JPH10189207A - 電界電子放出型サージ吸収素子の製造方法及び電界電子放出型サージ吸収素子 - Google Patents

電界電子放出型サージ吸収素子の製造方法及び電界電子放出型サージ吸収素子

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JPH10189207A
JPH10189207A JP8355676A JP35567696A JPH10189207A JP H10189207 A JPH10189207 A JP H10189207A JP 8355676 A JP8355676 A JP 8355676A JP 35567696 A JP35567696 A JP 35567696A JP H10189207 A JPH10189207 A JP H10189207A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一対の基板部材と枠部材との陽極接合を同時
に達成することができ、しかも枠部材の厚さが薄い場合
でも接合可能で、接合時に電圧を印加してもサージ吸収
動作が生じない電界電子放出型サージ吸収素子の製造方
法を実現する。 【構成】 第1の基板部材12と第2の基板部材14を真空
雰囲気中で対向配置し、陽イオンを含んだ枠部材16を両
基板部材間に挟み、両基板部材の外側面から突出した枠
部材の外周縁部端面19aに電極枠44を圧着させ、第1の
外部電極層24及び第2の外部電極層26に直流電源46のプ
ラス側を接続し、電極枠44にはマイナス側を接続する。
ホットプレート42で加熱しながら直流電源46から電圧を
印加し、第1の基板部材の対向面周縁12aと枠部材の第
1の当接面16aとの陽極接合と、第2の基板部材の対向
面周縁14aと枠部材の第2の当接面16bとの陽極接合と
を同時に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電源線や通信線
等を伝って侵入して来るサージ等の過電圧から電子機器
の電子回路を保護するために、線間あるは各線とグラン
ドとの間に挿入接続されるサージ吸収素子に係り、特
に、電界電子放出現象を用いたサージ吸収素子の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図8に示すように、電子機器の電
子回路60に通じる電源線や通信線等の線L1,L2間、あ
るいは各線とGND(グランド)との間にサージ吸収素
子62を接続し、誘導雷等のサージから電子回路60を保護
することが行われている。すなわち、線L1,L2間ある
いは線L1,L2−GND間に、サージ吸収素子62の定格
以上のサージ電圧が印加される場合には、上記サージ吸
収素子62が導通してサージをバイパスし、もって電子回
路60を保護する仕組みである。
【0003】このようなサージ吸収素子62としては、放
電間隙における放電現象を利用するガスアレスタや、電
圧非直線特性を備えた高抵抗体素子であるバリスタ、あ
るいはpn接合形半導体のアバランシェ(電子雪崩)効
果を利用したシリコンサージアブソーバなど様々な種類
が存在しているが、最近になって電界電子放出現象を用
いたサージ吸収素子が新たに加えられることとなった。
【0004】この電界電子放出現象を用いたサージ吸収
素子は、特願平8−132728号に記載されている。図9及
び図10に示すように、そこで開示されている電界電子
放出型サージ吸収素子70は、n形半導体より成る第1の
基板部材12と第2の基板部材14とを所定の距離を隔てて
対向配置させ、両部材の対向面周縁をスペーサをも兼ね
た枠部材16を間に介して気密封止することによって形成
された外囲器18を備えており、該外囲器18内は10-6
10-8Torrの高真空状態に維持されている。
【0005】また、上記第1の基板部材12の対向面に
は、n形半導体より成る多数のエミッタ・コーン20が、
所定の間隔をおいて突設されている。該エミッタ・コー
ン20は先端が尖った円錐または角錐形状をなしており、
その先端が第2の基板部材14の対向面に向いている。
【0006】エミッタ・コーン20の表面をも含んだ第1
の基板部材12の対向面と第2の基板部材14の対向面に
は、Nb、W、Mo、Cr、Ti、Th、Si、Ni、
La、Ge、Al等よりなる薄膜や、W及びZrの二層
構造、あるいは以上の各物質の中の少なくとも1種類を
含んだ炭化物、酸化物、窒化物、無機化合物より構成さ
れる保護膜22が被覆されている。
【0007】上記第1の基板部材12の外面には、第1の
層24aと第2の層24bとの二層構造を備えた第1の外部
電極層24が形成されており、この第1の外部電極層24に
はカソード端子28が接続されている。また、第2の基板
部材14の外面にも、第1の層26aと第2の層26bとの二
層構造を備えた第2の外部電極層26が形成されており、
この第2の外部電極層26にはアノード端子30が接続され
ている。そして、各端子28,30を線L1,L2あるいはG
NDに接続することにより、上記電界電子放出型サージ
吸収素子70は、図8に示したのと同様に、線L1,L2間
あるいは線L1,L2−GND間に挿入接続されることと
なる。
【0008】しかして、上記線L1,L2間あるいは線L
1,L2−GND間にサージ等の定格以上の過電圧が印加
され、カソード側のエミッタ・コーン先端部20aに強い
電界集中が生じると、量子力学的なトンネル効果によっ
て、n形半導体内の電子がポテンシャル障壁を越えて真
空中に放出される、いわゆる電界電子放出現象が生じ
る。放出された電子は高い電位のアノード側、すなわち
第2の基板部材14の対向面で捕捉される結果、第2の基
板部材14及び第1の基板部材12間に電流が流れる先駆放
電が生成され、この先駆放電はその後真空火花放電(真
空アーク放電)に移行することとなる。
【0009】上記先駆放電が真空火花放電に移行する仕
組みとしては、以下のものが考えられる。すなわち、上
記先駆放電時の電子放出によってエミッタ・コーン先端
部20aの電流密度が増加して生じた熱エネルギの作用
で、エミッタ・コーン20の表面を覆っている保護膜22を
構成する金属から金属蒸気が発生したり、先駆放電によ
る電子がアノード側に衝突する結果生じる熱エネルギに
よって、第2の基板部材14の対向面を覆っている保護膜
22の金属から同じく金属蒸気が発生し、これら電荷を帯
びた金属蒸気が電流を形成する素となって真空火花放電
が生起される。また、外囲器18内を完全な真空にするの
は実際上困難であり、放電空間を構成する物質の表面に
は僅かながらガス分子が吸着あるいは付着しているので
あるが、これらのガス分子が先駆放電の衝撃で空間内に
放出され、このイオン化されたガス分子が電流を形成す
る素となることも、真空火花放電を促進する要因として
挙げられる。
【0010】上記の電界電子放出現象は、エミッタ・コ
ーン20に集中する電界強度が所定以上に高まった時点で
初めて生じるものであり、これは所定値以上の電圧が両
電極間に印加された場合にのみ両電極間に電流が流れる
ことを意味するものである。すなわち、両電極間に印加
される電圧の値と流れる電流との間には非直線的な関係
が現れるため、定格以上の過電圧が印加された場合にの
み導通して過電圧をバイパスするというサージ吸収作用
を発揮することが可能となる。
【0011】しかも、半導体中の電子の速度に比べ、真
空中の電子は散乱を受けることなく進行するため、この
電界電子放出型サージ吸収素子70は極めて高速に動作可
能となる。また、p形半導体とn形半導体との接合構造
を有していないため、シリコンサージアブソーバのよう
に静電容量が大きくなるという問題も生じない。
【0012】図11は、このような電界電子放出型サー
ジ吸収素子70によるサージ吸収特性を示すものであり、
ピーク電圧値が3kVの原サージ波形に対するサージ吸
収波形を示すグラフである。図示の通り、サージ電圧が
印加されると、瞬時にピークが約2.32kVの先駆放
電が生成した後、直ちに真空火花放電に移行して約40
0Vの安定したサージ吸収波形が得られる様子が示され
ている。
【0013】図12は、電界電子放出型サージ吸収素子
の他の例を示すものである。この電界電子放出型サージ
吸収素子72は、n形半導体より成る第1の基板部材12と
第2の基板部材14とを所定の距離を隔てて対向配置し、
両部材の対向面周縁を枠部材16を間に介して気密封止す
ることによって外囲器18を形成し、該外囲器18の内部空
間を高真空状態となしている点で、上記の電界電子放出
型サージ吸収素子70と共通している。
【0014】これに対し、第1の基板部材12の対向面
が、多数のエミッタ・コーン20が突設された第1の電子
放出部34と、エミッタ・コーン20が形成されずに平面状
を維持している第1の平面部35とに区分けされていると
共に、第2の基板部材14の対向面も、多数のエミッタ・
コーン20が突設された第2の電子放出部36と、エミッタ
・コーンが形成されずに平面状を維持している第2の平
面部37とに区分けされている点に特徴を有している。そ
して、第1の基板部材12の第1の電子放出部34が第2の
基板部材14の第2の平面部37と対向するように、また第
2の基板部材14の第2の電子放出部36が第1の基板部材
12の第1の平面部35と対向するように、両基板部材は位
置決めされている。
【0015】両基板部材の対向面には、上記と同様の保
護膜22がそれぞれ形成されている。また、第1の基板部
材12の外面には、第1の外部電極層24が形成されてお
り、該第1の外部電極層24には第1の外部端子38が接続
されている。さらに、第2の基板部材14の外面には、第
2の外部電極層26が形成されており、該第2の外部電極
層26には第2の外部端子40が接続されている。
【0016】この電界電子放出型サージ吸収素子72は、
上記のようにエミッタ・コーン20を第1の外部端子38側
及び第2の外部端子40側にそれぞれ設けることにより、
第1の外部電極層24と第2の外部電極層26との間で電子
を双方向に放出可能な構造を備えており、極性に気遣う
ことなく利用できると共に、何らかの理由によって逆方
向に過電圧が印加される場合にも対処できる利点を有す
るものである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電界電子放
出型サージ吸収素子の場合、外囲器18の内部を高真空状
態に維持しておく必要があり、そのためには第1の基板
部材12と枠部材16の一方の端面間の接合、及び第2の基
板部材14と枠部材16の他方の端面間の接合が、十分に高
い気密性を保って実現される必要がある。
【0018】第1の基板部材12及び第2の基板部材14と
枠部材16とを接合する方法としては、フリットガラスや
低融点ガラスを用いて融着させる方法、あるいはポリイ
ミド系の有機接着剤を用いて接着させる方法が一般的で
あるが、両者とも接合工程において余計なガスが発生す
るため、接合後に外囲器18内部のガスを排気する必要が
ある。そして、この脱ガス処理を施すには外囲器18に排
気管を接続しなければならず、例え排気後に当該排気管
を溶融・封止して切除するとしても、溶融封止部が突出
したまま残されるため、外囲器18全体の厚さが増大する
ことが避けられないものであった。また、特に有機接着
剤を用いた接合方法の場合には、使用の過程においても
徐々にガス放出が生じるのみならず、比較的高温の環境
下において使用すると、接合強度が低下するという問題
が指摘されていた。そこで、これらの接合方法の欠点を
克服するものとして、最近では陽極接合法を用いるケー
スが増えてきている。
【0019】この陽極接合法を用いて外囲器18を形成す
る工程を、図13〜図15に沿って説明する。まず、図
13に示すように、ホットプレート42上に第2の基板部
材14を、第2の外部電極層26を下にして載置すると共
に、内部にNa+やH+などの可動イオンを含むガラスに
よって構成した枠部材16の一方の端面を、第2の基板部
材14の対向面周縁14aに重ねる。この枠部材16の他方の
端面には、枠部材16の端面形状に対応した形状の電極板
74が圧着される。また、上記第2の基板部材14の第2の
外部電極層26には、ホットプレート42を経由して直流電
源46のプラス側が接続されると共に、上記電極板74には
直流電源46のマイナス側が接続される。そして、上記ホ
ットプレート42によって、第2の基板部材14及び枠部材
16が摂氏200〜600度に加熱された状態で、上記直
流電源より50〜1000Vの直流電圧が印加される。
【0020】この結果、図14に示すように、一定時間
経過後には枠部材16中の陽イオン48がマイナス側(すな
わち枠部材16の上端面近傍)に移動すると共に、第2の
基板部材14の対向面周縁14a近傍にマイナスの電荷が集
中して空間電荷層50が現れ、大きな吸引力を伴う化学結
合が生じて陽極接合が実現される。
【0021】以上のようにして、第2の基板部材の対向
面周縁14aと枠部材16の一方の当接面との強固な接合が
完了した後、図15に示すように、今度は真空雰囲気中
において、ホットプレート42上に第1の基板部材12を第
1の外部電極層24を下にして載置すると共に、枠部材16
の他方の端面を第1の基板部材の対向面周縁12aに当接
させる。また、上記第1の基板部材12の第1の外部電極
層24には、ホットプレート42経由して直流電源46のプラ
ス側が接続されると共に、第2の基板部材14の第2の外
部電極層26には直流電源46のマイナス側が接続される。
そして、上記ホットプレート42によって、第1の基板部
材12及び枠部材16が摂氏200〜600度に加熱された
状態で、上記直流電源46より50〜1000Vの直流電
圧が印加される。この結果、上記と同様のメカニズムに
よって、第1の基板部材の対向面周縁12aと枠部材16の
当接面との強固な陽極接合が実現され、高い気密性を備
えた外囲器18が完成するのである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上記の陽極接合法は、
溶融ガラスや接着剤を使用しないため、両基板部材と枠
部材とを高い位置精度で接合することができると共に、
接合後の脱ガス処理が不要である利点を備えている。し
かしながら、陽極接合法を用いて両基板部材と枠部材と
を接合する従来の製造方法には、以下のような欠点があ
った。
【0023】まず、第2の基板部材14と枠部材16との接
合、及び第1の基板部材12と枠部材16との接合を別々に
行うものであるため、製造効率が低いという問題があ
る。つぎに、枠部材16の厚さが薄い(例えば500μm
以下)場合には、第2の基板部材14と枠部材16との接合
時に(図13)、枠部材16内の陽イオン48が電極板74側
の端面近傍に蓄積され過ぎる結果、枠部材16を裏返して
当該端面を第1の基板部材12の対向面周縁12aに当接さ
せ(図15)、第2の基板部材14側にマイナスの電位を
加えても、図16に示すように陽イオン48が第2の基板
部材14側に移動できなくなる。このため、第1の基板部
材12との当接面近傍に空間電荷層を形成することができ
ず、第1の基板部材12と枠部材16間の陽極接合が困難と
なる場合が生じる。さらに、図12に示した両方向に放
電可能な電界電子放出型サージ吸収素子72の場合、図1
7に示すように、枠部材16と第1の基板部材12とを接合
する際には、第2の基板部材14側のエミッタ・コーン20
に対しては、電界電子放出を起こさせる方向に電圧の印
加がなされることとなる。したがって、この印加電圧が
当該サージ吸収素子72の定格電圧以上となる場合には、
第2の基板部材14のエミッタ・コーンの先端20aから電
子が放出してサージ吸収動作が開始され、第1の基板部
材12と第2の基板部材14間が外囲器18内で導通してしま
うため、枠部材16内に空間電荷層を形成することができ
ず、枠部材16と第1の基板部材12との陽極接合が不可能
となってしまう。このため、接合工程で印加される電圧
値よりも高い定格電圧を備えた素子以外には、この陽極
接合法を適用できないこととなる。
【0024】この発明は、従来の陽極接合法の欠点を解
消するために案出されたものであり、その目的とすると
ころは、第2の基板部材と枠部材との接合、及び第1の
基板部材と枠部材との接合を同時に達成することができ
ると共に、枠部材の厚さを比較的薄く設定した場合であ
っても接合不能となることがなく、しかも第1の基板部
材及び第2の基板部材の両方向に向けて電子放出が可能
なタイプの電界電子放出型サージ吸収素子の場合でも、
接合工程における電圧印加によってサージ吸収動作が生
じてしまうことのない接合方法を実現することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明に係るサージ吸収素子の製造方法は、半導
体より成り、一方の面に多数のエミッタ・コーンを一体
形成した電子放出部とエミッタ・コーンが形成されない
平面部の少なくとも一方を備えると共に、他方の面に外
部電極層を形成してなる第1の基板部材と、同じく半導
体より成り、一方の面に多数のエミッタ・コーンを一体
形成した電子放出部とエミッタ・コーンが形成されない
平面部の少なくとも一方を備えると共に、他方の面に外
部電極層を形成してなる第2の基板部材とを、一方の基
板部材のエミッタ・コーンの先端部と他方の基板部材の
平面部とが所定の距離を隔てて対向するように配置し、
真空雰囲気中において両基板部材の対向面周縁を枠部材
を間に介して気密封止することによって、内部が高真空
状態となされた外囲器を形成する電界電子放出型サージ
吸収素子の製造方法において、上記枠部材として、内部
に可動イオンを含む絶縁材より構成され、上記第1の基
板部材の対向面周縁と接する第1の当接面と、上記第2
の基板部材の対向面周縁と接する第2の当接面と、対向
配置された両基板部材の外側面から突出する外周縁部と
を備えたものを用い、上記第1の基板部材、枠部材、第
2の基板部材を順に積層載置して、両基板部材の外部電
極層には直流電源のプラス側をそれぞれ接続すると共
に、上記枠部材の外周縁部には上記直流電源のマイナス
側を接続し、所定の温度に加熱された真空雰囲気中にお
いて、上記直流電源より電圧を印加し、第1の基板部材
の対向面周縁と上記枠部材の第1の当接面とを陽極接合
すると同時に、第2の基板部材の対向面周縁と上記枠部
材の第2の当接面とを陽極接合することを特徴とする。
上記枠部材は、例えば内部にNa+を含む硼珪酸ガラス
によって構成される。
【0026】しかして、第1の基板部材及び第2の基板
部材と枠部材とを接合するために、直流電源より所定の
電圧を印加すると、該直流電源のマイナス側が接続され
た枠部材の外周縁部に陽イオンが蓄積されるのに対し、
それぞれ直流電源のプラス側に接続された第1の基板部
材及び第2の基板部材との界面部分(すなわち、枠部材
の第1の当接面及び第2の当接面近傍)にマイナスの電
荷が集積して空間電荷層が発生し、第1の基板部材及び
第2の基板部材と枠部材との陽極接合が同時に実現され
る。すなわち、従来のように一方の基板部材と枠部材の
一方の端面との接合が完了してから、他方の基板部材と
枠部材の他方の端面との接合に取りかかるものではない
ため、枠部材の一方の端面近傍に過蓄積されたプラスの
電荷が他方の基板部材との接合時に他方の端面側にうま
く移動できず、この結果陽極接合自体が困難となるとい
う問題は、はじめから生じることがない。もちろん、第
1の基板部材と枠部材との接合、及び第2の基板部材と
枠部材との接合が同時に実現できることにより、製造効
率の向上も達成できる。上記枠部材として、第1の基板
部材及び第2の基板部材の外側面から突出した外周縁部
を備えたものを採択したのは、直流電源のマイナス側を
接続して電圧を印加した際に、プラスの電荷を蓄積させ
るスペースを確保するためである。
【0027】また、接合時には第1の基板部材及び第2
の基板部材に対して同時に同電位の電圧が印加されるた
め、第1の基板部材及び第2の基板部材の両方にエミッ
タ・コーンを形成したタイプの電界電子放出型サージ吸
収素子であっても、印加電圧値の如何によらず外囲器内
で放電が発生することがない。したがって、例え接合時
に印加される電圧の値が当該電界電子放出型サージ吸収
素子の動作電圧以上であっても、サージ吸収動作が生じ
てしまうことはなく、有効に陽極接合を実現できる。
【0028】なお、上記枠部材の外周縁部端面に、該外
周縁部端面に対応する形状に折曲された金属帯よりなる
電極枠を圧着すると共に、該電極枠に上記直流電源のマ
イナス側を接続することにより、上記外周縁部の端面全
体に均一に電圧を印加すれば、枠部材中の陽イオンが外
周縁部の端面近傍に満遍なく集積され、枠部材の第1の
当接面及び第2の当接面に空間電荷層がムラなく形成さ
れる。このため、第1の基板部材の対向面周縁と枠部材
の第1の当接面との接合、及び第2の基板部材の対向面
周縁と枠部材の第2の当接面との接合を極めて強固なも
のにできる。
【0029】以上の方法によって製造された本発明に係
る電界電子放出型サージ吸収素子は、上記第1の基板部
材の対向面周縁と接する第1の当接面と、上記第2の基
板部材の対向面周縁と接する第2の当接面の他、対向配
置された両基板部材の外側面から突出した外周縁部を備
えた枠部材を有する結果、第1の基板部材の外部電極層
と第2の基板部材の外部電極層間の沿面距離が拡大する
こととなる。このため、両基板部材の外部電極層間にサ
ージ電圧が印加された際に、電界電子放出型サージ吸収
素子の外囲器内で放電が生成される代わりに、外囲器の
外側面に沿面放電が生じて素子が動作不良となることを
有効に回避することができる。
【0030】
【発明の実施の態様】図1に示すように、本発明に係る
第1の電界電子放出型サージ吸収素子10は、第1の基板
部材12と第2の基板部材14とを所定の距離を隔てて対向
配置させ、第1の基板部材の対向面周縁12a及び第2の
基板部材の対向面周縁14aを枠部材16の第1の当接面16
a及び第2の当接面16bにそれぞれ気密に接合して外囲
器18を形成し、該外囲器18内を10-6〜10-8Torrの高
真空状態に維持して成る。上記枠部材16は、図2に示す
ように、長方形状のガラス板の真ん中部分を、長方形状
に大きく切り欠いた形状を備えている。この枠部材16の
縦寸法及び横寸法は、第1の基板部材12及び第2の基板
部材14の縦寸法及び横寸法よりも大きく設定されている
ため、上記第1の基板部材の対向面周縁12a及び第2の
基板部材の対向面周縁14aによって、枠部材16の切欠部
17を丁度塞ぐように各基板部材を接合すると、枠部材16
の外周縁部19が第1の基板部材12及び第2の基板部材14
の各外側面から鍔状に突出する形となる(図1)。
【0031】上記第1の基板部材12の対向面には、多数
のエミッタ・コーン20が、所定の間隔をおいて略全面に
亘って突設されている。図1は断面図であるため、一列
のエミッタ・コーン20のみが表されているが、実際には
一定の間隔をおいて縦横に整列配置されている(図
2)。上記第1の基板部材12は、Si中にPやAs等の
不純物を混入させて成るn形半導体によって形成されて
いる。また、エミッタ・コーン20も同様にn形半導体よ
り成り、第1の基板部材12と一体的に形成されている。
エミッタ・コーン20は先端が尖った円錐または角錐形状
をなしており、その先端部20aが第2の基板部材14の対
向面に向いている。ただし、エミッタ・コーン20の先端
部20aと第2の基板部材14の対向面との間には、所定の
間隙が保たれている。上記エミッタ・コーン20の高さは
約5μmに、底面の直径は約3〜10μmに、またエミ
ッタ・コーン20間のピッチは約7.5〜15μmに、先
端の角度は25〜30度に設定されている。
【0032】エミッタ・コーン20の表面をも含んだ第1
の基板部材12の対向面には、保護膜22が被覆されてい
る。この保護膜22は、Nb、W、Mo、Cr、Ti、T
h、Si、Ni、La、Ge、Al、ダイヤモンド(ア
モルファス・カーボン)等よりなる薄膜や、W及びZr
の二層構造、あるいは以上の各物質の中の少なくとも1
種類を含んだ炭化物、酸化物、窒化物、無機化合物より
構成される。上記第1の基板部材12の外面には、Alま
たはCrを蒸着して形成した第1の層24aと、該第1の
層24aの表面にNiを蒸着して形成した第2の層24bか
ら成る第1の外部電極層24が形成されている。この第1
の層24aを構成するAlまたはCrと、第2の層24bを
構成するNiとは、良好なオーム接触(ohmic contac
t)を実現するものとして選定された。
【0033】上記第2の基板部材14は、上記第1の基板
部材12と同じくn形半導体で構成されており、その対向
面には、上記エミッタ・コーン20の表面等を覆っている
のと同様の物質より成る保護膜22が形成されている。さ
らに、第2の基板部材14の外面には、AlまたはCrを
蒸着して形成した第1の層26aと、該第1の層26aの表
面にNiを蒸着して形成した第2の層26bから成る第2
の外部電極層26が形成されている。
【0034】以上より明らかなように、この第1の電界
電子放出型サージ吸収素子10にあっては、第1の基板部
材12の対向面全域が電子放出部を構成していると共に、
第2の基板部材14の対向面全域が平面部を構成している
こととなる。なお、上記第2の基板部材14の構成材料と
しては、n形半導体以外にも、第1の基板部材12と熱膨
張係数が略等しい他の物質を用いることができ、例えば
Moがこれに該当する。
【0035】上記第1の外部電極層24及び第2の外部電
極層26は、必ずしも二層構造とする必要はなく、Niの
みを蒸着して形成してもよい。上記枠部材16の材質とし
ては、n形半導体と熱膨張係数が近く、可動イオンとし
てのNa+を含む硼珪酸ガラス(商品名:パイレックス
ガラス)等が用いられる。
【0036】上記第1の外部電極層24にはカソード端子
28が、また第2の外部電極層26にはアノード端子30が接
続される(図1)。そして、各端子を図8に示したのと
同様、線L1,L2あるいはGNDに接続することによ
り、第1の電界電子放出型サージ吸収素子10は、線L
1,L2間あるいは線L1,L2−GND間に挿入接続され
ることとなる。しかして、上記線L1,L2間あるいは線
L1,L2−GND間に定格以上のサージ電圧が印加され
ると、エミッタ・コーン20の先端部20aに強い電界集中
が生じ、量子力学的なトンネル効果によって電子が表面
のポテンシャル障壁を通過して真空中に放出される。こ
のいわゆる電界電子放出現象によって生じた電子は、第
2の基板部材14の対向面で捕捉されるため、第2の基板
部材14及び第1の基板部材12間に電流が流れる先駆放電
が生成され、この先駆放電が真空火花放電に移行するこ
とでサージの吸収が実現されるのである。
【0037】なお、図示の便宜上、図1及び図2におい
てはエミッタ・コーン20の大きさを強調して描かれてい
るが、実際には上記のようにエミッタ・コーン20はμm
単位の大きさであるのに対し、第1の基板部材12はmm単
位(例えば2〜6mm角)の大きさであり、エミッタ・コ
ーン20も数万〜数十万個以上形成されている。因みに、
第1の電界電子放出型サージ吸収素子10の全体の大きさ
は、6mm角で厚さが0.6mm程度である。
【0038】図3は、本発明に係る第2の電界電子放出
型サージ吸収素子32を示すものである。この第2の電界
電子放出型サージ吸収素子32は、n形半導体より成る第
1の基板部材12と第2の基板部材14とを所定の距離を隔
てて対向配置し、両部材の対向面周縁を枠部材16を間に
介して気密封止することによって外囲器18を形成し、該
外囲器18の内部空間を10-6〜10-8Torrの高真空状態
となしている点で、上記第1の電界電子放出型サージ吸
収素子10と共通している。また、枠部材16の外周縁部19
が、第1の基板部材12及び第2の基板部材14の外側面よ
りも突出している点でも共通している。
【0039】これに対し、上記第1の基板部材12の対向
面は、多数のエミッタ・コーン20が所定の間隔をおいて
ドット・マトリクス状に突設配列された第1の電子放出
部34と、エミッタ・コーン20が形成されずに平面状を維
持している第1の平面部35とに区分けされている。ま
た、第2の基板部材14の対向面も、多数のエミッタ・コ
ーン20が所定の距離をおいてドット・マトリクス状に突
設配列された第2の電子放出部36と、エミッタ・コーン
20が形成されずに平面状を維持している第2の平面部37
とに区分けされている。図示の通り、第1の基板部材12
の第1の電子放出部34が第2の基板部材14の第2の平面
部37と対向するように、また第2の基板部材14の第2の
電子放出部36が第1の基板部材12の第1の平面部35と対
向するように、両基板部材は位置決めされている。そし
て、エミッタ・コーン20の先端部20aと各平面部35,37
との間には、所定の間隙が保たれている。
【0040】両基板部材の対向面(第1の電子放出部3
4,第2の電子放出部36及び第1の平面部35,第2の平
面部37)には、上記と同様の物質より成る保護膜22がそ
れぞれ形成されている。また、第1の基板部材12の外面
には、AlまたはCrより成る第1の層24a及びNiよ
り成る第2の層24bの二層構造を備えた第1の外部電極
層24が形成されており、該第1の外部電極層24には第1
の外部端子38が接続されている。さらに、第2の基板部
材14の外面には、AlまたはCrより成る第1の層26a
及びNiより成る第2の層26bの二層構造を備えた第2
の外部電極層26が形成されており、該第2の外部電極層
26には第2の外部端子40が接続されている。
【0041】この第2の電界電子放出型サージ吸収素子
32は、上記のようにエミッタ・コーン20を第1の基板部
材12側及び第2の基板部材14側にそれぞれ設けることに
より、第1の外部電極層24と第2の外部電極層26との間
で電子を双方向に放出可能な構造とした点に特徴を有す
るものであり、極性に気遣うことなく利用できると共
に、何らかの理由によって逆方向に過電圧が印加される
場合にも対処できる利点を有する。
【0042】つぎに、上記第1の電界電子放出型サージ
吸収素子10における、第1の基板部材12及び第2の基板
部材14と枠部材16との接合方法について説明する。ま
ず、真空雰囲気中において、図4に示すように、ホット
プレート42の上面に、エミッタ・コーン20及び第1の外
部電極層24を形成済みの第1の基板部材12と、枠部材16
と、第2の外部電極層26を形成済みの第2の基板部材14
とを積層載置する。
【0043】上記枠部材16の外周縁部端面19aには、電
極枠44が圧着されている。この電極枠44は、図5に示す
ように、可撓性を備えた良導性の金属帯を、枠部材16の
外周縁部19に対応するように矩形状に折曲して形成され
ている。この電極枠44の開閉端部44aを左右方向に開き
ながら、枠部材16の外周縁部19を電極枠44内に導き入れ
た後、上記開閉端部44aを閉じると、電極枠44自体が有
する復元力によって、枠部材16の外周縁部端面19aと電
極枠44の内面とが圧着されることとなる。そして、図4
に示すように、第2の基板部材14の第2の外部電極層26
には直流電源46のプラス側が接続されると共に、第1の
基板部材12の第1の外部電極層24にも、ホットプレート
42を経由して直流電源46のプラス側が接続される。ま
た、枠部材16の外周縁部端面19aを覆う電極枠44には、
直流電源46のマイナス側が接続される。
【0044】しかして、上記直流電源46より50〜10
00Vの電圧が印加されると、図6に示すように、枠部
材16を構成するガラス内部の陽イオン(Na+)48が電
極枠44側に移動すると同時に、第1の基板部材12及び第
2の基板部材14との界面近傍に、マイナスの電荷が集中
して空間電荷層50が形成され、大きな吸引力が生じて第
1の基板部材12と第2の基板部材14は枠部材16に化学結
合される。すなわち、第1の基板部材の対向面周縁12a
と枠部材16の第1の当接面16aとの陽極接合、及び第2
の基板部材の対向面周縁14aと枠部材16の第2の当接面
16bとの陽極接合が同時に実現されることとなる。
【0045】上記のように、枠部材16の外周縁部19が第
1の基板部材12及び第2の基板部材14の外側面よりも突
出するように構成したのは、陽イオン48の移動・蓄積先
を確保するためであるが、その結果としてつぎのような
効果が生じる。すなわち、第1の基板部材12の第1の外
部電極層24と第2の基板部材14の第2の外部電極層26間
の沿面距離が、絶縁物質よりなる外周縁部19が突出する
分長くなるため、サージ吸収素子として使用中に、外囲
器18の内部で放電生成される代わりに、誤って外囲器18
の外側面を通じて両外部電極層間が導通してしまうこと
を有効に防止できる。
【0046】また、枠部材16の外周縁部19を取り囲むよ
うに電極枠44を圧着させたのは、外周縁部の端面19a全
体に均一に電界が加わるようにするためである。なお、
上記の陽極接合をより強固なものとするためには、第1
の基板部材の対向面周縁12a、第2の基板部材の対向面
周縁14a、及び枠部材16の両当接面16a,16bを可能な
限り平滑化しておくことが必要であり、例えば表面の凹
凸を1μm以下に抑えることが望ましい。
【0047】第2の電界電子放出型サージ吸収素子32に
おける、第1の基板部材12及び第2の基板部材14と枠部
材16との接合についても、上記と同様に行われる。すな
わち、図7に示すように、真空雰囲気中において、ホッ
トプレート42の上面に、エミッタ・コーン20及び第1の
外部電極層24を形成済みの第1の基板部材12と、同じく
エミッタ・コーン20及び第2の外部電極層26を形成済み
の第2の基板部材14とが、枠部材16を間に介して積層載
置され、第1の外部電極層24及び第2の外部電極層26に
は、それぞれ直流電源46のプラス側が接続されると共
に、枠部材16の外周縁部端面19aに圧着された電極枠44
には、直流電源46のマイナス側が接続される。
【0048】そして、上記ホットプレート42によって摂
氏200〜600度に加熱しながら直流電源46より所定
の直流電圧を印加すると、図示は省略したが、枠部材16
内の陽イオン(Na+)が電極枠44との接触面側に移動
すると共に、第1の基板部材12及び第2の基板部材14と
の界面近傍に空間電荷層が形成され、枠部材16の当接面
と各基板部材の対向面周縁との間の陽極接合が実現され
る。この第2の電界電子放出型サージ吸収素子32の接合
時には、第1の基板部材12側のエミッタ・コーン20と第
2の基板部材14側のエミッタ・コーン20の両者に、同時
に同電位の電界が付与されるため、両基板部材間で放電
生成が生じることがない。したがって、接合工程で印加
される電圧値が、第2の電界電子放出型サージ吸収素子
32の定格電圧以上であっても、陽極接合を有効に行うこ
とができる。
【0049】上記においては、第1の基板部材12及び第
2の基板部材14の材質としてn形半導体を用いる例を示
したが、この発明はこれに限定されるものではなく、S
i中にホウ素等の不純物を混入させたp形半導体によっ
て形成された第1の基板部材12と第2の基板部材14と
を、枠部材16を間に介して陽極接合する際にも適用可能
である。
【0050】
【発明の効果】本発明に係る電界電子放出型サージ吸収
素子の製造方法にあっては、第1の基板部材と第2の基
板部材との接合を同時に実現することができるため、製
造の効率化を達成できるのみならず、枠部材の厚さを比
較的薄く構成した場合であっても、第1の基板部材の対
向面周縁と枠部材の第1の当接面との接合、及び第2の
基板部材の対向面周縁と枠部材の第2の当接面との接合
を確実に行うことができる。また、第1の基板部材及び
第2の基板部材には、同時に同電位の電圧が印加される
ため、第1の基板部材及び第2の基板部材の両方にエミ
ッタ・コーンを形成したタイプの電界電子放出型サージ
吸収素子であっても、接合時の電圧印加によって外囲器
内で放電が発生することがなく、確実に陽極接合を実現
できる。
【0051】本発明に係る電界電子放出型サージ吸収素
子にあっては、枠部材の外周縁部が第1の基板部材及び
第2の基板部材の外側面から突出する分、第1の基板部
材の外部電極層と第2の基板部材の外部電極層間の沿面
距離が拡大するため、両外部電極層間にサージ電圧が印
加された際に、外囲器内で放電が生成する代わりに外囲
器の外側面に沿面放電が生じて動作不良となることを有
効に回避することができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の電界電子放出型サージ吸収
素子を示す断面図である。
【図2】第1の電界電子放出型サージ吸収素子を示す分
解斜視図である。
【図3】本発明に係る第2の電界電子放出型サージ吸収
素子を示す断面図である。
【図4】第1の電界電子放出型サージ吸収素子における
第1の基板部材、枠部材及び第2の基板部材の接合工程
を示す概略断面図である。
【図5】電極枠を示す斜視図である。
【図6】第1の基板部材、枠部材及び第2基板部材の接
合原理を示す概念図である。
【図7】第2の電界電子放出型サージ吸収素子における
第1の基板部材、枠部材及び第2の基板部材の接合工程
を示す概略断面図である。
【図8】サージ吸収素子の使用例を示す回路図である。
【図9】従来の電界電子放出型サージ吸収素子を示す断
面図である。
【図10】従来の電界電子放出型サージ吸収素子を示す
分解斜視図である。
【図11】電界電子放出形サージ吸収素子のサージ吸収
特性を示す波形図である。
【図12】従来の電界電子放出型サージ吸収素子の他の
例を示す断面図である。
【図13】従来の電界電子放出型サージ吸収素子におけ
る第2の基板部材と枠部材との接合工程を示す概略断面
図である。
【図14】陽極接合法の原理を説明する概念図である。
【図15】従来の電界電子放出型サージ吸収素子におけ
る第1の基板部材と枠部材との接合工程を示す概略断面
図である。
【図16】従来の陽極接合法の問題点を説明する概念図
である。
【図17】従来の電界電子放出型サージ吸収素子におけ
る第1の基板部材と枠部材との接合工程を示す概略断面
図である。
【符号の説明】
10 第1の電界電子放出型サージ吸収素子 12 第1の基板部材 12a 第1の基板部材の対向面周縁 14 第2の基板部材 14a 第2の基板部材の対向面周縁 16 枠部材 16a 枠部材の第1の当接面 16b 枠部材の第2の当接面 19 枠部材の外周縁部 19a 枠部材の該周縁部端面 18 外囲器 20 エミッタ・コーン 24 第1の外部電極層 26 第2の外部電極層 32 第2の電界電子放出型サージ吸収素子 34 第1の電子放出部 35 第1の平面部 36 第2の電子放出部 37 第2の平面部 44 電極枠 46 直流電源 48 陽イオン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体より成り、一方の面に多数のエミ
    ッタ・コーンを一体形成した電子放出部とエミッタ・コ
    ーンが形成されない平面部の少なくとも一方を備えると
    共に、他方の面に外部電極層を形成してなる第1の基板
    部材と、同じく半導体より成り、一方の面に多数のエミ
    ッタ・コーンを一体形成した電子放出部とエミッタ・コ
    ーンが形成されない平面部の少なくとも一方を備えると
    共に、他方の面に外部電極層を形成してなる第2の基板
    部材とを、一方の基板部材のエミッタ・コーンの先端部
    と他方の基板部材の平面部とが所定の距離を隔てて対向
    するように配置し、真空雰囲気中において両基板部材の
    対向面周縁を枠部材を間に介して気密封止することによ
    って、内部が高真空状態となされた外囲器を形成する電
    界電子放出型サージ吸収素子の製造方法において、上記
    枠部材として、内部に可動イオンを含む絶縁材より構成
    され、上記第1の基板部材の対向面周縁と接する第1の
    当接面と、上記第2の基板部材の対向面周縁と接する第
    2の当接面と、対向配置された両基板部材の外側面から
    突出する外周縁部とを備えたものを用い、上記第1の基
    板部材、枠部材、第2の基板部材を順に積層載置して、
    両基板部材の外部電極層には直流電源のプラス側をそれ
    ぞれ接続すると共に、上記枠部材の外周縁部には上記直
    流電源のマイナス側を接続し、所定の温度に加熱された
    真空雰囲気中において、上記直流電源より電圧を印加
    し、第1の基板部材の対向面周縁と上記枠部材の第1の
    当接面とを陽極接合すると同時に、第2の基板部材の対
    向面周縁と上記枠部材の第2の当接面とを陽極接合する
    ことを特徴とする電界電子放出型サージ吸収素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 上記枠部材として、内部にNa+を含む
    硼珪酸ガラスより構成したものを用いることを特徴とす
    る請求項1に記載の電界電子放出型サージ吸収素子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 上記枠部材の外周縁部端面に、該外周縁
    部端面に対応する形状に折曲された金属帯よりなる電極
    枠を圧着すると共に、該電極枠に上記直流電源のマイナ
    ス側を接続することにより、上記外周縁部の端面全体に
    均一に電圧を印加することを特徴とする請求項1または
    2に記載の電界電子放出型サージ吸収素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 半導体より成り、一方の面に多数のエミ
    ッタ・コーンを一体形成した電子放出部とエミッタ・コ
    ーンが形成されない平面部の少なくとも一方を備えると
    共に、他方の面に外部電極層を形成してなる第1の基板
    部材と、同じく半導体より成り、一方の面に多数のエミ
    ッタ・コーンを一体形成した電子放出部とエミッタ・コ
    ーンが形成されない平面部の少なくとも一方を備えると
    共に、他方の面に外部電極層を形成してなる第2の基板
    部材とを、一方の基板部材のエミッタ・コーンの先端部
    と他方の基板部材の平面部とが所定の距離を隔てて対向
    するように配置し、両基板部材の対向面周縁を枠部材を
    間に介して気密封止して外囲器を形成し、該外囲器内を
    高真空状態と成した電界電子放出型サージ吸収素子にお
    いて、上記枠部材として、絶縁材より構成され、上記第
    1の基板部材の対向面周縁と接する第1の当接面と、上
    記第2の基板部材の対向面周縁と接する第2の当接面
    と、対向配置された両基板部材の外側面から突出する外
    周縁部とを備えたものを用いたことを特徴とする電界電
    子放出型サージ吸収素子。
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