JPH1019470A - 溶解炉の燃焼制御方法 - Google Patents

溶解炉の燃焼制御方法

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JPH1019470A
JPH1019470A JP17610396A JP17610396A JPH1019470A JP H1019470 A JPH1019470 A JP H1019470A JP 17610396 A JP17610396 A JP 17610396A JP 17610396 A JP17610396 A JP 17610396A JP H1019470 A JPH1019470 A JP H1019470A
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furnace
gas
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fuel
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JP17610396A
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Yoichi Kimura
洋一 木村
Yuichi Kusada
祐一 草田
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解炉内の燃焼ガスと被溶解原材料間の化学
反応を有効利用して熱効率を上げ、溶解時間を短縮する
ための燃焼制御方法を求めること。 【解決手段】 鉄原材料材及び成分調整材から成る溶解
原材料を装入して燃料及び酸素で燃焼して加熱溶解する
溶解炉の燃焼制御方法において,予め燃料と酸素の供給
量を入力として,炉内燃焼ガスと溶解原材料の化学反応
の関係を求める溶解プロセスモデルを作成し,実溶解時
には検出した排出ガスの組成から前記化学反応モデルに
基づいて溶解原材料の温度を推測し,炉内の反応が発熱
反応になるように,燃料および酸素の少なくとも一方の
供給量を決定することを特徴とする溶解炉の燃焼制御方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶解炉における燃焼
を制御する方法に関するものであり、特に酸素と燃料を
炉内で燃焼し、その燃焼熱にて炉内に装入した溶解原材
料を加熱溶解する回転溶解炉に適した燃焼制御方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】溶解炉の1つに回転溶解炉がある。これ
は横置きにされた円筒状の炉本体、炉体駆動装置、バー
ナーから構成され、装入された原材料がバーナーで生じ
た火炎と、火炎により加熱蓄熱された回転する耐火壁か
らの伝熱で加熱溶解されるものである。近年バーナー燃
料として、プロパン等の流体燃料に純酸素を併用したも
のが、エネルギー効率向上、排ガスの問題、原材料の使
用範囲拡大の点で普及しつつある。前記回転溶解炉にお
けるバーナーの燃焼調整は、バーナーに接続されている
燃料又は酸素バルブの開度を調節することで行なわれ
る。鋳鉄用溶湯の場合、装入する溶解原材料のうち鉄原
材料と副資材の配合割合から、操業を通じて経験的に得
た流量となるように燃料と酸素の各バルブ開度を調整し
ている。燃料と酸素の流量は、全溶解過程を通じて一定
とする場合もあれば、変化させる場合もあるが、変化さ
せても数段階であり、予め定めた状態にステップ的に変
化させる程度のものである。ここで副資材とは、溶湯の
成分および炉内雰囲気を調整するために鉄原材料と共に
装入されるものを言う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図3に、回転溶解炉に
装入した鉄原材料及び副資材全体に含まれていたFe、
C、Si、Mn各成分の重量と、溶解完了後の溶湯内に
残ったこれら成分ならびに損失した重量の例を示す。特
にCの損失割合が大きく、ほぼ装入した加炭材の全量に
匹敵する重量が燃料及び酸素と反応した結果消費され
る。関連する化学反応については後述するが、消費分は
一酸化炭素あるいは二酸化炭素として排出され、この時
の吸熱反応と発熱反応の程度が溶解効率に大きな影響を
与えることになる。したがって溶解効率を高めるには、
この加炭材の反応が発熱反応を促すように燃料又は酸素
流量をバーナーに供給することが重要である。しかし、
反応形態と反応速度は温度や炉内雰囲気ガスの組成で大
きく変化するため、従来の燃焼調整方法では対応できな
い。本発明は、溶解炉内の燃焼状況に応じて、反応が発
熱反応となるように酸素量あるいは燃料の量を溶解炉に
供給する燃焼制御方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶解原材料を
装入して燃料及び酸素を燃焼して加熱溶解する溶解炉の
燃焼制御方法において、炉内燃焼ガスと溶解原材料の化
学反応モデルと、燃焼ガス、溶解原材料、炉壁間の伝熱
モデルからなる予め作成した溶解プロセスモデルをもと
に、燃料と酸素の供給量を入力として溶解原材料の温
度、燃焼ガス温度及び燃焼ガス組成を計算し、排出ガス
中の一酸化炭素と酸素の濃度を検出して、これらの濃度
が予め設定した許容値以内になるように燃料および酸素
の少なくとも一方の供給量を決定することを特徴として
いる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、溶解炉として回転溶解炉を
例に実施の形態を説明する。図1は、回転溶解炉の横断
面とガスバーナーの燃焼制御系を示しており、各種鋳鉄
用溶湯の製造に用いられるものである。円筒状胴部1及
びその両端に連接された円錐状部2、3を有する炉体5
と、炉体5内に装入された溶解原材料を酸素で流体燃料
を燃焼させて溶解させるバーナー6と、燃焼排ガスを外
部に逃がす煙突状排気路7と、炉体5内に溶解原材料8
等を装入する投入機(図示せず)を備えている。本説明
ではバーナー燃料はプロパンガスと酸素とするが、プロ
パンガスの代わりにメタンガス、ブタンガス、灯油を用
いることもできる。
【0006】炉体5の一端開口部9はバーナー取付口と
なり、炉体5の他端開口部10は溶解原材料8の装入口
及び排ガス出口となる。11は、炉体5の円錐状部3に
設けられた出湯孔であり、出湯時以外は閉栓されてい
る。また、排ガス出口にはガス採取管16が取り付けら
れ、パイプ17を介して一酸化炭素ガスおよび酸素ガス
の濃度を検出するガス濃度計19に接続されている。
【0007】ここでは、バーナー6としては、中央に燃
料吹き込み口を有し、外周に酸素供給口を設けた構造の
ものを使用している。バーナー6の上流側に燃料及び酸
素の供給系統が接続されており、各々酸素供給系統の酸
素用バルブ30と燃料供給系統の燃料用バルブ31とが
接続されている。酸素用バルブ30の上流側には酸素供
給源32が、燃料用バルブ31の上流側には燃料供給源
33が接続されている。
【0008】コンピュータ20は後述する溶解プロセス
モデルを内蔵し、前述のガス濃度計19と信号線18で
接続されており、溶解プロセスモデル及び検出されたガ
ス濃度をもとに回転溶解炉に供給する酸素流量及び燃料
流量を算出する。酸素用バルブ30、燃料用バルブ31
には各々流量制御バルブ調整器34、35が接続されて
おり、各流量制御バルブ調整器34、35にはコンピュ
ータ20からの流量指示信号線36、37が接続されて
おり、コンピュータ20からの流量指令値に対し各流量
検出器38、39で酸素配管40と燃料ガス配管41内
の実際の流量値をフィードバックし、酸素用バルブ30
及び燃料用バルブ31の開度を制御している。
【0009】次に上述した回転溶解炉を使用して鋳鉄用
溶湯を得るための溶解工程と回転溶解炉内の燃焼ガスの
反応について述べる。まず溶解工程について説明する。
最初に所定量の鋳鉄や鋼屑等の鉄原材料及び副資材を開
口部10より炉体5内に装入する。開口部10に煙突状
排気路7を取り付けた後、炉体5の一端の開口部9にバ
ーナー6をセットして点火し、溶解を開始する。鉄原材
料はバーナー火炎で加熱された耐火材12からの主とし
て伝熱と輻射熱、及びバーナー火炎からの輻射熱等で加
熱されることにより溶解する。基本的なバーナー発熱量
の設定は、燃料ガスの流量パターンを与えることで行
う。
【0010】次に、回転溶解炉内の溶解に関連する燃焼
ガスの反応について述べる。燃料がプロパンガスでは、
混合比が1.0すなわち完全燃焼の場合、燃料と酸素の
反応は数1で表される。
【数1】 C3H8+5O2→3CO2+4H2O+[+Q1] ここで[ ]内は反応熱を示し、+は発熱反応、−は吸
熱反応であることを示す。回転溶解炉の場合、溶解原材
料の温度が上昇するにつれて、燃焼ガスすなわち二酸化
炭素および水蒸気と、副資材の1つである加炭材との間
で数2〜3で示す反応の右方向への反応が活発に起こる
ようになる。
【数2】C+CO2⇔2CO+[−Q2] 上記⇔は可逆反応を表す記号として用いる。以降同様で
ある。
【数3】C+H2O⇔CO+H2+[−Q3] 数2、数3の右方向への反応は吸熱反応である。すなわ
ち、周囲から熱を奪うため、熱効率を低下させるように
作用する。
【0011】ここで、混合比が1.0以下の酸素不足の
場合は、一部のプロパンが未反応となるため、燃料が燃
焼して発生する全発熱量が少なくなり、併せて燃焼ガス
と加炭材が数2、数3の吸熱反応を起こすため、さらに
熱効率が低下し、溶解時間が長くなる。
【0012】一方、混合比を1.0以上にすると、前記
数2、数3の反応と同時に燃料との燃焼反応で残った余
剰酸素が炉内に混流するようになり、この酸素が加炭材
に達すると数4に示す反応の右方向の発熱反応が起こる
ようになる。
【数4】2C+O2⇔2CO+[+Q4] さらに、高温状態の炉内では数2〜数4で発生した一酸
化炭素、水素と余剰酸素との間で数5、数6の反応の右
方向の発熱反応が起こる。
【数5】2CO+O2⇔2CO2+[+Q5]
【数6】2H2+O2⇔2H2O+[+Q6]
【0013】前記数5にて一酸化炭素が酸素と反応して
二酸化炭素に変化するときに発生する熱量Q5は、数2
の反応で同一モル容積の一酸化炭素が生成される際に吸
収する熱量Q2よりも大きい。また、数6にて水素が水
蒸気に変化するときに発生する熱量Q6は、数3の反応
で同一モル容積の水素が生成される際に吸収する熱量Q
3よりも大きい。したがって、燃料ガスと酸素ガスの混
合比を1.0より大きくした場合、加炭材表面では数4
の発熱反応を促し、さらに数2〜数4の反応で生成され
る一酸化炭素と水素が酸素と反応して、数5、数6の発
熱反応が起こるようになる。
【0014】数2〜数6の反応の方向と速度は、後述す
るように溶解原材料温度、ガスの温度及びガスの分圧の
影響を受ける。一方、バーナー6から数5、数6の反応
に対し必要以上の酸素を供給することは、無駄に排出さ
れる酸素の加熱に熱を消費することになるため、混合比
を高め過ぎた場合も熱効率が低下する。また、溶解原材
料の余分な酸化反応が発生するため、溶解原材料の歩留
が低下することにもなる。
【0015】燃焼効率を上げるには、炉内の状況に応じ
て常に最適な燃料と酸素量を供給する必要がある。そこ
で、炉内の状況を演算で推定すべく溶解プロセスモデル
を作成し、時々刻々の溶解原材料の温度、ガス温度及び
ガス組成を演算で求めることができるようにし、溶解時
の排ガス中の一酸化炭素濃度と酸素濃度が所定範囲に入
るように溶解プロセスモデルで補正演算して、必要な酸
素の供給流量を算出して酸素量の供給量制御を行うこと
にした。以下、溶解プロセスモデル及び溶解プロセスモ
デルを用いて数5、数6の発熱反応に必要な酸素流量を
決定する方法について説明する。
【0016】溶解プロセスモデルは、化学反応モデルと
伝熱モデルを与える必要がある。化学反応モデルは燃焼
ガスと溶解原材料との化学反応を数式化するもので、基
本的には数2〜数6で示す通りであるが、実際の化学反
応は化学反応速度で律速される。従ってこの化学反応モ
デル作成にあたっては、炉内雰囲気に応じて数2〜数6
の各化学反応速度を規定する必要がある。しかし、本説
明における回転溶解炉では炉内ガス成分の変動が緩やか
であること、さらに昇温、溶解過程は化学反応速度に比
してはるかに長時間の現象であることから、化学熱力学
的平衡論を用いて反応率を近似的に求め、それを化学反
応速度として用いることにした。本来の化学熱力学的平
衡論は、ある温度における関係物質の反応の方向と最終
的な平衡状態を与えるものであるが、モデル溶解時の溶
湯温度とガス濃度を計測することで、炉内燃焼ガスがC
と反応する単位時間当たりの割合である反応率を求める
ものである。
【0017】伝熱モデルは、火炎、炉壁及び溶解原材料
間の伝熱関係を数式化するものであり、その基本的考え
方は次の通りである。炉内における熱の移動は伝導、対
流、輻射の同時進行により行われる。回転溶解炉におけ
る溶解原材料と炉壁への伝熱は、燃焼ガス中の二酸化炭
素(CO2)と水蒸気(H2O)のガス輻射が支配的であ
り、炉内ガス、溶解原材料、および炉壁の熱授受による
温度変化はガス輻射伝熱モデルで近似できる。なお、熱
計算に必要な物性は構造、炉材から求めることができ
る。また、二酸化炭素と水蒸気のガス輻射能の大きさ
は、例えば機械学会編「伝熱工学資料改定第4版」pp1
86〜189等に算出する方法が示されている。
【0018】以下、溶解プロセスモデルにより溶解原材
料温度、ガス温度及びガス組成の求め方について述べ
る。溶解プロセスモデルでは炉内を炉内ガスの流れ方向
に垂直な複数のセル、例えば2つのセルに分割し、分割
した各セルをさらにガス層と原材料層の2つの層で考え
る。2つのセルに分割した場合は、第1セルがバーナー
側、第2セルがガスの排出口側となる。そして、前記し
た炉内分割セルに対し、計算周期Ts毎に以下の処理を
行う。
【0019】1)計算周期Ts間に燃焼ガスが新たに第
1セル側炉内に入り、均一混合した場合の第1セル内の
下記数値を求める。 ・O2、H2O、CO2、CO、H2のガス量、モル分
率 ・ガス温度tg1 2)第1セル内の伝熱による原材料の温度t1、炉壁温
度tw1を求める。 3)第1セル内のガス輻射熱放出後のガス温度tg2を
求める。 4)第1セル内のガス層から、前記反応率と計算周期で
決まる一定割合αのガスを原材料層に移動し、ガスと原
材料温度の平均温度におけるガス−加炭材間の化学反応
の平衡状態(反応モル数)を求める。具体的には、数2〜
数6から熱力学的に独立な式として数2、数4、数6を
求め、O2、H2O、CO2、CO、H2の各ガスの初
期モル数、熱力学的平衡定数、分圧の関係から、平衡状
態での反応の方向と量を決定する。 5)上記4)項で述べた熱力学的に独立な反応式での総
合した吸、発熱量Q10を求める。 6)上記平衡状態に達した反応ガスをガス層に戻し、未
反応ガスと均一混合した場合の各ガスの中間モル数を求
める。 7)前記4)項と同様の方法で数5、数6の反応式に対
し6)項の組成ガスの、温度tg2における化学反応の
平衡状態(出力ガス組成)を求める。 8)上記7)項で求めた数5、数6の反応方向と反応量
から吸、発熱量Q20を求める。 9)Q10+Q20による第1セル内原材料の新しい温
度t2を求める。 10)Q10+Q20、および炉壁熱損失による第1セル
の新しい出力ガス温度tg3を求める。 11)第1セルから第2セルへの流出体積を求める。 12)第2セルでも第1セルと同様の手順1)〜10)によ
り、原材料温度、ガス温度、炉壁温度及び出力ガス組成
を計算する。 13)第1セルと第2セルの原材料温度の平均をとり、本
計算周期での原材料温度tとする。なお、途中で加炭材
の反応量をチェックし、初期投入した全量が反応した場
合は、ガス−加炭材間の化学反応の計算部分はパスする
ようする。
【0020】実際に3トンの原材料のモデル溶解を行っ
た場合、計算周期Tsが0.1秒では、混合比が1.0
の場合αを0.06とすれば溶解原材料の温度と排ガス
組成の関係が概ね一致する結果が得られた。同様にして
他の混合比についてもαをモデル溶解の計測データから
求めることができ、上記した化学反応モデルと伝熱モデ
ルで炉内全体の溶解過程のモデル化ができ、溶解プロセ
スモデルを設定することができる。一旦溶解プロセスモ
デルが作成できれば、燃料と酸素の供給過程が変化して
も、溶解開始時刻からの、炉内の溶解原材料の温度、ガ
ス組成の変化を推定することが可能になる。つまり、数
5、数6の発熱反応に必要な酸素の供給流量を導くこと
ができる。
【0021】次に、実際の溶解作業において、ガス濃度
計で検出された排ガス中の一酸化炭素と酸素濃度をもと
に、内蔵した溶解プロセスモデルを用い酸素ガス流量を
修正調整して制御する方法について、図2のフローチャ
ートを用いて説明する。まず開始にあたり、コンピュー
タ20に対して、装入した鉄原材料と加炭材の量、およ
び原材料の量から定めているバーナーの燃料ガスと酸素
ガスの基準流量を入力、記憶させる。自動燃焼制御をス
タートさせると、コンピュータ20はスタート前に入力
された基準の燃料と酸素の流量値を、燃料流量制御バル
ブ調整器35と酸素流量制御バルブ調整器34に出力す
る(ステップ101)。そして制御周期Tcに相当する時
間タイムカウントする(ステップ102)。次いで、当該
時点について、内蔵した溶解プロセスモデルに基づき、
燃料と酸素の供給経過から原材料と炉壁等各部の温度、
および炉内のガス組成を計算する(ステップ103)。そ
れと同時にガス濃度計19を用いて排ガス中の一酸化炭
素と酸素の濃度を検出し(ステップ104)、これらの濃
度値が両方とも予め設定した許容範囲内にあるかを判定
する(ステップ105)。
【0022】許容範囲を超えた濃度が検出された場合は
以下の処理を行う。まず一酸化炭素濃度が許容値以上検
出された場合は、同時に存在する水素の濃度を内蔵溶解
プロセスモデルから計算する。(ステップ106)。そし
て、一酸化炭素濃度、水素濃度、およびバーナーへの燃
料と酸素の供給流量の関係から、数5、数6の反応に必
要な酸素流量、すなわち現在の酸素供給量に対する増加
流量を計算し(ステップ107)、酸素流量制御バルブ調
整器34への出力値を修正する(ステップ109)。他
方、酸素濃度が許容値以上に検出された場合は、酸素濃
度およびバーナーへの燃料と酸素の供給量の関係から過
剰酸素供給量を計算し(ステップ108)、酸素流量制御
バルブ調整器34への出力値を修正する(ステップ10
9)。そして、制御周期であるタイムカウント処理に戻
る。
【0023】なお、制御周期Tcと溶解プロセスモデル
の計算周期Tsは同じである必要はない。制御周期Tc
は、対象溶解炉に合わせて例えばTc=1minなどと
し、酸素用バルブ30からの酸素流量が、コンピュータ
20が酸素流量制御バルブ調整器34に与えた流量値に
達し、炉内ガスの状態が操作結果の反映された定常状態
に達する時間にする。溶解プロセスモデルの計算周期T
sの方が制御周期Tcよりも短い場合は、制御周期Tc
の間にも燃料と酸素の供給経過から逐次炉内の原材料と
炉壁等各部の温度、および炉内のガス組成の計算を実行
することになる。
【0024】以上説明した処理を、溶解原材料の温度が
鉄が溶解して出湯可能な温度、例えば1520℃になる
まで繰り返す。次に、溶湯の一部を取り出して成分分析
を行ない、必要に応じて成分調整を行なう。そして、温
度と成分が満足されればバーナー6を停止し、出湯口1
1を開栓して出湯する。以上のように溶解プロセスモデ
ルを適用し、排ガス中の一酸化炭素と酸素の濃度を検出
して燃焼バーナーの酸素の供給流量を制御することによ
り、炉内の化学反応状態に合わせて最大の熱効率が得ら
れるバーナーの燃焼制御が実現できる。
【0025】なお、本説明では溶解プロセスモデルの化
学反応に熱力学平衡論を適用したが、チャーあるいはコ
ークスに対して報告されているように、化学反応抵抗と
流体境膜内拡散抵抗の総括反応速度からなるモデルを用
いても良い。また、制御する酸素はバーナーに供給して
いるもので説明したが、別に補助の酸素供給経路を設け
てもよい。また、燃料流量、あるいは酸素と燃料両方を
制御することもできる。さらに、溶解プロセスモデルに
は加炭材の反応量追跡を追加して、加炭材が全て反応し
たことを判定し、適用する溶解プロセスモデルを加炭材
のないものに切替えてもよい。
【0026】
【発明の効果】本発明を用いた溶解炉では、副資材とし
て装入する加炭材が、燃料の燃焼の結果発生する二酸化
炭素、水蒸気と吸熱反応しても、その結果発生する一酸
化炭素及び水素と、酸素の発熱反応を最大効率で行わせ
るため、総合的な熱効率を高めることができる。その結
果、溶解時間が短縮し、原材料の余分な酸化が防止され
て歩留が向上する。また、排ガスの濃度を検出すること
で、炉内部のガス成分、ガス温度、および溶解原材料の
温度を直接計測することが困難な炉であっても、炉内部
の反応状態に合せ、最大熱効率を実現するバーナーへの
酸素の供給流量を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を略示する回転溶解炉の横断
面と燃焼制御装置の系統図
【図2】本発明の燃焼制御方法を説明するためのフロー
チャート
【図3】本発明対象の回転溶解炉での装入成分、溶湯成
分、および損失成分の重量例
【符号の説明】
5…炉体 6…バーナー 19…ガス濃度計 20…コンピュータ 30…酸素用バルブ 31…燃料用バルブ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解原材料を装入して燃料及び酸素を燃
    焼して加熱溶解する溶解炉の燃焼制御方法において、炉
    内燃焼ガスと溶解原材料の化学反応モデルと、燃焼ガ
    ス、溶解原材料、炉壁間の伝熱モデルからなる予め作成
    した溶解プロセスモデルをもとに、燃料と酸素の供給量
    を入力として算出した溶解原材料の温度と検出した排出
    ガスの組成から、炉内の反応が発熱反応になるように燃
    料および酸素の少なくとも一方の供給量を決定すること
    を特徴とする溶解炉の燃焼制御方法。
  2. 【請求項2】 溶解原材料を装入して燃料及び酸素を燃
    焼して加熱溶解する溶解炉の燃焼制御方法において、炉
    内燃焼ガスと溶解原材料の化学反応モデルと、燃焼ガ
    ス、溶解原材料、炉壁間の伝熱モデルからなる予め作成
    した溶解プロセスモデルをもとに、燃料と酸素の供給量
    を入力として溶解原材料の温度、燃焼ガス温度及び燃焼
    ガス組成を計算し、排出ガス中の一酸化炭素と酸素の濃
    度を検出して、これらの濃度が予め設定した許容値以内
    になるように燃料および酸素の少なくとも一方の供給量
    を決定することを特徴とする溶解炉の燃焼制御方法。
  3. 【請求項3】 溶解原材料は鉄原材料と少なくとも加炭
    材を含んでいる副資材であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の溶解炉の燃焼制御方法。
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