JPH10191973A - 酵素又は微生物菌体固定化用大粒径担体の製造方法 - Google Patents

酵素又は微生物菌体固定化用大粒径担体の製造方法

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JPH10191973A
JPH10191973A JP1007297A JP1007297A JPH10191973A JP H10191973 A JPH10191973 A JP H10191973A JP 1007297 A JP1007297 A JP 1007297A JP 1007297 A JP1007297 A JP 1007297A JP H10191973 A JPH10191973 A JP H10191973A
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JP
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metal ion
carrier
particle size
gel
thermal polymerization
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JP1007297A
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Inventor
Shinobu Oda
忍 小田
Yasushi Nanishi
靖 名西
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素又は微生物菌体を固定化用の大粒径担体
の効果的な製造方法を提供する。 【解決手段】(a) 1分子中に少なくとも2個のエチ
レン性不飽和結合を有する親水性光硬化性樹脂、(b)
光重合開始剤、(c) 熱重合開始剤、及び(d)
アルカリ金属イオンまたは多価金属イオンとの接触によ
りゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類を含んでな
る水性液状組成物を細い液流として、アルカリ金属イオ
ンまたは多価金属イオンを含有する水性媒体の表面上
に、所定時間連続的に注加して、該表面で該組成物の液
滴を所望の大粒径になるまで生長させた後、その液滴を
沈降させてゲル化させ、次いで得られる大粒径ゲルに活
性光線を照射して該大粒径ゲル中の光硬化性樹脂を硬化
させ、さらに該光硬化性樹脂が熱重合を開始する温度に
維持することを特徴とする酵素又は微生物菌体固定化用
大粒径担体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酵素又は微生物菌体
固定化用大粒径担体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、内部に水相を含む含水性粒子は酵素あるいは微生
物菌体等の生体触媒を固定化する担体として使用されて
おり、その種類あるいは製造方法も数多く報告されてい
る(A.ハンフリー・N.ミリス著、永谷正治訳、生物
化学工学)。これら固定化担体の中でも、近紫外線照射
あるいは活性光線の照射によって硬化する光硬化性樹脂
は、長期安定性、樹脂の親水・疎水性制御、あるいは硬
化時の生体触媒の失活の抑止等の長所を有しており、発
酵、微生物変換、酸素的変換、廃水処理等様々な領域で
使用される生体触媒の固定化担体として広く使用されて
いる(特公昭62−19837号公報参照、A.Tan
aka and K.Sonomoto,Chemte
ch,20巻,112(1990)、T.Iida,
J.Ferment.Bioeng.,75巻,35
(1993))。
【0003】この光硬化性樹脂の形態には大きく分けて
板状あるいは粒状の二種類があるが、粒状化物は大きな
表面積、製造の簡便さ等の長所を有しており、その効率
的な粒状化方法も知られている(特開平3−28193
号公報参照)。しかしながら、従来の光硬化性樹脂の粒
状化方法では、調製できる粒子の粒径は最大でも6mm
程度であり、1cmを越える大粒径の粒子の製造は下記
の理由により実際上不可能である。
【0004】すなわち、大粒径粒子を、光硬化性樹脂、
水溶性高分子多糖類および光重合開始剤を含む樹脂溶液
からなる粒状ゲルに近紫外線を照射することによって調
製する場合、該粒状ゲルの表面は十分な光量の近紫外線
が照射されて光重合を開始するものの、その光重合反応
は粒状ゲル表面近傍で停止してしまい、粒状ゲル内部の
ゲル化は生じない。そのために、調製された粒状ゲル
は、その内部が樹脂液のままであり、使用時に未反応樹
脂液の漏出、低い強度、長期安定性の欠如等の欠陥を有
するものである。
【0005】大粒径粒子の用途としては、生体触媒の吸
着固定化担体等があり、特に、疎水性基質の微生物変換
に優れる界面バイオリアクター(S.Oda and
H.Ohta,Biosci.Biotech.Bio
chem.,56巻,2041(1992)、S.Od
a,et al.,J.Ferment.Bioen
g.,80巻,559(1995)、特開平5−918
78号公報、特開平5−344896号公報、特開平6
−88号公報、特開平6−90号公報、特開平6−95
号公報、特開平6−197773号公報、特開平6−1
97777号公報など参照)の中の1つの粒状担体充填
型システム(特開平8−163989号公報参照)への
適用が挙げられる。
【0006】該粒状担体充填型界面バイオリアクターシ
ステムでは、栄養源および水を内部に有する粒状固定化
担体表面に微生物菌体を付着させ、この菌体を生体触媒
として、該粒状担体と微生物に対して実質的に毒性を示
さない有機溶媒相との固/液界面において微生物変換反
応を実施させることができるが、そのためには粒状担体
間に十分な空隙を保持し、該粒状担体間に有機溶媒相が
位置し、なおかつ液流動を生じさせることが必要であ
る。この条件を満たすためには、用いる粒状担体は大き
な粒径、例えば1cm以上の粒径を有することが望まし
い。
【0007】さらに、光硬化性樹脂、水溶性高分子多糖
類および光重合開始剤よりなる樹脂液を、所定の口径の
ノズル口より多価金属イオン水溶液中に滴下して光照射
する従来の方法(特開平3−28193号公報)では、
得られる粒子の粒径は最大でも6mmであり、それ以上
大きな粒径を有する粒子を調製することは不可能であ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記した
問題点のない大粒径担体粒子を製造する方法について鋭
意検討を重ねた結果、今回、親水性光硬化性樹脂、水溶
性高分子多糖類、光重合開始剤及び熱重合開始剤を含む
水性液状組成物をアルカリ金属イオン又は多価金属イオ
ンを含む水溶液表面に供給し、該水溶液表面上で大粒径
状に成長させて沈降させ、活性光線を照射することによ
って該大粒径粒子表面をゲル化させた後、熱重合開始温
度に維持して粒子内部をゲル化させることによって大粒
径担体粒子が得られることを見い出し本発明を完成する
に至った。
【0009】かくして、本発明に従えば、(a) 1分
子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する
親水性光硬化性樹脂、(b) 光重合開始剤、(c)
熱重合開始剤、及び(d) アルカリ金属イオンまたは
多価金属イオンとの接触によりゲル化する能力のある水
溶性高分子多糖類を含んでなる水性液状組成物を細い液
流として、アルカリ金属イオンまたは多価金属イオンを
含有する水性媒体の表面上に、所定の時間連続的に注加
して、該表面で該組成物の液滴を所望の大粒径になるま
で生長させた後、その液滴を沈降させてゲル化させ、次
いで得られる大粒径ゲルに活性光線を照射して該大粒径
ゲル中の光硬化性樹脂を硬化させ、さらに該光硬化性樹
脂が熱重合を開始する温度に維持することを特徴とする
酵素又は微生物菌体固定化用大粒径担体の製造方法が提
供される。
【0010】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。
【0011】(a) 光硬化性樹脂 本発明において、酵素又は微生物菌体固定化用大粒径担
体の製造に用いられる1分子中に少なくとも2個のエチ
レン性不飽和結合を有する光硬化性樹脂としては、一般
に、300〜30000、好ましくは500〜2000
0の範囲内の数平均分子量を有し、水性媒体中に均一に
分散するに充分なイオン性又は非イオン性の親水性基、
例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、リン酸基、
スルホン酸基、エーテル結合等を含み、かつ波長が約2
50〜約600nmの範囲内の活性光線を照射したと
き、硬化して水に不溶性の樹脂に変わるものが好適に使
用される。そのような光硬化性樹脂としては、包括固定
化用の固定化担体として既に知られているものを用いる
ことができる(例えば、特公昭55−40号公報、特公
昭55−20676号公報、特公昭62−19837号
公報等参照)。代表的なものとしては以下に記載するも
のを挙げることができる。
【0012】(i) ポリアルキレングリコールの両末
端に光重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物:
例えば、 分子量400〜6000のポリエチレングリコール
1モルの両末端水酸基を(メタ)アクリル酸2モルでエ
ステル化したポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート類、 分子量200〜4000のポリプロピレングリコー
ル1モルの両末端水酸基を(メタ)アクリル酸2モルで
エステル化したポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート類、 分子量400〜6000のポリエチレングリコール
1モルの両末端水酸基をトリレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト等のジイソシアネート化合物2モルでウレタン化し、
次いで(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の不
飽和モノヒドロキシエチル化合物2モルを付加した不飽
和ポリエチレングリコールウレタン化物、 分子量200〜4000のポリプロピレングリコー
ル1モルの両末端水酸基をトリレンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート等のジイソシアネート化合物2モルでウレタン化
し、次いで(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等
の不飽和モノヒドロキシ化合物2モルを付加した不飽和
ポリプロピレングリコールウレタン化物、など。
【0013】(ii) 高酸価不飽和ポリエステル樹脂:
不飽和多価カルボン酸を含む多価カルボン酸成分と多価
アルコールとのエステル化により得られる酸価が40〜
200の不飽和ポリエステルの塩類など。
【0014】(iii) 高酸価不飽和エポキシ樹脂:エポ
キシ樹脂と(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボキシ
ル化合物との付加反応物に残存するヒドロキシル基に酸
無水物を付加して得られる酸価40〜200の不飽和エ
ポキシ樹脂など。
【0015】(iv) アニオン性不飽和アクリル樹脂:
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルか
ら選ばれる少なくとも2種の(メタ)アクリル系モノマ
ーを共重合させて得られるカルボキシル基、リン酸基及
び/又はスルホン酸基を含有する共重合体に光重合可能
なエチレン性不飽和基を導入した樹脂など。
【0016】(v) 不飽和ポリアミド:トリレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどのジイ
ソシアネートとアクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの
エチレン性不飽和ヒドロキシ化合物との付加物をゼラチ
ンなどの水溶性ポリアミドに付加反応させた不飽和ポリ
アミドなど。
【0017】以上に例示した如き光硬化性樹脂はそれぞ
れ単独で使用することができ、或いは2種もしくはそれ
以上組み合わせて使用してもよい。
【0018】これらの光硬化性樹脂のうち、本発明にお
いて特に有利に使用しうるものは、前記(i)のポリア
ルキレングリコールの両末端に光重合可能なエチレン性
不飽和基を有する化合物であり、代表的なものとして
は、関西ペイント株式会社からENT−1000、EN
T−2000、ENT−4000、ENTG−200
0、ENTG−3800等の商品名で販売されているも
のを挙げることができる。 (b) 光重合開始剤 上記(a)に述べた光硬化性樹脂の光重合反応を促進す
る目的で、本発明に従う液状組成物には光重合開始剤を
含ませる。使用しうる光重合開始剤は、光照射により分
解してラジカルを生成し、このものが重合開始種となっ
て重合性不飽和基を有する樹脂間に橋かけ反応をおこさ
せるものであり、例えば、ベンゾインなどのα−カルボ
ニル類;ベンゾインエチルエーテルなどのアシロインエ
ーテル類:ナフトールなどの多環芳香族化合物類;メチ
ルベンゾインなどのα−置換アシロイン類;2−シアノ
−2−ブチルアゾホルムアミドなどのアゾアミド化合物
類などを挙げることができる。
【0019】(c) 熱重合開始剤 光硬化性樹脂の光重合反応で硬化しなかったゲル化担体
粒子内部を熱重合させる目的で、本発明に従う液状組成
物に熱重合開始剤をさらに含有させる。かかる熱重合開
始剤としては、水溶性でありかつ所定の温度に達すると
熱分解してラジカル種を発生させるものを使用すること
ができ、例えば、過硫酸アンモニウムのような過硫酸
塩、2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−
ハイドロクロライド、2,2′−アゾビス−[2−(2
−イミダリン−2−イル]−ジハイドロクロライドのよ
うな水溶性のアゾ系開始剤、過酸化水素のような水溶性
のパーオキサイド系開始剤等を挙げることができる。熱
重合の温度は、これら開始剤の分解温度以上に適度設定
される。
【0020】(d) 水溶性高分子多糖類 本発明において使用する水溶性高分子多糖類は、水溶性
であり、かつ水性媒体中でアルカリ金属イオンまたは多
価金属イオンと接触したときに水に不溶性又は難溶性の
ゲルに変化する能力のある高分子多糖類であって、一般
に約3000〜約2000000の範囲内の数平均分子
量を有し、また、アルカリ金属イオンまたは多価金属イ
オンと接触させる前の水溶性の状態で通常少なくとも約
10g/l(25℃)の溶解度を示すものが好適に使用
される。
【0021】かかる特性をもつ水溶性高分子多糖類の具
体例には、アルギン酸のアルカリ金属塩、カラギーナン
等が包含される。
【0022】これら水溶性高分子多糖類は、水性媒体中
に溶解した状態で、カラギーナンの場合は、カリウムイ
オン又はナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンとの
接触によって、また、アルギン酸のアルカリ金属塩の場
合は、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロ
ンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属
イオン或いはアルミニウムイオン、セリウムイオン、ニ
ッケルイオン等の他の多価金属イオンのうちの少なくと
も1種の多価金属イオンとの接触によってゲル化しうる
ものである。ゲル化が起るアルカリ金属イオンまたは多
価金属イオンの濃度は水溶性高分子多糖類の種類等によ
り異なるが、一般には0.01〜5mol/lの範囲内
である。
【0023】上記(a)、(b)、(c)及び(d)の
各成分の相互の使用割合は厳密に制限されるものではな
く、各成分の種類等に応じて広範にわたって変えること
ができるが、一般には、(a)成分の親水性光硬化性樹
脂100重量部に対し、(b)〜(d)の各成分は下記
の割合で使用するのが適当である(カッコ内は好適範囲
である)。
【0024】 (b) 光重合開始剤:0.5〜5重量部(1〜3重量部) (c) 熱重合開始剤:0.5〜5重量部(1〜3重量部) (d) 水溶性高分子多糖類:0.5〜15重量部(1〜8重量部) 以上に述べた(a)〜(d)の各成分は水性媒体中に溶
解ないし分散させることにより、水性液状組成物が調製
される。この液状組成物の固形分濃度は一般に5〜30
重量%の範囲内が適当である。
【0025】本発明の酵素又は微生物菌体固定化用大粒
径担体の製造に際して、まず前記した(a)、(b)、
(c)及び(d)成分からなる水性液状組成物を、細い
液流として、アルカリ金属イオン又は多価金属イオンを
含有する水性媒体表面上に、所定の時間連続的に注加供
給して、該水性媒体表面で該組成物の液滴を所望の大粒
径状になるまで生長させる。
【0026】水性液状組成物の水性媒体表面への供給
は、一般には所望の孔径のノズル口から該液状組成物を
細い液流として該水性媒体表面上に静かに連続的に注加
することによって行なうことができ、該表面上で該液状
組成物の液滴が所望の大粒径状にまで生長したら、該液
状組成物の注加をとめる。水性液状組成物から形成され
る大粒径状物の大きさは、ノズルの大きさ、水性液状組
成物の水性媒体表面への供給時間及び/又は供給速度、
水性媒体の粘度等を調整することによって、平均粒子径
0.5〜5cmの範囲内で容易に変えることができる。
【0027】水性液状組成物の供給速度は、通常、0.
5〜10ml/秒、好適には1〜5ml/秒の範囲内と
することができる。また、水性媒体の粘度は、形成され
る粒状物が沈降することができる範囲内で、必要に応じ
てグリセロールやカルボキシメチルセルローズ等の水溶
性増粘剤を添加して、任意に調整することができる。水
性媒体の粘度は、水の粘度より幾分高い範囲に調整する
のが好都合である。
【0028】かくして形成される所望の大きさの大粒径
状物は、自然沈降、吸引等により水性媒体中に沈降させ
て、アルカリ金属イオン又は多価金属と接触させること
によりゲル化せしめられる。しかし、アルカリ金属イオ
ン又は多価金属イオンは大粒径状物の内部にまで浸透し
難いため、ゲル化反応が大粒径状物の表面もしくは比較
的浅い領域に限定されるので、大粒径状物はその表面の
みがゲル化した状態になっている。
【0029】上記の如くして生成せしめた表面ゲル化大
粒径状物は、そのまま水性媒体中に分散させた状態で、
或いは水性媒体から分離した後、活性光線を照射するこ
とにより、該大粒径状物中の親水性光硬化性樹脂を重合
硬化せしめる。
【0030】上記の光硬化に使用しうる活性光線の波長
は、該大粒径状物中に含まれる光硬化性樹脂の種類等に
応じて異なるが、一般には、約250〜約600nmの
範囲内の波長の光を発する光源を照射に使用するのが有
利である。そのような光源の例としては、低圧水銀灯、
高圧水銀灯、蛍光灯、キセノンランプ、カーボンアーク
灯、太陽光等が挙げられる。照射時間は光源の光の強
さ、光源からの距離等に応じて変える必要があるが、一
般には約0.5〜約10分間の範囲内とすることができ
る。
【0031】かくして得られる大粒径担体は粒子の大き
さによって、その中心付近にまで活性光線が届かないた
め未硬化の液状状態のままであることが多い。このた
め、得られる大粒径担体をさらに光硬化性樹脂が熱重合
を開始する温度以上の温度に所定時間維持する、例え
ば、50℃以上の加温された水性媒体中に約0.5〜約
5時間浸漬させて担体の中心部の液状物を熱重合させ、
硬化を完結させる。
【0032】とかくして、大粒径であっても粒状物全体
が重合硬化した、水に実質的に不溶性でかつ機械的強度
に優れた、平均粒子径が0.5〜5cm、好ましくは1
〜3cmの大粒径担体が得られる。このようにして得ら
れる大粒径担体は表面の構造が特に微生物の付着に適し
ており、微生物を大量に付着させることができる。該担
体に付着させうる微生物は、特に限定されず、嫌気性微
生物、好気性微生物のどちらでも用いることができる。
微生物の種類としては、アスペルギルス属、ペニシリウ
ム属、フザリウム属などのカビ類、サッカロミセス属、
ファフィア属、カンジダ属などの酵母類;ザイモモナス
属、ニトロソモナス属、ニトロバクター属、パラコッカ
ス属、ビブリオ属、メタノサルシナ属、バチルス属など
の細菌類等を挙げることができる。
【0033】上記のようにして得られる完全硬化型の大
粒径担体を水洗浄し、その表面に酵素又は微生物菌体を
付着させればそのまま水系生体触媒反応あるいは有機溶
媒中での生体触媒反応に使用することができる。また、
担体を界面バイオリアクターに用いる場合には、該担体
を所定の栄養源を含んだ液体培地中に所定の時間浸漬し
て担体内部の水相を液体培地で置換して用いることがで
きる。製造された洗浄済みの担体は酵素あるいは微生物
菌体の酵素活性もしくは増殖を阻害するような有害物は
含んでおらず、種々の酵素、微生物菌体の固定化に使用
することができる。
【0034】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。部及び%は重量部及び重量%を表わす。
【0035】実施例1 40%光硬化性樹脂ENTG−3800(関西ペイント
製、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコー
ル製)100部、Darocur#1173(チバガイ
ギー社製光重合開始剤)0.4部、3%アルギン酸ナト
リウム水溶液20部、過硫酸アンモニウム0.4部及び
イオン交換水40部を混合してなる水性液状組成物を、
ペリスターポンプを用いて1%塩化カルシウム水溶液表
面に1ml/秒の流速で3秒間連続供給した。塩化カル
シウム水溶液表面に供給された該組成物は水溶液中に自
然沈降し、直径約1〜2cmの表面がゲル化した大粒状
物が調製された。ついで、該表面ゲル化、大粒状物を光
照射装置(波長300〜400nm、「BELKIT、
日揮社製)にかけて5分間光照射して光重合させたとこ
ろ、内部が未硬化の大粒状物が得られた。その後、90
℃の水浴中に該内部未硬化大粒状物を投入して2時間加
温して未硬化部分を熱重合させた。得られた大粒子の内
部は完全にゲル化しており、粒径は1〜2cmに達して
いた。得られた完全硬化大粒径担体100mlをポリペ
プトン10g/1、酵母エキスを4g/l及び硫酸マグ
ネシウム・7水和物2g/lを含んだ液体培地500m
l中に1夜浸漬して粒子内部の水相を液体培地で置換し
た後、シュードモナス・フラジ(Pseudomona
s fragi)IFO12049の1夜培養液中に1
分間浸漬し、引き上げて1日静置培養した。ついで30
0mlの酢酸2−エチルヘキシルが入った1リットルの
三角フラスコ中に投入し、30℃、100rpmで振盪
培養した。反応中1日毎に酢酸2−エチルヘキシル層を
ガスクロマトグラフィーにて分析し、生成する加水分解
産物の2−エチル−1−ヘキサノール濃度を測定した。
該生成物の蓄積は1日目から著量認められ、その濃度は
10日間の反応で49.8mg/mlに達した。
【0036】実施例2 光硬化性樹脂溶液として、40%ENTV−500(関
西ペイント製、ポリビニルアルコール製)100部、実
施例1で用いたと同じ光重合開始剤0.5部、5%カラ
ギーナン溶液25部、熱重合開始剤および水として2%
過酸化水素水40部からなる水性液状組成物を混合し、
実施例1に準じて0.5%カルボキシメチルセルローズ
を含んだ2%塩化マグネシウム水溶液表面に供給して自
然沈降させ表面ゲル化大粒状物を調製した。実施例1と
同様にして光重合させた後、80℃の水浴中で1時間加
温して熱重合を完結させ、洗浄後、完全硬化大粒径担体
(粒径2〜3cm)を得た。該担体100mlをペプト
ン5g/l、酵母エキス3g/l、麦芽エキス3g/l
及び硫酸マグネシウム2.0g/lを含んだ液体培地5
00ml中に1夜浸漬して粒子内部の水相を液体培地で
置換した後、ハンゼヌラ・サチュールナス(Hansenula s
aturnus)IFO0809の1夜培養液中に1分間浸漬し
て担体表面に該微生物細胞を付着させた。1日静置培養
して担体表面の微生物膜を生長させた後、4%シトロネ
ロールを含んだデカン溶液300ml(11容三角フラ
スコ)中に投入し、30℃、200rpmで振蘯培養し
た。反応中1日毎にデカン層をガスクロマトグラフィー
で分析し、生成する酸化産物であるシトロネル酸の濃度
を測定した。有意な濃度の該酸化産物の蓄積は2日目よ
り認められ、その濃度は14日間の反応で16.7mg
/mlに達した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 1分子中に少なくとも2個のエチ
    レン性不飽和結合を有する親水性光硬化性樹脂、(b)
    光重合開始剤、(c) 熱重合開始剤、及び(d)
    アルカリ金属イオンまたは多価金属イオンとの接触によ
    りゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類を含んでな
    る水性液状組成物を細い液流として、アルカリ金属イオ
    ンまたは多価金属イオンを含有する水性媒体の表面上
    に、所定の時間連続的に注加して、該表面で該組成物の
    液滴を所望の大粒径になるまで生長させた後、その液滴
    を沈降させてゲル化させ、次いで得られる大粒径ゲルに
    活性光線を照射して該大粒径ゲル中の光硬化性樹脂を硬
    化させ、さらに該光硬化性樹脂が熱重合を開始する温度
    に維持することを特徴とする酵素又は微生物菌体固定化
    用大粒径担体の製造方法。
  2. 【請求項2】 大粒径担体の平均粒子径が0.5〜5c
    mである請求項1記載の製造方法。
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