JPH10196310A - 蒸気タービン設備における主蒸気管のフラッシング方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】据付け現地で蒸気タービンの試運転に先立って
行う主蒸気管のフラッシングに際して、その準備，事後
作業が簡単に行えるようにする。 【解決手段】現地に据付けた蒸気タービン２の試運転に
先立ち、ボイラと蒸気タービンとの間を結ぶ主蒸気管３
にボイラから蒸気をブローして管内を清掃するフラッシ
ング作業の際に、常時は主蒸気止め弁４に通じるタービ
ンケーシングの蒸気入口２ａと主蒸気管の管端との間を
フランジ付きの短尺蒸気管８を介して接続しておき、主
蒸気管のフラッシングを行う際には、タービンケーシン
グに主蒸気止め弁を組み込んだまま、短尺蒸気管を取り
外した上で主蒸気管の管端にエルボ形のブローイング用
管継手９を接続し、該管継手に連接した仮設排気管７を
通じてボイラより主蒸気管に送気したブローイング蒸気
を大気中に放出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、現地に据付けた蒸
気タービンの初期運転に先立ち、ボイラと蒸気タービン
との間を結ぶ主蒸気管にボイラで生成した高圧蒸気をブ
ローイングアウトして管内の異物，スパッタなどを清掃
する蒸気タービン設備における主蒸気管のフラッシング
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】火力発電所などの蒸気タービン設備で
は、現地にボイラ，蒸気タービンを設置し、さらにボイ
ラとタービンとの間を結んで各種配管を敷設した据付け
状態で、蒸気タービンの試運転に先立ち、主蒸気管の配
管溶接作業により配管内に生じたスパッタ（溶接作業中
に飛散したスラグ，金属粒など），および異物などを清
掃するために、ボイラからの高圧蒸気を用いて主蒸気管
にブローして管内に残留している汚染異物を系外に排除
することが行われている。この場合に、主蒸気管をブロ
ーした蒸気（異物を含む）が蒸気タービンに侵入するの
を防ぐために、タービンの蒸気入口の手前から大気側に
放出するようにしている。

【０００３】次に、前記の主蒸気管に対するフラッシン
グ作業の概要を図４(a),(b) で説明する。図において、
１はボイラ─、２は蒸気タービン、３はボイラ１と蒸気
タービン２との間を結ぶ主蒸気管であり、常時は主蒸気
管３が主蒸気止め弁４を組み込んだ蒸気タービン２の蒸
気入口に接続されている。なお、５は蒸気加減弁、６は
復水器、７はフラッシング作業を行う際に所内に仮設す
る仮設排気管であり、図４(a) は通常の運転状態，(b)
はフラッシング作業の状態を表している。

【０００４】ここで、現地に据付けた蒸気タービン２の
試運転に先立ち、高圧蒸気を利用して主蒸気管３のフラ
ッシング作業を行う際に、従来の方法では蒸気タービン
２に組み込まれている主蒸気止め弁４を取り外した上
で、この部分にタービン内部の蒸気加減弁５に通じる蒸
気通路を閉塞する専用のブローイングアウト治具を組み
込み、さらにタービンケーシングに備えた主蒸気止め弁
４の取付座に仮設排気管７を配管接続した上で、ボイラ
１から主蒸気管３に蒸気をブローし、そのブローイング
蒸気を前記したブローイングアウト治具，および仮設排
気管７を通じて大気中に放出するようにしている。そし
て、フラッシング作業の終了後は、仮設排気管７，およ
びブローイングアウト治具を取り外した上で、改めてタ
ービンケーシングに主蒸気止め弁４を組み込み、該弁の
取付調整，検査を再度行った上で蒸気タービンの試運転
に移行するようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
に現地にボイラ１，蒸気タービン２を設置し、さらに主
蒸気端３の配管施工を終了した据付け状態で、主蒸気管
３のフラッシング作業を実施するには、その準備作業と
して行う蒸気タービンのケーシングからの主蒸気止め弁
の取り外しけブローイングアウト治具の取付ける作業、
並びにフラッシング後に行う事後作業としてブローイン
グアウト治具の取り外し，主蒸気弁の再取付け作業が必
要であり、この作業には多くの時間と人手間が掛かる。

【０００６】また、この場合に、蒸気タービン２のケー
シングに対する主蒸気止め弁４の取り外し，並びにブロ
ーイングアウト治具の取付け作業は、蒸気タービンを現
地へ出荷する前に作業環境の整った工場で行うことも可
能であるが、据付け先の現地でのフラッシング作業後に
行うブローイングアウト治具の取り外し，および主蒸気
止め弁の再取付けは全て作業環境の整っていない現地で
の作業となる。さらに加えて、前記したブローイングア
ウト治具は、主蒸気止め弁の構造，形状，サイズに合わ
せてその都度製作しなければならず、しかもフラッシン
グ作業が終了すれば不要となるので高価なものとなる。

【０００７】本発明は上記の点に鑑みなされたものであ
り、その目的は前記課題を解決し、据付け現地での作業
時間，手間を大幅に簡略化して主蒸気管のフラッシング
作業が実施できるようにした蒸気タービン設備における
主蒸気管のフラッシング方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、フラッシング作業を次記の方法で
行うものとする。 １）常時は主蒸気止め弁に通じるタービンケーシングの
蒸気入口と主蒸気管の管端との間をフランジ付きの短尺
蒸気管を介して接続しておき、主蒸気管のフラッシング
作業を行う際には、タービンケーシングに主蒸気止め弁
を組み込んだまま、前記の短尺蒸気管を取り外した上で
主蒸気管の管端にエルボ形のブローイング用管継手を接
続し、該管継手に連ねて所内に敷設した仮設の排気管を
通じてボイラより主蒸気管に送気したブローイング蒸気
を大気中に放出する。

【０００９】２）主蒸気止め弁に通じるタービンケーシ
ングの蒸気入口に接続した主蒸気管に対し、その管端に
近い箇所から側方に分岐した盲蓋付きのブローイング用
分岐管を設け、主蒸気管のフラッシング作業を行う際に
は、前記盲蓋を取り外してブローイング用分岐管に所内
に仮設した排気管を接続し、さらにタービンケーシング
に組み込んだ主蒸気止め弁を閉じた上で、ボイラより主
蒸気管に送気したブローイング蒸気を仮設排気管を通じ
て大気中に放出する。

【００１０】３）前項２）において、主蒸気管から引出
したブローイング用分岐管の管端にフランジを設け、該
フランジに盲蓋，ないし仮設排気管をフランジ結合す
る。上記した各方式のフラッシング方法によれば、蒸気
タービンの据付け現地でフラッシング作業を行う際に、
タービンケーシングに組み込んだ主蒸気止め弁を取り外
してブローイングアウト治具を組み込むといった面倒な
手間が一切必要なく、主蒸気管の管端部に仮設排気管を
接続するために用意した簡単な構造の継手治具を接続す
るか，ないしは付設し、これに仮設排気管を連接するだ
けで直ちにフラッシング作業を行うことができ、これに
よりフラッシングの準備，事後作業に要する時間，並び
に手間の大幅な簡略化が図れる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を形態別に
分けて図面に基づき説明する。 〔実施例１〕図１(a),(b) は本発明の請求項１に対応す
る実施例を示すものであり、(a) は通常時の主蒸気管の
配管接続状態、(b) は主蒸気管のフラッシング作業中の
状態を表す。

【００１２】この実施例においては、図１(a) で示すよ
うに常時は主蒸気止め弁４を組み込んだ蒸気タービン２
のタービンケーシング２ａに対し、その蒸気入口２ｂと
ボイラから引出して所内に敷設配管した常設の主蒸気管
３の管端との間が着脱可能な短尺蒸気管８を介して接続
されている。この短尺蒸気管８はその両端にフランジ８
ａ，８ｂを備えており、それぞれのフランジをタービン
ケーシングの蒸気入口に形成したフランジ２ｃ，主蒸気
管３の管端に設けたフランジ３ｂにパッキン，ボルトを
介してシール接続されるている。

【００１３】一方、蒸気タービン設備を現地に据付け状
態で、蒸気タービンの試運転に先立ち主蒸気管３に蒸気
をブローして配管内部を清掃する際には、主蒸気止め弁
４はタービンに組み込んだまま、前記の短尺蒸気管８を
取り外した上で、図１(b) で示すように主蒸気管３の管
端フランジ３ａに、エルボ形のブローイング用管継手９
（あらかじめフラッシング治具として用意してある）の
フランジ９ａを接続し、この管継手９に所内に仮設した
排気管７を溶接接合する。これにより、主蒸気管３と蒸
気タービン２との間が完全に切り離され、主蒸気管３は
仮設排気管７を通じて大気側に連通する。この状態で図
４(a) で述べたように、ボイラから蒸気を主蒸気管３に
送気すると、ブローイング蒸気は主蒸気管内をブローし
た後に、ブローイング用管継手９，仮設排気管７を通じ
て大気側に放出される。

【００１４】なお、フラッシング作業が終了した後は、
仮設排気管７，ブローイング用管継手９を取り外した
後、図１(a) のように蒸気タービン２の蒸気入口と主蒸
気管３の端端の間に短尺蒸気管８を接続する。 〔実施例２〕図２(a),(b) は本発明の請求項２に対応す
る実施例を示すものである。この実施例においては、蒸
気タービン２の蒸気入口２ｂにフランジ２ｃ，３ａを介
して接続した主蒸気管３に対し、その終端近くには側方
に引出して先端に突合わせ溶接開先を形成したブローイ
ング用分岐管１０が設けてあり、常時は図２(a) で示す
ように、分岐管１０の開口端を盲蓋１０ａで閉塞してお
く。

【００１５】ここで、蒸気タービンの初期運転に先立っ
て主蒸気管３のフラッシングを行う際には、あらかじめ
ブローイング用分岐管１０に仮止めしておいた盲蓋１０
ａを取り外した上で、図２(b) で示すように分岐管１０
の管端に仮設排気管７を突き合わせ溶接し、さらにター
ビンケーシング２ａに組み込んだ主蒸気止め弁４を全閉
する。この状態でボイラより主蒸気管３に蒸気を送気す
ると、ブローイング蒸気は主蒸気管３の管路全長域をブ
ローした後、分岐管１０に接続した仮設排気管７を通じ
て大気中に放出される。

【００１６】そして、フラッシング作業の終了後は、分
岐管１０から仮設排気管７を切断して切り離した上で、
分岐端１０の管端に盲蓋１０ａを溶接してシールする。
なお、この実施例は、主蒸気管３の管端をフランジ３ｃ
を使わずに蒸気タービン２の蒸気入口に直接溶接接合し
て連結した構造の蒸気タービン設備にも適用できる。

【００１７】〔実施例３〕図３(a),(b) は本発明の請求
項３に対応する先記実施例２の応用実施例を示すもので
ある。この実施例においては、主蒸気管３の終端部から
側方に引出したブローイング用分岐管１０に対して、そ
の管端にはフランジ１０ｂを設け、このフランジ１０ａ
に盲蓋１０ａ（図３(a）参照）、あるいは仮設排気管７
に設けたフランジ７ａ（図３(b) 参照）をガスケットを
介してシール接続するようにしており、そのフラッシン
グ方法は先記実施例２と同様に行われる。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のフラッシン
グ方法によれば、主蒸気止め弁を蒸気タービンのケーシ
ングに組み込んだままの状態で、主蒸気管に簡単な治具
を介して仮設排気管を接続するだけで、主蒸気管に送気
した蒸気を系外にブローイングアウトしてフラッシング
作業を行うことができ、手間の掛かる主蒸気止め弁の取
り外し，再取付け作業を要する従来のフラッシング方法
と比較して、工場，据付け現地で行う準備，事後作業の
簡便化，並びにフラッシング作業にようする作業時間の
大幅な短縮化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１(a),(b) は本発明の請求項１に対応する実
施例を示すものであり、(a) は通常時にける主蒸気管の
配管接続状態、(b) は主蒸気管のフラッシング作業を行
っている状態を表す図

【図２】図２(a),(b) は本発明の請求項２に対応する実
施例を示すものであり、(a) は通常時にける主蒸気管の
配管接続状態、(b) は主蒸気管のフラッシング作業を行
っている状態を表す図

【図３】図３(a),(b) は本発明の請求項３に対応する実
施例を示すものであり、(a) は通常時にける主蒸気管の
配管接続状態、(b) は主蒸気管のフラッシング作業を行
っている状態を表す図

【図４】蒸気タービン設備における主蒸気管のフラッシ
ング作業の概要説明図であり、(a) は通常時にける主蒸
気管の配管接続状態、(b) は主蒸気管のフラッシング作
業を行っている状態を表す図

【符号の説明】

１ ボイラ ２ 蒸気タービン ２ａ タービンケーシング ２ｂ 蒸気入口 ２ｃ フランジ ３ 主蒸気管 ３ａ フランジ ４ 主蒸気止め弁 ７ 仮設排気管 ７ａ フランジ ８ 短尺蒸気管 ８ａ，８ｂ フランジ ９ ブローイング用管継手 ９ａ フランジ １０ ブローイング用分岐管 １０ａ 盲蓋 １０ｂ フランジ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】現地に据付けた蒸気タービンの試運転に先
   立ち、ボイラと蒸気タービンとの間を結ぶ主蒸気管にボ
   イラから送気した高圧蒸気をブローイングアウトして管
   内を清掃するフラッシング方法であって、常時は主蒸気
   止め弁に通じるタービンケーシングの蒸気入口と主蒸気
   管の管端との間をフランジ付きの短尺蒸気管を介して接
   続しておき、主蒸気管のフラッシング作業を行う際に
   は、タービンケーシングに主蒸気止め弁を組み込んだま
   ま、前記の短尺蒸気管を取り外した上で主蒸気管の管端
   にエルボ形のブローイング用管継手を接続し、該管継手
   に連ねて所内に敷設した仮設の排気管を通じてボイラよ
   り主蒸気管に送気したブローイング蒸気を大気中に放出
   するようにしたことを特徴とする蒸気タービン設備にお
   ける主蒸気管のフラッシング方法。
2. 【請求項２】現地に据付けた蒸気タービンの試運転に先
   立ち、ボイラと蒸気タービンとの間を結ぶ主蒸気管にボ
   イラから送気した高圧蒸気をブローイングアウトして管
   内を清掃するフラッシング方法であって、主蒸気止め弁
   に通じるタービンケーシングの蒸気入口に接続した主蒸
   気管に対し、その管端に近い箇所から側方に分岐した盲
   蓋付きのブローイング用分岐管を設け、主蒸気管のフラ
   ッシング作業を行う際には、前記盲蓋を取り外してブロ
   ーイング用分岐管に所内に仮設した排気管を接続し、さ
   らにタービンケーシングに組み込んだ主蒸気止め弁を閉
   じた上で、ボイラより主蒸気管に送気したブローイング
   蒸気を仮設排気管を通じて大気中に放出するようにした
   ことを特徴とする蒸気タービン設備における主蒸気管の
   フラッシング方法。
3. 【請求項３】請求項２記載の主蒸気管のフラッシング方
   法において、主蒸気管から引出したブローイング用分岐
   管の管端にフランジを設け、該フランジに盲蓋，ないし
   仮設排気管をフランジ結合するようにしたことを特徴と
   する蒸気タービン設備における主蒸気管のフラッシング
   方法。