JPH10192227A - 内視鏡用鉗子栓 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本体スリットと蓋スリットとを正確に直交重
複させ得るスリット重複型の内視鏡用鉗子栓を提供す
る。 【解決手段】 蓋体２６を鉗子栓本体２５に装着する場
合に、本体スリット２５ｅと蓋スリット２６ｅとが処置
具を挿通させる方向から見て十文字状に重複する位置関
係となるように蓋体２６と鉗子栓本体２５との間の相対
移動を拘束し位置決めを行う凸部２６ｉと凹部２５ｓを
備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡の先端部か
ら外部へ突出させて患部への処置等を行う鉗子等の処置
具を内部に通す処置具用チャンネルへ処置具を挿入する
ための処置具挿入口を閉塞する弾性材料製の内視鏡用鉗
子栓に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、医療分野において、患者の体内の
各種内蔵等を、生体を傷つけることなく外部から視認に
より検査し、内視鏡を通して患者の体内の病変部位（患
部）等を切除・採取し、あるいは患部に薬液等を注入・
投与するなどの処置を行う手段として、内視鏡が用いら
れている。

【０００３】この内視鏡の構成について、以下に説明す
る。図６は、内視鏡の一例の構成を示す図であり、図６
（Ａ）は、内視鏡の一例の全体構成、及び従来の内視鏡
用鉗子栓の構成を示す斜視図であり、図６（Ｂ）は、図
６（Ａ）に示す内視鏡の先端部の構成を示す正面図であ
る。

【０００４】図６（Ａ）に示すように、この内視鏡１０
０は、コード状の体内挿入部１と、体内挿入部１の根元
部分に設けられた操作部２と、操作部２の根元側に設け
られたコネクターコード部３を備えて構成されている。

【０００５】体内挿入部１は、先端部１０と、先端部１
０の根元側の彎曲部１１と、柔軟で屈曲可能な管体であ
り彎曲部１１の根元側で操作部２に接続する軟性部１２
を有している。また、操作部２は、グリップ部２０と、
上下アングルツマミ２１ａと、左右アングルツマミ２１
ｂと、吸引ボタン２２ａと、送気・送水ボタン２２ｂ
と、鉗子口部材２４を有している。また、コネクターコ
ード部３は、図示しない照明用光源と映像信号処理装置
と吸引源と送気・送水源に接続されている。

【０００６】また、図６（Ｂ）に、この内視鏡１００の
先端部１０の正面構成を示す。図６（Ｂ）に示すよう
に、先端部１０は、照明用レンズ１３，１３と、対物レ
ンズ１４と、送気・送水ノズル１５と、吸引・処置口１
６を有している。

【０００７】上記照明用光源からの光は、光ファイバー
束からなるライトガイド（図示せず）内に導かれる。ラ
イトガイドはコネクターコード部３及び体内挿入部１の
内部に挿通され、先端部１０に設けられた照明用レンズ
１３，１３から光が照射され、後述する対物レンズ１４
の視野内が照明される。

【０００８】上記の彎曲部１１内には、蛇腹状機構（図
示せず）と操作用ワイヤー（図示せず）等が設けられて
おり、操作用ワイヤーは軟性部１２内に挿通され上下ア
ングルツマミ２１ａ及び左右アングルツマミ２１ｂに接
続されている。このため、操作者がグリップ部２０を握
り、指で各ツマミを回動することにより、彎曲部１１は
上下左右のいずれの方向にも自在に屈曲又は回動し、先
端部１０を３６０度いずれの方向へも向かせることがで
きる。

【０００９】また、先端部１０には対物レンズ１４が配
置されており、視野内の映像をとらえる。この映像は、
光ファイバー束（図示せず）によって体内挿入部１から
操作部２及びコネクターコード部３を経て接眼部（図示
せず）に送られるか、あるいは、先端部１０に配置され
た図示しないＣＣＤ（Charge Cuppled Device ：電荷結
合撮像素子）によって多数の画素の映像信号に変換され
た後、リード線（図示せず）等により、体内挿入部１か
ら操作部２及びコネクターコード部３を経て上記の映像
信号処理装置に送られ、映像となる。

【００１０】また、上記した送気・送水源からの空気又
は水は、それぞれ独立に送気・送水管路（図示せず）内
に導かれる。この送気・送水管路はコネクターコード部
３及び体内挿入部１の内部に挿通され、送気・送水ボタ
ン２２ｂの操作により、先端部１０に設けられた送気・
送水ノズル１５から空気又は水がそれぞれ独立に噴射さ
れる。このような構成により、空気圧を付与し臓器内を
押し拡げて対物レンズ１４の視野を確保したり、対物レ
ンズ１４の洗浄・乾燥等を行うことができる。

【００１１】また、上記した吸引源には吸引管路（図示
せず）が接続されており、この吸引管路は、コネクター
コード部３及び体内挿入部１の内部に挿通されており、
体内挿入部１内では後述する処置具用チャンネル（図示
せず）を兼ねている。このような構成により、吸引ボタ
ン２２ａを操作すると、先端部１０に設けられた吸引・
処置口１６から出血や体液等が吸引源へ吸引される。

【００１２】また、上記した鉗子口部材２４は鉗子口基
部２３に取り付けられている。この鉗子口部材２４には
管路状の処置具用チャンネル（図示せず）の入口が接続
されている。この処置具用チャンネルは、体内挿入部１
内における吸引管路を兼ねており、操作部２から体内挿
入部１の内部に挿通され、先端部１０に設けられた吸引
・処置口１６に接続している。このような構成により、
鉗子口部材２４に設けられた処置具挿入口２４ｆから吸
引・処置口１６までは管路が連通している。したがっ
て、患部に切除や縫合等の処置を施すための鉗子類や、
麻酔薬や薬剤等を注入・投与するカテーテルや造影用チ
ューブ類等の処置具を処置具挿入口２４ｆから挿入し、
処置具用チャンネルの内部に挿通させて内視鏡先端の吸
引・処置口１６から突出させることにより、内視鏡から
の映像を視認しつつ、処置具による手術や生体組織採取
及び観察等を行うことができる。

【００１３】しかし、内視鏡における撮像時には、上記
したように、送気を行って体腔内等に大気圧よりも高い
空気圧を付与し、臓器内壁等を押し拡げることにより視
野を確保している。このため、処置具挿入口２４ｆを開
口させたままにしておくと、空気圧の高い体腔内から空
気圧の低い処置具挿入口２４ｆへ向って体液や汚物が逆
流しようとし、体液等が吸引・処置口１６から処置具用
チャンネル内を通って処置具挿入口２４ｆに到達し外部
へ漏れ出すおそれがある。

【００１４】患部からの体液や汚物が処置具挿入口２４
ｆから外部へ漏れ出すと、衛生上好ましくないうえ、図
６（Ａ）に示すような構成の内視鏡の場合には、操作用
のツマミ２１ａ，２１ｂが濡れて滑りやすくなり、内視
鏡操作上も不都合が生じる。

【００１５】そこで上記の逆流漏出を防止するため、従
来は、鉗子口部材２４のフランジ部２４ａに、ゴム等の
弾性材料からなり略皿状に形成され中央部にスリット２
５ｅ′を有する鉗子栓２５′の外縁部を嵌合させて装着
していた。このようにすれば、処置具を挿入していない
場合にはスリット２５ｅ′は閉じているため、処置具挿
入口２４ｆは閉塞され、体液等の漏出は防止される。一
方、処置具を挿入する場合にはスリット２５ｅ′により
処置具を押入すれば容易に内部へ挿通させることができ
るうえ、処置具が挿通している箇所以外のスリット２５
ｅ′は閉じているため、同様に処置具挿入口２４ｆは閉
塞され、体液等の漏出を防止しつつ処置具の挿通を行う
ことができる。

【００１６】しかし、上記した鉗子栓２５′では、スリ
ット２５ｅ′は「−」字状の開口であり、処置具が挿通
されると、処置具が挿通している箇所の両側のスリット
の部分には、処置具によって押し拡げられた部分が閉じ
るまでの間に略三角形状の隙間が生じる。このため、こ
の隙間部分を通して体液等が鉗子栓外部に漏出する、と
いう問題があった。

【００１７】そこで、この問題を解決するため、鉗子栓
（以下、「鉗子栓本体」という。）の上に蓋を嵌合によ
り着脱させるようにし、蓋の中央部にスリット（以下、
「蓋スリット」という。）を設けておき、鉗子栓本体の
スリット（以下、「本体スリット」という。）と蓋のス
リットとが、処置具の挿通方向から見た場合に、略十文
字状に重複するように配置したタイプの内視鏡用鉗子栓
が提案されている（実開昭５０−１２６０８１号公報参
照）。

【００１８】このようなスリット重複型の鉗子栓とすれ
ば、処置具が挿通された場合に、本体スリットの両側の
略三角形状の隙間（以下、「本体隙間」という。）の上
方は蓋で閉塞されているため、本体隙間からの漏出は阻
止される。また、蓋スリットの両側の略三角形状の隙間
（以下、「蓋隙間」という。）の下方は鉗子栓本体で閉
塞されているため、蓋隙間からの漏出も阻止される。し
たがって、内視鏡用鉗子栓としての漏出防止機能がより
向上する、というものである。

【００１９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のスリット重複型鉗子栓においては、期待される
漏出防止性能を最大限発揮するためには、処置具の挿通
方向から見た場合に、両スリットが正確な「＋」字状に
重複するように、すなわち、本体スリットと蓋スリット
とが互いに正確に直交した状態で重複するように配置す
る必要があり、両スリットの交差角度が９０°からはず
れると、両スリットの間に偏平な略三角形状又は略三日
月状の微小隙間が形成され、この微小隙間から漏出が生
じる、という問題があった。

【００２０】この問題は、蓋が鉗子栓本体と別体の場合
（以下、「蓋別体型」という。）には、必然的に発生す
るものであり、この蓋別体型では本体スリットと蓋スリ
ットとを互いに正確な直交状に重複させることはその構
造上から本来困難である。また、蓋が略帯状の連結部材
などにより鉗子栓本体に一体化されている場合（以下、
「蓋一体型」という。）には、蓋が鉗子栓本体に対し無
制限に任意な角度位置となることは連結部材によりある
程度は規制されるが、連結部材が弾性変形することか
ら、蓋と鉗子栓本体とが常に正確な直交重複状態となる
ように拘束することは困難であり、所定の角度の範囲内
で両スリット間にズレが生じることは原理的に不可避で
ある。したがって、上記のスリット重複型鉗子栓におい
ては、蓋別体型と蓋一体型のいずれの場合でも、従来の
構造のままでは、ある程度の逆流漏出は避け難い、とい
う問題があった。

【００２１】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであり、本発明の解決しようとする課題は、本
体スリットと蓋スリットとを正確に直交重複させ得るス
リット重複型の内視鏡用鉗子栓を提供することにある。

【００２２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る内視鏡用鉗子栓は、弾性材料からな
り、内視鏡の先端部から突出させて患部への処置等を行
う処置具を内部に通す管路である処置具用チャンネルへ
の入口であるチャンネル入口に取り付けられる略筒状の
処置具挿入口部材における処置具挿入口に弾性嵌合によ
り着脱可能に構成された本体嵌合部と、前記処置具挿入
口を閉塞する本体閉塞部と、前記本体閉塞部を貫通する
ように略一文字状に開設され前記処置具を外部から挿入
した場合に前記処置具挿入口部材の内部へ挿通させる本
体挿通手段を有する鉗子栓本体部と、弾性材料からな
り、前記鉗子栓本体部に弾性嵌合により着脱可能に構成
された蓋嵌合部と、前記本体閉塞部の外側を閉塞する蓋
閉塞部と、前記蓋閉塞部を貫通するように略一文字状に
開設され前記処置具を外部から挿入した場合に前記本体
挿通手段へ向けて挿通させる蓋挿通手段を有する蓋部を
備えた内視鏡用鉗子栓において、前記蓋部を前記鉗子栓
本体部に装着する場合に、前記本体挿通手段と前記蓋挿
通手段とが前記処置具を挿通させる方向から見て十文字
状に重複する位置関係となるように前記蓋部と前記鉗子
栓本体部との間の相対移動を拘束し位置決めを行う位置
決め手段を備えたことを特徴とする。

【００２３】上記の内視鏡用鉗子栓において、好ましく
は、前記位置決め手段は、前記蓋部に設けられた凸部
と、前記凸部に係合又は嵌合するように形成されるとと
もに前記鉗子栓本体部に設けられた凹部を有する。

【００２４】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記位置決め手段は、前記鉗子栓本体部に設
けられた凸部と、前記凸部に係合又は嵌合するように形
成されるとともに前記蓋部に設けられた凹部を有する。

【００２５】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記位置決め手段は、前記鉗子栓本体部に設
けられた凹部と、前記蓋部に設けられた凹部と、前記鉗
子栓本体部の凹部に嵌合する凸部と前記蓋部の凹部に係
合又は嵌合する凸部とを有するとともに前記鉗子栓本体
部と前記蓋部との間に介在するように配設されることに
より前記鉗子栓本体部と前記蓋部とを連結する介設部材
を有する。

【００２６】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記凸部又は前記凹部は、前記鉗子栓本体部
の外側面又は前記蓋部の内側面に設けられる。

【００２７】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記凸部又は前記凹部は、前記鉗子栓本体部
の上面又は前記蓋部の内底面に設けられる。

【００２８】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記凹部は前記鉗子栓本体部の外側面又は前
記蓋部の内側面に設けられ、かつ前記介設部材は前記鉗
子栓本体部の外側面と前記蓋部の内側面との間に介在す
るように配設される。

【００２９】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記凹部は前記鉗子栓本体部の上面又は前記
蓋部の内底面に設けられ、かつ前記介設部材は前記鉗子
栓本体部の上面と前記蓋部の内底面との間に介在するよ
うに配設される。

【００３０】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記蓋部は、前記鉗子栓本体部に対し別体で
形成される。

【００３１】また、上記の内視鏡用鉗子栓において、好
ましくは、前記蓋部は、前記鉗子栓本体部と一体形成さ
れる。

【００３２】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る内視鏡用鉗子
栓の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明
する。内視鏡用鉗子栓の構成の説明に先立ち、内視鏡用
鉗子栓が装着される処置具挿入口部材である鉗子口部材
の詳細な構成について説明を行う。図１には、本発明の
実施形態である内視鏡用鉗子栓が装着される鉗子口部材
の断面構成が示されている。

【００３３】図１に示すように、この鉗子口部材２４
は、合成樹脂、金属、セラミックス等からなり、両端が
開放された略円筒状の部材である。鉗子口部材２４は、
図の上部となる外径が大径の部分と、図の下部となる外
径が小径の部分を有している。

【００３４】大径部側の端部から図の左右側に向けて
は、円環鍔状のフランジ部２４ａが突出するように形成
されている。図においてフランジ部２４ａの下方となる
大径部の外側部分には、外周を取り巻くように、略台形
断面の溝部２４ｂが形成されている。鉗子口部材２４の
フランジ部２４ａと、その下方に接続し溝部２４ｂを含
む部分とで構成された部分は、断面が略「逆Ｌ」字状で
平面投影形状が略円環状となる鉗子口部材の上端部分
（以下、「鉗子口部材嵌合部」という。）を形成してい
る。また、図において溝部２４ｂの下方となる大径部の
外側部分は、図の垂直方向に外径が一定な円筒外壁状の
垂直外壁部２４ｈとなっている。

【００３５】また、小径部の外側面には、雄ネジ部２４
ｃが設けられている。この雄ネジ部２４ｃは、上記した
鉗子口基部２３に開設された雌ネジ孔（図示せず）に螺
合可能となっている。

【００３６】また、鉗子口部材２４の大径部の内面側
は、図の垂直方向に内径が一定な円筒内壁状の垂直内壁
部２４ｄとなっている。また、小径部の内面側は、図の
下方に向うに従って内径が小さくなるように絞り込まれ
る凹円錐面状の傾斜内壁部２４ｅとなっている。垂直内
壁部２４ｄに囲まれた空間は処置具挿入口２４ｆを構成
している。また、図における傾斜内壁部２４ｅの下端の
開口２４ｇは、上記した内視鏡の処置具用チャンネル
（図示せず）の入口（図示せず。以下、「チャンネル入
口」という。）と連通するように構成されている。以
下、２４ｇを「チャンネル入口連通口」という。

【００３７】上記のような構成により、上記した鉗子口
基部２３の雌ネジ孔（図示せず）に、鉗子口部材２４の
雄ネジ部２４ｃをねじ込むことにより、図６（Ａ）に示
した状態となり、処置具挿入口２４ｆは処置具用チャン
ネルの内部の管路空間と連通する。

【００３８】（１）第１実施形態 次に、上記した鉗子口部材２４に装着される本発明の第
１実施形態である内視鏡用鉗子栓の詳細な構成と作用に
ついて説明する。図１は、本発明の第１実施形態である
内視鏡用鉗子栓の構成と、鉗子口部材への装着状態を示
す断面図である。また、図２は、図１に示す内視鏡用鉗
子栓における蓋体の構成を示す上平面図である。また、
図３は、図１に示す内視鏡用鉗子栓の作用を説明する図
であり、図３（Ａ）はチューブを挿通させる前の状態の
上平面図を、図３（Ｂ）はチューブを挿通させた状態の
上平面図を、それぞれ示している。図１に示すように、
この内視鏡用鉗子栓は、鉗子栓本体２５と蓋体２６を備
えて構成されている。

【００３９】鉗子栓本体２５は、図１に示すように、シ
リコンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブチルゴム等のゴム
材料を含む弾性材料からなる略円筒状の部材である。こ
の鉗子栓本体２５は、本体閉塞部２５ａと、鍔部２５ｂ
と、垂下部２５ｃと、鈎部２５ｄを備えて構成されてい
る。本体閉塞部２５ａは、図において中央に位置する部
分であり、略筒状に形成されている。

【００４０】上記の本体閉塞部２５ａの略中央には、凹
室２５ｇが設けられている。この凹室２５ｇは、図にお
ける上部が略皿状に凹設され、さらに略皿状凹部の略中
央から図の下方に向けて略円柱状の凹部が形成されてい
る。この凹室２５ｇの底部に相当する部分の中央付近に
は、本体スリット２５ｅが設けられている。この本体ス
リット２５ｅは、図１の手前から奥へ向う方向に、
「−」字状に開設されている。

【００４１】上記した本体スリット２５ｅは、この内視
鏡用鉗子栓の中心軸（以下、「鉗子栓中心軸」とい
う。）に沿って図の上下方向に貫通している。また、本
体閉塞部２５ａの図における上部は直筒部２５ｐを構成
し、本体閉塞部２５ａの図における下部は傾斜筒部２５
ｒを構成している。

【００４２】また、本体閉塞部２５ａの直筒部２５ｐの
図における上端部から外方に向けては、略円環状の鍔部
２５ｂが略直角に屈曲して突出するように形成されてい
る。この鍔部２５ｂの図における上面はほぼ平坦面状に
形成されている。また、鍔部２５ｂの外周から図の下方
に向けては、略円環状の垂下部２５ｃが垂下するように
形成されている。また、垂下部２５ｃの図の下端から中
央側へ向けては、略円環状の鈎部２５ｄが突出するよう
に形成されている。鈎部２５ｄの背面側に相当する垂下
部２５ｃの外側下端には傾斜面Ｓ1 が形成されている。
この傾斜面Ｓ1は、鉗子栓中心軸に沿って図の上方へ向
うに従って拡径する円錐面となっている。

【００４３】また、垂下部２５ｃの外側面には、４つの
凹部２５ｓ（２つのみを図示し他の２つは図示せず）が
形成されている。この凹部２５ｓは、垂下部２５ｃの外
側面から鉗子栓中心軸へ向けて略半球状に凹設されてい
る。

【００４４】このような構成により、本体閉塞部２５ａ
における直筒部２５ｐの外側面と、鍔部２５ｂの下面
と、垂下部２５ｃの内壁面と、鈎部２５ｄの内面に囲ま
れた部分は、断面が略「逆Ｌ」字状で平面投影形状が略
円環状の空間（以下、「本体嵌合空間」という。）を形
成している。

【００４５】また、上記した本体嵌合空間に対応する鉗
子栓本体２５の鍔部２５ｂと垂下部２５ｃと鈎部２５ｄ
（以下、「本体嵌合部」という。）は、断面形状が略
「Ｌ」字状で平面投影形状が略円環状となる形状に形成
されている。

【００４６】また、上記した本体閉塞部２５ａの直筒部
２５ｐの外径は、鉗子口部材２４の垂直内壁部２４ｄの
内径よりもやや大きくなるように設定されている。ま
た、鉗子栓本体２５における本体嵌合空間の断面形状
は、鉗子口部材２４の上端の鉗子口部材嵌合部の断面形
状よりも小さくなるように設定されている。

【００４７】次に、上記した鉗子栓本体２５に装着する
蓋体２６の詳細な構成と作用について説明する。

【００４８】蓋体２６は、図１に示すように、シリコン
ゴム、フッ素ゴム、ニトリルブチルゴム等のゴム材料を
含む弾性材料からなる部材であり、鉗子栓本体２５とは
別体で形成されている。この蓋体２６は、図１，２に示
すように、蓋閉塞部２６ａと、平板部２６ｂと、垂下部
２６ｆと、係止部２６ｈと、連結部２６ｃと、環状部２
６ｄを備えて構成されている。

【００４９】蓋閉塞部２６ａは、図において平板部２６
ｂの中央に位置する部分であり、略皿状に形成されてい
る。図において蓋閉塞部２６ａの上方となる部分には略
皿状の凹部２６ｇが形成されている。また、蓋閉塞部２
６ａの中心付近の凹部２６ｇの底部に相当する部分に
は、蓋閉塞部２６ａを図の上下方向に貫通する蓋スリッ
ト２６ｅが設けられている。この蓋スリット２６ｅは、
図１の左右方向に、「−」字状に開設されている。

【００５０】また、蓋閉塞部２６ａの肉厚は、外周へ向
うに従って厚くなっている。このように肉厚に差をつけ
た理由は、蓋スリットの挿通方向への長さ（貫通長）を
短くして処置具を挿通しやすくするためである。蓋閉塞
部２６ａの図における外縁部から外方に向けては、平板
部２６ｂが図の左右方向に突出するように形成されてい
る。平板部２６ｂの図における上面及び下面はほぼ平坦
面状に形成されている。

【００５１】また、平板部２６ｂの外周付近の図におけ
る下面には、図の垂直下方に向けて略円筒状の垂下部２
６ｆが垂下するように形成されている。垂下部２６ｆの
図における下端の内側面付近には、断面形状が略三角形
状で平面投影形状が略円環状の係止部２６ｈが図の内方
（鉗子栓中心軸へ向う方向）へ突出している。係止部２
６ｈの図における内側面は、傾斜面状に形成されてい
る。この傾斜面は、鉗子栓中心軸に沿って図の上方へ向
うに従って拡径する円錐面となっている。

【００５２】また、垂下部２６ｆの内側面には、上記し
た鉗子栓本体２５の凹部２５ｓに対応する位置に４つの
凸部２６ｉ（２つのみを図示し他の２つは図示せず）が
形成されている。この凸部２６ｉは、垂下部２６ｉの内
側面から鉗子栓中心軸へ向けて略半球状に凸設されてい
る。この凸部２６ｉの半球の半径は、上記した鉗子栓本
体２５の垂下部２５ｃの外側面に設けられた４つの凹部
２５ｓの半径よりも小さい値に設定されている。

【００５３】このような構成により、蓋閉塞部２６ａ及
び平板部２６ｂの図における下面と、垂下部２６ｆの垂
直壁状の内側面と、係止部２６ｈの傾斜面状の内側面と
によって囲まれた部分は、略円盤状又は略円柱状の空間
（以下、「蓋嵌合空間」という。）を形成している。

【００５４】また、上記した蓋嵌合空間に対応する蓋体
２６の垂下部２６ｆと係止部２６ｈ（以下、「蓋嵌合
部」という。）は、断面形状が略「Ｌ」字状で平面投影
形状が略円環状となる形状に形成されている。

【００５５】また、平板部２６ｂの外縁には、略帯状又
は略棒状の連結部２６ｃの一端が接続されている。ま
た、連結部２６ｃの他端には、略円環状の環状部２６ｄ
が接続されている。

【００５６】また、上記した係止部２６ｈの傾斜面の内
径は、鉗子栓本体２５の係合部２５ｆの傾斜面の外径よ
りもやや小さくなるように設定されている。また、環状
部２６ｃの内径は、鉗子口部材２４の垂直外壁部２４ｈ
の外径よりも小さくなるように設定されている。

【００５７】上記のような構成により、まず、蓋体２６
の環状部２６ｄを図の左右側へ押し拡げ、鉗子口部材２
４の図における上方から嵌め込むと、環状部２６ｄの弾
性により、環状部２６ｄが鉗子口部材２４の垂直外壁部
２４ｈに確実に係止され、蓋体２６の環状部２６ｄが鉗
子口部材２４に装着される。

【００５８】次に、鉗子栓本体２５の鈎部２５ｄを図の
左右側へ押し拡げ、本体閉塞部２５ａを処置具挿入口２
４ｆ内へ押し込むと、鉗子栓本体２５の弾性により、鉗
子口部材２４の鉗子口部材嵌合部が鉗子栓本体２５の本
体嵌合空間と確実に嵌合し、鉗子栓本体２５が鉗子口部
材２４に装着される。この状態においては、鉗子口部材
２４の処置具挿入口２４ｆの上部には、鉗子栓本体２５
の本体閉塞部２５ａが挿入される。

【００５９】その後、蓋体２６の連結部２６ｄを弾性に
よって曲げ、蓋体２６の蓋閉塞部２６ａの図における下
面を鉗子栓本体２５の凹室２５ｇへ向け、蓋体２６の係
止部２６ｈを図の左右側へ押し拡げ、蓋閉塞部２６ａが
凹室２５ｇ内へ若干入るようにする。そして、この際
に、蓋体２６の垂下部２６ｆの内側面に設けられた４つ
の凸部２６ｉを、鉗子栓本体２５の垂下部２５ｃの外側
面に設けられた４つの凹部２５ｄのうち各凸部２６ｉの
近傍にあるものの中にそれぞれ嵌入させる。このように
すれば、蓋体２６の弾性により、蓋体２６の係止部２６
ｈが鉗子栓本体２５の鈎部２５ｄの背後の傾斜面Ｓ1 と
確実に係合し、蓋体２６が鉗子栓本体２５に装着され
る。

【００６０】上記のように装着されることにより、蓋体
２６と鉗子栓本体２５は、図１に示す状態となる。この
状態においては、鉗子栓本体２５の凹室２５ｇの図にお
ける上部は、蓋体２６の蓋閉塞部２６ａにより閉塞され
る。

【００６１】また、上記の状態を蓋体２６側から見る
と、図３（Ａ）のようになる。この場合、蓋体２６と鉗
子栓本体２５は、凸部２６ｉと凹部２５ｓとの係合によ
り、両者の間で相対移動、すなわち鉗子栓中心軸を中心
とする回動ができないように拘束される。したがって、
凹部２５ｓと凸部２６ｉとの嵌合をさせる前の段階にお
いて、連結部２６ｃの弾性変形や製作誤差等により蓋体
２６と鉗子栓本体２５の交差角度が９０°から多少はず
れた状態となっていても、凸部２６ｉと凹部２５ｓとを
嵌合させれば、蓋体２６と鉗子栓本体２５は、凸部２６
ｉ及び凹部２５ｓの配置により決定される位置（図３
（Ａ）参照）に常に固定される。すなわち、本体スリッ
ト２５ｅと蓋スリット２６ｅは、図３（Ａ）に示すよう
に、処置具を挿通させる方向から見て、正確な「＋」字
状に重複する位置関係となっている。

【００６２】上記のような状態で、蓋体２６の蓋スリッ
ト２６ｅの図における上端から処置具としてチューブＴ
（図３（Ｂ）参照）を鉗子栓内（図３（Ａ），（Ｂ）に
おける紙面の手前から奥へ向う方向）へ押入すれば、チ
ューブＴの先端は、蓋スリット２６ｅを押し拡げて図に
おける紙面の奥へ進入し、蓋スリット２６ｅの下端か
ら、図における紙面のさらに奥側にある鉗子栓本体２５
の凹室２５ｇ（図１参照。図３（Ａ），（Ｂ）には図示
せず）内に突出する。さらにチューブＴを押し込むと、
チューブＴの先端は、鉗子栓本体２５の凹室２５ｇから
本体スリット２５ｅを通過し、鉗子栓本体２５の本体閉
塞部２５ａ（図１参照。図３（Ａ），（Ｂ）には図示せ
ず）の図における紙面の背面側から突出し、図における
紙面のさらに奥にあるチャンネル入口連通口２４ｇ（図
１参照。図３（Ａ），（Ｂ）には図示せず）から処置具
チャンネル（図示せず）内へ挿入される。

【００６３】上記のように挿入されることにより、チュ
ーブＴ及び各スリット２５ｅ，２６ｅは、図３（Ｂ）に
示す状態となる。図において、蓋スリット２６ｅ及び本
体スリット２５ｅ内にある円形は、チューブＴの断面を
示している。図に示すように、チューブＴが挿通された
状態では、鉗子栓本体２５の本体スリット２５ｅにおい
て、チューブＴの両側には、略三角形状の本体隙間Ｖ3
，Ｖ4 が生じる。しかし、この本体隙間Ｖ3 ，Ｖ4 の
外側（図３（Ｂ）における紙面の手前側）は蓋体２６の
蓋閉塞部２６ａで閉塞されている。

【００６４】また、蓋スリット２６ｅは、チューブＴを
挿通させる方向から見ると、本体スリット２５ｅと正確
に直交重複しており、この蓋スリット２６ｅにおいて、
チューブＴの両側には、略三角形状の蓋隙間Ｖ1 ，Ｖ2
が生じる。しかし、この蓋隙間Ｖ1 ，Ｖ2 の内側（図３
（Ｂ）における紙面の奥側）は鉗子栓本体２５の本体閉
塞部２５ａ（図１参照。図３（Ａ），（Ｂ）には図示せ
ず）で閉塞されている。

【００６５】したがって、逆流物が本体隙間Ｖ3 ，Ｖ4
を漏出してきたとしても、その外側にある蓋体２６の蓋
閉塞部２６ａにより阻止され、かつ本体スリット２５ｅ
は蓋体スリット２６ｅと常に「＋」字状に直交重複する
よう正確に位置決めされるため、逆流物がこれら２つの
スリットを通過することは非常に困難となっている。こ
のような構成により、第１実施形態の内視鏡用鉗子栓
は、漏出防止機能が従来のものよりもさらに向上してい
る。

【００６６】（２）第２実施形態 次に、上記した鉗子口部材２４に装着される本発明の第
２実施形態である内視鏡用鉗子栓の詳細な構成と作用に
ついて説明する。図４は、本発明の第２実施形態である
内視鏡用鉗子栓の構成と、鉗子口部材への装着状態を示
す断面図である。また、図５は、図４に示す内視鏡用鉗
子栓における蓋体装着時の構成を示す上平面図である。

【００６７】図４，５に示すように、この内視鏡用鉗子
栓２７は、別体型の蓋付き鉗子栓であり、鉗子栓本体２
７と、蓋体２８と、介設部材２９を備えて構成されてい
る。

【００６８】鉗子栓本体２７は、図４に示すように、シ
リコンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブチルゴム等のゴム
材料を含む弾性材料からなる略円筒状の部材である。こ
の鉗子栓本体２７は、本体閉塞部２７ａと、鍔部２７ｂ
と、垂下部２７ｃと、鈎部２７ｄを備えて構成されてい
る。また、本体閉塞部２７ａには、凹室２７ｇと、本体
スリット２７ｅと、凹部２７ｓが設けられている。

【００６９】また、蓋体２８は、図４に示すように、シ
リコンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブチルゴム等のゴム
材料を含む弾性材料からなる部材である。また、蓋体２
８は、図４に示すように、蓋閉塞部２８ａと、平板部２
８ｂと、垂下部２８ｆと、係止部２８ｈと、連結部２８
ｃと、環状部２８ｄを備えて構成されている。蓋閉塞部
２８ａの上部には、凹部２８ｇと蓋スリット２８ｅが設
けられている。また、平板部２８ｂの内底面には、凹部
２８ｉが設けられている。

【００７０】これらの構成要素のうち、鉗子栓本体２７
における本体閉塞部２７ａと鍔部２７ｂと垂下部２７ｃ
と鈎部２７ｄの構成及び作用は、第１実施形態における
鉗子栓本体部２５の本体閉塞部２５ａと鍔部２５ｂと垂
下部２５ｃと鈎部２５ｄの構成及び作用と同様である。
また、本体閉塞部２７ａにおける凹室２７ｇと本体スリ
ット２７ｅの構成及び作用は、第１実施形態における本
体閉塞部２５ａの凹室２５ｇと本体スリット２５ｅの構
成及び作用と同様である。

【００７１】また、蓋体２８における蓋閉塞部２８ａと
平板部２８ｂと垂下部２８ｆと係止部２８ｈと連結部２
８ｃと環状部２８ｄの構成及び作用は、第１実施形態に
おける蓋体２６の蓋閉塞部２６ａと平板部２６ｂと垂下
部２６ｆと係止部２６ｈと連結部２６ｃと環状部２６ｄ
の構成及び作用と同様である。また、蓋閉塞部２８ａに
おける凹部２８ｇと蓋スリット２８ｅの構成及び作用
は、第１実施形態における蓋閉塞部２６ａの凹部２６ｇ
と蓋スリット２６ｅの構成及び作用と同様である。

【００７２】この第２実施形態の内視鏡用鉗子栓が第１
実施形態の内視鏡用鉗子栓と異なる点は、鉗子栓本体の
凹部２５ｓと蓋体の凸部２６ｉのかわりに、鉗子栓本体
の凹部２７ｓと蓋体の凸部２８ｉと介設部材９が設けら
れている点である。その他の点は、第１実施形態の場合
とまったく同様である。

【００７３】以下、第１実施形態と異なる点である鉗子
栓本体の凹部２７ｓと蓋体の凸部２８ｉと介設部材９の
構成と作用について、図４及び図５を参照しつつ説明す
る。

【００７４】まず、上記した鉗子栓本体の凹部２７ｓと
蓋体の凸部２８ｉと介設部材９の構成について説明す
る。凹部２７ｓは、鉗子栓本体２７の鍔部２７ｂの上面
に１個形成されている。この凹部２７ｓは、鍔部２７ｂ
の上面から鉗子口部材２４のフランジ部２４ａへ向け
て、すなわち図４における下方へ向けて形成されてい
る。凹部２７ｓは、略円柱状で、凹部２７ｓの図におけ
る底部は図における左右方向に略鍔状に拡径されてい
る。したがって、凹部２７ｓは、全体としては略シルク
ハット状に凹設された凹部となっている。

【００７５】また、凹部２８ｉは、蓋体２８の平板部２
８ｂの内底面において上記した鉗子栓本体２５の凹部２
５ｓに対応する位置に１個形成されている。この凹部２
８ｉは、平板部２８ｂの内底面から内視鏡用鉗子栓の外
部へ向けて、すなわち図４における上方へ向けて形成さ
れている。凹部２８ｉは、略円柱状となっている。

【００７６】また、介設部材２９は、図４に示すよう
に、シリコンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブチルゴム等
のゴム材料を含む弾性材料からなる部材であり、鉗子栓
本体２７，蓋体２８とは別体で形成されている。この介
設部材２９は、凸部２９ａと凸部２９ｂを備えて構成さ
れている。

【００７７】上記の凹部２９ａは、略円柱状で、介設部
材２９の図における下方に配置されている。この凹部２
９ａの図における底部は図における左右方向に略鍔状に
拡径されている。また、凸部２９ｂは、略円柱状で、介
設部材２９の図における上方に配置されている。このよ
うな構成により、介設部材２９は、全体として、鍔付き
の円柱状、あるいは略シルクハット状となっている。

【００７８】次に、上記した鉗子栓本体の凹部２７ｓと
蓋体の凸部２８ｉと介設部材９の作用について説明す
る。

【００７９】まず、介設部材２９の図における下方の凸
部２９ａを、鉗子栓本体２７の鍔部２７ｂの上面に設け
られた凹部２７ｓに嵌入させる。このようにすれば、介
設部材２９の弾性により、介設部材２９が鉗子栓本体２
７に嵌合により装着される。その後、第１実施形態の場
合とまったく同様の手順により、鉗子口部材２４に鉗子
栓本体２７を装着し、その後、鉗子口部材２４に蓋体２
８の環状部２８ｄを装着する。

【００８０】次に、蓋体２８の連結部２８ｄを弾性によ
って曲げ、蓋体２８の蓋閉塞部２８ａの図における下面
を鉗子栓本体２７の凹室２７ｇへ向け、蓋体２８の係止
部２８ｈを図の左右側へ押し拡げ、蓋閉塞部２８ａが凹
室２７ｇ内へ若干入るようにする。そして、この際に、
鉗子栓本体２７の鍔部２７ｂｃの上面に装着された介設
部材２９の図における上方の凸部２９ｂを、蓋体２８の
平板部２８ｂの内底面に設けられた凹部２８ｉの中に嵌
入させる。このようにすれば、蓋体２８の弾性により、
蓋体２８の係止部２８ｈが鉗子栓本体２７の鈎部２７ｄ
の背後の傾斜面Ｓ2 と確実に係合し、蓋体２８が鉗子栓
本体２７に装着される。

【００８１】上記のように装着されることにより、蓋体
２８と鉗子栓本体２７は、図４に示す状態となる。この
状態においては、鉗子栓本体２７の凹室２７ｇの図にお
ける上部は、蓋体２８の蓋閉塞部２８ａにより閉塞され
る。

【００８２】また、上記の状態を蓋体２８側から見る
と、図５のようになる。この場合、蓋体２８と鉗子栓本
体２７は、介設部材２９の凸部２９ｂと蓋体の凹部２８
ｉとの係合により、両者の間で相対移動、すなわち鉗子
栓中心軸を中心とする回動ができないように拘束され
る。したがって、凸部２９ｂと凹部２８ｉとの嵌合をさ
せる前の段階において、連結部２８ｃの弾性変形や製作
誤差等により蓋体２８と鉗子栓本体２７の交差角度が９
０°から多少はずれた状態となっていても、凸部２９ｂ
と凹部２８ｉとを嵌合させれば、蓋体２８と鉗子栓本体
２７は、凸部２９ｂ及び凹部２８ｉの配置により決定さ
れる位置（図５参照）に常に固定される。すなわち、本
体スリット２７ｅと蓋スリット２８ｅは、図５に示すよ
うに、処置具を挿通させる方向から見て、正確な「＋」
字状に重複する位置関係となっている。

【００８３】上記のような状態で、蓋体２８の蓋スリッ
ト２８ｅの図における上端から処置具としてチューブＴ
（図３（Ｂ）参照）を鉗子栓内（図５における紙面の手
前から奥へ向う方向）へ押入すれば、第１実施形態の場
合とまったく同様にして、チューブＴの先端は、鉗子栓
本体２７の本体閉塞部２７ａ（図４参照。図５には図示
せず）の図における紙面の背面側から突出し、図におけ
る紙面のさらに奥にあるチャンネル入口連通口２４ｇ
（図４参照。図５には図示せず）から処置具チャンネル
（図示せず）内へ挿入される。

【００８４】上記のように挿入されることにより、チュ
ーブＴ及び各スリット２７ｅ，２８ｅは、図３（Ｂ）に
示す状態と同様の状態となる。この場合には、鉗子栓本
体２７の本体スリット２７ｅにおいて、チューブＴの両
側には、略三角形状の本体隙間（図３（Ｂ）におけるＶ
3 ，Ｖ4 に準ずる）が生じる。しかし、この本体隙間の
外側（図５における紙面の手前側）は蓋体２８の蓋閉塞
部２８ａで閉塞されている。

【００８５】また、蓋スリット２８ｅは、チューブＴを
挿通させる方向から見ると、本体スリット２７ｅと正確
に直交重複しており、この蓋スリット２８ｅにおいて、
チューブＴの両側には、略三角形状の蓋隙間（図３
（Ｂ）におけるＶ1 ，Ｖ2 に準ずる）が生じる。しか
し、この蓋隙間の内側（図５における紙面の奥側）は鉗
子栓本体２７の本体閉塞部２７ａ（図４参照。図５には
図示せず）で閉塞されている。

【００８６】したがって、逆流物が本体隙間を漏出して
きたとしても、その外側にある蓋体２８の蓋閉塞部２８
ａにより阻止され、かつ本体スリット２７ｅは蓋体スリ
ット２８ｅと常に「＋」字状に直交重複するよう正確に
位置決めされるため、逆流物がこれら２つのスリットを
通過することは非常に困難となっている。このような構
成により、第２実施形態の内視鏡用鉗子栓の場合も、漏
出防止機能が従来のものよりもさらに向上している。

【００８７】上記した各実施形態において、鉗子口部材
２４は処置具挿入口部材に相当している。また、本体ス
リット２５ｅ又は２７ｅは、本体挿通手段に相当してい
る。また、蓋スリット２６ｅ又は２８ｅは、蓋挿通手段
に相当している。また、鉗子栓本体２５の凹部２５ｓと
蓋体２６の凸部２６ｉ、又は鉗子栓本体２７の凹部２７
ｓと蓋体２８の凹部２８ｉと介設部材２９は、位置決め
手段に相当している。

【００８８】なお、本発明は、上記各実施形態に限定さ
れるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本
発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的
に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、
いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含され
る。

【００８９】例えば、上記各実施形態においては、位置
決め手段として、蓋部（例えば２６）の内側面に設けら
れた凸部（例えば２６ｉ）と鉗子栓本体（例えば２５）
の外側面に設けられ凸部（例えば２６ｉ）に係合するよ
うに形成された凹部（例えば２５ｓ）、あるいは鉗子栓
本体部（例えば２７）の上面に設けられた凹部（例えば
２７ｓ）と蓋部（例えば２８）の内底面に設けられた凹
部（２８ｉ）と凹部（例えば２７ｓ）に嵌合する凸部
（例えば２９ａ）及び凹部（２８ｉ）に係合する凸部
（２９ｂ）を有する介設部材（２９）を例に挙げて説明
したが、本発明はこれには限定されず、蓋部を鉗子栓本
体部に装着する場合に本体挿通手段と蓋挿通手段とが処
置具を挿通させる方向から見て十文字状に重複する位置
関係となるように蓋部と鉗子栓本体部との間の相対移動
を拘束し位置決めを行うように構成された手段であれば
どのようなものであってもよく、他の形状の位置決め手
段、例えば、蓋部に設けられた凹部と、鉗子栓本体に設
けられ蓋部の凹部に係合するように形成された凸部であ
ってもよい。また、凹部と凸部は、互いに係合するよう
に構成されてもよいし、互いに嵌合するように構成され
てもよい。また、凹部と凸部の形状についても、略半球
状、略円柱状、略シルクハット状のほか、ｎ角柱状
（ｎ：３以上の整数）、溝及びそれに係合又は嵌合する
凸条、切欠部とそれに係合又は嵌合する取付片、溝状内
部に向かうに従って拡径する略円錐状などであってもよ
い。また、凹部と凸部の配置位置についても、蓋部の内
側面と鉗子栓本体部の外側面でもよいし、蓋部の内底面
と鉗子栓本体部の上面であってもよい。また、凹部と凸
部の配置個数についても、１個でもよいし、複数個でも
よい。また、位置決め手段は、上記の凹部や凸部、介設
部材を適宜組み合わせてもよい。

【００９０】また、上記各実施形態においては、本体挿
通手段又は蓋挿通手段として、「−」字状に開設された
スリット（例えば２５ｅ又は２６ｅ）を例に挙げて説明
したが、本体挿通手段又は蓋挿通手段のいずれか一方が
「−」字状で、他の一方は、中央部を小孔とし側部を
「−」字状スリットとしたものであってもよい。このよ
うに構成すれば、処置具を挿通していない状態でも十分
な漏出防止機能を果たすことができ、かつ、処置具を挿
通する場合には「−」字状スリットよりも挿通性が良い
うえ側部の開口も狭く漏出防止機能が向上する、という
利点がある。したがって、本体挿通手段又は蓋挿通手段
は、「−」字状に開設されたスリット、中央部を小孔と
し側部を「−」字状スリットとしたもののほか、扁平な
紡錘形状、扁平な略木の葉状、あるいは扁平な略唇状等
となるように開設された開口等を含む「略一文字状の挿
通手段」であればよい。

【００９１】また、上記各実施形態においては、処置具
挿入口部材である鉗子口部材２４が、内視鏡１００の操
作部２において、図６（Ａ）における最も上方位置、あ
るいは接眼側に近い位置に配置された例について説明し
たが、本発明はこれには限定されず、処置具挿入口部材
は、他の位置、例えば、図６（Ａ）におけるＡの位置、
すなわち操作部２の下方位置、あるいは対物側に近い位
置に設けられてもよい。また、内視鏡１００の全体の構
成、処置具挿入口部材である鉗子口部材２４の構成につ
いても、上記実施形態に示した構成以外の構成であって
もよい。

【００９２】また、上記各実施形態においては、蓋部
（例えば２６又は２８）が鉗子栓本体部（例えば２５又
は２７）と別体で形成された例について説明したが、本
発明はこれには限定されず、本発明は、上記各実施形態
には限定されず、蓋と鉗子栓本体が略帯状の連結部材で
連結されるような構成として両者を一体形成してもよ
い。また、蓋部が別体の場合に、処置具挿入口部材に装
着するための環状部を設けず、鉗子栓本体部のみに装着
される形式としてもよい。

【００９３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る内視
鏡用鉗子栓によれば、蓋部と鉗子栓本体部との間の相対
移動を拘束し位置決めを行う位置決め手段を備えたの
で、蓋部を鉗子栓本体部に装着する場合に本体挿通手段
と蓋挿通手段とが処置具を挿通させる方向から見て常に
十文字状に重複する位置関係となる。このため、処置具
が挿通された場合に、本体挿通手段の両側の本体隙間の
上方は蓋部で閉塞されるとともに、蓋挿通手段の両側の
蓋隙間の下方は鉗子栓本体部で閉塞されるため、内視鏡
用鉗子栓としての漏出防止機能がより向上する、という
利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態である内視鏡用鉗子栓の
構成と、鉗子口部材への装着状態を示す断面図である。

【図２】図１に示す内視鏡用鉗子栓における蓋体の構成
を示す上平面図である。

【図３】図１に示す内視鏡用鉗子栓の作用を説明する図
であり、図３（Ａ）はチューブを挿通させる前の状態の
上平面図を、図３（Ｂ）はチューブを挿通させた状態の
上平面図を、それぞれ示している。

【図４】本発明の第２実施形態である内視鏡用鉗子栓の
構成と、鉗子口部材への装着状態を示す断面図である。

【図５】図４に示す内視鏡用鉗子栓における蓋体装着時
の構成を示す上平面図である。

【図６】図６（Ａ）は、内視鏡用鉗子栓が装着される内
視鏡の一例の全体構成、及び従来の内視鏡用鉗子栓の構
成を示す斜視図であり、図６（Ｂ）は、図６（Ａ）に示
す内視鏡の先端部の構成を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 体内挿入部 ２ 操作部 ３ コネクターコード部 １０ 先端部 １１ 彎曲部 １２ 軟性部 １３ 照明用レンズ １４ 対物レンズ １５ 送気・送水ノズル １６ 吸引・処置口 ２０ グリップ部 ２１ａ 上下アングルツマミ ２１ｂ 左右アングルツマミ ２２ａ 吸引ボタン ２２ｂ 送気・送水ボタン ２３ 鉗子口基部 ２４ 鉗子口部材 ２４ａ フランジ部 ２４ｂ 溝部 ２４ｃ 雄ネジ部 ２４ｄ 垂直内壁部 ２４ｅ 傾斜内壁部 ２４ｆ 処置具挿入口 ２４ｇ チャンネル入口連通口 ２４ｈ 垂直外壁部 ２５ 鉗子栓本体 ２５′ 鉗子栓 ２５ａ 本体閉塞部 ２５ｂ 鍔部 ２５ｃ 垂下部 ２５ｄ 鈎部 ２５ｅ 本体スリット ２５ｅ′ スリット ２５ｇ 凹室 ２５ｐ 直筒部 ２５ｒ 傾斜筒部 ２５ｓ 凹部 ２６ 蓋体 ２６ａ 蓋閉塞部 ２６ｂ 平板部 ２６ｃ 連結部 ２６ｄ 環状部 ２６ｅ 蓋スリット ２６ｆ 垂下部 ２６ｇ 凹部 ２６ｈ 係止部 ２６ｉ 凸部 ２７ 鉗子栓本体 ２７ａ 本体閉塞部 ２７ｂ 鍔部 ２７ｃ 垂下部 ２７ｄ 鈎部 ２７ｅ 本体スリット ２７ｈ 凹室 ２７ｐ 直筒部 ２７ｒ 傾斜筒部 ２７ｓ 凹部 ２８ 蓋体 ２８ａ 蓋閉塞部 ２８ｂ 平板部 ２８ｃ 連結部 ２８ｄ 環状部 ２８ｅ 蓋スリット ２８ｆ 垂下部 ２８ｇ 凹室 ２８ｈ 係止部 ２８ｉ 凹部 ２９ 介設部材 ２９ａ 凸部 ２９ｂ 凸部 １００ 内視鏡 Ｓ1 ，Ｓ2 係合面 Ｔ チューブ Ｖ1 ，Ｖ2 蓋隙間 Ｖ3 ，Ｖ4 本体隙間

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弾性材料からなり、内視鏡の先端部から
   突出させて患部への処置等を行う処置具を内部に通す管
   路である処置具用チャンネルへの入口であるチャンネル
   入口に取り付けられる略筒状の処置具挿入口部材におけ
   る処置具挿入口に弾性嵌合により着脱可能に構成された
   本体嵌合部と、前記処置具挿入口を閉塞する本体閉塞部
   と、前記本体閉塞部を貫通するように略一文字状に開設
   され前記処置具を外部から挿入した場合に前記処置具挿
   入口部材の内部へ挿通させる本体挿通手段を有する鉗子
   栓本体部と、 弾性材料からなり、前記鉗子栓本体部に弾性嵌合により
   着脱可能に構成された蓋嵌合部と、前記本体閉塞部の外
   側を閉塞する蓋閉塞部と、前記蓋閉塞部を貫通するよう
   に略一文字状に開設され前記処置具を外部から挿入した
   場合に前記本体挿通手段へ向けて挿通させる蓋挿通手段
   を有する蓋部を備えた内視鏡用鉗子栓において、 前記蓋部を前記鉗子栓本体部に装着する場合に、前記本
   体挿通手段と前記蓋挿通手段とが前記処置具を挿通させ
   る方向から見て十文字状に重複する位置関係となるよう
   に前記蓋部と前記鉗子栓本体部との間の相対移動を拘束
   し位置決めを行う位置決め手段を備えたことを特徴とす
   る内視鏡用鉗子栓。
2. 【請求項２】 請求項１記載の内視鏡用鉗子栓におい
   て、 前記位置決め手段は、前記蓋部に設けられた凸部と、前
   記凸部に係合又は嵌合するように形成されるとともに前
   記鉗子栓本体部に設けられた凹部を有することを特徴と
   する内視鏡用鉗子栓。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２記載の内視鏡用鉗
   子栓において、 前記位置決め手段は、前記鉗子栓本体部に設けられた凸
   部と、前記凸部に係合又は嵌合するように形成されると
   ともに前記蓋部に設けられた凹部を有することを特徴と
   する内視鏡用鉗子栓。
4. 【請求項４】 請求項１ないし請求項３のうちのいずれ
   か１項に記載の内視鏡用鉗子栓において、 前記位置決め手段は、前記鉗子栓本体部に設けられた凹
   部と、前記蓋部に設けられた凹部と、前記鉗子栓本体部
   の凹部に嵌合する凸部と前記蓋部の凹部に係合又は嵌合
   する凸部とを有するとともに前記鉗子栓本体部と前記蓋
   部との間に介在するように配設されることにより前記鉗
   子栓本体部と前記蓋部とを連結する介設部材を有するこ
   とを特徴とする内視鏡用鉗子栓。
5. 【請求項５】 請求項２又は請求項３記載の内視鏡用鉗
   子栓において、 前記凸部又は前記凹部は、前記鉗子栓本体部の外側面又
   は前記蓋部の内側面に設けられることを特徴とする内視
   鏡用鉗子栓。
6. 【請求項６】 請求項２又は請求項３記載の内視鏡用鉗
   子栓において、 前記凸部又は前記凹部は、前記鉗子栓本体部の上面又は
   前記蓋部の内底面に設けられることを特徴とする内視鏡
   用鉗子栓。
7. 【請求項７】 請求項４記載の内視鏡用鉗子栓におい
   て、 前記凹部は前記鉗子栓本体部の外側面又は前記蓋部の内
   側面に設けられ、かつ前記介設部材は前記鉗子栓本体部
   の外側面と前記蓋部の内側面との間に介在するように配
   設されることを特徴とする内視鏡用鉗子栓。
8. 【請求項８】 請求項４記載の内視鏡用鉗子栓におい
   て、 前記凹部は前記鉗子栓本体部の上面又は前記蓋部の内底
   面に設けられ、かつ前記介設部材は前記鉗子栓本体部の
   上面と前記蓋部の内底面との間に介在するように配設さ
   れることを特徴とする内視鏡用鉗子栓。
9. 【請求項９】 請求項１ないし請求項８のうちのいずれ
   か１項に記載の内視鏡用鉗子栓において、 前記蓋部は、前記鉗子栓本体部に対し別体で形成される
   ことを特徴とする内視鏡用鉗子栓。
10. 【請求項１０】 請求項１ないし請求項８のうちのいず
    れか１項に記載の内視鏡用鉗子栓において、 前記蓋部は、前記鉗子栓本体部と一体形成されることを
    特徴とする内視鏡用鉗子栓。