JPH10202063A - 低分子シロキサンの分解方法とフィルター、繊維、不織布、解繊用フッ素樹脂シート及びそれらの製造方法 - Google Patents

低分子シロキサンの分解方法とフィルター、繊維、不織布、解繊用フッ素樹脂シート及びそれらの製造方法

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JPH10202063A
JPH10202063A JP9013840A JP1384097A JPH10202063A JP H10202063 A JPH10202063 A JP H10202063A JP 9013840 A JP9013840 A JP 9013840A JP 1384097 A JP1384097 A JP 1384097A JP H10202063 A JPH10202063 A JP H10202063A
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fluororesin
fiber
filter
fine powder
sheet
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JP9013840A
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Mitsuo Iimura
満男 飯村
Kenji Sato
憲司 佐藤
Tadanori Domoto
忠憲 道本
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体、薬品製造、食品製造などのクリーン
ルーム用のフィルターに好適な、圧損が低く、ガス分解
機能が十分で、しかもフィルター自体から汚染物質を出
さないフィルターとその製造方法及びこれを用いた低分
子シロキサンの分解方法を提供する。 【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素
樹脂未焼成シートの両面に機能性微粒粉末を含むフッ素
樹脂の分散液を塗布し、担持した後、複数層積層し、一
体的に焼成した後、金属針を有するブラシなどで機械的
に解繊してフッ素樹脂短繊維とし、カード機などでウェ
ブとなし、ウォータージェットを用いて交絡して不織布
シートとし、前記不織布シートをフィルターに形成す
る。繊維の中心層1はPTFE樹脂部分であり、表層に
は光触媒アナターゼ型酸化チタン粉体混合PTFE樹脂
部分2,2´が位置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低分子シロキサン
の分解方法とフィルター、繊維、不織布、解繊用フッ素
樹脂シート及びそれらの製造方法に関するものである。
さらに詳しくは、半導体、薬品製造、食品製造などのク
リーンルームに好適な低分子シロキサンの分解方法とフ
ィルター、繊維、不織布、解繊用フッ素樹脂シート及び
それらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から半導体のクリーンルームなどに
用いられるフィルターはパーティクル汚染の防止を目的
としてHEPA(High Efficiency Particulate Air)フ
ィルターやULPA(Ultra Low Penetration Air)フィ
ルターなどが用いられてきた。
【0003】これらのフィルターは、微細粒子の除去を
目的として、ガラス繊維素材のフィルターやフッ素樹脂
のメンブレンなどが用いられてきた。しかしこれらのフ
ィルターやメンブレンは、粒子を捕捉する性能はある
が、ガス状の気体や低分子量の有機化合物の揮発物質を
捕捉する能力は低いかもしくはない。近年、半導体の集
積度の向上の要求に対して、ガス状の気体や低分子量の
有機化合物の化学物質汚染が問題となって来ている。す
なわち集積度の向上にともない、ウエハー上の汚染物質
として、クリーンルームの構造物から出る低分子量シロ
キサン類の除去が課題となってきている。また使用する
薬液としてのハイドロカーボン類なども汚染源となる。
【0004】これらの汚染物質を除去するためには、従
来からガス吸着性能を持つフィルター類、活性炭、イオ
ン交換材などが提案されている。しかしこれらの材料も
ガス吸着点が飽和して、活性度が低下すると用を足さな
いものとなる。従って本来これらの汚染物質は分解して
汚染源とならないような低分子体まで分解できることが
望ましい。また、ガラス繊維を用いてフィルターも提案
されているが、フィルター基材として圧損が大きく、実
用的には不十分であるうえ、半導体用途のフィルターで
はガラス繊維はボロン汚染の原因となり、それ自体を使
用することが好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した通り、従
来技術においては圧損が高く、ガス分解機能が十分でな
く、しかもフィルター自体から汚染物質を出してしまう
という問題があった。
【0006】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、半導体、薬品製造、食品製造などのクリーンルーム
用のフィルターに好適な、低分子シロキサンの分解方法
とフィルター、繊維、不織布、解繊用フッ素樹脂シート
及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の低分子シロキサンの分解方法は、光分解触
媒を用いて有機物を分解する方法であって、建築構造物
または密閉された構造物の空間内に、光触媒作用を有す
る機能性微粉末または光触媒作用を有する機能性微粉末
を含む物体を配置し、前記微粉末を光励起させて低分子
シロキサンを分解させることを特徴とする。本発明にお
いては、光触媒作用を有する機能性微粉末または光触媒
作用を有する機能性微粉末を含む物体が、低分子シロキ
サンを分解するという特異な現象を見い出したところに
一つの特徴がある。ここで低分子シロキサンとは、ジメ
チル(ポリ)シロキサンの1〜10量体、とくには3量
体(ジメチルトリシロキサン)程度のものである。前記
ジメチル(ポリ)シロキサンは、サイクリックポリシロ
キサンでもよいし、直鎖状ポリシロキサンでもよい。
【0008】前記方法においては、建築構造物または密
閉された構造物が半導体製造、薬品製造もしくは食品製
造におけるクリーンルームであることが好ましい。前記
クリーンルームは、建築構造物または密閉された構造物
の空間を形成するためにシール材料が使用されており、
このシール材料にはポリシロキサン系のシーリング材が
多く、低分子シロキサンが発生しやすいからである。
【0009】また前記方法においては、光触媒作用を有
する機能性微粉末が、アナターゼ型酸化チタンであるこ
とが好ましい。光触媒を起こす粒子としては、Ti
2 ,ZnO,Fe2 3 ,CdS,CdSe,SrT
iO3 などが例示されるが、アナターゼ型酸化チタンが
高活性で実用的に使用しやすいからである。
【0010】また前記方法においては、光触媒作用を有
する機能性微粉末が、フィルター素材に担持されている
ことが好ましい。クリーンルームにはフィルターが使用
されており、フィルター素材に光触媒を担持しておく
と、空気中の汚染物質を集めつつ効率良く分解できる。
【0011】また前記方法においては、フィルター素材
がフッ素樹脂繊維からなることが好ましい。フッ素樹脂
繊維は光触媒に対して耐性を持っており、分解されな
い。またフッ素樹脂繊維はそれ自体汚染物質を発生する
ことがない。
【0012】また前記方法においては、フッ素樹脂繊維
中に光触媒作用を有する機能性微粉末が担持され、繊維
表面に多数の孔が形成されてなることが好ましい。比表
面積が大きくなり、フィルター効率が上がるとともに、
付着した汚染物質の分解効率も向上する。
【0013】また前記方法においては、繊維表面の摩擦
係数が0.10より大きいことが好ましい。摩擦係数が
高いと繊維の交絡性が向上し、不織布を容易に作成でき
る。次に本発明のフィルターは、光触媒を含有するガス
分解性のフィルターであって、低分子シロキサンを分解
する光触媒を担持した不織布を含むという構成を有す
る。前記において、ガス分解性とは、低分子シロキサン
のほか、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジ
ブチルフタレート)類、及びハイドロカーボン類等一般
の汚染物質を含むことができる。不織布は圧損を低くで
きフィルター素材として好都合である。
【0014】前記フィルターにおいては、光触媒を担持
した不織布の構成繊維がフッ素樹脂繊維であり、前記繊
維の摩擦係数が0.10以上であることが好ましい。次
に本発明のフィルターの製造方法は、少なくとも一層に
光触媒作用を有する機能性微粉末を含有するフッ素樹脂
未焼成シートを含むフッ素樹脂未焼成多層シートを延伸
して、機能性微粉末含有層を多孔質化させ、次いで焼成
し、解繊してフッ素樹脂繊維とし、これを用いて不織布
とし、前記不織布をフィルターに形成することを特徴と
する。この方法により、効率良く合理的に本発明のフィ
ルターを製造できる。
【0015】前記フィルターの製造方法においては、フ
ッ素樹脂繊維を交絡させて不織布に形成したことが好ま
しい。交絡により構成繊維を一体化できるとともに、フ
ィルター機能を発揮する繊維集合体にすることができ
る。
【0016】また前記フィルターの製造方法において
は、延伸工程より以前の工程で、フッ素樹脂の粉末と炭
化水素化合物を混合分散し、この混合物を押し出し、そ
の後圧延し、前記炭化水素化合物を蒸発気散し、フッ素
樹脂の未焼成シートとし、この未焼成シートの少なくと
も一方の表面に、酸化チタンを0.1〜60重量%を含
むフッ素樹脂の分散液を塗布することが好ましい。
【0017】次に本発明のフッ素樹脂繊維は、繊維表面
に光触媒作用を有する機能性微粒粉末が担持され、かつ
表面多孔状に形成されているという構成からなる。前記
構成においては、フッ素樹脂繊維が、無孔状部分と、光
触媒作用を有する機能性微粒粉末が担持されかつ表面多
孔状に形成されている部分とを含むことが好ましい。
【0018】また前記構成においては、無孔状部分が繊
維の中心部に存在し、光触媒作用を有する機能性微粒粉
末が担持されかつ表面多孔状に形成されている部分が繊
維の表面部に存在していることが好ましい。繊維の表面
に光触媒が多く存在すると、その作用を有効に活用でき
るからである。
【0019】また前記構成においては、繊維表面の摩擦
係数が0.10より大きいことが好ましい。次に本発明
のフッ素樹脂繊維の製造方法は、光触媒作用を有する機
能性微粒粉末を含有するフッ素樹脂未焼成シートを延伸
してシート表面を多孔状化させ、次いで焼成し、解繊す
るという構成からなる。
【0020】前記方法においては、機能性微粒粉末を含
有するフッ素樹脂未焼成シートが、フッ素樹脂未焼成シ
ートの少なくとも一方の表面に、機能性微粒粉末を含む
フッ素樹脂の分散液を塗布し、担持したことが好まし
い。
【0021】また前記した方法においては、フッ素樹脂
未焼成シートの両面に機能性微粒粉末を含むフッ素樹脂
の分散液を塗布し、担持した後、複数層積層し、一体的
に焼成した後、解繊することが好ましい。
【0022】次に本発明の不織布は、前記本発明のフッ
素樹脂繊維を交絡させてなるという構成からなる。次に
本発明のクリーンルーム用フィルター材は、前記不織布
をフィルター素材としたものである。
【0023】次に本発明の解繊用フッ素樹脂シートは、
光触媒作用を有する機能性微粒粉末を含有し、かつ微粒
粉末含有部分で多孔状表面を形成したフッ素樹脂焼成体
である。
【0024】次に本発明の解繊用フッ素樹脂シートは、
少なくとも一層に光触媒作用を有する機能性微粉末を含
有し、かつ微粒粉末含有層が表面多孔状を形成とされて
いるフッ素樹脂シートの焼成体である。
【0025】前記低分子シロキサンの分解方法とフィル
ター、繊維、不織布、解繊用フッ素樹脂シート及びそれ
らの製造方法においては、フッ素樹脂がポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)であることが好ましい。PT
FEは化学的に安定だからである。
【0026】本発明の好適なフィルターは、フッ素樹脂
の繊維表面にアナターゼ型酸化チタンなどの無機の充填
材を多量に充填することにより、表面の活性度を高める
と同時に、表面の摩擦係数が大きくなり、繊維の絡み付
きが容易となることを見出したことによる。このことに
よる圧力水(ウォータージェット)付与を利用した交絡
法により低坪量の不織布またはフィルターが実現し、圧
損の低いクリーンルームなどに適した材料が提供でき
る。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるフッ素樹脂と
しては、乳化重合で得られるPTFE樹脂が好適であ
る。このPTFE樹脂の粉末と炭化水素化合物を混合分
散し、この混合物を押し出し、その後圧延し、前記炭化
水素化合物を蒸発気散し、フッ素樹脂の未焼成シートと
する。この未焼成シートの少なくとも一方の表面に、光
触媒作用を有する酸化チタンを0.1〜60重量%を含
むフッ素樹脂の分散液を塗布し、乾燥した後、前記シー
トを長さ方向に延伸する。この延伸工程においては、少
なくとも一層に酸化チタン微粉末を含有するフッ素樹脂
未焼成シートを用い、酸化チタン微粉末を含有しないシ
ートとともに積層して延伸しても良い。次に延伸したシ
ートを多数の金属針を備えたブラシ等で機械的に解繊す
る。この繊維は断面が不定形であるが、実質的に方形の
部分を取り出すと、断面から見て例えば縦,横各々10
〜20μmの断面形状、平均繊維長は例えば10〜10
0mmである。この繊維をカードにかけてウェブとし、
圧力流体を付与して繊維相互を交絡させて不織布に形成
する。ウェブに圧力流体を付与して繊維相互を交絡させ
るには、金網状の支持体の上にウェブを乗せて上から水
の噴流(ウォータージェット)をあてるのが、不織布の
伸度を小さくする上で好ましい。このとき支持体がない
と、不織布の構成繊維の交絡があまくなり、伸びの大き
い不織布になる。支持体がある場合は、例えばフッ素樹
脂として、PFA繊維の織布またはネット上に先のウエ
ブを載せて、その上から水の噴流を当てれば、支持体と
ウエブが強固に絡み付いた不織布が得られる。ウォータ
ージェットの水圧は15〜20kg/cm2程度が好ましい。
【0028】不織布の坪量(目付)は、20〜600g
/m2 、さらに好ましくは70〜200g/m2 の範囲
が好ましい。クリーンルームなどのフィルターとして用
いる場合は、低坪量の不織布が好適である。このフィル
ターはクリーンルームなどの気体の流入側に取り付ける
のが好ましい。
【0029】光触媒を起こす粒子はTiO2 ,ZnO,
Fe2 3 ,CdS,CdSe,SrTiO3 などが例
示される。ここで酸化チタンを例にとると、アナターゼ
型の粉末であり、粒径としては0.001〜50μm、
好ましくは0.001〜10μmである。
【0030】次にPTFE繊維の製法について述べる。
フッ素樹脂繊維の製造法として、始めにPTFE樹脂の
粉末(乳化重合で得られたPTFE樹脂)と炭化水素を
混合分散し、この混合物を押し出し、その後圧延し、先
の炭化水素を蒸発気散し、PTFEの未焼成シートとす
る。
【0031】別に酸化チタン入りのPTFE樹脂分散体
を調整する。すなわちPTFEディスパージョン(例え
ばPTFE樹脂固形分:60重量%含有)と酸化チタン
粉体を、PTFE樹脂100重量部に対して、1〜15
0重量部の範囲で添加し混合する。
【0032】このPTFE樹脂分散体を先のPTFEの
未焼成シートの片面または両面に塗布して、PTFE樹
脂分散体の水分を蒸発気散して乾燥して、未焼成シート
の上にPTFE樹脂分散体の層を設ける。
【0033】これ以降の製法で繊維の比重が変化する。
即ち、PTFEの未焼成シートと酸化チタン入りのPT
FE樹脂分散体の積層体をPTFE樹脂の融点以上に加
熱焼成してから延伸すれば、積層シートの比重は2.0
以上となる。
【0034】一方PTFEの未焼成シートと酸化チタン
入りのPTFE樹脂分散体の積層体のPTFE樹脂の融
点以下で延伸した後、PTFE樹脂の融点以上に加熱焼
成すれば、比重が2.0以下、好ましくは1.5以下の
積層シートとなり、多孔質シートとなる。
【0035】ここで上記いずれのシートにおいても、酸
化チタン入りのPTFE樹脂分散層が、多数の孔を持つ
多孔質層となっている。この理由は明らかでないが、P
TFE樹脂と酸化チタン粒子の界面が、延伸することに
より剥離し、クレージング現象を起こし、この部分が孔
となっていると推定される。このことにより、目的とす
る分解ガスと酸化チタン粒子の接触する機会が増大して
効率が増大することが期待できる。この表面多孔質の摩
擦係数を測定した結果、0.4であり、フッ素樹脂単体
の摩擦係数0.10と比較すると大きなものであった。
【0036】次にこの延伸フィルムから繊維は、針状の
装置で引っ掻いて繊維とする。この針状物は、例えば金
属の針を多数備えたブラシの如くのものである。この時
の針は特別な物は必要で無く、針径の細いものなら良
い。繊維径は延伸フィルムの分子配向度に依存する。こ
の時の繊維径は平均30μm以下であり、幹となる繊維
から枝状の側繊維が多数出た捲縮性に富んだ繊維であ
る。この繊維をカード機により調整してウエブを形成す
る。このウエブから不織布を製造する方法は、支持体が
なくてもあっても構わない。また不織布からフィルター
を形成するのは公知の方法で行うことができる。
【0037】本発明においては、前記不織布フィルター
が低分子シロキサンを有効に分解することができる。低
分子シロキサンは、例えば建築構造物または密閉された
構造物の空間を形成するために使用されるシール材料か
ら発生するジメチル(ポリ)シロキサンの1〜10量
体、とくには3量体(ジメチルトリシロキサン)等であ
る。前記ジメチル(ポリ)シロキサンは、サイクリック
ポリシロキサンでもよいし、直鎖状ポリシロキサンでも
よい。
【0038】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。
【0039】
【実施例1】乳化重合で得られたPTFE樹脂粒子(平
均粒径:0.2μm)にナフサを24重量%混合撹拌し
た。この混合体を円筒状に予備成形し、この予備成形体
を押し出し成形し、さらに圧延して、0.1mmの厚さ
のシートを得た。この圧延シートを280℃に加熱して
ナフサを蒸発気散させた。
【0040】別にPTFEのディスパージョン(PTF
E樹脂固形分:60重量%含有):100重量部と、光
触媒であるアナターゼ型酸化チタン粉体:66重量部
(粒径:0.007μm)を添加し混合して、光触媒混
合PTFEディスパージョンを調製した(PTFE樹脂
中の酸化チタンの占める割合は40重量%)。この調製
液を、先のPTFEシートの両面に塗布し、乾燥後の厚
さをそれぞれ110μmとなるように塗布し、温度:3
60℃で3分間焼成して、比重2.12のPTFEの積
層シートを得た。次にこのシートを350℃に加熱しな
がら長手方向に3倍に延伸した。
【0041】このシートを平均直径0.5mmの金属針
を備えたブラシで引っ掻いて解繊し短繊維を得た。この
繊維の平均繊維太さは縦横ともに約10μm(方形断
面)、平均繊維長は約50mmであった。得られた繊維
の断面形状は不定形であったが、一例として方形の部分
の断面概念図を図1に示す。図1において、1は中心層
のPTFE樹脂部分であり、2,2´は表層に位置する
光触媒アナターゼ型酸化チタン粉体混合PTFE樹脂部
分である。
【0042】この繊維をカード機にて繊維を調整してウ
ェブを作成し、その後、水流交絡機を用いて15〜20
kg/cm2の圧力で水流を付与し、不織布とした。不織布の
坪量(目付)は100g/m2 であり、厚さは150μ
mであった。
【0043】またこの繊維の摩擦係数は、直接測定でき
ないため解繊前のシートの摩擦係数を測定した結果、
0.4であった。従って、解繊後の繊維も同一と推定さ
れ摩擦係数が大きい繊維が得られた。
【0044】前記不織布を試料面積25cm2 切り取
り、500mlの密閉容器に入れ、ジメチルシクロシロ
キサン3量体を初期ガス濃度200ppbで供給し、ブ
ラックライトを1mw/cm2 照射した。測定温度は25
℃とした。図2はシロキサン残存率を測定するための装
置の概略図である。図2において、3は不織布試料、4
は密閉容器、5はブラックライトである。
【0045】10分ごとにガスクロ用マイクロシリンジ
を用いて密閉容器からガスをサンプリングし、ガスクロ
にかけてシロキサンの存在量を測定することにより、シ
ロキサン残存率を算出した。測定結果を図3に示す。図
3から明らかな通り、70分間でシロキサン残存率は8
3重量%であった。すなわち17重量%は分解している
ことが確認できた。
【0046】前記不織布を公知の方法にしたがって半導
体製造のためのクリールーム用フィルターに形成し、実
用試験をしたところ、表1と同様に効果があった。
【0047】
【実施例2】実施例1と同様にしてPTFEの圧延シー
トを作成した。アナターゼ型酸化チタン入りのPTFE
のディスパージョンの作成工程で、酸化チタン粉体を
(粒径:0.007μm)、PTFE樹脂100重量部
に対して、11重量部添加し混合(PTFE樹脂中の酸
化チタンの占める割合は10重量%)した以外は、実施
例1と同様にして不織布を作成した。不織布の坪量は1
00g/m2 であり、厚さは150μmであった。
【0048】解繊前のシートの摩擦係数を測定した結
果、0.3であった。得られた不織布を用いて実施例1
と同様に、シロキサン残存率を測定した結果を図3に示
す。図3から明らかな通り、70分間でシロキサン残存
率は92重量%であった。すなわち8重量%は分解して
いることが確認できた。
【0049】前記不織布を公知の方法にしたがって半導
体製造のためのクリールーム用フィルターに形成し、実
用試験をしたところ、表1と同様に効果があった。
【0050】
【実施例3】実施例1と同様にしてPTFEの圧延シー
トを作成した。アナターゼ型酸化チタン入りのPTFE
のディスパージョンの作成工程で、酸化チタン粉体を
(粒径:0.007μm)、PTFE樹脂100重量部
に対して、150重量部添加し混合(PTFE樹脂中の
酸化チタンの占める割合は60重量%)した以外は、実
施例1と同様にして不織布を作成した。。
【0051】解繊前のシートの摩擦係数を測定した結
果、0.4であった。次にPFA樹脂のネットを用意す
る。このネットは80メッシュの細かさがあり、このネ
ットの上に坪量は100g/m2 のウエブを置いて、そ
の上から水流交絡させた。
【0052】得られた不織布を用いて実施例1と同様
に、シロキサン残存率を測定した結果を図3に示す。図
3から明らかな通り、70分間でシロキサン残存率は7
9重量%であった。すなわち21重量%は分解している
ことが確認できた。
【0053】前記不織布を公知の方法にしたがって半導
体製造のためのクリールーム用フィルターに形成し、実
用試験をしたところ、表1と同様に効果があった。
【0054】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、特
異的に低分子シロキサンを分解する方法を提供でき、ま
た半導体、薬品製造、食品製造などのクリーンルーム用
のフィルターに好適な、圧損が低く、ガス分解機能が十
分で、しかもフィルター自体から汚染物質を出さないフ
ィルターとその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1〜3によって得られた繊維
の断面概念図を示す。
【図2】 本発明の実施例1〜3のシロキサン残存率を
測定するための装置の概略図である。
【図3】 本発明の実施例1〜3のシロキサン残存率を
示す。
【符号の説明】
1 繊維の中心層のPTFE樹脂部分 2,2´は繊維の表層に位置する光触媒アナターゼ型酸
化チタン粉体混合PTFE樹脂部分 3 不織布試料 4 密閉容器 5 ブラックライト
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/30 B32B 27/30 D H01L 31/08 H01L 31/08

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光分解触媒を用いて有機物を分解する方
    法であって、建築構造物または密閉された構造物の空間
    内に、光触媒作用を有する機能性微粉末または光触媒作
    用を有する機能性微粉末を含む物体を配置し、前記微粉
    末を光励起させて低分子シロキサンを分解させることを
    特徴とする低分子シロキサンの分解方法。
  2. 【請求項2】 建築構造物または密閉された構造物が、
    半導体製造、薬品製造もしくは食品製造におけるクリー
    ンルームである請求項1に記載の低分子シロキサンの分
    解方法。
  3. 【請求項3】 光触媒作用を有する機能性微粉末が、ア
    ナターゼ型酸化チタンである請求項1または2に記載の
    低分子シロキサンの分解方法。
  4. 【請求項4】 光触媒作用を有する機能性微粉末が、フ
    ィルター素材に担持されている請求項1〜3のいずれか
    に記載の低分子シロキサンの分解方法。
  5. 【請求項5】 フィルター素材がフッ素樹脂繊維からな
    る請求項1〜4のいずれかに記載の低分子シロキサンの
    分解方法。
  6. 【請求項6】 フッ素樹脂繊維中に光触媒作用を有する
    機能性微粉末が担持され、繊維表面に多数の孔が形成さ
    れてなる請求項5に記載の低分子シロキサンの分解方
    法。
  7. 【請求項7】 光触媒を担持した不織布の構成繊維がフ
    ッ素樹脂繊維であり、前記繊維の摩擦係数が0.10以
    上である請求項6に記載のフィルター。
  8. 【請求項8】 少なくとも一層に光触媒作用を有する機
    能性微粉末を含有するフッ素樹脂未焼成シートを含むフ
    ッ素樹脂未焼成多層シートを延伸して、機能性微粉末含
    有層を多孔質化させ、次いで焼成し、解繊してフッ素樹
    脂繊維とし、これを不織布とし、前記不織布をフィルタ
    ーに形成することを特徴とするフィルターの製造方法。
  9. 【請求項9】 フッ素樹脂繊維を交絡させて不織布に形
    成した請求項8に記載のフィルターの製造方法。
  10. 【請求項10】 延伸工程より以前の工程で、フッ素樹
    脂の粉末と炭化水素化合物を混合分散し、この混合物を
    押し出し、その後圧延し、前記炭化水素化合物を蒸発気
    散し、フッ素樹脂の未焼成シートとし、この未焼成シー
    トの少なくとも一方の表面に、アナターゼ型酸化チタン
    を0.1〜60重量%を含むフッ素樹脂の分散液を塗布
    する請求項8または9に記載のフィルターの製造方法。
  11. 【請求項11】 繊維表面に光触媒作用を有する機能性
    微粒粉末が担持され、かつ表面多孔状に形成されている
    フッ素樹脂繊維。
  12. 【請求項12】 フッ素樹脂繊維が、無孔状部分と、光
    触媒作用を有する機能性微粒粉末が担持されかつ表面多
    孔状に形成されている部分とを含む請求項11に記載の
    フッ素樹脂繊維。
  13. 【請求項13】 無孔状部分が繊維の中心部に存在し、
    光触媒作用を有する機能性微粒粉末が担持されかつ表面
    多孔状に形成されている部分が繊維の表面部に存在して
    いる請求項11または12に記載のフッ素樹脂繊維。
  14. 【請求項14】 繊維表面の摩擦係数が0.10より大
    きい請求項11〜13のいずれかに記載のフッ素樹脂繊
    維。
  15. 【請求項15】 光触媒作用を有する機能性微粒粉末を
    含有するフッ素樹脂未焼成シートを延伸してシート表面
    を多孔状化させ、次いで焼成し、解繊するフッ素樹脂繊
    維の製造方法。
  16. 【請求項16】 フッ素樹脂未焼成シートの両面に機能
    性微粒粉末を含むフッ素樹脂の分散液を塗布し、担持し
    た後、複数層積層し、一体的に焼成した後、解繊する請
    求項15に記載のフッ素樹脂繊維の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項11〜14に記載のフッ素樹脂
    繊維を交絡させてなる不織布。
  18. 【請求項18】 請求項17の不織布をフィルター素材
    としたクリーンルーム用フィルター材。
  19. 【請求項19】 光触媒作用を有する機能性微粒粉末を
    含有し、かつ微粒粉末含有部分で多孔状表面を形成して
    なるフッ素樹脂焼成体からなる解繊用フッ素樹脂シー
    ト。
  20. 【請求項20】 少なくとも一層に光触媒作用を有する
    機能性微粉末を含有し、かつ微粒粉末含有層が表面多孔
    状を形成とされているフッ素樹脂シートの焼成体からな
    る解繊用フッ素樹脂シート。
  21. 【請求項21】 フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチ
    レン(PTFE)である請求項5〜20のいずれかに記
    載の低分子シロキサンの分解方法とフィルター、繊維、
    不織布、解繊用フッ素樹脂シート及びそれらの製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014083511A (ja) * 2012-10-25 2014-05-12 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd シロキサン分解装置
CN104815483A (zh) * 2015-04-20 2015-08-05 上海洁晟环保科技有限公司 复合抗菌空气过滤材料、制备方法及其应用

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