JPH10194893A - 単結晶の製造装置 - Google Patents

単結晶の製造装置

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JPH10194893A
JPH10194893A JP34972596A JP34972596A JPH10194893A JP H10194893 A JPH10194893 A JP H10194893A JP 34972596 A JP34972596 A JP 34972596A JP 34972596 A JP34972596 A JP 34972596A JP H10194893 A JPH10194893 A JP H10194893A
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JP
Japan
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crystal
single crystal
melt
temperature gradient
radiant heat
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JP34972596A
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Atsushi Sato
佐藤  淳
Katsumi Kawasaki
克己 川嵜
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶融液上方の温度勾配が小さい領域の温度
勾配を大きくし、品質の良い単結晶の長尺化(結晶長を
長くすること)を可能とした単結晶の製造装置を提供す
ること。 【解決手段】 放射熱反射体を有する高周波加熱炉を用
い、ルツボ内の結晶融液から種子結晶により結晶引き上
げを行う単結晶の製造装置に於いて、前記放射熱反射体
の内側、外側又は内側と外側の双方に、1又は2以上の
放射熱遮蔽体を設け、前記結晶融液上方の温度勾配を調
整したことを特徴とする単結晶の製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶の製造装置に
係り、特に、酸化物単結晶の製造に適した単結晶の製造
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高周波加熱方式の単結晶引き上げ法によ
り、割れやねじれの無い良質の長尺結晶を得るための製
造装置又は製造方法については、各種の技術が提案され
ている。これらの技術は、LiNbO3やLiTaO3
の割れやねじれの生じ易い単結晶を育成する場合に特に
適している。
【0003】上記従来技術に於いては、下記の様にして
融液上方の温度分布(温度勾配)を適正化し、良質の単
結晶を得ている。
【0004】(1)ドーム状の放射熱反射体を設けたも
の(特公昭56ー27476号、特公昭57ー5075
6号)。
【0005】(2)ルツボと高周波加熱用の高周波コイ
ルとの相対位置を結晶成長に応じて制御するもの(特公
昭61ー5440号、特公昭61ー26519号、特公
昭58ー25078号)。
【0006】(3)単結晶の引き上げ量に応じて、放射
熱反射体を上昇させるもの(特開平8ー175896
号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には、下記の様な問題点があった。
【0008】(1)ドーム状の放射熱反射体を設けたも
のの問題点。
【0009】円柱状結晶の長さが、その直径に比べて長
くなるにつれて、結晶外形に変形(割れやねじれ等)が
発生し易くなる。
【0010】(2)ルツボと高周波加熱用の高周波コイ
ルとの相対位置を結晶成長に応じて制御するものの問題
点。
【0011】製造装置の構成が複雑化(高周波コイルを
移動させるための低速駆動系が必要)し、育成条件の設
定も難しくなる。
【0012】(3)単結晶の引き上げ量に応じて、放射
熱反射体を上昇させるものの問題点。
【0013】結晶の大型化(結晶を直径方向や長さ方向
に大きくすること)が困難であり、大型化と共に結晶の
品質が低下する。
【0014】又、従来の単結晶の製造装置に於いて、融
液上方の引き上げ軸に沿った温度分布に着目した場合、
ルツボ上端よりも高い位置に温度勾配が小さい領域が存
在し、係る領域の存在が結晶のねじれの発生に大きく影
響していた。
【0015】そこで、本発明は、従来の放射熱反射体を
有する単結晶の製造装置に於いて、特定寸法の放射熱遮
蔽体を1又は2以上を追加設置することにより、融液上
方の温度勾配が小さい領域の温度勾配を大きくし、品質
の良い単結晶の長尺化(結晶長を長くすること)を可能
とした単結晶の製造装置を提供するものである。
【0016】つまり、本発明の単結晶の製造装置は、ル
ツボ上端よりも高い位置に存在する温度勾配が小さい領
域の温度勾配を大きくすることにより、結晶にねじれが
発生することを抑制し、単結晶の長尺化を可能としたも
のである。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の単結晶の
製造装置は、放射熱反射体を有する高周波加熱炉を用
い、ルツボ内の結晶融液から種子結晶により結晶引き上
げを行う単結晶の製造装置に於いて、上記放射熱反射体
の内側、外側又は内側と外側の双方に、1又は2以上の
放射熱遮蔽体を設け、上記結晶融液上方の温度勾配を調
整したことを特徴とするものである。
【0018】請求項2記載の単結晶の製造装置は、請求
項1記載の単結晶の製造装置に於いて、結晶径とルツボ
の直径の比が1:2〜2:3であり、結晶径をd、融液
密度をρm、結晶密度をρc、とした場合に、上記放射熱
遮蔽体の育成開始時の融液界面からの高さHが、 d/(1+4ρc/(9ρmー4ρc))<H<2d/
(1+ρc/(4ρmーρc)) を満足することを特徴とするものである。
【0019】請求項3記載の単結晶の製造装置は、請求
項2記載の単結晶の製造装置に於いて、単結晶育成材料
がLiNbO3であって、上記放射熱遮蔽体の育成開始
時の融液界面からの高さHが、 0.44d<H<1.37d を満足することを特徴とするものである。
【0020】請求項4記載の単結晶の製造装置は、請求
項2記載の単結晶の製造装置に於いて、単結晶育成材料
がLiTaO3であって、上記放射熱遮蔽体の育成開始
時の融液界面からの高さHが、 0.42d<H<1.35d を満足することを特徴とするものである。
【0021】請求項5記載の単結晶の製造装置は、請求
項1乃至4記載のいずれかの単結晶の製造装置に於い
て、上記放射熱遮蔽体が白金族金属又は白金族金属を含
む合金であることを特徴とするものである。
【0022】請求項6記載の単結晶の製造装置は、請求
項1乃至5記載のいずれかの単結晶の製造装置に於い
て、上記放射熱遮蔽体が導電体であって、且つ、該放射
熱遮蔽体が1又は2以上のスリットを有することを特徴
とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
[結晶の割れやねじれの発生と温度勾配について]図1
は、融液量の減少に伴う融液直上(融液界面近傍の上
方)の温度勾配の変化を示したものである。ここで、図
1の曲線1の様に融液直上の温度勾配を育成初期の結晶
成長に適した設定にした場合、結晶成長が進むにつれて
温度勾配が小さくなるため、育成後期には結晶化の際の
凝固潜熱を充分に発散することが出来なくなり、結晶に
ねじれが生じる。一方、図 1 の曲線 2 のように育成後
期に結晶にねじれが生じないように設定した場合、育成
初期の温度勾配が過大となるため、結晶に割れが生じ、
育成に適さなくなる。
【0024】尚、上記割れの発生については、主に融液
直上の温度勾配が影響し、上記ねじれについては、主に
引き上げ軸に沿った融液上方の温度勾配(後述する温度
勾配が小さくなる領域の温度勾配)が影響する。但し、
この温度勾配が小さくなる領域の温度勾配は、融液直上
の温度勾配と一定の関係にあるので、図 1には融液直上
の温度勾配だけを示した。従って、図 1に於いては、温
度勾配が小さくなる領域の温度勾配がねじれが生じる値
に達したときの融液直上の温度勾配を、結晶にねじれが
生じる温度勾配としている。
【0025】又、結晶径の影響について検討した結果、
結晶に割れやねじれの発生する温度勾配と結晶径との間
にも相関関係があることが分かった。図2は、その相関
関係を示したものである。
【0026】ここで、図 2 の曲線 3 に示した様に結晶
径の増加に伴い割れの発生する臨界温度勾配が小さくな
る傾向がある。これは、結晶径の増大に伴い、結晶に割
れの発生する臨界応力値が小さくなるからである。一
方、結晶のねじれに関しては、図 2 の曲線 4に示した
様に結晶径の増大に伴い、ねじれの発生する臨界温度勾
配(温度勾配が小さくなる領域の温度勾配がねじれが生
じる値に達したときの融液直上の温度勾配)が大きくな
る傾向がある。
【0027】従って、結晶径の増大と共に、適正に結晶
を育成することができる温度勾配範囲は狭くなり、結晶
の長尺化がより困難となる。
【0028】次、結晶のねじれに影響する領域、つま
り、引き上げ軸に沿った融液上方の温度勾配が小さくな
る領域について説明する。
【0029】図 3 の従来例で示される曲線は、ドーム
状又は円錐台状の放射熱反射体を設けた従来の単結晶の
製造装置に於ける引き上げ軸に沿った融液上方の温度分
布を示したものである。この従来例の曲線で示された温
度分布からもわかるように、引き上げ軸に沿った融液上
方の温度勾配は、融液直上で大きく、融液界面から離れ
た部分で小さくなる傾向がある。ここで、図 3 の 6 は
上記融液直上の温度勾配を示し、7はその上方にある温
度勾配が小さくなる領域の温度勾配を示している。
【0030】図3の従来例の曲線で示された温度分布を
有する単結晶の製造装置で結晶の育成を行った場合(ド
ーム状又は円錐台状の放射熱反射体を設けた従来の単結
晶の製造装置を用いた場合)、結晶を温度勾配が小さく
なる領域まで引き上げると結晶内の温度勾配が小さくな
るため、凝固潜熱を結晶内の熱伝導で逃がすことが困難
となり、結晶にねじれが発生する。
【0031】図 4 の従来例の曲線は、ドーム状又は円
錐台状の放射熱反射体を設けた従来の単結晶の製造装置
に於ける融液直上の温度勾配6(横軸)と温度勾配が小
さくなる領域の温度勾配7(縦軸)との関係を示してい
る。ここで、融液直上の温度勾配6と温度勾配が小さく
なる領域の温度勾配7は、融液量の減少に伴い一定の関
係で変化する。
【0032】ところで、融液量の減少に伴う融液直上の
温度勾配6及び温度勾配が小さくなる領域の温度勾配7
(結晶育成時の融液直上の温度勾配6及び温度勾配が小
さくなる領域の温度勾配7)の変化を測定することは困
難なため、融液面を降下させる代わりに高周波コイルの
融液面に対する相対位置を上昇させ、これらの値の変化
を測定した。
【0033】又、融液直上の温度勾配が、割れの発生す
る臨界温度勾配より小さく、温度勾配が小さくなる領域
の温度勾配が、ねじれの発生する臨界温度勾配より大き
い範囲でなければ、良質の結晶を育成することができな
いが、図 4 の従来例の曲線では、育成後期に温度勾配
が小さくなる領域の温度勾配が、ねじれの発生する臨界
温度勾配より小さくなるため、結晶にねじれが発生す
る。このねじれの発生を防止するために、育成初期に於
ける融液直上の温度勾配を大きくすると、融液直上の温
度勾配が、割れの発生する臨界温度勾配より大きくなる
ため、結晶に割れが発生する。
【0034】かかる問題を解決するために、本発明に於
いては、融液直上の温度勾配に対して、温度勾配が小さ
くなる領域の温度勾配を、図3の実施例の曲線に示した
ように相対的に大きくしている。その結果、融液直上の
温度勾配6(横軸)と温度勾配が小さくなる領域の温度
勾配7(縦軸)との関係を示した曲線は、図 4 の実施
例の曲線に示したように、温度勾配が小さくなる領域の
温度勾配が大きくなる方向に移動する。従って、図 4
の実施例の曲線の場合には、良質の結晶を育成すること
ができる融液直上の温度勾配範囲が広くなる。
【0035】[温度勾配が小さくなる領域の温度勾配を
相対的に大きくする手段について]本発明の単結晶の製
造装置では、図 5 に示した様な放射熱遮蔽体19を設
けることにより、図 3 の実施例で示した温度分布(温
度勾配)を得ている。
【0036】尚、図 5 に示した単結晶の製造装置に於
いては、耐火物ハウジング18の内側には周囲を断熱材
16で囲まれたルツボ12が、耐火物ハウジング18の
外側に高周波加熱用の高周波コイル11がそれぞれ配置
されている。又、ルツボ12の上端側には放射熱反射体
20が設けられ、その周囲は耐火円筒21で囲まれてい
る。そして、放射熱反射体20の内側には、本発明に係
る放射熱遮蔽体19が設けられている。
【0037】この単結晶の製造装置では、ルツボ12内
の融液13に、引き上げ軸17に取り付けられた種子結
晶15を接触させ、その種子結晶15を引き上げること
により単結晶14を得ている。
【0038】次に、この放射熱遮蔽体の効果について説
明する。
【0039】温度がそれぞれT1とT2である、お互いに
平行な第1の無限平面と第2の無限平面との間の単位面
積あたりの放射伝熱量qは、面は黒体とした場合、次式
で求められる。
【0040】q=σ(T1 4ーT2 4)・・・(1) ここで、シュテファン・ボルツマン(Stefan-Boltzman
)定数である。
【0041】更に、この 第1の無限平面と第2の無限
平面の間に、厚さが 無限小で放射率がεの無限平板
を、両方の無限平面に平行に挿入した場合、前記無限平
板の厚みは無限小なので、無限平板両面の表面温度は共
にTPとみなせ、第1の無限平面側の放射伝熱量q1
は、 q1=εσ(T1 4ーTP 4)・・・(2) 第2の無限平面側の放射伝熱量q2は、 q2=εσ(TP 4ーT2 4)・・・(3) となる。
【0042】又、無限平板の第1の無限平面側から第2
の無限平面側への放射伝熱量q’は、 q’=q1=q2・・・(4) 満足する。
【0043】又、 上記式(2)、(3)及び(4)か
ら εσ(T1 4ーTP 4)=εσ(TP 4ーT2 4)・・・(5) が得られ、この式の両辺にεσ(TP 4ーT2 4)を加える
と、 εσ(T1 4ーT2 4)=2εσ(TP 4ーT2 4)・・・(6) となり、更に、この式と上記式(1)、(3)及び
(4)から、 q’=εq/2・・・(7) が得られる。
【0044】つまり、上記式(7)からもわかる様に平
板を挿入することにより放射伝熱量がqからεq/2に
減じ、挿入した平板のεが小さいほど断熱効果は高くな
る。
【0045】従って、図 5 に示した様に放射熱遮蔽体
19を円筒型放射熱反射体20より低い高さで設けた場
合、放射熱遮蔽体19の上端より低い部分は、その上端
より高い部分に比べ相対的に断熱効果が高くなるため、
放射熱遮蔽体19の上端部周辺に於ける温度勾配が大き
くなり、引き上げ軸に沿った融液上方の温度分布は、図
3 の実施例の曲線の様になる。
【0046】その結果、温度勾配が小さくなる領域の温
度勾配が、融液直上の温度勾配に対して相対的に大きく
なり、図 4 の実施例の曲線に示した様に結晶を適正に
育成できる範囲が広くなる。
【0047】又、図 1 に於いて、温度勾配が小さくな
る領域の温度勾配が、融液直上の温度勾配に対して相対
的に大きくなった場合、結晶にねじれが発生する融液直
上の温度勾配が、相対的に小さくなるため、曲線 1 で
示した条件で結晶の育成を行っても、結晶にねじれは発
生しない。
【0048】[放射熱遮蔽体の設置位置、設置数及び形
状について]図 5 に示した単結晶の製造装置に於いて
は、放射熱遮蔽体19を円筒型放射熱反射体20より低
い高さで設けた場合例えば、放射熱遮蔽体が温度勾配に
及ぼす影響を小さくしたい場合、つまり、温度勾配を微
調整したい場合には、図 6 に示した様に耐火物円筒 4
1の外側(放射熱反射体の外側)に放射熱遮蔽体 39
を設置してもよい。
【0049】又、引き上げ軸に沿った融液上方の温度勾
配を、より広範囲に渡って平均化したい場合には、図 7
に示した様に 高さの異なる放射熱遮蔽体59、60 を設
けても良い。この様に、高さの異なる放射熱遮蔽体を複
数設けることにより、設けた部分に沿った温度勾配がよ
り平均化される。
【0050】ここで、複数の放射熱遮蔽体を設置する場
合には、内側の放射熱遮蔽体を高くしても、外側の放射
熱遮蔽体を高くしてもよい。又、必ずしも一定の傾向
(外側に行くに従って高くする場合、又は低くする場
合)で高さを変化させなくてもよい。
【0051】上記放射熱遮蔽体の形状に関しては、引き
上げ軸に対する温度分布の軸対称性が得られる円筒形又
は円錐台形等の軸対称構造が好ましい。
【0052】[放射熱遮蔽体の高さ設定について]上記
放射熱遮蔽体の高さ設定については、結晶に曲がりの発
生する結晶長に達したときに、即ち、結晶長が1.0d
〜2.0d (d= 結晶径)になったときに、引き上げ
られた結晶上部に於いて、放射熱遮蔽体を設けた効果
(ねじれの発生を抑制する効果)が得られるように設定
する必要がある。
【0053】ところで、結晶径をd、ルツボ直径をD、
融液密度をρm、結晶密度をρc、結晶の引き上げ長を
h、融液降下量をδhとした場合、下記の関係式が成り
立つ。
【0054】 ρcπ(d/2)2( h + δh ) = ρm π(D/2)2δh・・・(8) 又、結晶径とルツボの直径の比は、一般に、1:2〜
2:3程度であり、結晶径とルツボの直径の比が1:2
の場合、融液降下量は、 δh=ρc/(4ρmーρc)h・・・(9) となり、結晶径とルツボの直径の比が2:3の場合、融
液降下量は、 δh=4ρc/(9ρmー4ρc)h・・・(10) となる。
【0055】ここで、単結晶育成材料がLiNbO3
場合、 ρm=3.70 ρc=4.65 とすれば、結晶径とルツボの直径の比が1:2の場合、
融液降下量は、 δh=0.46h・・・(11) となり、結晶径とルツボの直径の比が2:3の場合、融
液降下量は、 δh=1.27h・・・(12) となる。
【0056】従って、結晶径とルツボの直径の比が1:
2、結晶長が1.0dの場合、 h+0.46h=1.0d h≒0.68d となり、結晶径とルツボの直径の比が1:2、結晶長が
2.0dの場合、 h+0.46h=2.0d h≒1.37d となる。
【0057】又、結晶径とルツボの直径の比が2:3、
結晶長が1.0dの場合、 h+1.27h=1.0d h≒0.44d となり、結晶径とルツボの直径の比が2:3、結晶長が
2.0dの場合、 h+1.27h=2.0d h≒0.88d となる。
【0058】上記の結果より、単結晶育成材料がLiN
bO3の場合、上記放射熱遮蔽体の高さは、育成開始時
の融液界面から0.44d〜1.37d程度に設定する
ことが望ましい。つまり、放射熱遮蔽体の育成開始時の
融液界面からの高さHを、上記結晶の引き上げ長hとほ
ぼ一致させることが望ましい。従って、放射熱遮蔽体の
育成開始時の融液界面からの高さHは、 d/(1+4ρc/(9ρmー4ρc))<H<2d/(1+ρc/(4ρmーρc) ) ・・・(11) を満足することが望ましい。
【0059】又、放射熱遮蔽体を複数設ける場合には、
少なくとも1以上の放射熱遮蔽体が、上記式(11)を
満足することが望ましい。
【0060】同様に単結晶育成材料がLiTaO3の場
合、 ρm=5.74 ρc=7.46 とすれば、結晶径とルツボの直径の比が1:2の場合、
融液降下量は、 δh=0.48h・・・(12) となり、結晶径とルツボの直径の比が2:3の場合、融
液降下量は、 δh=1.37h・・・(13) となる。
【0061】従って、結晶径とルツボの直径の比が1:
2、結晶長が1.0dの場合、 h≒0.68d 結晶径とルツボの直径の比が1:2、結晶長が2.0d
の場合、 h≒1.35d 結晶径とルツボの直径の比が2:3、結晶長が1.0d
の場合、 h≒0.42d となり、結晶径とルツボの直径の比が2:3、結晶長が
2.0dの場合、 h≒0.84d となり、単結晶育成材料がLiTaO3の場合、上記放
射熱遮蔽体の高さは、育成開始時の融液界面から0.4
2d〜1.35d程度に設定することが望ましい。
【0062】[放射熱遮蔽体の材料について]上記放射
熱遮蔽体の材料については、放射率εが小さいほど断熱
効果が高く、ねじれの発生を抑制する効果が大きくなる
ため、育成温度での放射率が十分小さく、化学的、物理
的に安定な物質から選択することが望ましく、特にP
t、Rh、Ir、Os等の白金族金属又は白金族金属を
含む合金を用いることができる。
【0063】例えば 、LiNbO3の結晶を育成する場
合には、Ptが適しており、より高融点の LiTaO3
の場合には 、Ir又はPtーRh系合金が適してい
る。
【0064】尚、上記白金族金属を含む合金は、白金族
金属同士の合金であっても、白金族金属と白金族以外の
金属又は化合物からなる合金であってもよい。
【0065】又、放射熱遮蔽体が導電体の場合には、高
周波加熱による放射熱遮蔽体の発熱を防止するために、
放射熱遮蔽体に図8に示したようなスリット71を設け
る必要がある。このスリットは、複数設けてもよい。
【0066】
【発明の効果】本発明の単結晶の製造装置によれば、従
来の放射熱反射体を有する単結晶の製造装置に、特定寸
法の放射熱遮蔽体を1又は2以上を追加設置したことに
より、融液上方の温度勾配が小さい領域の温度勾配が大
きくなり、品質の良い単結晶の長尺化(結晶長を長くす
ること)が可能となった。
【0067】つまり、本発明の単結晶の製造装置によれ
ば、ルツボ上端よりも高い位置に存在する温度勾配が小
さい領域の温度勾配が大きくなるため、結晶のねじれの
発生が抑制され、単結晶の長尺化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】融液量の減少と、融液直上の温度勾配の変化の
関係を示したグラフである。
【図2】結晶径と結晶の割れ又はねじれの発生する臨界
温度勾配との関係を示したグラフである。
【図3】結晶引き上げ軸に沿った融液上方の温度分布を
示したグラフである。
【図4】ドーム状又は円錐台状の放射熱反射体を設けた
従来の単結晶の製造装置に於ける融液直上の温度勾配
(横軸)と温度勾配が小さくなる領域の温度勾配(縦
軸)との関係を示したグラフである。
【図5】本発明に係る単結晶の製造装置の断面図であ
る。
【図6】本発明に係る単結晶の製造装置の断面図である
(放射熱遮蔽体を従来の放射熱反射体の外側に設けた場
合)。
【図7】本発明に係る単結晶の製造装置の断面図である
(放射熱遮蔽体を複数設けた場合)。
【図8】スリットを有する放射熱遮蔽体を示した斜視図
である。
【符号の説明】
11、31、51 高周波コイル 12、32、52 ルツボ 13、33、53 融液 14、34、54 単結晶 15、35、55 種子結晶 16、36、56 断熱材 17、37、57 引き上げ軸 18、38、58 耐火物ハウジング 19、39、59、60、70 放射熱遮蔽体 20、40、61 放射熱反射体 21、41、62 耐火物円筒 71 スリット

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射熱反射体を有する高周波加熱炉を用
    い、ルツボ内の結晶融液から種子結晶により結晶引き上
    げを行う単結晶の製造装置に於いて、前記放射熱反射体
    の内側、外側又は内側と外側の双方に、1又は2以上の
    放射熱遮蔽体を設け、前記結晶融液上方の温度勾配を調
    整したことを特徴とする単結晶の製造装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の単結晶の製造装置に於い
    て、結晶径とルツボの直径の比が1:2〜2:3であ
    り、結晶径をd、融液密度をρm、結晶密度をρc、とし
    た場合に、上記放射熱遮蔽体の育成開始時の融液界面か
    らの高さHが、 d/(1+4ρc/(9ρmー4ρc))<H<2d/
    (1+ρc/(4ρmーρc)) を満足することを特徴とする単結晶の製造装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の単結晶の製造装置に於い
    て、単結晶育成材料がLiNbO3であって、上記放射
    熱遮蔽体の育成開始時の融液界面からの高さHが、 0.44d<H<1.37d を満足することを特徴とする単結晶の製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の単結晶の製造装置に於い
    て、単結晶育成材料がLiTaO3であって、上記放射
    熱遮蔽体の育成開始時の融液界面からの高さHが、 0.42d<H<1.35d を満足することを特徴とする単結晶の製造装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4記載のいずれかの単結晶
    の製造装置に於いて、上記放射熱遮蔽体が白金族金属又
    は白金族金属を含む合金であることを特徴とする単結晶
    の製造装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載のいずれかの単結晶
    の製造装置に於いて、上記放射熱遮蔽体が導電体であっ
    て、且つ、該放射熱遮蔽体が1又は2以上のスリットを
    有することを特徴とする単結晶の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004123510A (ja) * 2002-06-13 2004-04-22 Hitachi Ltd 単結晶の製造装置、及びその製造方法
WO2010058980A3 (en) * 2008-11-20 2010-08-19 Siltron Inc. Single crystal growing apparatus
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