JPH10195518A - ステンレス溶鋼の脱炭方法 - Google Patents
ステンレス溶鋼の脱炭方法Info
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Abstract
とを効果的に抑制して、高生産性の精錬を行うことので
きるステンレス溶鋼の脱炭方法を提供する。 【解決手段】 酸素ガスの吐出方向に縮径するスロート
部19と、スロート部19に続いて拡径するガス吐出部
20からなるノズル構造を有する上吹きランス12を用
いて、転炉11内に保持される溶鋼13に酸素ガスを吹
き付けて溶鋼13の炭素濃度を低減するステンレス溶鋼
の脱炭方法において、スロート部19に供給する酸素ガ
スの操作圧力Pをノズル構造のガス噴流特性に基づいて
調整して、転炉11内の溶鋼面14上における酸素ガス
の流速Vと酸素ガスの流量Qとの比であるガス噴流比V
/Qを炭素濃度の高炭素濃度領域よりも低炭素濃度領域
で大きくする。
Description
吹き込んで脱炭精錬を行う転炉等でのステンレス溶鋼の
脱炭方法に関し、更に詳しくは操業中におけるダストの
発生とクロムロスを抑制する脱炭方法に関する。
いては、転炉内の溶鋼表面に吹き込む酸素ガスにより溶
鋼面が激しく攪拌され、溶鋼やスラグを含むスプラッシ
ュの発生により多量のダストが発生し、生産歩留を低下
させることが知られている。また、溶鋼中に含まれるク
ロム成分が酸素ガスにより酸化されるために、この生成
した酸化クロムが溶鋼中から溶鋼面上のスラグ中に取り
込まれて、クロムロスを増加させる要因となっている。
このような転炉の脱炭精錬におけるダスト発生、又はク
ロムロスの防止を図る方法として、例えば以下の〜
のようなものがある。 特公昭56−52965号公報には、転炉から発生す
るダストを予めペレット化し、このペレットを転炉吹錬
の初期に投入して、クロム等の有価成分を回収利用する
方法が示されている。 特開平6−57320号公報には、普通鋼の精錬にお
いて上吹きランスを多孔化して用いることにより、酸素
ガスの流れを均一化するソフトブローを行って精錬中の
ダストの発生を抑制する方法が記載されている。 特公昭60−39728号公報には、溶鋼を攪拌する
ガスにアルゴンガス等の不活性ガスを用いて吹錬末期の
CO分圧を低下させることにより、クロム酸化を抑制し
て優先脱炭を行い、最後にフェロシリコン等を溶鋼中に
投入して、精錬中に生成した酸化クロムを還元する方法
が開示されている。
〜の方法ではそれぞれ以下に示すような問題点があっ
た。 特公昭56−52965号公報に記載の転炉ダストを
回収利用する方法では、回収したダストをペレット化す
るために費用がかかる上に、溶鋼中のクロムの酸化を抑
制する手段を有していない。 特開平6−57320号公報の多孔式の上吹きランス
を用いる方法では、酸素ガスの流量を絞った吹錬末期に
おけるガスの吐出流速が必要以上に遅くなるために、ス
テンレス鋼中のクロムの酸化量が多くなる欠点がある。 特公昭60−39728号公報のアルゴンガス等の不
活性ガスによるクロム酸化の抑制、及びフェロシリコン
等の還元剤を用いて酸化クロムを還元する方法では、こ
れらの原料コストがかかりダストの発生を抑制する手段
が示されていない。
もので、転炉精錬時におけるダスト発生とクロムロスと
を効果的に抑制して、高生産性の精錬を行うことのでき
る転炉でのステンレス溶鋼の脱炭方法を提供することを
目的とする。
記載のステンレス溶鋼の脱炭方法は、酸素ガスの吐出方
向に縮径するスロート部と、該スロート部に続いて拡径
するガス吐出部からなるノズル構造を有する上吹きラン
スを用いて、転炉内に保持される溶鋼に前記酸素ガスを
吹き付けて該溶鋼の炭素濃度を低減するステンレス溶鋼
の脱炭方法において、前記スロート部に供給する前記酸
素ガスの操作圧力Pを前記ノズル構造のガス噴流特性に
基づいて調整して、前記転炉内の溶鋼面上における前記
酸素ガスの流速Vと該酸素ガスの流量Qとの比であるガ
ス噴流比V/Qを前記炭素濃度の高炭素濃度領域よりも
低炭素濃度領域で大きくする。ガス噴流特性とは、操作
圧力Pを変動させることによって、変化する酸素ガスの
流量Q、及び酸素ガスの溶鋼面近傍ににおける流速Vと
の関係をいい、一般に上吹きランス下端から溶鋼面まで
の吹付け距離L、スロート部における最小径であるスロ
ート径Ds 、及びガス吐出部先端の出口径Dt 等により
規定される。脱炭反応に実際に寄与する酸素ガス量と転
炉に供給する全酸素ガス量との比である脱炭酸素効率
は、溶鋼中の炭素濃度の減少に伴って炭素濃度の境界領
域で急激に低下する。そして、このような境界領域より
高濃度側を高炭素濃度領域、低炭素濃度側を低炭素濃度
領域として定義することができる。前記境界領域は、転
炉の形状、攪拌力、転炉の操業条件によって変動する
が、一般に炭素濃度が0.6〜0.8wt%となる範囲
である。ガス噴流比とは、酸素ガスの吐出状態を規定す
る指標である。ガス噴流比が高い場合には、転炉内にお
けるガスの攪拌力が強くなって、ダスト発生量が多くな
り、逆にガス噴流比が低い場合にはクロムロスが増え
る。
は、請求項1記載のステンレス溶鋼の脱炭方法におい
て、前記高炭素濃度領域及び前記低炭素濃度領域におけ
る前記酸素ガスの流量Qを処理溶鋼1トン当たりそれぞ
れ2〜7Nm3 /min、0.5〜2Nm3 /minに
制御する。高炭素濃度領域における酸素ガス流量Qが、
処理溶鋼1トン当たり2Nm3 /min(以下、Nm3
/minと表記する)より低いと、脱炭酸素効率は向上
するが、生産性が低下する。また、酸素ガス流量Qが7
Nm3 /minを越えると、ダスト発生量が飛躍的に増
えるので好ましくない。低炭素濃度領域における酸素ガ
ス流量Qが0.5Nm3 /minより低いと、脱炭酸素
効率は向上するが、生産性が低下し、また、酸素ガス流
量Qが2Nm3/min以上になると、脱炭酸素効率は
低下し、クロムロスが著しく増大する。
は、請求項1又は2記載のステンレス溶鋼の脱炭方法に
おいて、前記高炭素濃度領域及び前記低炭素濃度領域に
おける前記操作圧力Pと設計圧力P0 との圧力比P/P
0 をそれぞれ1.1以上、1.1未満に制御する。設計
圧力P0 とは、ノズル構造の寸法、及び幾何学的配置等
により規定される所定量の酸素ガスを吐出する際に適正
な吐出状態を得ることのできる圧力であり、一般的には
3〜7kgf/cm2 の範囲に設定される。高炭素濃度
領域における圧力比P/P0 が1.1より低い場合に
は、脱炭酸素効率が低下するので好ましくない。また、
低炭素濃度領域における圧力比P/P0 が1.1以上で
あると、クロムロスを必要以上に増大させると共に、ダ
スト発生量が増える要因となる。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに図1は本発明の一実施の形態
に係るステンレス溶鋼の脱炭方法を適用する転炉設備の
側断面図、図2は高炭素濃度領域における酸素ガス吹付
け状態を示す概念図、図3は低炭素濃度領域における酸
素ガス吹付け状態を示す概念図、図4は酸素ガス流量Q
とガス流速Vとの関係を示す図、図5(a)、(b)、
(c)はそれぞれ精錬中における炭素濃度、ガス流量、
及び圧力比の時間変化を示す模式図、図6はジェットコ
ア長さの比Hc /Hcpと圧力比P/P0 との関係を示す
図である。
鋼の脱炭方法を適用する転炉設備10は図1に示すよう
に、溶鋼13を保持する転炉11と、溶鋼13の溶鋼面
14に酸素ガスを吹き付けるための上吹きランス12と
を有する。溶鋼13は、クロム成分を5〜20wt%含
有するステンレス溶鋼であり、高炉から溶銑を抽出し
て、出銑された溶銑の硫黄分、燐分、シリコン分等を調
整した後に、クロム等の合金成分を添加したものであ
る。転炉11は、マグネシア炭素質等からなる耐火れん
が16で内張りされた鋼鉄製の炉殻15を有する精錬容
器であり、その上部の炉口18から溶鋼13を供給し
て、上部の側面に設けられた出鋼孔17から精錬後の溶
鋼13が排出されるようになっている。上吹きランス1
2は、その先端から溶鋼面14までの吹付け距離Lを必
要に応じて調整できるようになっており、ノズル構造は
図2の詳細図に示すように、酸素ガスの吐出方向に縮径
するスロート部19と、スロート部19に続いて拡径す
るガス吐出部20をそれぞれ有する複数のノズルから構
成されている。そして、ノズル孔数n、スロート部19
のスロート径Ds 、ガス吐出部20の出口径Dt 、及び
その他のノズル形状因子等を変更することによって基本
特性が決定される。この基本特性と供給される酸素の条
件によって、そのガス噴流特性を必要に応じて調整でき
るようになっている。
する酸素ガスの流量(ガス流量)Qと、溶鋼面14近傍
における酸素ガスの流速(ガス流速)Vとの関係をい
う。図4は、スロート径、出口径等のノズル形状因子が
異なる4種の上吹きランス12における吹付け距離Lを
2600mmに固定した場合のガス噴流特性を示してい
る。ここで、縦軸は図2、図3における溶鋼面14近傍
の酸素ガスの流速(最大流速)Vを示し、横軸は酸素ガ
ス流量Qを示している。図4に示されるように、流速V
は流量Qに対して一次式(V=a・Q+b)で表される
ような単純な関係にはなく、またガス噴流比V/Qはそ
れぞれのガス流量Qの範囲によって異なることが分か
り、このようなガス噴流特性はノズル構造におけるノズ
ル形状因子によって左右される。本発明は、操作圧力P
(操作2次圧ともいう)によって変動するガス噴流比V
/Qの特性を利用して、高炭素濃度領域、及び低炭素濃
度領域における酸素ガスの流れを以下に示すような最適
状態に維持しようとするものである。即ち、ガス噴流比
V/Qが高い場合には、図2に示すようにガス流量Qに
較べて相対的にガス流速Vが速くなるために、溶鋼面と
の接触面積が増えて脱炭酸素効率が高水準に維持される
と共に、従来のランスによる吹酸に対して、ダストの発
生を最少限度に抑制することができる。また、ガス噴流
比V/Qが相対的に低くなる場合には、図3に示すよう
に溶鋼面14上における流速Vが抑制されて酸素ガスの
ソフトブローが容易となり、ダストの発生量を抑えて、
従来のランスによる吹酸に対して、溶鋼13中のクロム
の酸化によるクロムロスを防止できる。このように高炭
素濃度領域においては、図2に示すように吹付け距離L
を長く設定することにより、ガス噴流比V/Qをできる
だけ低く維持する。逆に低炭素濃度領域においては、図
3に示すように吹付け距離Lを短くして、ガス噴流比V
/Qを高炭素濃度領域よりも大きく設定することが望ま
しい。
ットコアの部分は、ノズル先端から吐出する酸素ガスの
流れにおいて、吐出後の流速が殆ど変化しない領域であ
り、の酸素ガスの流れがジェットコアの長さHc を越え
ると酸素ガスが膨張して、ガス流速の急激な低下が始ま
るような領域である。ジェットコアの長さHc はHc =
Hcp・f(P/P0 )により与えられる。ここで、Hcp
は設計圧力P0 におけるジェットコアの長さであり、H
cp=Mop・(4.2+1.1Mop 2 )・Dt により定め
られる。Mopは酸素ガス吐出時において最適状態となる
噴流速度に対応するマッハ数(音速との比)である。f
(P/P0 )は例えば、図6に示されるような圧力比P
/P0 を変数とする実験によって定められるHc /Hcp
の関数であり、ノズル構造に対応した固有の変化を示
す。また、溶鋼面14における酸素ガスの最大流速であ
るガス流速V(m/sec)は、前記Hc 、吹付け距離
L、及び音速(Vt =320m/sec)を用いて、V
=Vt ・Hc /Lにより求められる。従って、以上の関
係を用いてジェットコアの長さHc を変化させて、即ち
圧力比P/P0 、吹付け距離L等の調整により、ガス流
速Vを制御できる。
明の一実施の形態に係るステンレス溶鋼の脱炭方法につ
いて説明する。転炉11において、安価にステンレス鋼
を製造するためには、Cr(クロム)等の有価金属の歩
留向上が必要である。クロム成分の歩留低下の主原因
は、クロム成分を含むスラグあるいは溶鋼13がスピ
ッティング等によりダストとなって炉外に散逸するこ
と、及び溶鋼13中のクロム成分が酸化し、スラグ中
へ移行することである。従って、歩留向上のためにはダ
スト発生量を低減して、クロム酸化を抑制することが必
要である。脱炭時におけるダストの発生は、上吹き吹酸
する酸素ガスの供給速度(ガス流量Q)と溶鋼面14で
の噴流速度(ガス流速V)に大きく影響され、ガス流量
Qが大きい程、またガス流速Vが速い程、増加すること
が知られている。一方、クロム酸化は溶鋼13中の炭素
濃度、クロム濃度、ガス流量Q、ガス流速Vに大きく影
響され、炭素濃度が低く、クロム濃度が高い程、またガ
ス流量Qが大きく、ガス流速Vが小さい程増加する傾向
にある。また、転炉11での吹酸時間は、生産性や炉の
耐火物寿命の関係からできるだけ短い方が望ましく、こ
の観点から転炉11に投入するガス流量Qを増やすこと
が望ましい。従って、本発明においては、吹酸時間を可
能な限り短くして、かつクロム歩留の低下を抑制するた
めに、吹錬中の酸素ガスのガス流量Qとガス流速Vを適
正な条件に設定する。即ち、定性的には高炭素濃度領域
でガス流量Qを大きく、ガス流速Vを小さくして、逆に
低炭素濃度領域ではガス流量Qを小さく、ガス流速Vを
大きくする条件に制御するものである。
ある溶銑を転炉11に供給して、吹錬開始後にFe−C
r等の合金類を添加する。そして、ノズル孔数n、スロ
ート部19のスロート径Ds 、ガス吐出部20の出口径
Dt のノズル構造を有して、設計圧力P0 、設計ガス流
量Q0 である上吹きランス12を炉口18より挿入し
て、上吹きランス12の先端位置を吹付け距離Lに設定
して、酸素ガスの吹込みを開始する。ここで、大気圧P
a (1気圧=1.033kgf/cm2 )との差圧であ
る操作圧力P(kgf/cm2 )を上吹きランス12の
スロート部19の上流側の酸素ガスに付与して大気圧中
に吐出したときのガス流量Q(Nm3 /hr)は、Q=
k・n・S・(P+Pa )式等により表されるので、操
作圧力Pを変化させることによりガス流量Qを制御する
ことができる。なお、k、n、Sはそれぞれ定数(k=
58.1Nm3 /(hr・kgf))、ノズル孔数、ノ
ズル先端の断面積(S=(π/4)・Dt 2 (単位cm
2 ))である。従って、設計圧力P0 を前記の式に代入
することにより、設計圧力P0 に対応する設計ガス流量
(設計送酸速度)Q0 は、Q0 =k・n・S・(P0 +
Pa )で表され、Q0 、k、S、P0 の単位はそれぞれ
Nm3 /hr、Nm3 /(hr・kgf)、cm2 、k
gf/cm2 である。
き込まれる酸素ガス量の増大と共に次第に低下するが、
この炭素濃度が0.8wt%以上となる範囲を高炭素濃
度領域とし、0.6wt%以下となる範囲を低炭素濃度
領域として、以下の操作を行う。即ち、図5(b)、
(c)に示すように高炭素濃度領域では、圧力比P/P
0を1.1以上、更に好ましくは1.2〜2の範囲とし
て、酸素ガス流量Qを2Nm3 /min以上、更に好ま
しくは2.1〜7.0Nm3 /minとなるようにし
て、ガス噴流比V/Qができるだけ低くなるようにす
る。
示すようなノズル構造のガス噴流特性に基づいて操作圧
力Pを調整して、ガス噴流比V/Qを前記高炭素濃度領
域におけるガス噴流比V/Qより高くなるように設定す
ることができる。ここで、低炭素濃度領域における圧力
比P/P0 を1.1未満、好ましくは1.0〜0.7の
範囲に設定し、酸素ガス流量Qを0.5〜2Nm3 /m
inの範囲、好ましくは0.6〜1.6Nm3 /min
の範囲に設定することがダストの発生、及びクロムロス
を低減する観点からはさらに望ましい。
方法の実施例について説明する。表1、表2に示す実施
例1〜3はノズル孔数n、形状因子等のそれぞれ異なる
上吹きランス12を用いて、高炭素濃度領域、及び低炭
素濃度領域における所定の精錬を行った時のダスト発生
量、酸化クロム量、及びクロムロス合計の結果を示して
いる。なお、高炭素濃度領域、及び低炭素濃度領域の欄
における各数値は各領域におけるそれぞれの平均値を示
しており、結果は全精錬期間中における平均を示すもの
とする。
7cm、出口径Dt が4.42cmあるノズル孔数nが
4であるラバールノズルを用いた場合であり、そのガス
噴流特性は図4に示されている。なお、ここでは設計圧
力P0 、設計ガス流量Q0 それぞれ5kgf/cm2 、
15000Nm3 /hrとした。そして、ステンレス溶
鋼120トンを脱炭処理する高炭素濃度領域では、表1
に示すように操作圧力Pを9.9kgf/cm2 、酸素
ガス流量Qを28000Nm3 /hr(3.89Nm3
/min)、ガス流速Vを113m/sec、吹距離L
を2600mmとしている。従って、ガス噴流比V/
Q、及び圧力比P/P0 はそれぞれ4.04×10
-3(m/sec)/(Nm3 /hr)、2.0である。
なお、高炭素濃度領域においては、溶鋼13中にクロム
を加えるためにフェロクロム合金(Fe−Cr)を40
t投入した。一方、高炭素濃度領域に続く低炭素濃度領
域では、表1に示すように操作圧力Pを3.8kgf/
cm2 、酸素ガス流量Qを12000Nm3 /hr
(1.67Nm3 /min)、ガス流速Vを109m/
sec、吹付け距離Lを1600としている。従って、
ガス噴流比V/Q、及び圧力比P/P0 はそれぞれ9.
08×10-3(m/sec)/(Nm3 /hr)、0.
76である。このようにガス噴流比V/Qを低炭素濃度
領域で高炭素濃度領域の値よりも大きくしているので、
精錬中のダスト発生量、及びクロムロスを最少限度に抑
制することができ、この結果、精錬処理中のダスト発生
量は溶鋼1トン当たり20kgであったが、吹き止め時
における酸化クロム量、及び最終的なクロムロス合計は
処理溶鋼1トン当たりそれぞれ16kg、19.2kg
となる良好な結果が得られた。また、実施例2、及び実
施例3においても表1、表2の結果に示されるように、
いずれも後述する比較例よりも良好な結果を示している
ことが分かる。
る。比較例における溶鋼処理量は117トンであって、
スロート径Ds が4.5cm、出口径Dt が5.4cm
であるノズル孔数が4であるラバールノズルを用いその
ガス噴流特性が図4の実線で示されている。なお、ここ
では設計圧力P0 、設計ガス流量Q0 をそれぞれ5kg
f/cm2、22000Nm3 /hrとした。そして、
高炭素濃度領域では表2に示すように操作圧力Pを6.
5kgf/cm2 、酸素ガス流量Qを28000Nm3
/hr(3.99Nm3 /min)、ガス流速Vを10
9m/sec、吹付け距離Lを2600mmとしてい
る。ここで、ガス噴流比V/Q、及び圧力比P/P0 は
それぞれ3.9×10-3(m/sec)/(Nm3 /h
r)、1.3となる。なお、高炭素濃度領域におけるフ
ェロクロム合金(Fe−Cr)の投入量は38tであ
る。一方、高炭素濃度領域に続く低炭素濃度領域では、
表2に示すように操作圧力Pを3.0kgf/cm2 、
酸素ガス流量Qを12000Nm3 /hr(1.71N
m3 /min)、ガス流速Vを47m/sec、吹付け
距離Lを1500mmとしており、ガス噴流比V/Q、
及び圧力比P/P0 はそれぞれ3.9×10-3(m/s
ec)/(Nm3 /hr)、0.6である。このよう
に、比較例においては、高炭素濃度領域及び低炭素濃度
領域におけるガス噴流比V/Qをそれぞれ3.9×10
-3、3.9×10-3(m/sec)/(Nm3 /hr)
としているので、精錬処理中のダスト発生量、吹き止め
時における酸化クロム量、及び最終的なクロムロス合計
は処理溶鋼1トン当たりそれぞれ20kg、25kg、
28.2kgとなり、実施例に較べて劣る結果となるこ
とが分かる。
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においてはノズル孔
数が4、及び5の場合について説明したが、ノズル孔数
は必要に応じて増減が可能であり、最小1から最大20
とすることもできる。
炭方法においては、酸素ガスの操作圧力Pをノズル構造
のガス噴流特性に基づいて調整して、ガス噴流比V/Q
を炭素濃度の高炭素濃度領域よりも低炭素濃度領域で大
きくするので、精錬における脱炭酸素効率を高水準に維
持すると共に、高炭素濃度領域、及び低炭素濃度領域に
おけるダスト発生量、クロムロスの両者を適正に抑制す
ることができる。
炭方法においては、高炭素濃度領域及び低炭素濃度領域
における酸素ガスの流量Qをそれぞれ特定の範囲に制御
するので、脱炭酸素効率の維持とダスト及びクロムロス
の発生という相反する要求をバランスさせて、さらに効
率的な生産を行うことができる。
においては、高炭素濃度領域及び低炭素濃度領域におけ
る操作圧力Pと設計圧力P0 との圧力比P/P0 をそれ
ぞれ特定の範囲に制御するので、設計圧力を基準とする
操作圧力を変化させて酸素ガスの吐出流を形成して、よ
り精密で汎用性の高いガス噴流特性の制御が可能であ
る。
脱炭方法を適用する転炉設備の側断面図である。
示す概念図である。
示す概念図である。
である。
ける炭素濃度、ガス流量、及び圧力比の時間変化を示す
模式図である。
さHc と設計圧力P0 でのコア長さHcpとの関係、及び
圧力比P/P0 の関係を示す図である。
部 20 ガス吐出部
Claims (3)
- 【請求項1】 酸素ガスの吐出方向に縮径するスロート
部と、該スロート部に続いて拡径するガス吐出部からな
るノズル構造を有する上吹きランスを用いて、転炉内に
保持される溶鋼に前記酸素ガスを吹き付けて該溶鋼の炭
素濃度を低減するステンレス溶鋼の脱炭方法において、 前記スロート部に供給する前記酸素ガスの操作圧力Pを
前記ノズル構造のガス噴流特性に基づいて調整して、前
記転炉内の溶鋼面上における前記酸素ガスの流速Vと該
酸素ガスの流量Qとの比であるガス噴流比V/Qを前記
炭素濃度の高炭素濃度領域よりも低炭素濃度領域で大き
くすることを特徴とするステンレス溶鋼の脱炭方法。 - 【請求項2】 前記高炭素濃度領域及び前記低炭素濃度
領域における前記酸素ガスの流量Qを処理溶鋼1トン当
たりそれぞれ2〜7Nm3 /min、0.5〜2Nm3
/minに制御することを特徴とする請求項1記載のス
テンレス溶鋼の脱炭方法。 - 【請求項3】 前記高炭素濃度領域及び前記低炭素濃度
領域における前記操作圧力Pと設計圧力P0 との圧力比
P/P0 をそれぞれ1.1以上、1.1未満に制御する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のステンレス溶鋼
の脱炭方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1334797A JPH10195518A (ja) | 1997-01-08 | 1997-01-08 | ステンレス溶鋼の脱炭方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1334797A JPH10195518A (ja) | 1997-01-08 | 1997-01-08 | ステンレス溶鋼の脱炭方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10195518A true JPH10195518A (ja) | 1998-07-28 |
Family
ID=11830586
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---|---|---|---|
JP1334797A Pending JPH10195518A (ja) | 1997-01-08 | 1997-01-08 | ステンレス溶鋼の脱炭方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10195518A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009052090A (ja) * | 2007-08-27 | 2009-03-12 | Nippon Steel Corp | 溶鉄精錬用ランスおよび溶鉄精錬方法 |
-
1997
- 1997-01-08 JP JP1334797A patent/JPH10195518A/ja active Pending
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JP2009052090A (ja) * | 2007-08-27 | 2009-03-12 | Nippon Steel Corp | 溶鉄精錬用ランスおよび溶鉄精錬方法 |
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