覆(No1、2、
3)は何れも8日間の連続使用に耐え、付着したa−S
iを長期間にわたって保持することが確認された。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
真空容器を用いた薄膜形成装置用冶具や部材の表面に、
本発明にかかる大面積溶射被覆を施すことにより、試料
ウェーハ以外に付着堆積する薄膜の剥離、飛散を軽減す
ることができる。従って、薄膜製品の不良率を低減でき
るとともに、真空容器内のクリーニング周期が延びるの
で、装置の運転経費の軽減に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は電子ビーム熱源を有する反応性蒸着装置
の概要を示した略線図。
【図2】従来の技術で形成された溶射被覆の断面図であ
る。
【図3】本発明の技術で形成さた代表的な溶射被覆の断
面図である。
【図4】(A)(B)(C) は本発明の各種溶射被覆の形態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2 容器保護用の内枠 3 真空ポンプ 4 薄膜材料 5 電子銃 6 反応性ガス供給管 7 反応性ガス排出管 8 ガス供給管用バルブ 9 ガス排出管用バルブ 10 仕切板 11 試料(ウェーハ) 12 試料保持具 13 シャッター 21 被処理体 22 金属溶射被覆 31 被処理体 32 金属溶射被覆 33 金網 34 金網を接触させた後に形成させた追加溶射被覆層 41 被処理体 42 金属溶射被覆 43 金網 44 金属被覆層の上に形成した金属被覆層 45 金属被覆層の上に形成した酸化物系セラミックス
の溶射被覆層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製基材を覆う溶射被覆表面が、格子
    状の凹凸にて形造られていることを特徴とする薄膜形成
    装置用部材。
  2. 【請求項2】 上記溶射被覆表面の格子状凹凸形状は、
    凹部の最大幅(D)が 0.5〜5mm、凸部の幅(W)が2
    〜100 mm、および凹部の深さ(T)が 0.1〜5mmの範囲
    内にあり、そして凸部表面の粗さは5〜60μmの範囲内
    にあることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  3. 【請求項3】 上記溶射被覆は、1層または2層からな
    る金属アンダーコート溶射層または酸化物系セラミック
    スもしくはそのサーメットからなるオーバーコート溶射
    層のいずれかの単層、あるいはこれらの複数層からなる
    ものであることを特徴とする請求項1または2に記載の
    部材。
  4. 【請求項4】 上記溶射被覆が、Al、Ti、Cu、Mo、Wか
    ら選ばれるいずれか1種または2種以上の金属・合金、
    および/またはAl2O3 、TiO2、MgO 、ZrO2、SiO2から選
    ばれるいずれか1種または2種以上の酸化物系セラミッ
    クスからなる金属・合金、酸化物系セラミックス、酸化
    物系サーメットによって、構成されていることを特徴と
    する請求項1、2または3のいずれか1項に記載の部
    材。
  5. 【請求項5】 金属製部材の表面を脱脂し、粗面化処理
    し、次いでその表面に金網を密着させた状態で金属を溶
    射するか、または、まず金属を溶射した後その上に金網
    を密着させて再び金属を溶射し、その後金網を引き剥す
    ことにより溶射被覆表面に格子状凹凸を形成することを
    特徴とする薄膜形成装置用部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属製部材の表面を脱脂し、粗面化処理
    し、次いでその表面に金網を密着させた状態で金属を溶
    射するか、または、まず金属を溶射した後その上に金網
    を密着させて再び金属を溶射し、さらにその上にに酸化
    物系セラミックスもしくはそのサーメットを溶射し、そ
    の後金網を引き剥すことにより溶射被覆表面に格子状凹
    凸を形成することを特徴とする薄膜形成装置用部材の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 金網を引き剥した後の格子状凹凸表面を
    有する上記溶射被覆の表面に、さらに酸化物系セラミッ
    クスもしくはそのサーメットを溶射被覆することを特徴
    とする請求項5または6に記載の製造方法。
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