JPH1020090A - 界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理方法及びその処理装置 - Google Patents

界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理方法及びその処理装置

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JPH1020090A
JPH1020090A JP17894396A JP17894396A JPH1020090A JP H1020090 A JPH1020090 A JP H1020090A JP 17894396 A JP17894396 A JP 17894396A JP 17894396 A JP17894396 A JP 17894396A JP H1020090 A JPH1020090 A JP H1020090A
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Japan
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waste liquid
activated carbon
surfactant
radioactive substance
ozone
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JP17894396A
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English (en)
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Takashi Nishi
高志 西
Masami Matsuda
将省 松田
Tsutomu Baba
務 馬場
涼三 ▲吉▼川
Ryozo Yoshikawa
Atsushi Yukita
篤 雪田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】除染係数を向上でき、かつ二次廃棄物の発生量
を低減できる。 【解決手段】界面活性剤及び放射性物質を含む洗濯廃液
にオゾンまたは酸素をばっ気槽12で吹き込む。オゾン
または酸素を吹き込んだ後に紫外線照射槽14において
洗濯廃液に紫外線を照射する。紫外線を照射した洗濯廃
液に粉末活性炭を活性炭混合槽7で混合する。活性炭分
離乾燥装置8で洗濯廃液から粉末活性炭を除去する。 【効果】紫外線照射によって界面活性剤の一部が分解さ
れるので、洗濯廃液内への活性炭の混合時、及び活性炭
除去時における発泡を抑制できる。これは、活性炭除去
時に形成される活性炭層への気泡の巻き込みを抑制して
緻密な活性炭層を形成し、放射性物質の除染係数を向上
する。上記の界面活性剤の一部の分解は、界面活性剤除
去のための活性炭の混合量を低減し、二次廃棄物の発生
量を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤及び放
射性物質を含む廃液の処理方法及びその処理装置に係
り、特に原子力発電所の洗濯施設から発生する放射性の
洗濯廃液の処理に適用するのに好適な界面活性剤及び放
射性物質を含む廃液の処理方法及びその処理装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所内の作業者の衣類の洗濯
は、オゾン層保護の観点からドライクリニングから水洗
に移行しつつある。作業者の衣類の水洗による洗濯によ
って、有機物である洗剤成分、及び極微量の放射性物質
を含む多量の洗濯廃液が発生する。洗濯廃液は、洗剤成
分及び放射性物質を除去し、環境放出基準を満足する水
質に浄化された後に海洋等に放出される。また、原子力
発電所における手洗い水等のシャワ排水は、簡易ろ過後
に外部環境に放出されているが、洗濯廃液と一括して処
理することが望ましい。
【0003】特開昭63−85498 号公報は、放射性物質を
含む洗濯廃液を蒸発缶で濃縮し、その後、乾燥粉体化し
て焼却する洗濯廃液の処理方法を記載する。この処理方
法は、洗濯廃液中の放射能の除染係数が高く、かつ二次
廃棄物が焼却灰のみでありこの発生量が少ないという利
点がある。特開平6−43292号公報も、放射性物質を含む
洗濯廃液の処理方法を記載する。この処理方法は、洗濯
廃液に粉末活性炭を混合して洗剤成分等の有機成分を粉
末活性炭に吸着させ、その後、この粉末活性炭を連続的
にろ過分離するものである。本方法は、前述の濃縮処理
方法に比べて設備構成を単純化できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭63−85498 号公
報記載の洗濯廃液の処理方法は、大型の設備が必要であ
ると共に、人の汗に含まれる塩分による腐食のために濃
縮倍率を大きくできない。このため本処理方法は、洗濯
廃液の多量処理に適さない。このような問題が生じない
特開平6−43292号公報記載の洗濯廃液の処理方法は、界
面活性剤の除去率を大きくするためには多量の活性炭を
必要とし、二次廃棄物となる使用済みの活性炭の発生量
が増加する。この問題を解消するために洗濯廃液に混合
する活性炭の量を減らした場合には、洗濯廃液に活性炭
を混合する撹拌時、及び混合した活性炭をフィルタ等の
除去装置で除去する時に発泡が生じる。これは除染係数
の低下につながる。
【0005】本発明の目的は、除染係数を向上でき、か
つ二次廃棄物の発生量を低減できる、界面活性剤及び放
射性物質を含む廃液の処理方法及びその処理装置を提供
することにある。
【0006】本発明の他の目的は、界面活性剤の分解効
率を増加できる、界面活性剤及び放射性物質を含む廃液
の処理方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、放射性物質の除去効
率が向上する、界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の
処理方法及びその処理装置を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、活性炭の混合量を更
に低減できる、界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の
処理方法を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、処理装置を単純化で
きる、界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理方法
及びその処理装置を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、二次廃棄物となる活
性炭を処理しやすい状態にすることができ、かつ放射性
廃液の処理装置をコンパクト化できる、界面活性剤及び
放射性物質を含む廃液の処理方法及びその処理装置を提
供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、外部に放出される廃
液に含まれる放射性物質の量を著しく低減できる、界面
活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理方法及びその処
理装置を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、活性炭を簡単にろ過
手段から取り除くことができる、界面活性剤及び放射性
物質を含む廃液の処理方法及びその処理装置を提供する
ことにある。
【0013】本発明の他の目的は、発生する放射性廃棄
物の量を著しく低減できる、界面活性剤及び放射性物質
を含む廃液の処理方法及びその処理装置を提供すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する請
求項1の発明の特徴は、界面活性剤及び放射性物質を含
む廃液にオゾンまたは酸素を吹き込みながら、あるいは
オゾンまたは酸素を吹き込んだ後に紫外線を照射し、そ
の後、この廃液に活性炭を混合し、前記廃液から前記活
性炭及び前記放射性物質を除去することにある。
【0015】活性炭の除去の前段に紫外線照射による界
面活性剤の酸化分解処理を行うことによって、洗濯廃液
に含まれる界面活性剤の一部が分解されるので、洗濯廃
液内への活性炭の混合時、及び活性炭除去時における発
泡を抑制できる。この結果、活性炭除去時において形成
される除去された活性炭層への気泡の巻き込みが抑制さ
れて緻密な活性炭層が形成され、放射性物質の除染係数
を向上できる。洗濯廃液に含まれるイオン状の放射性物
質は、オゾンまたは酸素の存在下での紫外線照射により
固体状の酸化物になる。この固体状の酸化物は、上記の
緻密な活性炭層にて除去されるので、除染係数が更に向
上する。紫外線照射によって界面活性剤の一部を分解す
るので、界面活性剤を除去するために洗濯廃液に混合す
る活性炭の量を低減できる。従って、廃棄される使用済
の活性炭量がその分少なくなり、放射性廃棄物である二
次廃棄物の発生量を低減することにつながる。
【0016】上記他の目的を達成する請求項2の発明の
特徴は、界面活性剤及び放射性物質を含む廃液に、過酸
化水素を添加し、オゾンまたは酸素を吹き込みながら、
あるいはオゾンまたは酸素を吹き込んだ後に紫外線を照
射することにある。
【0017】過酸化水素の添加により界面活性剤の分解
反応の効率を高めることができる。活性炭の使用量が更
に少なくなり、二次廃棄物の発生量も更に低減される。
【0018】上記他の目的を達成する請求項3の発明の
特徴は、前記活性炭の前記廃液からの除去がろ過手段に
より行われることにある。
【0019】ろ過手段を用いることにより、活性炭と共
に、廃液に含まれている粒状の放射性物質を除去するこ
とができる。特に、ろ過手段の表面に蓄積された活性炭
の層が形成され、この活性炭層がろ材として機能し粒状
の放射性物質の除去効率が更に向上する。
【0020】上記他の目的を達成する請求項4の発明の
特徴は、紫外線を照射した前記廃液の有機物濃度を測定
し、測定された前記有機物濃度が設定値を超えるとき、
前記活性炭が混合される前のその廃液に対して前記オゾ
ンまたは前記酸素の吹き込み、及び紫外線照射を再度実
施することにある。
【0021】有機物濃度の測定値が設定値を超えると
き、オゾンまたは酸素の存在下で紫外線照射を再度実施
するので、廃液に残留している界面活性剤等の有機物の
分解処理を再度実施できる。従って、活性炭を混合する
洗濯廃液の有機物の含有量を低減できかつその量を実質
的に一定にできるので、活性炭の混合量をより少なくで
きる。
【0022】上記他の目的を達成する請求項5の発明の
特徴は、前記オゾンとして前記紫外線の照射に用いる紫
外線発生手段から発生するオゾンを使用することにあ
る。
【0023】紫外線発生手段で発生するオゾンを照射に
利用するので、オゾンを発生する手段を別に設ける必要
がない。このため、界面活性剤及び放射性物質を含む廃
液の処理装置の構成が単純化できる。
【0024】上記他の目的を達成する請求項6の発明の
特徴は、前記活性炭が混合された前記廃液を活性炭分離
装置内に供給し、前記活性炭分離装置内で前記廃液から
前記活性炭及び前記放射性物質を分離し、前記分離され
た活性炭及び前記放射性物質を前記活性炭分離装置内で
乾燥させ、前記乾燥した活性炭及び前記放射性物質が前
記活性炭分離装置から排出されることにある。
【0025】界面活性剤及び放射性物質を吸着した活性
炭は、活性炭分離装置内で廃液から分離されるので、界
面活性剤及び放射性物質が放射性廃液から簡単に除去で
きる。分離された活性炭が乾燥されるので、二次廃棄物
となる活性炭を処理しやすい状態、すなわち焼却等によ
る減容しやすい状態にすることができる。また、活性炭
の放射性廃液からの除去、及び分離した活性炭の乾燥
が、活性炭分離装置内で行われるので、放射性廃液の処
理装置をコンパクト化できる。
【0026】上記他の目的を達成する請求項7の発明の
特徴は、前記活性炭分離装置は容器内にろ過手段を有し
ており、前記活性炭及び前記放射性物質が前記容器内で
前記ろ過手段によって前記廃液から分離され、前記分離
された活性炭及び前記放射性物質が前記容器内で乾燥さ
れ、前記乾燥された活性炭及び放射性物質が前記容器か
ら排出されることにある。
【0027】ろ過手段を用いて活性炭を分離するので、
放射性廃液の流れに対してろ過手段の上流側に分離され
た活性炭の層が形成される。この活性炭層によって、放
射性廃液に含まれている活性炭以外の固形分(例えば、
粒子状の放射性物質など)も除去できる。このため、活
性炭分離装置から排出され外部に放出される廃液に含ま
れる放射性物質を著しく低減できる。
【0028】上記他の目的を達成する請求項8の発明の
特徴は、前記ろ過手段を回転させることによって、前記
ろ過手段に捕捉されている前記乾燥された活性炭及び放
射性物質が前記ろ過手段から取り除かれることにある。
【0029】ろ過手段を回転させることによってろ過手
段に捕捉されている活性炭に遠心力が作用する。この遠
心力の作用により、ろ過手段に捕捉されている活性炭
は、容器内面に向かって飛ばされるので、活性炭は簡単
にろ過手段から取り除くことができる。
【0030】上記他の目的を達成する請求項9の発明の
特徴は、前記排出された活性炭を焼却することにある。
【0031】活性炭を焼却することにより、二次廃棄物
の量を著しく低減できる。活性炭に吸着されている界面
活性剤等の有機物も焼却され、減容される。この結果、
界面活性剤を含む放射性廃液の処理によって、発生する
放射性廃棄物の量を著しく減少させることができる。更
に、活性炭が乾燥されているので、活性炭の焼却を、効
率良く行うことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
(実施例1)本発明の好適な一実施例である放射性洗濯
廃液処理装置を図1及び図2を用いて以下に説明する。
【0033】本実施例の放射性洗濯廃液処理装置は、廃
液収集タンク2,活性炭分離乾燥装置8,焼却炉9,オ
ゾン発生器10,ばっ気槽12,紫外線照射槽14及び
活性炭混合槽16を備える。廃液収集タンク2は管路3
によりばっ気槽12に接続される。管路4はばっ気槽1
2と紫外線ランプ13が設けられた紫外線照射槽14と
を接続する。管路5は紫外線照射槽14と廃液受けタン
ク15を連絡する。管路5に接続される管路21が、廃
液収集タンク2に連絡される。弁18が管路21に設け
られる。弁19が管路5と管路21の接続点よりも下流
側で管路5に設けられる。有機物濃度(TC)測定器1
7が管路5に設けられる。廃液受けタンク15と活性炭
混合槽16とは、管路6によって接続される。管路7は
活性炭混合槽16と活性炭分離乾燥装置8とを連絡す
る。
【0034】活性炭分離乾燥装置8の構造を図2を用い
て詳細に説明する。活性炭分離乾燥装置8は、内側容器
23、及び内側容器23を取り囲む外側容器38を有す
る。廃液供給管24及び給気管25が、外側容器38を
貫通し内側容器23に接続される。蒸気供給管28及び
蒸気排出管29が、外側容器38に接続される。ろ過装
置34が、内側容器23内に設置されている。ろ過装置
34は、回転軸36に複数のろ板26が取り付けられ
る。ろ板26は、回転軸36を取り囲むリング状の形状
を有し、回転軸36の軸方向に間隔をおいて複数設けら
れる。ろ板26は、ろ布または金網等のろ材を有し、液
体が通過できるようになっている。ろ材上にケイソウ土
等をプリコートしてもよい。回転軸36は、上下端部で
内側容器23を貫通している。これらの貫通部におい
て、回転軸36と内側容器23との間は、シールがなさ
れている。このため、内側容器23の気密性が保たれ
る。回転軸36は、外側容器38の上端部に設けられた
軸受37、及び外側容器38の下端部に設けられた軸受
(図示せず)により回転可能に支持される。モーター3
2が、外側容器38の外側に配置される。モーター32
の回転力は、伝達装置(図示せず)によって、外側容器
38より下方に伸びている回転軸36の部分に伝えられ
る。ろ過物排出機33が、内側容器23内で最下部に位
置するろ板26より下方に設けられる。活性炭排出管3
1が、内部容器23に接続される。ろ液排出管30が、
内側容器23に接続される。管路22がろ液排出管30
に接続される。管路40は、活性炭排出管31に接続さ
れる。
【0035】また活性炭分離乾燥装置8の替りにロータ
リーフィルター,ヌッチェ式濾過装置及びヘリカルフィ
ルター等の吸引式連続濾過装置を用いてもよい。
【0036】洗濯設備1は、原子力発電所内で働く作業
者の作業服等の衣類を洗濯する。洗濯設備1で発生した
界面活性剤及び放射性物質を含む洗濯廃液は、廃液収集
タンク2に集められる。
【0037】廃液収集タンク2内の洗濯廃液は、ばっ気
槽12へと送られる。オゾン発生器10で発生したオゾ
ンは、オゾン供給管11によりばっ気槽12内に吹き込
まれる。ここで、オゾンの一部が洗濯廃液に溶解する。
オゾンを溶解した洗濯廃液は、ばっ気槽12から紫外線
照射槽14へ導かれる。洗濯廃液は、紫外線ランプ13
から発する紫外線を照射される。紫外線ランプ13とし
ては、光の利用効率の高い低圧水銀灯が適している。紫
外線照射による溶解したオゾンの光分解によって生成さ
れるヒドロキシラジカルが、洗濯廃液に含まれている界
面活性剤を酸化分解する。紫外線照射槽14から吐出さ
れた洗濯廃液の有機物濃度(C1)が、有機物濃度測定
器17によってモニターされる。この測定値は、廃液放
出制御装置20に入力される。廃液放出制御装置20
は、測定値(C1)と有機物濃度の設定値(C0)とを
比較し、C1>C0のとき弁18を開き弁19を閉じ
る。紫外線照射槽14から吐出された洗濯廃液は、廃液
収集タンク2に戻され、紫外線照射槽14において界面
活性剤の分解処理が再度実施される。C1≦C0のと
き、廃液放出制御装置20は弁18を閉じ弁19を開
く。紫外線照射槽14から吐出された洗濯廃液は、廃液
受けタンク15に導かれる。設定値(C0)は、活性炭
処理において発泡せず、活性炭分離乾燥装置8から外部
環境に放出される廃液の有機物濃度の放出基準を満たす
ことができる有機物負荷から設定される設定値である。
【0038】弁18及び19の替りに一個の三方弁を用
いてもよい。三方弁は管路5に設けられ、管路21が三
方弁の1つの開口に接続される。三方弁によって接続す
る管路の切り替えは、廃液放出制御装置20によって上
記と同様に行われる。
【0039】オゾンの替りに酸素ガスをばっ気槽12内
に吹き込むことによっても、オゾンと同様に有機物であ
る界面活性剤の酸化分解が可能である。この場合、オゾ
ン発生器10の替りに酸素ボンベをばっ気槽12に接続
する。
【0040】紫外線照射槽14内での紫外線照射による
界面活性剤の酸化分解処理を詳細に説明する。
【0041】ばっ気槽12でのオゾンの洗濯廃液への溶
解を行わずに紫外線照射槽14内での紫外線照射を行っ
た場合は、洗濯廃液に含まれる水の分解により生成され
るヒドロキシラジカルが酸化剤として働く。しかし、水
の吸収波長が185nmであるため、紫外線の利用率が
著しく低い。
【0042】 H2O + hν → OH・ + H・ ……(1) また、逆にオゾンを洗濯廃液に溶解させて紫外線照射を
行わない場合は、オゾンの酸化力は選択的であり分解困
難な有機物がある。オゾンを洗濯廃液に溶解させて紫外
線照射を行わない界面活性剤の処理では、界面活性剤を
有機酸に分解することは可能であるが、界面活性剤を炭
酸ガスと水に完全に分解することができないことを実験
的に確認した。
【0043】本実施例のようにオゾンの溶解と紫外線照
射を組み合わせた場合、水に溶解したオゾンが紫外線に
より分解してヒドロキシラジカルを生成するが、本反応
の量子収率が260nm付近で最大となる。水銀ランプ
のような一般的な紫外線源から出る紫外線の利用効率が
極めて高くなる。
【0044】 O3 + hν → O2 + O・ ……(2) O・ + H2O → 2HO・ ……(3) 従って、オゾンの溶解と紫外線照射を組み合わせること
により、効率的な界面活性剤の酸化分解が可能となる。
【0045】更に、過酸化水素を添加することにより、
界面活性剤の分解効率を高めることができる。これは、
過酸化水素が紫外線により分解してヒドロキシラジカル
を生成するからである。過酸化水素はばっ気槽12にお
いて洗濯廃液に添加することが可能である。また、管路
16で過酸化水素を洗濯廃液に添加してもよい。
【0046】 H22 + hν → 2HO・ ……(4) これらの酸化処理は、酸化剤添加による処理と比較し
て、薬剤を廃液中に残留させないクリーンな処理が可能
となる。
【0047】洗濯廃液は、更に活性炭混合槽16へ送ら
れ粉末活性炭と混合される。ここで洗濯廃液に含まれて
いる界面活性剤(紫外線照射槽14内で分解されなかっ
た界面活性剤)は活性炭に吸着される。次に活性炭と洗
濯廃液が活性炭分離乾燥装置8で分離される。洗濯廃液
に含まれている放射性物質(酸化鉄等)は、主に粒子状
であり、活性炭分離乾燥装置8内で洗濯廃液から分離除
去される。
【0048】活性炭分離乾燥装置8の作用を以下に詳細
に説明する。活性炭混合槽16から吐出された洗濯廃液
は、管路7を介して活性炭分離乾燥装置8の内側容器2
3内に導かれる。洗濯廃液は、内側容器23内を上方よ
り下方に向かって流下する。洗濯廃液に含まれる粉末活
性炭、及び粒子状の放射性物質は、ろ板26によってろ
過分離される。分離された粉末活性炭、及び粒子状の放
射性物質は、ろ板26の上面にろ過物35として蓄積さ
れケーキ層を形成する。粉末活性炭,界面活性剤及び放
射性物質が除去されて浄化された洗濯廃液は、ろ液排出
管30から排出されて管路22を通って外部環境に排出
される。このような洗濯廃液の処理は、ろ板26上のろ
過物35の厚みが設定された厚みになるまで行われる。
【0049】ろ過物35の厚みが設定厚みに達したと
き、分離された粉末活性炭及び粒子状の放射性物質の乾
燥処理が行われる。ろ過物35の厚みが設定厚みに達し
たことは、例えば、回転軸36の下端部に荷重計を設け
ることによって計測できる。その乾燥処理は、内側容器
23と外側容器38との間に形成されるジャケット27
内に加熱蒸気(または温水)を蒸気供給管28から供給
すると共に、給気管25から乾燥空気を内側容器23内
に供給することにより行う。乾燥空気は、給気管25に
達する前に、除湿された空気を、ジャケット27内に供
給される加熱蒸気によって加熱されることによって得ら
れる。乾燥処理によって、ろ板26上の粉末活性炭及び
粒子状の放射性物質に付着している水分が蒸発する。ジ
ャケット27内に供給された加熱蒸気は、蒸気排出管2
9から排出される。内側容器23内に供給された乾燥空
気、及びろ板26上の粉末活性炭及び粒子状の放射性物
質を乾燥することにより発生した蒸気は、ろ液排出管3
0から排出され、廃液受けタンク15に導かれる。蒸気
は廃液受けタンク15内の廃液によって凝縮される。
【0050】乾燥処理時において、ろ液排出管30に設
けられた湿度計(図示せず)にて計測された排気空気の
湿度が設定値以下になったとき、給気管25からの乾燥
空気の供給を停止し、モーター32を駆動する。排気空
気の湿度が設定値以下になったことは、ろ板26上の粉
末活性炭及び粒子状の放射性物質が乾燥されたことを示
している。これらの粉末活性炭及び粒子状の放射性物質
の乾燥状態は、湿度計の替りに温度計をろ液排出管30
に設け排気空気の温度を計測することによっても確認で
きる。モーター32の駆動により、回転軸36が回転
し、同時にろ板26も回転する。ろ板26上のろ過物3
5に遠心力が作用し、ろ過物35がろ板26から剥離さ
れる。剥離されたろ過物35は、内側容器23内で下部
に落下し、ろ過物排出機33により活性炭排出管31に
排出される。このろ過物35、すなわち乾燥された粉末
活性炭及び粒子状の放射性物質は、活性炭排出管31に
接続される管路40を通して図示されていないがドラム
缶内に充填される。このドラム缶内の乾燥された粉末活
性炭は、焼却炉9内に投下され、ここで焼却される。
【0051】本実施例は、紫外線を用いた酸化分解処理
と活性炭による界面活性剤の吸着とを併用しているの
で、活性炭処理の有機物負荷を低減し、活性炭の使用量
を低減できる。これによって、二次廃棄物である廃活性
炭の発生量を低減することができる。また、本実施例の
酸化分解処理は、オゾン(または酸素)および紫外線を
使用するが、これらは二次廃棄物を副生させない。本実
施例は、具体的にはオゾンおよび紫外線を用いた洗濯廃
液の処理により、洗濯廃液に含まれる界面活性剤の90
%以上を分解できる。このため二次廃棄物の量を1/1
0以下に低減できる。特に、オゾンおよび紫外線を用い
た酸化処理は、酸化剤を用いる酸化処理とは異なり有害
な残留物及び副生成物が発生しないクリーン名処理であ
る。界面活性剤は炭酸ガスと水に完全に分解される。
【0052】また、活性炭混合の前段に紫外線を用いた
酸化分解を配置することにより、洗濯廃液に含まれる界
面活性剤の一部が紫外線を用いた酸化分解により分解さ
れるので、その後の活性炭と洗濯廃液との混合時及びろ
板26による粉末活性炭除去時における発泡現象が抑制
される。このため、洗濯廃液中への気泡の巻き込みが防
止できる。この結果、ろ板26による粉末活性炭除去時
においてろ板26上面にろ過物35として蓄積されたケ
ーキ層(除去された粉末活性炭層)内への気泡の巻き込
みが防止でき、緻密なケーキ層が形成される。緻密なケ
ーキ層の形成は、洗濯廃液に含まれる放射性の鉄酸化粒
子(クラッド)の捕捉性能を向上させる。この作用は洗
濯廃液に加える粉末活性炭量が少ないほど顕著に現れる
ので、粉末活性炭の添加量を低減できる。これは使用済
粉末活性炭の発生量を低減する。また、除洗係数も向上
する。洗濯廃液にイオンで溶けている放射性物質(C
o,Fe,Ni等)は、紫外線照射槽14内におけるオ
ゾン存在下での紫外線照射による酸化処理の段階で固体
状の酸化物に変化する。この固体状の酸化物は、活性炭
分離乾燥装置8内での粉末活性炭の除去時において鉄酸
化粒子と同様に洗濯廃液から除去される。このため、洗
濯廃液からのイオン状の放射性物質(Co,Fe,Ni
等)の除去効率が向上する。除洗係数は更に向上する。
【0053】過酸化水素を添加することによって、上記
の界面活性剤の分解反応の効率を更に高めることができ
る。
【0054】紫外線照射槽14から吐出された洗濯廃液
中の有機物濃度の測定値が設定値を超えるとき、廃液放
出制御装置20による弁18及び19の開閉制御によっ
てその洗濯廃液に対してオゾンまたは酸素の存在下で紫
外線照射を再度実施できるので、洗濯廃液に残留してい
る界面活性剤等の有機物の分解処理を再度実施できる。
このため、外部環境に放出される洗濯廃液に含まれる有
機物の量を著しく減少できる。また、廃液放出制御装置
20による制御を行うことにより粉末活性炭を添加する
時点での洗濯廃液の水質を一定にできるので、粉末活性
炭の添加量を最適に制御できる。このため、粉末活性炭
の使用量に安全率を見込む必要がなく、その分、その使
用量を減少できる。
【0055】紫外線照射槽14内での紫外線による酸化
処理は連続処理であるが、粉末活性炭の添加及び除去は
回分処理である。廃液受けタンク15は、粉末活性炭を
添加する洗濯廃液を一定量貯蔵するものであり、活性炭
混合槽16内での粉末活性炭混合処理時に自バッチの洗
濯廃液を貯蔵する。
【0056】ろ板26の上面に分離された粉末活性炭の
層が形成される。この粉末活性炭層はろ板26のプリコ
ート層となり、洗濯廃液に含まれている粉末活性炭以外
の固形分(例えば、粒子状の放射性物質など)も除去で
きる。このため、活性炭分離乾燥装置8から排出される
洗濯廃液に含まれる放射性物質を著しく低減できる。す
なわち、その洗濯廃液に含まれる放射性物質の量をほと
んど零にすることができる。
【0057】ろ板26上に蓄積し乾燥された粉末活性炭
は回転軸36を回転させることにより作用する遠心力に
よって、内側容器23の内面に向かって飛ばされる。こ
のようにろ板26を回転させるだけで、イオン状の放射
性物質を吸着しかつ粒子状の放射性物質を捕捉している
粉末活性炭を簡単にろ板26から取り除くことができ
る。
【0058】粉末活性炭の放射性廃液からの除去、及び
分離した粉末活性炭の乾燥が、活性炭分離乾燥装置8の
内側容器23内で行われるので、放射性廃液処理装置を
コンパクト化できる。これは、分離した粉末の乾燥装置
を活性炭分離装置とは別に設ける必要がなく、更に分離
した粉末活性炭を活性炭分離装置から活性炭乾燥装置に
搬送する手段が不要であるからである。放射性廃液処理
装置の設置スペースも少なくてすむ。
【0059】ろ過装置34はろ板26を積層して設けて
いるので、設置床面積が小さな活性炭分離乾燥装置22
でも大きなろ過面積が得られる。これによっても、放射
性廃液処理装置の設置スペースを減少できる。本実施例
は、ろ過面積が大きいので、界面活性剤を含む放射性廃
液の大量処理が可能となる。
【0060】内側容器23と外側容器38との間に形成
されるジャケット27、及びジャケット27に加熱蒸気
を供給する手段を有する加熱手段を備えており、この加
熱手段によって分離されたろ過物35、すなわち粉末活
性炭等に付着している水分を短時間に蒸発させることが
できる。従って、分離された粉末活性炭等の乾燥を短時
間に行うことができる。界面活性剤が粉末活性炭に吸着
されているので、加熱によりこの界面活性剤が発泡しな
く、粉末活性炭等に付着している水分の蒸発処理をスム
ーズに行うことができる。
【0061】内側容器23内に乾燥ガス、すなわち乾燥
空気を供給することにより、分離されてろ板26上にあ
る粉末活性炭の加熱によって発生した蒸気を、内側容器
23外に容易に排出できる。内側容器23内に発生した
蒸気が充満し内側容器23から排出されない場合は、内
側容器23内の湿度が飽和することにより粉末活性炭の
乾燥が阻害される。乾燥ガスを供給して蒸気を内側容器
23から排出するという簡単な操作により、内側容器2
3内の湿度を低い状態に保持できる。このため、粉末活
性炭に付着している水分の蒸発が促進される。結果とし
て分離された粉末活性炭の乾燥時間が著しく短縮され、
粉末活性炭の乾燥を短時間に行える。
【0062】本実施例は、粉末活性炭を焼却炉9で焼却
するので、二次廃棄物の量を著しく低減できる。更に、
粉末活性炭が乾燥されているので、粉末活性炭の焼却
を、効率良く行うことができる。粉末活性炭に吸着され
ている界面活性剤等の有機物も焼却され、減容される。
この結果、界面活性剤を含む放射性廃液の処理によっ
て、発生する放射性廃棄物の量を著しく減少させること
ができる。焼却炉9で生じる焼却灰は、ドラム缶(図示
せず)に充填されてセメント等の固化材で固化される。
焼却灰を固化密封したドラム缶の発生量が著しく減少す
る。特に、本実施例は、有機成分を焼却により無機化す
るので、その固化体を埋設処分する際に有害な有機成分
を低減できる。
【0063】界面活性剤等を吸着した粉末活性炭を前述
の可燃性の雑固体廃棄物と共に焼却する場合は、粉末活
性炭が燃料となるので、可燃性の雑固体廃棄物を焼却す
るために必要な燃料が節約できる。
【0064】(実施例2)本発明の他の実施例である放
射性洗濯廃液処理装置を図3を用いて説明する。本実施
例は図1の実施例にオゾン発生器10A,ばっ気槽12
A、及び紫外線ランプ13Aを備えた紫外線照射槽14
Aを設けたものである。廃液受けタンク15,ばっ気槽
12A及び紫外線照射槽14Aは、紫外線照射槽14の
下流側に位置する。廃液受けタンク15は、管路41に
よって紫外線照射槽14に接続される。管路42は廃液
受けタンク15とばっ気槽12Aとを連絡する。ばっ気
槽12Aは管路43によって紫外線照射槽14Aに接続
される。オゾン発生器10Aで発生したオゾンは、オゾン
供給管11Aによりばっ気槽12A内に吹き込まれる。
管路44は紫外線照射槽14Aと廃液受けタンク15と
を接続する。弁18は管路44に設けられる。管路22
は弁18より上流側で管路44に接続される。弁19が
管路22に設けられる。
【0065】廃液受けタンク15より上流側の処理は、
紫外線照射槽14から吐出された廃液が廃液収集タンク
2に戻されない点を除いて、図1の実施例と同じであ
る。本実施例は、廃液受けタンク15より下流側で、ば
っ気槽12Aでの洗濯廃液へのオゾンの溶解、及び紫外
線照射槽14Aでの紫外線の照射による界面活性剤の酸
化分解が行われる。紫外線照射槽14Aでの処理は、紫
外線照射槽14と同じである。すなわち、洗濯廃液に溶
解したオゾンが光分解して生成するヒドロキシラジカル
が、洗濯廃液に含まれる界面活性剤の一部を酸化分解す
る。その後、洗濯廃液は活性炭混合槽16へ送られ粉末
活性炭と混合されるのである。
【0066】紫外線照射槽14Aから吐出された洗濯廃
液の有機物濃度(C1)が、有機物濃度測定器17によっ
てモニターされる。廃液放出制御装置20は、測定値
(C1)と有機物濃度の設定値(C0)とを比較し、図1
の実施例と同様に弁18及び19の開閉制御を行う。設
定値(C0)は、放出基準である有機物濃度の設定値で
ある。
【0067】本実施例は、図1の実施例と同じ効果を得
ることができる。本実施例は、ばっ気槽12A及び紫外
線照射槽14Aをばっ気槽12及び紫外線照射槽14の
バックアップとして設けているので、界面活性剤濃度が
高い洗濯廃液が一時的に廃液収集タンク2に供給され処
理すべき洗濯廃液の界面活性剤濃度が一時的に上昇した
ときに、紫外線照射槽14における酸化処理、及び粉末
活性炭の添加及び除去処理によって処理しきれなかった
界面活性剤を紫外線照射槽14Aにおける紫外線の照射
によって分解させることができる。これにより、管路2
2から外部環境に排出される廃棄される廃液中の有機物
濃度を設定値(C0)以下に低減できる。
【0068】(実施例3)本発明の他の実施例を図4を
用いて説明する。本実施例は、バッチ運転により、粉末
活性炭を除去した模擬洗濯廃液への紫外線照射処理を行
い、その後に粉末活性炭を模擬洗濯廃液に混合しかつ模
擬洗濯廃液からの粉末活性炭の分離を行った。この処理
における紫外線照射処理後の界面活性剤(洗剤)の残留
度合について述べる。
【0069】模擬洗濯廃液は市販の中性洗剤を用いて初
期濃度をTOCで100ppm に調整した。紫外線照射に
は8Wの低圧水銀灯を使用し、反応容器は100mlと
した。試験は、紫外線照射処理として、(1)模擬洗濯
廃液への紫外線照射だけ、(2)模擬洗濯廃液へのオゾ
ンの吹き込みだけ、(3)模擬洗濯廃液へのオゾンの吹
き込み及び紫外線照射の併用、及び(4)模擬洗濯廃液
への酸素の吹き込み及び紫外線照射の併用の4ケースに
ついて実施した。これらの試験の結果を図5に示す。ケ
ース(1)及び(2)は、洗剤の分解速度が著しく遅く
洗剤の分解には適さないことがわかった。一方、ケース
(3)は、1時間以内に90%以上の洗剤の除去率が得
られた。ケース(4)によっても、90%以上の洗剤の
除去率が達成されるが、ケース(4)の反応速度はケー
ス(3)のそれよりも遅くなる。
【0070】洗濯廃液に粉末活性炭を混合し粉末活性炭
を除去した後、洗濯廃液にオゾンまたは酸素を溶解させ
オゾンまたは酸素が溶解した洗濯廃液に紫外線を照射す
ることによって、活性炭の使用量を少なくできかつ洗濯
廃液中の洗剤の量を著しく低減できる。特に、酸素より
もオゾンを溶解させた方が、洗剤の除去を短時間に行う
ことができる。
【0071】(実施例4)本発明の他の実施例である洗
濯廃液処理装置を図6を用いて説明する。
【0072】本実施例は、連続運転により、粉末活性炭
を模擬洗濯廃液に混合し粉末活性炭を除去した模擬洗濯
廃液に対して、種々の条件を変えて紫外線照射処理を行
ったものである。この実験に用いた装置の概略構成を図
6を用いて説明する。まず、界面活性剤及び鉄酸化物粉
末の各濃度を調整した模擬洗濯廃液を調整タンク50に
入れ、送液ポンプ51によりばっ気槽52に供給する。
鉄酸化物粉末は、配管等からの鉄錆を模擬したもので、
実際の洗濯廃液内の放射性物質の主要な成分と考えられ
る。オゾン発生器56で生成されたオゾンが、散気板5
7からばっ気槽52内に吹き込まれる。オゾンを溶解し
た模擬洗濯廃液は、送液ポンプ53により紫外線ランプ
54を設けた紫外線照射槽55に送られる。紫外線ラン
プ54から発生するオゾンを散気板57に導く管路58
が設けられる。オゾンの吹き込み時にばっ気槽52内で
生成される泡は、泡除去ライン59より自動的に調整タ
ンク50に排出されるようになっている。紫外線照射槽
34で処理された模擬洗濯廃液は、調整タンク50に排
出される。
【0073】実験開始当時当初においては、鉄酸化物の
平均粒径は約5μmで模擬洗濯廃液の色が赤く見えるほ
どその廃液内に均一に分散していた。しかし、紫外線を
照射する処理時間が経過するほど、模擬洗濯廃液の色が
透明になり鉄酸化物は調整タンク50の底部に沈降し
た。これは、模擬洗濯廃液に含まれている界面活性剤が
紫外線の照射により分解し、鉄酸化物が凝集して沈降し
たためである。
【0074】紫外線照射後の模擬洗濯廃液を、粉末活性
炭をプリコートしたろ紙でろ過した。紫外線の照射処理
を、模擬洗濯廃液を粉末活性炭をプリコートしたろ紙で
ろ過する前に行うことによって、ろ紙を通過した廃液に
含まれる鉄酸化鉄の量が著しく減少し、粉末活性炭をプ
リコートしたろ紙によるろ過の除染係数が向上した。ま
た、調整タンク50内の模擬洗濯廃液に過酸化水素を添
加し、過酸化水素の効果も確認した。過酸化水素の添加
により界面活性剤の分解効率が約2倍に向上した。
【0075】(実施例5)本発明の他の実施例である洗
濯廃液処理装置を図6を用いて説明する。本実施例は、
図1の実施例において廃液収集タンク2とばっ気槽12
との間に粒子除去フィルター46を設けたものである。
粒子除去フィルター46は、管路3によって廃液収集タ
ンク2に接続され、管路45によってばっ気槽12に接
続される。本実施例は、洗濯廃液内の粒子状物質の一部
が紫外線照射槽14の上流側で粒子除去フィルター46
で除去されるので、紫外線照射槽14における紫外線の
透過率が向上し、界面活性剤の分解効率がより向上す
る。本実施例は実施例1と同様な効果も生じる。
【0076】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、除染係数を向
上でき、かつ二次廃棄物の発生量を低減できる。請求項
10の発明も同様な効果を生じる。
【0077】請求項2の発明によれば、過酸化水素の添
加により界面活性剤の分解反応の効率を高めることがで
きる。
【0078】請求項3の発明によれば、ろ過手段の表面
に蓄積された活性炭の層がろ材として機能し粒状の放射
性物質の除去効率が更に向上する。請求項11の発明も
同様な効果を生じる。
【0079】請求項4の発明によれば、活性炭を混合す
る洗濯廃液の有機物の含有量を低減できかつその量を実
質的に一定にできるので、活性炭の混合量をより少なく
できる。
【0080】請求項5の発明によれば、オゾンを発生す
る手段を別に設ける必要がないので、界面活性剤及び放
射性物質を含む廃液の処理装置の構成が単純化できる。
【0081】請求項6の発明によれば、分離された活性
炭が乾燥されるので、二次廃棄物となる活性炭を処理し
やすい状態にすることができる。また、活性炭の放射性
廃液からの除去、及び分離した活性炭の乾燥が、活性炭
分離装置内で行われるので、放射性廃液の処理装置をコ
ンパクト化できる。請求項12の発明も同様な効果を生
じる。
【0082】請求項7の発明によれば、活性炭分離装置
から排出され外部に放出される廃液に含まれる放射性物
質を著しく低減できる。請求項13の発明も同様な効果
を生じる。
【0083】請求項8の発明によれば、ろ過手段の回転
時に発生する遠心力により、ろ過手段に捕捉されている
活性炭を簡単に取り除くことができる。請求項14の発
明も同様な効果を生じる。
【0084】請求項9の発明によれば、活性炭を焼却す
るので、二次廃棄物の量を著しく低減できる。請求項1
9の発明も同様な効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である洗濯廃液処理装
置の構成図である。
【図2】図1の活性炭分離乾燥装置の構成図である。
【図3】本発明の他の実施例である洗濯廃液処理装置の
構成図である。
【図4】本発明の他の実施例における紫外線照射の効果
を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施例である洗濯廃液処理装置の
構成図である。
【図6】本発明の他の実施例である洗濯廃液処理装置の
構成図である。
【符号の説明】
8…活性炭分離乾燥装置、9…焼却炉、10,10A…
オゾン発生器、12,12A…ばっ気槽、13,13A
…紫外線ランプ、14,14A…紫外線照射槽、16…
活性炭混合槽、17…有機物濃度測定器、20…廃液放
出制御装置、23…内側容器、26…ろ板、27…ジャ
ケット、28…蒸気供給管、32…モーター、34…ろ
過装置、36…回転軸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲吉▼川 涼三 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 雪田 篤 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】界面活性剤及び放射性物質を含む廃液を処
    理する方法において、前記廃液にオゾンまたは酸素を吹
    き込みながら、あるいはオゾンまたは酸素を吹き込んだ
    後に紫外線を照射し、その後、この廃液に活性炭を混合
    し、前記廃液から前記活性炭及び前記放射性物質を除去
    することを特徴とする界面活性剤及び放射性物質を含む
    廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】界面活性剤及び放射性物質を含む廃液を処
    理する方法において、前記廃液に、過酸化水素を添加
    し、オゾンまたは酸素を吹き込みながら、あるいはオゾ
    ンまたは酸素を吹き込んだ後に紫外線を照射し、その
    後、この廃液に活性炭を混合し、前記廃液から前記活性
    炭及び前記放射性物質を除去することを特徴とする界面
    活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理方法。
  3. 【請求項3】前記活性炭の前記廃液からの除去がろ過手
    段により行われる請求項1または請求項2の界面活性剤
    及び放射性物質を含む廃液の処理方法。
  4. 【請求項4】紫外線を照射した前記廃液の有機物濃度を
    測定し、測定された前記有機物濃度が設定値を超えると
    き、前記活性炭混合前のその廃液に対して前記オゾンま
    たは前記酸素の吹き込み、及び紫外線照射を再度実施す
    る請求項1,請求項2または請求項3の界面活性剤及び
    放射性物質を含む廃液の処理方法。
  5. 【請求項5】前記オゾンとして前記紫外線の照射に用い
    る紫外線発生手段から発生するオゾンを使用する請求項
    1,請求項2,請求項3または請求項4の界面活性剤及
    び放射性物質を含む廃液の処理方法。
  6. 【請求項6】前記活性炭が混合された前記廃液を活性炭
    分離装置内に供給し、前記活性炭分離装置内で前記廃液
    から前記活性炭及び前記放射性物質を分離し、前記分離
    された活性炭及び前記放射性物質を前記活性炭分離装置
    内で乾燥させ、前記乾燥した活性炭及び前記放射性物質
    が前記活性炭分離装置から排出される請求項1または請
    求項2の界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理方
    法。
  7. 【請求項7】前記活性炭分離装置は容器内にろ過手段を
    有しており、前記活性炭を含む前記廃液が前記容器内に
    供給されて前記活性炭及び前記放射性物質が前記ろ過手
    段によって前記廃液から分離され、前記分離された活性
    炭及び前記放射性物質の乾燥は前記容器内で行われ、前
    記乾燥された活性炭及び放射性物質が前記容器から排出
    される請求項6の界面活性剤及び放射性物質を含む廃液
    の処理方法。
  8. 【請求項8】前記ろ過手段を回転させることによって、
    前記ろ過手段に捕捉されている前記乾燥された活性炭及
    び放射性物質が前記ろ過手段から取り除かれる請求項7
    の界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理方法。
  9. 【請求項9】前記排出された活性炭を焼却する請求項6
    または請求項7の界面活性剤及び放射性物質を含む廃液
    の処理方法。
  10. 【請求項10】界面活性剤及び放射性物質を含む廃液を
    処理する装置において、前記廃液にオゾンまたは酸素を
    吹き込む手段と、前記廃液に紫外線を前記オゾンまたは
    前記酸素の存在下で照射する手段と、前記紫外線が照射
    された廃液に活性炭を添加する手段と、前記廃液から前
    記活性炭及び前記放射性物質を除去する手段とを備えた
    ことを特徴とする界面活性剤及び放射性物質を含む廃液
    の処理装置。
  11. 【請求項11】前記活性炭及び前記放射性物質を除去す
    る手段がろ過手段である請求項10の界面活性剤及び放
    射性物質を含む廃液の処理装置。
  12. 【請求項12】界面活性剤及び放射性物質を含む廃液を
    処理する装置において、前記廃液にオゾンまたは酸素を
    吹き込む手段と、前記廃液に紫外線を前記オゾンまたは
    前記酸素の存在下で照射する手段と、前記紫外線が照射
    された廃液に活性炭を添加する手段と、前記廃液から前
    記活性炭及び前記放射性物質を分離する活性炭分離装置
    とを備え、 前記活性炭分離装置が前記廃液が供給される容器、前記
    容器内に設けられ前記活性炭を前記廃液から分離する手
    段、及び分離されて前記容器内に存在する前記活性炭を
    乾燥する手段を有することを特徴とする界面活性剤及び
    放射性物質を含む廃液の処理装置。
  13. 【請求項13】前記活性炭分離装置に設けられた前記分
    離手段がろ過手段である請求項12の界面活性剤及び放
    射性物質を含む廃液の処理装置。
  14. 【請求項14】前記ろ過手段を回転させる手段を備えた
    請求項12の界面活性剤及び放射性物質を含む廃液の処
    理装置。
  15. 【請求項15】前記容器から排出された活性炭を焼却す
    る焼却手段を備えた請求項12または請求項14の界面
    活性剤及び放射性物質を含む廃液の処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009207949A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Japan Science & Technology Agency 紫外線と微細気泡を併用した難分解性有機物質の分解方法及び分解装置
JP2018058057A (ja) * 2016-09-29 2018-04-12 太平洋セメント株式会社 炭素含有廃棄物処理方法

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