JPH10196739A - 高負荷伝動用vベルト - Google Patents

高負荷伝動用vベルト

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JPH10196739A
JPH10196739A JP280897A JP280897A JPH10196739A JP H10196739 A JPH10196739 A JP H10196739A JP 280897 A JP280897 A JP 280897A JP 280897 A JP280897 A JP 280897A JP H10196739 A JPH10196739 A JP H10196739A
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block
corner
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tension band
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宏行 坂中
Koichi Okawa
浩一 大川
Sakae Umeda
栄 梅田
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
    • F16G5/166V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts with non-metallic rings

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 両側1対の張力帯1,1に多数のブロック
9,9,…が各嵌合部13で係止された高負荷伝動用V
ベルトにおいて、各ブロック9の上隅部9aにおける応
力集中を回避する一方、各張力帯1の上下角部1a,1
bの上下隅部9a,9bとの摩擦による発熱劣化を抑制
するとともに、各張力帯1を各ブロック9の嵌合部13
に挿入する際に、各張力帯1の上下帆布層5,6がめく
れ難くなるようにし、さらに、各ブロック9の下隅部9
bに起因して各張力帯1の心線4の各部分に加わる荷重
が不均一化するのを回避し、もって、高負荷伝動用Vベ
ルトの長寿命化が図れるようにする。 【解決手段】 各ブロック9の上隅部9aを断面傾斜状
にするとともに、下隅部9bを断面直角状とする一方、
各張力帯1の上下両角部1a,1bを、上下隅部9a,
9bとの間にそれぞれ隙間が形成される断面傾斜状とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両側1対の張力帯
に複数のブロックがベルト長さ方向に係止されてなって
いて、自動車や農業用機械、汎用機械のベルト式変速装
置に使用される高負荷伝動用Vベルトに関し、特に各ブ
ロックと各張力帯との係合部における断面形状の改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車のベルト式無段変速装置
に用いられる高負荷伝動用Vベルトでは、ベルト幅方向
に並ぶ両側1対のエンドレス状の張力帯に多数のブロッ
クがベルト長さ方向に等間隔に係止されてなっている。
【0003】上記ベルトについて、図14を参照しなが
ら具体的に説明する。尚、同図ではベルトの右半部のみ
を示し、左半部は省略している。上記各ブロックAは、
ベルト背面側(同図の上面側)にベルト幅方向(同図の
左右方向)に延びるように配置される上ビームaと、ベ
ルト内面側(同図の下面側)に上記上ビームaとベルト
厚さ方向(同図の上下方向)の上下に対応してベルト幅
方向に延びるように配置される下ビームbと、これら上
下両ビームa,bをベルト幅方向中央において互いに結
合するセンタピラーcと、ベルト幅方向の両側部に上記
両ビームa,b及びセンタピラーcにより形成されたス
リット状の嵌合部dとを有していて、その両側の嵌合部
d,dに上記各張力帯Bが嵌装されることで該両張力帯
B,Bにベルト長さ方向に等間隔に係止されている。
尚、同図のeは、張力帯Bにスパイラル状に埋設された
心線である。
【0004】そして、従来の高負荷伝動用Vベルトで
は、上記各ブロックAの嵌合部d及び該嵌合部dにおけ
る各張力帯Bの各断面形状は、互いに同じとされてい
る。つまり、図示する例では、上記各ブロックAは、そ
の嵌合部dにおける上ビームaとセンタピラーcとの間
に断面直角状の上隅部fを有する。これに対し、上記各
張力帯Bの上記上隅部fに対応する上角部gは、該上隅
部fと同じ断面直角状である。また、各ブロックAは、
嵌合部dにおける下ビームbとセンタピラーcとの間に
断面直角状の下隅部hを有する。これに対し、上記各張
力帯Bの上記下隅部hに対応する下角部iは、該下隅部
hと同じ断面直角状にされている。
【0005】そして、上記ベルトは、例えば駆動側及び
従動側の2つの変速プーリ間に巻き掛けられてベルト伝
動を行なう際に、上記ベルトは、プーリからの反力を各
ブロックAで受け、その力を張力帯B,Bに伝えて該張
力帯B,Bに張力が与えられるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の高負荷伝動用Vベルトでは、上述のように各張力帯
Bに張力が与えられるのに伴って、図14に仮想線で示
すように各張力帯Bが変形しようとするとき、その変形
が各ブロックAに規制されるということがある。つま
り、各張力帯Bの上角部gは各ブロックAの上隅部f
に、また各張力帯Bの下角部iは各ブロックAの下隅部
hにそれぞれ規制される。特に、ベルトがプーリに巻き
付いた状態では、各ブロックAとプーリとの間に挟まれ
てベルト内面側の変形は大きく規制される。そして、変
形が規制されることにより張力帯Bが強く圧縮されて発
熱し、そのような発熱に起因する各張力帯Bの劣化によ
りベルト寿命が短くなり易いという問題がある。
【0007】また、ベルト製造時には、各ブロックAの
両嵌合部d,dに各張力帯Bをベルト幅方向に挿入する
作業が行なわれるが、上記各張力帯bの上下両角部g,
iが断面直角状であることから、図15に誇張して示す
ように、張力帯Bが上下両面に帆布層j,kを有するも
のである場合には、各張力帯Bの挿入時に各帆布層j,
kが上下両ビームa,bの各エッジに引っ掛かってめく
れ易いという不具合もある。つまり、めくれた状態でベ
ルトを使用していると、そのめくれた部分において張力
帯Bの発熱や早期摩耗が生じ易く、やはりベルト寿命を
短くする虞れがある。
【0008】さらに、上記各ブロックAについては、張
力帯Bに張力が加わったときに各ブロックAに生じる応
力が上隅部fの頂点に集中して各ブロックAの早期破壊
を招き易く、このことも、ベルト寿命を短くする原因の
1つになる虞れがある。また、そのような事態に備え
て、図16に示すように、金属等からなる補強材mが各
ブロックAに埋設される場合でも、ブロックAの上隅部
fの断面形状により上記補強材mの形状が大きな制約を
受けることになり、その制約に比べて、発生する応力が
高いために、上述のような応力集中を十分に回避できる
ようにすることは困難である。
【0009】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、両側1対の張力帯に複数のブ
ロックを各嵌合部において係止させるようにした高負荷
伝動用Vベルトにおいて、各ブロックの嵌合部と各張力
帯との係合形状に工夫を加えることで、各ブロックの上
ビーム及びセンタピラー間の上隅部における応力集中を
回避する一方、各張力帯の上下両角部における摩擦によ
る発熱劣化を抑制するとともに、嵌合部への挿入時の帆
布層のめくれを生じ難くさせ、もって、高負荷伝動用V
ベルトの長寿命化を図り得るようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、各ブロックの上隅部を断面傾斜状な
いし断面円弧状に形成することで該上隅部への応力集中
を回避する一方、各張力帯の上下両角部を断面傾斜状な
いし断面円弧状とすることで、各ブロックの上下両隅部
との間にそれぞれ隙間を形成して該角部の摩擦による発
熱を低減させるとともに、嵌合部に挿入する際の帆布層
のめくれが生じ難くなるようにした。
【0011】具体的には、請求項1の発明では、各々、
ベルト長さ方向に延び、ベルト幅方向に並ぶように配置
される両側1対のエンドレスの張力帯を備えるととも
に、各々、ベルト背面側にベルト幅方向に延びるように
配置される上ビームと、ベルト内面側に上記上ビームと
ベルト厚さ方向の上下に対応してベルト幅方向に延びる
ように配置される下ビームと、これら両ビームをベルト
幅方向中央において互いに結合するセンタピラーと、ベ
ルト幅方向の両側部に上記上下両ビーム及びセンタピラ
ーにより形成されたスリット状の嵌合部とを有してい
て、その両側の嵌合部に上記両側の張力帯が嵌装されて
該両張力帯にベルト長さ方向に等間隔に係止された複数
のブロックを備えてなる高負荷伝動用Vベルトが前提で
ある。
【0012】そして、上記各ブロックは、該ブロックの
嵌合部における上ビーム及びセンタピラー間に断面略傾
斜状の上隅部を有するものとする。一方、上記各張力帯
における上記各ブロックの上隅部に対応する上角部は、
該上隅部との間に隙間を形成するように設けられている
ものとする。
【0013】上記の構成において、例えば駆動側及び従
動側の2つの変速プーリ間に高負荷伝動用Vベルトが巻
き掛けられてベルト伝動を行なう際に、上記ベルトは、
プーリからの反力をブロックで受け、その力を張力帯に
伝えて該張力帯に張力を付与するが、その反力は各ブロ
ックの上下ビームに加わる。そして、各ブロックに発生
する応力は、主に、各嵌合部における上ビーム及びセン
タピラー間の上隅部に集中しようとする。
【0014】このとき、上記各ブロックの上隅部が断面
略傾斜状であるので、該上隅部が断面直角状である場合
のような上隅部への応力集中は回避される。よって、上
記応力集中に起因する各ブロックの早期破壊が回避され
るので、そのようなブロックの不具合によってベルト寿
命が短くなるという虞れは未然に防止される。さらに、
上記各ブロックに補強材が埋設される場合には、上記上
隅部が断面略傾斜状である分だけ上記補強材の形状に対
する制約は低減されるので、補強材によるブロックの補
強は適正化される。
【0015】また、上記各ブロックの上隅部と各張力帯
の上角部との間には隙間が形成されているので、各張力
帯の上角部が各ブロックの上隅部に接触することは抑え
られる。よって、上隅部との摩擦による上角部の発熱が
低減されるので、そのような発熱に起因する張力帯の劣
化は抑えられる。
【0016】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、各ブロックは、断面略傾斜状の上隅部に代え
て、断面略円弧状の上隅部を有するものとする。
【0017】上記の構成において、各ブロックの嵌合部
における上隅部は、断面略円弧状をなしている。よっ
て、この上隅部への応力集中は回避される。また、上記
各ブロックの上隅部と張力帯の上角部との間には隙間が
形成されているので、各張力帯の上角部が各ブロックの
上隅部に接触することは抑えられる。したがって、この
発明においても、上記請求項1の発明の場合と同じ作用
が営まれる。
【0018】請求項3の発明では、上記請求項1又は2
の発明において、各張力帯の上角部は、各ブロックの上
隅部との間に隙間を形成するように断面略傾斜状にされ
ているものとする。
【0019】上記の構成において、各張力帯の上角部
は、各ブロックの上隅部との間に隙間を形成する断面略
傾斜状をなしている。具体的には、ブロックの上隅部
が、センタピラーの側面に対する傾斜角θがθ=αであ
る断面傾斜状の場合には、上記センタピラーの側面に対
向する張力帯の端面に対する上角部の傾斜角度θは、θ
=β>αとされる。これにより、ブロックの上隅部と張
力帯の上角部との間に断面三角形状の隙間が形成され
る。また、傾斜角度θがθ=β=αであっても、張力帯
の上角部の傾斜面の長さをブロックの上隅部のものより
も大きく設定することで、両者間に断面台形状の隙間が
形成される。一方、ブロックの上隅部が断面略円弧状で
ある場合には、その上隅部と張力帯の上角部との間に
は、略直角三角形状の隙間が形成される。よって、上記
請求項1の発明での作用は具体的に営まれる。
【0020】さらに、上記各張力帯のベルト背面側に上
帆布層が設けられている場合には、各張力帯を各ブロッ
クの嵌合部に挿入する際に、上記上帆布層が嵌合部の入
口端に引っ掛かってめくれるという事態は起き難くな
る。これにより、帆布層のめくれ部分に生じ易い張力帯
の早期摩耗や発熱等の不具合の発生は抑えられる。
【0021】請求項4の発明では、上記請求項1又は2
の発明において、各張力帯の上角部は、各ブロックの上
隅部との間に隙間を形成するように断面略円弧状にされ
ているものとする。
【0022】上記の構成において、各張力帯の上角部
は、各ブロックの上隅部との間に隙間を形成する断面略
円弧状をなしている。したがって、この発明において
も、上記請求項3の発明の場合と同じ作用が営まれる。
【0023】請求項5の発明では、上記請求項1〜4の
発明において、各ブロックは、該ブロックの嵌合部にお
ける下ビーム及びセンタピラー間に断面略傾斜状の下隅
部を有するものとする。一方、各張力帯における上記各
ブロックの下隅部に対応する下角部は、該下隅部との間
に隙間を形成するように設けられているものとする。
【0024】上記の構成において、各ブロックの嵌合部
における下ビーム及びセンタピラー間の下隅部は、断面
略傾斜状をなしている。また、この下隅部と各張力帯の
下角部との間にも、上隅部及び上角部の場合と同じく隙
間が形成されている。したがって、上記下角部において
も、上角部の場合と同様に摩擦による張力帯の発熱劣化
は抑えられる。特に、各張力帯のベルト内面側は、ベル
トがプーリに巻き付いてベルト幅方向に広がる方向に変
形しようとするときに、張力帯の下角部とブロックの下
隅部との間に隙間がないと各ブロックとプーリとの間に
挟まれて変形できずに強く圧縮されることから、上記請
求項1の発明での作用と相俟って、ベルト耐久性は一段
と高くなる。
【0025】請求項6の発明では、上記請求項5の発明
において、各ブロックは、断面略傾斜状の下隅部に代え
て、断面略円弧状の下隅部を有するものとする。
【0026】上記の構成において、各ブロックの嵌合部
における下隅部は、断面略円弧状をなしている。そし
て、この下隅部と各張力帯の下角部との間には隙間が形
成されている。したがって、この発明においても、上記
請求項5の発明の場合と同じ作用が営まれる。
【0027】請求項7の発明では、上記請求項1〜4の
発明において、各張力帯に、ベルト長さ方向に延びてベ
ルト幅方向に並ぶ心線が埋設されている場合に、各ブロ
ックは、該ブロックの嵌合部における下ビーム及びセン
タピラー間に断面略直角状の下隅部を有するものとす
る。
【0028】上記の構成において、各ブロックの下隅部
が例えば断面傾斜状や断面円弧状であると、その下隅部
により上記心線の各部分に加わる荷重が不均一化して張
力帯に嵌合部から側方に抜け出る方向の分力が作用し、
その結果、心線の早期破損や張力帯の早期破損を招く虞
れがある。これに対し、心線の各部分に加わる荷重が均
一化されるので、そのような荷重の不均一化に起因する
心線の早期破断や張力帯の早期破損は未然に防止され
る。
【0029】請求項8の発明では、上記請求項7の発明
において、各張力帯における各ブロックの下隅部に対応
する下角部は、断面略直角状にされているものとする。
【0030】上記の構成において、各ブロックの下隅部
が断面略直角状をなしているのに対し、各張力帯の下角
部が断面略直角状であるので、上記請求項5及び6の場
合のような隙間は形成されないものの、上記請求項7の
発明での作用は具体的にかつ適正に営まれる。
【0031】請求項9の発明では、上記請求項7の発明
において、各張力帯における各ブロックの下隅部に対応
する下角部は、該下隅部との間に隙間を形成するように
設けられているものとする。
【0032】上記の構成において、各ブロックの断面略
直角状をなす下隅部と、各張力帯の下角部との間にも、
各ブロックの上隅部及び各張力帯の上角部の場合と同じ
く隙間が形成されている。したがって、この発明におい
ても、上記請求項5及び6の発明の場合と同じ作用が営
まれる。
【0033】請求項10の発明では、上記請求項5,6
又は9の発明において、各張力帯の下角部は、各ブロッ
クの下隅部との間に隙間を形成するように断面略傾斜状
にされているものとする。
【0034】上記の構成において、各張力帯の下角部
は、各ブロックの下隅部との間に隙間を形成する断面略
傾斜状であるので、上記請求項5,6及び9の各発明で
の作用は具体的にかつ適正に営まれる。
【0035】さらに、上記各張力帯のベルト内面側に下
帆布層が設けられている場合には、各張力帯を各ブロッ
クの嵌合部に挿入する際に、上記下帆布層が嵌合部の入
口端に引っ掛かってめくれるという事態は起き難くな
る。これにより、上記請求項3及び4の発明の場合と同
様にして、下帆布層のめくれ部分に生じ易い張力帯の早
期摩耗や発熱等の不具合の発生は抑えられる。
【0036】請求項11の発明では、上記請求項5,6
又は9の発明において、各張力帯の下角部は、各ブロッ
クの下隅部との間に隙間を形成するように断面略円弧状
にされているものとする。
【0037】上記の構成において、各張力帯の下角部
は、各ブロックの下隅部との間に隙間を形成する断面略
傾斜状をなしている。したがって、この発明において
も、上記請求項10の発明の場合と同じ作用が営まれ
る。
【0038】請求項12の発明では、上記請求項1〜1
1の発明において、各ブロックのセンタピラーと、各張
力帯との間にベルト幅方向の隙間がベルト厚さ方向に延
びるように形成されているものとする。
【0039】上記の構成において、各張力帯と各ブロッ
クのセンタピラーとの間の隙間により、該各張力帯と各
ブロックのセンタピラーとの接触が抑えられるので、各
ブロックと各張力帯との間の摩擦による発熱は低減され
る。よって、そのような発熱に起因する張力帯の劣化は
効率よく抑制される。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面
に基づいて説明する。 (実施形態1)図2は、本発明の実施形態1に係る高負
荷伝動用Vベルトを全体構成を示しており、このVベル
トは、図示は省略するが、各々、固定シーブ及び可動シ
ーブからなる駆動側及び従動側の2つの変速プーリ間に
巻き掛けられてベルト式無段変速機を構成する際に用い
られるものであって、ベルト幅方向に並ぶように配置さ
れた両側1対のエンドレスの張力帯1,1に、多数のブ
ロック9,9,…がベルト長さ方向に等間隔に係止固定
されてなっている。
【0041】上記各張力帯1は、各々、エラストマーか
らなる上ゴム層2及び下ゴム層3と、これら両ゴム層
2,3間に略ベルト長さ方向に延びかつベルト幅方向に
所定ピッチ間隔をおいて並ぶようにスパイラル状に配置
された心線4とからなっている。そして、上記上ゴム層
2の上面には上帆布層5が、また下ゴム層3の下面には
下帆布層6がそれぞれ一体に設けられている。さらに、
上記各張力帯1の上面には、各々、ベルト幅方向に延び
るように設けられた断面凹字状をなす多数の上面溝7
が、また下面には、各々、同じくベルト幅方向に延びる
ように設けられた断面円弧状をなす多数の下面溝8がそ
れぞれベルト長さ方向(図2の左右方向)に所定ピッチ
間隔をおいてかつ上下に対応するように配置されてい
る。
【0042】一方、上記各ブロック9は、その本体が合
成樹脂等からなっていて、図1に模式的に示すように、
ベルト背面側(同図の上面側)にベルト幅方向(同図の
左右方向)に延びるように配置される上ビーム10と、
ベルト内面側(同図の下面側)に上記上ビーム10とベ
ルト厚さ方向(同図の上下方向)の上下に対応してベル
ト幅方向に延びるように配置される下ビーム11と、上
記両ビーム10,11をベルト幅方向中央において互い
に結合するセンタピラー12と、ベルト幅方向の両側部
に上記両ビーム及びセンタピラー12により形成された
スリット状の嵌合部13(同図には一側部の嵌合部13
のみ示す)とを有する。上記各ブロックの両側面、つま
り上下両ビーム10,11の各両端面は、変速プーリの
溝面に摺接する摺接部14とされている。上記嵌合部1
3の上縁部、つまり上ビーム10の下辺部には、下方に
向かって突出する断面凸字状をなしていて上記張力帯1
の上面溝7に係合する下向き突条15が設けられてい
る。一方、嵌合部13の下縁部、つまり下ビーム11の
上辺部には、上方に向かって隆起する断面円弧状をなし
ていて上記張力帯1の下面溝8に係合する上向き突条1
6が設けられている。以上のように形成された、各ブロ
ック9には、図3に示すように、補強材17がインサー
ト成形により埋設されている。
【0043】そして、本実施形態では、上記各ブロック
9は、該ブロック9の嵌合部13における上ビーム10
とセンタピラー12との間に断面傾斜状(センタピラー
12の側面に対する傾斜角度は例えば45°)の上隅部
9aを有するとともに、下ビーム11とセンタピラー1
2との間に同様の断面傾斜状の下隅部9bを有し、一
方、上記各張力帯1における上記各ブロック9の上隅部
9aに対応する上角部1aは、該上隅部9aとの間に隙
間を形成するように断面傾斜状(同傾斜角度は例えば4
5°)とされているとともに、下隅部9bに対応する下
角部1bは。該下隅部9bとの間に隙間を形成するよう
に同様の断面傾斜状とされている。具体的には、上記各
張力帯1の上下角部1aの傾斜部の各長さが各ブロック
9の上下隅部9a,9bの傾斜部の長さよりも大きく設
定されており、このことで両者間に断面台形状の隙間が
形成されるようになっている。
【0044】また、上記補強材17は、各ブロック9の
上下両隅部9a,9bに対応する部分では断面円弧状を
なしていて、それ以外の部分では嵌合部13の内壁面に
近接しかつ該内壁面に沿う略直線状をなしている。
【0045】次に、上記のように構成された高負荷伝動
用Vベルトにおける各ブロック9の上下両隅部9a,9
b及び各張力帯1の上下両角部1a,1bの各作用につ
いて説明する。駆動側及び従動側の2つの変速プーリ間
に巻き掛けられてベルト伝動を行なう際に、上記ベルト
は、プーリからの反力を各ブロック9にて受け、その力
を各張力帯1に伝えて該張力帯1に張力を付与するが、
その反力は主に各ブロック9の上ビーム10に加わる。
そして、各ブロック9に発生する応力は、主に各嵌合部
13における上ビーム10及びセンタピラー12間の上
隅部9aに集中しようとする。このとき、上記各ブロッ
ク9の上隅部9aが断面傾斜状であるので、各ブロック
の上隅部が断面直角状である場合のような上隅部への応
力集中は回避される。
【0046】また、上記各ブロック9の上下両隅部9
a,9bと、各張力帯1の上下両角部1a,1bとの各
間にはそれぞれ隙間が形成されているので、各張力帯1
の上下角部1a,1bが各ブロック9の上下隅部9a,
9bに接触することは抑えられる。よって、上下隅部9
a,9bとの摩擦による上下両角部1a,1bの発熱が
低減されるので、各張力帯1,1の発熱劣化は抑制され
る。
【0047】さらに、上記各張力帯1の上下角部1a,
1bが断面傾斜状であることから、それら各張力帯1を
各ブロック9の嵌合部13に挿入する際に、上記上帆布
層5及び下帆布層6が嵌合部13の各入口端、つまり上
ビーム10の摺接部14の下側エッジ及び下ビーム11
の摺接部14の上側エッジに引っ掛かってめくれるとい
う事態は起き難くなる。これにより、上帆布層5及び下
帆布層6のめくれ部分に生じ易い張力帯1の発熱や早期
摩耗は抑えられる。
【0048】さらに、各補強材17の上下ビーム10,
11にそれぞれ配置される部分と、センタピラー12に
配置される部分との各接続部は、各隅部9a,9bを利
用する状態で滑らかな断面形状に形成されているので、
上記各部分を嵌合部13に近接する状態に設けることが
でき、ブロック本体に対する十分な補強ができるように
なる。つまり、図16に示したように、各ブロックAの
各隅部e,gが断面直角状である場合には、上記補強材
kは、各接続部を滑らかな断面形状に形成すると、上下
両ビームa,b及びセンタピラーcにそれぞれ配置され
る各部分を嵌合部dから大きく後退させる必要があり、
このことで、ブロック本体に対する補強が不十分になり
易い。
【0049】したがって、本実施形態によれば、両側1
対の張力帯1,1に多数のブロック9,9,…が各嵌合
部13において係止されてなる高負荷伝動用Vベルトに
おいて、各ブロック9の上隅部9aを断面傾斜状とする
一方、各張力帯1の上下両角部1a,1bを各ブロック
9の各隅部9a,9bの場合よりも大きい断面傾斜状に
形成して上角部1aと上隅部9aとの間及び下角部1b
と下隅部9bとの間にそれぞれ隙間が形成されるように
したので、上記各ブロック9の上隅部9aにおける応力
集中を回避できるとともに、各ブロック9に埋設される
補強材17の形状の対する規制を緩和してブロック9を
適正に補強でき、各ブロック9の早期破壊を未然に防止
することができる一方、上記各張力帯1の上下角部1
a,1bにおける発熱劣化を抑制できるとともに、各ブ
ロック9の嵌合部13に張力帯1を挿入する際に該張力
帯1の上下両帆布層5,6がめくれることに起因する張
力帯1の発熱や早期摩耗の発生を回避でき、これらによ
り、高負荷伝動用Vベルトの長寿命化を図ることができ
る。
【0050】尚、上記実施形態1では、各ブロック9の
上下隅部9a,9b及び各張力帯1の上下角部1a,1
bの各傾斜角度を共に45°としているが、傾斜角度の
値は特に限定されるものではなく、また互いに異なって
いてもよい。
【0051】また、上記実施形態1では、各ブロック9
の上下隅部9a,9bが断面傾斜状であるのに対し、各
張力帯1の上下角部1a,1bを共に断面傾斜状として
いるが、両角部又は一方の角部を断面円弧状とするよう
にしてもよい。
【0052】(実施形態2)図4は、本発明の実施形態
2に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示して
おり、このベルトでは、実施形態1の場合と同じく、各
ブロック9の下隅部9b及び各張力帯1の上下両角部1
a,1bは共に断面傾斜状とされている。
【0053】そして、本実施形態では、上記各ブロック
9は、断面円弧状の上隅部9aを有する。つまり、各ブ
ロック9の下隅部9bと、各張力帯1の上下両角部1
a,1bとは共に断面傾斜状である一方、各ブロック9
の上隅部9aは断面円弧状をなしている。尚、その他の
部分は実施形態1の場合と同じであるので説明は省略す
る。
【0054】したがって、本実施形態によっても、各ブ
ロック9の上隅部9aにおける応力集中を回避できると
ともに、各ブロック9に埋設される補強材17の形状に
対する規制を緩和してブロック9を適正に補強でき、各
ブロック9の早期破壊を未然に防止することができる一
方、上記各張力帯1の上下角部1a,1bにおける発熱
劣化を抑制できるとともに、各ブロック9の嵌合部13
に張力帯1を挿入する際に該張力帯1の上下両帆布層
5,6がめくれることに起因する張力帯1の発熱や早期
摩耗の発生を回避でき、よって、上記実施形態1の場合
と同様に高負荷伝動用Vベルトの長寿命化を図ることが
できる。
【0055】尚、上記実施形態2では、各ブロック9が
断面円弧状の上隅部9aを有するのに対し各張力帯1の
上角部1aを断面傾斜状としているが、各張力帯の上角
部を断面円弧状とするようにしてもよい。その場合に
は、各張力帯の上角部の曲率半径を各ブロックの上隅部
の曲率半径よりも大きく設定することで、隙間は形成さ
れる。
【0056】(実施形態3)図5は、本発明の実施形態
3に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示して
おり、このベルトでは、各張力帯1の上下両角部1a,
1bは、実施形態1の場合と同様に共に断面傾斜状とさ
れている。尚、上記実施形態1の場合と同じ部分には同
じ符号を付している。
【0057】そして、本実施形態では、各ブロック9
は、各々、断面円弧状の上隅部9a及び下隅部9bを有
する。つまり、各ブロック9の上下両隅部9a,9bは
共に断面円弧状である一方、各張力帯1の上下両角部1
a,1bは共に断面傾斜状をなしている。尚、その他の
部分は実施形態1の場合と同じであるので説明は省略す
る。
【0058】したがって、本実施形態によっても、上記
実施形態1の場合と同じ効果を奏することができる。
【0059】尚、上記実施形態3では、各ブロック9が
断面円弧状の下隅部9bを有するのに対し各張力帯1の
下角部1bを断面傾斜状としているが、各張力帯の下角
部を断面円弧状とするようにしてもよい。その場合に
は、上記実施形態2で説明したのと同様に、各張力帯の
下角部の曲率半径を各ブロックの下隅部の曲率半径より
も大きく設定することで、隙間は形成される。
【0060】(実施形態4)図6は、本発明の実施形態
4に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示して
おり、このベルトでは、実施形態1の場合と同じく、各
張力帯1の上下両角部1a,1bは共に断面傾斜状とさ
れている。また、各ブロック9の上隅部9aも断面傾斜
状とされている。
【0061】そして、本実施形態では、各ブロック9の
下隅部9bは断面円弧状とされている。つまり、各ブロ
ック9の上隅部9aと、各張力帯1の上下両角部1a,
1bとは共に断面傾斜状である一方、各ブロック9の下
隅部9bは断面円弧状をなしている。尚、その他の部分
については実施形態1の場合と同じであるので説明は省
略する。
【0062】したがって、本実施形態によっても、上記
実施形態1の場合と同じ効果を奏することができる。
【0063】(実施形態5)図7は、本発明の実施形態
5に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示して
おり、このVベルトでは、実施形態1の場合と同じく、
各ブロック9が断面傾斜状の上隅部9aを有するととも
に、各張力帯1の上角部1aは、上記上隅部9aとの間
に隙間を形成する断面傾斜状とされている。また、各ブ
ロック1の下隅部9bも上隅部9aと同様の断面傾斜状
であるとともに、各張力帯1の下角部1bも、上記下隅
部9bとの間に隙間を形成するように設けられていて上
角部1aと同様の断面傾斜状とされている。つまり、各
ブロック9の上下両隅部9a,9b及び各張力帯1の上
下両角部1a,1bは共に断面傾斜状をなしている。
【0064】そして、本実施形態では、上記各ブロック
9のセンタピラー12と、各張力帯1との間にベルト幅
方向の隙間Sがベルト厚さ方向に延びるように形成され
ている。
【0065】次に、上記センタピラー12及び各張力帯
1間の隙間Sによる作用を説明すると、各ブロック9の
センタピラー12と各張力帯1との間の接触が上記隙間
Sにより回避されるので、各ブロック9と各張力帯1と
の間の摩擦による発熱が大幅に低減される。よって、そ
のような発熱に起因する張力帯1の劣化は効率よく抑え
られる。
【0066】したがって、本実施形態によれば、上記実
施形態1の場合と同じ効果を奏することができる他、各
ブロック9のセンタピラー12に対する各張力帯1の接
触を回避することができ、各張力帯1の発熱劣化をさら
に抑えることができる。
【0067】(実施形態6)図8は、本発明の実施形態
6に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示して
いる。このベルトでは、実施形態1の場合と同じく、各
張力帯1の上角部1a及び各ブロック9の上隅部9a
は、共に断面傾斜状とされている。
【0068】そして、本実施形態では、上記各ブロック
9は、実施形態1〜5の場合とは異なり、断面直角状の
下隅部9bを有する。一方、上記各張力帯1の下角部1
bも断面直角状とされている。
【0069】次に、上記のように構成された高負荷伝動
用Vベルトにおける各ブロック9の下隅部9bの作用に
ついて説明する。図9に模式的に示すように、例えば、
各ブロックAの下隅部hが断面傾斜状である場合には、
張力帯Bにベルト内面側(同図の下側)への荷重が加わ
ったときに上記下隅部hの半径方向外方(同図の上方)
に位置する心線eの部分に該張力帯Bを嵌合部dから側
方に抜け出る方向(同図の右方向)に位置ずれさせるよ
うな分力が下隅部hにより作用し、その結果、心線eの
早期破断や張力帯Bの早期破損を招き易くなる。これに
対し、本実施形態の下隅部9bは断面直角状であるの
で、そのような作用は生じず、心線4の各部分に加わる
荷重は均一化される。尚、上記下隅部9bを断面直角状
としたのは、張力帯1が上記の方向に位置ずれする程度
の分力を発生させないためであるので、そのような分力
を発生させない範囲のテーパやアールが付けられたよう
な断面略直角状であっても構わない。
【0070】したがって、本実施形態によれば、各ブロ
ック9の上隅部9a及び各張力帯1の上角部1aにおけ
る効果は上記実施形態1の場合と同じである一方、各張
力帯1の上角部各張力帯1の下角部1bが各ブロック9
の下隅部9bに接触するのは従来どおりであるものの、
その下角部9bを断面直角状としたことで、心線4の各
部分に加わる荷重を均一化することができ、よって、そ
のような荷重の不均一化に起因する心線4の早期破断や
各張力帯1の早期破損を未然に防止することができる。
【0071】(実施形態7)図10は、本発明の実施形
態7に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示し
ている。
【0072】上記ベルトでは、上記実施形態6の場合と
同じく、各ブロック9は断面傾斜状の上隅部9aを有す
る一方、各張力帯1の上角部1aは断面傾斜状とされて
いるとともに、各ブロック9の下隅部9bと、各張力帯
1の下角部1bとは共に断面直角状とされている。
【0073】そして、本実施形態では、上記各張力帯1
における該張力帯1の中央側端面に対する上記上角部1
aの傾斜角度αは、上記各ブロック9におけるセンタピ
ラー12の側面に対する上記上隅部9aの傾斜角度βよ
りも大きく設定(α>β)されており、このことで、上
隅部9aと上角部1aとの間に断面三角形状の隙間が形
成されるようになっている。尚、その他の部分は実施形
態1の場合と同じであるので説明は省略する。
【0074】したがって、本実施形態によっても、上記
実施形態6の場合と同じ効果を奏することができる。
【0075】(実施形態8)図11は、本発明の実施形
態8に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示し
ており、このベルトでは、実施形態6の場合と同じく、
各ブロック9が断面傾斜状の上隅部9aと断面直角状の
下隅部9bとを有する一方、各張力帯1の上角部1a
は、上記各ブロック9の上隅部9aとの間に隙間を形成
する断面傾斜状とされている。
【0076】そして、本実施形態では、上記各張力帯1
の下角部1bは、実施形態6の場合とは異なり、上記各
ブロック9の下隅部9bとの間に隙間を形成する断面傾
斜状とされている。つまり、各ブロック9の上隅部9a
と、各張力帯1の上下両角部1a,1bとは共に断面傾
斜状である一方、各ブロック9の下隅部9bは断面直角
状をなしている。
【0077】したがって、本実施形態によれば、各ブロ
ック9の下隅部9bを断面直角状にするとともに、各張
力帯1の下角部1bを断面傾斜状として、上記下隅部9
bとの間に隙間が形成されるようにしたので、上記実施
形態6の場合と同じ効果を奏することに加え、上記実施
形態1の場合と同じ効果も奏することができる。
【0078】尚、上記実施形態8では、各張力帯1の上
角部1aを断面傾斜状としているが、断面円弧状として
各ブロック9の上隅部9aとの間に隙間が形成されるよ
うにしてもよい。
【0079】(実施形態9)図12は、本発明の実施形
態9に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に示し
ており、このベルトでは、実施形態8の場合と同じく、
各ブロック9は断面傾斜状の上隅部9a及び断面直角状
の下隅部9bを有する一方、各張力帯1の上角部1aは
断面傾斜状とされている。
【0080】そして、本実施形態では、上記各張力帯1
の下角部1bは、上記各ブロック9の下隅部9bとの間
に隙間を形成するように断面円弧状とされている。つま
り、各ブロック9の上隅部9aと、各張力帯1の上角部
1aとは共に断面傾斜状である一方、各張力帯1の下角
部1bは断面円弧状であり、各ブロック9の下隅部9b
は断面直角状である。
【0081】具体的には、上記各下角部1a,1bの断
面形状は、張力帯1における心線4の下面と該張力帯1
自体の下面との間のベルト厚さ方向の寸法Kよりも小さ
い半径R(<K)でかつ張力帯1の端面及び下面にそれ
ぞれ滑らかに接続する1/4円の円弧とされている。
尚、その他の部分は実施形態1の場合と同じであるので
説明は省略する。
【0082】したがって、本実施形態によっても、上記
実施形態8の場合と同じ効果を奏することができる。
【0083】(実施形態10)図13は、本発明の実施
形態10に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を模式的に
示しており、このベルトでは、実施形態8の場合と同じ
く、各ブロック9が断面直角状の下隅部9bを有すると
ともに、各張力帯1の上下両角部1a,1bは共に断面
傾斜状とされている。
【0084】そして、本実施形態では、上記各ブロック
9は、断面円弧状の上隅部9aを有する。つまり、各ブ
ロック9の上隅部9aは断面円弧状である一方、下隅部
9bは断面直角状である。
【0085】したがって、本実施形態によっても、上記
実施形態8の場合と同じ効果を奏することができる。
【0086】尚、上記実施形態10では、各張力帯1の
上角部1aを断面傾斜状としているが、各ブロック9の
上隅部9aの曲率半径よりも大きい断面円弧状として該
上隅部9aとの間に隙間が形成されるようにしてもよ
い。
【0087】〔ブロックと張力帯との組合せパターン〕
ここで、本発明の実施形態に係る高負荷伝動用Vベルト
として、ブロックと張力帯との組合せパターンを、次表
1に併せて示しておく。尚、同表において、本発明にお
ける組合せパターンには「○」を付して、また上記実施
形態1〜10に係るパターンにはその実施形態の番号を
付してそれぞれ示している。
【0088】
【表1】
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、両側1対の張力帯に複数のブロックが嵌合部に
おいて係止されてなる高負荷伝動用Vベルトにおいて、
上記各ブロックの嵌合部における上ビーム及びセンタピ
ラー間の上隅部を断面略傾斜状とする一方、上記各張力
帯の上角部を、上記上隅部との間に隙間が形成されるよ
うに設けることとしたので、上記各ブロックの上隅部に
おける応力集中を回避できるとともに、各ブロックに補
強材が埋設される場合にはその補強材の形状に対する規
制を緩和してブロックを適正に補強でき、各ブロックの
早期破壊を未然に防止することができる一方、上記各張
力帯の上角部の上隅部との摩擦による発熱劣化を抑える
ことができ、よって、ベルト耐久性を高めて長寿命化を
図ることができる。
【0090】請求項2の発明によれば、上記各ブロック
の上隅部を、断面略傾斜状に代えて断面略円弧状とした
ので、この発明によっても、上記請求項1の発明の場合
と同じ効果を奏することができる。
【0091】請求項3の発明によれば、上記各張力帯の
上角部を、各ブロックの上隅部との間に隙間が形成され
る断面略傾斜状としたので、上記請求項1及び2の発明
による効果を具体的に得ることができるのみならず、上
記各張力帯のベルト背面側に上帆布層が設けられている
場合には、各張力帯を各ブロックの嵌合部に挿入する際
に、上記上帆布層が嵌合部の入口端に引っ掛かってめく
れるという事態を起き難くすることができ、上帆布層の
めくれ部分に生じ易い張力帯の発熱や早期摩耗等の不具
合の発生を抑えることができる。
【0092】請求項4の発明によれば、上記各張力帯の
上角部を、各ブロックの上隅部との間に隙間が形成され
る断面略円弧状としたので、この発明によっても、上記
請求項3の発明の場合と同じ効果を奏することができ
る。
【0093】請求項5の発明によれば、上記各ブロック
の嵌合部における下ビーム及びセンタピラー間の下隅部
を断面略傾斜状とする一方、各張力帯の下角部を、上記
下隅部との間に隙間が形成されるように設けることとし
たので、上記各張力帯の下角部においても上角部の場合
と同様に摩擦による張力帯の発熱劣化を抑えることがで
き、これらの結果、上記請求項1及び2の発明による効
果と相俟って、ベルト耐久性を一段と高めてさらなる長
寿命化を図ることができる。
【0094】請求項6の発明によれば、上記各ブロック
の下隅部を、断面略傾斜状に代えて断面略円弧状とした
ので、この発明によっても、上記請求項5の発明の場合
と同じ効果を奏することができる。
【0095】請求項7の発明によれば、上記各張力帯に
心線が埋設されている場合に、上記各ブロックの下隅部
を断面略直角状としたので、上記心線の各部分に加わる
荷重を均一化でき、そのような荷重の不均一化に起因す
る心線の早期破断や張力帯の早期破損を未然に防止する
ことができる。
【0096】請求項8の発明によれば、上記各張力帯の
下角部を断面略直角状とするようにしたので、上記請求
項7の発明による効果を具体的に得ることができる。
【0097】請求項9の発明によれば、上記各張力帯の
下角部を、各ブロックの下隅部との間に隙間を形成する
ように設けたので、上記請求項7の発明による効果に加
えて、上記請求項5及び6の場合と同様に各張力帯の下
角部の発熱劣化を低減することができる。
【0098】請求項10の発明によれば、上記各張力帯
の下角部を、各ブロックの下隅部との間に隙間が形成さ
れる断面略傾斜状としたので、上記請求項9の発明によ
る効果を具体的に得ることができるのみならず、上記各
張力帯のベルト内面側に下帆布層が設けられている場合
には、各張力帯を各ブロックの嵌合部に挿入する際に上
記下帆布層が嵌合部の入口端に引っ掛かって剥離すると
いう事態を起き難くすることができ、よって、上記請求
項3の発明の場合と同様に、下帆布層の剥離部分に生じ
易い張力帯の早期摩耗や発熱等の不具合の発生を抑える
ことができる。
【0099】請求項11の発明によれば、上記各張力帯
の下角部を、各ブロックの下隅部との間に隙間が形成さ
れる断面略円弧状としたので、この発明によっても、上
記請求項10の発明の場合と同じ効果を奏することがで
きる。
【0100】請求項12の発明によれば、上記各ブロッ
クのセンタピラーと、各張力帯との間にベルト幅方向の
隙間を形成するようにしたので、各ブロックのゼンタピ
ラーと各張力帯との摩擦による発熱を低減することがで
き、そのような発熱に起因する張力帯の劣化を効率よく
抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のI−I線拡大断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る高負荷伝動用Vベル
トの全体構成を示す斜視図である。
【図3】ブロックの補強材の形状を説明するための図2
のIII −III 線拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る高負荷伝動用Vベル
トの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図5】本発明の実施形態3に係る高負荷伝動用Vベル
トの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図6】本発明の実施形態4に係る高負荷伝動用Vベル
トの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図7】本発明の実施形態5に係る高負荷伝動用Vベル
トの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図8】本発明の実施形態6に係る高負荷伝動用Vベル
トの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図9】ブロックの下隅部が断面傾斜状である高負荷伝
動用Vベルトにおける張力帯の位置ずれを説明するため
の図1相当図である。
【図10】本発明の実施形態7に係る高負荷伝動用Vベ
ルトの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図11】本発明の実施形態8に係る高負荷伝動用Vベ
ルトの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図12】本発明の実施形態9に係る高負荷伝動用Vベ
ルトの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図13】本発明の実施形態10に係る高負荷伝動用V
ベルトの要部を模式的に示す図1相当図である。
【図14】従来の高負荷伝動用Vベルトの張力帯の断面
形状の変化を模式的にかつ誇張して示す図1相当図であ
る。
【図15】張力帯の上下両帆布層のめくれを模式的にか
つ誇張して示す図1相当図である。
【図16】従来の高負荷伝動用Vベルトにおけるブロッ
クの補強材の形状を説明するための図3相当図である。
【符号の説明】
1 張力帯 1a 上角部 1b 下角部 4 心線 9 ブロック 9a 上隅部 9b 下隅部 10 上ビーム 11 下ビーム 12 センタピラー 13 嵌合部

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々、ベルト長さ方向に延び、ベルト幅
    方向に並ぶように配置される両側1対のエンドレスの張
    力帯と、 各々、ベルト背面側にベルト幅方向に延びるように配置
    される上ビームと、ベルト内面側に上記上ビームとベル
    ト厚さ方向の上下に対応してベルト幅方向に延びるよう
    に配置される下ビームと、上記両ビームをベルト幅方向
    中央において互いに結合するセンタピラーと、ベルト幅
    方向の両側部に上記上下両ビーム及びセンタピラーによ
    り形成されたスリット状の嵌合部とを有し、該両側の嵌
    合部に上記両側の張力帯が嵌装されて該両張力帯にベル
    ト長さ方向に等間隔に係止された複数のブロックとを備
    えた高負荷伝動用Vベルトにおいて、 上記各ブロックは、該ブロックの嵌合部における上記上
    ビームと上記センタピラーとの間に断面略傾斜状の上隅
    部を有し、 上記各張力帯における上記各ブロックの上隅部に対応す
    る上角部は、該上隅部との間に隙間を形成するように設
    けられていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高負荷伝動用Vベルトに
    おいて、 各ブロックは、断面略傾斜状の上隅部に代えて、断面略
    円弧状の上隅部を有することを特徴とする高負荷伝動用
    Vベルト。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の高負荷伝動用Vベ
    ルトにおいて、 各張力帯の上角部は、各ブロックの上隅部との間に隙間
    を形成するように断面略傾斜状にされていることを特徴
    とする高負荷伝動用Vベルト。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の高負荷伝動用Vベ
    ルトにおいて、 各張力帯の上角部は、各ブロックの上隅部との間に隙間
    を形成するように断面略円弧状にされていることを特徴
    とする高負荷伝動用Vベルト。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3又は4記載の高負荷伝
    動用Vベルトにおいて、 各ブロックは、該ブロックの嵌合部における下ビームと
    センタピラーとの間に断面略傾斜状の下隅部を有し、 各張力帯における上記各ブロックの下隅部に対応する下
    角部は、該下隅部との間に隙間を形成するように設けら
    れていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の高負荷伝動用Vベルトに
    おいて、 各ブロックは、断面略傾斜状の下隅部に代えて、断面略
    円弧状の下隅部を有することを特徴とする高負荷伝動用
    Vベルト。
  7. 【請求項7】 請求項1,2,3又は4記載の高負荷伝
    動用Vベルトにおいて、 各張力帯に、ベルト長さ方向に延びてベルト幅方向に並
    ぶ心線が埋設され、 各ブロックは、該ブロックの嵌合部における下ビームと
    センタピラーとの間に断面略直角状の下隅部を有するこ
    とを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の高負荷伝動用Vベルトに
    おいて、 各張力帯における各ブロックの下隅部に対応する下角部
    は、断面略直角状にされていることを特徴とする高負荷
    伝動用Vベルト。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の高負荷伝動用Vベルトに
    おいて、 各張力帯における各ブロックの下隅部に対応する下角部
    は、該下隅部との間に隙間を形成するように設けられて
    いることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
  10. 【請求項10】 請求項5,6又は9記載の高負荷伝動
    用Vベルトにおいて、 各張力帯の下角部は、各ブロックの下隅部との間に隙間
    を形成するように断面略傾斜状にされていることを特徴
    とする高負荷伝動用Vベルト。
  11. 【請求項11】 請求項5,6又は9記載の高負荷伝動
    用Vベルトにおいて、各張力帯の下角部は、各ブロック
    の下隅部との間に隙間を形成するように断面略円弧状に
    されていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
  12. 【請求項12】 請求項1,2,3,4,5,6,7,
    8,9,10又は11記載の高負荷伝動用Vベルトにお
    いて、 各ブロックのセンタピラーと、各張力帯との間にベルト
    幅方向の隙間がベルト厚さ方向に延びるように形成され
    ていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
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