JPH10192329A - 発熱体 - Google Patents

発熱体

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JPH10192329A
JPH10192329A JP1753897A JP1753897A JPH10192329A JP H10192329 A JPH10192329 A JP H10192329A JP 1753897 A JP1753897 A JP 1753897A JP 1753897 A JP1753897 A JP 1753897A JP H10192329 A JPH10192329 A JP H10192329A
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JP
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exothermic
water
cream
heat
composition
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JP1753897A
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English (en)
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Akio Usui
昭男 臼井
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MOTOCHI KENKYUSHO KK
Original Assignee
MOTOCHI KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、クリーム状の発熱組成物には骨材
粒子を配合し、この骨材粒子が、発熱反応に伴う体積変
化を防止し、空気の供給通路を逐次拡大、形成して内部
の発熱物質と空気との接触を至極良好にし、長時間にわ
たって発熱反応が持続する発熱体を提供することを目的
とする。 【構成】 本発明に係る発熱体は、クリーム状の発熱組
成物がシート状包材内に積層、封入されてなる発熱体に
おいて、このクリーム状の発熱組成物には骨材粒子が配
合されてなり、前記シート状包材の少なくとも一部が通
気性を有するものであり、しかも前記クリーム状の発熱
組成物の水分の一部を前記シート状包材に吸収させてな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クリーム状の発熱組成
物を用いた発熱体の改良に関し、特に、発熱反応に伴
い、発熱組成物の表層部から徐々に空気の供給通路が形
成されて内部の発熱物質と空気との接触を至極良好に
し、長時間にわたって発熱反応が持続する発熱体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、平成8年6月17日付け出
願の特願平8ー177404号(平成7年7月8日付け
出願の特願平7ー196035号の国内優先)の明細書
において、インキ状ないしクリーム状の発熱組成物を用
いた発熱体を提供した。
【0003】この発熱体は、インキ状ないしクリーム状
の発熱組成物を用いているから、以下に述べる利点を有
する。
【0004】即ち、発熱体製造時の粉塵の発生を防止
し、又、発熱組成物の発熱反応を抑制して、製造時の発
熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下及び発熱組成
物の凝固を防止して歩留りや取扱性を向上したり、混合
装置を気密性にする必要がなく、製造装置のメンテナン
スが容易で、しかも製造装置の稼働時間ないし作業者の
就業時間に対する制約が無くなるのである。
【0005】又、スクリーン印刷やコーティングなどの
印刷、転写法で発熱組成物を積層できるから、発熱組成
物の均等な分布を可能にし、しかも発熱組成物の厚さや
分布の精度が高く製品の品質の向上を図る上、高速で超
薄形の発熱体を簡便に製造できるのである。
【0006】更に、発熱組成物を、基材や被覆材、或い
はこれらの上に形成された吸水層上に転写、積層するこ
とによって、発熱組成物を袋材に均等に分布、固定させ
ることができる結果、発熱組成物の移動、片寄りを防止
するのであり、加えて、発熱組成物中の余剰水分や遊離
水分或いは含水ゲル中の水分を基材及び/又は被覆材に
吸収させて空気との接触を良好にしたり、発熱体の薄型
化によって発熱組成物の過剰な発熱反応を極力避け、安
全に使用できるのである。
【0007】また本発明は、吸水性を持った包材(素材
自体が吸水性を有するものの他、合成樹脂製の包材のよ
うに素材自体は水分を吸収しないが形成された微細孔や
繊維間の隙間に水分が吸着されるものも含む)、又は、
吸水剤の粘性水溶液を包材に、含浸、吹き付け、練り込
み、印刷又はコーティング等の塗工などによって積層、
乾燥したり、吸水剤を圧着や練り込み等によって含有、
担持させた、つまり包材に吸水性を付与したものが用い
られる。そして、包材における基材上にクリーム状の発
熱組成物をスクリーン印刷やコーティング等で転写、積
層すれば粉体の転写工程がなくなり将来の医療用具や医
薬品製造におけるGMP基準を満たす工場管理が簡単に
可能になるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】クリーム状の発熱組成
物においては上述の優れた利点があるが、吸水性ポリマ
ー及び/又は増粘剤の種類や配合量更に水分量によっ
て、発熱組成物が緻密になり発熱反応に伴う空気の内部
への供給が不足し、反応効率が低下する場合が有る。
【0009】即ち、クリーム状の発熱組成物において、
発熱組成物層の内部における発熱物質表面への空気(酸
素)の供給が重要な問題となる。初期反応においては、
発熱組成物層の表層部での反応なので空気(酸素)の供
給には問題ないが、一定以上の反応を持続させるために
は、一定以上の発熱組成物層の厚みが必要であり、更
に、発熱組成物層の内部における発熱物質の表面へ一定
量の空気を継続的に供給することが必要になる。
【0010】クリーム状の発熱組成物は、鉄粉や活性炭
などの粉体(固形)成分以外は大部分が水であり、発熱反
応に伴って含水ゲルや増粘剤中の水分が消費され、粉体
以外の体積が収縮し、粉体粒子間、例えば発熱物質粒子
間に間隙が生じ、空気の供給が増加する。
【0011】一方、発熱物質、例えば鉄粉も酸化される
ことにより水酸化鉄となり膨張するが更に水分を喪失し
微粉化して発熱物質粒子間の間隙に充填され、緻密にな
ったり、又、一部は塩化物になって水に溶解し、発熱組
成物の体積が縮小するために十分な空気の供給通路が形
成できなくなる結果、反応の継続性が不十分となって反
応効率が低くなる場合が有った。
【0012】安定した発熱反応を長時間にわたって持続
させるためには、発熱反応に伴って、発熱組成物の表層
部から空気の供給通路が逐次拡大、形成されて層内部の
発熱物質と空気との接触を良好にする必要が有り、この
点において、問題が生じる場合が有った。
【0013】又、水分量が過剰になると、空気と発熱組
成物との接触が悪化して、温度上昇が鈍化すると共に、
発熱温度が低くなって、所要の発熱効果が得られない場
合が有る。
【0014】本発明は、前記技術的課題を解決するため
に完成されたものであって、クリーム状の発熱組成物に
は骨材粒子を配合し、この骨材粒子が、発熱反応に伴う
体積変化を防止し、空気の供給通路を逐次拡大、形成し
て内部の発熱物質と空気との接触を至極良好にし、長時
間にわたって発熱反応が持続する発熱体を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく、従来の粉末状発熱組成物に比較して、空気
中での発熱組成物の安定性を向上させ、その結果、製造
時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下及び発
熱組成物の凝固を防止して歩留りや取扱性を向上した
り、混合装置を気密性にする必要がなく、製造装置のメ
ンテナンスが容易で、しかも製造装置の稼働時間ないし
作業者の就業時間に対する制約を無くする一方、発熱体
として使用するときには、空気と発熱組成物との接触が
良好で、温度上昇が速やかに生じると共に、所望の範囲
の発熱温度が得られて、所要の発熱効果が得られる新規
な発熱組成物について鋭意検討を重ねて来た。
【0016】その結果、発熱組成物が全体としてクリー
ム状に形成されて当該発熱組成物全体を緻密にすること
により、空気との接触を極力抑制して、空気中での発熱
組成物の安定化を図る一方、このクリーム状の発熱組成
物中の遊離水或いはその一部を包材に吸収させて多孔質
にし、これによって、発熱組成物と空気との接触を良好
にする必要があるとの知見を得た。
【0017】本発明に係る発熱体は、前記知見に基づき
完成されたものであって、前記の目的を達成するため
に、クリーム状の発熱組成物がシート状包材内に積層、
封入されてなる発熱体において、このクリーム状の発熱
組成物には骨材粒子が配合されてなり、前記シート状包
材の少なくとも一部が通気性を有するものであり、しか
も前記クリーム状の発熱組成物の水分の一部を前記シー
ト状包材に吸収させてなることを特徴とする。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
係る発熱体においては、従来のように粉末状のものでは
なく、クリーム状に粘稠化され、且つ骨材粒子が配合さ
れた発熱組成物、つまり発熱物質と、吸水性ポリマー及
び/又は増粘剤と、炭素成分及び/又は金属の塩化物、
更に骨材粒子と水を必須成分とし、全体としてクリーム
状に形成された発熱組成物が用いられている点に特徴を
有する。
【0019】そして、このクリーム状の発熱組成物とし
ては、空気中の酸素と反応して発熱反応を起こす成分か
らなり、しかも骨材粒子が配合され、且つ外力を加える
と流動する性質を有するものであれば特に限定されるも
のではない。
【0020】又、クリーム状の発熱組成物においては、
発熱組成物中の水分の配合率、更に吸水性ポリマー及び
/又は増粘剤を配合、調整してクリーム状に粘稠化され
ているから、印刷やコーティングなどによる転写、積層
が至極容易で、且つ高速で超薄形の発熱体を製造できる
のであり、しかも遊離水分又は含水ゲルがバリヤー層と
なるので、空気の供給量が減少して発熱反応を実質的に
停止する結果、一層空気中で安定し、製造時の発熱反応
によるロス、発熱組成物の品質低下及び発熱組成物の凝
固が一層防止されるので望ましい。
【0021】即ち、従来の粉末状発熱組成物において
は、製造時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低
下及び発熱組成物の凝固等の種々の重大な弊害が発生す
るが、発熱組成物をクリーム状に粘稠化させると、例え
ば厚塗印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリー
ン印刷、吹き付けなどの公知の印刷技術を用いて印刷し
たり、ヘッドコーター、ローラー、アプリケーター等に
より塗工やコーティングによって、至極容易に転写、積
層できる上、高速で超薄形の発熱体を製造できるのであ
り、しかも遊離水ないし含水ゲルがバリヤー層となるの
で、空気の供給量が減少して発熱反応が殆ど生じないの
である。
【0022】この場合において、遊離水ないし含水ゲル
中の水分の一部を基材及び/又は被覆材などの袋材に吸
収させると、バリヤー層が喪失し、しかも水分が包材に
吸収されることによって発熱組成物が緻密で表面積が小
さい状態から多孔質で表面積が大きな状態になる結果、
空気との接触が良好になる。
【0023】しかしながら、発熱組成物層の厚みが80
0μm付近を超えると、発熱物質、例えば鉄粉も酸化さ
れることにより水酸化鉄となり膨張するが、更に水分を
失って微粉化して発熱物質粒子間の間隙に充填され、緻
密になったり、又、一部は塩化物になって水に溶解し、
体積が縮小するために十分な空気の供給通路が形成でき
なくなる結果、反応の継続性が不十分となって反応効率
が低くなる場合が有る。
【0024】本発明で用いられるクリーム状の発熱組成
物においては、骨材粒子が配合されているから、この骨
材粒子が、発熱反応に伴う体積変化を防止し、空気の供
給通路を逐次拡大、形成して内部の発熱物質と空気との
接触が至極良好になり、長時間にわたって発熱反応が持
続する上、発熱特性が良好な発熱体が得られるのであ
る。
【0025】このクリーム状の発熱組成物としては、発
熱反応に必須である発熱物質の他に、水や吸水性ポリマ
ー及び/又は増粘剤と、発熱を促進するためのカーボン
や活性炭などの炭素成分及び金属粉の表面の酸化皮膜を
破壊し、発熱反応を連続的に発生させる金属の塩化物、
更に骨材粒子を必須成分とし、全体としてクリーム状に
形成されたものが挙げられる。
【0026】このクリーム状の発熱組成物の配合割合と
しては、用いられる吸水性ポリマーや増粘剤の種類、発
熱物質更に炭素成分の種類、金属の塩化物の種類等によ
っても異なるが、一般に、発熱物質100重量部に対
し、吸水性ポリマー0.05〜7.5重量部及び/又は
増粘剤0.05〜10重量部、炭素成分1.5〜15重
量部及び金属の塩化物1〜10重量部とを必須成分と
し、且つ水が配合されて、全体としてクリーム状に形成
されている。 この場合において、金属の塩化物の所定
量を水に溶解ないし分散し、これを吸水性ポリマー及び
/又は増粘剤と炭素成分及び金属の塩化物更に骨材粒子
からなる混合物に加えて、全体としてクリーム状に形成
しても良いのである。
【0027】ところで、本発明においては、骨材粒子が
発熱組成物に配合され、しかも発熱組成物がクリーム状
に形成されている点、に特徴を有するが、この骨材粒子
の配合割合は、用いられる骨材粒子の種類や密度によっ
て異なる。しかしながら、一般に、骨材粒子の配合割合
は、発熱組成物全体の0.5〜20重量%配合されたも
のが望ましい。
【0028】骨材粒子の配合割合が、0.5重量%未満
と少なすぎると、発熱反応に伴う体積変化を防止し難く
なる結果、空気の供給通路の逐次拡大、形成が不十分と
なって内部の発熱物質と空気との接触が悪くなる虞れが
あり、一方、20重量%を超えると、発熱物質の絶対量
が不足し、所要の発熱温度や発熱時間の確保が困難にな
る虞れがあるので、いずれも好ましくなく、従って、こ
れらの観点より、骨材粒子の配合割合が、特に1〜15
重量%の範囲、更に好ましくは5〜12.5重量%の範
囲、とするのが望ましい。
【0029】前述のように固形成分のみを均一に混合し
た後、水或いは金属の塩化物の水溶液ないし分散液を配
合するのに代えて、前記固形成分に適量の水を加え、こ
の全成分を均一に混合してクリーム状の発熱組成物を得
ても良いのである。
【0030】このクリーム状の発熱組成物を製造するに
あたり、まず、その固形成分のみを混合装置に投入し、
これらの成分を均一に混合した後、これに水或いは金属
の塩化物の水溶液ないし分散液を加えてクリーム状に形
成しても良く、或いは発熱組成物の全成分を混合装置に
投入し、これらの成分を混合してクリーム状に形成して
も良いのである。
【0031】これらの成分の混合装置としては、ニーダ
ーやミキサー等の混練装置が発熱組成物をクリーム状に
形成し易く、しかも発熱物質の表面を遊離水や含水ゲル
が覆い易いので望ましい。
【0032】そして、本発明において、クリーム状の発
熱組成物とは発熱組成物がクリーム状の粘稠体であっ
て、厚塗印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリ
ーン印刷、吹き付けなどの公知の印刷技術を用いて印刷
したり、ヘッドコーター、ローラー、アプリケーター等
により塗工やコーティングによって、至極容易に転写、
積層できるものを意味し、このようなクリーム状の発熱
組成物であれば特に限定されるものではない。
【0033】又、クリーム状の発熱組成物においては、
前述のように、発熱物質と水や吸水性ポリマー及び/又
は増粘剤の他、炭素成分及び金属の塩化物や骨材粒子を
配合したものでも優れた発熱特性が得られるが、更に転
写性、保存時の安定性の一層の向上を図るために、所望
により、pH調整剤、分散性を高める界面活性剤又は消
泡剤から選ばれた少なくとも1種が配合され、全体とし
てクリーム状に形成されたものも有益である。
【0034】即ち、発熱物質100重量部に対し、吸水
性ポリマー0.05〜7.5重量部及び/又は増粘剤
0.05〜10重量部、炭素成分1〜15重量部及び金
属の塩化物1〜10重量部、又、この発熱組成物には、
更に発熱物質100重量部に対し、pH調整剤0.05
〜5重量部、分散性を高める界面活性剤0.05〜5重
量部及び消泡剤0.05〜5重量部から選ばれた少なく
とも1種が配合されてなり、しかも水が配合されて、全
体としてクリーム状に形成されてなり、且つ、前記の場
合と同様の理由により、前記骨材粒子が発熱組成物全体
の0.5〜20重量%の範囲、好ましくは1〜12.5
重量%配合されたものが望ましい。
【0035】そして、このクリーム状の発熱組成物と
は、前記の場合と同様に、発熱組成物がクリーム状の粘
稠体であって、厚塗印刷、グラビア印刷、オフセット印
刷、スクリーン印刷、吹き付けなどの公知の印刷技術を
用いて印刷したり、ヘッドコーター、ローラー、アプリ
ケーター等により塗工やコーティングによって、至極容
易に転写、積層できるものを意味し、このようなクリー
ム状の発熱組成物であれば特に限定されるものではな
い。
【0036】又、前記pH調整剤や界面活性剤更に消泡
剤としてはポリリン酸ナトリウム等の通常のpH調整剤
の他、この分野で用いられるものが用いられる。
【0037】前記のクリーム状の発熱組成物において、
吸水性ポリマーとしては、主として、水や金属の塩化物
水溶液を円滑、且つ大量に吸収する高分子材料が挙げら
れるのであり、具体的には、例えば特公昭49−433
95号公報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリ
ル共重合体、特公昭51−39672号公報に開示され
ている架橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13
495号公報に開示されているビニルエステル−エチレ
ン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−
30710号公報に開示されている逆相懸濁重合法によ
って得られる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−
20093号公報に開示されているポリビニルアルコー
ル系重合体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−
84305号公報に開示されているポリアクリル酸塩架
橋物、N−ビニルアセトアミド架橋体(吸水剤)(昭和
電工株式会社製 商品名NA−010)、イソブチレン
−無水マレイン酸系のゲル等から選ばれた1種又は2種
以上の混合物が挙げられるのであり、更に、これらを界
面活性剤で処理したり、これらにと界面活性剤を組み合
せて親水性を向上しても良いのである。これらの吸水性
ポリマーの中には水や金属の塩化物水溶液を吸収して増
粘性を付与するものがあるが、主として、水や金属の塩
化物水溶液を円滑、且つ大量に吸収する機能を有するも
のである。
【0038】この吸水性ポリマーとしては、市販のもの
を用いればよく、例えば株式会社クラレ社製の商品名で
あるKIゲル201−K、201K−F2、三洋化成工
業株式会社製のサンフレッシュST−500MPSなど
がその例として挙げられる。
【0039】これら市販の吸水性ポリマーの中では、特
に、株式会社クラレ社製のイソブチレン−無水マレイン
酸共重合体であるKIゲル201−K、KIゲル201
−F2などが、ゲル強度が高く、しかも耐熱性や耐候性
更に金属の塩化物水溶液の吸収性に優れ、安定している
ので特に好ましい。
【0040】クリーム状の発熱組成物において、増粘剤
としては、主として、水や金属の塩化物水溶液を吸収
し、粘稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与す
る物質が挙げられるのであり、ポリアクリル酸ソーダ等
のポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、ポリビ
ニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニ
ルピロリドン、アラビアゴム、トラガカントゴム、ロー
カストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、アルギ
ン酸ソーダ等のアルギン酸塩、デキストリン、α化澱粉
又は加工用澱粉などの澱粉系吸水剤、ペクチン又はカラ
ギーナンなどの多糖類系増粘剤、CMC、酢酸セルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース又
はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導
体系増粘剤、水溶性セルロースエーテル又はポリーN−
ビニルアセトアミド等から選ばれた1種又は2種以上の
混合物が挙げられるのであり、更に、これらを界面活性
剤で処理したり、これらにと界面活性剤を組み合せて親
水性を向上しても良いのである。
【0041】前記CMCとしては第一工業製薬株式会社
製の商品名であるセロゲンEPが挙げられるのであり、
又、前記水溶性セルロースエーテルとしては、メチルセ
ルロース(信越化学工業株式会社製、商品名:メトロー
ズSM4000など)、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース(信越化学工業株式会社製、商品名:60SH−
4000、90SH−4000など)が挙げられる。
【0042】クリーム状の発熱組成物では発熱物質とし
て、有機物を用いることも可能であるが、反応に伴って
異臭が発生しない鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉又はマ
グネシウム粉或いはこれらの2種以上の金属からなる合
金の粉末、更に、これらのうちの2種以上を混合した混
合金属粉などが用いられるが、特に、これらの金属粉の
中では、安全性、取扱性、コスト、保存性及び安定性な
どの観点を総合して最も優れている鉄粉をもいることが
望ましい。
【0043】炭素成分としてはカーボンブラック、黒鉛
又は活性炭などがその例として挙げられるのであり、金
属の塩化物としては塩化ナトリウム、塩化カリウムなど
のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネ
シウムなどのアルカリ土金属の塩化物などをその例とし
て挙げることができる。
【0044】そして、このように、クリーム状の発熱組
成物中に骨材粒子を配合することにより、発熱組成物内
部への空気の供給通路が、発熱組成物自体の発熱反応に
伴って逐次形成されることにより温度制御がし易く、高
温による危険性が飛躍的に防止されるのである。
【0045】しかしながら、この骨材粒子としては吸水
性や保水性を有する必要はないが、吸水性及び/又は保
水性を有するものが、水或いは塩水を保持し、発熱反応
に伴って発熱組成物中の水分が不足すると、水或いは塩
水を放出するので好ましく、特に、この骨材粒子として
は多孔質のものが好ましい。即ち、骨材粒子として、多
孔質のものを用いると、発熱反応によって水分が減少し
た場合、多孔質の骨材粒子自体が水分の補給と空気の供
給通路との役目を合わせ持つことになる結果、一層望ま
しいのである。
【0046】この骨材粒子としては活性白土、パーライ
ト、シリカーアルミナ粉、シリカーマグネシア粉、か焼
マグネシア、カオリン、軽石、ゼオライト、マグネシア
粉、沈殿アルミナゲル、活性アルミナ、炭酸カルシウ
ム、シリカゲル、クリストバライト、バーミキュライ
ト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム等のケイ酸
塩、ケイ石、ケイソウ土、アルミナ等の礬土、マイカ粉
やクレー等の礬土ケイ酸質、タルク等の苦土ケイ酸質、
シリカ粉、活性炭、木炭、有機質及び/又は無機質の短
繊維、木粉又はパルプ粉から選ばれた少なくとも1種が
挙げられる。
【0047】ところで、本発明において、骨材粒子は、
前述のように、発熱組成物の層表面だけでなく、層内部
の発熱物質とも空気との接触を至極良好にし、長時間に
わたって優れた発熱反応を持続させるためのものであ
り、従って、この骨材粒子はその粒径が、特に限定され
るものではないが、一般に、発熱組成物の層厚の80%
程度(最大)から数μmの範囲とするのが望ましく、粒径
が数μm未満と小さすぎると発熱反応に伴う体積変化を
防止することができず、よって、発熱組成物の表層部か
ら空気の供給通路を逐次拡大、形成することができない
結果、層内部の発熱物質と空気との接触が悪くなって所
要の発熱反応を持続させることができなくなる虞れがあ
り、一方、発熱組成物の層厚の80%程度を超えると分
散性が悪くなったり、温度分布にバラツキが生じたり、
更に転写性が悪化するなどの理由より、いずれの場合も
好ましくない。
【0048】前記の有機質及び/又は無機質の短繊維と
しては、天然繊維或いは合成繊維や半合成繊維などの人
造繊維であるとを問わず、吸水性であって、しかも長さ
が50〜5000μmの範囲のものであれば特に限定さ
れるものではなく、この長さが50μm未満と短すぎる
と発熱反応に伴う体積変化を防止することができず、よ
って、発熱組成物の表層部から空気の供給通路を逐次拡
大、形成することができない結果、層内部の発熱物質と
空気との接触が悪くなって所要の発熱反応を持続させる
ことができなくなり、一方、5000μmを超えると分
散性が悪くなったり、転写性が悪化するなどの理由より
好ましくなく、従って、これらの観点より、好ましくは
100〜3500μmの範囲、特に好ましくは250〜
3000μmの範囲とするのが望ましい。
【0049】そして、本発明に係る発熱体においては、
前述の骨材粒子を含有するクリーム状の発熱組成物が、
少なくとも一部が通気性を有するシート状包材内に積
層、封入されてなる。
【0050】本発明において、シート状包材が、フィル
ム状ないしシート状の基材とフィルム状ないしシート状
の被覆材とからなり、この基材と被覆材のうち少なくと
も一方或いは一部が、通気性を有すると共に、吸水性を
有するものが望ましい。
【0051】ここにおいて、吸水性を有する包材とは、
素材自体が吸水性を有するものの他、合成樹脂製の包材
のように素材自体は水分を吸収しないが、形成された微
細孔や繊維間の隙間に水分が吸着されるものも含む。
【0052】本発明においては、印刷やコーティング等
の転写によって、超薄形の発熱体が形成されるが、発熱
体が薄く形成されると、単位時間当たりの発熱量が大き
すぎる場合、水蒸気圧が大きくなり袋体が膨張し発熱組
成物の移動、片寄りが起こるのであり、また、発熱反応
を抑制し過ぎたり、発熱反応が終了に近づくと発熱量が
少なくなり、袋体内における発熱組成物による空気中の
酸素の消費に基づく減圧のみでは、発熱組成物の移動、
片寄りを防止できない場合がある。
【0053】このような場合には、基材及び/又は被覆
材などに前記発熱組成物の全部又は一部を固定させてそ
の移動、片寄りを防ぐのが好ましい。
【0054】具体的には、例えば基材及び/又は被覆材
における少なくとも前記発熱組成物との接触箇所におい
てその表面に物理的に凹凸を形成したり、または、基材
及び/又は被覆材が、吸水性を有するフィルム状ないし
シート状の吸水材で形成されており、これによって、基
材及び/又は被覆材における前記発熱組成物との接触箇
所に凹凸を形成することにより、前記発熱組成物からの
吸水に伴う密着性とこれらの凹凸によって前記発熱組成
物との結合性を高めてその移動、片寄りを防止するのが
望ましい。
【0055】又、本発明においては、基材及び/又は被
覆材が、非通気性或いは通気性のフィルム又はシートの
片面或いは両面に、吸水性を有する吸水材を積層し、こ
れによって、基材及び/又は被覆材における発熱組成物
との接触箇所に凹凸を形成することにより、発熱組成物
からの吸水に伴う密着性とこれらの凹凸によって発熱組
成物との結合性を高めてその移動、片寄りを防止するの
が望ましい。
【0056】即ち、基材及び/又は被覆材としては吸水
性を有する吸水材で形成されたものが望ましいが、この
吸水材としては、吸水性を有するフィルム状ないしシー
ト状のものであれば特に限定されるものではない。
【0057】この吸水材としては、その素材自体が吸水
性を有するか否かを問わず、結果として吸水性を有する
ものであれば特に限定されるものではない。
【0058】具体的には、例えば吸水性を有する発泡フ
ィルム・シート(吸水性発泡ポリウレタン等の発泡体)や
紙類、吸水性を有する繊維で形成された不織布や織布、
或いは吸水性を有する繊維を含む不織布や織布、又は吸
水性の多孔質フィルム・シートなどの吸水材の他、吸水
性の有無を問わず、発泡フィルム・シート、不織布、織
布又は多孔質フィルム・シートに、吸水剤を含有、含
浸、練り込み、転写又は担持させて吸水性を付与ないし
増大させたり、吸水性の有無を問わず、発泡フィルム・
シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィルム・シー
トに、発熱組成物の平面形状に切断した吸水性の発泡フ
ィルム・シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィル
ム・シート等の吸水性素材を発熱組成物の片面又は両面
に当てがって吸水性が付与されたものが挙げられる。
【0059】本発明においては、特に、基材及び/又は
被覆材における発熱組成物との接触箇所のみに吸水層が
形成され、発熱組成物の周縁部には吸水層が形成されて
いないものが、発熱組成物の周縁部において、基材と被
覆材とを粘着又は熱接着或いは熱融着し易くなるので望
ましい。
【0060】本発明においては、基材及び/又は被覆材
の表面の凹凸及び/又は吸水層に発熱組成物の全部又は
一部を埋設ないし接合し、これによって、発熱組成物の
移動、片寄りを一層防止するのが望ましい。
【0061】このように発熱組成物が袋体内で移動する
ことが防止されるので、発熱組成物が偏って発熱温度が
ばらついたり異常に高い温度に発熱することを阻止でき
る。
【0062】ところで、前記吸水層としては前述の吸水
性ポリマー及び/又は増粘剤で形成された層、或いは前
述のフィルム状ないしシート状の吸水材が挙げられる。
【0063】なお、基材及び/又は被覆材における発熱
組成物の接触箇所に吸水層を形成している場合には、該
発熱組成物の水分を吸収する力によって該発熱組成物に
おける水分以外の他の成分が基材及び/又は被覆材に引
き寄せられ、その一部分が吸水層に浸潤して強力なアン
カー効果を生じるので、特別に表面を粗荒化する処理は
不要である。
【0064】前述のように、本発明で用いられる基材及
び/又は被覆材は、空気との接触により発熱する発熱組
成物を熱源としている結果、基材と被覆材で形成された
包材の少なくとも一方或いは一部が通気性を有するもの
であることを要するが、この基材及び/又は被覆材とし
ては、単一層のものと、厚み方向に複数層を積層したも
のとが含まれる。
【0065】この場合において、積層とはヒートセッ
ト、接着、粘着、ラミネーションなどによって層どうし
が全面的に或いは部分的に接合されていたり、或いは各
層が単に重ね合わされ、例えば周縁部や中央部などの局
部で層どうしがヒートシール、ホットメルト系接着剤或
は粘着剤などで接合されていることをいう。
【0066】本発明においては、発熱組成物がクリーム
状に形成されているから、この発熱組成物を高速の印刷
やコーティング等によって積層できるのであり、基材上
に転写、印刷、離型処理した版の深いグラビア印刷、吹
き付け又はコーティング等によって積層することによっ
て、例えば、基材の送り速度が毎分160〜200m/
分程度という高速で、少なくとも1箇所の所定領域に例
えば0.02〜1.5mm程度の薄い膜厚に、しかも、
厚みを均一にして積層させることが可能になる。
【0067】この場合、発熱組成物を基材上における少
なくとも1箇所の所定領域に高精度に且つ均一に積層し
て、しかも、全体にわたって均一に膜厚を例えば0.1
〜1.5mm程度、好ましくは0.5〜1mm程度に薄
くして積層させることができる結果、全体として、0.
5〜2mm程度の超薄形の発熱体も製造することができ
る。
【0068】処理の高速化、付着領域制御の高精度化、
薄肉化及び膜厚の均一化を図るために、ロールフィルム
状又はロールシート状の基材を一定速度、例えば毎分1
60〜200m/分程度の高速で送りながら、その基材
上に発熱組成物を積層し、更にその上からロールフィル
ム状又はロールシート状被覆材を被せれば良いのであ
る。
【0069】本発明においては、このようにフィルム状
又はシート状の基材上面における少なくとも1箇所の所
定領域に膜厚の薄い発熱組成物を積層させた後、この発
熱組成物を覆うようにフィルム状又はシート状の被覆材
を被せ、基材と被覆材とを発熱組成物を介して張り合わ
せる。つまり発熱組成物が粘着剤と同様の役割を果すの
である。勿論、品質及び信頼性を一層向上するために、
基材と被覆材とを、発熱組成物の周囲部において、粘
着、熱接着又は熱融着によって封着するのが望ましい。
【0070】又、本発明においては、基材上に発熱組成
物を積層し、更にこの発熱組成物を被覆材で被覆するに
あたり、フィルム状ないしシート状の吸水材を発熱組成
物の積層形状に切断したもの、特に吸取紙やティシュペ
ーパーなどの家庭用薄葉紙等、吸水性の高いフィルム又
はシートを発熱組成物の積層形状に切断したものを用
い、これを前記発熱組成物の片面に載置したり、或いは
これで発熱組成物の両面を挟み、次いで、被覆材で封着
しても良いのである。
【0071】ところで、本発明において、フィルム又は
シートに吸水剤を担持させる方法としては、フィルム又
はシートに吸水剤の溶液を含侵させ、溶媒を蒸散させた
り、或いはフィルム又はシートに吸水剤を吹き付け、塗
着、練り込み、圧着、積層又は配合等によって付着させ
たり、吸水性の繊維を不織布や織布に織り込んだり、混
合すること等が挙げられる。
【0072】前記の基材及び/又は被覆材は引っ張り強
度などの必要な機械的強度を有することが必要であり、
しかも、体表面へのなじみ性を高めるために、全体とし
て柔軟であることが好ましい。
【0073】又、前記の基材及び被覆材の厚さとして
は、用途によって大きく異なり、特に限定されるもので
はない。具体的には、足用の場合、10〜5000μ
m、人体に直接張り付けて使用する場合、10〜500
μm程度、特に12〜250μmとすることが更に好ま
しく、一般には、10〜2500μm、特に、12〜1
000μmとするのが望ましい。
【0074】基材及び被覆材の膜厚が10μm未満の場
合には、必要な機械的強度を得られなくなる上、膜厚を
均一にすることが困難になる虞れがあるので好ましくな
い。
【0075】一方、基材の膜厚が5000μmを超える
場合にはスポンジ等の発泡体であっても柔軟性が低下し
て体表面へのなじみ性が著しく低下すると共に、体表面
の変形や移動に対する追従性が低下する上、ごわごわし
て風合が悪くなり、又、発熱体全体の厚さが厚くなるの
で好ましくない。
【0076】従って、特に基材の厚さを10〜2500
μmの範囲、特に12〜1000μmの範囲とすれば、
所要の機械的強度が得られると共に、所要の柔軟性が得
られるので望ましい。
【0077】積層型の基材や被覆材を構成する場合には
その一部を通気性を有するフィルム又はシートで構成す
ることができる。この通気性を有するフィルム又はシー
トとしては、発泡又は非発泡のフィルム又はシート、紙
類、不織布、織布又は多孔質フィルム・シート、布など
が用いられ、布としては、織布、編布、不織布などを用
いることができる。
【0078】前記非発泡の高分子材料からなるフィルム
又はシートに通気性を与える方法としては、フィルム又
はシートを形成する時に延伸させて通気孔を形成する方
法、更にこのフィルム又はシートから特定成分を抽出し
て通気孔を形成する方法の他、フィルムに形成した後に
パンチングや細針などによる穿孔により機械的に通気孔
を形成する方法等が挙げられるのであり、これによっ
て、多孔質のフィルム又はシートが得られる。
【0079】又、高分子材料からなる発泡させたフィル
ム又はシートは、発泡により表裏両面に開かれた独立気
泡又は連続気泡が形成され、又、発泡後にフィルム又は
シートを圧迫してその内部に形成された独立気泡又は連
続気泡を破裂させて表裏両面に連通させることにより通
気性が与えられたものと、発泡によっても、通気性を有
しない気密性のものとが挙げられる。
【0080】紙類、織布、編布或いは不織布などの布は
組織上、表裏両面に連通する通気孔ないし通気路が形成
されているので、通気性を有する。布を構成する繊維と
しては天然繊維、ビスコース繊維などの天然素材を用い
た再生繊維、半合成繊維、合成繊維及びこれらのうちの
2種以上の混合物などを用いることができる。
【0081】天然繊維としては、綿、麻などの植物性繊
維、絹、獣毛などの動物性繊維が挙げられるのであり、
又、合成繊維を構成する高分子材料としては、例えばポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合けん化
物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0082】本発明においては、包材において、その側
方或いは基材と被覆材のうち少なくとも一方又は一部が
通気性を有することが必要である。
【0083】基材と被覆材のうち少なくとも一方或いは
一部が通気性を有する場合において、その通気性は、発
熱組成物の反応速度ないし発熱温度の制御に大きな影響
を与えるので、効果的な温熱効果を得ると共に、低温火
傷を防止して安全性を確保するために、通気性を管理す
ることが好ましい。又、この通気性を高精度に管理する
ためには透湿度でフィルム又はシートの通気性を管理す
ることが好ましく、具体的には、透湿度がリッシー法
(Lyssy法 L80−4000H型)で50〜10,
000g/m2 ・24hrの範囲内にすべきであり、特
に200〜6,000g/m2 ・24hrの範囲内にす
ることが好ましい。
【0084】又、基材及び/又は被覆材が複数層の通気
性フィルムからなる場合には、全体としての透湿度をリ
ッシー法(Lyssy法)で50〜10,000g/m2
・24hrの範囲にすることが好ましい。
【0085】この透湿度が、50g/m2 ・24hr未
満では発熱量が少なくなり、十分な温熱効果が得られな
いので好ましくなく、一方、10,000g/m2 ・2
4hrを超えると発熱温度が高くなって安全性に問題が
生じたり、発熱時間が短くなる虞れが生じるので好まし
くない。従って、通気性フィルムの透湿度を100〜
1,000g/m2 ・24hrの範囲にすることによっ
て、安全で十分な温熱効果を長時間にわたって得られる
ので、特に好ましい。
【0086】ところで、リッシー法(Lyssy法)とは
世界各国の工業規格に準拠した方法であり、例えばJI
S Z0208では、温度40℃、相対湿度差90%R
Hに保つように定められているので、本装置では、10
0%相対湿度の状態にある下部チャンバーと、高感度の
湿度センサーを設置した上部チャンバーの境界面に測定
サンプルが挿入され、湿度センサーのある上部チャンバ
ーの相対湿度を10%RH(100%−90%)に保つ
ようにし、これを中心にして、約±1%の幅(△RH)
即ち約9%から約11%に湿度が増加するのに必要な時
間(数秒)を測定し、予め透過度既知の標準サンプルを
用いて同じ条件で行ったキャリブレーションの結果と比
較することにより透過度を求める方式である。
【0087】本発明においては、気密性の外袋材に封入
するまでの任意の時点で、基材又は被覆材において、そ
のいずれか一方の露出面の少なくとも一部に粘着剤層が
形成されているのが好ましく、この場合、そのいずれか
他方が通気性を有するものが、直接に体表面や着衣に該
発熱体を貼着、固定できるので望ましい。
【0088】この粘着剤層の厚さとしては発熱体の用途
によって異なり、特に限定されるものではないが、5〜
1000μm、特に、10〜500μm、更に好ましく
は15〜250μmとするのが好ましく、粘着剤層の厚
さが、5μm未満になると所要の粘着力が得られない場
合があり、一方、1000μmを超えると嵩張って使用
感が悪くなるだけでなく、経済性が悪くなるので好まし
くない。
【0089】本発明で用いられるホットメルト型高分子
物質としては、具体的には、例えばA−B−A型ブロッ
ク共重合体、飽和ポリエステル系高分子物質、ポリアミ
ド系高分子物質、アクリル系高分子物質、ウレタン系高
分子物質、ポリオレフィン系高分子物質又はポリオレフ
ィン系共重合体或いはこれらの変性体、若しくはこれら
の2種以上の混合物が挙げられる。
【0090】この変性体とは、ホットメルト型高分子物
質の成分の一部を他の成分に置き換えてホットメルト型
高分子物質の性質、例えばホットメルト型高分子物質の
粘着性の改善や安定性等を変えたものをいう。
【0091】ところで、本発明に係る発熱体は、例えば
平成8年6月17日付け出願の特願平8ー177404
号(平成7年7月8日付け出願の特願平7ー19603
5号の国内優先)の明細書に記載されている方法で製造
される。
【0092】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0093】本発明の第1実施例に係る発熱体1は、図
1の断面模式図に示すように、縦130mm、横95m
mの長方形の偏平な包材10内にクリーム状の発熱組成
物2を封入、積層したものであり、前記包材10は、こ
の場合、非通気性の基材3と、通気性を有する被覆材4
とからなり、しかも、前記基材3の露出面には厚さ10
0μmの粘着剤層5が形成されている。尚、7は粘着剤
層5の露出面を被覆する剥離紙である。
【0094】前記基材3としては、十分な柔軟性が得ら
れるように、厚さ40μmのポリエチレン製フィルム3
bの片面に、坪量40g/m2のポリエステル・レーヨ
ン不織布(ユニテック株式会社製 ソフロン−E RP−
40 ポリエステル/レーヨン=50重量%/50重量
%)3aを積層したものを用いた。
【0095】又、前記被覆材4は機械的強度を高めると
共に十分な柔軟性が得られるようにするため、例えば厚
さ100μmのポリエチレン製多孔質フィルム4aの片
面に厚さ150μmのポリプロピレン製不織布4bを積
層したものを用いている。なお、この被覆材4の透湿度
は透湿量がリッシー法で450g/m2 ・24hrとな
るように調整してある。
【0096】ところで、後述のクリーム状の発熱組成物
2を、基材3におけるポリエステル・レーヨン不織布3
a上面に積層し、更にその上から被覆材4をそのポリエ
チレン製多孔質フィルム4bがクリーム状の発熱組成物
2と接触するように積層してなる。
【0097】更に、前記粘着剤層5は下着又は外皮に貼
着するためのものであり、この粘着剤層5はスチレンー
イソプレンースチレンブロック共重合体系の粘着剤で形
成されている。
【0098】前記クリーム状の発熱組成物2は、以下の
方法で製造したものである。即ち、有効成分である鉄粉
(同和鉄粉社製 DKP)100重量部に対し、炭素成分
としての活性炭(ノリット社製 SA−Super)7.
0重量部、金属の塩化物として食塩(塩化ナトリウム)
5.0重量部、増粘剤としてCMC(第1工業製薬社製
商品名 セロゲンEP)1.4重量部、骨材粒子である珪
藻土7.0重量部及びpH調整剤としてトリポリリン酸
ナトリウム0.2重量部を混合し、更に前記鉄粉100
重量部に対し水40重量部を加えてクリーム状に調製し
たものである。
【0099】つまり、活性炭、増粘剤、pH調整剤、骨
材粒子、食塩及び鉄粉の順で、しかも前記配合割合でミ
キサー(ダルトン社製 5DMr型 容量 5リットル)
に投入し、1分間撹拌した後、更に撹拌しながら水を投
入し、10分間混練を行う。
【0100】その後、ブレード、容器内の付着物を清掃
し、再度、20分間混練を行い、粘度測定及び比重測定
を行い、水分調整を行う。水分量は、鉄粉(同和鉄粉社
製 DKP)100重量部に対し、40重量部であった。
尚、ブレードの回転数はスタートから終了まで63rp
mで行った。
【0101】この発熱組成物2はクリーム状で表面積が
著しく小さく、空気との接触面積が制限される上、遊離
水ないし含水ゲルが鉄粉と空気との接触を抑制すること
によって、単位時間当たりの酸化反応量が著しく制限さ
れる結果、当該発熱組成物3の上からフイルム状或いは
シート状の被覆材4が積層され、発熱体1が得られるま
での間の酸化反応が殆ど阻止されるのである。
【0102】このように発熱組成物2がクリーム状の粘
稠体に形成されているから、スクリーン印刷によって、
基材3上面に積層することが可能になり、積層領域の制
御を高精度に行えると共に、膜厚を非常に薄く、しかも
均一に制御できるようになり、しかも、被覆材4とクリ
ーム状の発熱組成物2との結合力によって、当該発熱組
成物2が包材10内で移動することが防止されるように
なる。又、このようにクリーム状の発熱組成物2の膜厚
を薄くすることにより、発熱体1を超薄形にできる。
【0103】この実施例では、幅140mmのロールフ
ィルム状の被覆材4を毎分10mの速度で水平に送りな
がら、そのポリプロピレン製不織布4b上面が基材3上
のクリーム状の発熱組成物2と接触するように、当該被
覆材4を被せ、引き続いてその印刷領域の外周囲部Sを
ヒートシールによって封着し、幅方向のヒートシール領
域の中央で次々に裁断することにより、各発熱体1の周
囲のシール幅が7mmで、しかも超薄形の発熱体1を製
造した。
【0104】なお、裁断された各発熱体1は、引き続い
て包装工程に送り込まれ、図示しない気密性を有する外
袋内に封入される。
【0105】クリーム状の発熱組成物2は基材3上面に
スクリーン印刷された後、その上から被覆材4を被せ、
この基材3と被覆材4からなる包材10にクリーム状の
発熱組成物2の水分の一部が徐々に吸収される。しかし
ながら、クリーム状の発熱組成物2がスクリーン印刷さ
れてから外袋に封入されるまでの時間は極短時間であ
り、この間に発熱反応が可能になる程度に、クリーム状
の発熱組成物2の水分が包材10に吸収されることは殆
どないから、発熱反応が殆ど発生しないのである。
【0106】従って、製造工程におけるクリーム状の発
熱組成物2の発熱が起こる虞れは殆どなく、発熱反応に
よるロスや、クリーム状の発熱組成物の品質低下が生じ
る虞れは全くない。又、クリーム状の発熱組成物2の配
合から基材3へのスクリーン印刷までの工程においてク
リーム状の発熱組成物が凝固する恐れも殆どなくなり、
凝固による歩留り低下、操業の中断、操業時間に対する
制約、製造装置の洗浄の困難性及び危険性、製造装置の
洗浄の頻繁性、凝固物処理の困難性などの種々の弊害を
防止できる。
【0107】又、外袋に封入した後、24時間経過して
から外袋を破って人の体表面に粘着させ、通常の使用を
したところ、1〜2分程度で発熱温度が約38℃まで昇
温し、以後38〜41℃で8.5時間以上にわたって発
熱した。この使用中、発熱組成物2は全く包材10内で
移動することはなく、全面にわたって平均した発熱が認
められた。
【0108】この場合、発熱温度が安定し、温度のバラ
ツキが認められず、信頼性が著しく高いことが認められ
たが、その理由としては以下のものが挙げられる。
【0109】即ち、本発明において、クリーム状の発熱
組成物2には骨材粒子が配合されており、この骨材粒子
が、発熱反応に伴う体積変化を防止し、空気の供給通路
を逐次拡大、形成して内部の発熱物質と空気との接触が
至極良好になり、その結果、長時間にわたって発熱反応
が持続したものと解される。
【0110】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る発
熱体においては、前記構成を有し、クリーム状の発熱組
成物には骨材粒子を配合しているから、この不溶性の骨
材粒子が、発熱反応に伴う体積変化を防止し、空気の供
給通路を逐次拡大、形成して内部の発熱物質と空気との
接触を至極良好にし、長時間にわたって発熱反応が持続
する結果、著しく優れた発熱特性が得られる効果を有す
るのである。
【0111】即ち、本発明においては、 クリーム状
の発熱組成物を用いる点、 クリーム状の発熱組成物
中に骨材粒子が配合されている点、 クリーム状の発
熱組成物中の遊離水ないし含水ゲル中の水分の一部を包
材に吸収させてバリヤー層を除去する点、に最も大きな
特徴を有し、このような構成を有する結果、以下に述べ
る格別顕著な効果を奏するのである。
【0112】まず、本発明においては、発熱組成物とし
て、クリーム状に粘稠化されたものを用いているから、
このクリーム状の発熱組成物を、印刷やコーティングな
どによって、基材上面の所定領域に積層させることがで
きるのであり、又、クリーム状の発熱組成物を、積層領
域を高精度に制御し、しかも非常に薄い膜厚で、且つ均
一にに積層できる結果、高速で超薄形の本発明発熱体を
製造できる効果が得られる。
【0113】また、本発明においては、クリーム状の発
熱組成物が用いられているから、当該発熱組成物中の遊
離水ないし含水ゲルがバリヤー層となって、当該発熱体
の製造時において、クリーム状の発熱組成物の発熱反応
が殆ど無く、製造時の発熱反応によるロス、当該発熱組
成物の品質低下や凝固が防止される。
【0114】一方、本発明に係る発熱体は、その製造後
使用されるまでの間に、包材が、クリーム状の発熱組成
物中の遊離水ないし含水ゲル中の水分の一部、を吸収す
る結果、バリヤー層が喪失して、使用時には前記発熱組
成物中の水分の配合率が発熱反応に適した状態になり、
多孔質で、空気との接触が良好になって、使用時に所望
の発熱温度を得ることができる等、品質がしごく高く、
信頼性が著しく高い効果を有する。
【0115】しかも、前述したように、クリーム状の発
熱組成物は、包材に固定され、従って、この発熱組成物
の袋体内での移動が確実に防止される結果、発熱組成物
の温度のバラツキを無くしたり、袋体内で発熱組成物が
片寄って高温箇所が発生することを確実に防止して、低
温火傷の発生を確実に防止するので、安全性が著しく高
められる効果も得られる。
【0116】本発明においては、クリーム状に粘稠化さ
せた発熱組成物を用いているから、印刷やコーティング
等によって、当該発熱組成物を超薄型で、しかも均一に
積層できるのであり、その結果、発熱体が超薄型で、柔
軟性が高く、肩等の湾曲部や屈曲部への追従性が極めて
良好であり、使用感が優れる効果を有するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る発熱体の断面模
式図である。
【符号の説明】
1 発熱体 2 クリーム状の発熱組成物 3 基材 3a ポリエステル・レーヨン不織布 3b ポリエチレン製フィルム 4 被覆材 4a ポリプロピレン製不織布 4b ポリエチレン製多孔質フィルム 5 粘着剤層 7 剥離紙 10 包材(袋体)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クリーム状の発熱組成物がシート状包材
    内に積層、封入されてなる発熱体において、このクリー
    ム状の発熱組成物には骨材粒子が配合されてなり、前記
    シート状包材の少なくとも一部が通気性を有するもので
    あり、しかも前記クリーム状の発熱組成物の水分の一部
    を前記シート状包材に吸収させてなることを特徴とする
    発熱体。
  2. 【請求項2】 骨材粒子が吸水性及び/又は保水性を有
    するものである請求項1に記載の発熱体。
  3. 【請求項3】 クリーム状の発熱組成物全体に対し骨材
    粒子が0.5〜20重量%を含む請求項1又は2に記載
    の発熱体。
  4. 【請求項4】 骨材粒子が多孔質である請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の発熱体。
  5. 【請求項5】 骨材粒子が活性白土、活性炭、木炭、パ
    ーライト、シリカーアルミナ粉、シリカーマグネシア
    粉、か焼マグネシア、カオリン、軽石、ゼオライト、マ
    グネシア粉、沈殿アルミナゲル、活性アルミナ、炭酸カ
    ルシウム、シリカゲル、クリストバライト、バーミキュ
    ライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム等のケ
    イ酸塩、ケイ石、ケイソウ土、アルミナ等の礬土、マイ
    カ粉やクレー等の礬土ケイ酸質、タルク等の苦土ケイ酸
    質、シリカ粉、有機質及び/又は無機質の短繊維、木粉
    又はパルプ粉から選ばれた少なくとも1種である請求項
    1ないし4のいずれか1項に記載の発熱体。
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