JPH10194059A - 中央配置型電気接続箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車輌側面への衝突や水の侵入などによる悪影
響を受けにくく、しかも、その周辺で引き回されるハー
ネスの簡素化を図ることができる電気接続箱を提供す
る。 【解決手段】 電気接続箱４が車輌のインストルメント
パネル１の略中央部１１に設けられたセンタークラスタ
ー５に配置され、車輌側面から電気接続箱４までの距離
が増大する。このため、車輌側面への衝突による電気接
続箱４への影響が大幅に抑制されるとともに、車輌外部
から電気接続箱４への水の侵入が効果的に防止される。
また、センタークラスター５に配置された電気接続箱４
によって電源部から供給される電力が分配されるため、
ハーネスのスプライスレス化が可能となり、ハーネスを
簡素化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車輌に設けられた
複数の電装ユニットに電源部から供給される電力を分配
する電気接続箱の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より周知のように、車輌には、複数
の電装ユニットが装備されており、例えばエンジンルー
ムに配置されたバッテリーおよびオルタネーターなどの
電源部から供給された電力をジョイントボックス（Ｊ／
Ｂ）である電気接続箱によって各電装ユニットに分配し
ている。特に、エンジンルームの後方に配設された運転
席および客席を含む乗車室では、車体幅方向の端部前方
位置に上記電気接続箱が配設されており、当該電気接続
箱で分配された電力がインストルメントパネルワイヤー
ハーネスやカウルワイヤーハーネスに設けられたスプラ
イスや当該ワイヤーハーネスから分岐する配線によって
オーディオユニット、コンソールユニットおよびエアコ
ンユニットなどの各電装ユニットに供給されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように従来で
は、インストルメントパネルワイヤーハーネスやカウル
ワイヤーハーネスに数多くのスプライスが存在するた
め、このことがハーネス製造の自動化にとって大きな障
害となっている。また、電装ユニットの増加にともなっ
て当該ハーネスを構成する電線の本数およびコネクタ分
岐数が膨大な数となり、ハーネスの肥大化、重量化、さ
らには複雑化を招くこととなり、ハーネス製造が困難と
なるとともに、ハーネスの車輌への取付性が悪化すると
いう問題もあった。

【０００４】また、電気接続箱が車体幅方向の端部、つ
まり車輌の車内側面に配設されているため、車輌側面へ
の衝突によって種々の悪影響が及ぶことがある。例え
ば、当該衝突によって電気接続箱内でショートなどの異
常が発生すると、ヒューズやヒュ−ジブルリンク（Ｆ／
Ｌ）が溶断して当該電気接続箱に接続されている電装ユ
ニットへの電力供給を停止する。このため、特に電力供
給が断たれた電装ユニットが、車輌走行に必要不可欠な
システムである場合には、そのシステムが正常であるに
もかかわらず取り敢えず車輌を安全な場所などに移動さ
せることもできなくなるという問題があった。

【０００５】さらに、電気接続箱を車内側面に配設した
場合には、車輌外部から電気接続箱に水が侵入し、予期
せぬショートなどが発生し、上記と同様の問題が生じる
可能性があった。

【０００６】この発明は、上記のような問題に鑑みてな
されたものであり、車輌側面への衝突や水の侵入などに
よる悪影響を受けにくく、しかも、その周辺で引き回さ
れるハーネスの簡素化を図ることができる電気接続箱を
提供することを第１の目的とする。

【０００７】また、この発明は、上記第１の目的を達成
した上で、さらに電気接続箱のメンテナンス作業性を向
上させることを第２の目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、上記
第１の目的を達成するため、車輌に設けられた複数の電
装ユニットに電気的に接続され、電源部から供給される
電力の各電装ユニットへの分配を行う分配機能部と、前
記複数の電装ユニットの集中制御を行う制御機能部とを
一体的に組み込み、しかも、前記車輌のインストルメン
トパネルの略中央部に配置している。

【０００９】この発明では、電気接続箱が車輌のインス
トルメントパネルの略中央部に配置されており、電気接
続箱は車輌側面から離れた位置に配設されることとな
り、車輌側面への衝突による電気接続箱への影響が大幅
に抑制されるとともに、車輌外部から電気接続箱への水
の侵入が防止される。

【００１０】また、略中央部に配置された電気接続箱に
よって電源部から供給される電力が分配される。このた
め、ハーネスのスプライスレス化により、ハーネスの簡
素化が可能となる。

【００１１】さらに、制御機能部によって各電装ユニッ
トが集中的に制御される。このため、各電装ユニットを
電気的に接続するためのハーネスにおいて分岐数が減
り、当該ハーネスが簡素化される。また、各電装ユニッ
ト間を接続するための電線本数を減少させることが可能
となったり、各電装ユニットと電気接続箱を接続するた
めのハーネスの電線本数を減少させることが可能とな
る。

【００１２】請求項２の発明は、前記複数の電装ユニッ
トの少なくとも１つ以上が前記インストルメントパネル
から露出する表示部を備えており、当該表示部を前記制
御機能部の基板上に直接実装している。

【００１３】この発明では、インストルメントパネルか
ら露出する表示部が制御機能部の基板上に直接実装さ
れ、配線が簡素化される。

【００１４】請求項３の発明は、前記複数の電装ユニッ
トの少なくとも１つ以上が前記インストルメントパネル
から露出する操作部を備えており、当該操作部を前記制
御機能部の基板上に直接実装している。

【００１５】この発明では、インストルメントパネルか
ら露出する操作部が制御機能部の基板上に直接実装さ
れ、配線が簡素化される。

【００１６】請求項４の発明は、上記第２の目的を達成
するため、前記電気接続箱はメンテナンス作業の対象と
なるメンテナンス対象領域を有しており、当該メンテナ
ンス対象領域を前記インストルメントパネル側に配置し
ている。

【００１７】この発明では、分配機能部または制御機能
部のメンテナンス対象領域がインストルメントパネル側
に配置されており、当該インストルメントパネルの表面
側よりメンテナンス対象領域に容易にアクセスすること
ができ、高いメンテナンス作業性が得られる。

【００１８】請求項５の発明は、前記中央配置型電気接
続箱の内部において、前記分配機能部と前記制御機能部
とを分離配置している。

【００１９】この発明では、分配機能部と制御機能部と
が分離配置されており、各機能部に対する設計自由度が
向上する。

【００２０】請求項６の発明は、前記中央配置型電気接
続箱を前記車輌のインストルメントパネルの略中央部に
設けられたセンタークラスターに配置している。

【００２１】この発明では、電気接続箱が車輌のインス
トルメントパネルの略中央部に設けられたセンタークラ
スターに配置されており、当該電気接続箱とインストル
メントパネルハーネスとを車輌の組立前に組付ることが
可能となる。

【００２２】

【発明の実施の形態】図１は、この発明にかかる中央配
置型電気接続箱の背景技術を説明するための車輌内部を
示す斜視図であり、運転席からインストルメントパネル
の表面側を見た図である。同図に示すように、インスト
ルメントパネル１には、運転席側（同図の右手側）にス
ピードメータなどの計器盤２が取り付けられる。また、
インストルメントパネル１の略中央部１１には、空調エ
アの吹出口３（エアコンユニットの一部）が設けられる
とともに、当該吹出口３の下部には本発明にかかる電気
接続箱４が配設されている。

【００２３】図２はインストルメントパネル１の略中央
部１１に取り付けられた電気接続箱４を正面から見た正
面図であり、また図３は図２のＡ−Ａ線断面図である。
さらに、図４は上記電気接続箱４のインストルメントパ
ネル１への取付手順を示す分解組立斜視図である。これ
らの図に示すように、インストルメントパネル１の略中
央部１１に設けられたクラスター（以下「センタークラ
スター」という）５に電気接続箱４がインストルメント
パネル１の裏面側より挿入することで、センタークラス
ターの上面側に相当するインストルメントパネル１に設
けられた凹部１２（図３）に電気接続箱４の上面より突
設された位置決めロック部４１が嵌入するとともに、電
気接続箱４の側面から外周方向に突設された取付部４２
がインストルメントパネル１に当接する。そして、この
状態で取付部４２の開口にボルト６を挿通し、当該ボル
ト６によって電気接続箱４がインストルメントパネル１
に固定されている。組付手順の関係でボディに電気接続
箱４を固定する場合もある。

【００２４】この電気接続箱４の内部では、インストル
メントパネル１側（図３の左手側）と反インストルメン
トパネル１側（同図の右手側）とに分かれて制御機能部
４４および分配機能部４３とが分離配置されている。以
下、分配機能部４３と制御機能部４４の順序で分けて説
明する。

【００２５】この反インストルメントパネル１側に配置
された分配機能部４３には、エンジンルームハーネス７
１のコネクタ７１Ｃが取り付けられ、エンジンルーム
（図示省略）に配設されたバッテリーおよびオルタネー
ターなどの電源部からの電力が当該エンジンルームハー
ネス７１を介して電気接続箱４に供給される。こうして
供給された電力は分配機能部４３で分配され、電気接続
箱４の裏面側に接続された複数のハーネス７２を介して
計器ユニット、エアコンユニット、ドアユニット、ステ
アリングユニットおよびコンソールユニットなどに代表
される複数の電装ユニットに供給される。このように、
当該電気接続箱４は従来と同様に電源部から供給された
電力を各電装ユニットに分配するジョイントボックス
（Ｊ／Ｂ）として機能するように構成されている。

【００２６】このように、この実施形態では、ジョイン
トボックス（Ｊ／Ｂ）である電気接続箱４をセンターク
ラスター５に配置しており、電気接続箱４が車輌側面か
ら離れているため、車輌側面への衝突が発生したとして
も、電気接続箱４内でショートなどの異常が発生する確
率は車輌側面に近接配置していた従来例に比べ大幅に低
下し、衝突による悪影響を抑制することができる。ま
た、車輌外部から電気接続箱４への水の侵入もなくな
り、上記と同様の効果が得られる。

【００２７】また、図４から明らかなように、センター
クラスター５に配置された電気接続箱４によって電源部
から供給される電力を分配し、各電装ユニットに供給す
るようにしているので、ハーネスのスプライスレス化を
図ることができ、その結果、ハーネスの製造が容易とな
る。

【００２８】また、電気接続箱４についてはボディ側に
固定することも可能であるが、本実施形態では電気接続
箱４を特にセンタークラスター５に配置しているため
に、次のような特有の効果を有する。すなわち、この場
合、電気接続箱４とインストルメントパネルハーネスを
事前に組付けることができ、車輌組立ラインでの電気接
続箱４とインストルメントパネルハーネスの組付けが不
要となり、その結果、車輌組立ラインでの工数低減化、
さらにはラインの短縮化も図ることができる。

【００２９】さらに、この実施形態にかかる電気接続箱
４では、図３に示すように、適宜取り替えが必要となる
ヒューズおよびヒュ−ジブルリンク（Ｆ／Ｌ）などが配
設されたメンテナンス対象領域４３１がインストルメン
トパネル１に着脱自在に取り付けられた灰皿１３に対応
して配置されており、当該灰皿１３をインストルメント
パネル１から取外すと、インストルメントパネル１の表
面側からアクセス可能に構成されている。このため、例
えばヒューズ切れが生じると、灰皿１３をインストルメ
ントパネル１から引抜き、メンテナンス対象領域４３１
にアクセスして正常なヒューズに取り替えることがで
き、メンテナンス作業を効率良く行うことができる。

【００３０】次に、制御機能部４４について説明する。
この実施形態では、電気接続箱４にジョイントボックス
（Ｊ／Ｂ）として機能する分配機能部４３を設けただけ
でなく、制御機能部４４をさらに分配機能部４３と一体
的に組み込み、当該制御機能部４４によって各電装ユニ
ットを集中的に制御している。すなわち、インストルメ
ントパネル１側に配設された制御機能部４４には、電気
接続箱４に電気的に接続された各電装ユニットを集中制
御するための制御回路が設けられている。このため、従
来では、例えば電装ユニット間で互いに制御情報を交換
するために専用の電線を設ける必要があったが、この実
施形態では上記のように集中制御するため、各電装ユニ
ットを電気的に接続するためのハーネス７２において分
岐数が減り、また電線本数も減るため、当該ハーネス７
２を簡素化することができる。

【００３１】また、この制御機能部４４では、図３に示
すように、インストルメントパネル１の表面部の近傍に
基板４４１が配置されており、エアコンユニットのスイ
ッチ群ＳＷ1やオーディオユニットのスイッチ群ＳＷ2な
どの操作部８と、エアコンユニットおよびオーディオユ
ニットなどの表示部９が当該基板４４１に直接実装され
ており、インストルメントパネル１から露出するように
構成されている。このため、これらエアコンユニットお
よびオーディオユニットの電装ユニットの一部（操作部
８および表示部９）と、制御機能部４４とを電線で接続
する必要がなくなり、ハーネス７２の電線本数をさらに
削減することができ、ハーネス７２のより一層の簡素化
を図ることができる。

【００３２】なお、この実施形態では、上記のように分
配機能部４３と制御機能部４４とを電気接続箱４内で分
離配置しているため、次のような効果が得られる。すな
わち、分配機能部４３と制御機能部４４はそれぞれ異な
った機能を有しており、設計上、各機能に応じた最適な
配線材料や配置を選択するのが望ましいが、これら分配
機能部４３と制御機能部４４を混在させたのでは、効率
的な設計を行うことができない。それに対し、分配機能
部４３と制御機能部４４を分離配置した場合には、各機
能部で比較的自由な設計が可能となり、各機能部に対す
る設計自由度を向上させることができる。また、制御回
路を有する制御機能部４４は一般的に熱に弱いのに対
し、分配機能部４３は比較的大きな電力を取り扱うため
に熱源となるが、上記のように両機能部を分離配置して
いるため、熱の影響を最小限に抑制することができる。

【００３３】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば、電気
接続箱を車輌のインストルメントパネルの略中央部に配
置しているので、電気接続箱は車輌側面から離れた位置
に配設されることとなり、車輌側面への衝突による電気
接続箱への影響を大幅に抑制するとともに、車輌外部か
ら電気接続箱への水の侵入を効果的に防ぐことができ
る。

【００３４】また、センタークラスターに配置された電
気接続箱によって電源部から供給される電力を分配して
いるので、ハーネスのスプライスレス化が可能となり、
当該ハーネスを簡素化することができる。

【００３５】さらに、電気接続箱に制御機能部を設けて
各電装ユニットを集中的に制御するように構成している
ため、各電装ユニットを電気的に接続するためのハーネ
スにおいて分岐数を減少させ、各電装ユニット間を接続
するための電線本数を減少させ、各電装ユニットと電気
接続箱を接続するためのハーネスの電線本数を減少さ
せ、制御機能部において信号の分配を行うことでハーネ
スの電線本数を減少させることが可能となり、ハーネス
の簡素化を図ることができる。

【００３６】また、電装ユニットの表示部や操作部を制
御機能部の基板上に直接実装することで、配線のより一
層の簡素化を図ることができる。

【００３７】また、メンテナンス作業の対象となるメン
テナンス対象領域をインストルメントパネル側に配置し
ているため、当該インストルメントパネルの表面側より
メンテナンス対象領域に容易にアクセスすることがで
き、メンテナンス作業性を向上させることができる。

【００３８】また、中央配置型電気接続箱の内部におい
て、分配機能部と制御機能部とを分離配置することで、
各機能部を比較的自由に設計することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる中央配置型電気接続箱の背景
技術を説明するための車輌内部を示す斜視図である。

【図２】インストルメントパネルの略中央部に取り付け
られた電気接続箱を正面から見た正面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】電気接続箱のインストルメントパネルへの取付
手順を示す分解組立斜視図である。

【符号の説明】

１ インストルメントパネル ２ 計器盤 ４ 電気接続箱 ５ センタークラスター ８ 操作部 ９ 表示部 １１ （インストルメントパネルの）略中央部 ４３ 分配機能部 ４４ 制御機能部 ４３１ メンテナンス対象領域 ４４１ 基板

フロントページの続き (72)発明者 小林 孝 愛知県名古屋市南区菊住１丁目７番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 (72)発明者 宮▲崎▼ 順之 愛知県名古屋市南区菊住１丁目７番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車輌に設けられた複数の電装ユニットに
   電気的に接続され、電源部から供給される電力の各電装
   ユニットへの分配を行う分配機能部と、前記複数の電装
   ユニットの集中制御を行う制御機能部とが一体的に組み
   込まれ、しかも、 前記車輌のインストルメントパネルの略中央部に配置さ
   れたことを特徴とする中央配置型電気接続箱。
2. 【請求項２】 前記複数の電装ユニットの少なくとも１
   つ以上が前記インストルメントパネルから露出する表示
   部を備えており、当該表示部が前記制御機能部の基板上
   に直接実装されたことを特徴とする請求項１記載の中央
   配置型電気接続箱。
3. 【請求項３】 前記複数の電装ユニットの少なくとも１
   つ以上が前記インストルメントパネルから露出する操作
   部を備えており、当該操作部が前記制御機能部の基板上
   に直接実装されたことを特徴とする請求項１記載の中央
   配置型電気接続箱。
4. 【請求項４】 前記電気接続箱はメンテナンス作業の対
   象となるメンテナンス対象領域を有しており、当該メン
   テナンス対象領域が前記インストルメントパネルの表面
   側に配置されていることを特徴とする請求項１ないし３
   のいずれかに記載の中央配置型電気接続箱。
5. 【請求項５】 前記中央配置型電気接続箱の内部におい
   て、前記分配機能部と前記制御機能部とが分離配置され
   たことを特徴とする請求項１ないし４のいずれかに記載
   の中央配置型電気接続箱。
6. 【請求項６】 前記中央配置型電気接続箱が前記車輌の
   インストルメントパネルの略中央部に設けられたセンタ
   ークラスターに配置された請求項１ないし５のいずれか
   に記載の中央配置型電気接続箱。