JPH10201484A - 新規FtsL - Google Patents

新規FtsL

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JPH10201484A
JPH10201484A JP9306297A JP30629797A JPH10201484A JP H10201484 A JPH10201484 A JP H10201484A JP 9306297 A JP9306297 A JP 9306297A JP 30629797 A JP30629797 A JP 30629797A JP H10201484 A JPH10201484 A JP H10201484A
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JP
Japan
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polypeptide
polynucleotide
ftsl
amino acid
sequence
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JP9306297A
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John Edward Hodgson
ジョン・エドワード・ホッジソン
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SmithKline Beecham Ltd
SmithKline Beecham Corp
Original Assignee
SmithKline Beecham Ltd
SmithKline Beecham Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/315Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Streptococcus (G), e.g. Enterococci
    • C07K14/3156Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Streptococcus (G), e.g. Enterococci from Streptococcus pneumoniae (Pneumococcus)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/02Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing a signal sequence

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規FtsLポリペプチドおよび該ポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドが望まれている。 【解決手段】 配列番号2のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも7
0%の同一性を有するポリヌクレオチド;エス・ニュー
モニエに含まれるFtsL遺伝子によって発現されるの
と同じ成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
と少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチ
ド;配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70%の同
一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチド;前記のポリヌクレオチドに対
して相補性のポリヌクレオチド;および前記のポリヌク
レオチドの少なくとも連続した15塩基からなるポリヌ
クレオチドからなる群より選択されたポリヌクレオチド
配列からなる単離ポリヌクレオチドを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規に同定された
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド、その製造および
使用、ならびにその変種、アゴニストおよびアンタゴニ
スト、ならびにその使用に関するものである。特に、こ
れらのおよびその他の点に関して、本発明は、本明細書
で「FtsL」と称するftslファミリーの新規ポリ
ヌクレオチドおよびポリペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】ストレプトコッカス属(Streptococci)
は医学的に重要な微生物属を形成しており、ヒトに例え
ば中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、
膿胸および心内膜炎、特に例えば脳脊髄液の感染のごと
き髄膜炎を包含する、いくつかの型の疾患を引き起こす
ことが知られている。ストレプトコッカス属の単離から
100年以上も経過しているため、ストレプトコッカス
・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)は、より
詳細な研究が為された微生物の一つである。例えば、事
実、DNAが遺伝物質であるという初期の見解の大部分
は、この微生物を用いたGriffithならびに、Avery、Mac
leodおよびMcCartyの研究にて断言された。ストレプト
コッカス・ニューモニエ(S.pneumoniae)に関する研究
は膨大であるにも関わらず、この微生物の毒性に関して
は多くの疑問が残されている。抗生物質の開発のための
標的としてストレプトコッカス属の遺伝子および遺伝子
産物を用いるのはとりわけ好ましいことである。
【0003】ストレプトコッカス・ニューモニエ感染の
頻度は過去20年間に劇的に上昇している。これは多重
抗生物質耐性株の出現、および免疫系が低下した人の母
集団の増加に起因している。いくつかのまたは全ての標
準的な抗生物質に対して耐性を有するストレプトコッカ
ス・ニューモニエ株を単離することはもはやめずらしい
ことではない。このため、新しい抗菌剤およびこの生物
についての診断試験の両方が要求されている。FtsL
は細菌細胞分割に関与する膜結合タンパク質である。F
tsLは細胞の成長および分割に必須である。FtsL
ヌル突然変異は、細胞分割の阻害、長い無隔フィラメン
トの形成ならびに最終的に成長および溶解の停止をもた
らす(Guzman,L-M.、Barondess,J.J.およびBeckwith,
J.、Bacteriol 174:7716-7728(1992))。
【0004】エシェリキア・コリ(Escherichia coli)
では、FtsL遺伝子は、隔膜形成の間に特異的に必要
とされる膜タンパク質であるペニシリン−結合タンパク
質3をコードするFtsIのすぐ上流に位置する(Ishi
no,F.&Matsuhashi,M.、Biochem.Biophys.Res.Commun.10
1:905-911(1981))。FtsLはまた細胞質N末端、
膜スパニングセグメント、およびペリプラズムカルボキ
シ末端を有する細胞質膜タンパク質でもある。エシェリ
キア・コリ(E.coli)には細胞分割タンパク質の多くの
例があるが、それらの正確な機能はほとんど知られてい
ない。しかしながら、細胞分割に関与する膜タンパク質
は細胞分割の制御および隔膜形成の開始において主要な
役割を果たすようである。FtsL相同体は、ヘモフィ
ラス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)(Fl
eischmann,R.ら、Science 269:496-512(1995))およ
びバシラス・サチリス(Bucilus subtilis)(Daniel,
R.A.、Williams,A.M.、Errington,J.、ジーンバンク受
入番号Z68230(1995))にあると報告されてい
る。
【0005】抗生物質活性に関して化合物をスクリーニ
ングするために有用であるという利点を有した、本発明
の新規化合物のごとき因子が必要とされていることは明
白である。かかる因子はまた、感染、機能不全または疾
病の発病における役割を決定するのに有用である。感
染、機能不全または疾病の予防、改善または治癒に役割
を果たし得るかかる因子ならびにそのアンタゴニストお
よびアゴニストを同定および特徴づけする必要もある。
本発明のポリペプチドは既知バシラス・サチリスfts
lタンパク質に対してアミノ酸配列相同性を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一つの目的
は、表1[配列番号:2]に示すアミノ酸配列と、バシラ
ス・サチリスftslタンパク質のごときその他のタン
パク質の既知アミノ酸配列(複数でも可)の間の相同性
により、新規FtsLポリペプチドとして同定されたポ
リペプチドを提供することである。本発明のさらなる目
的は、FtsLポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チド、特に本明細書においてFtsLと称するポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドを提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のとりわけ好まし
い具体例では、該ポリヌクレオチドは、遺伝子全長を含
む、表1[配列番号:1]に示す配列を有してなるFts
Lポリペプチドをコードする領域、またはその変種を有
してなる。本発明の別の特に好ましい具体例には、表1
[配列番号:2]のアミノ酸配列を有してなるストレプト
コッカス・ニューモニエに由来する新規FtsLタンパ
ク質またはその変種がある。本発明の別の態様によれ
ば、寄託株に含まれるストレプトコッカス・ニューモニ
エ0100993株により発現可能な成熟ポリペプチド
をコードする単離核酸分子が提供される。本発明のさら
なる態様では、mRNA、cDNA、ゲノムDNAを含
め、FtsL、特にストレプトコッカス・ニューモニエ
FtsLをコードする単離核酸分子を提供する。本発明
のさらなる具体例は、生物学的、診断学的、予防的、臨
床的または治療的に有用なその変種、およびそのものを
含んでなる組成物を包含する。
【0008】本発明の別の態様によれば、治療または予
防目的で、特に遺伝的免疫における本発明のポリヌクレ
オチドの使用を提供する。本発明の特に好ましい具体例
は、FtsLの天然の対立遺伝子変種およびそれにより
コードされるポリペプチドである。本発明の別の態様で
は、本明細書でFtsLと称するストレプトコッカス・
ニューモニエの新規ポリペプチド、ならびに生物学的、
診断学的、予防的、臨床的または治療的に有用なその変
種、およびそのものを含んでなる組成物を提供する。本
発明のとりわけ好ましい具体例は、FtsL遺伝子の天
然の対立遺伝子によりコードされるFtsLポリペプチ
ドの変種である。本発明の好ましい具体例では、前記の
FtsLポリペプチドの製造方法を提供する。
【0009】本発明のさらに別の態様によれば、例え
ば、抗体を含め、抗菌剤として有用な、かかるポリペプ
チドに対する阻害剤が提供される。本発明の特定の好ま
しい具体例によれば、FtsL発現を評価し、疾病、例
えば、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞
炎、膿胸および心内膜炎、特に例えば脳脊髄液の感染の
ごとき髄膜炎を治療し、遺伝的変異を評価し、生物にF
tsLポリペプチドまたはポリヌクレオチドを投与して
細菌、特にストレプトコッカス・ニューモニエ細菌に対
する免疫応答を生じさせるための物質、組成物および方
法が提供される。本発明のこのおよび他の態様の特定の
好ましい具体例によれば、FtsLポリヌクレオチド配
列に、特に厳密な条件下でハイブリダイゼーションする
ポリヌクレオチドが提供される。本発明の特定の好まし
い具体例では、FtsLポリペプチドに対する抗体を提
供する。
【0010】本発明の他の具体例では、本発明のポリペ
プチドまたはポリヌクレオチドに結合し、そうでなけれ
ば相互作用し、その活性を阻害または活性化する化合物
を同定する方法であって、スクリーニングすべき化合物
が本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと結合
し、そうでなければ相互作用できる条件下で、該ポリペ
プチドまたはポリヌクレオチドを該化合物と接触させ
て、該化合物との結合まあは相互作用を評価し(かかる
結合または相互作用はポリペプチドまたはポリヌクレオ
チドと化合物との結合または相互作用に応答して検出可
能なシグナルを提供できる2次成分に関連するものであ
る);化合物と該ポリペプチドまたはポリヌクレオチド
との結合または相互作用から生じるシグナルの有無を検
出することにより、化合物がポリペプチドまたはポリヌ
クレオチドと結合するか、そうでなければ相互作用し、
その活性を活性化または阻害するかどうかを決定するこ
とからなる方法を提供する。
【0011】本発明のさらに別の態様によれば、Fts
Lアゴニストおよびアンタゴニスト、好ましくは静細菌
性または殺細菌性アゴニストおよびアンタゴニストが提
供される。本発明のさらなる態様では、FtsLポリヌ
クレオチドまたはFtsLポリペプチドを含んでなる、
細胞または多細胞生物に投与するための組成物を提供す
る。開示した本発明の精神および範囲内での種々の変更
および修飾は、以下の記載および本明細書のその他の部
分を読むことにより、当業者に容易に明らかとなろう。
【0012】
【発明の実施の態様】
定義 本明細書中で頻繁に使用されるある種の用語をその理解
を容易にするために以下に定義する。「宿主細胞」は外
来性ポリヌクレオチド配列によって形質転換またはトラ
ンスフェクションされた、あるいは形質転換またはトラ
ンスフェクションされることのできる細胞である。「同
一性」は、当該分野で公知であり、配列の比較で測定さ
れるような、2またはそれ以上のポリペプチド配列ある
いは2またはそれ以上のポリヌクレオチド配列の間の関
係である。また、当該分野では、「同一性」は、場合に
よっては、配列の鎖間の対合によって測定されるよう
な、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列
の関連性の度合を意味する。「同一性」または「類似
性」は公知の方法により容易に計算することができる。
例えば、限定するものではないが、COMPUTATIONAL MOLE
CULAR BIOLOGY,Lesk,A.M.編,Oxford University Pre
ss,New York,1988;BIOCOMPUTING:INFORMATICS AND
GENOME PROJECTS,Smith,D.W.編,Academic Press,New
York,1993;COMPUTER ANALYSIS OF SEQUENCE DATA,P
ART I,Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.編,Humana
Press,New Jersey,1994;SEQUENCE ANALYSIS IN MOLE
CULAR BIOLOGY,Von Heinje,G.Academic Press,198
7;およびSEQUENCE ANALYSIS PRIMER,Gribskov,M.およ
びDevereux,J.編,M Stockton Press,New York,199
1;およびCarllio,HおよびLipman,D.,SIAM J.Applied
Math.,48:1073(1988)に記載されている方法が挙げられ
る。同一性を測定する好ましい方法は、テストする配列
間に最大の対合を与えるように設計されている。同一性
および類似性を測定する方法は公に入手できるコンピュ
ータ・プログラムに組み込まれている。2つの配列の間
の同一性および類似性を測定する好ましいコンピュータ
・プログラム方法には、限定するものではないが、例え
ば、GCSプログラムパッケージ(Devereux,J.ら,Nuc
leic Acids Research(1984)12(1):387)、BLA
STP、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S.
F.ら, J.Molec.Biol.(1990)215:403-410)が包含さ
れる。BLASTXプログラムはNCBIおよび他の源
(BLAST Manual,Altshul,S.ら,NCBI NL
M NIH Bethesda,MD20894;Altschul,S.ら,J.
Mol.Biol.,215:403-410(1990))から公に入手でき
る。一例として、配列番号1の対照標準のヌクレオチド
配列に対して少なくとも、例えば95%の「同一性」を
有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、
そのポリヌクレオチド配列が配列番号1の対照標準のヌ
クレオチド配列のヌクレオチド各100当たり5つまで
の点突然変異を有してもよいことを除き、そのポリヌク
レオチドのヌクレオチド配列が、対照標準の配列と同一
であることを意図とする。言い換えれば、対照標準のヌ
クレオチド配列に対して少なくとも95%同一のヌクレ
オチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、
その対照標準の配列におけるヌクレオチドの5%までが
欠失または別のヌクレオチドで置換されていてもよく、
または対照標準の配列における全ヌクレオチドの5%ま
での数のヌクレオチドが対照標準の配列中に挿入されて
もよい。対照標準の配列のこれらの変異は対照標準のヌ
クレオチド配列の5または3末端部位で、またはそれら
末端部位の間のどこで起こってもよく、対照標準の配列
中のヌクレオチド間に個々に、または対照標準の配列内
の一またはそれ以上の隣接する基において点在してもよ
い。同様に、配列番号2の対照標準のアミノ酸配列に対
して少なくとも、例えば95%同一性を有するアミノ酸
配列を有するポリペプチドは、そのポリペプチド配列が
配列番号2の対照標準のアミノ酸配列のアミノ酸各10
0当たり5つまでのアミノ酸変異を有してもよいことを
除き、そのポリペプチドのアミノ酸配列が、対照標準の
配列と同一であることを意図とする。言い換えれば、対
照標準のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一の
アミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、そ
の対照標準の配列におけるアミノ酸残基の5%までが欠
失または別のアミノ酸で置換されていてもよく、または
対照標準の配列における全アミノ酸残基の5%までの数
のアミノ酸が対照標準の配列中に挿入されてもよい。対
照標準の配列のこれらの変化は対照標準のアミノ酸配列
のアミノまたはカルボキシ末端部位で、またはそれら末
端部位の間のどこで起こってもよく、対照標準の配列中
の残基間に個々に、または対照標準の配列内の一または
それ以上の隣接する基において点在してもよい。
【0013】「単離された」とは、「ヒトの手によ
り」、その天然の状態から変えられること、すなわち、
天然物の場合、その本来的な環境から変化または除去あ
るいは両方されたことを意味する。例えば、生体に天然
に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単
離された」ものではないが、その天然状態で共存する物
質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドは、本明細書で用いる用語としての「単離された」
ものである。
【0014】「ポリヌクレオチド(複数でも可)」は、
一般に、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボ
ヌクレオチドのいずれをもいい、それらは非修飾RNA
またはDNA、あるいは修飾RNAまたはDNAであっ
てもよい。「ポリヌクレオチド」は、単鎖および二本鎖
DNA、単鎖および二本鎖領域または単鎖、二本鎖およ
び三本鎖領域の混合物であるDNA、単鎖および二本鎖
RNA、単鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、
および単鎖またはより典型的には二本鎖または三本鎖領
域または一本鎖および二本鎖領域の混合物であってもよ
いDNAおよびRNAを含有してなるハイブリッド分子
を包含するが、これに限定されない。加えて、本明細書
にて用いる「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDN
A、あるいはRNAおよびDNAの両方からなる三本鎖
領域をいう。これらの領域の鎖は同じ分子からのもので
も、異なる分子からのものでもよい。該領域は、これら
分子の一またはそれ以上の全てを含んでもよいが、より
典型的には、分子の幾つかの領域のみを含む。三本螺旋
領域の分子の一つは、しばしば、オリゴヌクレオチドで
ある。本明細書にて用いる場合、ポリヌクレオチド(複
数でも可)なる用語はまた、一つまたはそれ以上の修飾
された塩基を含有する上記DNAまたはRNAを包含す
る。すなわち、安定性または他の理由で修飾された骨格
を有するDNAまたはRNAも該用語が本明細書で意図
するところのポリヌクレオチド(複数でも可)である。
さらに、イノシンなどの通常でない塩基、またはトリチ
ル化された塩基などの修飾塩基を有してなるDNAまた
はRNA(2つの例だけを示す)も、その用語を本明細
書で用いる場合のポリヌクレオチドである。多種の修飾
がDNAおよびRNAになされており、当業者に公知の
ように多くの有用な目的に使用されている。本明細書で
用いる「ポリヌクレオチド」なる語は、ポリヌクレオチ
ドのこのような化学的、酵素的または代謝的に修飾され
た形態、ならびにウイルスおよび、例えば、単純型細胞
および複雑型細胞などの細胞に特徴的なDNAおよびR
NAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド(複
数でも可)」はまた、しばしばオリゴヌクレオチド(複
数でも可)と称される比較的短いポリヌクレオチドも包
含する。
【0015】「ポリペプチド(複数でも可)」は、ペプ
チド結合または修飾ペプチド結合で互いに結合した2つ
またはそれ以上のアミノ酸を含有してなるいずれのペプ
チドまたはタンパク質をもいう。「ポリペプチド(複数
でも可)」は、通常、ペプチド、オリゴペプチドまたは
オリゴマーと称される短い鎖、および一般にタンパク質
と称される長い鎖の両方をいう。ポリペプチドは、遺伝
子コードされている20個のアミノ酸以外のアミノ酸を
含有してもよい。「ポリペプチド(複数でも可)」は、
プロセッシングおよび他の翻訳後の修飾のごとき自然の
工程、または化学修飾技法のいずれかによって修飾され
たものを有する。かかる修飾は、基本テキストにて、お
よびより詳細な研究論文にて、ならびに膨大な研究文献
にて詳しく記載されており、それらは当業者に周知であ
る。同じ型の修飾が、所定のポリペプチド中、いくつか
の部位で、同じまたは異なる程度にて存在してもよいこ
とは明らかであろう。また、所定のペプチドは多くの型
の修飾を有していてもよい。修飾は、ペプチド骨格、ア
ミノ酸側鎖、アミノまたはカルボキシル末端を含め、ポ
リペプチドのどこででも起こりうる。修飾は、例えば、
アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド
化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレ
オチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質また
は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの
共有結合、交差結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱
メチル化、共有交差結合の形成、システインの形成、ピ
ログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマーカルボキ
シル化、糖鎖形成、GPIアンカー形成、ヒドロキシル
化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、蛋白
分解的プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ
化、糖鎖形成、リピド付加、硫酸化、グルタミン酸残基
のガンマーカルボキシル化、ヒドロキシル化およびAD
P−リボシル化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化
などの転移RNA媒介の蛋白質へのアミノ酸付加、およ
びユビキチン化を包含する。例えば、PROTEINS−STRUCT
URE AND MOLECULAR PROPERTIES, 第2版,T.E.Creig
hton,W.H.Freeman and Company,New York(199
3)およびWold,F.,POSTTRANSLATIONAL COVALENT MOD
IFICATION OF PROTEINS,Posttranslational Protein M
odifications:Perspectives and Prospects,pgs.1-1
2,B.C.Johnson編,Academic Press,New York(198
3);Seifterら,Meth Enzymol.(1990)182:626-646、
およびRattanら,“Protein Synthesis:Posttranslatio
nal Modifications and Aging”,Ann N.Y. Acad Sci
(1992)663:48-62を参照のこと。ポリペプチドは、分
枝してもよく、分枝と共にまたはなしで環状であっても
よい。環状、分枝化および分枝化環状ポリペプチドは、
翻訳後の天然の工程の結果であり、同様に全く合成的な
方法で合成できる。
【0016】本明細書中で使用される「変種」なる語
は、各々、対照標準のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドと異なるが、本質的な特性を保持しているポリヌク
レオチドまたはポリペプチドである。ポリヌクレオチド
の典型的な変種は、別の対照標準のポリヌクレオチドと
ヌクレオチド配列において異なっている。変種のヌクレ
オチド配列における変化は、対照標準のポリヌクレオチ
ドによってコードされたポリペプチドのアミノ酸配列と
変わっていてもよいし、または変わっていなくてもよ
い。ヌクレオチドの変化は、後記するように、対照標準
の配列によってコードされたポリペプチドにおいて、ア
ミノ酸置換、付加、欠失、融合および切断をもたらしう
る。ポリペプチドの典型的な変種は、別の対照標準のポ
リペプチドとはアミノ酸配列において異なっている。一
般に、差異は、対照標準のポリペプチドとその変種の配
列が全体的に非常に類似しており、多くの領域において
は同一であるように限定される。変種および対照標準の
ポリペプチドは、一またはそれ以上の置換、付加、欠失
のいずれかの組み合わせによって、アミノ酸配列におい
て異なってもよい。置換または挿入されたアミノ酸残基
は、遺伝コードによってコードされたものであってもな
くてもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変
種は、対立遺伝子変種のような天然に存在するものであ
ってもよく、または天然に存在することが知られていな
い変種であってもよい。ポリヌクレオチドおよびポリペ
プチドの天然に存在しない変種は、変異誘発法または直
接合成あるいは当業者に公知の他の組換え法によって作
られてもよい。
【0017】本発明は、以下により詳細に記載されるよ
うな新規FtsLポリペプチドおよびポリヌクレオチド
に関する。特に、本発明は、バシラス・サチリスfts
lポリペプチドに対するアミノ酸相同性により関連付け
られる、ストレプトコッカス・ニューモニエの新規Ft
sLのポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する。
本発明は、特に、各々、表1[配列番号1]および表1
[配列番号2]に示すヌクレオチドおよびアミノ酸配列
を有するFtsLに、および寄託株のDNAのFtsL
ヌクレオチド配列およびそれによりコードされるアミノ
酸配列に関する。
【0018】
【表1】 FtsLポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列 (A)ストレプトコッカス・ニューモニエFtsLポリ
ンクレオチド配列由来の配列[配列番号1]
【化1】
【0019】(B)この表のポリヌクレオチド配列より
推定されるFtsLポリペプチド配列[配列番号2]
【化2】
【0020】(C)ポリヌクレオチド配列の具体例[配
列番号1]
【化3】
【0021】(D)ポリペプチド配列の具体例[配列番
号2]
【化4】
【0022】寄託材料 ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993株を
含む寄託株を、1996年4月11日に、スコットラン
ド、AB2 1RY、アバディーン、マチャードライブ
23St.のナショナル・コレクション・オブ・インダス
トリアル・アンド・マリーン・バクテリア・リミテッド
(本明細書にて「NCIMB」という)に、受託番号4
0794の下で寄託している。その寄託株は、寄託の
際、ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993
と命名された。1996年4月17日に、エシェリキア
・コリに入れたストレプトコッカス・ニューモニエ01
00993DNAライブラリーも同様に、受託番号40
800の下、NCIMBに寄託している。このストレプ
トコッカス・ニューモニエ株寄託を、本明細書では「寄
託株」または「寄託株のDNA」と称する。
【0023】寄託株は完全長FtsL遺伝子を含んでい
る。寄託株に含まれるポリヌクレオチドの配列ならびに
それによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列
は、本明細書における配列の記載とのいずれの不一致も
調節するものである。寄託株の寄託は、特許手続き上の
微生物寄託の国際承認に関するブタペスト条約の条件下
で行われている。特許が発行されると何ら制限または条
件もなく、最終的に株は分譲される。寄託株は当業者の
便宜のためにのみ提供され、35U.S.C.112条の
下に要求されるような、寄託が実施可能要件であること
を承認するものではない。寄託株を製造、使用または販
売するには、ライセンスが必要であるが、そのようなラ
イセンスはここで付与されるものではない。
【0024】ポリペプチド 本発明のポリペプチドは、表1[配列番号2]のポリペ
プチド(とりわけ成熟ポリペプチド)ならびに、特に、
FtsLの生物活性を有し、表1[配列番号2]のポリ
ペプチドまたはその該当部分と少なくとも70%の同一
性、好ましくは表1[配列番号2]のポリペプチドに対
して少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なく
とも90%の類似性(より好ましくは少なくとも90%
の同一性)、さらにより好ましくは少なくとも95%の
類似性(さらにより好ましくは少なくとも95%の同一
性)を有するポリペプチドおよびフラグメントを包含
し、さらに、一般に、少なくとも30個のアミノ酸、よ
り好ましくは、少なくとも50個のアミノ酸を含むポリ
ペプチドの部分を有するかかるポリペプチドの部分も包
含する。
【0025】本発明はまた、アミノ基末端Xが水素、カ
ルボキシル末端Yが水素または金属、R1およびR2がい
ずれかのアミノ酸残基、nが1〜1000の整数である
表1(D)に示される式のポリペプチドも包含する。R
が1より多い場合、いずれかのR基で表されるアミノ酸
残基の鎖は、ヘテロポリマーまたはホモポリマーのいず
れであってもよく、ヘテロポリマーが好ましい。フラグ
メントは、その全体が、上記したポリペプチドのアミノ
酸配列の全部ではないが、一部と同じであるアミノ酸配
列を有する変種ポリペプチドである。FtsLポリペプ
チドと同様、フラグメントは「自立している」である
か、またはそれらが一の部分または領域、最も好ましく
は単一の連続した領域、単一のより大きなポリペプチド
を形成するより大きなポリペプチドの中に含まれていて
もよい。
【0026】好ましいフラグメントは、例えば、表1
[配列番号2]のアミノ酸配列または、アミノ末端を含
む連続した一連の残基またはカルボキシル末端を含む連
続した一連の残基のような、その変種の一部を有する切
断ポリペプチドを包含する。宿主細胞、特に、ストレプ
トコッカス・ニューモニエ中の本発明のポリペプチドの
分解型も好ましい。さらに、アルファヘリックスおよび
アルファヘリックス形成領域、ベータシートおよびベー
タシート形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイ
ルおよびコイル形成領域、親水領域、疎水領域、アルフ
ァ両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、可変領域、界面
形成領域、基質結合領域、および高抗原指数領域を含ん
でなるフラグメントのような、構造的または機能的属性
によって特徴づけられるフラグメントもまた好ましいフ
ラグメントである。
【0027】生物学的に活性なフラグメントも好ましい
フラグメントである。生物学的に活性なフラグメント
は、類似活性または改良活性を有するもの、または望ま
しくない活性が減少したフラグメントを含め、FtsL
の活性を媒介するフラグメントである。さらに、動物、
特にヒトにおいて抗原性または免疫原性であるフラグメ
ントも含まれる。特に好ましいものは、ストレプトコッ
カス・ニューモニエの生存に必須の機能または個体、特
に、ヒトにおける疾患の開始または原因維持能力を与え
る酵素群の受容体またはドメインからなるフラグメント
である。本発明のポリペプチドのフラグメントである変
種は、ペプチド合成法により対応する完全長のポリペプ
チドの製造に使用することができる。したがって、これ
らの変種は、本発明の完全長ポリペプチドを製造するた
めの中間体として使用できる。
【0028】ポリヌクレオチド 本発明のもう一つの態様は、表1[配列番号2]の推定
アミノ酸配列を有するFtsLポリペプチドをコードす
る単離ポリヌクレオチド、それに密接に関連するポリヌ
クレオチドおよびそれらの変種に関する。表1[配列番
号1]に示すポリヌクレオチド配列のような本明細書の
情報を使用し、出発材料としてストレプトコッカス・ニ
ューモニエ0100993を使用し、細菌からの染色体
DNAフラグメントをクローニングし、配列決定し、つ
づいて完全長クローンを得る標準的クローニングおよび
スクリーニング法を使用して、FtsLポリペプチドを
コードする本発明のポリヌクレオチドを得ることができ
る。例えば、表1[配列番号1]に示す配列のような本
発明のポリヌクレオチド配列を得るには、典型的には、
エシェリキア・コリまたは他の適当な宿主中のストレプ
トコッカス・ニューモニエ0100993の染色体DN
Aのクローンのライブラリーを、部分配列から由来する
放射標識したオリゴヌクレオチド、好ましくは17倍量
以上の長さのオリゴヌクレオチドでプローブする。つい
で、該プローブと同じDNAを有するクローンをストリ
ンジェントな条件を使用して区別できる。該オリジナル
配列から設計された配列決定プライマーで同定された個
々のクローンを配列決定することにより、該配列を両方
の方向に伸長し、完全長を決定することが可能である。
都合よくは、プラスミド・クローンから調製された変性
二本鎖DNAを用いてかかる配列決定を行う。適当な技
法は、Maniatis,T.,Fritsch,E.F.およびSambrookら、M
OLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,2nd Ed.;Co
ld Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Har
bor, NewYork(1989)(特に、ハイブリダイゼーション
によるスクリーニング1.90および変性二本鎖DNA
鋳型の配列決定13.70を参照のこと)により記載さ
れている。例えば、表1[配列番号1]に示すポリヌク
レオチドは、ストレプトコッカス・ニューモニエ010
0933から由来するDNAライブラリー中で見いだし
たものである。
【0029】表1[配列番号1]のDNA配列は、表1
[配列番号2]に示す概数のアミノ酸残基を有し、公知
のアミノ酸残基の分子量から計算できる推定分子量を有
するタンパク質をコードするオープンリーディングフレ
ームを有する。ヌクレオチド番号1ないし番号315の
間の、配列番号1のポリヌクレオチドは、配列番号2の
ポリペプチドをコードする。停止コドンは配列番号1の
ヌクレオチド315の次のヌクレオチド番号より始ま
る。本発明のFtsLは、構造的に、寄託株のFtsL
をコードするDNAを配列決定する結果として判明す
る、ftslファミリーの他のタンパク質に関連付けら
れる。そのタンパク質は、公知タンパク質の中でも、バ
シラス・サチリスfts1タンパク質に対して最も大き
な相同性を示す。表1[配列番号2]のFtsLは、バ
シラス・サチリスfts1ポリペプチドのアミノ酸配列
とその全長にわたって約19%の同一性およびその全長
にわたって約48%の類似性を有する。バシラス・サチ
リスfts1タンパク質は、受入番号Z68230の
下、ジーンバンクのデータベースに記載されている。
【0030】本発明は、表1[配列番号1]のコード配
列と、その全長に亙って同一であるポリヌクレオチド配
列を提供する。また、本発明は、成熟ポリペプチドまた
はそのフラグメント用のコード配列自体ならびにリーダ
ーまたは分泌配列、プレ、プロまたはプレプロタンパク
質配列をコードするコード配列のような他のコード配列
を有するリーディング・フレーム中の成熟ポリペプチド
またはフラグメントのコード配列を提供する。ポリヌク
レオチドはまた、例えば、転写配列、非翻訳配列、終止
シグナル、リボソーム結合部位、mRNAを安定化する
配列、イントロン、ポリアデニル化シグナルおよび別の
アミノ酸をコードする付加コード配列のような非コード
5'および3'配列を含む、非コード配列を含むが、これ
に限定するものではない。例えば、融合ポリペプチドの
精製を促進するマーカー配列をコードすることができ
る。本発明のある種の具体例において、マーカー配列
は、pQEベクター(Qiagen,Inc.)において提供さ
れ、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86:821
-824に記載されるような、ヘキサ−ヒスチジンペプチド
であるか、またはHAタグである(Wilsonら,Cell,3
7:767(1984))。本発明のポリヌクレオチドは、限定す
るものではないが、構造遺伝子および遺伝子の発現を調
節する天然に伴う配列からなるポリヌクレオチドを包含
する。本発明の好ましい態様は、FtsLポリペプチド
をコードする表1の配列番号1に示すヌクレオチドから
なるポリヌクレオチドである。
【0031】本発明の好ましい具体例は、FtsLポリ
ペプチドをコードする、表1の配列番号1に示すヌクレ
オチド1ないし315からなるポリヌクレオチドであ
る。本発明はまた、分子の5’末端におけるXが水素、
分子の3’末端におけるYが水素または金属、R1およ
びR2がいずれかの核酸残基、nが1〜1000の整数
である表1(C)に示した式のポリヌクレオチドを包含
する。Rが1より多い場合、いずれかのR基で示される
核酸残基の鎖は、ヘテロポリマーでもホモポリマーでも
よく、ヘテロポリマーが好ましい。本明細書で使用する
「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」なる用
語は、本発明のポリペプチド、特に、細菌性ポリペプチ
ド、より詳しくは、表1[配列番号2]に示すアミノ酸
配列を有するストレプトコッカス・ニューモニエFts
Lのポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオ
チドを包含する。この用語はコードおよび/非コード配
列を含んでもよいさらなる領域と共に、該ポリペプチド
をコードする単一の連続または非連続領域(例えば、組
み込まれたファージまたは挿入された配列またはエデテ
ィング(editing)により中断されている)を含むポリ
ヌクレオチドを包含する。本発明はさらに、表1[配列
番号2]の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドの変
種をコードする、本明細書に記載したポリヌクレオチド
の変種に関する。本発明のポリヌクレオチドのフラグメ
ントである変種は本発明の完全長ポリヌクレオチドの合
成に使用できる。
【0032】さらに好ましい具体例は、数個、わずか
な、5〜10、1〜5、1〜3、2または1個あるいは
0個のアミノ酸残基が、いずれかの組み合わせで置換、
欠失または付加された表1[配列番号2]のFtsLポ
リペプチドのアミノ酸配列を有する、FtsL変種をコ
ードするポリヌクレオチドである。特に好ましくは、F
tsLの特性、活性を変化させないサイレント置換、付
加および欠失である。本発明のさらに好ましい具体例
は、表1[配列番号2]に示すアミノ酸配列をを有する
FtsLポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの
完全長にわたって少なくとも70%の同一性を有するポ
リヌクレオチドおよびそのようなポリヌクレオチドに相
補性のポリヌクレオチドである。また、最も好ましいも
のは、寄託株のFtsLポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチドと完全長にわたって少なくとも80%の同
一性を有する領域からなるポリヌクレオチドおよびそれ
と相補性のポリヌクレオチドである。この点で、その同
じものと完全長にわたって少なくとも90%の同一性を
有するポリヌクレオチドが特に好ましく、中でも少なく
とも95%の同一性を有するものが特に好ましい。さら
には、少なくとも95%の同一性を有するものの中で少
なくとも97%の同一性を有するものがより好ましく、
中でも少なくとも98%および少なくとも99%の同一
性を有するものが特に好ましい。少なくとも99%の同
一性を有するものがより好ましい。好ましい具体例は、
表1[配列番号1]のDNAによってコードされている
成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活
性を保持するポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドである。
【0033】さらに本発明は、本明細書にて上記した配
列にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関
する。この点において、本発明は特に、本明細書にて上
記したポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下で
ハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関す
る。本明細書で用いる場合、「ストリンジェントな条
件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーショ
ン条件」という語は、ハイブリダイゼーションが、配列
間に少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の
同一性がある場合にのみ起こることを意味する。ストリ
ンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例とし
て、50%ホルムアルデヒド、5xSSC(150mM
NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mM
リン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート(Denh
ardt's)溶液、10%硫酸デキストランおよび20μg
/ml変性切断サケ精子DNAを含んでなる溶液中、4
2℃で一夜インキュベーションし、ついでハイブリダイ
ゼーション支持体を0.1xSSC(約65℃)で洗浄
することが挙げられる。ハイブリダイゼーションおよび
洗浄条件は公知であり、Sambrookら、MOLECULAR CLONIN
G:A LABORATORY MANUAL,Second Edition,Cold Sprin
g Harbor, N.Y.(1989)、特に、第11章に例示されてい
る。
【0034】本発明は、実質的に、配列番号1に示した
ポリヌクレオチド配列の完全遺伝子を含む適当なライブ
ラリーを、ストリンジェントなハイブリダイゼーション
条件下、配列番号1に示す該ポリヌクレオチド配列の配
列を有するプローブまたはそのフラグメントでスクリー
ニングし、該DNA配列を単離することにより得ること
ができるポリヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチ
ドを提供する。そのようなポリヌクレオチドを得るのに
有用なフラグメントには、例えば、本明細書に記載する
プローブおよびプライマーが包含される。
【0035】本明細書において本発明のポリヌクレオチ
ドの分析についてさらに説明するように、例えば、上記
したような本発明のポリヌクレオチドを、RNA、cD
NAおよびゲノムDNAに対するハイブリダイゼーショ
ン・プローブとして使用し、RtsLをコードする完全
長cDNAおよびゲノムクローンを単離し、FtsL遺
伝子に対して高い配列類似性を有する他の遺伝子のcD
NAおよびゲノムクローンを単離することができる。そ
のようなプローブは、一般に、少なくとも15塩基を有
してなるであろう。好ましくは、そのようなプローブは
少なくとも30塩基からなり、少なくとも50塩基を有
してもよい。特に好ましいプローブは、少なくとも30
塩基を有し、50以下の塩基を有する。例えば、Fts
L遺伝子のコード領域は、配列番号1のDNA配列を使
用してスクリーニングしてオリゴヌクレオチド・プロー
ブを合成することにより単離できる。ついで、本発明の
遺伝子の配列と相補性の配列を有する標識したオリゴヌ
クレオチドを用いてcDNA、ゲノムDNAまたはmR
NAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリー
のどのメンバーがプローブとハイブリダイズするか決定
する。
【0036】本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプ
チドは、本明細書においてポリヌクレオチド分析に関し
てさらに説明するように、例えば、疾患、特にヒトの疾
患に対する治療および診断の発見のための研究試薬およ
び研究材料として用いることができる。配列番号1およ
び/または2の配列から由来するオリゴヌクレオチドで
ある本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の方
法に使用できるが、好ましくはPCRに使用し、本明細
書で同定したポリヌクレオチドが全体として、または部
分的に感染組織において細菌中で転写されるか否か測定
する。そのような配列はまた、病因が達した感染の段階
およびタイプの診断においても有用性がある。
【0037】また、本発明は、成熟蛋白に、さらなるア
ミノまたはカルボキシ末端アミノ酸が加わるか、成熟ポ
リペプチドの内部にアミノ酸が加わった(例えば、成熟
形態が一つ以上のポリペプチド鎖を有する場合)ポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。この
ような配列は、とりわけ、前駆体から成熟形態へのタン
パク質のプロセッシングにおいて役割を果たし、タンパ
ク質を運び、タンパク質の半減期を長くしたり、短くし
たり、あるいは分析または生産のためのタンパクしtの
操作を容易にすることができる。in vivoで一般的なよ
うに、該付加アミノ酸は細胞酵素により成熟タンパク質
からプロセッシングにより除かれる。一またはそれ以上
のプロ配列に融合したポリペプチドの成熟形態を有する
前駆体タンパク質は該ポリペプチドの不活性形でもよ
い。プロ配列がそのような不活性前駆体から除かれる
と、一般に活性化される。プロ配列の幾らかまたは全体
を、活性化の前に除去できる。一般に、そのような前駆
体はプロタンパク質と称される。
【0038】総じて、本発明のポリヌクレオチドは成熟
タンパク質、リーダー配列の加わった成熟タンパク質
(プレタンパク質とも称される)、プレタンパク質のリ
ーダー配列ではない1またはそれ以上のプロ配列を有す
る成熟タンパク質の前駆体、またはリーダー配列と、一
般に、ポリペプチドの活性な成熟形態を生成するプロセ
ッシング工程の間に除去される1またはそれ以上のプロ
配列を有するプロタンパク質の前駆体であるプレプロタ
ンパク質をコードする。
【0039】ベクター、宿主細胞、発現 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたはポリヌ
クレオチドを含んでなるベクター、本発明のベクターで
遺伝子操作される宿主細胞および組換え技術による本発
明のポリペプチドの産生に関する。さらに無細胞翻訳系
を用い、本発明のDNA構築物由来のRNAを使用して
かかるタンパク質を製造することができる。組換え体産
生のために、宿主細胞を遺伝子操作し、発現系もしくは
それらの一部、または本発明のポリヌクレオチドを取り
込むことができる。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導
入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEA
E−デキストラン媒介トランスフェクション、トランス
ベクション、マイクロインジェクション、陽イオン脂質
媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、
トランスダクション、スクレープ・ローディング、弾道
導入および感染のような、Davisら、BASIC METHODS IN
MOLECULAR BIOLOGY(1986)およびSambrookら、MOLECUL
AR CLONING:A LABORATORY MANUAL,2nd Ed. Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor, N.
Y.(1989)のごとき複数の標準的研究室マニュアルに記
載されている方法によって行うことができる。
【0040】適当な宿主の代表例は、レンサ球菌(stre
ptococcus)、ブドウ球菌(staphylococcus)、腸球菌
(enterococcus)、大腸菌(E.coli)、ストレプトマイ
セス(streptomyces)および枯草菌(Bacillus subtili
s)細胞のごとき細菌細胞;酵母細胞およびアスペルギ
ルス(Aspergillus)細胞のごとき真菌細胞;ドロソフ
ィラ(Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodopte
ra)Sf9細胞のごとき昆虫細胞;CHO、COS、H
eLa、C127、3T3、BHK、293およびボーウ
ェス(Bowes)メラノーマ細胞のごとき動物細胞;およ
び植物細胞を包含する。本発明のポリペプチド産生のた
めに非常に多様な発現系を使用することができる。かか
る系は、とりわけ、染色体、エピソームおよびウイルス
由来の系、例えば、細菌プラスミド由来、バクテリオフ
ァージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由
来、挿入因子由来、酵母染色体因子由来、バキュロウイ
ルス、SV40のごときパポーバウイルス、ワクシニア
ウイルス、アデノウイルス、ニワトリポックスウイル
ス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウ
イルス由来のベクター、およびコスミドおよびファージ
ミドなどのプラスミドおよびバクテリオファージの遺伝
因子由来のベクターのごとき、それらの組み合わせに由
来するベクターを包含する。発現系構築物は、発現を制
御ならびに引き起こす調節領域を有していてもよい。一
般に、宿主においてポリヌクレオチドを維持、増幅また
は発現し、および/またはポリペプチドを発現するのに
適した系またはベクターを、この点にて発現に使用して
もよい。適当なDNA配列を、例えば、Sambrookら、MO
LECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL(前掲)に示さ
れている技術のごとき、種々のよく知られた慣用的技術
のいずれかによって、発現系に挿入してもよい。
【0041】翻訳されたタンパク質を、小胞体内腔、周
辺腔または細胞外環境に分泌するために、適当な分泌シ
グナルを発現されるポリペプチドに挿入してもよい。こ
れらのシグナルは、ポリペプチドに固有のものであって
もよく、または異種のシグナルであってもよい。本発明
のポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール
沈澱、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグ
ラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水
相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマト
グラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ
ーおよびレクチンクロマトグラフィーを包含する、よく
知られた方法によって組換え細胞培養物から回収および
精製できる。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフ
ィーが精製に使用される。ポリペプチドが単離および/
または精製の間に変性する場合、タンパク質を再生する
ためのよく知られた方法を用いて、活性コンホメーショ
ンを再生してもよい。
【0042】診断アッセイ 本発明はまた診断試薬として使用するための本発明のF
tsLポリヌクレオチドの使用にも関連付けられる。真
核生物、とりわけ哺乳動物、特にヒトにおけるFtsL
の検出は、疾患の診断のための診断方法を提供する。真
核生物(本明細書において「個体」とも称する)、とり
わけ哺乳動物、特にヒトがFtsL遺伝子を含む生物に
感染するか、または感染している恐れがあると、種々の
方法により核酸レベルで検出できる。診断に供する核酸
は、感染した個体の細胞および組織、例えば骨、血液、
筋肉、軟骨および皮膚より得ることができる。ゲノムD
NAは直接的に検出するのに使用できるか、または分析
に付す前にPCRもしくはその他の増幅法を用いること
により酵素的に増幅できる。RNAまたはcDNAも同
じ方法にて使用できる。増幅すると、個体に存在する原
核生物の種および株を、原核生物遺伝子の遺伝子型の分
析により特徴づけすることができる。対照配列の遺伝子
型と比較した増幅生成物の大きさの変化により、欠失お
よび挿入を検出できる。点突然変異は、増幅DNAを標
識したFtsLポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼ
ーションすることにより同定できる。完全に対合した配
列は、RNase消化により、または融解温度の差によ
り、誤対合二重らせんと区別できる。DNA配列の差は
また、変性剤と共にまたは無しでゲル中のDNAフラグ
メントの電気泳動の移動度の変化により、または直接的
なDNAの配列決定により検出できる。例えば、Myers
ら、Science,230:1242(1985)を参照のこと。特異的
な位置での配列の変化はまた、ヌクレアーゼ保護アッセ
イ、例えば、RNaseおよびS1保護または化学的切断
法によっても明らかにすることができる。例えば、Cott
onら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,85:4397-4401(198
5)を参照のこと。
【0043】本発明の遺伝子の突然変異または多型性を
担持する細胞はまた、種々の技術により、DNAレベル
で、例えばセロタイピングすることにより検出できる。
例えば、RT−PCRを用いて突然変異を検出すること
ができる。RT−PCRを自動検出系、例えばGeneSc
an等と組み合わせて用いるのが特に好ましい。RNAま
たはcDNAもまた同じ目的でPCRまたはRT−PC
Rに用いることができる。一例として、FtsLをコー
ドする核酸に相補的なPCRプライマーを用いて突然変
異を同定および分析することができる。本発明はさらに
5’および/または3’末端より除去した1、2、3ま
たは4個のヌクレオチドを含むこれらプライマーを提供
する。これらのプライマーを用いて、とりわけ、個体に
由来するサンプルから単離したFtsL DNAを増幅
することができる。該プライマーを用いて、感染した個
体から単離した遺伝子を増幅してもよく、ついで、該遺
伝子をDNA配列を調べるための種々の技法に供するこ
とができる。このように、DNA配列における突然変異
を検出し、これを用いて感染を診断し、感染性物質をセ
ロタイプおよび/または分類することができる。
【0044】本発明はさらに、疾患、好ましくは細菌感
染、さらに好ましくはストレプトコッカス・ニューモニ
エによる感染、および最も好ましくは中耳炎、結膜炎、
肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜
炎、最も好ましくは脳脊髄液の感染のような髄膜炎の診
断方法であって、表1[配列番号1]の配列を有するポ
リヌクレオチドの発現レベルの上昇を、個体由来のサン
プルから決定することを特徴とする方法を提供する。F
tsLポリヌクレオチドの発現の増加または低下は、ポ
リヌクレオチドの定量法として当該分野で周知の方法で
ある任意の方法、例えば増幅、PCR、RT−PCR、
RNase保護、ノーザンブロッティングおよびその他の
ハイブリダイゼーション法を用いて測定できる。
【0045】加えて、正常対照組織サンプルと比較して
FtsLタンパク質の過剰発現を検出するための本発明
による診断アッセイを用いて、例えば感染の存在を検出
することができる。宿主由来のサンプル中のFtsLタ
ンパク質のレベルを決定するために用いることができる
アッセイ技法は、当業者に周知である。このようなアッ
セイ法は、ラジオイムノアッセイ、競合的結合アッセ
イ、ウェスタンブロット分析およびELISAアッセイ
を包含する。
【0046】抗体 本発明のポリペプチドもしくはその変種、またはそれら
を発現する細胞は、このようなポリペプチドに免疫特異
的な抗体を産生する免疫原として用いることができる。
本明細書で用いる「抗体」は、モノクローナルおよびポ
リクローナル抗体、キメラ、一本鎖、サル化抗体および
ヒト化抗体、ならびにFab免疫グロブリン発現ライブ
ラリーの生成物を包含するFabフラグメントを包含す
る。本発明のポリペプチドに対して生じる抗体は、ポリ
ペプチドまたはエピトープが付いたフラグメント、アナ
ログまたは細胞を、好ましくはヒト以外の動物に、慣用
的プロトコルを用いて投与することにより得ることがで
きる。モノクローナル抗体を調製する場合、連続的細胞
系培養により産生される抗体を提供する当業者周知の技
術を用いることができる。例えば、Kohler,G.およびMi
lstein,C.,Nature,256:495-497(1975);Kozborら、I
mmunology Today,4:72(1983);Coleら、Monoclonal
Antibodies and Cancer Therapy,Alan R Liss,Inc.、77
-96頁(1985)に記載されるような種々の技法が挙げら
れる。
【0047】一本鎖抗体を製造するための技術(米国特
許第4946778号)を用いて、本発明のポリペプチ
ドに対する一本鎖抗体を産生することができる。また、
トランスジェニックマウスまたは他の生物、例えば他の
哺乳動物を用いて、ヒト化抗体を発現させることができ
る。別法として、ファージディスプレイ(phage displa
y)技法を利用して、抗FtsLを保持することについ
てスクリーニングしたヒト由来のリンパ球のPCR増幅
したv遺伝子のレパートリー由来の、または無処理のラ
イブラリー由来のポリペプチドに対する結合活性を有す
る抗体遺伝子を選択してもよい(McCafferty,J.ら、Nat
ure 348:552-554(1990);Marks,J.ら、Biotechnology
10:779-783(1992))。これらの抗体の親和性はチェイ
ンシャフリング(chain shuffling)により改善するこ
ともできる(Clackson,T.ら、Nature 352:624-628(199
1))。二つの抗原結合ドメインが存在する場合、各ド
メインは異なるエピトープに向けることができ、それを
「二特異性」抗体と称する。前記の抗体を用いてポリペ
プチドを発現するクローンを単離または同定することが
でき、アフィニティークロマトグラフィーにより該ポリ
ペプチドを精製することができる。
【0048】従って、とりわけ、FtsLポリペプチド
に対する抗体を用いて、感染、とりわけ細菌感染、特に
中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿
胸および心内膜炎、最も好ましくは、例えば、脳脊髄液
の感染のような髄膜炎を治療することができる。ポリペ
プチド変種は、本発明の特定の態様を形成する、抗原
的、エピトープ的または免疫学的に等価な変種を包含す
る。本明細書で用いる「抗原的に等価な誘導体」なる用
語は、本発明に係るタンパク質またはポリペプチドに対
して誘起された場合、病原体および哺乳動物宿主間での
即時的な物理的相互作用を妨害するある種の抗体により
特異的に認識されるポリペプチドまたはその同等物を包
含する。本明細書で用いる「免疫学的に等価な誘導体」
なる用語は、脊椎動物において抗体を誘起させるのに適
した処方を用いた場合、抗体が病原体および哺乳動物宿
主間での即時的な物理的相互作用を妨害するように作用
するペプチドまたはその等価物を包含する。
【0049】ポリペプチド、例えば抗原的、免疫学的に
等価な誘導体、またはその融合タンパク質は、マウスま
たは他の動物、例えばラットもしくはニワトリを免疫す
るための抗原として使用される。融合タンパク質はポリ
ペプチドに安定性を付与できる。抗原は、例えば抱合す
ることにより、免疫原性キャリヤタンパク質、例えばウ
シ血清アルブミン(BSA)またはキーホール・リムペ
ット・ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin:K
LH)に結合させることができる。別法として、タンパ
ク質もしくはポリペプチド、またはその抗原的もしくは
免疫学的に等価なポリペプチドの多重コピーを含む多重
抗原性ペプチドは、免疫原性を改良するのに十分な抗原
性を有しており、キャリヤを使用しなくてすむ。
【0050】抗体またはその変種を修飾し、個体におけ
る免疫原性を減少させることが好ましい。例えば、個体
がヒトである場合、抗体は最も好ましくは「ヒト化」さ
れており;例えばJones,P.ら、Nature 321:522-525(19
86)またはTempestら、Biotechnology 9:266-273(199
1)に記載されているように、ハイブリドーマ由来の抗
体の相補性決定領域がヒトモノクローナル抗体に移植さ
れている。本発明のポリヌクレオチドの遺伝的免疫にお
ける使用は、好ましくは、プラスミドDNAの筋肉への
直接注射(Wolffら、Hum.Mol.Genet 1:363(1992);Ma
nthorpeら、Hum.Gene Ther.4:419(1963))、特異的タ
ンパク質キャリヤを複合させたDNAの送達(Wuら、J.
Biol Chem.264:16985(1989))、リン酸カルシウムを
用いるDNA共沈(Benvenisty & Reshef、PNAS USA 8
3:9551(1986))、種々の形態のリポソーム中へのDN
A封入(Kanedaら、Science 243:375(1989))、微粒
子爆撃(Tangら、Nature 356:152(1992);Eisenbraun
ら、DNA CellBiol.12:791(1993))およびクローン化
レトロウイルスベクターを用いたインビボ感染(Seeger
ら、PNAS USA 81:5849(1984))などの適当な送達方法
を用いる。
【0051】アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセ
イおよび分子 さらに、本発明のポリペプチドを用いて、例えば、細
胞、無細胞調製物、化学的ライブラリー、および天然産
物の混合物中の、小分子基質とリガンドとの結合を評価
することもできる。これらの基質およびリガンドは天然
の基質およびリガンドでよく、または構造上もしくは機
能上の擬似物質でもよい。例えば、Coliganら、Current
Protocols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参照
のこと。本発明はまた、FtsLポリペプチドまたはポ
リヌクレオチドの作用、特に静菌および/または殺菌性
である化合物の作用を亢進(アゴニスト)または遮断
(アンタゴニスト)する化合物を同定するために化合物
をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニング
方法には高処理量(high−throughput)技術が包含され
る。例えば、アゴニストまたはアンタゴニストをスクリ
ーニングするために、FtsLポリペプチドおよびかか
るポリペプチドの標識基質またはリガンドを含んでなる
合成反応混合物、膜、細胞エンベロープもしくは細胞壁
のごとき細胞コンパートメント、またはそれらのいずれ
かの調製物を、FtsLアゴニストまたはアンタゴニス
トであるかもしれない候補分子の存在下または不在下で
インキュベーションする。候補分子がFtsLポリペプ
チドに作動または拮抗する能力は、標識リガンドの結合
の低下またはかかる基質からの生成物の生成低下に反映
される。結合しても影響を及ぼさない分子、すなわちF
tsLポリペプチドの効果を誘起しない分子は、ほとん
どの場合、良好なアンタゴニストであろう。よく結合
し、基質からの生成物の生成速度を高める分子はアゴニ
ストである。基質からの生成物の生成速度またはレベル
の検出はリポーターシステムを用いることにより増強で
きる。この点に関して有用なリポーターシステムは、生
成物に転換される比色標識基質、FtsLポリヌクレオ
チドまたはポリペプチド活性の変化に応答するリポータ
ー遺伝子、および当該分野で公知の結合アッセイを包含
するが、これらに限定するものではない。
【0052】FtsLアンタゴニストのアッセイの別の
例は、競争阻害アッセイに適した条件下で、FtsLお
よび潜在的なアンタゴニストを、FtsL結合分子、組
換えFtsL結合分子、天然基質もしくはリガンド、ま
たは基質もしくはリガンド擬似物質と混合する、競合ア
ッセイである。FtsLを例えば放射活性または比色化
合物により標識し、結合分子に結合した、または生成物
に変換したFtsL分子の数を正確に決定して、潜在的
なアンタゴニストの効果を評価できる。潜在的なアンタ
ゴニストは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドに結合し、それによりその活性を阻害し、消滅させ
る小有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体を包
含する。潜在的アンタゴニストはまた、FtsL誘発活
性を誘導しない結合分子のような、結合分子の同一部位
に結合し、FtsLを結合より排除することによりFt
sLの作用を妨げる、密接に関連したタンパク質または
抗体のような小有機分子、ペプチド、ポリペプチドであ
るかもしれない。
【0053】潜在的なアンタゴニストは、ポリペプチド
の結合部位に結合して占領し、それにより細胞性結合分
子への結合を防御して、正常な生物学的活性を防御する
小分子を包含する。小分子の例は、小有機分子、ペプチ
ド、ペプチド様分子を包含するが、これらに限定するも
のではない。その他の潜在的なアンタゴニストはアンチ
センス分子を包含する(これらの分子についての記載に
関しては、Okano,J.,Neurochem. 56:560(1991);Oli
godeoxynucleotides as Antisense Inhibitorsof Gene
Expression,CRCプレス、ボッカラートン、フロリダ
州(1988)を参照のこと)。好ましい潜在的アンタゴニ
ストは、FtsLに関連する化合物およびその変種を包
含する。
【0054】本明細書で得られるDNA配列は、各々、
抗菌化合物の発見および開発に用いることができる。発
現時に、コードされたタンパク質は、抗菌薬物をスクリ
ーニングするための標的として用いることができる。加
えて、コードされたタンパク質もしくはShine-Delgarno
または他の個々のmRNAの翻訳容易化配列のアミノ末
端領域をコードするDNA配列を用いて、目的とするコ
ーディング配列の発現を調節するアンチセンス配列を構
築することができる。本発明はまた、感染の続発症に関
与する、病原体および哺乳動物宿主間の最初の物理的相
互作用を妨害するための、本発明のポリペプチド、ポリ
ヌクレオチドまたは阻害物質の使用を提供する。特に本
発明の分子を;細菌、特にグラム陽性菌の内在デバイス
上の哺乳動物細胞外マトリックスタンパク質、または創
傷部の細胞外マトリックスタンパク質への付着の防御;
例えば、哺乳動物チロシンキナーゼのリン酸化の開始に
より、FtsLタンパク質介在の哺乳動物細胞侵入の遮
断(Rosenshineら、Infect.Immun.60:2211(1992));哺乳
動物細胞外マトリックスタンパク質と組織損傷を媒介す
る細菌性FtsLタンパク質との間の細菌付着の遮断;
内在デバイスの埋め込みまたは他の外科的手技以外によ
り開始した感染における病因の通常の進行の遮断に使用
することができる。
【0055】本発明のアンタゴニストおよびアゴニスト
を用いて、例えば、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄
膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も好ましく
は、例えば、脳脊髄液の感染のような髄膜炎を阻害し、
治療することができる。ヘリコバクター・ピロリ(Hel
icobacter pylori)(本明細書中、エッチ・ピロリとも
いう)菌は、胃癌、潰瘍、胃炎を発病している世界中の
人々の3分の1以上の胃に感染している(国際癌研究機
関(International Agency for Research on Cance
r)(1994)Schistomoses,Liver Flukes and Heli
cobacterPylori(International Agency for Resea
rch on Cancer,Lyon,France;http://www.uic
c.ch/ecp/ecp2904.htm))。さらに、この国際癌研
究機関は、最近になって、ヘリコバクター・ピロリと胃
腺癌の間の因果関係を認識し、その細菌をグループI
(限定的)発癌物質と分類した。本発明により提供され
るスクリーン法を用いて見出された本発明の好ましい抗
菌化合物(FtsLのアゴニストおよびアンタゴニス
ト)、特に広域スペクトルの抗生物質は、ヘリコバクタ
ー・ピロリ感染の治療にて有用である。このような治療
はヘリコバクター・ピロリ誘発性癌、例えば胃腸癌の出
現を減少させる。かかる治療はまた胃潰瘍および胃炎も
治癒する。
【0056】ワクチン 本発明の別の態様は、個体、特に哺乳動物における免疫
学的応答を誘発する方法であって、抗体および/または
T細胞免疫応答を生成するのに適当なFtsL、または
そのフラグメントもしくは変種を個体に接種し、該個体
を感染、特に細菌感染、最も好ましくはストレプトコッ
カス・ニューモニエ感染から防御することからなる方法
に関する。さらに、そのような免疫学的応答による細菌
複製を遅らせる方法も提供する。本発明のさらにもう一
つ別の態様は、個体における免疫学的応答を誘発する方
法であって、in vivoでFtsLまたはそのフラグメン
トまたは変種を発現するために、該FtsLまたはその
フラグメントまたは変種の発現を指向する核酸ベクター
を該個体にデリバリーし、例えば、サイトカイン産生T
細胞または細胞毒性T細胞を含め、抗体および/または
T細胞免疫応答を生じさせるように免疫学的応答を誘発
し、該個体にて疾患が既に確立されているか、否かにか
かわらず該個体を疾患から保護することからなる方法に
関する。遺伝子を投与する一の方法は、粒子等のコーテ
ィングとして遺伝子を所望の細胞に投与することによる
ものである。このような核酸ベクターはDNA、RN
A、修飾核酸またはDNA/RNAハイブリッドからな
っていてもよい。
【0057】本発明のさらなる態様は、その中に免疫学
的応答を誘発する能力を有するか、または誘発している
個体に導入されると、その個体においてFtsLまたは
それからコードされるタンパク質に対する免疫学的応答
を誘発する免疫学的組成物であって、該FtsLまたは
それからコードされるタンパク質の抗原をコードし、発
現するDNAを含む組換えFtsLまたはそれからコー
ドされるタンパク質からなる組成物に関する。免疫学的
応答は、治療的および予防的に使用でき、抗体免疫また
はCTLまたはCD4+T細胞から生ずるような細胞免
疫から得ることができる。
【0058】FtsLポリペプチドまたはそのフラグメ
ントは、それ自体抗体を産生しないが、第一タンパク質
の安定化ならびに免疫原性および保護特性を有するであ
ろう融合タンパク質の産生能を有する補タンパク質(co
−Protein)と融合させることができる。このような融
合組換えタンパク質は、好ましくは、さらに、ヘモフィ
ラス・インフルエンザ(Hemophilus influenzae)から
のリポプロテインD、グルタチオン−S−トランスフェ
ラーゼ(GST)またはベータガラクトシダーゼのよう
な抗原性補タンパク質、タンパク質を可溶化し、その産
生および精製を容易にするような比較的大きい補タンパ
ク質からなる。さらに、補タンパク質は、免疫系の汎化
した刺激を与える上で、アジュバントとして作用でき
る。補タンパク質は第一タンパク質のアミノまたはカル
ボキシ末端のいずれかに結合してもよい。本発明は、本
発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよび、Sa
to,Y.ら,Science,273:352(1996)に記載されるよう
な免疫刺激DNA配列からなる組成物、特にワクチン組
成物および方法を提供する。
【0059】また、本発明は、ストレプトコッカス・ニ
ューモニエ感染の動物モデルにおけるそのような遺伝的
免疫実験において使用したDNA構築物中で細菌細胞表
面タンパク質の非可変領域をコードすることが明らかに
された記載のポリヌクレオチドまたはその特定のフラグ
メントを使用する方法も提供するもので、予防的または
治療的免疫応答を起こさせることのできるタンパク質エ
ピトープの同定に特に有用である。この方法により、動
物、とりわけヒトにおける細菌感染、特にストレプトコ
ッカス・ニューモニエ感染の予防剤または治療剤の開発
のために、動物の必要な器官から感染の抵抗または除去
に特に有用なモノクローナル抗体を産生させることがで
きる。該ポリペプチドを宿主を免疫化するための抗原と
して用い、例えば、損傷組織への細菌の付着を遮断する
ことにより、細菌の侵入に拮抗する特異抗体を生じさせ
ることができる。組織損傷の例としては、例えば、機械
的、化学的または熱的損傷による、または内在装置の移
植による皮膚や結合組織の傷、あるいは口、乳腺、子宮
または膣のような粘膜における傷が挙げられる。
【0060】本発明はまた、本発明の免疫原性組換えタ
ンパク質と、適当な担体とからなるワクチン処方も包含
する。タンパク質は胃で破壊されうるので、非経口的投
与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、皮内等の投与を包
含する)が望ましい。非経口投与に適した処方は、抗酸
化剤、緩衝剤、抗菌剤、およびその処方を個体の体液、
好ましくは血液と等張にする溶質を含有してもよい、水
性および非水性滅菌注射溶液;懸濁化剤または増粘剤を
含有してもよい、水性および非水性滅菌懸濁液を包含す
る。処方は、単位投与または複数投与用コンテナ、例え
ば、密封されたアンプルおよびバイアルにて提供され、
使用直前に滅菌液体担体を添加するだけでよい凍結乾燥
状態で貯蔵することができる。ワクチン処方はまた、水
中油系のごとき処方の免疫原性を高めるアジュバント系
および当該分野において知られている他の系を有しても
よい。投与量はワクチンの比活性に依存し、慣用的実験
操作によって容易に決定できる。本発明をある種のFt
sLタンパク質について記載したが、この記載は天然の
タンパク質のフラグメントおよび組換えタンパク質の免
疫原性を実質的に変化させない付加、欠失、置換を有す
る同様なタンパク質も包含することが理解されるであろ
う。
【0061】組成物、キットおよび投与 本発明はまた、上記したポリヌクレオチドまたはポリペ
プチドあるいはそれらのアゴニストまたはアンタゴニス
トからなる組成物に関する。本発明のポリペプチドは、
対象への投与に適した医薬担体のような細胞、組織また
は器官用の非滅菌または滅菌担体と組み合わせて使用で
きる。かかる組成物は、例えば、媒体添加または治療上
有効量の本発明のポリペプチドと、医薬上許容される担
体または賦形剤を含有してなる。かかる担体は、限定す
るものではないが、食塩水、緩衝食塩水、デキストロー
ス、水、グリセロール、エタノールおよびその組み合わ
せを包含する。処方は投与方法に適していなければなら
ない。本発明は、さらには、上記した本発明の組成物の
一またはそれ以上の成分を充填した、一またはそれ以上
の容器を有してなる診断および医薬用パックおよびキッ
トに関する。
【0062】本発明のポリペプチドおよび他の化合物
を、単独で、または、治療用化合物などの他の化合物と
組み合わせて用いてもよい。該医薬組成物は、例えば、
局所、経口、経肛門、経膣、静脈内、腹腔内、筋肉内、
皮下、経鼻、経皮等を含む、いずれかの有効な、都合の
よい方法で投与される。治療および予防において、活性
成分は個体に注射用組成物、例えば、滅菌水性分散液、
好ましくは等張の水性分散液として投与される。また、
組成物は、例えば、軟膏、クリーム、ローション、眼軟
膏、点眼剤、点耳剤、マウスウォッシュ、含浸包帯およ
び縫合糸ならびにエアゾルの形態の局所用処方とするこ
とができ、適当な通常の添加剤、例えば、保存料、薬剤
浸透を助ける溶媒、軟膏やクリームにおけるエモリエン
ト等を含むことができる。そのような局所用処方はま
た、適合する通常の担体、例えば、クリームまたは軟膏
基剤、ローション用のエタノールまたはオレイルアルコ
ールも含有することができる。このような担体は、処方
全量に対して約1〜98重量%、通常、約80重量%ま
で含有できる。
【0063】哺乳動物、特にヒトに投与するには、1日
の活性薬剤の用量は、0.01mg/kg〜10mg/
kg、典型的には約1mg/kgである。いずれにして
も、個体に最も適した実際の用量は医者により決定さ
れ、個体の年齢、体重および応答により変化する。上記
の用量は、平均的な場合の例示である。もちろん、より
高いまたは低い用量範囲が適当な個体もあり、それらも
本発明の範囲内である。内在装置には外科移植、補綴お
よびカテーテル、すなわち、個体の体内に導入され、そ
の位置に長時間止まる装置が包含される。例えば、その
ような装置としては、人工関節、心臓弁、ペースメーカ
ー、血管グラフト、血管カテーテル、脊髄液シャント、
尿カテーテル、連続歩行腹膜透析(continuous ambulat
ory peritoneal dialysis:CAPD)カテーテルが挙
げられる。
【0064】本発明の組成物は、内在装置の挿入の直前
に関連する細菌に対する全身的効果を達成するために注
射で投与できる。治療は、手術の後、装置が体内にある
間継続できる。加えて、組成物は、細菌の傷汚染、特
に、ストレプトコッカス・ニューモニエの傷汚染を防止
するために、いずれの手術用の手術周辺カバーの拡張に
も使用できる。多くの整形外科医は、補綴関節を有する
ヒトは、菌血症を生じ得る歯の治療前に抗生物質による
予防を考慮すべきと考えている。後の重い感染は、重篤
な合併症となり、時に、補綴関節の損失および著しい罹
病率、致死率を伴う。したがって、該活性物質を、この
状況の予防的抗生物質の代替品として使用することにま
で拡張することができる。
【0065】上記した治療に加えて、本発明の組成物
は、一般に、傷組織に露出したマトリックス・タンパク
質への細菌付着を予防するための傷治療剤、抗生物質予
防に代え、あるいは共に、歯の治療における予防的用途
に使用できる。別法として、本発明の組成物は挿入直前
に内在装置を浸すのに使用できる。該活性物質は、傷ま
たは内在装置を浸する場合、1μg/ml〜10μg/
mlの濃度で使用できる。ワクチン組成物は、都合よく
は、注射剤の形態である。通常のアジュバントを使用し
て免疫応答を促進できる。ワクチン用の適当な単位投与
量は抗体0.5〜5μg/kgであり、この用量を、好
ましくは1〜3週間の間隔で1〜3回投与する。指示し
た用量範囲で、本発明の化合物では、その化合物の適当
な個体への投与を妨げる、有害な毒作用は何も観察され
ない。本明細書に開示の引例は出典明示によりその内容
を本明細書の一部とする。本願が優先権を主張するいず
れの特許出願もまた出典明示により本明細書の一部とす
る。
【0066】
【実施例】以下の実施例は、別に詳細に記載したこと以
外は、当業者に周知で慣用的な標準的な技法を用いて実
施する。実施例は例示であって、本発明を限定するもの
ではない。
【0067】実施例1 株の選択、ライブラリーの製
造および配列決定 配列番号:1に示すDNA配列を有するポリヌクレオチ
ドは、エシェリキア・コリにおけるストレプトコッカス
・ニューモニエの染色体DNAのクローンライブラリー
より得た。重複するストレプトコッカス・ニューモニエ
DNAを含有する2個またはそれ以上のクローンからの
配列データを用いて、配列番号:1の連続したDNA配
列を構築した。ライブラリーは常套手段、例えば以下の
方法1および2により製造してもよい。全細胞DNAを
ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993よ
り、標準法に従って単離し、二つの方法のいずれかによ
りサイズ分画する。
【0068】方法1 標準的方法に従ってサイズ分画するために、全細胞DN
Aをニードルに通して機械的に剪断する。11kbpま
での大きさのDNAフラグメントをエキソヌクレアーゼ
およびDNAポリメラーゼで処理することによって平滑
末端とし、EcoRIリンカーを付加する。フラグメン
トを、EcoRIで切断したベクター、ラムダZapI
Iに連結し、標準的方法によりライブラリーをパッケー
ジングし、次いでパッケージングしたライブラリーでエ
シェリキア・コリを感染させる。ライブラリーを標準方
法により増幅させる。
【0069】方法2 全細胞DNAをライブラリーベクターにクローニングす
るための一連のフラグメントを得るのに適当な1つの制
限酵素(例えば、RsaI、PalI、AluI、Bs
hl235I)またはその組み合わせで部分的に加水分
解し、かかるフラグメントを標準的方法に従ってサイズ
分画する。EcoRIリンカーをDNAに連結し、次い
でそのフラグメントをEcoRIで切断したベクター、
ラムダZapIIに連結し、標準的方法によりライブラ
リーをパッケージングし、パッケージングしたライブラ
リーでエシェリキア・コリを感染させる。ライブラリー
を標準方法により増幅させる。
【0070】
【配列表】
(1)一般的情報: (i)出願人:ホッジソン,ジョン・イー (ii)発明の名称: 新規FtsL (iii)配列の数:2 (iv)連絡先: (A)宛名: デチャート・プライス&ローズ (B)通り名: 4000・ベル・アトランティック・
タワー、1717アーク・ストリート (C)都市名: フィラデルフィア (D)州名: ペンシルベニア州 (E)国名: アメリカ合衆国 (F)郵便番号: 19103 (v)コンピューター・リーダブル・フォーム: (A)媒体形態:ディスケット (B)コンピューター:IBM コンパチブル (C)オペレーティングシステム:DOS (D)ソフトウェア:ウィンドウズ・バージョン2.0
用のFastSEQ (vi)現出願データ: (A)出願番号: (B)出願日: (C)分類: (vii)先の出願データ (A)出願番号: (B)出願日: (viii)代理人等の情報: (A)氏名:ディッキンソン,トッド・キュウ (B)登録番号:28,354 (C)代理人等における処理番号:P50556−1 (ix)テレコミュニケーションの情報: (A)電話番号:215−994−2252 (B)テレファックス番号:215−994−2222 (C)テレックス:
【0071】(2) 配列番号:1の情報: (i)配列の特徴: (A)配列の長さ:315塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二本 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号:1: ATGGCAGAAA AAATGGAAAA AACAGGTCAA ATACTACAGA TGCAACTTAA ACGGTTTTCG 60 CGTGTGGAAA AAGCTTTTTA CTTTTCCATT GCTGTAACCA CTCTTATTGT AGCCATTAGT 120 ATTATTTTTA TGCAGACCAA GTTCTTGCAA GTGCAGAATG ATTTGACAAA AATCAATGCG 180 CAGATAGAGG AAAAGAAAAC CGAATTGGAC GATGCCAAGC AAGAGGTCAA TGAACTATTA 240 CGTGCAGAAC GTTTGAAAGA AATTGCCAAT TCACACGATT TGCAATTAAA CAATGAAAAT 300 ATTAGAATAG CGGAG 315
【0072】(2) 配列番号:2の情報: (i)配列の特徴: (A)配列の長さ:105アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号:2: Met Ala Glu Lys Met Glu Lys Thr Gly Gln Ile Leu Gln Met Gln Leu 1 5 10 15 Lys Arg Phe Ser Arg Val Glu Lys Ala Phe Tyr Phe Ser Ile Ala Val 20 25 30 Thr Thr Leu Ile Val Ala Ile Ser Ile Ile Phe Met Gln Thr Lys Phe 35 40 45 Leu Gln Val Gln Asn Asp Leu Thr Lys Ile Asn Ala Gln Ile Glu Glu 50 55 60 Lys Lys Thr Glu Leu Asp Asp Ala Lys Gln Glu Val Asn Glu Leu Leu 65 70 75 80 Arg Ala Glu Arg Leu Lys Glu Ile Ala Asn Ser His Asp Leu Gln Leu 85 90 95 Asn Asn Glu Asn Ile Arg Ile Ala Glu 100 105
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 48/00 ABA C07K 14/315 C07K 14/315 16/12 16/12 C12P 21/02 C C12N 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/53 D C12Q 1/68 A61K 37/02 ADZ G01N 33/53 C12N 5/00 A (71)出願人 595047190 スミスクライン・ビーチャム・パブリッ ク・リミテッド・カンパニー SmithKline Beecham p.l.c. イギリス国ミドルセックス・ティーダブリ ュ8・9イーピー、ブレンフォード、ニュ ー・ホライズンズ・コート(番地の表示な し) (72)発明者 ジョン・エドワード・ホッジソン アメリカ合衆国19355ペンシルベニア州マ ルバーン、ラップ・ロード260番

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)配列番号2のアミノ酸配列からなる
    ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少
    なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド; (b)寄託株のストレプトコッカス・ニューモニエ(St
    reptococcus pneumoniae)に含まれるFtsL遺伝子に
    よって発現されるのと同じ成熟ポリペプチドをコードす
    るポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性
    を有するポリヌクレオチド; (c)配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも7
    0%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチ
    ドをコードするポリヌクレオチド; (d)該(a)、(b)または(c)のポリヌクレオチ
    ドに対して相補性のポリヌクレオチド;および (e)該(a)、(b)または(c)のポリヌクレオチ
    ドの少なくとも連続した15塩基からなるポリヌクレオ
    チド からなる群より選択されたポリヌクレオチド配列からな
    る単離ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 ポリヌクレオチドがDNAである請求項
    1記載のポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 ポリヌクレオチドがRNAである請求項
    1記載のポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 配列番号1のヌクレオチド配列からなる
    請求項2記載のポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 配列番号1に示すヌクレオチド1ないし
    315からなる請求項2記載のポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 配列番号2のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチドをコードする請求項2記載のポリヌクレオチ
    ド。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリヌクレオチドを含む
    ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のベクターを含む宿主細
    胞。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の宿主細胞からそのDNA
    によってコードされるポリペプチドを発現させることを
    特徴とするポリペプチドの製造法。
  10. 【請求項10】 FtsLポリペプチドまたはフラグメ
    ントを産生するのに十分な条件下で、請求項8記載の宿
    主を培養することを特徴とする該ポリペプチドまたはフ
    ラグメントの製造法。
  11. 【請求項11】 配列番号2のアミノ酸配列に対して少
    なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含有し
    てなるポリペプチド。
  12. 【請求項12】 配列番号2のアミノ酸配列を含有して
    なるポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項11記載のポリペプチドに対す
    る抗体。
  14. 【請求項14】 請求項11記載のポリペプチドの活性
    または発現を阻害するアンタゴニスト。
  15. 【請求項15】 FtsLポリペプチドの必要な個体の
    治療方法であって、請求項11記載のポリペプチドの治
    療上有効量を該個体に投与することからなる治療方法。
  16. 【請求項16】 FtsLポリペプチドの阻害の必要な
    個体の治療方法であって、請求項14記載のアンタゴニ
    ストの治療上有効量を該個体に投与することからなる治
    療方法。
  17. 【請求項17】 個体における請求項11記載のポリペ
    プチドの発現または活性に関係する疾患の診断方法であ
    って、該個体から由来する試料中の(a)該ポリペプチ
    ドをコードする核酸配列を測定すること;および/また
    は(b)該ポリペプチドの存在または量を分析すること
    からなる方法。
  18. 【請求項18】 請求項11記載のポリペプチドと相互
    作用し、その活性を阻害または活性化する化合物の同定
    方法であって、 スクリーニングすべき化合物が該ポリペプチドと相互反
    応できる条件下、該ポリペプチドからなる組成物を該化
    合物と接触させて、該化合物の相互反応を評価し(かか
    る相互反応は該ポリペプチドと化合物の相互反応に応じ
    て検出可能なシグナルを与えることのできる第2の成分
    に関与する);該ポリペプチドと化合物との相互反応か
    らのシグナルの有無を検出して、該化合物が該ポリペプ
    チドと相互反応し、その活性を活性化するか、阻害する
    かを測定することからなる方法。
  19. 【請求項19】 哺乳動物において免疫応答を誘導する
    方法であって、請求項11記載のFtsLポリペプチド
    あるいは抗体および/またはT細胞の免疫応答を生じさ
    せるのに適当なそのフラグメントまたは変種を該哺乳動
    物に接種し、該動物を疾患から保護する方法。
  20. 【請求項20】 哺乳動物において免疫応答を誘導する
    方法であって、請求項11記載のFtsLポリペプチド
    の発現を指向するように核酸ベクター、あるいは該Ft
    sLポリペプチドを発現するためのそのフラグメントま
    たは変種、またはin vivoで免疫学的応答を誘発
    し、抗体および/またはT細胞の免疫応答を生じさせる
    ためにそのフラグメントまたは変種をデリバリーして該
    動物を疾患から保護する方法。
JP9306297A 1996-10-01 1997-10-01 新規FtsL Withdrawn JPH10201484A (ja)

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US60/027289 1996-10-01

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